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ミハイロフスキー・バレエ「ローレンシア」 1月5日
2016/01/31(Sun)
もうすぐ公演が終わって一ヶ月になってしまいますが、何年か経った時に振り返ってその時の感想が全くなかったりキャストを残しておかなかったりすると淋しいものがあるので、新鮮味は全くありませんが、最近得意の(笑)備忘録として。

ローレンシアはメッセレルが振付家ワフタング・チャブキアーニの生誕100年を記念して復刻し、2010年6月にサンクト・ペテルブルグでプレミア公演が行われました。 ロシアで大好評を得た一ヵ月後の7月にはロンドン公演でも上演し、やはり大成功で観客と関係者に大いに評価されたという作品です。 私はその年の10月、ペテルブルグに行った際にペレン&プローム主演で2度見る事ができました。
その時の物語を追った感想がこちら(1幕)とこちら(2幕)。 さらに現地で一緒に見たうみーしゃさんの2日分の感想がこちらです。 今回はこんなに詳しくストーリーを追いながらの感想は書けませんので、その辺にご興味のある方、よろしければお読み下さい。 


すっかり忘れていましたがオープニングで緞帳にチャブキアーニのローレンシアのフィルムが投影されるのでした。 チャブキアーニへの敬意が込められた作品ですしね。
1幕の舞台の雰囲気はのどかな山村の牧歌メルヘン的とでもいうのか、ジゼルっぽい雰囲気もあるけれど色彩がもっと鮮やかです。
ヴァイオリン弾きのメンゴと村の女の子たち16人の踊りもとっても華やかで舞台上が一段と明るくなりますねぇ。 もうちょっと揃えて踊ってくれると尚よろしいのだけれど音のとり方も首や腕の角度もそれぞれバラバラで各自が自分の踊りたいように踊っているという感じ。 白鳥ですらあれほど揃わないんだから何をか言わんや。 続くメンゴとローレンシアの友人パスクアラの踊りはモロゾフとミリツェワちゃんで息もぴったりに幸福感溢れてます。 ミリツェワちゃん、ヴァリはけっこう難しい振付の踊りだと思うけれど、ここ数回の来日では一番調子がいいのではと思わせるほどの絶好調ぶりでキラキラぶりも半端ない。 年齢とともに衰えちゃうのかな?と思っていたダンサーの見事なまでの復活ぶりを見られるのは本当に嬉しいですね! 彼女は演技も的確で上手いし。
フロンドーソのワシリーエフは新春ガラで免疫ができているので、1幕の黒い衣装では全く違和感なし(笑)。 色の持つ効果って本当に恐ろしいんだわねー。 最初から飛ぶは回るは跳ねるはと飛ばしまくりのダンスです。 ローレンシアのペレンは髪型が可愛い(ローレンシア役のデフォルトのようですが)。 彼女のソロはアップテンポな他の人たちとは違いゆっくりな音楽でエレガントに。 でももうちょっと動きにケレンとか強いアクセントが欲しかった。 で、見た目2人がお似合いのカップルとは言い難いですが、まー、世の中こういう恋人同士もいるよねという感じで、ふたりの演技は良かったです。
そこへ騎士団団長のグズマンが部下の兵士を連れて現れ、平和で楽しい時間に水を差す。 筋金入りの冷徹男というか、ともかく村人の事はどうあしらおうと自分の勝手というようにしか思っていない横暴な男。 ヴェンシコフは役者ですから嫌な役なら徹底的にそこを極めるという感じで見事なもんです。 美しいローレンシアに目を留めて連れ去ろうとするけれど、パスクアラとフロンドーソに邪魔をされてしぶしぶ去って行く。  

