ハンブルグ・バレエ団「リリオム」 3月4日
2016/03/09(Wed)
ハンブルグバレエ団の公演は2005年の「眠りの森の美女」以来でした。 ノイマイヤー作品はバレエフェスなどのガラではいくつか見ていますが、抽象バレエなどは苦手意識がない事もなく、クラシック作品の読み替えというわけでもない現代作品「リリオム」を拒否反応なく見られるのか(しかも1幕は85分と思いもしなかったほど長い)若干不安もあったのですが、わりとすんなり作品に入っていけました。
ただ・・、2幕の終盤7場と重複するシーンがプロローグで演じられる事に対し、感動的なラストに繋がるシーンでもあるので物語の最後に一度だけ演じられる方がもっとピュアな感動があるような気がしてしまったのは、やはりノイマイヤーの緻密に練られた物語の構築を理解できていないって事なのかなぁ?

ノイマイヤーによれば、この作品は気さくな話だからこそシンプルな環境で演じられるべきとの事でしたが、さすがに回転木馬は実にリアルでそのまま遊園地で活躍しそうな精巧さ。 ネオンサインもありましたし♪ そして舞台奥に設えられた2階には北ドイツ放送協会のビッグバンドが配置され、さり気なくゴージャスな雰囲気(笑)。 

カーステン・ユングは、粗野で浅はかで不器用な生き方しかできないけれども本質的には弱く優しい人間というリリオムをこれぞはまり役とばかりに見せてくれたのではないかと思います。 私は映画「回転木馬」は見た事がなく、大雑把な粗筋や登場人物を知っている程度なのですが、素直にそう感じました。 演劇的な要素の濃い作品ですが、主人公のリリオムは踊るシーンも多くて、体力的にも凄くきつそうです。 
コジョカルも健気でいじらしく芯の強い娘ジュリーがよく合いますね。 ごく自然にジュリーになりきっているようで細かく揺れ動く心情がとてもよく伝わってきます。 とても印象的だったのが、リリオムが死んでしまった後、テーブルの上に安置されているリリオムに近づこうとするマダム・ムシュカートを制するように舞台奥で蝋燭を手に持ちじっと立ちすくむ姿。 まるで聖母マリアのような神々しさでした。 マダム・ムシュカートも立ち去るしかなかったですね。
テーブルに乗り安置された遺体を揺さぶりリリオムの死を受け入れられないジュリーの姿は痛ましいけれど、心を落ち着け、テーブルの白いクロスで遺体を包む気丈な姿も心を打ちます。 切ないシーンではあるけれど、手を差し出した死に際のリリオムとジュリーが互いの思いを分かち合えた瞬間でもあるんですよね。
そしてコジョカルもリフトを含め踊りが多かったですが、最後まで安定した磐石の踊り。 

マダム・ムシュカートのアンナ・ラウデールはバレエフェスで見て、好みな容姿でお気にいりになったダンサーですが、ジュリーと対照的に成熟した女性の魅力とちょっぴりすさんだ暗さをもつリリオムの愛人を好演。 長い手足をいかした伸びやかな踊りは意外にカラッとしたセクシーさなんですよね。 しっかし、リリオムとフィスカーが強盗を働く相手が原作とは違うマダム・ムシュカートだったのには少し驚きました。 ちょっと嫌な女だったが気の毒に思えちゃったし。  
リリオムとジュリーの息子のルイスを演じたアレッシュ・マルティネスは小柄なダンサーですが、その小柄な外見とエネルギッシュで軽快なダンスが16歳の少年という役柄にぴったり合っていました。 終盤でのユングとのユニゾンでは若干疲れが見えるユングよりも踊りにキレがあって安定していて上手かったです。 また、鬱屈として荒れていきそうな雰囲気と純粋さの2面性が感じられる演技も良かった。

