1月13日 キエフ・バレエ「白鳥の湖」
2013/01/19(Sat)
<第1幕>
キエフの王子様は1幕の登場直後に短いヴァリ(眠りとごっちゃになってはいないと思うのですが、いま一つ自信がなく)があってパ・ド・トロワのコーダも踊ってけっこう最初から踊るシーンがあるのですね。 何度か見ているのに全く記憶にありませんでした。 さらに、王妃が登場する前に騎士団の長が現れて、長く立派な剣を王子に授けるシーンがあったのも忘れてました。 デニスのジークフリートは1場ではどこか心が晴れないような面持ちながら、落ち着きと若干の貫禄のある王子でした。  いや、なんか、ジゼル、眠りとこの日で3回目ですが、デニスも年とったなぁぁ(悪い意味じゃありませんが)と思いましたです。 やはり監督業のせいでしょうか・・・。

トロワのピサレフはくるみのフランスとジゼルのぺザントでも見ましたが、この日が一番良かったです。 特に伸びやかにふわっと高く上がるジャンプの時の姿勢が綺麗で脚のラインも前後ともに美しかった。 チェプラソワとソコロワは二人とも手堅く纏めていました。 チェプラソワの脚の跳ね上がりもこの日はさほど強烈ではなかったですが、キエフの踊りは上半身の動きが前後左右に非常に大きいですね。 そして一歩の踏み出しも大きい。 

1場から2場へと続くシーンで、デニスが見せた遠心力に負けてこのまま吹っ飛んでしまうのではないかと思ったほどの高速シェネは凄かったです。 心の奥が騒ぎ出し、自分でもなんだか良く分からない感情に揺さぶられているというような感じでした。

ロットバルトはワーニャ! 彼が一度キエフを離れた時にはもう見られないと残念に思ったのでとても嬉しかったです。 相変わらずシャープでジャンプも大きく見栄えがしますね~~。 湖にやって来たジークフリートの背後にまわり同じ動きをするところ、ボリショイはロットバルトが王子を操るという感じですが、ワーニャのロットバルトはジークフリートの真似をして、これからお前を翻弄してやると楽しんでいるようにも見えました。 

やはり周りの白鳥たちとは別格のフィリピエワのオデットは、ジークフリートに対して運命の恋に落ちてしまったような熱い思いを感じさせるのだけれど、眉間にしわを寄せる表情からは、自分にかけられた呪いへの怖れやすべての白鳥たちの運命を背負っている重さに追い詰められているような苦しさとの葛藤も感じました。 そんなオデットの気持ちを察したかのように熱く優しく語りかけるデニスの王子、意外なほどの包容力を感じさせていましたねぇ。 踊りの方は二人の息も合っていて美しかったです。 
観客に背を向けて上手に消えていくフィリピエワの両腕の動きは、いったいいくつ関節があるのだろうというほどの小刻みな動きで鳥の羽ばたきというよりは湖面に立つさざ波か水紋のようでした。

コール・ドは出だしの24人の揃いっぷりが見事でした。 腕の動き、足の運びがぴったりと揃っていて首や上げる腕の角度もバラつきが少ない。 湖畔での音楽はマリインスキーなどに比べるとやや早めだったように感じましたが、あの速度が大勢のダンサーが合わせやすい速度なのかとふと思ったりもしました。 小さな4羽も4人が音楽にぴたりと合わせて気持ちよく。 そして久々に感心した大きな4羽。 4人とも手足が長く、ほっそりとしたラインが美しい。 シェフチェンコは180センチ近くあるのでしょうかね? 折れそうに細い手足が白鳥というよりはフラミンゴみたいですが、上半身がちょっと安定しないかなぁ。 やはりここで目を惹いたのはカザチェンコでした。 ムーブメントはメリハリがあって大きいですが、上半身が常にすっと真っ直ぐでぶれないのが好みでした。 カザチェンコの事は09年の公演でもトロワと大きな白鳥で見ていたのですが、その時は上手いとは感じつつここまで注目はしなかったのに今回は彼女にばかり目が行ってしまいます。 次回は是非カザチェンコとシドルスキーで白鳥を!! 


