世界バレエフェスティバルBプロ 8月14日の感想(第1部&第2部)
2012/08/15(Wed)
<第1部>


「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ポリーナ・セミオノワ フリーデマン・フォーゲル

フォーゲルはオネーギンよりこちらの方が断然今の彼のダンサーとしての素晴らしさを発揮できると思います。 恵まれたラインの美しさもたっぷり堪能できるし、彼の開脚跳躍は脚を開く瞬間からして本当に綺麗なんですよねぇ。 また、大柄で筋肉質なポリーナちゃんをリフトするのはけっこう大変だと思うのですが、サポートにも安定感があって破綻なく。 ただ、昨年夏のルグリ公演の踊りの方が美しさとキラキラ度は高かったです。 
ポリーナちゃんは、チャイパドってこんなに動きが止まったかな?と感じた箇所がいくつかありましたが、楽しそうに踊っていて良かったです。 
ん~~、でも男性が自分の前で片手をアン・オーにあげた女性をくるんくるんと優雅に回すところ(なぜかここがとっても好き)が変更されていて悲しかったわ~~。


「パルジファル」  
振付:モーリス・ベジャール/音楽:リヒャルト・ワーグナー
カテリーナ・シャルキナ オスカー・シャコン

2010年のベジャール・バレエ団の「80分間世界一周」を見た時に一番気に入った作品でキャストも同じ。 舞台前方に置かれたライトに照らされ、ダンサーの後ろの白いスクリーンに映し出される彼らのシルエットが巨大になったり小さくなったりしてパ・ド・カトルにも見えるようなのがやはり印象的。 二人の踊りも息が合っていて見応えがありました。


「タイス」(「マ・パヴロワ」より)
振付:ローラン・プティ/音楽:ジュール・マスネ
上野水香 マシュー・ゴールディング

マシューはほとんどサポート要員でもったいないです。
水香ちゃんはポーズそのものは悪くないけれど、音楽のニュアンスを伝え切れていないというか・・・。 彼女にはバナと踊った「クリアチュア」みたいな比較的アップテンポなコンテの方が合っているのでしょうね。


「エフィ」
振付:マルコ・ゲッケ/音楽:ジョニー・キャッシュ
マライン・ラドメーカー

また半裸で背中の筋肉を見せる痙攣系か・・・と思ってしまいましたよ。 「モペイ」はわりと短いし踊りとしてそれほどつまらなくもなく最後の演出が好きだったりするけど、こちらはわざわざクラシックバレエの踊り手が踊らなきゃいけない作品なんだろうか、本当に踊りたいんだろうかと、まだ終わらないのかなぁと退屈しながらひたすら疑問に感じてました。 
口笛は上手かったけどね・・・。


「ライモンダ」
振付:マリウス・プティパ/音楽:アレクサンドル・グラズノフ
タマラ・ロホ スティーヴン・マックレー

出てきた二人の衣装にびっくり。 マックレーは蝶ネクタイに丈の短いタキシードに黒タイツ。 ロホはマックレーの衣装に合わせイヴニングを意識したようにも思えるロイヤルブルーでサテンっぽい生地の少し長めのチュチュ。
演目が「ライモンダ」としか書かれていないのでどのシーンを踊るのかと思っていましたが、バレエフェス用に3幕のライモンダとジャンのハイライトみたいな感じでアレンジしてあり、見せ場たっぷりでした。
ドンキでも二人のユニゾンが揃っていてとても美しかったのですが、音楽性に優れたこの二人、ライモンダでもその素晴らしさを遺憾なく発揮。 
ロホは女王然とした気品を漂わせながら一つ一つのステップが丁寧で、心をこめて踊っているように見えました。 安定感は抜群だし、最後に見せてくれた3回転も入れたフェッテや高速シェネで会場を盛り上げてくれました。
マックレーの踊りは本当にエレガント。 どうだとばかりにテクニックを見せ付けられるようなパでも自然な流れの中でさらっとノーブルにこなしてしまうのがなんとも言えず魅力的に映ります。 マネージュもザンレールも他のパと組み合わされていて難易度がもの凄く高そうなのに涼しい顔して・・・。 ラストのロホとの高速シェネ合戦も素晴らしかった。
バレエフェスという場でのショーマンシップを感じさせながらも、あくまでも格調高く、バレエ芸術の美しさ、素晴らしさを改めて感じさせてくれた二人に心から感謝です。 



