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シュツットガルト・バレエ団「ロミオとジュリエット」 11月13日
2015/11/20(Fri)
シュツットガルトの「ロミオとジュリエット」は2005年に同じアマトリアン&フォーゲルで見て以来。 クランコのロミジュリ自体もその後は見ていないから10年ぶりという事で、しっかり記憶にあるのはクッションダンスと大広間とレースのカーテン越しのホワイエというキャピュレット家の家の造りと懸垂キスくらいだったかな?(笑) 舞台美術や衣装は変わっていないと思いますが、橋脚がアーチ型になった回廊の上下のスペースの効果的な利用と絵画のように美しい色彩の衣装は本当に素晴らしいですね。
その10年前のキャストはマキューシオがアレクサンドル・ザイチェフ、ベンボーリオがミハイル・カニスキン、ティボルトがイリ・イェリニク、というスターダンサーばかりでしたが、今は皆バレエ団を離れていて時の流れとカンパニーの変化を感じます。 また、その間、マクミランのロミジュリは映像も含めると10回程度は見る機会があったので、久々に見たクランコ版は、マクミランと比べると演出がわりとシンプルでスピーディーで、ロミオとジュリエットにしても14歳とか16歳にそれほどこだわる必要もないように感じ、ダンサーも自分なりのアプローチがし易いのではないかと思いました。 フォーゲルとアマトリアンは共に30代半ばですが、それがどうというようには感じませんでした。 年齢差がないのがいいのかもしれませんね。
 
フォーゲルのロミオは流石に10年前のような能天気に明るく若さに溢れた向こう見ずなロミオではなく、所作にどことなく落ち着きを感じたりもしたけれど、無邪気でまっすぐな雰囲気はそのままです。 幕開きで、マントにくるまり一人ロザリンドへの想いに酔っているトロ~ンとした表情がさまになるのもフォーゲルならではかと(笑)。 
彼の踊りはポーズを決める時にぐうっと伸びる体のラインが綺麗で、私はそれがとても好きなのですが、この日も1幕の広場での踊りでは一際それが目立っていました。 キャピュレット家の舞踏会に忍び込む前の館前でのマキューシオ、ベンヴォーリオとの3人の踊りはマクミランに負けず劣らずハードな振付で、フォーゲルの年齢にはきっついだろうなーとも思いますが、若干崩れつつも切れよく綺麗に纏めていたと思います。

アマトリアンのジュリエットは無理に少女っぽくは作らず自然体で、素直にすくすく育ったお嬢さんという感じでした。 パリスに対しても家にとっての大切なお客様に礼儀正しく振舞うといった雰囲気かな? 
バルコニーのシーン。 ロミオと出会って生まれて初めて知ったときめきと、その初めての感情にのぼせてしまいそうな様子をアマトリアンはとてもキュートに演じていました。 短いシーンだけれど、ロミオが訪ねて来る前に一人でどきまきするジュリエットは本当に微笑ましいですね。 ロミオを見つければ驚きと恥かしさで植木の陰に隠れちゃうし。

二人のPDDは本当に素晴らしかった。 ここで何よりも好きなのは、ジュリエットへの思いは体中から溢れんばかりと背中を大きくゆったりのけぞらせるロミオのランベルセ。 フォーゲルのランベルセは美しく雄弁でうっとりです。 マクミラン同様かなり複雑で動きの速いリフトの連続も、組みなれている二人はスピーディーに滑らかに、高まる互いの気持ち、至福の時を過ごす喜びを見事に表現していたと思います。 もちろんフォーゲルの安定したサポートがあってでしょうが、アマトリアンの動きがしなやかで空中でのどんなポーズも素晴らしく美しかった。 
そして階段のないクランコ版といえば、ロミオがジュリエットを抱きかかえてバルコニーに戻したあとの別れ際の懸垂キスですね♪ 

最終日のロミオ役にもキャストされていたマキューシオ役のダニエル・カマルゴ、ベンヴオーリオ役のパブロ・フォン・シュテルネンフェルスは、共にフォーゲルがインタビューで才能豊かで個性も持っている若手と語っていたダンサーなので、期待しながら見ていたのですが、確かに二人とも溌溂とした良いダンサーでした。 特にカマルゴは3人の踊りと舞踏会でのソロで見せたバネのきいた余裕のある跳躍が印象的で、さらにティボルトとの剣舞?では剣の扱いも上手く、それでいてバランスを崩さない軽快な動きが見事でした。 彼はブラジル出身なんですね。 ティボルトに刺されて死んでゆくところはおどけてみせるシーンも少なく、戦わなかったロミオを責めるわけでもなく、痛みに耐え、いきなり訪れた死の恐怖への動揺を見せまいと必死になっているようでマクミラン版よりもリアリティーというか悲壮感を感じました。