この4人以外にも目を惹かれる役が多かったのですが、特に風船を持った男のサシャ・リーヴァは、あの世からこの世に遣わされてリリオムを見守り導く役をまるで無声映画の主役のような存在感で演じていました。 プロローグの冒頭でカラフルな風船の束をもち、上手からゆっくりと現れた全身白い衣装のこの人を見た時はてっきり遊園地のピエロかと思いましたが、とても重要な役だったのですね。 そしてリリオムとジュリーの悲しい運命の象徴のような哀愁を帯びた悲しいピエロのロイド・リギンズも素晴らしかった。
ジュリーの友人のマリーを演じた表情豊かなレスリー・ヘイルマンは回転などでも軸が全くぶれず、さすがプリンシパルの踊りといったところですが、最後のカーテンコールでコジョカルよりもいつも前に出てしまうのがけっこう気になりました・・・。 コジョカルが控えめすぎだったせいもありますけどね。
群舞も遊園地やマリーの結婚式など思ったよりは踊りが多かったです。 普通のワンピース姿でしたが、跳躍で舞台を横切るなどダイナミックな動きも要所要所にあり踊りがいがありそう。 でも、彼女たちが遊園地のスター?のリリオムにキャーと黄色い声を飛ばすのは個人的には好みではありませんでしたけど(笑)。
一番印象に残ったのは大恐慌時代に少ない職を求めて争う男たちを表現したダンス。 スピードと迫力があって見事でした。 仕事がない不満を訴える大きなプラカードを持ってゆっくりゆっくり前に進み出て独特の雰囲気を出していたのはサシャ・リーヴァでしたよね(すでに記憶が・・・)??

前半85分、後半55分という2幕物ではかなり長い上演でしたが、冗長と感じる事もなく物語に惹き込まれてあっという間でしたし、伝えきれず与えきれないままの愛がほんの一瞬だけれどもこんな風に実を結ぶという、切ないけれどほろっとするような幕切れがなんとも言えない余韻を残した作品でした。 ラストシーン、ベンチに座って心の平安を得たような微笑をたたえたコジョカルの表情は忘れられないですねぇ、きっと。 あの別れ際のキスはこの物語の中で最高にロマンティックなシーンでしたね!

ジャジーなサウンドとクラシック的なサウンド、生演奏と録音が使い分けされる音楽も良かったです。 マリーの結婚式でダンスの優雅な音楽に重なりながら次第に不穏なメロディー地鳴りのように響いてきてリリオムの悪事の予兆めいていたのも非常に印象的。 そして物悲しいリリオムとジュリーのテーマはけっこう耳に残りました。


                      


リリオム:カーステン・ユング
ジュリー:アリーナ・コジョカル
ルイス:アレッシュ・マルティネス
風船を持った男:サシャ・リーヴァ
マダム・ムシュカート:アンナ・ラウデール
マリー:レスリー・ヘイルマン
ウルフ:コンスタンティン・ツェリコフ
フィスカー:ダリオ・フランコーニ
水兵:キーラン・ウェスト
天国の門番:エドウィン・レヴァツォフ
内気な青年:アリオシャ・レンツ
悲しいピエロ:ロイド・リギンズ
エルマー:エマニュエル・アムシャステギ
幼少時のルイス:ヨゼフ・マルキーニ


指揮:ジュール・バックリー
演奏:北ドイツ放送協会ビッグバンド、および録音音源

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コメント
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M様

 私もあの冒頭のシーンは余計なのではないか、と思いましたが…。ミュージカル映画「回転木馬~カルーゼル~」でもビリー(リリオム)が星の番人に自分とジュリーの物語を回想するシーンから始まるので、その影響でしょうか。原作はユリとマリがマダム・ムシュカートに追い払われるところから始まりますが…。

 原作のリリオムは、オーストリア・ハンガリー二重帝国末期の下層階級の人間です。学歴も教養も何もない(劇場の観客のようには恵まれてはいない)、粗暴で余裕のない家に生まれ、人とはどうあるべきか、をろくに教えられた事もない人です。だから、生き方も不器用だし、愛情の表現方法も知らないのです。

 「回転木馬」の中で、ビリー(リリオム)は星の番人に弁解しています。「あいつの泣く顔を見てられないから思わず殴ってしまった。あいつの言うことが正しいから、殴るしかできなかった。」

 これは別に生活にあえぐ男女でなくてもあてはまりそうですが…。男と女の真理、という気がします。まぁ、リリオムって、優しさと乱暴が共存する、男性性がかなり極端に現れた人なんですねぇ。

 ジュリーとリリオムが一緒にいたのは2ヶ月ほどでしたが、期間の長さではなく、ジュリーは本当に、心からリリオムを愛していたのでしょう。それほど愛することができる相手とめぐり合えるというのは、稀なことでしょうね。

