2月24日 新国立劇場「ジゼル」 長田/菅野
2013/03/03(Sun)
長田さんはジゼルは初役という事ですが、演じたいジゼルの性格付けをきちんとした上で臨んだ舞台だったのだろうなと思います。 
長田さんのジゼルは明るく素直な少女。 始めのうちはアルベルトに対し気後れの混ざった恥じらいのようなものが感じられるのだけれど、花占いをし二人で踊っていくわずかな時間の間にみるみる愛情が深まりアルベルトへの思いを隠す事無くごく自然に表しているように思いました。
踊りはちょっとと躊躇するアルベルトに、こうやって踊るのよと、アルベルトの左手を取り彼の腰に当てさせたのがとってもチャーミング。 世話好きなお姉さんタイプの少女なんだろうな。
長い腕の動きが美しい踊りは安心してみていられましたし、彼女の音取りはけっこう好みなのですが、音を綺麗に使った柔らかくたおやかな踊りはいつみても気持ちがいいです。 
狂乱のシーンはプツンと糸が切れたようにいっぺんに狂ってしまったようでした。 ただ、その前にアルベルトがバチルド姫に口付けするのをじっと見ながら、嘘でしょう何かの間違いでしょうと酷くうろたえていたので、このいっぺんにというのに上手く繋がっているように感じました。 目は宙を漂い何かを思い出すのもやっとな感じで途中からはウィリたちの誘う姿が見えているようでした。
長田さんの2幕のウィリ。 バランスをとるところで少しぎこちなさがありましたが後は磐石でウィリらしい浮遊感もあって良かったです。 アルベルトを守ろうとする姿からは恋心ゆえというより慈愛とかちょっと変なのですが正義感の強さ?のようなものを感じました。 

この日とても印象に残ったのが西川貴子さんのお母さん。 西川さんが踊らない役というのももったいないし、母親としては見た目が若いのですが、とてもいい。 ジゼルの体の事をひどく心配するあまりウィリ伝説を話したり(ジゼルはかなり恐がっていた)踊りをやめさせようとする表情は厳しいけれど、この上ない愛情で優しく見守っているお母さん。 バチルドに踊りを見せようと許しを請うジゼルに根負けして「しょうがない子ね」と頷いた時のくしゃくしゃな顔がとても優しい。 そしてそんな母親を本当に嬉しそうな顔で見つめるジゼル。 この母娘の様子がとても微笑ましくこの日はこんなところに妙に感動したりしたのです・・・。 なので狂乱のシーンの最後にハンスがお母さんはあそこだよと言ったのも、それで正気に戻ってジゼルが駆け寄っていったのも凄く納得だったのでした。

それは菅野さんのアルベルトにあまり魅力を感じなかったせいもあるのかも。
菅野さんは踊りも佇まいもとても端正で身分が高いという感じはよく出ているのですが、生真面目で色恋沙汰にはあまり興味がなさそうなアルベルトに見えました。 まぁ、そんな人でもちょっと可愛い娘をみかけたので声をかけたら相手もその気になってしまったのでなんとなく楽しんでいるというような、そんないきさつを想像させるアルベルト。
ベンチに片足をかけ、花占いをするジゼルを見下ろしていた姿が思い切り上から目線なのですが、その様子が村娘のジゼルを軽く扱っているように感じられて(そうは思わない場合も多いのに)、その後を見ていてもこのアルベルトからはジゼルに対する愛情はあまり感じませんでした。 どんな場面でも心からの感情は伴わないというか、わりと感情表現があっさりしていたと思います。
2幕でお墓を訪ねてきたときも、沈鬱な表情ではあったけれど、それだけかな・・・。 でもまぁ、そういう役作りだとしたら一貫しているので、それでいいのですね。
踊りは2幕もノーブルで綺麗でした。 ブリゼもすごく軽快。 

ジゼルへの思いもけっこう押し付けがましい感じな無骨者のマイレンのハンスには花束は似合わないような・・・。 菅野さんとは対照的にいつもながらの熱い演技でしたが、ジゼルが死んでしまった後、アルベルトにお前のせいだと言われてひるむ事無く、俺? お前のせいだろう!!とさっと指差すところが物凄い迫力で威圧的でした。 さすがマイレン。 踊りのシーンが少なくてとても残念。

本島さんは無表情で感情を出さないミルタでしたが、跪いて命乞いをするハンスに向かい、自分も身をかがめて顔を覗き込むようにして、さぁ、立って踊りなさいと促したのが容赦ない感じでと~~~っても恐かったです。 けっこうツボッた(笑)。
ドゥ・ウィリの寺田さんと細田さんもそれぞれしなやかな踊りが良かったです。

ペザント八幡さん竹田さんペアは明るく清清しいペア。 竹田さんは緊張もあったかもしれませんが、一生懸命さの溢れる踊りで好感が持てました。 八幡さんは踊りは文句なし。 わりと一人で踊る事が多い八幡さんですが、パートナーを気づかいながら引っ張っていたのが頼もしかったです。

バチルドの湯川さんはやはり演技が上手いですね。 優しいけれど高貴で貴族然としたバチルドでした。
ウィルフリードの田中さんはとてもスタイルが良いダンサーで、主人に忠実で品のある従者を好演していたと思います。

井田さん指揮の東響の演奏にはこの日も感謝です♪



ジゼル:長田佳世
アルベルト:菅野英男
ミルタ:本島美和
ハンス:マイレン・トレウバエフ
クールランド公爵:貝川鐵夫
バチルド:湯川麻美子
ウィルフリード:田中俊太郎
ベルタ:西川貴子
村人のパ・ド・ドゥ:竹田仁美 八幡顕光
モンナ:細田千晶
ジュリマ:寺田亜沙子

指揮:井田勝大
管弦楽:東京交響楽団
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