<第2幕>
花嫁候補がドレスではなくチュチュだったのもすっかり忘れていましたが、やはりあまりお姫様でお后候補という感じがしないのでドレスでしっとりと踊ってくれたほうが自分は好きだなと。 ですが、ここでも長身でスタイル抜群のダンサーたちが美しく眼福であった事は確かです。

ヴェニスの踊りは眠りの青い鳥が鮮やかだったイワン・ボイコ。 ジャンプは高く柔らかくステップも軽快、グランピルエットも素晴らしく、踊るのが楽しそうなのがいいです。 キエフの白鳥は道化はいませんが、このヴェニスが女性4人(だったかな?)を率いての踊りだったので、他のバージョンで道化が2幕の最初に踊るダンスのような雰囲気もあります。 衣装もそんな風だったような・・・。
しかし、前回の2009年も2007年もそうなのですが、キエフのキャスト表はどうしてヴェニスしか載せてくれないのでしょうね?
スペインの男性は二人ともスリム&長身でかっこよかったです。 下手側の金髪の男性が動きがシャープでハンサムで気に入ったのですが・・・。 もしくるみで東洋を踊った長身のセルギイ・クリヴォコンだとしたら、今後さらに期待が出来そう。  ワーニャが王子を踊るときにクリヴォコンがロットバルトを踊れたらハイタワーですごい空間の白鳥になるんじゃ・・・(笑)。

黒鳥のGPDDの前にはグリゴロ版と同じようなロットバルトのソロがあるので、キエフのロットバルトもかなり見せ所が多いですね。 ワーニャはアクの強さとか不気味さのようなものはないですが、長身を活かしたダイナミックな踊りと周りをみやる目線にしっかりした場の支配感がありました。

フィリピエワのオディールは魔性を感じさせる強い姫。 しっとりと抑制を効かせて踊っていたオデットとは違い、脚は高く上げられ溌剌とした踊りのオディール。 グリゴロ版のヴァリはフィリピエワのオディールの醸し出す雰囲気にぴったりでした。 今回愛らしいクララ、素朴で純真なジゼルとフィリピエワは様々な顔を見せてくれましたが、それぞれのキャラクターを本当にナチュラルに演じていて、その才も素晴らしいと改めて感じました。 グランフェッテは最後を若干早く終えてしまったようでしたが、ぶれも少なくシングルで切れよく回転していました。 
デニスのヴァリ、自分の好きなアントルラッセのジャンプや脚がもう少し高いといいのにと思ったりもしましたが、綺麗に開脚されたマネージュは美しさも速さも充分でさすがデニスといったところ。

そうそうキエフのオディールとロットバルトは、ジークフリートが騙されて愛を誓ってしまった事に愕然とする様を悪意丸出しで身を乗り出すようにして見届け、そして大笑いしながら去っていくのでしたね。


<第3幕>
フィリピエワのオデットは最初から王子の過ちを許していたように見え、後悔に顔を曇らせ懺悔する王子を恨む事などできないとでもいうようにすうっとそばに寄っていったのが印象的でした。
お互いに相手をかばいながらロットバルトに立ち向かう二人。 二人の愛の強さにロットバルトの力が徐々に弱くなっていくようでした。 王子がオデットを肩に乗せてロットバルトを追い詰めるのはセルゲイエフ版と同じですが、力尽きたオデットは倒れて動かなくなってしまうのではなく、途中で上手に消えてしまう・・・。  王子が最後の力を振り絞ってロットバルトの羽をもぎ取ると、ロットバルトはのた打ち回り、やがて上手に走り去る。 入れ替わるように上手から姿を現すオデットを王子が笑顔でみつめ、二人寄り添い幕。 まぁ、最後、王子が命がけで戦っている時にオデットが自ら姿を消してしまうのは・・・というのはありますが、実力者によるオーソドックスでプロフェッショナルな舞台だったと思います。


