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バーミンガム・ロイヤル・バレエ団「白鳥の湖」 4月25日
2015/04/29(Wed)
まだマシュー・ゴールディングの全幕を見た事がなかったので、今回のジークフリートで見られるのを楽しみにマシュー目当てで公演日を決めたバーミンガムの白鳥の湖。 けれども、開演直前のビントレー監督からの説明で、前日のリハーサルでオデット・オディール役のジェンナ・ロバーツが怪我をしてしまい踊る事ができず、彼女の代役とのリハの時間がないために止む無くマシューまで降板という事態を知らされました。 しかしながら、マシューを見たくて来てくれている大勢の観客のためにというビントレー監督の配慮でオデットの登場しない1幕のみマシューがジークフリートとして出演。 (実はこの日急な用事が入ってしまい、終演5時上野では間に合わず、無理を言って30分の遅刻にしてもらっていたのですが、この残念なニュースを聞いて3幕で切り上げる事としました。) 

というわけで客席に落胆のざわめきが残る中、幕が上がった白鳥初日。 
ピーター・ライト版のオープニングは国王のお葬式。 国王が逝去し、まだ20歳のジークフリートの人生が大きく変わっていく事を示唆するプロローグで、こういう演出は初めて見ましたが、さすがに物語をみせるという事がよく考えられていますね。 

1幕の宮廷の装置はシンプルだけれど格調高く重厚で、衣装は喪に服しているという事もあり非常に立派なものですが渋めの色調。 ただ、照明がかなり暗め。
マシューは設定上ほとんど浮かない顔で晴れやかな表情を見る事はできなかったのが残念ですが、踊りはソロと、パ・ド・トロワ&最後の男性コール・ド+ベンノとの乾杯の踊りを見られました。 跳躍などはやや抑え気味なように感じましたが、ゆったりと大きなラインを描く踊りは気品がありましたね。
トロワの女性二人を高級娼婦に置き換えたのは面白いとは思いますが、ところどころ高級ではなくただの娼婦っぽい媚を見せながら、あの音楽でプティパの振付をベースにしている踊りがなんとなく新鮮なんだか違和感なんだか???(笑)。
 
マシューに代わって登場したシングルトンはマシューを見た後だとかなり華奢に見えます。 特に脚が細いですね。 仕方がない事ですが、やはり物語が繋がらない・・・。  
それでもギッテンズとのパートナーシップはとてもよく、シングルトンのサポートがとても安定しているのでギッテンズも安心して伸び伸びと踊っていました。 3幕のヴァリで気づいたのですが、シングルトンってめちゃくちゃ手が大きいのですよ。 団扇になりそうなくらい大きな手! もちろん技術的にも上手いのでしょうが、あの手の大きさなら恐いものなしのサポート力です!
シングルトンに関しては自分が行かなかった公演なので全く記憶になかったのですが、友人によれば新国立劇場のコンテの公演にゲスト出演していて、その時のパフォーマンスがとても素晴らしかったそうです。 この日のクラシックの踊りも柔らかでノーブルでした。 ふわっとした高い跳躍の着地も身体が華奢なせいかとても静か。

そしてギッテンズ。 出の腕の動かし方はフィリピエワほどではないけれどけっこうくねくね系でこういう動きは久しぶりに見たような。  ほどよい体の細さに長い手足でライン的には白鳥向きのダンサーです。 アラベスクの真っ直ぐ伸びた足がとても綺麗でした。 オデットはソロなどはまだあまり情感もなく振付を淡々とこなしている感じでしたが、これはまだ若くて経験が少ないでしょうから無理もないことです。  一方オディールでは彼女の持つ身体能力の高さ、技術が充分に発揮されていたと思います。 オデットの時以上に動きが滑らかで、妙な表現ですが、音感が良く音符を正確に取っているせいもあり踊りがシームレスなのです。 メリハリがないというのではないですよ。 さらに役を楽しんで踊っている感じも良かった。 32回転はダブルを頻繁に織り込み最後まで音楽にぴたりと合わせてほとんど軸がずれることなく回りきりました。 32回転だけでなく、回転は常に軸がまっすぐな安定したものでした。  

3幕のディベルティスマンはチャルダッシュ(群舞)+ハンガリーの姫君、マズルカ(群舞)+ポーランドの姫君、ナポリ(群舞)+イタリアの姫君というように各国のお姫様がご家来衆を引き連れというスタイルでしたが、姫君たちはそれぞれの群舞の後に別の音楽でソロを踊るというのがボリショイとは違っていました。 3幕冒頭の登場のシーンも、先にご家来衆が階段から降りて来て、下で姫様のお出ましを待つという具合だったのですが、こういうところもしっかりとドラマ仕立てですね。 宮廷の人たちの衣装も各国の衣装も1幕同様ゴージャスで素敵でシックな色使いもとても好みだったのですが、せめてこの舞踏会くらいはもうちょっと照明が明るくても良かったのではないでしょうか? その方がダンサーの表情も良く分かるし・・・。 でもまぁ、全体的に暗いトーンで通したいのかなぁ?  姫君たちの踊りは、ポーランドはよくロットバルトのソロで使われるパドシスの曲で、イタリアはチャイパドでしたが、ハンガリーは忘れてしまった・・・。 平田さんは小柄で華奢なダンサーですが、きっちりとした安定感のある踊りでした。 ハンガリーとポーランドの姫君はのっけから顔を見合わせるなりバチバチと火花を散らしていましたが、どちらも踊りは大きく、姫らしい華やかさがありました。

