ボリショイ・バレエ団「ライモンダ」 2月7日の感想
2012/02/12(Sun)
東京文化会館 : 一階9列15番

ライモンダは、物語としてはとてもシンプルだけれど、ソリストやコール・ドが踊りの美しさ・技巧とともに、踊りを言葉代わりに様々な感情を伝えてくれるとても見応えのある作品で、大好きなバレエ作品の一つ。
ボリショイの舞台美術はシンプルだけれど、重厚感のある上品なつくりで、踊りのために広く場所を開けながらも、高く伸びた柱と両脇奥にしつらえた階段で空間の広がりを感じさせている。 そして衣装も落ち着いた色調で素晴らしく美しい。

ジャンのルスラン(スクヴォルツォフとタイプするのはちとめんどう)が登場。
え、ヤフニューク??と思ったほど雰囲気が似ていて若干うろたえる(笑)。 さっと上げた両腕や一挙手一投足がなんてそっくりなのだろうと思いだしたら止まらない・・・。 ヤフニュークがマールイの中で踊っている時にはそれほどモスクワ系という事を意識した事はなかったのだけれど、ボリショイのダンサーのクラシックを見てしみじみ感じてしまいました。 (休憩時間にヤフニュークファンの方と同じ思いを確認し勝手に盛り上がってしまった。)
で、そのルスラン、どーもピルエットのサポートが上手くないのか、そのたびにマーシャを傾かせていましたが、リフトは特に問題なかったし、ライモンダに向けるとろけた表情、目の奥まで覗き込むような優しい表情がとてもいい。 踊りも端正でノーブルでけっこう好みのタイプです。 昔、たしかルンキナとガラで踊った時にもいいなと思ったことを思い出しました。
ボリショイのジャンといえば、長~い白マントですが、ルスランはマントが鬼門なのか、早々に誰か(本人?)に踏まれたり、マーシャのリフトでマントがひっかかったりと散々でしたね。 マント姿に関してはふたりの騎士(衣装は黒&ゴールド?)の方が身長もあって全然似合ってましたね。 短髪のカリムがかっこ良かったです(笑) 

下手奥の階段を駆け下りてきたマーシャのライモンダ。 あたりがパァ~っとさらに明るくなった感じ。 一心にジャンを見つめるキッラキラなライモンダのはにかむような表情がほんとーに可愛い!!
グリゴロ版のライモンダは1幕冒頭からジャンが出てきてソロも踊るし、ライモンダとのパ・ド・ドゥがあるのがいい。 そしてジャン自身がライモンダに結婚の誓いと庇護の象徴である白いヴェールを渡して出征していくというのがきちんと描かれているのもいいですね。 ライモンダとジャンの絆をしっかり目に刻む事でその後の展開がよりスリリングに映ります。

5つあるライモンダのヴァリエーションは、マーシャにはその順番通りにどんどん彼女に合ったタイプの踊りになっているように感じました。 最初のピチカートはとても意識的に丁寧に細やかに踊っていたような気がします。 ヴェールのヴァリではヴェール捌きがややシャープすぎるかとは思ったけれど、マーシャらしいといえばマーシャらしい。

シプーリナとニクーリナはどちらもダンスは上手いです。 ラインや踊りの好みはニクーリナですが、役を踊るという意味ではシプーリナの方が見せ方も上手く、周りとの呼吸もあっていて一日の長というか、さすがプリンシパルという感じでした。 2幕でアブデラフマンの濃厚なアプローチを受けているライモンダを気遣う様子など細かいところまでしっかり演じていたと思います。
なぜそういう役名なのか?な感じの吟遊詩人のラントラートフとロヂキン。 スパルタクスの4人の羊飼いでひっじょ~に気になったデニス・ロヂキンが吟遊詩人にキャストされていたので楽しみにしていたのですが、あの目の化粧は? サラサラナチュラルヘアを上げて固めてしまうと雰囲気もけっこう変るんですね~。 こうやって二人並んでしまうと、ラントラートフの所作の美しさと隙のなさが目立ちました。 ロヂキン、腕が遊んでいる事が多かったすね。 ですが、まだコール・ドのロヂキンがプリンシパルのシプーリナと組んじゃうという事自体が凄いですよね。 ツアーで十分なダンサーがいないというのもあるのかもしれないけれど、期待の若手なんでしょうね~。 踊りはジャンプが高く、アントルラッセの後ろの足の高さも十分で目を惹き付ける踊りですが、細かいところはまだ・・・という具合なので、今後の成長が楽しみです。 2幕のヴァリエーションは二人とも良かった。 ラントラートフはノーブル系できっちり美しく、ロヂキンは多少粗っぽいけれどダイナミックさは魅力。 ま、個人的好みとしてはラントラートフですが(笑)

