ENB「海賊」 7月16日
2017/07/20(Thu)
ともかく海賊は楽しくなくちゃ!というのを改めて感じさせてくれた舞台でした。 大満足♪♪
ENB版は冒頭の海賊船の難破シーンとそれに続くメドーラとコンラッドの出会いのシーンはなく、奴隷商人ランケデムにさらわれてしまったコンラッドの恋人のメドーラをコンラッドたち海賊が船で救出に向かうというシーンで幕を開けます。 親しんだマールイボヤルチコフ版にあるものがけっこうないのは淋しいながら、まーそれはそれでいいのですけど、2度も恋人をさらわれるってどうよ!と、思わなくもなく・・・(笑)
また音楽も曲からはシーンが浮かんで来ない聞いた事のないものが多く、振付も見慣れた版とはかなり違うので少し違和感はありましたが、それもそれ。 

ロホのメドーラは、芯は強いけれど守ってあげたくなる姫キャラではなく、パシャたちを蠱惑的な視線で惑わす囚われの身感皆無な姐さんタイプ。 作品の中の人物像というものをしっかりとイメージした彼女の役作りと演技力については今更言うまでもない事ですが、今回のメドーラに関してはこう来たか!と初めて見るタイプのメドーラでした。 踊りの方も彼女比では全盛期ほどではないのでしょうが、足の強さは相変わらずで、軸が全くぶれない回転、バランスなどは圧巻です。 それらがすべて自然にさらっとなのもロホらしいし舞台上でのオーラもやはり格別なものがありますね。  

もともと海賊はロホでと決めていましたが、この日に決めたのは久しぶりのハニュコワを見たかったから。 同じ理由でこの日を選んだ友人も何気に多かったんですよ! しっかりしたテクニックに柔らかい品のある踊りはキエフの頃と変らずで調子も良さそうだったのに、奴隷のPDDのコーダでアクシデント。 コーダに入ってすぐの連続ジュテが途中で途切れ、辛そうな表情を見せていて。 ただ物語的に嫌々で暗い顔をしていてもおかしくなかったし、足を引きずっていたりはしていなかったので何事もなければいいなと思っていたのですが、やはり怪我をしたそうで3幕は降板。 大事無ければいいですが、怪我をする危険性というのは常に舞台に潜んでいるものなのですね・・・。
ハニュコワの代役で3幕のギュリナーラを踊った金原さんは前日にこの役を踊っているので急な事とはいえ、自然に役をこなしていて良かったです。 音取りにちょっと癖があるような気もしますが、床に触れていないようなソフトタッチの柔らかなステップが印象的です。

この日のキャストは踊る主要キャストすべて(パシャも重要なキャラですけどねー)がカンパニーのダンサーというのも決め手の一つでした。 
コンラッドのエルナンデスはエレガントさも持ち合わせた溌溂とした踊りが良かったです。 別に顔が似ているわけじゃないんだけど、髪の感じとかなんとなくシヴァに通じる雰囲気があってにわかファンモード♪  一番美味しいところはアリに持っていかれる役ですが、ロホをきちんと支え、難しいリフトも決めながら見せるところはしっかり見せていましたし、洞窟でのメドーラとのPDDもとても微笑ましくラブリーなコンラッドでした♪ 

そのアリのコラレス。 フランツを見た時には荒削りながら身体能力が高い飛んだり跳ねたり回ったりが得意なタイプのダンサー程度の印象だったのですが、その得意分野がここまで圧倒的に凄いとは思いもしませんでした。 ハーレムパンツに隠されてしまった大腿筋の成せる業? この版でもアリが踊るのは洞窟でのパ・ド・トロワだけだったので、一点集中で大爆発ですね。 そのもの自体が驚嘆の超々高速の回転とそれを減速していく回転まで、軸はまっすぐに体のコントロールもパーフェクト。 コーダで見せた下手からのグランジュテ3連発の高さも異常なほどに高く、そこらじゅうからどよめきが聞こえました。 しかもフォームも綺麗で決して勢い任せではありません。 演技では寡黙で忠実なコンラッドの下僕になりきっていましたし言う事なしでしたね!

