10月31日 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団コンサート
2013/11/04(Mon)
10月31日にサントリーホールにチェコ・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートを聴きに行きました。 チェコフィルは2011年に東日本大震災が起きた時に来日中でした。 仙台でのコンサートを始め、いくつかの公演を中止して帰国せざるを得なかった事を大変残念に思い、帰国後一ヶ月もたたないうちにプラハで日本の復興のためにチャリティーコンサートを開催してくれたオーケストラです。

チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:イルジー・ビエロフラーヴェク

グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリン:イザベル・ファウスト)

    --- 休憩 ---

チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」

<アンコール>
イザベル・ファウスト:J.S.バッハ 無伴奏パルティータ第2番より「サラバンド」
オーケストラ:ドヴォルザーク スラブ舞曲第3番
        高野辰之/イルジー・カラフ編曲 ふるさと



指揮者のイルジー・ビエロフラーヴェクさんは、昨年20年ぶりにチェコフィルの主席指揮者に復帰。 1990年から92年までチェコフィルの主席指揮者を務めた後、94年にプラハ・フィルハーモニア管弦楽団を設立して2005年まで音楽監督の任につき、2006年から昨年まではBBC交響楽団の主席指揮者を務めています。 プラハ・フィルハーモニア管弦楽団といえば、2012年に来日して、現在の音楽監督であるヤクブ・フルシャさんの指揮で素晴らしい演奏を聞かせてくれたのが記憶に新しいです。 フルシャさんはビエロフラーヴェクさんのお弟子さんとの事。
ビエロフラーヴェクさんは、就任以来、世界一流のオケ、チェコ最高のオケとしてのレベルに達する事ができるように、厳しい練習の伝統と芸術面の高い目標を取り戻すつもりで臨んできたとの事です。


グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
先頭をきってステージに入ってきた長身細身の若者が客席に向かってにこりと微笑んでコンマスの席に着席する。 彼が24歳でコンマスに就任したというヨゼフ・シュパチェックという若き(1986年生まれ)ヴァイオリニストなんですね。 
温もりを感じさせるまろやかな弦の音色がとても心地良い。 オケの奏でる音はとても美しいのだけれど、この曲だったらもうちょっとめまぐるしいような勢いや快活さ、ロシア的な迫力があってもいいような・・・。  とっても上品なルスランとリュドミラでした。

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲
イザベル・ファウストの事を知ったのはちょうど2年前。 タワレコのブラームスコーナーにリリースされたばかりのヴァイオリン協奏曲のCDが大量に陳列されていたのですが、ヴァイオリニストの背景のサトイモの葉のような大きな葉っぱとぼかされた植物のグリーンがやけに鮮やかなジャケットだったので思わず手に取ったのでした。 そのヴァイオリニストが彼女。 ただ、その時はCDは購入せず、その後も縁がなかったので彼女の演奏を聴くのはこのコンサートが初めてでした。
音量のないファウストの出だしに少々不安を感じたのも束の間、張りのある澄んだ美しい音色に惹きつけられる。 控えめな感じの演奏なのだけれど、とても丁寧に音を紡ぎ出していて、演奏している姿に精神性の高さを感じました。 カデンツァは、ジャパン・アーツのtwilogによればベートーヴェンがピアノ版に編曲したものをファウストが少しアレンジしたものだそうですが、重音やトリルが細かくて綺麗で表現力豊かな見事な演奏でした。 そして高音がとりわけ美しい。 第2楽章も素晴らしかったし、第3楽章はファウストのヴァイオリンの周りを踊るように飛び交っている音符が見えるような感じに軽快で、最後まで続く繊細で明るく美しい音色の演奏に魅了されました。
オーケストラの音色もファウストの音にとても合った温かい響きで、特に弦は大切なものをしっかりと守るような優しさで包み込んでいたと思います。
ファウストのアンコールの「サラバンド」も静かに心に染み入ってくるような素晴らしい演奏。 
余談ですが、彼女のヴァイオリンは1704年製ストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティー」だそうです。 名前の由来を知りたいなぁ。

チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
グリンカ同様に16型の舞台狭しな大編成で上手はヴィオラ。 コントラバスは中央の一番後ろに位置して8名でした。 第1楽章の出だし、コントラバスのかすかな響きにファゴットのうめくような旋律が重なる。 このファゴットが重苦しいのだけれど柔らかくて思わず聴き入ってしまいました。 続くクラリネットの良い響き、その後の金管の抑え目だけれどしっかりと輪郭のある音と、管楽器の音色も素晴らしいです。 第2楽章は軽快で、ここのワルツはいつも心和みます。 第3楽章では金管が炸裂、弦も力強く華々しく。 それでも爆奏ではなく、節度がある感じです。 盛り上がる3楽章も魅力的ですが、6番で一番好きなのは第4楽章。 悲しい運命から逃れる事が出来ないというように押し寄せる弦の揺らめきがなんとも言えず好きです。 チェコフィルの弦楽器群の音の重なりが本当に美しかった。 最後はコントラバスが静かに静かに静寂の世界を終わらせていく。 8人のコントラバスの4人が弓で、他の4人が指で爪弾いているのですね。
ビエロフラーヴェクさんの悲愴は派手なアプローチをしない厳格で誠実な王道の演奏だったように感じました。 悲愴だけでなく、それは他の二曲にも共通するところだと思いますが、ヴァイオリン協奏曲はファウストの音楽観とも通じるところもあってあのような素晴らしい演奏になったのではないでしょうか。
アンコールはやはりドヴォルザークですね! オケのメンバーのリラックスした笑顔が印象的。 ふるさとはちょっとびっくりなチョイスでしたが、オーケストラ用のアレンジが新鮮。 

そんなわけで、この日のコンサートには大満足で、ヴァイオリニスト好きの私はイザベル・ファウストのファンになってしまいました。 たった一曲聴いただけですが、彼女の音楽との向きあい方というか曲の表現にとても惹かれました。 衣装もちょっと斬新で、白基調に赤や黒のラインの模様の膝下までのロングチュニックドレスに黒のレースのレギンス。 来年の6月にダニエル・ハーディング指揮で新日本フィルとブラームスのコンチェルトで共演する予定なので逃さず聴きに行くつもりです。 またビエロフラーヴェクさんとチェコフィルもすでに2015年の10~11月の来日が決まっているので、こちらも楽しみに待ちたいと思います。
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