英国ロイヤル・バレエ団 「ロイヤル・ガラ」 7月10日
2013/07/21(Sun)
<第1部>

「ラ・ヴァルス」
振付:フレデリック・アシュトン/音楽:モーリス・ラヴェル
小林ひかる、平野亮一、
ヘレン・クロウフォード、ブライアン・マロニー、
ローラ・マカロック、ヨハネス・ステパネク


とっても魅力的なガラの幕開け。 「渦巻く雲の向こうにワルツを踊る何組かの人の姿がほの見える。 しだいに雲は晴れていき、やがて旋回する人々でいっぱいの大広間が見えてくる」という情景がラヴェルの念頭に置かれていたそうなのですが、それが紗幕(ありましたよね?)とスモークを効果的に使って表現されていました。 舞台上の様子が霧が晴れていくように次第に鮮やかになっていったのが、映画でロングショットからフォーカスを狭めていくようなアプローチのようでもあり、引き込まれるという感覚がありました。
女性の衣装がカラフルなんだけど、上品な色合いに押さえの黒が利いていてとても洗練されている感じで美しかったです。 男性ダンサーたちのタキシード姿も決まってましたねぇ。 3組のカップルはそれぞれに良かったですが、ひかるさんの優雅に音をとって踊る姿がとても素敵でした。 平野さん、蔵さん、長身で頭も小さく手足も長く、外国人ダンサーにちっともひけを取らないどころか、平野さんなんてロイヤルの中でトップクラスのプロポーションですよね。


「コンチェルト」 第2楽章
振付:ケネス・マクミラン/音楽:ドミートリ―・ショスタコーヴィチ
メリッサ・ハミルトン、ルパート・ペネファーザー
ピアノ:ケイト・シップウェイ


ショスタコーヴィチ、ピアノ協奏曲第2番のもの悲しく美しい旋律にのって淡々と繰り広げられるダンス。 二人の綺麗な身体の動きがしっかりと音楽にシンクロしていて余計なものがなくて、私はいいなと思いました。 こういうメロディーを聴いていると、普段ちょっと敬遠気味のショスタコももっと積極的に聞いてみたいなぁなんて思うのですよね。


「クオリア」
振付:ウェイン・マクレガー/音楽:スキャナー
リャーン・ベンジャミン、エドワード・ワトソン

ワトソンってルドルフ、ジャン(マールイの新春での都さんのパートナー)、白うさぎしか見たことないのですが、こんなにかっこよくコンテを踊るなんてびっくりです。 多才なんだなぁぁとひたすら感心。 ベンジャミンも音楽性豊かにシャープな動きが素晴らしい。 アクロバティックな動きも軽快で、二人の息もぴったりでした。


「アゴン」 パ・ド・ドゥ
振付:ジョージ・バランシン/音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
ゼナイダ・ヤノウスキー、カルロス・アコスタ

アゴンを生で見たのは初めてです。 ゼナイダ、どうにもハートの女王がちらついてしまって・・・(笑) 二人の長身のラインが生きる作品ではあるけれど、終盤でなんとなく音楽と振付の語彙が合わない印象を受けてしまいちょっとすっきりしない感じ。


「雨の後に」
振付:クリストファー・ウィールドン/音楽:アルヴォ・ペルト
マリアネラ・ヌニェス、ティアゴ・ソアレス
ヴァイオリン:高木和弘
ピアノ:ロバート・クラーク


ヌニュスを見たのは初めてですが、けっこう身長のあるダンサーなんですね。 なぜか勝手にマルケスと同タイプと思い込んでいました。 ヌニュスの踊りはしなやかで美しく、ソアレスとのパートナーシップも磐石だったのですが、なにせコンテ4つ連続でスローテンポとあって、途中でどうしても目を開けていられなくなってしまいました。


「ドン・キホーテ」 第3幕よりパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ/音楽:ルートヴィク・ミンクス
ロベルタ・マルケス、スティーヴン・マックレー

これがねぇぇぇ、自分的には乗れなかったのですよ、音楽のせいで!! スティーブンは回転に跳躍に切れ切れ且つ繊細に素晴らしいものを見せてくれたのだけれど、あのスコアはいったい何なのだろう?? 高揚感をそばからはぐらかすような、五線譜が隙間だらけのような軽い旋律。  マルケスの不調も手伝って、新国の超盛り上がったエネルギッシュ&華やかな2組の息の合ったパ・ド・ドゥを見た後だけにかな~り盛り下がっちゃいました。 


「うたかたの恋」 第3幕より
振付:ケネス・マクミラン/音楽:フランツ・リスト
アリーナ・コジョカル、ヨハン・コボー、リカルド・セルヴェラ

第3幕の第3場の上演。 
幕が上がった瞬間からコボーのルドルフは圧倒的な存在感と危うさと狂気を放っていた。 役者としての技量だけでも十分なこのシーンだったけれど、踊る姿はさらに鬼気迫るものがあったように思います。 そしてまるであの世からの使者のようなコジョカルのマリー。 この先には死以外のものは何もなく、ならばルドルフの恐怖を少しでも取り除き安らかな死を与えたいと思っているようなマリーでした。



<第2部>

「白鳥の湖」 パ・ド・カトル
振付:フレデリック・アシュトン/音楽:P. I. チャイコフスキー
エマ・マグワイア、高田茜
ダヴィッド・チェンツェミエック、ヴァレンティノ・ズケッティ