 それにしても、「殴られるのは抱擁されるのと同じ」というのはやっぱりかなり特殊なものなのでしょう。普通ならないですね。
 社会が絶望的な状態(二重帝国はどうするすべもなく崩壊の寸前にありました。ルドルフ皇太子は心中しちゃいましたしね。)にあり、ましてや下層階級には何の展望もありませんでした。

 そんな中で、不器用な男女がそういう形でしか表せなかった愛情…とでも言うのでしょうか。愛に感動する、とは素直に言いにくい、でも心をつかまれるのはそんなところにあるのかもしれません…。

 いろいろ原作とは違っており、「あれ?」と思うところも多かったですが、ノイマイヤーは独自の世界観で、この物語に新しい命を与えていた、と思います。

     MIYU

 

 

2016/03/10 22:03  | URL | MIYU #-[ 編集]
-  -
MIYUさん、

MIYUさんのように原作が細かいところまでしっかり頭に入っていると、バレエ作品では表現しきれていないバックグラウンドが分かってすんなり納得できる部分と逆に不自然に感じられたりするところが出てきてしまうのですね。
原作で描かれるリリオムとジュリーのような境遇の人たちは世界中にたくさんいて、日本も例外ではありませんよね。
「あいつの泣く顔を見てられないから思わず殴ってしまった。あいつの言うことが正しいから、殴るしかできなかった。」という男性独特の、あの当時ではごく当たり前のような意識はよく分かります。 女性側の「殴られるのは抱擁されるのと同じ」というのは仰るとおり特殊な感覚だと思いますが、 男性的には、抱きしめたいのに、何かそれがみっともなくてできなくて・・・という裏腹な行為が「殴るのと抱擁するのは同じ事」というのは分からなくもないですが・・・(苦笑)。 現代ではそういう感覚は薄れていますが、そういうところをつつかれた作品だったのかもしれないですね、本当に。
日本でもこの作品を舞台作品として上演しているようですが、若い頃の柴田恭兵さんなんかが演じたらすっごくはまったんじゃないかなぁぁなどと思ってしまいました。 彼の「チンピラ」は見ていないのですけど・・・。

2016/03/11 08:37  | URL | M #il9tusdg[ 編集]
- 時間が経ってしまいましたが・・・ -
M様、MIYU様、はじめまして!
バレエを観るのが大好きなのですが、あまり詳しくはありません。
やっと少しはわかるようになりかけ・・・という感じです。
歴代ダンサーでは、バリシニコフ、デュポン、コレーラが好きでした。
現役ではラントラートフが好きです。女性ではコジョカル!

今回のハンブルグバレエは、小学生の時にあすなひろしさんの漫画でリリオムを読み、何故かしっかり心を掴まれてしまって、高校生の時は文化祭で自らジュリーを演じ、回転木馬の映画、宝塚、ミュージカルの舞台も、機会があれば逃さず観てきた私にとっては特別な公演!!!
思い切って3日ともチケットをとりました。(お高いのでかなり勇気がいりました!)
数年前の「アリーナコジョカル・ドリームプロジェクト」で、ベンチのパドゥ・ドゥを観て感動し、期待は最高潮でした。

コジョカルとユングは、まさに皆さんのおっしゃるとおり、文句なしのはまり役だと思います。
ただ・・・やはり冒頭のシーンはない方がいいと、私も思いました。
おっしゃるとおり、ラストの感動が薄れますよね。ノイマイヤー初心者で、大衆派の私には、理解力が足りないのかなぁ?
「椿姫」には、心底感動したのですが。

ルグランの音楽は決して悪くはないのですが、ノイマイヤーはなぜロジャースの音楽を採用しなかったのでしょうか?
理由が知りたくて、三浦雅士さん、プレトークでそれを聞いてくれないかなぁ、と、念じてみたけど話題に上りませんでした。何故?何故?気になって仕方がないのは私だけですか?
コジョカルも、出演の話が出る前に回転木馬の映画をヨハン・コポーと観たときに、主題歌の美しさに涙を流したとダンスマガジンのインタビューで語っています。(もちろん、それとは別に、今回のルグランの音楽は絶賛していましたが)
私は、是非ロジャースの曲を使ってほしかったです。
あの美しいメロディーを使えば、もっと感動の渦にひたれたと思います。
ルグランの音楽(何度も繰り返されるテーマ)も、ジャズバンドとのコラボもよかったですが、ロジャースの「If I loved you」は、やっぱり使ってほしかったです。
真夏の夜の夢では異なる作曲家の曲を採用しているのですから、できるはずなのになぁ・・・と。

