世界バレエフェスティバルAプロ 8月6日
2015/08/13(Thu)
■第 1 部■

「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ヤーナ・サレンコ スティーヴン・マックレー


マックレーがキラキラでした。 どんなに凄技を見せてもラインが乱れる事無く綺麗でしなやかで、何よりも素晴らしいのは彼の音楽性だと思います。 マックレーの動きが音楽そのもので、跳躍や回転のどんな瞬間でも音にぴたりと乗っていて、マックレー自信が音源のようなシンクロ具合。 
サレンコはもちろん上手いのですが、もうちょっと華やかさがあったら・・・。 加えて音への乗り方があまりにマックレーと違うので一つの曲の音の見え方が違ってしまい、自分的には物足りなかったです。 マックレーの音楽性に合わせるのは本当に大変ですよね。


「3 つのグノシエンヌ」
振付:ハンス・ファン・マーネン/音楽:エリック・サティ
マリア・アイシュヴァルト マライン・ラドメーカー
ピアノ:フレデリック・ヴァイセ=クニッテル


2人は7月に振付家のハンス・ファン・マーネンから直接指導を受けたとの事ですが、二人のかけあいは本当に絶妙。 3曲目に入る前に地震があり、客席は少しざわついたのですが、ステージの3人に動揺なし。 2曲めの2人の動きがタイミング、向きなど綺麗に揃っていて見事。 そして3曲ともにラドメーカーの万全なサポートを受けたアイシュバルトのムーブメントの美しさが印象的でした。 


「お嬢さんとならず者」
振付:コンスタンティン・ボヤルスキー/音楽:ドミートリイ・ショスタコーヴィチ
アシュレイ・ボーダー イーゴリ・ゼレンスキー  


この作品は6月にマリインスキーで開催された「Knights of Dance」でコルスンツェフがテリョーシキナと踊った映像を見たばかりですが、キャストが変わるとぐっと雰囲気も変わります。 
ゼレはなかなかいい具合のチンピラ度ですが、彼を慕っている子分がたくさんいる憎めないタイプのごろつきですね(笑)。  役者っぷりにも目を見張りましたが、それより、飛ぶは周るはのハードな踊りを鮮やかにこなして見せてくれたのに感激! こんなに踊れる芸監のいるカンパニーの男性ダンサーたちは本当に幸せな事ですが、これっぽっちも気が抜けませんね! 
アシュレイはサレンコ、アイシュヴァルトの後に見ると体格の良さにちょっと驚きますが、踊りはいいですね。 ただ回転を続けると衣装の上半身が風船のように膨らんでしまって、ヴィジュアル的に妙な具合だったのが惜しかったです。


「白鳥の湖」より"黒鳥のパ・ド・ドゥ"
振付:マリウス・プティパ/音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
タマラ・ロホ アルバン・レンドルフ  


長身でスタイルのいいバレリーナが多い中で、黒鳥とは言えロホがこの演目を選んだのはちょっと意外でした。 スティーブンと組んだ前回の「ラ・シルフィード」と「ライモンダ」があまりに素晴らしかったので、そういう路線を期待していたからなんですけどね。 ロホの黒鳥、アダージョくらいまではなぜか鳥ではなく眠りの猫みたいな印象を受けてしまいました。 丸みがあって柔らかそうな彼女の体つきのせいか、小悪魔的というより無邪気に楽しげに王子をからかっている雰囲気のせいか・・・。 トリプルを混ぜた余裕のフェッテやぶれのないバランスはさすがでした。
レンドルフは現在デンマーク・ロイヤル・バレエ団に所属のダンサーですが、来シーズンからはABTのプリンシパルも務めるとの事。 身長が低いのでパートナーを選ぶと思いますが、ロホとのバランスはバッチリ。 黒タイツに金襴緞子調の上着がむーーーではありましたが、高い跳躍や颯爽としたマネージュなどはなかなか良くサポートも安定していました。


