4月22日 日本フィルハーモニー交響楽団第679回定期演奏会
2016/05/01(Sun)
日本フィルハーモニー交響楽団
指揮:ピエタリ・インキネン
会場:サントリーホール

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ブリテン:ヴァイオリン協奏曲
      (ヴァイオリン:庄司紗矢香)

  --- 休憩 ---

ホルスト:惑星
       (女声合唱:東京音楽大学)

<アンコール>
 ヴァイオリン:スペイン内戦時軍歌 アヴィレスへの道
 


ブリテンのヴァイオリン協奏曲は一度も聴いた事がなかったので、ジャニーヌ・ヤンセンのCDを購入して予習としました。 CDを購入する際に呼んだレビューの中には不協和音が・・・というレビューもあったので若干心配だったのですが、これが、聴き始めると妙に惹きつけられる物があって凄く気に入ってしまいました。 ヴァイオリニストが紗矢香ちゃんだしたまには冒険的な曲! 惑星も生演奏では聴いた事がなかったので聴いてみたいという事で行く事にしたこのコンサートでしたが行く事に決めて本当に良かった。 紗矢香ちゃんじゃなければやっぱ止めておこうか・・・で、ブリテンのヴァイオリン協奏曲と出会う事もなかったわけです。
紗矢香ちゃんは胸がVの字に開いたインクブルーのロングドレス。 大きなジラフ柄とでも言うのか?シルバーのラインが入っていて、背中には大きなリボン。 テルミカーノフさんとのプロコフィエフのCDジャケットの衣装です♪
今回は譜面を置いての演奏でしたが、コンサートでも取り上げられる事は少ないとの事なのでヴァイオリニストにしても頻繁に弾くような曲ではないのでしょうね。  
ティンパニーが弱音で特徴的なリズムを刻んだ後のジャズ調の出だしは、初めてCDで聞いた時はいったいどれほど19世紀の作品とは違うクラシック音楽の世界に連れて行かれるのだろうと不安になりました。 でも今は凄くわくわくとして聞く事ができる。 続くヴァイオリンの甘く切なく妖しい調べからはどんどん曲に惹き込まれていきます。 そして1楽章の中盤あたりでのオーケストラの壮大な旋律に、自分はシベリウスの描き出す自然を連想しました。 一瞬ですけどね。 金管の芯の通った響きもとても良い。 また、その後リリオムのテーマに似た旋律もあり妙な懐かしさやら好ましさやら、ともかくこの曲にはまってしまったのです。 ここでのヴァイオリンはテンポこそ速くはないけれどテクニック的にとても高度な演奏だと思います。 
2楽章では比較的速いテンポで勇ましげなさまざまな表情をみせるヴァイオリン。 途中のなんとなく不安を煽るような妖しげな旋律も惹かれる! 紗矢香ちゃんはなんだか一層男前な演奏スタイルになってきたような気がしますが、超絶技巧な感じのカデンツァも圧巻の一言で高音も重音も素晴らしく美しかったです。  オーケストラもソロヴァイオリンとのバランスをよく取りながら鳴らすところは目いっぱい鳴らしてメリハリのある演奏。 弦も管もみな良かったです。
カデンツァからそのまま続く3楽章の冒頭は少し緊張感漂うような旋律から次第に落ち着いた響きに変っていくパッサカリアがとても美しい。 トロンボーンの音も心に残る。 中盤の金管と弦が互角に渡り合うような交響曲的な盛り上がりは壮大で、それを引き継ぐヴァイオリンがまたリリオムに似た旋律をドラマティックに奏で、最後は優しく平和を祈るように歌い静かに消えていく。
本当になんて聴き応えのある素晴らしい曲なのでしょう! ヴァイオリン協奏曲としても素晴らしいけれど、曲そのものが秀逸。 生演奏で聴けて良かったです。

