東京都交響楽団 第837回定期演奏会Cシリーズ 7月22日
2017/07/27(Thu)
東京都交響楽団
指揮:ヤクブ・フルシャ
女性合唱:新国立劇場合奏団
会場:東京芸術劇場コンサートホール

ブラームス:交響曲第3番ヘ長調

   ――― 休憩 ―――

スーク:交響詩「人生の実り」


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都響主席客演指揮者のフルシャも2012年に初めて聴いて以来、可能な限り聴いてみたい指揮者の一人です。 ただ運悪く、なぜかバレエ公演や他の用事と重なる事がけっこう多く、聴きたかったのに聴けなかったコンサートがけっこうありました。 今回もまた26日の「わが祖国」はバレエ・スプリームと重なってしまい断念。 プラハフィルとの演奏は聴いていますが、曲自体とても好きな「わが祖国」の都響との演奏は本当に聴きたかったのでつくづく残念。

この日は演奏前にプレトークとしてフルシャがスークとの出会いと演奏曲「人生の実り」について20分にわたり熱く語ってくれました。
「17歳の時にプラハの街を歩いていて通りかかった古い楽譜屋で見つけた大きなスコア。 とうてい買えないだろうと思ったそのスコアはたったの3ユーロだったので買って帰り、読み始めると1ページ目から意識を失ってしまうような世界。 それまで趣味で音楽をやってきた自分が本格的に人生を音楽に捧げようと思ったきっかけがこの『人生の実り』との出会いだった」と。
「実り」は英語では「Ripening」というINGのつく進行形の単語で表されるように、終わりではなく過去からずっと続いている過程との事であり6部に分かれているこの曲の流れを感じて欲しいと。 まだ語り足りなかったようですが、あと5分で開演というところで終了となりました。 最後に突然思い出したようにPlease also enjoy Brahmsと笑顔で付け加えていたのを聞いて思わず笑ってしまいましたが、プログラムには「スークはチェコの音楽史の中で非常に重要な作曲家で、ドイツ音楽におけるマーラーと同じように巨大な存在です」と記載されている事からもフルシャのスークへの深い敬愛の念が伝わって来ます。


演奏会では久しぶりのブラームス3番は全体にゆったりと穏やかな演奏でした。 16型のオケは十分迫力があるけれども渋すぎず重すぎずに美しい音色。 2楽章の冒頭のクラリネットから弦楽器に続くところから中盤まで、どんな荒れた心も安らぐだろうと思うような長閑で平和的な旋律の美しさは感動的。 2楽章は本当に美しい演奏でした。 続く3楽章もチェロやホルンの歌い上げが素晴らしく心に染み入る演奏。 4楽章は次第に熱を帯びフルシャらしい端正ながらエネルギッシュな指揮。 それに真摯に全力で応えた都響も見事でした。

フルシャ&都響は、12月にブラームスの2番と1番をそれぞれマルティヌーの2番、1番とのコンビで演奏します。 彼はブラームスの交響曲を4番から逆順で演奏する事になるのですね。 チクルス制覇で12月の公演ももちろん行く予定です。 とても残念な事ながら、フルシャはその公演をもって主席客演指揮者としての役割を終えますが、今後も1年に1度は戻って来て都響の舞台に立って欲しいと切望します。 昨年の秋からずっとアンケートにはそれを書き続けているのだけれど・・・。 願いが叶いますように!!


ヨセフ・スークは1874年生まれのチェコの作曲家で、プラハ音楽院でドヴォルザークに音楽を学んでいます。 音楽院を出たばかりの頃にドヴォルザークの娘のオティーリエと出会い結婚。 しかしながら師てもある義父のドヴォルザークが亡くなった翌年、結婚わずか6年後にオティーリエも27歳の若さで亡くなるという辛い出来事を経験する事になります。 スークの作品には交響曲第2番「アスラエル」、交響詩「夏の物語」、交響詩「人生の実り」、交響詩「エピローグ」という標題的4部作と呼ばれる作品郡がありますが、それはその深い悲しみを乗り越え20年以上もの歳月をかけて1作品、1作品書かれたものとの事です。 

「人生の実り」はRecognition / Youth / Love / Fate / Resolve / Self-Moderationの6部構成ですが、各部切れ目なく続く演奏時間40分ほどの大曲でした。 そしてオケはブラームスと同じ16型ですが、管楽器、打楽器の人数が増え、ステージ奥には合唱団の女性がずらっと並び、ステージ上方パイプオルガンのスペースにバンダのトランペットが6人配置されるという大編成。 
冒頭のヴァイオリンの繊細で柔らかな音色がとても美しく、思わず目を向けると第1プルトの2人と第2プルトの外側の3人だけがメロディーを奏でていたように見えました。 他の弦も最初はトップだけだったような・・・。 初めて聞く曲だったので、プログラムの解説を頼りに6部それぞれを認識しようと思いながら聞いてはみたもののなかなかに難しい。 全体的に美しく聞きやすいメロディーが多く、その曲調が穏やかだったり幻想的であったり激しかったり雄大だったりと色彩も豊か。 また、それぞれの楽器での分奏も多く、旋律が複雑に絡み合ってさらに豊かな表情と厚みを出しているようでした。 各部につけられたタイトルをイメージして捉えるのは凡庸な感覚では難しかったのですが、前衛的なバレエや映画の壮大なシーンに合うような旋律を多く感じました。 ハープ、チェレスタ、グロッケンシュピールも独特な音の世界を作りますしね。 曲の終盤に置かれたヴォカリーズでの女声合唱は、どこか神秘的でいよいよクライマックスを迎えるという雰囲気を醸し出していてドラマティック。 ですが、その後は盛大なフィナーレではなく、実りというよりは終焉を思わせるように静かに締めくくられていきました。

好きな指揮者、演奏家、オケ、作曲家がいるってやっぱりいいですよね! 自分に新しいものを与えてくれる!!  指揮者がフルシャでなければ、絶対に縁がなかったと思われるこの曲、切れ目なしの40分はあっという間でした。 
彼にとっても初演との事で、敬愛する作曲家の大曲を振る事のできる幸せとクラシック音楽を好む客席の人々にこの曲を聴いてもらう事ができるという喜びに満ちていたような気がします。 終演後にオケの主要メンバーに一人一人握手を求め、演奏の成功を共に喜んでいた姿も良い光景でした。  
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