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パリ・オペラ座「椿姫」 3月20日
2014/04/01(Tue)
ノイマイヤー版「椿姫」はガラでそれぞれの幕のマルグリットとアルマンのPDDを見た事があるだけで、全幕を見るのは初めてでした。
キャストは迷わずオーレリとエルヴェで選びましたが(本当はもう一組くらい見たかったのですけれど、あとの二組は自分的にはちょっとぴんと来ない組み合わせだったのでした)、発表になった時には、エルヴェは過去に降板が多いし、マルグリットとアルマンの場合容易にパートナーを変えられないとも聞いていたので、本当にこの2人で見られるのだろうかとかなり心配ではありました。 ですのでキャスト変更なしに2人の主演で幕が開いたという事事態がとても嬉しかったです。 他の二組も予定通りで、ドンキと違ってこちらは本当に良かったですよね。
原作を読んだのは何年前だったろう? 10年以上前かな。 今回読み返す時間のないまま公演日を迎えてしまい、わずかな記憶を呼び起こしながら目の前の舞台と重ねての観賞でした。

客席内に入ると幕は降りておらず、オークション会場となっているマルグリットのアパルトマンと思われる舞台が(天上桟敷の時もそうでしたね)。 ソファーに置かれているマルグリットの肖像画に目が留まったのですが、きちんとオーレリの肖像画でした。 誰にも似てないソロルの肖像画を使いまわしするような事はしないのですね。 さすが。 
好奇心にかられて故人の遺品をあれこれ手にとっている人々の中で一人感情を押し殺したようにマルグリットの肖像画を眺めているアルマンの父親。 そこに憔悴した様子のアルマンが走りこんできて、呆然と立ちすくんだ次の瞬間に気を失い倒れてしまう。 彼に気がついた父親がアルマンを起こし、正気を取り戻したアルマンが父親にマルグリットの話を始める。 というプロローグから物語の本筋はアルマンの回想という形で表現される。
どことなく翳りのある瞳、スレンダーでしなやかな美しい容姿のエルヴェ・モローのアルマンはこのシーンだけで充分に観客を物語りの世界に誘ったと思います。 

各幕ごとに物語を追いながら感想をと思いここまで書いたのが3月21日。 その後は時間が取れない&パソコンに向かう気力がないまま10日以上も過ぎてしまい、ほとんど記憶もなくなってしまったので覚えているわずかな事のみ取り留めもなく。

今思い返してみると、オーレリよりもエルヴェのアルマンの印象がより強く残っています。  ヴァリエテ座でなんとかマルグリットの近づきになりたいと懸命に彼女の気を引こうとする様子や、マルグリットのアパルトマンで咳き込んで自室に下がった彼女を追いかけ想いを告白する様子などはいじらしいほどに真っすぐで穢れない少年のようで、マルグリットが心を動かされるのも無理はない。 マルグリットの愛を勝ち取った時の誇らしく、またこの上なく幸福そうな表情もいい。 そしてマルグリットが去ってしまった事に気づいた時の狼狽、裏切られた事への悲しみと怒りと絶望が次々と襲ってくるアルマンの張り裂けそうな胸の内。 マルグリットへのあてつけにオランプを連れ憎しみをぶつけ、オランプとベッドを共にしようとしてもマルグリットへの思いがぬぐえないやりきれなさ。 モローの演技と踊りは最初から最後までとても素晴らしかったと思います。 翳りがあってどことなく悲しみを湛えたような目がたまらなかったですねぇ。 
そして高雅な白百合のように気品あふれ輝くばかりに美しいオーレリ。 男たちの愛と財を思うままに手にし、娼婦といえども特別な存在であるという自負に満ちたクールビューティーな1幕も良かったけれど、2幕の、田舎でアルマンの純愛に心満たされながら穏やかに過ごしている日々の優しい顔のオーレリがなんとも愛らしく魅力的でした。 娼婦として歩んでいた彼女の人生は常に周りの男たち、女たちとの闘いの日々だったのかとふと思わせるような、そしてその日々から開放された平穏をしみじみ味わっているような、そんな一人の女性の幸せそうな姿でした。 その彼女が再び自ら娼婦の生活に身を落とす。 死を間近にし、ヴァエリテ座でアルマンと勘違いした一人の若者に近づき、その若者に怪訝な顔をされたマルグリットがいたたまれなくなって劇場を後にする姿はあまりに悲しすぎましたね。

