ENB 「コッペリア」 7月8日マチネ
2017/07/11(Tue)
コジョカルの代役となったユルギータ・ドロニナは2014年のコジョカル・ドリームプロジェクトに出演したダンサーで、その時のパートナーが当時オランダ国立バレエのプリンシパルだった現ENBプリンシパルのイサック・エルナンデス。 コンテ、古典ともにきっちりと踊れるダンサーという良い印象だったので、今回コジョカルが見られなくなったのは残念でしたが、ドロニナならスワルニダは似合うはずと楽しみにしていました。 初役とは意外でしたが、期待通りに彼女の踊りはとても安定していて見せ方にも余裕があり、2幕のコッペリウスの工房でのスペインやスコットランドの民族舞踊の踊りも達者にこなすあたりはさすがです。 目の表情が豊かでちょっと気の強いスワルニダのころころ変わる感情をマイムと合わせてしっかり伝えていました。 ふくれっつらも可愛かったし♪ 

フランツを踊ったセザール・コラレスも役デビューとの事ですが、こちらもそんな事はこれっぽっちも思わせないくらい、ノー天気なちゃら男が板についている(笑)。  ともかく若さの勢いでというように見えましたが嫌味のないダイナミックな踊りは良かったです。 

コッペリウスを演じたジェームズ・ストリーターはキャラクテールでもなさそうな中堅クラスのダンサーに見えますが(リードプリンシパルの高橋絵里奈さんのご主人なんですね)、偏屈で気難しやのコッペリウス博士を好演。  けっこう手荒な扱いを受けていたり運動量もさり気なく多かったので体力も必要な役ですね。  発明家&錬金術師でもあるというホフマンの原作を意識したこちらのコッペリウスはフランツの魂を抜き取ってコッペリアに移すのに妙なマシーンで電流を流すような演出なのがユニークで、昔のアニメやドラマに出てきたようなデザインに懐かしさも(笑)。 またライト版の奇跡ともプティ版の哀れとも違った、周囲との和解というコッペリウスの行く末も明るく楽しいこの版に合ってましたね。 

他のダンサーたちですが、まだ19歳でアーティストの金原里奈さんが出番も多く大活躍でした。 日本公演にあたってのロホの配慮なのかもしれませんが、小柄な体を十二分に使った柔らかな踊りが良かったです。 彼女は「海賊」でギュリナーラにも抜擢されているのですね。 金原さんと組んでいたジャネット・カカレカは対照的に長身で手足の長いラインが目を惹くダンサーです。 笑顔での丁寧な踊りには好感が持てました。 ただコール・ドの全体的なレベルとしてはこれからの底上げが必要だなという印象です。 6月にロシアのボリショイ、日本の新国立とそれぞれにレベルの高い整然とした踊りを見た後なので余計に感じたところもあるとは思いますが。 ダンサーたちも多国籍ということで、それが良い方にも悪い方にも出るのでしょうが、特に3幕はもう少し揃ったクラシックラインが綺麗に出せるようになると良いなと。 

NBSのサイトの写真通りにかなり立派で凝った舞台装置とカラフルで美しい衣装には「おおっ!」だったのですが、スワルニダの家がせり出しすぎていたり、宿屋?のウッドデッキが広かったりで踊れるスペースがちょっと狭く、ダンサーも思いっきり踊りたいように踊れなかったのではと感じるシーンもありました。 踊っているダンサーと周囲の人たちの距離が近くてちょっと雑然とした印象。 本国ではどうなのでしょう? 女性の衣装もわりとボリューミーなのでもう少しスペースが取れると全体的な見た目がすっきりしましたよね。 
でも、衣装は本当にデザインと色が素敵で衣装展を開いて欲しいくらい! 細かい刺繍もたくさん施されているので実際に触ってそばで見てみたい! 特にカカレカが祈りの踊りで着ていたドレスの上半身の刺繍!!





振付:ロナルド・ハインド(マリウス・プティパに基づく)
装置・衣裳:デズモンド・ヒーリー

スワニルダ:ユルギータ・ドロニナ
フランツ:セザール・コラレス
コッペリウス博士:ジェームズ・ストリーター


<第1幕>
スワニルダの友人:金原里奈、ジャネット・カカレカ、アンジュリー・ハドソン、
            康 千里、ティファニー・へドマン、ジア・チャン
宿屋の主人:ダニエル・クラウス
宿屋の夫人:タマリン・ストット
市長:ファビアン・ライマー
コッペリア人形:フランチェスカ・ヴェリク

