バレエの巨匠たち Bプログラム 8月3日
2016/08/15(Mon)
Bプロは、マトヴィエンコ夫妻の3演目がAプロと違うだけで他の出演者は前日のAプロと同じ演目の上演です。 2日はわりと空席が目立っていたので、エトワールガラの初日を迎える3日はどうなんだろう?と少し心配でしたが、逆に客入りはこの日の方が良かったです。 8割近くは埋まっていたのではないでしょうか。


<第1部>

「ジゼル」第2幕より
音楽:アドルフ・アダン
振付:ジャン・コラーリ、マリウフ・プティパ
アルブレヒト:デニス・マトヴィエンコ
ジゼル:アナスタシア・マトヴィエンコ

ヒラリオン:ミキタ・スホルコフ
ミルタ:カテリーナ・カザチェンコ
ドゥ・ウィリ:ナタリア・パテンコ、マルガリータ・アリヤナフ 

ウィリたちを従えたミルタが墓からジゼルを呼び出しすシーンから。 
アナスタシアのジゼル、復活の回転は軸もぶれず速度も十分でした。 彼女の回転系は安定していますよね。 踊りは最後まで破綻なく悪くはありませんでしたが、表現がわりと淡白なんですよね。 
一方愛する人を失った悲しみからか、死なせてしまった自責の念からか、憔悴しきってお墓に花を手向けにやって来たアルブレヒトのデニス。 幕を通してデニスがけっこう細やかな演技をしていたのでジゼルにももう少し応えて欲しかったなぁと。 デニスは踊りも最初から熱が入っていて、短い時間の中で観客にいろいろ見せよう届けようとしているのがよく分かりました。 ミルタに踊らされるところなどはもう本当に息も絶え絶えで・・・。 最後まで迫真のパフォーマンスでした。 
個人的に今回のジゼルで一番楽しみだったのはカザチェンコのミルタ。 相変わらず抜群のスタイルでウィリの女王の貫禄十分な佇まい。 アルブレヒトやヒラリオンの必死の命乞いをすぅっと無視するときの淡々とした冷たさもいい。 腕の動きも綺麗でした。 ヒラリオンのスホルコフは通常のヒラリオンの踊りに回転などのアレンジを加えてずい分と濃い内容の踊りでした。 コール・ドは今回のキエフの公演にはジゼルが入っていないせいか、まぁちょっとバラバラしてましたかね・・・。

 
<第2部>

「タンゴ」より
音楽:ミシェル・ポルタル
振付:エドワード・クルグ
デニス・マトヴィエンコ、アナスタシア・マトヴィエンコ 


Aプロの「ウィスパー」同様、クルグの作品。 ルーマニア生まれのクルグは2003年にそれまで自身がプリンシパルとして活躍していたスロベニア国立マリボール歌劇場バレエ団の芸術監督に就任し、デニスは「現代社会を意識している」と彼の作品を高く評価しているそうです。 夫妻がよく踊っている「レディオ&ジュリエット」もクルグの作品ですね。
この作品は男女の愛憎を描いたものとの事ですが、憎というほどまだ深刻ではなさそう。 テーブルをはさんで向かい合う男と女。 黙ったまま怒りを全身で表す女に、ひたすら言い訳をしているちゃらい男。 男が女かお金の問題でも起こしたのか・・・という感じでしたが、怒ったままでもきっちりステップを合わせてタンゴを踊るというのが面白かった。 最後に怒り冷めやらずという顔でスタスタスタスタ舞台を横切るアナスタシアが可愛かったです。 2人が上手と下手に別れて消えて行き、男だけが未練がましく振り返る。


「シェヘラザード」よりアダージョ
音楽:N.リムスキー=コルサコフ
振付:ミハイル・フォーキン
ファルフ・ルジマトフ、エレーナ・フィリピエワ


「ゴパック」
音楽:V.ソロヴィヨフ=セドイ
振付:ロスチスラフ・ザハロフ
ヴィタリー・ネトルネンコ  


「スパルタクス」よりパ・ド・ドゥ
音楽:アラム・ハチャトリアン
振付:ゲオルギー・コフトゥン
イリーナ・ペレン、マラト・シェミウノフ


「Escape ~終わりなき旅~」
音楽:ゾーイ・キーティング
振付:コンスタンティン・ケイヘル
ファルフ・ルジマトフ、デニス・マトヴィエンコ 


「赤と黒」よりパ・ド・ドゥ
音楽:エクトル・ベルリオーズ
振付:ウヴェ・ショルツ
カテリーナ・マルコフスカヤ、マクシム・チャシェグロフ 


「ボヴァリー夫人」より
音楽:セルゲイ・ラフマニノフ
振付:マイケル・シャノン  
イリーナ・ペレン、マラト・シェミウノフ


「トゥオネラの白鳥(Black Swan)」
音楽:シャン・シベリウス
振付:マリヤ・ヴォルシャコワ
ファルフ・ルジマトフ


「海賊」よりパ・ド・ドゥ
音楽:レオン・ミンクス
振付:マリウス・プティパ、ワフタング・チャブキアーニ
アリ:デニス・マトヴィエンコ
メドーラ:アナスタシア・マトヴィエンコ 


メドーラのヴァリはガムザッティのヴァリだったかと。 すべてシングルのグランフェッテは安定していてスピードもありました。 
デニスは、ジャンプは思い切り良く、最後に少し腰を落とすピルエットは回転数も多く、マネージュは形も綺麗でスピードもありと、ともかくAプロのドンキ以上の大サービスです。 そしてまだまだ若い者には負けないぞとばかりに見せてくれた気迫のこもった540の連発に会場は大いに盛り上がりました。 素晴らしかったです。


初日と同じ演目を踊った他のダンサーたちも皆素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。 初見だったり、以前一度見たけれどあまり覚えていなかった演目は、昨日は目の前での展開を追いかけ分かろうとするのに必死な部分もあったのですが、2度目となると落ち着いて見られます。 それぞれの作品で、ダンサーたちが感性豊かに踊りで伝えていたり、キャラクターの心情を細やかな演技で表現していたりというのを改めて感じました。 正直、初日は少し冗長に感じた「赤と黒」と「ボヴァリー夫人」もこの日はそのように感じる事なく作品世界を楽しめたし。 全く異なる個と個がぶつかるデニスとルジの「Escape ~終わりなき旅~」は、観客の前で本番を向かえて初めて命が吹き込まれた作品はこうやって上演を重ねながら少しずつ自由にその姿を変えていくんだなぁと思ったというか・・・。 とは言っても振付家が表現しようとしている事が何なのかはわかりませんが、こういう作品の場合、自分にとっては音楽が好みか否かという事で受け入れ度合が違うんですよね。 キーティングのこの曲はメロディーもアレンジもけっこう聞き易い。 非常に気に入っているトゥオネラの白鳥を使ったルジのこの作品もとても興味深いので、振付家自身の解説を聞いてみたいなぁ。 だって黒鳥だしね(笑)!  


フィナーレでのダンサーたちは前日よりもいっそうリラックス&楽しそうで、客席との一体感もアップ。 カーテンコールもかなり長く繰り返され、さすがにお仕舞いかと思ったその後に、みんなが手を繋いで出てきてくれた時には(この雰囲気にちょいと合わないルジはいませんでしたが)、会場も大歓声に包まれました。 
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