ミラノ・スカラ座「ロミオとジュリエット」 9月22日 第3幕
2013/10/09(Wed)
第3幕
<第1場:ジュリエットの寝室>

まだ寝入っているジュリエットの体に触れキスをし、離れ難い気持ちを押し殺し一人そっと出て行こうとマントを羽織るロミオ。 その気配に目覚めたジュリエットが慌てて駆け寄り引き止める。 二人の別れのPDDは、離れたくないし離したくない、でも今一緒にいる事は許されないという諦めの思いが溢れていて切なく辛い。 ロミオは自分の犯した罪なのでどこかに覚悟のようなものがあるけれど、残される身のジュリエットは心を落ち着けられず狂いそうな気持ちが隠せない。 ロミオに駆け寄るジュリエットの細かく速いステップにその思いが感じ取れる。 ロミオが出て行った後を追いかけてもの凄い勢いで階段を駆け上がり、肩を落としてゆっくり一段一段降りてくるジュリエットの姿に思わず胸が詰まりました。
両親がパリスを連れて現れ、ジュリエットにパリスとの結婚を承諾するように言い渡す。 パリスを拒みベッドに逃げ込むジュリエットを引きずり出し怒りを顕にする父キャピュレット。 結婚はできない、どうかそれをわかって欲しいと必死の思いで父と母に交互にすがるジュリエットの姿があまりにも痛々しい。 そんな娘の姿に余計に腹を立て激昂して部屋を出て行く父。
一人になったジュリエットは絶望しベッドに座り込む。 ぼんやりと考え込み宙を浮いていた定まらない視線が止まるとジュリエットの表情がみるみる生気を帯び、一縷の望みを見出したジュリエットはロレンス修道僧の教会へ向かう。 コジョカルの表情の変化、心の動きを代弁する目線の使い方が素晴らしかった。 

<第2場:教会> 
ロレンスに自分の置かれた状況を説明し、なんとかしてほしいと必死の思いで頼むジュリエット。 教会に着いてロレンスを探し回る姿にもロレンスの体を揺さぶるようにして懇願する姿にも、追い詰められた悲愴感と、それでもロミオを想い何があってもパリスと結婚する事はできないというジュリエットの強い気持ちがあふれていました。 
仮死状態に陥る薬をすすめられて恐ろしさに一度は拒むものの、他にどうしようもなく、ロレンスとともに祈りを捧げて家へと急いで戻っていくジュリエット。 

<第3場:ジュリエットの寝室> 
ロレンスに手渡された薬を飲む事への恐怖をぬぐえないでいるジュリエットは人の気配を感じて慌てて薬を枕元に隠す。 両親が再びパリスを連れてやって来て結婚受諾をせまる。 ジュリエットが再び父に望まぬ気持ちを訴えるも叶わず、パリスと踊らされる。 パリスが嫌がるジュリエットに対して態度を荒げるのはこの踊りの前でしたっけ? この振る舞いに結婚したら妻を虐げそうな奴だと嫌悪感を抱くパリスもいるけれど、マッシミのパリスはなぜそこまで自分を拒絶するのかと問いたい故の冷静さを失わない怒りでした。 とっても好感度の高いパリスではあったのです。 一幕の舞踏会での踊りと同じような振りながら、拒絶の心以外に全く意思を持たない人形のようなジュリエットの踊り。 ジュリエットは覚悟を決め結婚を承知するけれども、安堵したパリスの口づけは最後までかたくなに拒む。
両親たちは式の準備に部屋を出て行き、一人残されたジュリエットは枕もとの薬を取り出し、恐怖心と戦いながらも祈りを捧げ、ロミオとの未来を信じて一気に薬を飲み干す。 薬が体に周り、苦しさにもだえながらベッドに這い上がり意識を失う。
ジュリエットの友人たちがやって来てお祝いの踊りを踊る。 いつまでも起きて来ないジュリエットを起こそうとして彼女の異変に気づいた友人たちがうろたえているところにドレスを持った乳母がやって来た。 体をゆすっても目を覚まさないジュリエットに乳母は泣き崩れてしまう。 ジュリエットの心のうちのすべてを知っていた乳母の後悔と悲しみはいかばかりか・・・。 ジュリエットに対して懐深い愛情を惜しみなく注いで慈しみながら世話をしてきたデボラ・ジズモンディ演じる乳母はとても好ましいキャラクターだっただけに、ジュリエットの死を嘆き悲しむ彼女の姿にも心痛みました。 キャピュレット夫妻、パリスもジュリエットの死に愕然とし悲嘆にくれる。  

