アマトリアン&フォーゲル「白鳥の湖」 1&2幕の感想
2012/06/15(Fri)
<第1幕>
のどかな雰囲気漂う村人たちの憩いの場に人々が続々と集まってくる。
王子登場の音楽で上手奥から若い男性ダンサーたちが次々に現れるのにまず面食らう。 ベンノと従者たちのようですが王子はいつ出てくるの?  ベンノのウィリアム・ムーア(プリンシパルなのに、なぜかプログラムに紹介がない)はハンサムという事で期待していたのに(笑)、付け揉み上げと髭のせいで素顔があまり分からず残念。 で、白鳥の湖ではみかけないちょっと老年のおばちゃんに?と思ったのですが、この人が家政婦なんですね? 家庭教師と二人、良い味を出していました。 こういう年代の人が入るだけで群衆シーンに落ち着きと深みが出るような気がします。 そこに全身をマントで隠した妖しい手相見が現れて、てきとーな占いで皆をからかったと思えば、マントを脱ぎ捨てて”ジャーン、僕はここだよぉ”、と屈託の無い笑顔でフォーゲル王子の登場。 サラサラ金髪をなびかせ爽やかな笑顔で道化の音楽に乗って弾むように踊るキラキラ王子様は、まぁ、なんつーか、まんまフォーゲルだよ・・・(笑)。 身体のコンディションも良さそうな感じ。 でも、祭典会員席なのにこの日は23列目で、フォーゲルが遠いよぉぉぉ(泣)
ベンノと従者の踊りはこの前だったか後だったか? お決まりのようなザンレール合戦もあり、皆けっこう踊れていましたが、やはり真ん中のムーアが良かったです。 

王子と娘たちのパ・ド・シス。 美しく上品なレースの衣装のせいか、町娘というよりは王子が連れてきた貴族の娘たちに見える。 ここまでも音楽はよくあるバージョンとは違う使い方をしていましたが、セルゲイエフ版では使われないパ・ド・シスを使ったここが、特定の曲に特定の振付のイメージが強かったりするせいか一番違和感が強かったかな? 王子が気の合った仲間たちと楽しく過ごすというシチュエーションとしては暗いし、不吉なメロディーだし・・。 王子を待つ悲劇の暗示なのかもしれませんが、ダンサーたちはにこやかな笑顔で踊っているのでやはりちぐはぐ感が否めず。 女の子だけのデュオやソロや、踊りが満載で楽しいというより、旋律から受けるイメージに合っていないと感じた振付の踊りは長くて退屈だった。 それでもソロを踊った子は上手いなぁと思ったら、プリンシパルのヒョ=ジュン・カンなんですね。
フォーゲルとPDDを踊ったカーチャ・ヴォンシュも手堅い踊り。 フォーゲルの踊りは最初からとても安定していて良かったけれど、コーダでの高い跳躍開脚の速さと柔らかさと美しさには思わず息をのむ。 回転も悪くはなかったけれど、ともかくフォーゲルは跳躍系の脚がとても美しい。 

王妃の登場。 浮かれ騒いでいる王子に小言を並べる王妃。 ゴブレットを後ろ手に隠し、軽く首を振りながら後ずさりし、さり気なくお付きの者に渡し、「ほら、何も持っていませんよ」と両手のひらを見せる王子。 後ずさりしていくフォーゲルの表情が大きな犬に睨まれた子犬のようで・・・、この何気ないシーンがなぜだかすごく目に焼きついています。
こんな所までわざわざ小姓たちに候補の姫たちの肖像画を持ってこさせ 明日の舞踏会でこの中から花嫁を選べというのも・・・。 王妃としては今日は城でゆっくりお見合い写真を見せながら明日の心得でも説きたかったところなのでしょうね。 そんなわけだから去り際、王妃は王子に手を取らせるけれど口付けはさせないで思い切り払いのけちゃうのよね。 このような場所にいる者の口付けなど受けませんよって事なんですかね? かなりご機嫌悪いようですね。(ただ、翌日のマッキーには口付けさせてから払いのけていた・笑)。