<第2部>



「ロミオとジュリエット」より第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー

Aプロのクランコ版のセットでは前に降ろしていた階段がこちらでは横に降ろしてあった(笑)。 やっぱりこのパ・ド・ドゥだけを見るならロミオの熱い思いが迸るマクミラン版の方が私は好み。
コジョカルは、恥じらい、喜び、ときめきとロミオに恋した女の子を愛らしく演じていました。 踊りもしなやか。 コボーは踊りは上手いけれど、コンパクトに纏めすぎた気も。 体を伸ばしきってたっぷり見せるランベルセや跳躍などが好きな自分にはちょっと物足りなかったなぁ。 ロミオのそんなぎりぎりのラインがどうしようもなく高揚した想いを伝えていると思うのですよね。
ま、だからといって二人の惹かれあう気持ちが薄いわけではないのだけれど、生まれて初めての真剣な恋、初めて知った喜びに戸惑いながらも舞い上がる初々しい二人というより、落ち着いた幸せなカップルに見えてしまいました・・・。 


「ウィズアウト・ワーズ」
振付:ナチョ・ドゥアト/音楽:フランツ・シューベルト
オレシア・ノヴィコワ レオニード・サラファーノフ

サラファーノフの肢体の動きは柔らかく美しい。 ノヴィコワも丁寧にサラファーノフに合わせていて、後ろからひょこっと顔だけ出すところなどとても愛らしくてほのぼのした感じ。 
本来の8人4組、30分の作品だとどんなかんじなのでしょうね? サラファーノフが出演しているミハイロフスキー劇場のプロモーションビデオで少しだけわかりますが・・・。
http://www.mikhailovsky.ru/en/repertoir/without-words-ballet.html


「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:フレデリック・ショパン
アニエス・ルテステュ ステファン・ビュリョン

かなり辛口になっちゃいます。
アニエスはもともと翳りのある美人なのでマルグリットは合うだろうなと思っていたのですが、黒いマントに身を包み立ちすくんでいる彼女は、ちょっと大柄すぎるせいなのか病躯をおしてというようには感じられなかった。 ビュリョンは見た目は美しく繊細そうなアルマンなのだけれど感情の変化が読みとりにくく、アニエスのマルグリットに対峙できていないような。 相手を突き放し、辛い思いに耐え苦しむ毎日を送ってきていても互いを目の前にすれば、体の芯から湧き上がる愛しさを押さえる事ができないという激しい心の揺れがいまいち薄かったなぁ。
それ以上に気になったのは後半のリフト。 二人の動きが重くスピード感に欠けて心の叫びが聞えず物足りなさを感じました。


「ラ・シルフィード」第2幕より
振付:ピエール・ラコット/音楽:ジャン=マドレーヌ・シュナイツホーファー
エフゲーニャ・オブラスツォーワ マチュー・ガニオ

綿菓子のようにスウィートなオブラスツォーワにぴったりのシルフィード。 ふわんとした白のロマンティックチュチュがまた一層愛らしさを引き立てている。 
マチューは隋分久しぶりに見たような気がするけれど、踊りがとても安定してきてさすがのプレゼンス。 赤いタータンチェックのキルトも良くお似合いでした。
第2部最後の演目として、森のセットと東バのコール・ドがついた贅沢な上演だったのですが、めりはりのないまったりしたラコット版というのが惜しかったなあ・・・。
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