新国立劇場「ホフマン物語」 10月30日
2015/11/03(Tue)
10月30日に新国立劇場の新作「ホフマン物語」の初日を見てきました。
詳しいストーリーは劇場サイトのこちらの<ものがたり>の項目で確認いただくとして、日本のバレエ団が取り上げる作品としてはどうなんだろうと、若干不安な気持ちを抱きながら会場に足を運びましたが、8人いるプリンシパルのうち7人を一度に見られるという贅沢なキャスティングとダンサーたちの踊りに満足して帰って来ました。

20代の若いホフマンがそうとは知らずに恋をした、まるで生きているかのような人形オリンピア役の長田さん。 カクカクッとした人形振りでの踊りばかりだったので、彼女のたおやかで柔らかい踊りが見られなかったのは残念ですが、彼女の長い腕の動きが人形振りをより表情豊かに見せていたと思います。 ポワントでの人形的な動きをベースに難しそうな振りも多く、そこに押し殺したような人形の感情も織り込んで、非常に大変な役なのだろうと思いました。 
30代のホフマンが愛する女性は、小野さん演じる過度な運動が生命の危機となるという謎の病を患うアントニア。 登場の瞬間からキュート&清楚なオーラに包まれています。 場の雰囲気をあっという間に作れるダンサーになりましたねー、絢子ちゃん。 アントニアの幕はコール・ドも含め、ポージングや衣装でどことなくライモンダを思わせるクラシックバレエを存分に楽しめる幕で、新国のダンサーならではの美しく上品なバレエを堪能できました。 小野さんの存在感は本当に際立つものがあって、音楽性あるしなやかな踊りも素晴らしい。 
信仰生活に入っている40代?のホフマンがサロンで出会った高級娼婦ジュリエッタ役の米沢さん。 なんとなく幼い雰囲気のある米沢さんが娼婦役というのは意外な感じがしましたが、お化粧のせいか?なかなかに妖艶で不敵な感じもあって良かったです。 踊りは本当に隙もブレもなく、どんな動きもポーズも思いのままで、アクロバティックな振り付けも見事にこなしていました。

さて、主役ホフマンの雄大くん。 踊りはいつも通りに磐石。 流れるように柔らかい踊りで安定感も抜群です。 ピーター・ダレルの振付って、これまであまり目に馴染みのない、動きのベクトルに逆向きの負荷をかけるような独特なものがあるように感じましたが、それもそつなくこなしていたのでは。 クラシックシーンでのタイツ姿がもうちょっと絞れていれば言う事なかったのだけれど・・・。 コンビという面ではやはり小野さんと組んでいる時が一番自然でスムースでしたが、雄大君の踊りもけっこう多く、その上に3人のサポートと、技術的な大変さに加え肉体的タフネスを求められる役でした。 
惜しむらくは演技面の物足りなさかな? ホフマンという人物像をもう少し色濃く、深く表現できると良かったと思います。 日本のバレエ団が取り上げる作品としてどうか?と思っていたのは、ダンサーたち、特にホフマン役のダンサーが演劇的部分をどれだけのレベルでこなせるかという事でしたが、初演という事もあり、まだホフマンの人生を十分には語れていなかったように感じました。  

そういう面でやはりさすがだったのがマイレンで、ホフマンの人生に姿を変えてまとわりつき、ホフマンを苦しめ続ける4人の悪魔を冷徹、コミカル、不気味に演じて強烈な印象を与えていました。 3の線のこっけいなお化粧だったのが残念でしたが、スパランザーニ役では久々にマイレンの軽快でラインの綺麗な踊りが見られて嬉しかった。

ラ・ステラ役の本島さんは出番は少ないながら、華やかな雰囲気が役にぴったりでした。 彼女も持ち前の演技力でどんな役でもこなしますよね。

その他の出演者では、プロローグでホフマンの友人を演じた、八幡さん、福田さん、奥村さんの3人の踊りが印象的。 それぞれ、ダリルの振付がかなり難しそうなのですが、音楽に乗って切れの良い踊りを見せてくれました。
特に堀口さんの伸びやかな踊りが良かった2幕の幻影の3組も磐石で、コール・ド・ダンサーの踊りも綺麗に揃っていてさすが新国という感じでした。 


演劇面でさらに全体的なレベルを上げて、三つの恋物語をもっと魅力的に、ホフマンの人生をもっとドラマティックに伝えてもらいたいという注文はありますが、音楽も聞きやすく、舞台装置・衣装(3幕はやや微妙ですが・・・)も素敵な作品なので、また近いうちに再演して欲しいと思います。


 


ホフマン:福岡雄大
オリンピア:長田佳世
アントニア:小野絢子
ジュリエッタ:米沢唯
リンドルフ/スパランザーニ/ドクターミラクル/ダーパテュート:マイレン・トレウバエル
ラ・ステラ:本島美和
ホフマンの友人(ルーサー):福田圭吾
ホフマンの友人(ナサーニエル):八幡顕光
ホフマンの友人(ハーマン):奥村康祐
ウェイトレス:五月女遥、奥田花純、柴山紗帆
スパランザーニの召使い:小口邦明、高橋一輝
幻影たち:寺田亜沙子、堀口純、丸尾孝子
      奥村康祐、井澤駿、小柴富久修
芸人たち(パ・ド・カトル):寺田亜沙子、堀口純、貝川鐵夫、林田翔平

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