全体に暗いトーンで独特の世界観に包まれている舞台で、おそらくそれがノイマイヤーの表現したい色合いでもあるのでしょうが、冒頭の遊園地のシーンだけは、そこに生きる人々の生命力をもっと鮮やかに描いて、明るく躍動的であってほしかったな、と思いました。
それこそジャズバンドのサウンドを効果的に用いて、リリオムと、彼に群がる娘たちの華やかで迫力ある群舞が見たかった!(黄色い声を飛ばすのはいただけないと、私も思いました。)
労働者の群舞はよかったです。主役二人のシーン以外では、唯一心躍りました。

カースティン・ユングは本当に魅力的で、リリオムのキャラクターとしては申し分ないし、個人的にはとても好きなダンサーですが、現役モテモテの人気者、という設定に対しては、もう少し若かったらよかったなぁと・・・
M様の、柴田恭平さん説には私もイメージ的に賛成です。東宝の回転木馬で石川禅さんと宮川浩さんがWキャストで演じるビリーを観た時に、なんか違うなぁと・・・まさに柴田恭平さんとかの方がよかったのでは?と思ったりしたものでした。(石川さん、宮川さんは、今の方が味が出て、とてもカッコよくなられましたけど。)
ルイスを演じたアレッシュ・マルティネスは、ダンサーとしてのテクニックは素晴らしかったですが、もっと少年の繊細な心理状態を表現できる、色気のあるタイプのダンサーで観てみたい、と思いました。

なんだか、巨匠ノイマイヤーに向かって生意気な素人がほざいてるわ~状態でごめんなさい。
期待が大きかっただけに、コジョカルとユングがはまり役だっただけに、全体として体が震えるような感動が押し寄せてこなかったのが残念で・・・その理由としては、やはり音楽とが弱かったかなぁ(メロディーの美しさが・・・ロジャースのメロディーが素晴らしすぎるだけに、どうしても思ってしまう・・・)とか、構成に求心力が足りなかったかなぁとか、群舞シーンが物足りなかったなぁとか・・・思ってしまうのでした。

ちょっと手直しして、ロジャースのナンバーも取り入れて、再来日してくれないかしら~
ノイマイヤーさん、言いたい放題ですみません。

リリオムとユリの生きた時代が、オーストリア・ハンガリー二重帝国時代だったとは、MIYUさんの文で初めて知りました。そうだったんですね。
ハンガリー語は日本語と文法が似ていると聞いたことがおります。
そんなところからも、この物語にご縁を感じてしまいます。
でも、「叩かれても痛くない、まるで温かい心臓に触れたみたいな感じ・・・」とは、ロマンティックすぎて、実感できないからこそ、その純な愛に憧れるのかも知れません。
そう、漫画を読んだ、あの小学生の日から今に至るまで・・・。
2016/04/05 02:33  | URL | KEIKO #-[ 編集]
-  -
KEIKOさん、

はじめまして。 以前KEIKOさんというお名前でコメントをいただいている方とは違う方とうい事でよろしいのですよね?
コメントをありがとうございます。

歴代ダンサーでバリシニコフ、デュポンがお好きという事は長くバレエをご覧になっていらっしゃるという事ですね~。
ラントラートフは私も好きで、ボリショイのプリンシパルとしての今後の活躍を楽しみにしているダンサーです。

KEIKOさんはご自分でも演劇の経験がおありとの事でまた舞台を見る目も違うのでしょうが、殊思い入れの強い物語となるとハンブルグバレエ団の「リリオム」に対する期待も私のそれとは比べ物にならないほどだったのでしょうね。 
残念ながら私は「回転木馬」を見ていないので劇中のロジャースの音楽の魅力は分からないのですが、KEIKOさんがおっしゃるほどに素晴らしいのであれば、逆に余計にノイマイヤーは別の音楽を作りたかったのではないでしょうか? 音楽で別の作品のあるシーンが蘇ってしまえば、ノイマイヤーの「リリオム」にはならなくなってしまいますものね。 

