「マニュエル・ルグリの新しき世界II Bプロ」 7月15日の感想 
2011/07/18(Mon)
<第1部>
「ビフォア・ナイトフォール」
振付:ニル・クリスト 音楽:ボフスラフ・マルティヌー
ニーナ・ポラコワ、ミハイル・ソスノフスキー
高村順子-宮本祐宜、佐伯知香-松下裕次、吉川留衣-長瀬直義
2007年のルグリガラで見た時同様、、「この楽曲が漂わせる激しい叙情性、迫り来る破滅に立ち向かう我を忘れた生を賭けた戦いのリズムを視覚的にーだが抽象的な方法で表現する事を試みた」というテーマを、「おぉ、そうか!」と感じる事は出来なかったのですが、ダンサーの踊りは皆良かったと思います。 ソスノフウキーもポラコワもあまり大柄ではないので、東バのダンサーたちと一緒の舞台で違和感なかったですね。


「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ/ルドルフ・ヌレエフ 音楽:レオン・ミンクス
リュドミラ・コノヴァロワ、デニス・チェリェヴィチコ
ヌレエフ版のドン・キホーテを見るのはものすご~~く久しぶりです。 そういえば、2003年の光藍社のヌレエフガラでクチュルクとミハリョフが確かヌレエフ版を踊ったんでしたよね。
2010年にウィーン国立バレエに移籍したコノヴァロワは、モスクワ・バレエアカデミー卒業後、ロシア国立バレエ団に入団、2年目でプリンシパルに昇進して多くの古典作品で主役を踊ってきたダンサーとの事です。 しなを作るような首と肩の独特な動きがちょっと気になったりもしましたが、舞台上では堂々としたプレゼンス。 若干安定さには欠けますが(翌日はもっと良かった)、回転やバランスなどテクニック的見せ場の多い作品担当ダンサーのようです。 
チェリェヴィチコは多少エンジンのかかりが悪かったところはありましたが、跳んで回って元気系路線で、ベルリンのタマズラカル的ポジションなダンサーですね。  


「モペイ」
振付:マルコ・ゲッケ 音楽:C.P.E.バッハ
木本全優
マルコ・ゲッケという振付家の作品は多分初見。 ロシア系の公演ばかり見ていたらなかなかお目にかかれないユニークな振付家ですね。 細かい動作というか痙攣したような身体の動きが印象的。
黒いパンツに上半身裸のダンサーが背景も黒の中でスポットライトを浴びながら踊るというのも視覚的に効果があって、腕や上半身の動きの残像がとても綺麗なんですよね。 木本さんはこの公演で初めて知りましたが、華奢ではあるけれど、手足が長くてスタイルの良いダンサーです。 10分はなかったのかもしれないけれど、ずっと激しく動きっぱなしなのに、スタミナが切れた様子もなく体全体でのコミカルな表現も上手かった。 最後、天井を向いてふっと息を吐くと照明が消えてジ・エンドなのですが、その姿もキュート。


「椿姫」より 第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フレデリック・ショパン
マリア・アイシュヴァルト、フリーデマン・フォーゲル
ウィーンの3人の男性ダンサーの後に出てきたフォーゲルを見て、今の時点ではいろいろな意味での格の違いを感じた次第です。 体のラインも踊りも、いや、ほんとに美しいです。
フォーゲルには世間知らずで純粋で一途な愛を注ぎ込むアルマンは合うだろうと思っていましたが、まさにぴったりでした。 この後に待ち受けている悲運の足音など全く感じさせないアルマン。  
アイシュバルトは瞬間瞬間に今の幸福をじっくりかみ締めているのがアルマンに向ける眼差しに読み取れるマルグリッド。 
それぞれはとても良かった二人ですが、最後には、ほわんとした人の良さが滲み出てしまっているようなフォーゲルのアルマンと人生の刹那を感じさせるようなアイシュバルトのマルグリッドが微妙にかみ合っていないというような印象も受けた。 


「クリアチュア」
振付:パトリック・ド・バナ 音楽:デム・トリオ(トルコの伝統音楽)、マジード・ハラジ、ダファー・ヨーゼフ
上野水香、パトリック・ド・バナ
水香ちゃんは、やはりクラシックよりもこういう解放的な踊りの方が合っていると思います。 バナとのコンビネーションもとても良い感じ。
トルコの伝統音楽がベースになっているイスラムの色彩濃い音楽は好みだし、ダンスも音楽と良く合っていて良い作品だとは思いますが若干長い気もしました。