ビルバンドのヨナ・アコスタはカルロス・アコスタの甥っ子なんですねー。 引き締まった肉体でキレのあるダンスでした。 彼だったら絶対迫力あったにちがいないと思う鉄砲ダンスがなかったのはとても残念。 ビルバンドっていったらあれでしょう!! 
鉄砲ダンスの替わりではないけれど一幕の海賊とパシャの手下たちによる剣を持った争いのダンスは面白かったなと。 また1幕では同士としての熱いダンスをみせたコンラッドとビルバンドが2幕では対立のダンスをするという対比もなかなかの演出。 かなりコンラッド劣勢でしたけどね(笑)。

マールイ旧版と比べてこれがないあれがないながら、ランケデムを使った眠り薬のシーンがあったのは「ムフフ」。 見張りが立っていたのでやるかなーと期待していた、薬の効果を試してみるシーンもちゃんとあったしね♪ (マールイルジ版であそこがなくなったのはねぇ!) 薬をたっぷりふりかけた一厘の花をメドーラに渡すのがランケデムに頼まれた女の子だった事に「そーだよねー」と深く納得。 

ランケデムのジンハオ・チャンはコッペリアの3幕で日本人の猿橋xxさんとどっちがどっち?と判別がつかなかったダンサーだったのですが、この日ですっきり。 東洋人らしいすらっとした長身のダンサー(猿橋さんも)で踊りがしなやか。 奴隷のPDDも良かったですが、一幕最初のソロが足先まで神経を使っていて綺麗でした。

パシャのマイケル・コールマンは英国ロイヤルバレエ団で活躍し、ENBには1995年に初めてゲスト出演して以来、定期的に出演しているというベテランダンサー。 ふとっちょお腹ボォ~~ンで憎めない感じのパシャを好演。 権力者ですからね~、一番キンキラキンで贅を尽くしたゴージャスな衣装に身を包んでおりました。 とっても似合っていたし(笑)。

花園のシーンは水煙草を吸って眠ってしまったパシャの夢というようにわかりやすいのもいいですね。 花園といえばピンクのチュチュという思い込みがありましたが、こちらはホワイト系。 それまでの舞台が華やかな衣装で彩られていたので、一転清涼感が漂っていました。 期待したピチカートがなかったのはちょっと残念。

衣装・舞台装置ですが、「コッペリア」同様、細部まで凝った作りで美しく見事でした。 特に19世紀中ごろの舞台衣装を現代人の感覚を通して再解釈したという衣装は東洋を意識してインド・パキスタン・などで作られた生地や装飾品を用いて作ったとの事です。 かなりカラフルでしたが、どぎつく毒々しいわけではなく、調和が取られていて品がありました。  

物語のエンディング。
裏切り者の(ちょっとかわいそうだけど・・・)ビルバンドをコンラッドが銃で撃ち殺し、メドーラも無事救い出し、アリとギュリナーラの4人で船で逃げるも幸せはつかの間。 大嵐に遭遇しアリは海に投げ出され船は大破。 ギュリナーラも行方知れずで船の残骸とともに流されたコンラッドとメドーラの2人だけが生き延びる・・・。
ちょっと最後にしんみりしちゃうよりは、荒唐無稽の明るいノリで来たのだから、4人の船出でハッピーエンド♪でいいんですけどねー。


「コッペリア」「海賊」の2作品を見て、良いダンサーも大勢所属しているエネルギッシュで勢いのあるカンパニーである事は十分わかったので、時間をおかずに次の来日公演が決まるといいなと思います。 ENBでなければ見られないような作品と数ある作品の中のENB版のようなものを持って来て欲しいです!

 



振付:アンナ=マリー・ホームズ
装置・衣装:ボブ・リングウッド

メドーラ : タマラ・ロホ
コンラッド : イサック・エルナンデス
ギュルナーラ : カーチャ・ハニュコワ(3幕:金原里奈)
ランケデム : ジンハオ・チャン
アリ : セザール・コラレス
ビルバント : ヨナ・アコスタ
パシャ : マイケル・コールマン


第1幕 市場
 オダリスク : 金原里奈、アリソン・マクウィニー、フランチェスカ・ヴェリク
第3幕 踊る花園
 薔薇:クリスタル・コスタ、アンジュリー・ハドソン
     アリソン・マクウィニー、康千里
 花のソリストたち:ジア・チャン、ジャネット・カカレカ
           ユナ・チェ、ティファニー・ヘドマン

指揮:ギャヴィン・サザーランド
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
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