パ・ド・カトルとの事で、てっきり1幕のトロワが4人になるバージョンなのかと思っていたら、ブルメイステル版などで使われているパ・ド・シスの曲を使った全くのオリジナル。 最初は1幕で使われ、やがて3幕に移され、最終的には外されたそうです。 そういえばシュツットガルトも1幕で王子と娘たちの踊りでパ・ド・シスを使っていましたよね。 あの時同様、オディールやらロットバルトやら特定の旋律に特定のイメージがあるのでかなり違和感がありました。
高田茜さんは初見ですが、アシュトンの忙しなく細かい動きの振付もエレガントに踊りこなすダンサーですね。 ラストの方のクラシックバレエではないようなちょっと異様なあの振り付けは見ていて気の毒になりましたが・・・。 
彼女と組んでいた男性がヴァレンティノ・ズケッティでいいのかな? 柔らかく高い跳躍、空中でパッと開いた脚が印象的でした。


「温室にて」
振付:アラステア・マリオット/音楽:リヒャルト・ワーグナー
サラ・ラム、スティーヴン・マックレー
メゾ・ソプラノ: マリア・ジョーンズ 


幕が上がった瞬間から、ステージは大柄ゴージャス美人歌手のマリア・ジョーンズのものだったような気がしないでもなく。 ワーグナー生誕200年もあってのチョイスなのかしら~~? ラムもマックレーも別の演目の出演があったから良かったですが、彼らのダンスに集中できなくてちょっともったいない感じがありました。 


「春の声」
振付:フレデリック・アシュトン/音楽:ヨハン・シュトラウスⅡ世
崔由姫、アレクサンダー・キャンベル

シンフォニー・イン・Cでも組んでいる二人ですが、あまり雰囲気が合わないというか由姫ちゃんにキャンベルは小さいのでは? 第1部では身長差がだいぶある二人がペアを組んでいたりもしましたが・・・。 
由姫ちゃんは清楚なのに華やかな感じがあってとっても魅力的なダンサーですね。 身のこなしも軽やかでこの作品にとても合っていたと思います。
一方のキャンベルはちょっと動きが重いかなぁ? ジャンプももう少し高いと良かったんだけどなぁ・・・。


「眠れる森の美女」 目覚めのパ・ド・ドゥ
振付:フレデリック・アシュトン/音楽::P. I. チャイコフスキー
金子扶生、ニーアマイア・キッシュ

BRB来日でロホのオーロラでライト版の目覚めのPDDを見て以来、その題名を聞くだけで期待感が膨らむPDDですが、あれ、なんか違う・・・。 プログラムには振付アシュトンとなっているけれど、このPDDはライトが振付けたものを挿入しているのですよね? 衣装のせいだろうか? オーロラは白くて丈が短めなチュチュ(ちょっとデザイン変?)だったのですが、わりと1幕はピンク系のチュチュを着ているオーロラが多いのでなんとなくイメージが違ったのかな? 
初見の金子さんはわりと筋肉質な大柄の印象を受けましたが、踊りは柔らかい。 どことなく都さんを思い出させる笑顔も魅力です。 キッシュも初見ですが、踊りがぬるい気が・・・。 特に腕のぞんざいさが気になりました。


「ジュビリー・パ・ド・ドゥ
振付:リアム・スカーレット/音楽:アレクサンドル・グラズノフ
ラウラ・モレーラ、フェデリコ・ボネッリ

目の覚めるような鮮やかなロイヤルブルーの衣装が華やかで美しい。 特に奇をてらったところのないネオクラシックなバレエで二人の上手さと手堅さが生きる作品ですね。 ボネッリのサポートもしっかりしているけれど、モレーラのサポートも必要ないようなしっかりした踊りが本当に素晴らしく、クオリアのベンジャミンといい、円熟の極みというか凄みというか、見ている者を黙らせてしまうような圧倒的なものを感じました。


「マノン」 第1幕第2場よりパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン/音楽:ジュール・マスネ、編曲:レイトン・ルーカス
リャーン・ベンジャミン、カルロス・アコスタ

アコスタの醸し出す落ち着いていて温かくどこまでも大きな包容力のせいか、ベンジャミンのマノンの無邪気さにもあまり危険な匂いはなく、とてもとても幸せな寝室のパ・ド・ドゥでした。 ベンジャミンの細かく刻まれた高速パ・ド・ブレに新国立劇場に客演したジュリエットを思い出しましたが、本当に表現力といいダンステクニックといい素晴らしいダンサーです。 


「シンフォニー・イン・C」 最終楽章
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ジョルジュ・ビゼー
サラ・ラム、ヴァレリー・ヒリストフ
マリアネラ・ヌニェス、ティアゴ・ソアレス
崔由姫、アレクサンダー・キャンベル
イツァール・メンディザバル、リカルド・セルヴェラ


欲を言えば、ボネッリとマックレーも投入して欲しかったけれど、ガラのラストに相応しく華やかに盛り上がりました。 ソリストは女性ではメンディザバルがちょっと他のダンサーよりも弱い感じでしたが、それぞれタイプが違って良かったし、男性陣はそつなく。 最終楽章は男性ダンサーたちがいっせいにジャンプして開脚するところが好きなんですよねぇ。 一人二人、すっごく綺麗にポーズを決めるダンサーが必ず見つかるんですよね♪
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