この日の指揮は劇場の芸術監督のミコラさんで、個人的には尋常ならぬ没入指揮者のバクランさんより好ましいので良かったなと。 どちらの方が振るにしろ、バレエとバレエ音楽を大事にしているというのがとてもよく伝わってくる指揮者なので、キエフのダンサーたちは幸せだなあと思います。 
カーテンコールでミコラさんはハープ奏者に花束(光藍社から贈られた)を投げたのかなぁ? デニスはコンマス? 舞台の上とオケピットの一体感はアニちゃんがいたころのかつてのマールイのようで、目の前の和やかな光景に心温まりながらもなんとなく遠い目になってしまった自分でした。




オデット/オディール:エレーナ・フィリピエワ
ジークフリート王子: デニス・マトヴィエンコ
ロットバルト: ヤン・ヴァーニャ
王妃: リュドミーラ・メーリニク
家庭教師: イーゴリ・ブリチョフ
パ・ド・トロワ: エリザヴェータ・チェプラソワ、テチヤナ・ソコロワ、アンドレイ・ピサレフ
花嫁候補: カテリーナ・カザチェンコ、ユリヤ・モスカレンコ
       アナスタシヤ・シェフチェンコ、ヴァルヴァラ・ミルケヴィチ
大きな白鳥: カテリーナ・カザチェンコ、ユリヤ・モスカレンコ
        アナスタシヤ・シェフチェンコ、カテリーナ・メテルキナ
小さな白鳥: カテリーナ・カルチェンコ、ナディーヤ・リュビンツォワ
        オクサーナ・シーラ、テチヤナ・ソコロワ
ヴェニスの踊り: イワン・ボイコ
指揮:ミコラ・ジャジューラ
管弦楽:ウクライナ国立歌劇場管弦楽団

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コメント
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ボクはね、すっかり忘れてたよ。明けましておめでとうね。
シドルスキーが白鳥に出たら、ボクはクロジャビになってたぶらかしたのになあ。だけどあのロットバルトなら昼間は鳥にされてもいいなあ。でも夜にウサギに戻ったら食べられちゃうかな。ホントはシドルスキーで眠りが見たかったんだよなあ。サービスなのか、主催者の意向なのか、東京公演にデニスが出すぎだよねえ。くるみも1月にやってくれればいいのに。
トロワの最後をかっさらう王子が「おまえにはまだ任せておけん!」ってデニスが踊ったみたいに見えちゃった。女王様も芸術監督には控えめで「早く結婚しなさい」圧力が弱いのかなあ。花嫁候補も4人だけだし。でね、やっぱり足丸出しで踊るのはイヤだなあ。
だけどね、最後に魔法が解けて、端から順番に人間の姿に戻るのを見てたら、なんかウルウルしちゃったんだよ。シロジャビスカヤも楽しんだみたい。
2013/01/19 23:51  | URL | シロジャビ #YvEbeA.k[ 編集]
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そうでした!
すっかり忘れていましたが、ロットバルトの魔法が解けた後、白鳥たちが一人ずつ次々と人間の姿に戻っていったのでしたよね。 他のバージョンでは見た事ないので、あ!っと今回思ったのでした。 でも以前に見たときには全くこれに気づかなかったので、何見てたんだろって・・・。
今回はデニスが芸術監督になって初めての来日公演なので、やはり自ら!という意気込みもかなりあったのではないでしょうかね? でも12月22日から公演が始まったので、もう少し12月中に公演を増やしてくれたらシドルスキーの登板ももっとあったでしょうから、残念でしたよね。 
キエフはそれほど遠くないうちにまた来日があるような気がするので、シドルスキーをたぶらかすのはその時のお楽しみってことで!(笑) 今回はシロジャビスカヤさんが舞台を楽しめたそうなのでそれが何よりですね♪
2013/01/20 22:40  | URL | M #il9tusdg[ 編集]
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