1幕で、中央に吊られている紗幕の後ろに重なるようにして身をかがめていたコール・ド・ダンサーにほの暗いスポットライトが当てられて始まる夢の場の演出はとても美しく幻影的。 スタイルの良いダンサーばかりで本当に眼福。 ヴァリエーションは二人とも上手かったですが、スケールの大きな踊りが目を惹いた第1ヴァリのアリザーデが良かったです。
この夢の場でのライモンダとジャンのパ・ド・ドゥもリフトの失敗はあったものの、ルスランのぞっこんスウィートな優しい眼差しが良かったですね~。 心細くなっているライモンダの淋しさを払拭させるような表情でした。

2幕のディヴェルティスマンもダイナミズムに溢れていて素晴らしかったです。 サラセン人の女の子たちの膝下、なんであんなに棒のようにまっすぐな綺麗な足なんでしょう!! 色香も爆裂していたスペインの女性は、みんなボルチェンコだよってくらい長身のダンサーが大きく踊るのですごいパワーだったな~。

ロブーヒンのアブデラフマン。 あるガラ公演のドンキPDDで彼のさり気なく熱い仕草を見て以来、ロブーヒンの演技は気に入っているのですが、今回も真っ直ぐに想いをぶつける一本気なアブデラーマンを好演。 自分がサラセンの王だとか、財力を見せ付けるとかそういうのは全く心になく、狂おしいまでにライモンダに魅せられてしまった高潔な騎士アブデラフマンでしたね~~。  決闘に敗れ息絶え絶えの苦しみの中、最後までライモンダへの想いを伝えようとする姿には思わずジンときてしまった。
そして踊りの方は、話したくも思い出したくもないほど辛い怪我をしたという彼の状態はどうなのだろうと、心配モード目線だったのですが、大技を組み込みながらも気負いのない踊りだったと思います。 ガンガンなスパルタクスを見た後のせいか、ロブーヒンの踊りには周りのダンサーとはなんとなく違う柔らかさと美しさを感じました。

マーシャのライモンダは一見険しい嫌悪の表情に見えたけれど、真っすぐに強烈なアブデラフマンの情熱に揺さぶられそうになるのに怯えているようにも見えました。 あまりにもジャンと違いすぎるしね。 ここでのヴァリは彼女らしいシャープさとダイナミックさが冴えていたと思います。 一人で回るピルエットは軸がびくともしない(笑) 

3幕グラン・パの8組のダンサーは、ツアーも後半でお疲れなのか、ややばらばらでリフトもびしっとは決まっておらず、期待していたほどではなかったです。 でも、見目麗しいダンサーばかりで、夢の世界である事は間違いないなぁ。 
そして男性カトル。 男同士の芝居っ気は良かったのだけれど、いざザンレール合戦が始まると、驚くほどの総崩れで、マールイの2009年のライモンダを超えてしまってましたね・・・。
しっかし、そんなものを吹っ飛ばしてくれたのが、マーシャの圧巻中の圧巻なヴァリエーションでした。 光沢のある薄藍色のチュチュというのはライモンダの結婚式では意外な気がしたけれど、これがマーシャにめっちゃくちゃ似合っていてとっても華やかでした。 堂々たる風格と気品と強さと周りの人を幸せに導くような天分を感じさせる素晴らしい踊り。
ルスランのヴァリも美しくて見事でした。 あの空中で片足を伸ばしたままのポーズを決めるジャンプ、ふっと浮いたままキープされる時間が長くてため息ものだったなぁ。 
グラン・パが終わると、ドリス夫人やアンドリュー2世と喜びを分かち合うというようなシーンもなく、主役の二人が舞台奥の壇上に上り、サクサクとジ・エンド!でしたが、大満足な舞台でした。

