東京バレエ団「白鳥の湖」 6月18日の感想
2011/07/07(Thu)
東バの「白鳥の湖」、数回は見ている気になっていたのだけど、実はポリーナ&フォーゲル客演の1回しか見ていなかった事を公演後に確認した・・。 ありゃ、そうだったっけ? その後に他の演目でかなりここのバレエ団の公演を見ていて自分なりの親近感がありそんな気になってたんだわね。
以下、ぽちぽち書いていた感想です。


<1幕>
後藤さんはまっすぐ育った心優しい青年で村人からも家臣からも友人たちからも好かれている王子という、想像した通りのジークフリート。 

トロワは見慣れている版とかなり違う振り付けに時々目が驚いてしまうのは相変わらずだけど、よくまとまっていて良かったです。 吉川さんもこういうポジションでの踊りにもだいぶ落ち着きが出て来て着実にステップアップしている感じですが、自分的には乾さんのすっと広がりを見せて動く腕に目が留まりました。 松下さんもノーブルで柔らかな踊り。 しっかし道化とトロワの芯を踊るダンサーって珍しいよね。 

その道化の小笠原くん。 最初の踊りのフィニッシュが決まらなかったりと出だしは気持ちだけでなく体の方もけっこう緊張していたのではないかと思いましたが、だんだんとほぐれて踊りも表情も良くなったと。 最後のピルエットは高速を維持して軸も崩れず見事でした。 白鳥の道化といっても衣装やその色やダンサーの醸し出す雰囲気でその印象はかなりマチマチなのだけれど、全体的にパステル調の色彩の中にあって赤い衣装の小柄なダンサーが所狭しと動き回るのはけっこう目立つものですね。 どこにいても一生懸命な感じの道化でした。


<2幕>
岩山の頂に黒光りして動く物体。 ここのロットバルトの鉄の芯でも入ってそうなばっさばっさした大きな羽、やはり重そうだ・・・。

小出ちゃんオデットの登場。 深い悲しみに包まれてはいるけれど凛とした白鳥だ。 弓を持つ王子に驚いて飛び去ろうとせんばかりに大きく腕を羽ばたかせていたのが印象的。 その後の追いつ追われつのシーンはちょっと音楽が速いように感じた。 後藤さんの表情も良くて、運命の出会いという瞬間を感じただけにもう少しゆっくりとしたテンポの中でオデットが王子と向かい合うまでを見たかったように思う。 
小出さんは小柄だけれど頭が小さく体のバランスが良いので、一つ一つのポーズも美しく、長身のコール・ドの中にあっても女王然とした存在感がある。 そしていつにも増して爪先から指先まで旋律と一体となっている彼女のムーブメントが素晴らしかった。

コール・ドは、相変わらず元気がよいというか・・・。 セルゲイエフ版などと比べると動き自体が多いし速いし、肘や上半身の動きもシャープで、切り替えしのような動きも多いように感じる。 前回ポリーナとフォーゲルを見たときには主役ばかりを追いかけてしまいあまりコール・ドには目が行かなかったのだけれど、今回は後から考えるとしっかりコール・ドも見ていたように思う。 それは多分小出ちゃんのオデットが白鳥たちの群れに投げかけた視線のせいのような気がする。 ジークフリートに身の上を話す時に白鳥たちを振り返りながら思い詰めたような深刻な表情をしていたのが印象的で、オデットと白鳥たちの繋がりを今までになく感じたように思います。
もう一つの大きな理由は、マールイの新版の白鳥の湖がゴールスキー版に由来するからという事。 どれほど東バの白鳥たちと共通点があるのだろう、こんな風になるのか、あんな風にもなるのか・・・とちょっと否定的な目線で見てしまった。 

そんな気持ちも持ちながら見ていたグランアダージョでしたが、溢れんばかりの愛情をダイレクトに注ぐ王子に少しずつ心を開いていったオデットが最後に王子に静かに身を寄せた姿は美しかった。


<3幕>
前回フォーゲルと王妃様のやりとりにすっかりはまってしまい、ほとんど目が行かなかった花嫁候補の踊りも今回はちゃんと見られました(笑) 佐伯さんの踊りがメインっぽく、彼女の無敵な愛くるしさが炸裂してましたね。 あのマイム漫才な王子と王妃(よろしければこちらを)は何だったんだろうというくらいこの日の王子と王妃は普通でした。 そこにオデットの姿のない花嫁候補たちの踊りを空しそうに見つめる王子。 この中の誰が妃に選ばれるのかしらと穏やかで満足げな視線をなげる王妃様。 つまんね・・・。

