「マニュエル・ルグリの新しき世界II Aプロ」 7月16日の感想
2011/07/31(Sun)
<第1部>
「ホワイト・シャドウ」
振付:パトリック・ド・バナ 音楽:アルマン・アマー
マニュエル・ルグリ、パトリック・ド・バナ
吉岡美佳、上野水香、西村真由美
松下裕次、氷室 友、小笠原亮、宮本祐宜、岡崎隼也
高木 綾、奈良春夏、川島麻実子
梅澤紘貴、谷口真幸、井上良太、杉山優一、中村祐司
吉川留衣、矢島まい、渡辺理恵、河合眞里、河谷まりあ

バナの作品だし1時間もあるコンテという事で、見る前はちょっと心配だったのだけれど、意外にも飽きる事無く楽しむ事ができました。
それは多分に美佳さんのおかげだと思います。 5列目センターというオペラグラスも全く必要のない至近距離で見ることができたせいもあるけれど、舞台上というかこの作品の中で一人異種な存在、すべてを見ながら時空を彷徨っているような美佳さんの表情と身体での表現にすっかり引き込まれました。 1時間あの役に入り込んだ精神状態をコントロールできる事って凄いんじゃないかと思います。
今回のA,B両プログラムの中でルグリの事を改めて特別なダンサーだと感じたというか感動したのは、実はこの演目。 マノンやオネーギンでの素晴らしさは言わずもがなですが、単純に人が踊る姿の美しさ、眩しさみたいのを感じたのがこの演目だったのでした。 まだまだいけますね~~。 
東京バレエ団の面々もとても良かったと思います。 特に男性5人チームの真ん中を務めた松下さんの充実振りに感心。 まぁ、ちと水香ちゃんは、踊りは良いのですが、ずっと同じ顔で固まっていて何気に恐かったな。 その振付で表現したい気持ちや状況、音楽の旋律にかきたてられる感情で自然と出てくる身体や顔の表情ってあると思うのですが、そういうのがあまりなくてちょっと不思議。 クリアチュアの時はいいなと思ったのになぁ。  ルグリにはそういう面でもとても素晴らしいと思ったのです。 


<第2部>
「海 賊」
振付:マリウス・プティパ 音楽:リッカルド・ドリゴ
リュドミラ・コノヴァロワ、デニス・チェリェヴィチコ
コノヴァロワは前日よりも今日の方が、踊りが安定していて、グランフェッテもダブルを入れながらほとんど動かず一点で回っていました。 ヴァリはガムザッティの方で、コノヴァロワの雰囲気にはこちらの方が合っているような気がします。 
チェリェヴィチコ(打ち難い・笑)には、コノヴァロワは少し大きいかな? 少年のようにあどけない笑顔がサポートでは時々真顔になっていたような。 踊りには少し力みも感じられたけれど、スピードに乗ったマネージュと540二連荘で会場を沸かしてました。 あれで一気に盛り上がってラストまで駆け上がったように思います。 


「マノン」より 第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン 音楽:ジュール・マスネ
バルボラ・コホウトコヴァ、フリーデマン・フォーゲル
軽快に筆を走らせていたルグリとは対照的に、ペンを持ったままぽぉ~っと幸福に浸っているようなフォーゲルを見たとたんちょっと噴出してしまった失礼なアタクシです。
ベッドの天蓋の柱に寄りかかりながらデ・グリューを見つめるコホウトコヴァの蠱惑的な視線にちょっとぞくっと。 手紙を書く手を邪魔してベッドに誘おうとする姿も小悪魔的で、こんなマノンじゃフォーゲルのデ・グリューにゃ、太刀打ちできないなと(笑)。 そしてフォーゲルの真っ直ぐさがすこぶる気持ち良く、この瞬間をまさに至福のひとときと思わせてくれた。 前日のチャイパドの時にはいまひとつしっくりこなかった二人だったけれど、この日は息もよく合っていてリフトも鮮やかに決まり、それぞれの踊りも演技も良かったです。 


「アレポ」
振付:モーリス・ベジャール 音楽:ユーグ・ル・バル
ミハイル・ソスノフスキー
初見。ソスノフスキーのワイルドさと押しの強さが上手くいかされている作品。 好みなタイプではないですが、良いダンサーだなと。 


