「ディアナ・ヴィシニョーワ 華麗なる世界」Bプロ 8月22日
2013/09/01(Sun)
<Prologue>
「暗いステージの真ん中にスポットライトが当たるとそこにはレオタード姿のヴィシニョーワが。 続いて出演者のダンサーたちが一人ずつ上手や下手から現れてはステージを横切り消えて行き、最後はヴィシニョーワを中心に全員がセンターに集まる。」というオープニングは、ゴメスがこの公演のために振り付けたそうです。 アイディアそのものはヴィシなのでしょうか?
コジョカルのグループ公演では「ラリナ・ワルツ」が出演者紹介代わりでもありましたが、あちらはプロローグというわけではなかったですものね。 


<第1部>

「ドリーブ組曲」
振付:ジョゼ・マルティネス 音楽:レオ・ドリーブ
メラニー・ユレル、マチアス・エイマン 

エチュードのように薄暗いブルーの背景に二人のシルエットが黒く映し出されるのが素敵です。
お久しぶりのエイマンですが、やんちゃな感じが全くなくなって大人びましたね。 そして身長伸びた? 難しそうな技をさり気なく、そして跳躍も高く、さらには角度を変えるピルエットなどさすが技巧派。 ただ、2日前にみたロシア系の男性ダンサーたちの美しいポール・ド・ブラが焼きついていた目には腕の動きがあまり美しく見えなかったのが残念。
ユレルは少し不調だったのかあまり踊りこなせていない印象だった。    


「レダと白鳥」
振付:ローラン・プティ 音楽:ヨハン・セバスティアン・バッハ
上野水香、イーゴリ・コルプ

コルプの身体からは、人ではないもの、何かの化身という妖しげな神秘性が感じられる。 体の動きがしなやかで腕の動きも美しい。 水香ちゃんは前髪を降ろしたヘアスタイルのせいか時々正面を向くときの表情のせいか無邪気に見えすぎて、ゼウスが姿を変えてまで誘惑しに来る魅惑の女性には見えない。


「タランテラ」
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ルイス・モロー・ゴットシャルク
アシュレイ・ボーダー、ホアキン・デ・ルース

Aプロでは足の具合が悪くドンキを踊れなかったというホアキンがタランテラと炎で大丈夫なのかと思っていましたが、動きは速くてシャープだしジャンプは高いし、素人目には全く問題ないように見えました。   二人とも音楽と戯れるように軽快に動きまくりとっても楽しそうなのがいい。
で、この演目、マラーホフガラのときのタマズラカル然り、タンバリンを音楽にぴったり合わせてバンバン叩いてくれると気持ちいいですねー。


「精霊の踊り」
振付:フレデリック・アシュトン 音楽:クリストフ・ヴィリバルト・グルック
デヴィッド・ホールバーグ

グルックのオペラ「オルフェオとエウリディーチェ」の第2幕第2場、エリゼの園での精霊たちのバレエシーンのための音楽「精霊の踊り」に振付けられた作品との事です。
ホールバーグを見るのは初めてだと思うのですが(多分)、白っぽい金髪に白い肌の裸の上半身に白のタイツの彼ははまるでギリシア彫刻のように美しいです。 思ったよりも逞しく均整のとれた体のホールバーグが幻想的な音楽に乗せて優美に踊る、それ自体は良かったですが、ガラ公演で踊られる演目としてはつまらないかなと。 


「真夏の夜の夢」
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フェリックス・メンデルスゾーン
エレーヌ・ブシェ、ティアゴ・ボァディン

ノイマイヤーの「真夏の夜の夢」は1977年7月にハンブルグで初演され、その後パリ・オペラ座、ボリショイ・バレエ、デンマーク・ロイヤル・バレエ団などで上演されているそうです。 
ブシェは胸の下で切り替えられた白のレースのジュリエットドレス、ボァディンはジュストコールのような宮廷風衣装で結婚式のシーン。 クラシックベースの優雅な振付も素敵でした。 ブシェは踊りと体の動きによってごく自然に物語を生み出してしまうような表現力の持ち主ですね。 優しく貴族然とした佇まいで彼女をサポートするボァディンととてもロマンティックで幸せに満ちた世界を作っていました。 全幕で是非見てみたい作品です。


<第2部>

「カルメン」
振付:アルベルト・アロンソ 音楽:ジョルジュ・ビゼー/ロディオン・シチェドリン
ディアナ・ヴィシニョーワ、マルセロ・ゴメス、イーゴリ・コルプ
後藤晴雄、奈良春夏、東京バレエ団


ヴィシとゴメスとコルプ以外のキャストの確認を怠ったため、後藤さんが出てきて一瞬びっくり(役にしているかどうか知らないけれど勝手に木村さんだと思っていたので・・・)。 後藤さんもゴメスの隣だと細く見えるけれど見劣りはしていないですね。
フリンジがついた赤いレースの短い衣装に身を包んだカルメンのヴィシ、艶やかで色香が立ち上るよう。  ただサイドでシニョンにした可愛らしい髪型が妖艶さとミスマッチな気がして最初は違和感。 ま、しかし、ヴィシらしく?自由奔放、世界は自分を中心に周っているという支配感と存在感で、力強い脚の動きも非常にインパクトがあり、相変わらずの身体能力の高さと踊りの上手さが分かりました。
そしてそんなヴィシを食ってしまったというか、そこまでのヴィシワールド的な空気を一変させてしまったのがコルプのエスカミーリョ。 ねっとりと出てきたかと思えばヴィシに対するあのいきなりの牛振り攻撃は凄まじかったです・・・。 そこからはカルメンとエスカミーリョというかしばらくヴィシVSコルプみたいな感じに見えてしまいました。 おかげでゴメスのホセはいろんな意味で浮いてしまったというか一人だけ非常にナイーブでしたねぇ。 
誰なのだろうと思いながら見ていた運命は奈良さんだったんですね。 彼女こんなに細かったでしたっけ? 過去のアロンソ版でこの運命が全然良くなくて残念だった舞台がいくつかあったのですが、奈良さんはとても良かった。 踊りは安定していたし、物語の中でのその存在の意味が伝わってくるような踊りだったと思います。 