ティボルト役はプリンシパルのロマン・ノヴィツキー。 登場した時にはちょっと線が細い?とも思いましたが、不遜で、モンタギューの人間に対する敵対心をこれっぽっちも隠そうとしない常に殺気だっているようなティボルト。 演技も上手かったですが、こちらもマクミランと比べると死に様は意外にあっさりなんですね。 まぁ、あちらはちょっとやりすぎですが。
ティボルトの死を知ったキャピュレット夫人の取り乱し方は納得できる範囲だったのですが、自ら髪をほどいたのがわかったのと、ガウン?の胸元のボタンをはずしてはだけたようになったのが少し演技としては不自然。 

パリス役のコンスタンチン・アレンはハワイで育ったアメリカ人プリンシパルで、まだ20代前半と若いダンサーです。 ハンサムではありますが、お化粧のせいかプロフィールの素顔っぽい写真よりもダークな感じ? フォーゲルよりも少し高い長身のダンサーで身のこなしも綺麗でした。 フォーゲルがオネーギンの日のレンスキーだそうで、なんとなく逆な印象・・・。 

3幕のロミオとジュリエット別れのシーンのPDDもリフトを多用したアクロバティックな振付でした。 抑えきれない喜びに溢れていた肢体がここでは言いようのない絶望感をまとっているのがなんとも痛ましい。  ベッドで目覚めたロミオがジュリエットの長い髪を自分の指に絡めて愛おしそうにしながらも虚ろな表情なのがとても切なく、ロミオは命を絶つ前にも同じ仕草をするのでとても印象に残るのですが、10年前の公演の感想でも同じ事を書いていて・・・。 という事はフォーゲル仕様なのか、はたまたクランコロミオのお決まりなのか?  

一人残されパリスとの結婚までの猶予がなくなったジュリエットがロレンス神父のもとに走り薬をもらい、またその薬を飲むまでの葛藤も展開が早かったです。 他の版はもう少しジュリエットの葛藤がじっくり描かかれ、ここで踊り手ではなく演技者としての力量が問われたりもしますが、クランコ版はここまでも過剰な演出はなかったのでここもテンポよく。

薬を飲んだ仮死状態のジュリエットが葬られている霊廟でジュリエットの死を悼むパリス。 結婚の承諾をするまでに激しくパリスを拒み、彼の自尊心をひどく傷つけたという演出ではなかったので、心優しいパリスならば彼女の死を嘆くというのは自然ではあるけれど、ロミオがパリスを殺すというのはあまり好きではないのでそのままあっさり消えてもらいたかった。
ラスト、それぞれの絶望と身を切られるような思いの中、別々に命を絶つロミオとジュリエット。 悲しい運命はわかりきっていても、ここまで舞台上で役を生きてきた二人の死を見るのは切ないですね・・・。 会場の静寂が悲しみをいっそう増したような気がしました。


しかし、オーケストラの演奏は酷かったですね・・・。 最後の最後までドラマティックなところで金管がよくはずしてくれた事・・・。  バレエ団はホームではシュツットガルト州立管弦楽団の演奏で上演しているのでしょうから、ちょっとびっくりだったのではないでしょうか?  

余談ですが、こちらはバレエ団の日本ツアーのブログ。 ティボルトを踊ったノヴィツキーが今回のブログカメラマンを務めているそうですが、普段見られないリハーサルや楽屋での様子がわかって嬉しいです♪





キャピュレット家
キャピュレット公:ローランド・ダレシオ
キャピュレット夫人:メリンダ・ウィザム
ジュリエット:アリシア・アマトリアン
ティボルト:ロマン・ノヴィツキー
パリス:コンスタンチン・アレン
乳母:ダニエラ・ランゼッティ

モンタギュー家
モンタギュー公:キリル・コルニロフ
モンタギュー夫人:エレナ・ブシュエヴァ
ロミオ:フリーデマン・フォーゲル
マキューシオ:ダニエル・カマルゴ
ベンヴォーリオ:パブロ・フォン・シュテルネンフェルス

ヴェローナの大公:ルイス・シュティンス
僧ローレンス:ルイス・シュティンス
ロザリンド:アヌーク・ファン・デル・ヴァイデ
ジプシー:アンジェリーナ・ズッカリーニ、森田愛海、ロシオ・アレマン

カーニバルのダンサー:ルドヴィコ・パーチェ、ルイジ・ヤン、パウラ・レゼンデ
オスカン・アイク、ロジェ・クワドラド

ヴェローナの貴族と街の人々:シュツットガルト・バレエ団


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