ハンブルグバレエは今回7年ぶりの来日だと思いますが、ノイマイヤーの作品を上演するにあたり他のバレエ団では表現しきれないノイマイヤーの作品の世界を彼の思いのままに観客に見せる事のできるレベルの高い素晴らしいバレエ団なので、NBSの招聘になった事ですし、今後は数年に一回くらいの頻度で来日公演を行って欲しいですね。
2016/04/05 23:03  | URL | M #il9tusdg[ 編集]
- liliom -続き -
M様

コメント頂けて嬉しいです、ありがとうございます!

同じ名前の方がいらっしゃるということですので、小文字に変えてみました。


なるほど、名曲だから敢えて使いたくなかったという考え方、確かにありそうですね。

ましてやジョンは (あれ、どれだけ親しいの?)
アメリカ人ですから…

というのは、アメリカでは「ミュージカルCarousel(回転木馬)」のナンバーはかなり庶民に浸透している(おそらくウエストサイド並に?)らしく、フィギュアスケートの往年の王者、ボイタノも試合で使っていましたし、ジャック・ニコルソンが「心みだれて」というメリル・ストリープと主演した映画の中で、なにげにメロディーを口ずさんでいたりもしましたから。

私は、日本では知らない人の方が多いけど、アメリカではこんなにポピュラーなんだ、と嬉しく驚いたものでした。
ちなみに、シナトラや、バーブラ・ストライザンドもレコーディングしていますし、ヒュー・ジャックマンも歌っていますよ!


私のバレエ歴(?)ですが、ミーシャには映画館で出会い(3作とも公開時に観ました)、アンヘルは友人宅のwowwowでアリを見て惚れ込み、You-tubeで観まくり、パトリックはYoutubeで出会い、自伝を読み、上野の資料室でレーザーディスクをあさり…

デュポンとは同世代なだけに、生の舞台を観るチャンスがなかったのは残念です。

そんな感じで、本物の舞台にたまにでも足を運ぶようになったのは、ここ数年の話でして…
(初めて観たのはサンクトペテルブルク・アカデミー・バレエのくるみ割り人形。2009年10月、川口リリアホールでした。)

最近ようやく、各バレエ団の特徴とか、ダンサーの名前などがわかり始め、バレエ雑誌やブログ等を読んでも、ほんの少しだけ話題について行けるようになってきたかな~、という感じです。

ノイマイヤーは、椿姫(オベラ座のDVDと、ボリショイシネマ)を観て、クラシックなのに、こんなに心理描写が振りで表現できるんだ!と感動しました。

ラントラートフは、ボリショイシネマの「じゃじゃ馬慣らし」を観て、ぞっこんファンになりました。
あ、彼のリリオム、観てみたいです!
曲はやっぱりロジャースで。(しつこい!?)


ミュージカル「回転木馬」のお話を少しさせて下さい。(長くなってすみません。)

1945年のブロードウェイ初演版の時から、劇中ワンシーンだけ、ルイーズ(リリオムの娘)が行きずりの男と踊るバレエがあります。

1992年のロンドンウエストエンドでの再編版では、バレエシーンの振り付けはケネス・マクミランでした。
1995年に東宝ミュージカルで上演された際にはトリプルキャストで、ルイーズは宮内真理子さん、下村由理恵さん、渡辺絵美さん。
男は、森田健太郎さん、大寺資二さん、李波さんが踊られています。

(あ、そうだ、生でバレエを観て感動したのはこの時が最初でした!)