いきなり現実を突きつけられて憂鬱な王子。 踊りの輪から一人離れて木陰に佇む王子を残し人々は家路につく。 王子は暮れ行く空に見つけた白鳥の群れを追って湖へ。
姿が見えなくなった王子を心配して、ベンノと従者たち、家政婦や村娘が戻ってくる。 それぞれが手に持っているランプの暖色系の淡い光が綺麗でとても美しい情景でした。


<第2幕>
ロットバルトは西洋兜に長いマント。 どちらかといえば、2幕が見知らぬ騎士で3幕が邪悪な魔術師な雰囲気。
アマトリアンのオデット。 白塗りに目元が黒い化粧が生気のない生霊のようで、王子が一目で恋に落ちるほど神秘的でも魅力的でもないんだけどな。
ロットバルトに一旦二人が引き離されたあと、白鳥たちが出てくる。 暗い照明の下、湖をバックに水辺に生い茂る草陰から出てくるように見えてなかなか良かった。
その群れの中に王子を追いかけてきたベンノが飛び込んでしまい白鳥たちに囲まれる。 驚きうろたえるベンノはウィリたちに囲まれるヒラリオンのようで、このクランコ版白鳥では時折ジゼルの舞台がよぎります。
ベンノに弓で狙われた白鳥たちが身を寄せ合うようにして恐がっていると、2羽の白鳥が群れを庇いその前に立ちはだかる。 それでも弓を構え続けるベンノと従者たちの前にオデットが姿を現し、まさにベンノが弓を射ようとしたその瞬間、慌てて駆けよった王子がベンノを止める。  
このシーンが2幕では一番印象に残っているなぁ。 フォーゲルの走りこんで来る速さとタイミングとそこまでの緊張感がやけにドラマティックだった。 
グランアダージョは音楽が非常にゆっくり。 今まで見たどのグランアダージョよりも遅い。 遅いを通り越して間延びしている感じ。 アマトリアンははとても背中の柔らかいダンサーで、上体をゆっくり倒したりする動きはとても綺麗なのだけれど、足や指先の動きにそれほど繊細さがなかったので、このゆっくりとした音楽で見るのはやや苦しく感じられた部分もあった。 フォーゲルは自分の踊りの好調さに加え、サポートも安定していたと思います。
王子は純粋な気持ちを真っすぐにオデットに向けるけれど、オデットの心は固く閉ざされているようで、思いはなかなか通い合わない。 抱き寄せていたオデットが彼の腕からすり抜けるたびに、オデットの腕や指先に最後まで愛しそうに優しく触れていたのがとても印象的。
コール・ドは最初のうちはばたついて見え、幻想の世界という趣はなかったけれど、オデットと王子の踊りを邪魔するような煩さもなかったし、フォーメーションは綺麗だったと思います。 
2羽の白鳥の一人の森田さんは長身でスタイルもよく、踊りがたおやかでした。 4羽は個々の間隔がところどころ乱れたような記憶がありますが、ここだけはどのバージョンも変更なしですね♪


◆第1幕 王子の城近◆

ジークフリート王子:フリーデマン・フォーゲル
ウォルフガング(家庭教師):オズカン・アイク
家政婦:リュドミラ・ボガート
ベンノ(王子の友人):ウィリアム・ムーア
従者たち:ロマン・ノヴィツキー、ブレント・パロリン、デヴィッド・ムーア、ローランド・ハヴリカ
町娘たち:カーチャ・ヴュンシュ、ラケーレ・ブリアッシ、
       カタジーナ・コジェルスカ、エリサ・バデネス、ヒョ=ジュン・カン
王妃(摂政):メリンダ・ウィザム


◆第2幕 湖畔◆

ロットバルト(邪悪な魔術師):ニコライ・ゴドノフ
オデット(魔法をかけられた王女):アリシア・アマトリアン
二羽の白鳥:森田愛海、ラケーレ・ブリアッシ
小さな白鳥:エリサ・バデネス、カタジーナ・コジェルスカ、
        ジュリー・マルケット、アンジェリーナ・ズッカリーニ
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<第1幕>のどかな雰囲気漂う村人たちの憩いの場に人々が続々と集まってくる。王子登場の音楽で上手奥から若い男性ダンサーたちが次々に現れるのにまず面食らう。 ベンノと従者たちのようですが王子はいつ出てくるの?  ベンノのウィリアム・ムーア(プリンシパルなの?... …
2012/06/19 19:22  まとめwoネタ速neo
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