「フェアウェル・ワルツ」
振付:パトリック・ド・バナ/音楽:フレデリック・ショパン、ウラジーミル・マルティノフ
イザベル・ゲラン マニュエル・ルグリ


この日とても素晴らしかった上演の一つ。 パリオペデビューが遅かった私にとってはルグリと言えばオーレリなのですが、ゲランもベスト・パートナーの一人だったのですよね。  バナが二人のために振り付けた作品、バナの作品って自分的にはけっこう好き嫌いが分かれるのですが、得がたき踊り手によるこの作品はとても気に入りました。 特に終盤は名画の一場面のように切なくしみじみとした味わいでした。
ピルエットやリフトの際に黒のロングスリップドレスから見えるゲランのまっすぐな脚の美しさはため息物。 そして細くて長い腕のムーヴメントは綺麗なだけではなく、躊躇や切なさを物語っていて見惚れてしまいました。 ルグリも相変わらず端正な踊りだけれど、それ以上に年上のパートナー相手に見せる断ち切れない思いを浮かべた表情が私にはとても新鮮で魅力的でした。

■第 2 部■

「アザー・ダンス」
振付:ジェローム・ロビンズ/音楽:フレデリック・ショパン
アマンディーヌ・アルビッソン マチュー・ガニオ
ピアノ:フレデリック・ヴァイセ=クニッテル


長かったです・・・。 
半分くらいはしっかり見ていたのですが、メリハリのなさにだんだん集中力がなくなってきて・・・。 それぞれの踊りは悪くないけれど、二人にあまり通い合うものがなくて、けっこう退屈でした。


「マンフレッド」
振付:ルドルフ・ヌレエフ/音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
マチアス・エイマン  


作品世界を作りきれていなかった二人の後に瞬時で空気を変えてしまったエイマン。 悲壮感と絶望感漂うドラマティックな作品ですね。 
ここまでも良かったのですが、この曲はオケの音が一層良く聞こえました。


「ジゼル」
振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー/音楽:アドルフ・アダン
サラ・ラム ワディム・ムンタギロフ  


ロイヤルは次回の来日で「ジゼル」を持ってくるのですよね。 サラ・ラムは好きなダンサーなのですが、ジゼルはちょっと違うかなと。 背中が硬そうなのとデヴェロッペなどの足の動きがあまり滑らかではなかったのが少し残念。 ムンタギロフともちょっと身長の差がありすぎるように思いましたが、ふと、「クチュルクとは身長差の関係で普段あまり踊る事はないけれど、この前ジゼルを一緒に踊りました」という遠~~い昔のシヴァコフのインタビューを思い出したりして・・・。 
ムンタギロフは見るたびに大人びて行くというか。 余力がありすぎてサービスてんこもりなアルブレヒトの踊りでしたが、足裁き、回転等すべて綺麗でした。 Bプロの海賊の踊りが楽しみです!


「ライモンダ」より第 3 幕のパ・ド・ドゥ
振付:ユーリー・グリゴローヴィチ(プティパに基づく)/音楽:アレクサンドル・グラズノフ
マリーヤ・アレクサンドロワ ウラディスラフ・ラントラートフ  


マーシャはキッラキラ、ラントラートフはデレデレでラブラブなライモンダでした(笑)。 昨年のドンキでは32回転のフェッテなし、カテコの歩き方もおかしく、明らかに足の状態が良くなかったマーシャでしたが、すっかり復調したようです。 ポワントで進むヴァリはちょっとドキドキしましたが、こぼれるような笑みで全くぐらつく事もなく以前の強靭な足のマーシャに戻っていて本当に良かったです。 男前な踊りはそのままですが、ちょっとした仕草に柔らかさと隠し切れない幸福感が溢れていて、こちらの頬も思わず緩んでしまう感じでした。 プリン型を逆さにしたような形のスカートで上下ともに白地に青の切り替えがある衣装だったので、これが普通のチュチュだったらラントラートフのマントつき衣装ともマッチしてもうちょっと改まった雰囲気だったかなとも思いましたが、マーシャに似合っていたので良しと!
ラントラートフはがっちりあげたリフト等サポートは万全で呼吸のあったところを見せていましたし、ドゥーブルを入れたマネージュもスピードがあって良かったです。 

■第 3 部■ 20:30~21:25

失われた純情 「いにしえの祭り」
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:リヒャルト・シュトラウス
アンナ・ラウデール エドウィン・レヴァツォフ 
シルヴィア・アッツォーニ アレクサンドル・リアブコ