数年前に富山県で上演されたプロジェクトでは、岩田守弘さんが、ご自身の振り付けで踊られたそうです。

こちらに、ロンドン版のバレエシーンの映像があります。
「泥棒の子」と苛められ、友達がいないルイーズが、行きずりの男に束の間心を預けて踊るバレエです。
音楽は、この作品のナンバーを組み合わせており、後半が、かの有名な美しいナンバー「If I loved you」です。

http://www.youtube.com/watch?v=j-prii18M0I&feature=related

泣いているルイーズに声をかけ、星を渡そうとしてぶってしまうビリー(リリオム) そこにジュリーが…

http://www.youtube.com/watch?v=-LhnhiW6cqQ&feature=related

ビリーもジュリーも、容姿的にはえへへ…?ですが…演技は素晴らしい。
ミュージカルとは言っても二人は踊らないし、歌唱力と演技力で人選した結果なんですね。

ノイマイヤーは、リリオムが自分自身を投影するために、産まれた子は息子に変えることが必然だった、と語っていますが、ミュージカルでは娘であることが必然、という作りになっています。
ジュリーが身ごもった時、ビリーは単純に喜び、息子が生まれたら、泳ぎ方もケンカの仕方も女の口説き方も教えてやる!と張り切ってはしゃぎ、「Soliloquy(ひとりごと)」という長いナンバーを歌います。
その後半、ふと、いや、女の子だったら?と、思いを馳せるのです。
…娘だったら、俺は何をしてやれるだろう?
ジュリーのように、俺のような男に掴まって、みすぼらしい一生を送るしかないのか…
女の子だったら綺麗な服を着せて、ちゃんとした暮らしをさせてやりたい、惨めな思いはさせたくない!娘には!
・・・この思いが、彼に犯行を決意させてしまうのです。

しかしこの世に戻ったビリーが目にした娘は、まさに貧しく、孤独でした・・・


長くなってごめんなさい、お付き合いいただいてありがとうございます。
これから、M様の過去の記事もゆっくり読ませていただいて、楽しませていただこうと思っています。

keiko




2016/04/17 11:32  | URL | keiko #-[ 編集]
-  -
Keikoさん、

お返事遅くなりすみません。
まずはハンドルネーム、お気遣いいただきすみません。

前回コメントをいただいた時には「回転木馬」に本当に強い思い入れがおありなんだと思いましたが、もう「愛」以外のなにものでもないというくらいの大切な作品なんだなぁと改めて感じているところでございます。
回転木馬の子供が女の子であった必然を男の子に変えたのもノイマイヤーのストーリー構築のためなんですね。
ご紹介いただいた動画はGWなど時間のある時にゆっくり拝見させてもらいますね。

さて、初めて生のバレエ舞台をご覧になったのはアカデミーバレエの2009年のくるみとの事、とっても親近感を抱きます♪ ペテルブルグのバレエ団ですしね!
私はその年のアカデミーの公演は見逃してしまったのですが、彼らのくるみは昨年末に見る事ができました。
日本は幸いにして海外から多くのバレエ団が公演のために訪れてくれますし、ジャンル的にも幅広い作品を見ることができますので、興味のあるものを見ていくうちに意識せずして好みのバレエというものがわかってくるような気がします。 
私は基本的にはロシアのクラシックが好きですが、最近はバレエらしい表現をしてくれるダンサーによる演劇的なバレエも大好きになりました。 今は6月に来日予定のロイヤルバレエのロミジュリとジゼルを楽しみに待っているところです。

私の観賞日記がご高覧に堪えるものかどうかはわかりませんが(笑)、バレエ団のダンサー名簿代わりにはなるかもしれませんので、お時間のある時にいじってやって下さい。
2016/04/19 22:59  | URL | M #il9tusdg[ 編集]
-  -
 Mさんとkeikoさんのやりとりを、今日になって読ませていただきました。

 音楽の件につき、私もMさんに賛成です。ノイマイヤーは自身の作品創りにこだわったのだ、と思います。あのミュージカルは本当によくできた作品なんですよ。ロジャースの音楽も人の心をとらえて放さない特別なものです。

 だからやっぱり、あれを使ってしまうと、あのミュージカルにのまれてしまう可能性があまりに大きいのでしょうね。

 "If I loved you" "You'll never walk alone"の2曲は特に心をつかまれる曲です。後者はサッカーのリバプールやFC東京の応援歌になっていますので、知っている人も多いのではないでしょうか。

 ノイマイヤーさんは本当に独特な作家さんだと思います。そして言葉のないバレエならではの世界はとてもすばらしかったです。しかし、歌のうまい人が歌えば、あのミュージカルは本当に素晴らしいんで、ノイマイヤー作品はちょっとばかり分が悪いかも…。

