プーシキン美術館展(2)
2013/08/16(Fri)
さてさて、美術展の顔二つも良かったですが、それ以上に気になったり気にいったのは別の作品たちで・・・。

「民衆を導く自由の女神」が有名なロマン主義のウジェーヌ・ドラクロワは、歴史的な事件や物語を題材としてとりあげる事が多かった画家ですが、「難破して」はバイロンの長編詩「ドン・ジュアンの難破」から着想を得たそうです。 バイロンの長編詩といえば、バレエ「海賊」にも繋がり、足をとめてじっくり見てしまいました。 避難用の小船の上で二人の乗組員が水夫の死体を海に投げ捨てようとする様子が描かれていますが、生き残った人たちの運命を握る波立つ暗い海が不気味です。

同じくロマン主義のジャック=フランソワ・スウェバックの「旅回りの一座」というタイトル通り、旅の一座が道行く様子を描いた32x39の比較的小さな絵。 馬や人、遠くの木々の様子がとても細かく丁寧に描かれています。 特にほぼ中央に描かれた馬の頭に付けられた飾りが綺麗で質感も感じられるほどリアルでした。 一座のアイドル的な馬なのかしら?

「青の時代」から「バラ色の時代」への移行期である1905年頃に描かれたというパブロ・ピカソの「マジョルカ島の女」は微妙に焦点が定まらないような視線と意思を持って閉じられているような唇の表情が印象的。 それぞれに濃淡のある明るいブルーと茶のコントラストも美しくとても魅力的な作品でした。 女性の装いがイスラム風だということでマジョルカの人なのだろうと見なされているそうです。 

ポール・セザンヌの「パイプをくわえた男」。 物憂げな表情でテーブルに頬杖をつく男性自身にも目は留まったのだけれど、こちらも青と茶の色使いの美しさに惹かれる。 青と茶って自分ではあまり組み合わせないけど、意外に上品な感じがでるものなのだなぁと思ったりして・・・。 
キュービズムの誕生を予感させるものと言われているようですが、なるほど背景や洋服の色の区切りがそんな感じに見えなくもなく。

自然主義、バルビゾン派を代表するジャン=フランソワ・ミレーの「薪を集める女たち」。 ミレーの風景画と農民の暮らしを描いた作品は本当に大好きで、どんな絵も独特な色彩感が素晴らしく、自然や農民への尊敬の念が感じられる崇高な雰囲気が漂っているように思います。 こちらの作品は山中から大きな薪を運ぶ二人の女性にスポットライトが当てられていますが、手前の女性の背中ののけぞり具合からその薪の重さと労働の過酷さが伝わってきます。 
バルビゾン派とはフランスのフォンテーヌブローの森に隣接しているバルビゾン村やその周辺に居を構え、風景画や農民画を写実的に描いた一派です。

その隣に飾られていたのが同じくバルビゾン派のジャン=バティスト・カミーユ・コローの「突風」。 天気の急変を告げるような突風に2本の大木の枝葉がしなり、道を急ぐ一人の女性の姿が画面全体に緊張感を与えているように感じました。 暗い深緑と黒とグレーの色使いがなんとも言えない不思議な力を持っていて、しばし見入ってしまいました。
コロー展、5年前にあったのですよね・・・。 また近いうちにというのは無理ですかねぇぇぇ。

オリエンタリスムの画家と言われるウジェーヌ・フロマンタンの「ナイルの渡し舟を待ちながら」。 全体のトーンがライトブラウンにグレイッシュブルーで落ち着いた雰囲気。 遠くに見える地平線に沈んでいく太陽が描かれていて、らくだに乗った主人と二人の召使のいる川のほとりは広い原野の中なのだとわかります。 その空間の広がりにそこはかとない寂寥感が漂うようで・・・。 いったいこの人たちは舟が来るのを待ちながらどのくらいここにこうしているのだろう? 

その他、マルク・シャガールの「ノクターン」や詩人のアポリネールと恋人のマリー・ローランサンを描いたというアンリ・ルソーの「詩人に霊感を与えるミューズ」、などユニークさが際立つ作品も面白く見ましたが、自分の好みはやはり群集や風景を細かく描写する写実的な絵なんだなと再認識。 
美術館でもらってきたちらしを見ると、秋以降もさまざまな美術展が予定されていて9月にはミケランジェロ展も始まりますが、さしあたりとっても楽しみなのは10月8日から東京都美術館で開催されるターナー展です。 

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