青、白、黒のPDDはどれもその時その時の二人の心情が身体と表情のすべてで表現されていて、二人に重なるショパンの異なる旋律も美しかったなぁと。 ピアノ演奏も素晴らしかったです。

主演以外の気になったダンサーはもちろん、ヤン・サイズ。 ドンキではキャスティングがなく、椿姫の当日のNBSのWEBでの発表にも名前がなく、今回は来日していないのだと諦めていたので、会場でもらったキャスト表に名前を見つけた時は本当に嬉しかったです。
サイズはマノンの求婚者の一人で、マノンの体を嘗め回したりとまぁあまり嬉しい役ではなかったけれど(笑)、端正な容姿は変わりなく、ほんの少ししか見られなかった踊りもまだまだ大丈夫!と思わせてくれるものでした。 いずれはアルマンの父を演じたりするのかなぁ? 見た目にはドナールのような年齢のゲスト・エトワールが相応しいのですが、踊り的にはもう少し動けるダンサーの方がいいように感じました。 動きが饒舌になってはいけませんが、サポートがもう少し力強かったらなと。 

先に記したように原作の内容をあまり覚えていないのですが、マルグリットは原作でもあれほどマノン・レスコーとデ・グリューに捕らわれ自分の運命を重ね続けていたのでしたっけ? マノンもデ・グリューも悪くはなかったですが、1幕と3幕で劇中劇シーン以外でも彼らが出てきたのは自分には少しtoo muchに感じました。 特に黒のPDDの後は美しいオレリーとエルヴェの姿に上書きはしたくないなと。 
プリュダンスってもっと性根が悪いようなあてにならない記憶があるのですが、コラサントは優しくマルグリット思いのプリュダンスでした。 ガストンももう少し癖があったような? シャイエはひたすら育ちの良さそうな貴族のお坊ちゃまでした。 プログラムに写真があったドロテとカールだったらどんな感じだったのか? 見てみたかったな。 

オペラ座の来日公演では彼女が出演すれば必ず見てきたオーレリも来年でアデューとの事で、バレエ団の来日で見られるのも今回が最後なのですね。
次に日本で見られるのは来年のバレエフェス?




マルグリット:オレリー・デュポン
アルマン:エルヴェ・モロー
デュヴァル氏(アルマンの父):ミカエル・ドナール(ゲスト・エトワール)

マノン・レスコー:エヴ・グリンツテイン
デ・グリュー:クリストフ・デュケンヌ
マノンの3人の求婚者:アレクシス・ルノー、ファビアン・レヴィヨン、ヤン・サイズ

プリュダンス:ヴァランティーヌ・コラサント
ガストン:ヴァンサン・シャイエ
オランプ:レオノール・ボラック
公爵:ローラン・ノヴィ
N伯爵:シモン・ヴァラストロ
ナニーナ(マルグリットの侍女):クリスティーヌ・ペルツェー
マルグリットの3人の求婚者:アルノー・ドレフュス、アントワーヌ・キルシェール、フランチェスコ・ヴァンタッジオ

演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
指揮:ジェームズ・タグル
ピアノ:エマニュエル・ストロセール、フレデリック・ヴェス=クニテール