アンコールは知らない曲だったのですが、終演後に確認した掲示板にスペイン内戦時軍歌と書かれていて驚きました。 戦う士気を鼓舞するというより鎮魂歌のように優しく哀愁漂う曲でした。
1936年7月から1939年3月までのスペイン内戦はドイツ・イタリアが反乱軍を、ソ連と国際義勇軍が政府を支援したことから国際的紛争となった戦争とされています。 その終息と時を同じくしてナチスドイツが台頭し、イギリスが戦争に巻き込まれる事を不安に思ったブリテンはアメリカに移住し、移住後に彼が最初に作曲した大作がヴァイオリン協奏曲だったのだそうです。 
アンコールとしてよく考えられた選曲だったのですね。 

紗矢香ちゃんとインキネンはザハール・ブロンにヴァイオリンを師事した同門生とのことで、今回念願かなっての日本での初共演だったそうですが、是非また近いうちに紗矢香ちゃんを呼んでもらって、今度はシベリウスプログラムを組んで欲しいなぁと思います。 


ホルストはどうして「惑星」をテーマにした曲を作ったのか、興味があったので調べてみたところ、彼は教えを受けていた占星術に傾倒していたため、天文学ではなく占星術にインスパイアされて作曲し、そのため、それぞれの惑星に占星術的副題が付いているとの事でした。 だから地球がないのだとか。 また7つの惑星の順番は地球に近い順だそうで、冥王星(今は惑星から外されてしまいましたが)がないのは、1916年の作曲当時に冥王星が発見されていなかったためとの事です。 冥王星は「どってんかいめい」が「どってんめいかい」になったりと何かと話題になりましたね、そういえば・・・。

1.火星 戦争をもたらす者
2.金星 平和をもたらす者
3.水星 翼のある使者
4.木星 快楽をもたらす者
5.土星 老いをもたらす者
6.天王星 魔術師
7.海王星 神秘主義者

火星の出だし、打楽器が細かく刻む音と思っていたのは実は弦楽器奏者たちがコル・レーニョといって弓の棒の方で叩いている音だったとわかってびっくり。 演奏会に足を運ぶというのは本当にいろいろ学ぶ事も多いわけです!そして始めから終わりまでスペクタルなSF映画の戦闘シーンを思い浮かべる旋律で、ティンパニー等の打楽器、ホルン、テユーバ、トランペットなどの金管のくっきりとした咆哮は大迫力。 弦楽器も鳴らしてはいたけれど、金・打の波に飲み込まれてしまった感じでした。 でも火星はこのくらいでなきゃ~ね!
打って変わって金星以降は透明感のある弦楽器の音色が美しく響きます。 コンミスの千葉さんの音も線は細いけれど綺麗な音色でした。 
木星は中間部のあの美しいフレーズもいいけれど、弦とホルンなどで始まる出だしの、なんとなくわくわくしてくるような序盤が好きなのですが、ホルンのふくよかで厚みのある音色がとても良かった。 ホルンはどの惑星の演奏も本当に素晴らしかったです。
土星は低音の響きが曲に落ち着きを与えていて荘厳な感じ。 
フランスの作曲家デュカスの交響詩「魔法使いの弟子」の作風を取り入れたという天王星はここまでの他の5つの惑星とは全く雰囲気が違いますが、ファゴットのリズミカルでちょっとおどけたような音が特に印象的です。 この手の旋律はどうしてもファウストのワルプルギスに繋がってしまう(笑)。 
ミステリアスな雰囲気の海王星の前半はハリー・ポッターのような映画のBGMのようにも聞こえます。 後半から「アー」という女性コーラスが入りますが、ステージ上ではなくP席の裏側で歌っていたようです。 そのコーラスの声がだんだんと小さくなり、最後はコーラスの声だけになり十分な時間をかけてフェードアウトしながら曲が終わるのですが、演奏を聴いている側が7つの惑星旅行を終えて太陽系に別れを告げていくかのような気持ちになりました。 フライングの拍手もなくじっくり余韻を味わえたのもありがたかった。
曲を通じてシロフォン、チェレスタ、ハープが効果的に使われ、美しき宇宙の神秘と安らぎのようなものを感じたのも非常に印象的。
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