山寺後藤美術館コレクション展 バルビゾンへの道
2013/11/13(Wed)
10月19日の記事で概要を紹介した「山寺後藤美術館コレクション展 バルビゾンへの道」を11月2日(金)に見に行って来ました。
「山寺後藤美術館から出展された約70作品で、バロック期から19世紀後半におよぶ神話画、宗教画、肖像画、静物画、そして近代へと向かう絵画の新たな可能性の扉を開いたバルビゾン派の風景画に至るヨーロッパ絵画の変遷を紹介する」というこの美術展、平日の午後でありながら、そこそこの来館者(閑散というわけではなく人混みという言葉を全く浮かべる事のない適度な密度の空間でした♪)でとても心落ち着くひと時を過ごせました。
その後に見に行ったターナー展の116点という出展の数にいささか疲れた事もあり(会場、暗すぎ!!!)、70点くらいの作品をゆっくりと、また気に入った作品は何度もじっくりと見ることができるのはなんて贅沢な事なのかしらなどと思ったりもしています。


展示は以下の4つのカテゴリーに分かれています。

神話・聖書・文学
美しさと威厳
風景と日々の営み
静物―見つめる


神話や聖書、史実を題材とした絵画が至高とされ王家や教会に飾られた時代から、裕福な貴族や商人が個人の肖像画を描かせるようになって絵画がより身近なものとなり、ルネサンスの頃に物語絵の背景だった風景が独立した風景画というジャンルに発展し、絵空事や神話ではなく現実社会そのものという意味の写実主義として田園風景や人々の生活を描くバルビゾン派へ繋がったという流れで見せています。
作品は本当に粒ぞろいで一つ一つの絵を見るのがすごく楽しかったのですが、自分の気に入った作品を少しばかり並べると・・・。

<神話・聖書・文学>
「エジプトからの帰還途中の休息」 ジュゼッペ・バルトロメオ・キアーリ
ヘロデ王が死に逃避先からエジプトへ戻る途中に休息をとる聖家族。 安らいだ表情で優しげにイエスをみつめるマリアさまの表情が秀逸です。 イエスの無邪気な微笑みも可愛らしい。 周りの天使たちの顔もみなおだやかでほんわりとした温かさが伝わってくる絵です。

「エジプトへの逃避」 ヴィットリオ・アメデオ・チニャローリ 
イエスの命を守るための逃避行の始まりなのですが、イエスを抱くマリアさまやヨセフからはそれほど緊迫感が感じられず、がんとして動こうとしないロバを天使がなんとか歩かせようとするなど、とてもユーモラスで微笑ましい空気に包まれています。

「リア王とコーデリア」 エドワード・マシュー・ウォード
静かに絶望と悲しみをたたえた二人の目の表情がとても印象的。

「パオロとフランチェスカ」 アレクサンドル・カバネル
頭の中ではチャイコフスキーのフランチェスカ・ダ・リミニの旋律が流れつつも、ジョヴァンニに殺されベッドに横たわるフランチェスカと彼女の側に崩れ落ちている姿にロミオとジュリエットを思い浮かべ・・・。


<美しさと威厳>
「ミルマン夫人の肖像」 エドワード・ジョン・ポインター
ミルマン夫人の憂いを帯びた美しい表情、綺麗に編まれた髪、ドレスの質感とレースなどの装飾の細かい描写が素晴らしい。

「栗色の髪の少女」 ジャン=ジャック・エンネル
わずかに定まらないような視点でじっと一点を見つめている少女。 毛先がぼやかされている長い髪の栗色と黒味のある青色のセーターが少女の何か思いつめたような表情をより強調している。

「婦人の肖像」 ギョーム・ヴォワリオ 
袖口のレースの描写が実に繊細で、思わず手を伸ばしてその感触を確かめたくなるほどにリアル。


<風景と日々の営み>
「庭にて」 ジャン=フランソワ・ミレー
唯一のミレー作品は水彩・パステル・クレヨン画でした。 こちらに背中を向けている小さな女の子の姿が今の日本のアニメでよく目にするような絵でもあるのだけれど、つくづく可愛らしい。 幼子への愛情たっぷりな目線というのは古今東西変らないものなんですねぇ。 

一番楽しみにしていたジャン=バティスト・カミーユ・コローは3作品
「サン=ロー近くの丘と牧場」 1835-40年頃
「水車小屋のある水辺」 1855-65年頃 
「サン=ニコラ=レ=ザラスの川辺」 1872年

若い頃の作品の「サン=ロー近くの丘と牧場」は他の2点とは違って色もあでやかにくっきりと描かれています。 空間の広がりも上手く言えませんが他の2点とはなんとなく違うような感じ。 
よくコローは銀灰色を帯びた色調が特徴的な靄の画家と言われますが、この展示会に出展された「サン=ニコラ=レ=ザラスの川辺」と「水車小屋のある水辺」は優しさと深みのある緑がとっても印象的でした。 森や木々を描いた他の絵同様に独特の遠近をつけながら丁寧に描きこまれた木々の葉の描写が素晴らしく、ちょっとひんやりとした湖畔の空気が感じられるよう。

「月明かりの湖」 アンリ=ジョゼフ・アルピニー
遠くで優しい光を放つ満月と水面に長く長く反射された月の光りが静かな湖畔に生命力を与えているような幻想的な絵で不思議な癒しを感じさせる。

「月夜の羊飼い(帰路)」 シャルル=エミール・ジャック 
こちらの月はダークトーンで描かれた羊飼いと羊の群れとは対照的に目もくらむような明るさを放っている。 月以外の光は全くない暗い帰路を急ぐ羊飼いの不安な気持ちを煽るような不気味な光り。

「フォンテーヌブローの森の小径」 ナルシス・ヴィルジル・ディアズ・ド・ラ・ペーニャ  
小径を囲む大きな木々の陰影とその道を抜けた先の陽だまりとの明暗のコントラストが見事で、木々の葉も丁寧に描かれていて美しい。


という感じですが(最後までおつきあいいただいた方、ありがとうございました)、18日(月)の最終日が迫って来ていますので、興味のある方はどうぞ見逃さないようお出かけになって下さい。

会場で買ったグッズはコロー「水車小屋のある水辺」の縦5センチのマグネット。
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