12月29日 キエフ・バレエ「ジゼル」
2013/01/06(Sun)
<第1幕>
一幕は、なんというか、いろいろ突っ込みどころの多かった舞台でした。
最初に登場するアルベルトの従者。 アルベルトの御付になってまだ日が浅いのか、ご主人への思いが薄いです。 ついでに演技も淡白・・・。 「婚約者がおありになるのだから・・・」とジゼルとの逢瀬を止めようとしたのを聞き入れてもらえず、もう何が起きても知りませんからとへそを曲げちゃったんですかねぇ?(笑) 
狂乱の場でもほとんどアルベルトを気遣う素振りがなかったので、とりあえずこの場を離れようとアルベルトを促したものの、動こうとしないアルベルトを置いて上手に退いた時は、本当に主人を置き去りにしていなくなってしまったのかと思いました。 アルベルトのマントを手に戻って来てくれてよかった(笑)。  こんな余計な事を思わせられた従者も初めてでしたが、従者の存在の大切さや一つの役をきっちりイメージして演じる事の大切さ改めて意識したというか・・・。  

デニスのアルベルトはかなり軽くて、ジゼルの事は息抜きのお遊びというか、身分の違う村娘と接する事がもの珍しくてジゼルの純真さに新鮮な魅力を感じているように見えました。 
貴族であることがばれてジゼルに問い詰められた時には、困ったというよりやっかいだなというように嫌そうな顔をするし、死んでしまったジゼルに取りすがる様子も、ただ驚いているだけでとりかえしのつかない事をしてしまったという罪悪感はあまり見えなかったです。
一幕ではただ単に若い頃のように飛ばさなくなったというのではなく、彼にしては踊りに冴えがなかったような? ベンチに座るジゼルに話しかけている時にすでに大汗で息が荒かったので少し心配になりました。

フィリピエワのジゼルは野に咲く花のように可憐で慎ましやかで清らかな娘。 アルベルトを目の前に恥じらう姿にはあどけなさすらあってとても可愛らしい。 アルベルトへのまっすぐな思いを込めた軽やかで弾むような踊りも素晴らしかったです。 
狂乱の場は・・・、バチルダの手をとり口づけをするアルベルトを見た瞬間からすでに心は壊れてしまっていたように見えましたが、激しく錯乱するわけではなく静かだけれど完全に気がふれてしまったジゼルでした。 パッと開かれた大きな目が、楽しかった時を思い出そうとすればするほどうつろになり、そのまま事切れてしまいそうなほど。 そして居場所を失くしたように走り回っていたジゼルが母親と目があった瞬間に見せた、帰る場所を見つけたような安堵の表情はあまりに痛ましかった。

ハンスのヤン・ヴァーニャ、わかっていても大っきいです・・・。 「カルメン」のツニガやロットバルトがちょい悪入っていてメチャクチャかっこ良かったヴァーニャがくるみ割りの王子も踊るようになって、ハンスはどんな路線でくるのかと思いましたが、前者の系統。 ちょっと勝手にロマンチストな粗野で血の気の多い青年で、ティボルトやったらバッチリだろうなと思わせるようなハンスでしたねぇ。
これではジゼルにいくら想いを寄せても報われる事はないだろうなぁ。 迫る姿が怖すぎるよ・・・。
(ヴァーニャは3月のチャリティ・バレエで田北さんとジゼルとアルベルトのPDDを踊るんですねぇ)

ペザントの二人。 チェプラソワは上げた足の止め方というか向き?に少し癖があるように感じましたが、踊りはさらっと上手かったです。 ですが、パートナーのピサレフが、なんというか常に120%で踊ってますって感じの張り切りぶりというかいっぱいいっぱいぶりで見ていて疲れてしまったし、二人のバランスがあまり良くなかったです。
コール・ドは女性の背の高いダンサーたちは華やかで美しかったのですが、背の低いダンサーに発育のよろしすぎるダンサーが散見され、キエフっぽくないなぁと・・・。 


<第2幕>
ミルタのカテリーナ・カザチェンコは常に無表情で、氷のような冷たさも恐さもあまりなかったけれど、男たちの命乞いを淡々と拒絶する姿が人の持つ恨みではなくミルタの魂の仕業というような感じがして良かったです。
この日は、ミルタの持っている榊(にしては、葉ではなく丸いつぼみのような物がいくつも付いていましたが)がトラブル続きで気の毒でした。 初めにウィリたちを呼び出した時にそのつぼみのようなものが一つ落ちてしまい、その後ずっとステージの真ん中に転がっていたものだからダンサーが踏んで足を痛めないかと気になってしまい、若干集中できなかった場面も。 お墓の前でアルベルトを守るジゼルに向けた時には折れるだけでなく、折れた部分が本体から外れてまた落下してしまったし・・・(10日のジゼルでも同じだったとの事で、これはアクシデントではなく、こういう仕様らしいです)。
モンナとズルマはどちらがどちらなのかわかりませんが、プログラムから推測するに多分ユリア・モスカレンコが(眠りを見て、モスカレンコではなくアンスタシヤ・シェフチェンコと判明)スーパーモデルのように長身で手足が長く(マールイのマトヴェーエワみたい)、風が吹けば飛んでしまいそうな儚さでした。 