オディールとロットバルトの登場。
やっぱりですね・・・、髭が似合っていい感じに男臭い柄本さんの胸にちょこっと可愛らしく付いてる黒鳥アップリケって・・・、萎えます・・・。 ファンファーレと共に颯爽と姿を現したと思った次の瞬間に「ええ~~~!!」だよ(でも、なんで木村さんが被っていたトナカイ兜は被らないんですか???)。

小出さんのオディールはジークフリーと手玉に取る事を楽しんでいる上品な悪女でした。 後藤さんの騙されっぷりもまたなんとも言えず自然で、絶妙のコンビネーション(笑)。
GPDDも小出さんは安定して磐石。 グランフェッテは後半けっこう移動してしまったけれど切れ味のよい回転でした。 一方後藤さんは、この日の公演を通して調子は良かったと思うし悪くはないけれど、クラシックとしてラインが美しいとは言えないのが残念でした。 ただ、小出さんのフェッテから続いた渾身のグラン・ピルエットはぶれることもなく綺麗に回っていたと思います。

ディベルティスマンはチャルダッシュのリードソリスト二人の切れがあってリズミカルな踊りが素晴らしかった。 特に西村さんの舞台をパッと明るくするような華やかさは、ディベルティスマンの一番手として相応しいですね。
スペイン。 木村さんと柄本さんは身長的には合っているのだけれど、ずいぶん体の厚みが違うなぁぁ、なんて事を思いながら見ているうちに終わってしまいましたが、やはりシャープでどこをとっても隙のない美しいラインを作っている木村さんの踊りが良かったです。


<4幕>
出の音楽はパ・ド・シスの3曲目。 白鳥たちの絶望と悲しみがより色濃く感じられる。 王子の裏切りに傷つきながらも白鳥たちを気遣うオデットとオデットを優しく労わるような白鳥たち。
オデットを追いかけ湖畔に戻って来たものの、白鳥の群れの中にオデットを見つけられず後悔と絶望に打ちのめされそうな王子。 そんな王子の姿にいたたまれなくなって姿を現し真っ直ぐな視線を返すオデット。 
オデットと王子の心が再び通い始めたのに気づいたロットバルトがオデットを奪い返しに来る。 ここまでの流れがとても自然で凄く説得力があったなぁ。 ただ、オデットが力尽き倒れた後の王子とロットバルトのジュテ合戦での闘いが二人ともスタミナ切れだったのかやや迫力と美しさに欠けた気がします。 スフォーゲルと木村さんの時は、こんな最後の最後に息をのむような見せ場があったのかと感動した覚えがあるんですよね。
ロットバルトの呪いが解けたオデットと王子が喜びに満ちて寄り添い幕。



小出さんの初役とは思えない堂に入った踊り、役作りにまたもや関心させられた舞台でした。 プライベートでもパートナーだからそれがそのまま舞台上のオデットとジークフリートの造形に繋がったというのではなく、それぞれの思い描く人物像を忠実に表現しながら物語を紡いでいったように思います。

いやしかし・・・、自分たちのバレエ団の白鳥として踊り継いで肌に馴染ませてきた東京バレエ団によるゴールスキー版「白鳥の湖」は良い作品だと思うのですが、ペテルブルグのマールイが・・・と思うとやはり複雑な気持ちになります。 湖畔のシーンがどれほど変わってしまっているのか・・・。 少しでもペテルブルグ派の様式美を継承していける作品であるよう望むばかりです。




オデット/オディール:小出領子
ジークフリート王子:後藤晴雄
王妃:松浦真理絵
悪魔ロットバルト:柄本武尊
道化:小笠原亮

【第1幕】
家庭教師: 佐藤瑶
パ・ド・トロワ:乾友子、吉川留衣、松下裕次
ワルツ(ソリスト):西村真由美、高木綾、田中結子、加茂雅子、小川ふみ、二階堂由依

【第2幕/第4幕】
四羽の白鳥:高村順子、村上美香、吉川留衣、河合眞里
三羽の白鳥:西村真由美、乾友子、矢島まい

【第3幕】
司会者:宮崎大樹
チャルダッシュ
(第1ソリスト):西村真由美-松下裕次
(第2ソリスト):村上美香、岸本夏未、氷室友、岡崎隼也
ナポリ(ソリスト): 河合眞里-小笠原亮
マズルカ(ソリスト): 奈良春夏、田中結子、宮本祐宜、長瀬直義
花嫁候補たち:乾友子、佐伯知香、阪井麻美、渡辺理恵、川島麻実子、大塚怜衣
スペイン:高木綾、矢島まい-木村和夫、柄本弾

この記事のURL | バレエ鑑賞記 2011年 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
<<オーストラリアのハイコストパフォーマンスなワイン | メイン | マニュエル・ルグリの新しき世界II イープラス特別企画券>>
コメント
コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top

トラックバック
トラックバックURL
→http://amlmlmym.blog15.fc2.com/tb.php/2251-032710e8

| メイン |