「ラ・シルフィード」第2幕 より
振付:ピエール・ラコット(タリオーニ版に基づく) 音楽:ジャン=マドレーヌ・シュナイツホーファー
ニーナ・ポラコワ、木本全優
東京バレエ団
森の背景付き。 コンテミックスのガラだとこういう舞台装置のある古典作品は嬉しいし、作品世界に入りやすいです。 森の中のシルフィードたちの白い衣装を見ているだけで、なんだか涼しく心地よくなってくる気がしました(笑)。
ポラコワのシルフは大人無邪気に色っぽいというか・・・。 足音も消しながら細かいステップを綺麗に踊っていたと思います。 回転バランス系ガラ常連演目ばかりを踊ったコノヴァロワとは対照的にいろいろな顔を見せてもらったポラコワでした。 
木本さんは、こちらも妖精ばりに軽やかな身のこなしで爽やかです。 アントルシャの連続も高いジャンプで綺麗に決まってました。 来年のカンパニーの公演ではどんな役で見られるでしょうかね? 楽しみです。


「白鳥の湖」より"黒鳥のパ・ド・ドゥ"
振付:マリウス・プティパ/ルドルフ・ヌレエフ 音楽:P.I. チャイコフスキー
リュドミラ・コノヴァロワ、ドミトリー・グダノフ、ミハイル・ソスノフスキー
ヌレエフ版という事で楽しみにしていたのは、当然の事ながらマント姿の麗しいロットバルト。 ソスノフスキー、NBSのサイトやチラシで顔写真だけを見ていたときは、その男っぽい面構えに勝手にツァルのようなスタイルを想像していたのだけど、それほど体型には恵まれていないのですね。 マントが自分の物ではないのか、丈が長めで、いきなり顔にかぶちゃったりマント捌きにちょいと苦労しているようでした。 でも、スピード感あるマネージュやちょっと冷ややかな眼差しやさり気ないオディールとの結託ぶりは良かったです。
コノヴァロワは個人的にはこの演目が一番好みだった。 涼しい顔してジークフリートをちゃんと手玉に取っているし、目の表情が鋭いのがいい。 デコルテが切り込みで隠れるようなデザインのチュチュも彼女に似合っていて・・・というか、コノヴァロワはダンサーとしてはかなり豊満なバストなので、スタンダードなデザインの上半身だとその体型が気になってしまい・・・。 
グダーノフは前日よりは良かったと思うけれど、踊りの方はあまり好調ではなかったです。 何気ない仕草は優雅で美しかったですが、正直なところボリショイのプリンシパルとしては物足りなかったかな。   


「ファンシー・グッズ」
振付:マルコ・ゲッケ 音楽:サラ・ヴォーン
フリーデマン・フォーゲル
東京バレエ団
筋肉ってあんなに細かくきれいに割れるんですね。 ライトに照らし出されたフォーゲルの上半身がとても美しかったです。 同じゲッケの振付と照明使いにBプロのモペイと似たような印象もありますが、フォーゲルの踊りのスケールの大きさとノリの良さで見応えのある作品になっていたと思います。 サラ・ヴォーンの渋いヴォイスもいい具合に効いていたなぁ。
カーテンコールでは観客の熱い拍手に応えて3度も出てきてくれて、その度に満面の笑顔と真摯な眼差しを客席に向けるフォーゲルに、こちらもなんとも満ち足りた気持ちになりましたことよ!


「オネーギン」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ 音楽:P.I. チャイコフスキー
マリア・アイシュヴァルト、マニュエル・ルグリ
ほぼ前日と同じ感想です。 昨日以上にタチアーナの決別の苦しみが伝わってきたような気がしますが、やはり2日間続けると前日ほどのピュアな感動はないというか・・・。 
来年のシュツットガルト・バレエ団の来日公演での演目は「白鳥の湖」と「じゃじゃ馬慣らし」とすでに発表されていますが、「オネーギン」も追加してくれたらいいのになーと思わずにはいられない、そんな二人のPDDでした。



フォーゲルのチャイパドをもう1回見たくてチケットを買い足したかったけれど、マールイ以外で3連休中に2度も家を空けるってのも気兼ねがありまして諦めましたが、両日とも良い公演で楽しむ事ができました。
一度は中止に追い込まれそうになったこの公演を実現してくれたルグリには心からの感謝の気持ちでいっぱいです。 6月に寄せられた彼からのメッセージを再び読み返し、改めてこの公演を見ることができて良かったと思いました。 また、急遽参加となったパトリック・ド・バナもホワイト・シャドーのリハのため、ずい分前から来日して熱心に稽古をつけてくれたそうですし、地震、空気、水、食べ物と不安だらけの日本に来てくれたすべてのダンサーと関係者にも感謝です。
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