<第4場:キャピュレット家の墓室> 
ジュリエットの部屋のベッドがそのままお墓の安置台となっている。 ロミオが葬列に紛れて墓室に忍びむ。 キャピュレット夫妻と乳母が最後の別れを告げ墓室を去った後も、一人残っていたパリスがロミオをみつけ短剣を抜く。 ロミオも躊躇する事なく剣を抜き、パリスを刺し殺してしまう。 
ロミオは口付けをし、体をゆさぶっても目を覚まさないジュリエットを抱き上げ踊ろうとするけれども、ジュリエットは力なく地に崩れ落ちるだけでピクリとも動かない。 ジュリエットを振り回し引きずりながら、この瞬間にも目を覚ますのではないかとばかりに悲愴な顔つきでジュリエットをみつめ続けるロミオの姿は痛ましすぎる。 フォーゲルが肩に担ごうとする時だけ力を入れて飛びつき、後は全く力を抜いていたコジョカルの演技も巧みだった。 ついにジュリエットの死を受け入れたロミオは彼女をベッドに横たえ抱きしめキスをして、ジュリエットの手を胸にあてながら携えていた毒薬を呷る。 薬を口にする瞬間、キッとした表情を見せたロミオはその一瞬に何を思ったのだろう。 
息絶えたロミオと入れ替わるようにジュリエットが仮死状態から意識を取り戻す。 何度見てもこのシーンは切ない。 もう少し早ければ・・・と思わずにいられないもの。 体を起したジュリエットの目が倒れているパリスを捉える。 余談ですが、20日は目覚めてすぐにこの暗がりがどこなのか分からず恐がってあたりを見回していたところでパリスに気づいていました。 その舞台によって細かい違いがいろいろあって、全く同じ物語は生まれないのだとつくづく思い、演じている本人たちにとっても筋書きはないものなのだなぁと。 パリスに驚き、墓所を逃げ惑っていたジュリエットが倒れているロミオに気づく。 頭を下に仰向けに倒れているロミオに愕然としながらも駆け寄って抱き起こし体をゆさぶり目を覚まさせようとする。 そしてロミオの両腕を自分の首に巻きつけ、なんとか立たせようとするも全く動かないロミオに激しく慟哭するジュリエット。 コジョカルのその悲嘆の様子があまりにも痛々しくて涙が止まりませんでした。 そしてジュリエットはパリスの短剣を拾いあげ、迷う事無く胸を突き刺す。 力を振り絞ってベッドに這い上がり、遠のいていく意識の中でようやくロミオの手に触れた直後に力尽きて息絶える。   

                        -幕-

もちろん、脇を支えたスカラ座のダンサーたちの素晴らしいパフォーマンスがあってこそですが、自分にとってはこれ以上はないだろうという夢のような主演キャストで久しぶりに心から感動した舞台でした。 舞台上でジュリエットとして生き、ロミオに恋をして喜び悲しみというのをとても自然に感じさせてくれたコジョカルのジュリエットは本当に見事でした。  会場も拍手喝采でカーテンコールは何度も繰り返され、最後の方はかなりの観客がスタンディングオベーションでダンサーたちを称えていました。
フォーゲルとコジョカルの相性もいいみたいなので、是非また全幕の舞台で共演してくれる事を望みます。 イングリッシュ・ナショナル・バレエをどこかが招聘してくれて(ロホもダリアも踊れるうちに早くね!)、その時にフォーゲルをゲストというのはどうだろう?などともう勝手に思いをめぐらせています。
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コメント
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M様

 詳しくて丁寧な感想をありがとうございます!でも何だか20日より22日の方がこなれていてよかったような…うむ、22日も観たかったかな…。

 コジョカルとフォーゲルの次の共演、楽しみですね。「ジゼル」だったら、マラーホフ顔負けの純愛路線で美しい話になりそうだし、「眠り…」なんかもまさにおとぎ話の世界ですね。

 確かにイングリッシュナショナルバレエだったら、ムンタギロフもいるし、視覚的にも素晴らしいものがありそうです。最近バレエにはますますケチになった私でも、喜んでチケットを買うと思います。

 こうなったら、頑張れ、タマラ! 頑張れ、どこかの日本のプロモーター!(そう言えば、高橋えりなさんが、「タマラが日本で公演をしたがっている」と言っているのを、どこかで読んだことがあるような…。)

     ケチケチ・MIYU
2013/10/10 21:35  | URL | MIYU #-[ 編集]
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MIYUさん、

そうですね、やはり22日の方が舞台全体が熱かったように思います。 スカラ座の皆さんはこれが4公演目でしたし、主役の二人にしても一度生の舞台を踊り終えたというのは大きいのだと思います。 そういう意味では2回目の方が良い舞台にめぐり会う確率が高いのかもしれませんが、私の友人に途中で何かアクシデントがあって2回目がなくなると嫌だから(縁起でもないですが)絶対初日に!という人もいます。

二人のジゼル、是非見たいですね!! 間違いなく純愛路線で悲しくも美しい感動的なドラマを見せてくれると思います。 次の祭典でNBSがENBを招聘したりしないでしょうか? 光藍社がヨーロッパ進出というのも良いかも♪ 話題性も注目度も十分高いと思うのですけどね~~。
2013/10/11 07:58  | URL | M #il9tusdg[ 編集]
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