第2場の始まりは水場で選択などというさらに長閑なシーンで、2人っきりになったフロンドーソがローレンシアに猛アタック。 それでもローレンシアにとっては決定打とならないのか、はぐらかすんですよねー。 ワシリーエフにはペレンは身長が高すぎますが頭上リフトなども危なげなく、なかなか息の合った踊りでした。 ローレンシアが一人で洗濯をしているところに現れたグズマンが彼女に言い寄り襲い掛かかって万事休す。 そこへフロンドーソが戻って来てボウガンでグズマンを脅しローレンシアを助け出す。 
その後洗濯にやってきた村娘たちは洗濯はそっちの気でなにやら踊りに夢中になっている。 彼女たちにせがまれて踊りの手本を示すパスクアラ。 ミリツェワちゃん、先生目線の踊りも堂に入ったものでした。 そこにハシンタが走ってやって来てグズマンたちに追われている事を告げる。 娘たちは慌てて逃げ出すけれど遅れたハシンタがつかまってしまう。 メンゴが助けようとするけれど殴り倒され、ハシンタはグズマンの手下2人に連れ去られる。 ヴェンちゃんにしろ、ツァルやマスレンニコフだってこんなシーンはありがたくないんだろうけど役に徹するしかないですからね・・・。 そういえば、ツァルはここはちょっと間の抜けた部下という設定にしていたのか、衣装の下にタオルでもまいてた? ちょっと丸く太ってのろまな奴に見えましたが、気のせいかな??(それはそれで問題だけど・・・笑) 
ローレンシアたちが大勢の村人たちを連れて来る。 パスクアラがメンゴを介抱し、ローレンシアはグズマンから自分を救ってくれたフロンドーソに結婚を承諾し、2人を祝福する村人たちとともにあたりは幸福な気分に包まれる。
そこへ・・・、髪は乱れ引き裂かれてズタズタになった衣服のハシンタが放心状態で戻ってくる。 何が起こったのかをすぐに理解した村人たちには彼女にかける言葉もなく、ただその場に佇むしかない。 ハシンタの絶望と怒りと悲しみのダンス。 華奢なソボレワの全身からハシンタの感情が痛いほどに伝わってきた素晴らしい踊りでした。 感情のままの激しい振りだけれど体の軸がしっかりしていて非常にエネルギッシュなんですよね。 ソボレワって折れそうなくらいの細いラインとお顔立ちから薄幸気味のキャラがとても自然に似合う。 
山すその洗濯場でヒロインがあわや強姦されそうになったり、一転恋人からのプロポーズを受け入れたり、果ては陵辱された村の娘の悲劇を目の当たりにしたりと、見ている側としてはなんとも気分の落ち着かない物語の展開です。 


そんな1幕の重暗いエンディングにはお構い無しに明るく華やかに開ける2幕はローレンシアとフロンドーソの婚礼の宴。 まぁ、それなりの時間が経ったと思いましょう・・・。  
祝宴は、すでに出来上がっているようなローレンシアとフロンドーソのお父さんたちの踊りから。 ペトゥホフは白鳥でも家庭教師役でしたが、クズネツォフももうこういう役を任されるようなベテランになっちゃったんだなぁぁと。 短いけれど、ご機嫌な酔っ払いぶりもさまになった楽しいダンスでした。
フラメンコダンスのオマールとカシャネンコのラテン系(←踊りです)鉄板ペアは、ほんと、かっこいいです。 動きも大きく情熱的でラインも綺麗だし。 セミョーノワも魅力たっぷり! そしてカスタネットダンスのマラさんの変わらぬクラシックラインの美しさ。 特に腕のラインがどんな時でも本当にエレガントで美しい。  
主役登場のパ・ド・シス。 やはり、白い衣装もお顔も爽やかにエレガントラインのヤフニュークとレベデフが両隣にいると、ワシリーエフからは自然と目が離れてしまいます。 ザパスニコワとオガンネシアンは安定した出来でサポートを受けてのピルエットも気持ちのいい速さでした。 ペレンももう少し切れよく回ってくれるともっと雰囲気が盛り上がった気がしますが・・・。 ただ、存在感というか華やかさはやはり別格のものがありますね。
パスクアラのソロ。 絶好調のミリツェワちゃんがここでもキラキラ。 レベデフとヤフニュークは高い跳躍でのザンレールが2人とも綺麗でまさしく目の保養。 レベデフは身長が伸びたのかなとなんとなく感じましたが衣装による目の錯覚かなぁ?
続くワシリーエフは観客の視線をいっぺんにかっさらってしまうような圧巻のソロ。 以前よりもさらに肉が付いて膨張色の白い衣装の彼は決して美しくは見えませんが、自分のダンススタイルの真骨頂を見せるんだとばかりに高いジャンプ、切れがある高速の回転、540など、場に相応しいパフォーマンスを見せてくれて大盛り上がり。 お父さんたちの踊りをぐびぐびお酒を飲みながら見ているフロンドーソはちょっと品がなさすぎ・・・と思ったりもしましたが、こういう真面目で一生懸命な姿を見ると嫌いになれないダンサーだよなと改めて。
ペレンはキックジュテとピルエットの連続が見事でした。 高さが十分にある跳躍で後ろ足が頭につきそうなくらいの柔らかさ、そして着地がとても滑らかで静か。 
そんな祝宴ムードも最高潮のところへ、グズマンと部下が現れ、力づくでフロンドーソとローレンシアを連れ去る。 2人を助けたくともグズマンが恐ろしく何もできない村人たち。