<第3部>

「眠れる森の美女」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ルドルフ・ヌレエフ/マリウス・プティパ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
メラニー・ユレル、マチアス・エイマン 

ドリーブ組曲では気になったエイマンの腕の動きはこちらでは気にならず、エレガントな王子様でした。 パリオペの衣装ってゴージャスで美しいのだけれど、好みとしてはごてごてしすぎで、そこに装飾いっぱいのヌレエフ版の踊りなので若干目にしつこく感じてしまうのですよね・・・。 ユレルは落ち着いて気品のある素敵なオーロラ姫でしたが、踊りがやはり安定しない。 そしてあまり幸福感のないGPDDでした。 エイマンが時々思い出したようにユレルに微笑みかけていたけれど、ハンブルグペアのハートマークが見えそうな結婚式の後なので余計につらかったような。


「チーク・トゥ・チーク」
振付:ローラン・プティ 音楽:アーヴィング・バーリン
上野水香、ルイジ・ボニーノ 

水香ちゃん、足は細くて長くて綺麗だしこの作品の小粋で大人な世界を作り出そうと頑張っていたとは思うけれど、いかんせん音感と演技力が足りないのが惜しい・・・。 一方自分の作品というくらい身に染みこんじゃっているボニーノはさすがだし変わらないですねぇ。


「ナウ・アンド・ゼン」
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:モーリス・ラヴェル
エレーヌ・ブシェ、ティアゴ・ボァディン 

久しぶりに聞いたラヴェルのピアノ協奏曲ト長調。 10年くらい前までよくコンサートに足を運んでいた好きなピアニストのCDで一時期頻繁に聞いていました。 でもそんな感傷的なムードもボァディンの赤っぽい臙脂?のレスリングウエアのような衣装でぶち壊し(笑)。 レッグウォーマーみたいなのも付けてませんでしたっけ? 胸元に赤い縁取りのある水色のユニタードのブシェはその驚異的なスタイルが一層引き立ち、足の雄弁さも圧倒的。
幾度も幾度も愛をささやきかける男の誘惑を冷たくはぐらかす女というドラマと、プツッと糸が切れたように突然去って行った男とその男を意外そうな顔をしてみつめる女という幕切れのコントラストが面白かった。 


「パリの炎」
振付:ワシリー・ワイノーネン 音楽:ボリス・アサフィエフ
アシュレイ・ボーダー、ホアキン・デ・ルース 

このハイテンションとスピードがご本家NYCBのダンスなのねと堪能させてくれた「タランテラ」とは対照的に、オシワシコンビのこの作品のインパクトが強い自分の目には若干大人しめに見えましたが、土の匂いのする力強いオシワシペアとは違った趣の、上品で正統派的な踊りがとても良かったです。 特にホアキンは超絶技巧を繰り出しながらも終始エレガントでした。 


「椿姫」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フレデリック・ショパン
ディアナ・ヴィシニョーワ、マルセロ・ゴメス
ピアノ演奏:菊池洋子

一言で言ってしまえば、みんな違う!という印象でした。 
ピアノは演奏会レベルの素晴らしさとパッションで、特に後半はバレエの伴奏というのを超えてしまっていたように思います。 上手きゃいいってもんじゃないんですねぇぇ、難しい・・・。 
ヴィシとゴメスは高難度のリフトも激情のままの勢いを失う事もなくとても見事で、息の合った踊りはとても良かったのですが、自分のイメージではなくて・・・。 黒のコートに全身を包んで佇んでいるだけのマルグリットの姿に無言の強さを感じたのは初めてでしたが、アルマンの視線を前にしても精神的に追い詰められた明日をも知れぬ命の女の儚さや惨めさのようなものはなかったです。 ゴメスもマルグリットを深く愛しているというのは分かるのだけれど、繊細でどこか神経質でというアルマンのイメージとは違ってラテンの情熱に溢れた偉丈夫で・・・。 
こういう演劇性の高い作品の場合、個性が強く一定のイメージをもたれてしまっているダンサーが小ピースとして取り出して演じるのは難しい事なのでしょうね。 そしてそれは多分にこちら側の問題なのですが、全幕で見てみればもっとすんなり見られるのかもしれません。 


<Finale>
プロローグのフィナーレ版(笑)って事で、こちらもゴメスの演出だそうですが、もう22時を15分くらい越えてましたよ、この時点で。 なので、席を立ち岐路につく人も多く舞台を見終わった客席の一体感があまりなくて残念。 フィナーレの後に普通のご挨拶も延々と繰り返され、開放された(笑)のは22時半。 ここまで充実した時間のかかるプログラムだったら18時半開始にして欲しかったです。 全幕とは違ってガラの場合、一日働いた後だと長時間集中するのってけっこう難しいような。 基本的に平日の公演は9時半終演(どうせ伸びるし)をめどにプランをたててくれないと帰宅の問題が出る方も増えるのではないですかね?  SAYONARAと See you again の電飾看板(垂れ幕だった?か、記憶は怪しい)が降りシリーズ化を予告していましたから、次回は今回を踏まえた上で・・・、是非!
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