時代は第二次世界大戦のさなか、夜会服で宴を楽しむ男女。 一人また一人と軍服に着替え出征前の最後の宴の席を後にしてゆくという作品の異なる場面の連続上演なのだそうです。 
前半のラウデール&レヴァツォフは長身カップルでダイナミックな動きが印象的。 短髪のレヴァツォフは軍服が似合うこと! アッツォーニ&リアブコはいつ見ても独特の世界を作ってしまいますね。 レヴァツォフからは出征への覚悟、リアブコからはすでに平常心を少し失い忍び込んできているような狂気を感じました。 アルルの女を思い出してしまった。
後方に配された、料理や飲み物を次々とさげて宴を終わらせていくウェイターの存在感も何気に強いですよね。 全部で何人くらいのダンサーが登場するどれほどの時間の作品なのでしょう? 通しで見たくなりました。 


「シンデレラ」
振付:フレデリック・アシュトン/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー


コジョカルがキラキラでした。 このシンデレラが急に目の前から消えてしまったら、どんな王子だって地の果てまでも探しに行かずにはいられないという可憐さと愛らしさ。 アダージョだけの短い時間でしたが、充分満足です。 


「オールド・マン・アンド・ミー」
振付:ハンス・ファン・マーネン/音楽:J.J.ケイル、イーゴリ・ストラヴィンスキー、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラ
ーホフ  

とても面白い作品でした。 すべての事に嫌気がさして何もかもが気に入らないという偏屈じーさん的表情のマラーホフにお色気で迫るヴィシ。 ヴィシの振りまく明るい色気とコメディエンヌぶりがなんとも魅力的! J.J.ケイルの音楽もまたいい感じ! で、マラーホフ爺やが乗ってきたとたんに目を回してヘナヘナと倒れてしまうヴィシ。 へ?と思う間もなくマラーホフがヴィシに近づきフーフーフーーと空気を吹き込むと、シャキシャキシャキと起き上がるヴィシ。 けっこう私の周りは大笑いでした。 その後はマラーホフが倒れて今度はヴィシが空気を吹き込むんですが・・・。
曲が変るたびに2人の雰囲気も変化していきますが、何度生き返ったんだっけな? 人と人との結びつきが深くなっていくこと、へこたれない事、ユーモアと切なさの中にそんな事も考えてしまった作品でした。 
あ、でもラストのストロボライトの効果ってどうなんでしょうね? 普通に見せてくれても良かったな。


「パリの炎」
振付:ワシリー・ワイノーネン/音楽:ボリス・アサフィエフ
ヤーナ・サレンコ ダニール・シムキン  


その昔のオシワシとは全くテイストの違うソフトタッチのパリの炎でしたが、きっちりとした踊りが気持ちよかったです。 サレンコはコチェトコワ降板の代打で2演目出演なのですね。 疲れも全く見せず、フェッテではトリプルやスローや90度ずつ角度をずらしたりとテクニシャンなところもみせてくれました。 シムキンも柔らかい身のこなし。 マネージュのフィニッシュに連続で540という凄業も涼しい顔してサラリでした。

■第 4 部■ 21:35~22:30

「白鳥の湖」第 2 幕より
振付:レフ・イワーノフ/音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ウリヤーナ・ロパートキナ ダニーラ・コルスンツェフ


休憩開けの会場の空気がいっぺんに変り、誰も呼吸さえしていないんじゃないかと思うほどに張り詰めた静寂の中の上演。 まさしく深い森の中の夜の湖畔。
少しずつ舞台が明るくなり、佇む王子の影がぼんやりと浮かんで来たのを見てなんとなくじーんとしてしまいました。 前回のマリインカの来日以来のダニーラ、来てくれて本当に嬉しい!!  前回の来日時よりも体は絞れているように感じました。
ロパートキナの孤高さ、神々しさがこのうえなく際立つアダージョですが、優しく寄り添うダニーラ王子に身をゆだねながら時折かすかに和らぐ表情も美しいですね。 私はこの瞬間がとても好きなんです。 ダニーラジークフリートの思いが報われるような気がする瞬間・・・。 
本当にこの2人でしか作れない特別な世界でした。


「トゥギャザー・アローン」
振付:バンジャマン・ミルピエ/音楽:フィリップ・グラス
オレリー・デュポン エルヴェ・モロー
ピアノ:フレデリック・ヴァイセ=クニッテル


白いランニングとジーンズというカジュアルブランド最強の広告塔みたいな2人でしたが、オーレリ可愛い♪  フィリップ・グラスの音楽も好きだし、振付も悪くはないですが、特別感はなかったなぁ。 
自分的には2人がもったいない・・・。


「オネーギン」より第 1 幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ/音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
アリシア・アマトリアン フリーデマン・フォーゲル


フォーゲルのにんまりした表情はどうなんだ?と思いましたが、さすがに息のあったコンビネーションでとても良かったと思います。 フォーゲルはほとんど担ぎ役に徹していましたが、アリシアの身体能力の高さを堪能。 リフトでの動きもとてもシャープでスピーディーで凄いです。 でまた、リフトされている時のポーズが半端なく綺麗でした。
11月の来日時はこのペアで見るので、楽しみにして良さそうです・・・ね?