前後しますが、2幕のコール・ドは人数少なめの16人だったかと。 ツアーだからかなとも思いましたが、それほど大所帯のカンパニーではないのでこの人数がデフォルトかもしれません。 プティパとは違う独自のフォーメーションはとても綺麗でした。 あまり揃ってはいなかったけれど、ロシアじゃなければその辺は特に気にならず。

4幕を見られなかったのは残念ですが、大筋は以前コメントでお知らせいただいたのとNBSニュースでだいたい分かりました。 今のバーミンガムは良いダンサーが揃っていると思うので、2,3年に一度は来日して欲しいですね。 次は新国での上演も素晴らしかった「シルヴィア」を持ってきていただきたいです。





オデット/オディール:セリーヌ・ギッテンズ
ジークフリート王子:マシュー・ゴールディング(1幕)
            タイロン・シングルトン(2~4幕)
女王:マリオン・テイト
ロットバルト:ジョナサン・ペイン
ベンノ(王子の友人):マティアス・ディングマン

【第1幕】
王子の友人たち:サマラ・ダウンズ、イヴェット・ナイト、デリア・マシューズ、
           チャン・イージン、ウィリアム・ブレイスウェル、ジョナサン・カグイオア、
           ファーガス・キャンベル、ブランドン・ローレンス
二人の高級娼婦:アンジェラ・ポール、ローラ・パーキス

【第2幕】
小さな白鳥たち:アランチャ・バゼルガ、水谷実喜、エミリー・スミス、カーラ・ドアバー
二羽の白鳥:サマンサ・ダウンズ、デリア・マシューズ

【第3幕】
式典長:ローリー・マッケイ
ハンガリーの姫君:エリス・シー
ポーランドの姫君:サマラ・ダウンズ
イタリアの姫君:平田桃子
チャルダッシュ:ルース・ブリル、ジョナサン・カグイオア ほか
マズルカ:英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団
ナポリの踊り:ジェイド・ヒューゼン、ローラ・パーキス、ジェームス・バートン、キット・ホルダー
スペインの踊り:イヴェット・ナイト、チャン・イージン、
          ブランドン・ローレンス、ヴァレンティン・オロヴャニコフ
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コメント
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M様

 
 またまたマシューの道連れ降板ですか。震災や放射能に関する考え方は人それぞれなので、こういう事を言うのはよくないのかもしれませんが、あの震災の直後にもかかわらず、日本に来てくれたマシューはやっぱり特別なダンサー。その彼がロイヤルのプリンシパルになってますます成長している姿は、そりゃ楽しみだったですよね…ああ、何があるかわからないなぁ。

 でも、ギッテンスとシングルトンを見られたのはよかったですね!私も見たかったです。でも法事が重なってしまい、残念でした。いつかそのうち見にいくぞ~!

 何だか最近はロイヤルよりもBRBやイングリッシュナショナルバレエの方が雰囲気もよく、勢いがあって良い気がします。ロイヤルは最近、イギリス人、イギリス産にこだわりすぎて、つまらなくなっている気がします。

 地元のファンが熱望して大きな声を出すのだろうけれど、世界の一流バレエ団であろうとすると、それではやっていけないのではないかしら、と思うこの頃です。

 それともやっぱりビントレーさんやロホは特に優秀で、普通はあのようにはいかないのかなぁ、とも思いますが。ロイヤルの次期芸術監督はビントレーさんかロホだったらいいなぁ…。

 ともあれ、来年はロイヤルの来日公演です。来シーズンの疑問符のいっぱいつくラインナップにこだわらず、いい演目を持って来て欲しいですね。「冬物語」を実験的に日本に持って来るのはやめて欲しいです!
 ドンキがあれば、マシュー・オシポワペアの炸裂する踊りも見られますよ~。
 
 どうぞロイヤルが古参のイギリス人ファンのいいなりにならず、ロホを見習って、真に人の心を掴む国際的な一流バレエとしてこれからもがんばってくれますように!

 5月2日はビントレーさんのシンデレラを見て来ます。なにも考えずにファンタジーの世界に浸らせてくれる事を祈って…。

      MIYU
2015/04/30 13:39  | URL | MIYU #-[ 編集] ▲ top
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MIYUさん、こんにちは。

震災直後の日本へ来る事への判断は個人の判断だけでなく周りからの力もあったりしたので何とも言えませんが、マシューについては、あの時に日本で踊った事がダンサー人生の転機となったと本人も言っているので、あの日本の状況をきっかけに大きくキャリアを伸ばしていった彼が特別に映り応援したくなるのは自然な感情ですよね。
よく友人と、やはり降板にブチ当たらないためには初日の公演よね!などと話をする事があるのですが、こういうケースもあるのだな・・・と今回学習いたしました(苦笑)。
そのマシューを今度見られるとしたら来年夏に決まったロイヤルバレエ団の日本公演ですかね?
2015~2016年のラインナップは確かにクラシックが少なくミックス・ビルが多く??ですが、冬物語はシーズン最終近くに予定されているのでそのまま持ってくる可能性も強そうだし、でも日本公演が7月前半だとすると舞台装置の船便での輸送がけっこう強行軍だろうなとも思ったり。 冬物語はガラのようにスターダンサーを一度に大勢見られるという美味しさはありますが、全体的に暗いという感想が多いですよね・・。
バレエ団のあり方、存続についてはほぼすべてのバレエ団が直面している問題ではないかと思いますが(ENBにも是非来日して欲しい!!)、ロイヤルバレエにしても3年に一度の来日なので、楽しみに待っている日本の観客のためにも今回のバーミンガムのようにリピートしたいと思わせてくれるようなプログラムを組んで欲しいです!
バーミンガムの「シンデレラ」、私は今日行きます。 絶対に素敵な作品のはずです!!
2015/05/01 08:45  | URL | M #il9tusdg[ 編集] ▲ top
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