 ところで、チューリップですが、乙女桜とグリーンの背の高いものの組み合わせは素敵ですね。あれも植えてみたいです。アイスクリーム案も捨ててはいないのですが…。

 ついでにロイヤルの話題ですが、ロンドンでの高田茜さんのジゼルは大絶賛!結局、代役も含めて計4回踊りました。今までは高田さんを評価しようとしなかった掲示板にも、「彼女はまさにジゼルそのものだったんだ!今年の公演では、彼女のジゼルが一番よかったと思うよ」という意見等、好意的なものが多数寄せられていました。

 ああ、私も見たいなぁ…。

 これなら追加公演はあるかも? いや、もしダメでも、オシポワが降板しそうなので、その代役は高田さんかも? その可能性を信じて、私はオシポワの日を選んだのですよ…(深読み)。ついでにローレンも降板の多い人ですし。
 しかし、謎の6月23日は一体どういう事なんでしょうね。なんであそこだけあいているのかな~。

 そして、今のところ、ラウラ・モレーラ以外は、みんな元気ですよ~。フェデリコなんかマックレーを高々とリフトしてましたものね~。

   MIYU


 
2016/04/21 01:37  | URL | MIYU #-[ 編集]
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MIYUさん、お返事遅くなってすみません。

MIYUさんと keikoさんのお奨めの「回転木馬」、こうなったら私も見なくては!!なのですが、正直に白状しますと、わたし、ミュージカル映画がめっちゃくちゃ苦手なんです・・・。 なのでアカデミー賞受賞の「レ・ミゼラブル」もあの役者陣にものすごい興味をそそられたのですが躊躇してしまって見られていない状態で・・・。 なんとかこの苦手意識を払拭したいのですが、これがなかなか難しくて困っています。

四月も下旬に入り、チューリップの季節も終わりつつあり、ちょっと淋しいです。 赤、桃、橙、黄の賑やかな色の中であのスプリンググリーンはとても爽やかな雰囲気を与えてくれて私も大好きな品種です。 是非MIYUさんも植えてみて下さい。 チューリップは早晩咲きでかなり開花時期が違ってしまうので組み合わせを考えるときは色や背丈の他にそこにも注意をするようにしていますが、あれこれ考えて球根を揃えていくのも楽しいです♪

本当に待ち遠しいロイヤルの公演ですが(本当に23日は謎ですよね。どこぞの貸切??)・・・、やだ~~、そんな恐ろしい事言わないで下さいよぉぉ~。 もしローレンが降板したらパートナーのボネッリまで出演中止になりそうじゃないですか・・・。 ボネッリも今回が最後かなぁと思っていますのでそんな事になったら辛すぎます・・・。
しかし、バレエでフランケンシュタインってのも凄いですよね。 ボネッリとマックレーを一緒に見られるなら見てみたいです♪
高田さんも順調にプリンシパルへの道を歩んでいるよな感じですね!
2016/04/23 15:28  | URL | M #il9tusdg[ 編集]
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M様、MIYU様、こんにちは!

MIYU様は、原作のリリオムにも、ミュージカル回転木馬にも詳しいのですね。
M様がミュージカル苦手、とおっしゃる気持ち、なんとなくわかります。
私はミュージカルにわりと親しんできたタイプですが、ドウニカナラナイモノカナ・・・、と思うときがあります。特に日本人キャストの公演の場合・・・
もちろん、歌唱力やダンスの実力に劣る日本人キャストでも、めちゃくちゃ感動する作品もあります。当たり外れが大きいと言ったところでしょうか。(やや外れが勝つ?)
先日ご紹介した動画は、ルイーズのバレエシーンが6分11秒、ビリーがルイーズをぶってしまい、ジュリーがビリーの気配を感じるラストシーンが5分24秒、と、短いので、お時間があるときに、気軽にご覧になってみてください。
それから、日本公演のキャストのひとり、渡辺「美咲」さんのお名前を間違って記載していました、ごめんなさい。(絵美さんはスケーターですよね(^_^;))
余談ですが、ルグランは、バーブラストライサンド主演の映画「イエントル」の音楽も担当していたのですね。あの音楽は、大好きでした。

