11月20日 「白鳥の湖」 ロパートキナ&イワンチェンコ
2012/11/26(Mon)
ロパートキナが府中で踊るなんて、これほどのキャスト変更の嵐がなければあり得なかった事なのでしょうね。 もともと一度の予定だった白鳥を2度踊ってくれる事になったのも嬉しかったです。
ロパートキナのオデットが登場するだけで会場の空気が明らかに変る。 どんな会場でもどんな客層でも自分の姿を見せた一瞬にして多くの人を引き込んでしまうのだから本当に凄い事ですよね。 
彼女の凛とした美しい姿は変りませんが、以前と比べると孤高という感じは薄らいだように思います。 王子の存在をちゃんと感じさせるオデットでした。 ポーズの一つ一つが美しくエレガントなのも変りませんが、長い腕の使い方が巧みで空気を包み込むようにゆったり動かすと本当にその場から飛び立ってしまいそうにも見えます。
この日はオディールがとても印象的でした。 時々きっとした表情であたりを見渡しながら、ロットバルトにはこの悪巧みを楽しんでいるようなニヤリとした視線を投げかけるみ凄みのある美しい黒鳥。 動きはとてもシャープ。 シングルの32回転は、中盤以降位置はずれたけれど最後は音楽に合わせ、ダブルで真っすぐ前を向いてピタッと止める気持ちの良い終わり方でした。 

イワンチェンコのジークフリートを見るのは2度目なんですが、予期せずやって来た一度目というのは忘れもしない2006年12月8日の上野文化会館。 コルスンツェフが足の怪我の治療のために急遽降板というショック&絶句状態で、舞台上のダンサーを見る視点も定まらないような心理状態で見ていたあの日の王子だったのです。 イワンチェンコには全くいい迷惑ながら、心の中で「なんでダニーラじゃないの?」と何度呟いた事か・・・。
そんなめちゃくちゃ失礼な気持ちで見ていた6年前の懺悔の気持ちも込めてしっかりと見せていただいた今回でございます。
オールバックで落ち着き払ったイワンチェンコは相変わらず成年式を迎える王子には見えないけれど、彼の髪形は今では立派な?トレードマークなので、お、今日もオールバックね!とほっとするというか。
サポートは安定していて上手いのでロパートキナも安心して踊っているように見えます。 踊りは片足での回転や跳躍はやや精彩に欠けていましたが、シェネは美しかったし、立ち振る舞いはとてもノーブルでした。 
ちょっと気になったのは、オディールに騙された2幕のラスト。 たぁ~~っと湖畔目指して走り去っていく王子がほとんどだと思いますが、彼はオディールに愛を誓ってしまった指先をみつめ、その手を額にあててうつむいた後、くるりと向きを変えると、トットットという感じでなんとなく力なく去っていったのですよね・・・。 階段登ったらすぐ歩いちゃうし・・・。 思わず、心の中で「こら!」と叫んでしまった(笑)。 
でも、なんというか憎めないんですよねぇ。 けっこうくったくのない笑みを見せたり、ロパートキナのサポートもガシッて感じで男気もあり、あんまり悲愴な顔しないし・・・。 なぜか途中からこの人って素はとても陽気で人がいいんだろうなと思い始めてしまってですね・・・。 
ともかく最後まで丁寧に踊っていて破綻もなく、今更ですけどとても好印象なイワンチェンコでした。 

ロットバルトのエルマコフは長身で踊りが大きくジャンプは高いしサポートもしっかりしているので良いダンサーだと思います。 魔界を支配している強さや邪悪さなどロットバルトの内面的な表現はこれからですね。 まだ自分が客席からどんなロットバルトに見えるのかなんて考える余裕はないんだろうな。 で、残念なのは顔中描きまくりで原型がこれっぽちもないメイク。 もう少し表情がわかりやすい程度のメイクにすれば、ハンサムフェースも生きたのに。 