<第2幕>
兵士の人形:ジョージオ・ガレット
長靴をはいた猫の人形:ネイサン・ハント
中国の人形:クレア・バレット

<第3幕>
暁の踊り:金原里奈
祈りの踊り:ジャネット・カカレカ
仕事の踊り:ユナ・チェ、フランチェスカ・ヴェリク、アンバー・ハント、エミリア・カドリン
花嫁の介添え人たち:アンジュリー・ハドソン、康 千里、
             ティファニー・へドマン、ジア・チャン、
             アイトール・アリエタ、ギレーム・メネゼス、
             猿橋 賢、ジンハオ・チャン

指揮:ギャヴィン・サザーランド
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
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コメント
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M様

 楽しかったですね!本当にコラレスのフランツは若い勢いがあふれんばかりで、演技しているのを感じさせないぐらい板についてましたね。本当にああいう人なんじゃないですか?

 ドロニナもさすがでした。でも、コラレスと一緒だと、ちょっとお姉さま感が出てしまっていたような気もしました。エルナンデスと踊るのも観たいですね。

 ロホは日本公演をしっかり意識してましたね。産休明けの高橋さんに夫婦共演をさせ、ローレッタを降板させてまで怪我あけの加瀬さんを舞台に出すとは、すごいです。もちろん、高橋さんや加瀬さんをとても信頼しているからだと思いますが。
 ロイヤルも見習え!(去年、さんざんバカをみて悲しかった。ああ、高田さんのジゼル…)

 金原さん、よかったですね。本当にいいダンサーさんです。努力も惜しまないのだと思いますし、頭もいい人ですね。また楽しみが一つ増えた感じです。富田美里さんでしたっけ、指揮者も日本人を起用してましたね。

 ロホの率いるENBは本当に勢いがありますね。確かにちょっと荒いところはあったかもしれないけれど、お客さんを楽しませようというサービス精神はたっぷりでした。あんなに客席から笑いがもれる公演は初めてでした。

 今、ロホにはロイヤルバレエの創立者、ニネット・ド・ヴァロワ女史のような雰囲気があります。昇って行く者の勢いを感じるのです。もちろん内向きな政府の指導は守っているのでしょうが(そうしないと補助金がでないでしょう)、世界中から優れたダンサーを集め、振付家や作品も自分で見きわめて世界中から優れたものを求める…。

 このまま行けば、ケヴィンの必死の努力にもかかわらず内向きにならざるを得ないロイヤルよりも、優れたカンパニーになりそうな気もします。

 ボリショイもせっかくの新作が上演できずに大騒ぎになっているようですが、補助金なしにはバレエ団は存在しえない以上、ひたすら純粋に芸術を追求するのは難しいのでしょうが、そこはバレエ団を率いる者の腕の見せ所。

 ロホ率いるENBは本当に楽しみです。ケヴィンも負けるな!そして、ボリショイもがんばれ!

    MIYU
 
 
 
2017/07/12 01:17  | URL | MIYU #-[ 編集]
-  -
MIYUさん、

同じ公演をご覧でしたか。
コラレスのフランツ、私も本人自身と大差ないのだろうなと思いながら見てました)。 でもあそこまで考えなしでちゃらいとちょっと困りますけどね~~(笑)。
まだ若いですから、ダンスについてはこれからもう少し洗練されていけばいいなと思います。 
ドロニナはコジョカルガラの時にエルナンデスとのペアがとても良かったので、本当の事を言えば、年齢的な見た目のバランス的にもエルナンデスとのコッペリアを見たかったのでした。 やはりコラレスとだと時々おねーちゃんが言う事を聞かない弟を怒っているみたいに見えましたし。

ENBは何カ国のダンサーが所属しているのでしょう? 日本人も多いですね。 自分が知らないだけで、海外で活躍している日本人ダンサーって多いのだなとこういう時に改めて認識させられます。 バーミンガム同様、ENBもダンサー同士が仲が良く家族的なカンパニーと言っていましたが、監督とダンサーだけでなく、ダンサー同士にも信頼感があるのでこのような日本公演を意識した配役もできるのでしょうね。 もちろんキャストされた日本人ダンサーは納得の実力の持ち主なのだと思いますが。

ロイヤルの現役だった頃からロホは将来をいろいろと考えているクレバーなダンサーだなと思っていました。 その彼女の才能が関係各所とのバランスも上手く取りながらカンパニーのマネジメントに申し分なく発揮されているようです。 今のところ純クラ路線は少し厳しい気がしますが、今までにないようなカラーをもったカンパニーが構築されそうですよね!
NBSがあまり時間をおかずに次の来日を決めてくれるといいなと思います。
2017/07/13 08:02  | URL | M #il9tusdg[ 編集]
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