夜になり、村人たちが一人2人と集まって来る。 娘と息子が心配でならないエステヴァンとファンの姿も。 それぞれが斧や鎌を隠し持ち、グズマンたちを倒してローレンシアとフロンドーソを助けに行くべきだと気持ちを奮い立たせようとするけれど、いざ城の側まで来ると恐ろしさに躊躇してしまう。 そこへ汚れてずたずたにされたウエディングドレス姿のローレンシアがよろけながら戻ってくる。 屈辱と悔しさと悲しみで気が狂う寸前のような彼女だったけれど、村人たちが怯えて躊躇している様子を嘲笑っているうちにこみ上げてきた怒りにまかせて彼らに決起するよう促す。 女たちも集まってきて村人たちはついに意を決して城へ向かう。 ガンガン鳴り響く勇壮な音楽に押されるように、何かがのりうつったような鋭い目つきで民衆を煽り続けるペレンの踊りが迫力十二分で凄かった。
場面転換の間、下ろされた緞帳にチャブキアーニの作品で村人達が城内に雪崩れ込んでいく様子が映し出されます。
武器を振りかざしながら勢いよく城内に走りこんで来た村人たちはあっという間に城を占拠しフロンドーソを救い出す。 グズマンは財宝を渡すから見逃してくれとローレンシアに頼むも拒絶され、フロンドーソと剣を交えるうちに男達に囲まれあっけなく殺される。
勝利を祝うフロンドーソの踊りもジャンプありピルエットありマネージュありで最後の最後まで見せ場が続き、ダンサー冥利につきるのかもしれませんが、つくづく体力的にキツイ役。 ワシリーエフはこれっぽっちも疲れを見せずさすがのパフォーマンスでした。  ペレンも最後にピルエットの見せ場をしっかりと、そしてその後に全員を先導するようにして踊る勝利のダンスも気迫十分。 力強く上げられた腕に自由と平和を得た喜びをこめたローレンシアの姿が自由の女神ばりにかっこ良かったです。


物語的には不快感なしでは見られない内容ですが、主役、準主役が踊りまくり、魅力的なディヴェルティスマンもあり、大団円的に盛り上がるラストもあり、マールイの大勢のダンサーたちがその実力を発揮できる演目である事は確かです。 そして1回だけの公演のために舞台セット一式を持って来て上演してくれたバレエ団にはやはり感謝です!





ローレンシア(エステヴァンの娘): イリーナ・ペレン
フロンドーソ(ファンの息子): イワン・ワシリーエフ
ドン・フェルナン・ゴメス・ド・グズマン(カラトラヴァ騎士団の団長):ミハイル・ヴェンシコフ
パスクアラ(ローレンシアの友人):タチアナ・ミリツェワ
ハシンタ(村の娘):アナスタシア・ソボレワ
メンゴ(ヴァイオリン弾きの農民):デニス・モロゾフ
エステヴァン(フエンテ・オヴェフナ村の議長):アレクセイ・クズネツォフ
フアン(フエンテ・オヴェフナ村の議長):ロマン・ペトゥホフ
フロレス(騎士団の兵士):パーヴェル・マスレンニコフ
オルトゥノ(騎士団の兵士):ウラジーミル・ツァル
パ・ド・シス:イリーナ・ペレン、イワン・ワシリーエフ
       ワレーリア・ザパスニコワ、アスティク・オガンネシアン
       アンドレイ・ヤフニューク、ヴィクトル・レベデフ
カスタネット・ダンス:マリアム・ウグレケリーゼ、アレクセイ・マラーホフ
フラメンコ:オリガ・セミョーノワ
       アレクサンドル・オマール、アンドレイ・カシャネンコ
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