パ・ド・トロワはシリンキナの可憐な踊りは良かったですが、バトーエワが途中振りを忘れてしまったように踊りを止めてしまったというのはちょっとなぁ(バヤデルカの壺の踊りはとても良かったので、こちらは踊りなれてないのかな?)。 メンバーの限られた引越し公演で贅沢を言えない事は百も承知ですが、マリインスキーだったらもうちょっと・・・というのはありますね。  マールイの豪華メンバーでの素晴らしいトロワを長年見て来た事もあり、充実感も華やぎ感もいま一つ物足りないなと。

道化のイリヤ・ペトロフは3年前の「イワンと仔馬」で仔馬を演じていたダンサーですね。 ほっそりとした体型はあの時のままかなぁ? 王子の事が大好きでいつもまとわりついている子どもの道化が楽しそうに踊ったりふざけたりという感じでした。

コール・ドは時々フォーメーションが乱れていたりもしましたが、わりと揃っていたように思います。  ただ、大きな4羽も2羽の白鳥も皆綺麗だしきっちりと踊れているのでしょうが、腕や脚の動きが直線的というか、スパスパ動いていてたおやかに詩情を感じさせてくれる踊りではないのですよね。 多分若い子ばかりだからその辺は仕方ないんだろうなぁ。 あとは床とホールの音響のせいか、2階で見ているとドシッ、バタッとけっこうな足音が聞えて来たのがけっこう気になりました。

ディベルティスマンは可もなく不可もなく。 
どこのバレエ団でもスペインは特に期待しちゃうのですが、長身で見栄えのよい黒い衣装のヤングラゾフはまだそんなに踊りこんでいないのか、キャラクテール歴浅いのかポーズ踊りともにちょっと温かったのが惜しい。 相変わらずバッチリスペインなバイムラードフとのコンビでは可哀想ですかね?
前回はそのスペインで目を惹いたイオアンニシアンが今回はハンガリーで光ってました。 下半身が細いけれどハンサムでスタイルも良いので彼のような人が次代の王子になれればいいけれど、そういう方向には進めないのでしょうかね? 一幕一場で多くのダンサーがいる中でも一際目立っていて物腰も綺麗だったので期待してみたいんですけどね。