実は、前回の来日までは、マーシャは大好きでも、バレエ団自体にそれほど思い入れはなかったのですが、今回の来日公演でマリインカと並ぶ(マールイは別格だから・・・)大好きなバレエ団になりました♪





ドリス伯爵夫人シビル:エカテリーナ・バリキナ
ライモンダ(その姪):マリーヤ・アレクサンドロワ
アンドラーシュ2世(ハンガリー国王):アレクセイ・ロパレーヴィチ
ジャン・ド・ブリエンヌ(ライモンダの婚約者の騎士):ルスラン・スクヴォルツォフ
アブデラフマン(サラセンの騎士):ミハイル・ロブーヒン
クレマンス(ライモンダの友人):エカテリーナ・シプーリナ
アンリエット(ライモンダの友人):アンナ・ニクーリナ
ベルナール(吟遊詩人):ウラディスラフ・ラントラートフ
ベランジェ(吟遊詩人):デニス・ロヂキン
執事:アレクサンドル・ファジェーチェフ
ふたりの騎士:エフゲニー・ゴロヴィン、カリム・アブドゥーリン
第1ヴァリエーション( ライモンダの夢の場面):チナーラ・アリザーデ
第2ヴァリエーション( ライモンダの夢の場面):ダリーヤ・コフロワ
6人の踊り手:マリーヤ・ヴィノグラードワ、マリーヤ・ジャルコワ、アンナ・オークネワ、
オルガ・マルチェンコワ、ユリア・グレベンシコーワ、アナ・トゥラザシヴィリ
サラセン人の踊り:ユリア・ルンキナ、デニス・メドヴェージェフ
スペインの踊り:クリスティーナ・カラショーワ、マリーヤ・ジャルコワ
マズルカ:クリスティーナ・カラショーワ、アントン・サーヴィチェフ
ハンガリーの踊り:アンナ・レベツカヤ、アレクサンドル・ヴォドペトフ
グラン・パ:マリーヤ・ヴィノグラードワ、ユリア・グレベンシコーワ、オルガ・マルチェンコワ、
      アンジェリーナ・ヴォロンツォーワ、アンナ・オークネワ、アナスタシア・ソーボレワ
      ヤニーナ・パリエンコ、スヴェトラーナ・パヴロワ
      カリム・アブドゥーリン、アルテミー・ベリャコフ、デニス・ロヂキン、
      ミハイル・クリュチコフ、バティール・アナドゥルディーエフ、ミハイル・コーチャン
      マクシム・スーロフ、エフゲニー・ゴロヴィン
4人の踊り手のヴァリエーション:アルテミー・ベリャコフ、デニス・ロヂキン、
                カリム・アブドゥーリン、ミハイル・クリュチコフ
ヴァリエーション:ダリーヤ・コフロワ
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コメント
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ボクも同じ日に見たんだよ。金ぴかミニスカ兄ちゃんのジャンも見たかったなあ。
2012/02/13 21:47  | URL | シロジャビ #YvEbeA.k[ 編集] ▲ top
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2012/02/13 22:22  | | #[ 編集] ▲ top
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シロジャビ君、

そ~なんですよね。 できれば2日間見たかったなぁ。 せめて金・土とかだったら良かったのに。
2012/02/14 23:04  | URL | M #il9tusdg[ 編集] ▲ top
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鍵コメを下さった方へ、

ね~~、ライモンダ素敵だったですね~~。
欲を言えば、白鳥とライモンダの順番が逆だったらなぁ~なんて。
で、もう一つの方ですが、ちょっと、う~~~む、どうしたものかってところもあるんですよ・・・。
2012/02/14 23:05  | URL | M #il9tusdg[ 編集] ▲ top
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