「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ/音楽:レオン・ミンクス
ヴィエングセイ・ヴァルデス オシール・グネーオ


お祭りですから、こういうパフォーマンスもありなのでしょうが、すべてはヴァルデスのバランスのために!っていう感じの曲芸ドンキは好みではないです。 確かに凄かったですけどね・・・。 そのヴァルデスの大技に隠れてしまったグネーオは胸がおーきくはだけている衣装はちょっとなぁでしたが、何気に踊りがエレガントで良かったです。 



初日を見た友人がそれほど長く感じなかったよ(昼の公演だったし)と言っていたものの、仕事帰りの夜の公演で4時間半って・・・と、けっこう恐怖だったのですが、びっくりするほどあっという間でした。 苦手なタイプのコンテがなかったせいもありますが、それよりも一つ一つのパフォーマンスが素晴らしかったからだと!! 
オーケストラの演奏もとても良くて、こちらの功績も大きいですね。
Aプロ開催中は今年の夏でも東京が一番暑かった時期と重なってしまったのが申し訳ない感じですが、皆さん舞台上ではばてた様子など全くなく、カーテンコールでも充実して楽しそうな表情を見せてくれて嬉しい限りでした。
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コメント
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しのぎやすくなりましたね.久しぶりです フェスも久しぶりに12日行きました 昨年迄京都にサイズを観に行ってましたが今年はなし ミリアムウルドブラーム降板のフェス観ないはずがゲラン&ルグリ&モロー&エイマンとロパートキナ観たさに前日チケット買いました昔 ルグリと組んだオーレリを初めて見て一緒に観賞した先生が 何あのおっきい若い子 ルグリはルディエールみたいな年上がバランスいいのよと言ったの思い出します ゲラン出てきたら目が涙で霞んでしまったもう二人とも素敵でしたねロシアバレエは アスィルムラトワ レジェニナ レドフスカヤが好きでしたがすぐにオペラ座一辺倒になり ロパートキナ ヴィシニョーワも舞台は初めてでした 困ったなぁ これからは両方観なくちゃ フォーゲルもお初.昔.写真の彼のポーズが素晴らしくよく真似をして娘達に笑われてました 逞しいゲルマンぽい名前より清々しい印象でした南米の線の太いダンサーは苦手ですがゴメス全幕で観たい 初期のフェスはブフォネス ポントワ ハイデガスカール Pデュポンやルジマートフに魅了されましたが 久方ぶりに観た世代交代された舞台にも堪能しました 色々観たくなりお金も時間もやりくり大変
2015/08/25 13:04  | URL | クシュ #-[ 編集] ▲ top
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クシュさん、お久しぶりです!!
急に涼しくなったのは嬉しいですが、また暑さがぶり返さないといいですね。

今年の有馬バレエは東京でも公演をしてくれたのに別の公演と重なって見にいけなかったのが残念だったのですがサイズはメンバーではなかったのですよね・・・。

さてさてバレエフェス! 私はゲランの現役当時を映像でしか見た事がなくかなりクールな印象を持っていたので、役柄の幅の広さに驚嘆しました。 フェスでのゲランの輝きは共演した若いバレリーナたちにも刺激と希望を与えたのではないかと思います。
私にとっては一にもニにもロパートキナ&ダニーラだったバレエフェスですが、勝手に期待していた二人の「ダイヤモンド」がプログラムに組まれなかった事はいまでも残念なのですが、ファニーガラまで含めてとてもありがたく&楽しむ事ができました。 ロパートキナにもダニーラにもまだまだ来日してもらって日本の舞台で踊っていただきたいです。
ゴメスはファニーガラでの美しいポワントとアームスに魅了されましたです(笑)。 彼は来年ジャパンアーツが主催するオールスター・バレエ・ガラにも出演予定なので楽しみですね。 メンバーはマリインスキー、ボリショイ、ABTが中心となるのでしょうが、他のカンパニーから誰が参加するのかも気になるところです。 
2015/08/26 08:25  | URL | M #il9tusdg[ 編集] ▲ top
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