この記事のURL | バレエ鑑賞記 2014年 | CM(4) | TB(0) | ▲ top
コメント
- 椿姫 二十日 -
私も迷う事なくオーレリ モローの券をまた怪我降板したらと初日にしました 椿姫は芝居で昔見たのですがナニーヌ役の寺田路枝という文学座の女優が記憶に残っている以外は全く感動はなかったのです。でも二十日R席に座る私にもモローのアルマンの激しい感情の揺れが伝わりましたモローよくぞ復活してくれました/サイズ 令嬢ジュリーで婚約者の役 カルボネも同役で 濃いピンクの衣装が似合ってる写真がダンスマガジンに載っていて小さい写真でも素敵でした。二十日たまたま関係者の知人が出てくるのを楽屋口で待ってたらサイズが出てきて。彼は飄々とした人でした。 サイズがもっと出てくれたら私ももっと必死にチケット確保に奔走していたのに椿姫 アニエスやイザベルも見納めなのにね。そういえば 京都 有馬バレエの時 駅ビルで買ったあじゃり餅や上野韻松亭・貴女の記事にあり おぉまたまた同好の方だわまたおじゃましますね
2014/04/03 00:50  | URL | クシュ #-[ 編集] ▲ top
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私も全く同じ理由で初日を選びました。 本人には迷惑な事でしょうが、どうしてもエルヴェから怪我降板というイメージが払拭できないんですよね・・・。 私の席はかなり前方の上手側だったので、上手のせり出しでのエルヴェが非常によく見えました。悲痛な表情なのだけれど食い入るようにマルグリットの日記を読む姿も印象的でした。
サイズ、飄々とした人なんですね。 きっと自分だけの自分を持っている人なんでしょうねー。
京都といえば阿闍梨餅!というくらいお土産には欠かせません。 それほど日持ちしないので沢山変えないのが残念ですが、東京でも新宿伊勢丹の銘菓コーナーで買う事ができます。 ただ、夕方までは残っていない時が多いですが・・・。
2014/04/03 22:52  | URL | M #il9tusdg[ 編集] ▲ top
- タイムスリップ -
度々貴女のblog2004のルグリの時の感想読みたく 遡り今に至り 2005~開始なのですね でも レドフスカヤ ルジマートフ等懐かしく拝見 映画もブーリン~ゴヤ エリザベス 等の感想も・ヒースのサハラに舞う グリム兄弟もみました ヒースはブロークダウンマウンテンに尽きるけれど アンリー監督が好きでいつか晴れた日に ナイトレイの高慢と偏見も好きな映画です ケイト・ブランシェットとアニエス ルテステ似てると思うの私だけかな私が好きな映画はクシュシトフ・キシェロフスキの二人のベロニカ。後はイングリッシュペイシェント。バレエをみるきっかけとなった愛と哀しみのボレロ。ともあれ2007にサイズが降板した時の記事は吹き出してしまいました 私はチケット 友人に譲ってしまった位落胆 でもイレールとルグリの共演は見るべきだった
2014/04/06 22:21  | URL | クシュ #TrE5O6vA[ 編集] ▲ top
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クシュさん、いろいろ昔の記事まで読んでいただき恐縮というか、ちょっと恥ずかしいというか・・・。
サイズは本当にダンサーとして良い時期を迎えた時に怪我が多くて、それは精神的にもとてもきつかったと思うのですが、今も舞台に立ち続けているという事が彼がそれを克服した証ですよね。 なので今後も機会があれば逃さずに見たいと思うのです。
ヒース・レジャーが亡くなったのを知った時にはびっくりしましたが、あんなに才能があって作品にも恵まれていた人でもドラッグに頼らなくてはいけないんですかね? 先日フィリップ・シーモア・ホフマンが薬物多量摂取で亡くなったニュースにも驚きましたが・・・。 
「二人のベロニカ」は音楽が効果的な良い映画と聞いていますが、残念ながら見ていなくて。 実力派女優のケイト・ブランシェットとアニエスはクールな雰囲気が似ているのかも! 
2014/04/07 22:54  | URL | M #il9tusdg[ 編集] ▲ top
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