ジゼルの墓を訪れるアルベルト。 従者はアルベルトを連れて早く森から抜け出ようとしていましたが、アルベルトにはっきり拒まれると一目散に去って行ったなぁ。 もちょっと愛を!
自分の犯した罪を悔い、今はひたすらジゼルに謝りたい、それしか自分に出来る事はないというような悲痛な面持ちのアルベルト。 そんな悲痛な思いがジゼルの気配を感じて一緒に踊りだしてからは熱い思いに変り、踊りも熱を帯びてきたように感じました。  回転やブリゼなども体が自然に動いているような感じで一幕での心配は杞憂でした。
ウィリとなったジゼル。 フィリピエワは体力的に無理をしないように若干セーブしているようにも見えましたが、復活の回転やスーブルソーは見事で、体重を感じさせない浮遊感と滑るような足の運びも素晴らしかったです。 アルベルトを守る姿には生前のような熱い想いではなく、身分の違う叶わぬ恋だったとすでに納得した境地での優しく穏やかな愛情を感じました。


一幕始まるなり、今日の管楽器はパワー不足・・・などと思っていたらキエフ管ではなかったのですね。 ただそれ以上に気になったのはこの劇場が使っているジゼルのスコア。 今までに聞いたことのないほど軽め&明るめにアレンジされていました。 特に主旋律を奏でる弦パートでのそれは1幕の狂乱のシーンや2幕では違和感が大きくて。 ここにハープは要らないなぁというところもあったなぁ。
明るめといえば、2幕の照明も少し明るかったですね。 自分の目には楽だけど、もう少し落としてくれたほうが好みではありました。
ついでに、他に気になったのが客席から見える指揮者の飛び出し具合。 胸より上が見えたような?  ひょっとしてオケピットの指揮台がわりと高めなのかな。  あれでは前方のど真ん中あたりの席だと指揮者の姿でかなり舞台の視界が悪くなりそうです。


とまぁ、そんなこんなの2012年鑑賞納めの舞台でしたが、日本初上演となるキエフの「ジゼル」を心に染み入るような慎ましやかで慈愛に満ちたフィリピエワのジゼルで見られて良かったです。




ジゼル: エレーナ・フィリピエワ
アルベルト: デニス・マトヴィエンコ
森番ハンス: ヤン・ヴァーニャ
アルベルトの従者: ロマン・ザヴゴロドニー
バチルド(アルベルトの婚約者): オレシア・ヴォロトニュク
ベルタ(ジゼルの母): リュドミーラ・メーリニク
ペザント・パ・ド・ドゥ: エリザヴェータ・チェプラソワ,アンドレイ・ピサレフ
ミルタ: カテリーナ・カザチェンコ
モンナ: ユリヤ・モスカレンコ
ズルマ: アナスタシヤ・シェフチェンコ

指揮: オレクシィ・バクラン
管弦楽:東京ニューシティ管弦楽団
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コメント
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2013/01/11 11:45  | | #[ 編集]
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ボクは今日、眠りを見てきちゃった。キエフの眠りって結婚式にリラの精が登場するから、物語がちゃんと完結する感じがして好きだな。
だけどホントはね、シドルスキーのくるみが見たかったんだよなあ。
日曜日は白鳥だよ。チケット、もらっちゃったんだもん。シロジャビスカヤと行くんだよ。
2013/01/11 23:20  | URL | シロジャビ #YvEbeA.k[ 編集]
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鍵コメを下さった方へ、
コメントをありがとうございました。 
勝手に誤解していたという事がわかって良かったです。 そして本当に認識を新たにですね。
2013/01/12 16:08  | URL | M #il9tusdg[ 編集]
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シロジャビくん、

あけましておめでとーございます~。
わたしも眠りは昨日見ました。 
リラの精、とってもラインが綺麗で踊りも上手で物語をきちんと引っ張ってくれましたよね。
彼女の長く美しい手足を見ながら、シドルスキーとの白鳥をやってくれたら良かったのにと心底思っちゃいました。
シドルスキー、東京での出番がくるみ一日だけというのはもったいなさ過ぎますね。
そして私も白鳥は日曜日です♪
で、いーですねぇ、シロジャビスカヤさんとご一緒なのは!!
良い舞台を期待しちゃいましょ~~。
2013/01/12 16:08  | URL | M #il9tusdg[ 編集]
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あけましておめでとうございます^^ 今年も宜しくお願い致します。


私は本日「白鳥の湖」を観て来ました!ヴァーニャ素敵でしたよ❤

ペザントを踊ったチェプラソワ、トロワの第2Vaを踊ったダンサーでしょうか?めちゃくちゃ手の長い人でした。
それから大きな白鳥と花嫁候補を踊ったダンサーの1人が折れそうな細さだったのですが、きっとアナスタシヤ・シェフチェンコなのでしょうね。

やっぱりロシアバレエは素敵ですね♪
2013/01/13 00:11  | URL | しまじろう #-[ 編集]
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しまじろうさん、

あけましておめでとうございます。
こちらこそ、今年もよろしくお願い致します。

ワーニャ王子、やはり昨日見た友人が良かったと言っていました。
今回は見ずに終わってしまいましたが、次回の来日では絶対見に行こうと思います。
で、今日のロットバルトも本領発揮というか、とても素敵でした。
線は細いですがあの身長なので存在感と迫力があります。

キエフもため息が出るほどのスタイルの素晴らしいバレリーナが多くて、本当に眼福ですよね。
特に白鳥は!!ですね。

2013/01/13 22:51  | URL | M #il9tusdg[ 編集]
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