「マノン」より 第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン 音楽:ジュール・マスネ
ニーナ・ポラコワ、マニュエル・ルグリ
幕が上がり、机に向かいペンをさらさら走らせているルグリの若々しい姿にびっくり。 美しいタイツ姿も健在。 ポラコワのマノンはなんていうのか、あまりにも屈託がないというか陽性すぎるというのか・・・、マノンの感情ではなくて、こんな素晴らしい作品をルグリと踊れるなんて嬉しい、光栄ですっていう彼女の気持ちに思えちゃって、それはそれでとても好感が持てて微笑ましかったのですが、ドラマとしては、えーと・・・という感じでした。 なので、ルグリの踊りや表情が素晴らしくても物語としては入り込めなかったかな。



<第2部>
「サイレント・クライ」
振付:パトリック・ド・バナ 音楽:J.S. バッハ
パトリック・ド・バナ
先ほどのクリアチュアとこの作品でなんとなくバナの舞踊言語というか、彼の振付の特徴のようなものは分かったような気がします。 選曲が自分的には外れていないので助かってはいますが、一つの公演でいくつも見たい種類の踊りではないです。


「グラン・パ・クラシック」
振付:ヴィクトール・グゾフスキー 音楽:フランソワ・オーベール
リュドミラ・コノヴァロワ、ドミトリー・グダノフ
いつになったらテリョーシキナの呪縛から開放されるのだろう(笑)というほどに凄い刷り込みのある女性パート。 踊るダンサーを選ぶ作品なので、残念ながらコノヴァロワでは満足感はありませんでした。 でも彼女、バランスなどは得意なようですね。
コノヴァロワよりもこれでいいのか?と思ったのがグダーノフ。 いくら最近のモスクワの夏が暑いといっても日本のこの蒸し暑さはしんどいと思いますが、コノヴァロワへのサポートも大変そうだったし、踊りには精彩を欠いていました。 ただ、指先爪先は美しかったですし、着地音がほとんどしないのはさすがです。 


「カノン」
振付:イリ・ブベニチェク 音楽:オットー・ブベニチェク、ヨハン・パッヘルベル
デニス・チェリェヴィチコ、ミハイル・ソスノフスキー、木本全優
ウィーン3人衆の裸の上半身比べな作品(笑)・・・って嘘ですが、この3人、身長はさほど変らないけどあまりにも体型と踊りのタイプが違い、パッヘルベルのカノンながら3重カノン。 皆それぞれに踊りこなしていましたが、伸び伸び素直な踊りの木本さんが一番良かったかな? ソスノフスキーのワイルドな雰囲気も捨てがたいけど。
で、面白かったのはこの3人のカーテンコール。 とりあえず並びの順に木本、チェリェヴィチコ、ソスノフスキーの順にレヴェランスしてるんだけど、なんかちぐはぐで息が合ってなく、思わず笑ってしまいました。 残り2日は上手くいったかな?


「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン 音楽:P.I. チャイコフスキー
バルボラ・コホウトコヴァ、フリーデマン・フォーゲル
椿姫でも美しい踊りを見せてくれたフォーゲルですが、チャイパドはさらに素晴らしかった。 ロミオでもいいでしょという衣装に眩しいくらいの幸福感に包まれたフォーゲル。 大柄なダンサーにありがちなもっさり感も皆無で流れるように軽快に美しく音と戯れ、踊る楽しさを隠し切れないようなその笑顔はなに??(笑) 
コホウトコヴァはオールマイティなダンサーだと思うし、可憐で上手いのですが、この日は踊りのリズムというか波長がフォーゲルとは別物だったので、二人が代わる代わるソロを踊る度に目に見える音楽が変ってしまい、最後のリフトでは呼吸が合わなくてもたつくなど、淀みのない川の水の流れのようには見えなかったのが残念と言えば残念でしたが、とっても良かったです。  
フォーゲル、本当にいいダンサーになりましたね~。 彼の踊りをもっともっといろいろ見てみたいです。 来年のシュツットガルトの来日が楽しみ♪


「オネーギン」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ 音楽:P.I. チャイコフスキー
マリア・アイシュヴァルト、マニュエル・ルグリ
手紙を手に体の奥底から湧き上がってくる呼び覚ましたくなかった思いに打ち震えるアイシュバルトのタチアーナに目を奪われた瞬間から、もう物語に惹き込まれました。 ひたすら求め、すがるオネーギンの愛と、その想いに心を砕かれそうになりながらも決別に向かって振り切ろうと苦しむタチアーナの揺れ動く気持ちが、じわじわと切なく伝わってきてとても素晴らしいPDDでした。 初日はただもう感動。 見終わって、しばし呆然としてしまったほどでした。 
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