さて、サンクトペテルブルク・アカデミーバレエ、2009年のくるみ、主演は、スヴェトラーナ・スミルノワでした。プログラムの写真が、髪のほつれも気にしない、表情も硬い、証明写真のような写真で、しかも舞台上でも全く微笑まない・・・なのに可愛い!魅力的!という第一印象。(いかにも素人の感想ですが)マーシャの純粋な少女らしさが、愛想笑いをしないことで強調されていたと思います
人数も少ないし、出演者一人一人が人間臭くて、容姿端麗な若い方、ばかりではない、というところが、「あ、みんな踊って生計を立ててるんだ!」と感じさせてくれる、生バレエ初心者の私にも親しみやすさを感じさせてくれるバレエ団でした。
ドロッセルマイヤーは客席に向かってのサービス精神も満々なエンターティナーでしたし、王子はうっかり転んでもニコニコしてて、さわやかで天真爛漫な若さあふれるダンサーでした。
すっかり気に入って、(昨年は見送りましたが、←ハンブルグバレエの前売り券でお金使い果たしてたので・・・)2011年のティアラこうとうの白鳥、杜のホールはしもとのロミオトジュリエットも観たんですよ。
ティアラこうとうは、Mさんもいらしてたんですね。
スミルノワの白鳥、よかったですよね。ミーロフの王子も、いかにも育ちの良いお坊ちゃまぶりが、可愛かったです。
ロミオとジュリエットも、ペトゥホフ氏の振付だそうですが、フランス版ミュージカルのように「死神」が随所に出てきたり、マキューショーが女装してティボルトを誘惑してからかったり、ユニークな演出で魅力的な作品でした。
マールイからプハチョフさんとエリマコワさんが移籍されたんですね。
ルジマートフのドン・キを観たときに、ひざを痛めていたルジに代わってバリエーションだけプハチョフとシヴァコフが踊り、それがとても自然な演出でさりげなくて違和感がなかったことに感心したのを覚えています。
サンクトペテルブルク・アカデミーバレエ団のカラーも、年々変化していくのだろうなぁ、と感じました。次回はまた、是非足を運びたいです。チケットが以前より高額になってしまった印象はありますが・・・。

話は変わりますが、チューリップ、美しいですね。うちのプランターには、一昨年静岡県から頂いたすみれがあり、とても丈夫で元気なのですが、葉っぱが茂りすぎて、花がちょっぴりになってしまいました。きっとちゃんとしたお手入れの仕方があるのでしょうが・・・へたに素人がいじっても枯らしてしまいそうで、そのままそっとしています。

お二人とも、ロイヤル行かれるんですね!私は、フェリとアナニアシヴィリを生で見たことがないので、オールスターガラに行きたいなぁ~と、迷い中です。
2016/04/24 17:05  | URL | keiko #-[ 編集]
-  -
keikoさん、こんばんは。
またまたお返事遅れてしまってすみません。

ミシェル・ルグランは本当に素晴らしい映画音楽を数え切れないほど作曲していて、その道の大家という印象です。 今ちょっと調べてみて劇場版「ベルサイユの薔薇」の音楽にも携わっていたとあってびっくりしているところです。

アカデミーバレエのスミルノワは昨年末のガラでも見ましたが、相変わらず超新人類的なプロポーションで脚が長すぎます(笑)。 あんなに脚が長いと体のバランスを保つのはけっこう大変なんじゃないでしょうかね?  昨今はどのバレエ団でもダンサーの出入りが激しいというか・・・、気に入ったダンサーがいてもすぐに他のバレエ団に移籍してしまって見られなくなってしまうというような事も多いので、スミルノワのように長く同じバレエ団で見られるダンサーがいると、それだけでなんとなく嬉しい気持ちになってしまいます。
2011年の来日公演では「ロミオとジュリエット」は見られなかったのですが、なかなかユニークな演出なんですね。
おっしゃるとおりアカデミーバレエもマールイから実力者のプハチョフやエリマコワが移籍して、周りのダンサーたちにも良い刺激になっていると思いますし、来日のたびに良い変化が感じられるのではないかと期待しています。 早ければ来年また来日できるかもとの事でした。

Keikoさんのお宅ではすみれなんですね。 土や肥料にチッソ分が多くなると葉ばかりが成長してしまうようです。 植物も土、水、日光といろいろなものに影響されるのですよね。
2016/04/27 22:39  | URL | M #il9tusdg[ 編集]
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