終演後の客席からの拍手は盛大で、スタンディングオベーションの盛り上がり。
主演二人も満足そうな笑顔でした。




オデット/オディール:ウリヤーナ・ロパートキナ
ジークフリート王子:エフゲニー・イワンチェンコ
王妃 (王子の母):エレーナ・バジェーノワ
王子の家庭教師:アンドレイ・ヤコヴレフ
道化:イリヤ・ペトロフ
悪魔ロットバルト:アンドレイ・エルマコフ
王子の友人たち:マリーヤ・シリンキナ、ナデジダ・バトーエワ、ティムール・アスケロフ
小さな白鳥:エレーナ・チミリ、スヴェトラーナ・イワーノワ
      アンナ・ラヴリネンコ、エレーナ・フィルソーワ
大きな白鳥:アレクサンドラ・イオシフィディ、ヴィクトリア・ブリリョーワ
      ダリア・ヴァスネツォーワ、アナスタシア・ペトゥシコーワ
2羽の白鳥: ユリアナ・チェレシケヴィチ、アナスタシア・ニキーチナ
スペインの踊り:アレクサンドラ・イオシフィディ、アナスタシア・ペトゥシコーワ
        イスロム・バイムラードフ、カミル・ヤングラゾフ
ナポリの踊り:アンナ・ラヴリネンコ、ワシーリー・トカチェンコ
ハンガリーの踊り:オリガ・ベリク、カレン・イオアンニシアン
マズルカ:リリア・リシュク,ユーリヤ・ステパノワ
     マリーヤ・シェヴィアコーワ,イリーナ・プロコフィエワ
     ドミトリー・シャラポフ,セルゲイ・コノネンコ
     ソスラン・クラーエフ,イワン・シートニコフ
花嫁たち:ヴィクトリア・ブリリョーワ,ダリア・ヴァスネツォーワ,
     アリサ・ソドレワ,エカテリーナ・ボンダレンコ,
     ヴィクトリア・クラスノクツカヤ,ユリアナ・チェレシケヴィチ
この記事のURL | バレエ鑑賞記 2012年 | CM(4) | TB(0) | ▲ top
<<今度はパンダバージョン♪ | メイン | メグを応援して来ました♪>>
コメント
-  -
ボクはロパートキナが見られてとても嬉しかった。あと終演後に無事にうちまで帰れたことも。
イオアンニシアンは背が高くてほんとにハンサム君だよねえ。だけど体つきがすごく細いからリフトしたら折れちゃいそうだよ。
ボクは府中では1階席の真ん中の通路より数列目から見たんだけど、白鳥はやっぱりもうちょっと上から見る方が面白いと思った。
パドトロワの3人はまとめてゴミ箱に捨ててしまおうと思ったけど、そうか一人は振付を忘れちゃったのか!踊らなかった分(500円くらい?)は返金いたしますってことはないんだね。
2012/11/28 20:02  | URL | シロジャビ #YvEbeA.k[ 編集]
-  -
いくらロパートキナの白鳥でも府中の森では帰りの交通機関が・・・という方も多かったでしょうね。
イオアンニシアン、目をつけてから5年くらいはたつのですが(笑)、体つきは細いままで、リフトなんかは大変そう。 それに今のマリインカのプリマは大きいから余計にね・・・。 コルスンツェフやイワンチェンコはそういう意味でも本当に貴重なプリンシパル&王子なんですよね。
白鳥もバヤもコール・ドを見るには後方がいいのですが、ご贔屓さんがいる場合(たいていそうだけど)はどうしても前方の席になるので、キャスト変更でロパートキナになった後でチケットを入手して2階から俯瞰した今回は自分的には貴重な経験でした。
27日のロパートキナは府中よりさらに感情表現が豊かだったように感じましたが、もう日本で彼女の白鳥全幕を見る事はないだろうなとちょっとしんみりしてしまいました。 
2012/11/28 23:08  | URL | M #il9tusdg[ 編集]
-  -
ボクは武蔵野線なら乗り換えなしで帰れるから、府中本町まで歩いたんだよ。途中の神社が酉の市で、終演後でもとっても賑やかだったよ。
府中の森は安い席でも正面の舞台が見られるのがいいかな。ボクは上野で上の席で脇から舞台を見下ろすのも好きだけど、正面から見たい作品もあるものね。
日本には60歳を過ぎても全幕物を主演するバレエダンサーがいるけど、やっぱりロパートキナの白鳥を日本で見るのはこれが最後のチャンスかなと思って見に行ったんだよ。次回(また3年後?)の来日では今回来日しなかった妊娠組の活躍を期待してるけど、また揃っておめでたになっちゃったりするかも?
2012/11/28 23:41  | URL | シロジャビ #YvEbeA.k[ 編集]
-  -
大國魂神社ですね! 色とりどりの縁起熊手が並ぶそうで、一度行ってみたいと思っているのですけど。 22時近くでもまだ賑やかなんですねぇ。
ロパートキナとコルスンツェフ、二人とも今回が最後でも仕方ないなぁと、覚悟はしています。 もう一度だけ二人のダイヤモンドを見たかったのでそれが心残りなのですが。 JAさん、来年にロパートキナのグループ公演ガラみたいのやってくれないかなぁ? そこで二人のダイヤモンドのPDDだけでも見たい!! 最終日のガラを見に行ったらアンケートに書いてこようかな。
ガラにはヴィシもコンダウーロワも出ないので、結局今回のツアー、ロパートキナが最後まで顔として格として頑張ってくれたという事になりそうですよね。
次回は今回のおめでた組みが揃って来日してくれるといいですね。 新たなスターも生まれているかしら?  
2012/11/29 22:45  | URL | M #il9tusdg[ 編集]
コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top
トラックバック
トラックバックURL
→http://amlmlmym.blog15.fc2.com/tb.php/2583-44cf062e

| メイン |