マールイ「ロミオとジュリエット」 12月8日の感想<2幕&3幕>
2010/12/25(Sat)
<2幕>
ロレンス神父の立会いで結婚式を挙げたロミオとジュリエット。 結婚の喜びのPDD。 ここのユニゾンとリフトはけっこう息が合っていた。 再び神父が現れて3人で片膝をついたようなポーズで踊るのだけれどこれは何を意味するのだろう? 神父の不安と迷い?

広場ではカーニバルが催され、マキューシオとタランテラが陽気に踊る。 アルジャエフがどうのという事ではなく、見せ場の多いマキューシオも、2回あるのだったらもう一日はポドショーノフとかでも見たかった役だ。 コール・ドも勢いよく弾けていて良かった。 ロミオとジュリエットも群集の中を楽しそうに走り回る。
そこに現れるティボルト、死、生の3人。 死というキャラクターの設定は理解できるにしても生ってのがわけ分からず。 だいたい生は死といる時は分かるけど一人でいると(いたのかな?)どこにいるかも何しているんだかも分からないし。 
一人で戻って来たロミオにティボルトが剣を差し出し挑発するが、ロミオは誘いに乗らない。 はっきりしない態度のロミオにいらだったマキューシオが剣を取りティボルトと闘う。 ここの剣舞もなかなか見応えあり。 ロミオというかコリパエフ、ぼく知らない・・・というわけではなかったが、もうちょっと真に迫った演技が欲しかった。 ロミオの傍らに仮面をつけに戻ったふざけ半分なマキューシオの隙だらけの背中を一突きにするティボルト。 いくらなんでもそれってないだろう・・・卑怯だぞ。 死にゆくマキューシオの踊りは周りのリアクションも含めてちょっと中途半端だったように思う。 時間も短かった? 変な言い方だけれど花道飾りきれずに死んじゃったみたいで、 成り行きがわかっていてもここはハラハラし、次第に気持ちが悲しく重くなっていくものなのに、そういう気持ちにもならなかった。 
マキューシオの死に驚くロミオの前に死が現れ逆さにした剣をブラブラさせてロミオの怒りと憎しみを煽り立てる。 必要ないというか邪魔な演出だ。 死から奪い取るようにして剣を持ったロミオはティボルトに襲い掛かり、激情にまかせてティボルトを刺し殺す。 ま、実際ティボルトの方が強そうでそんな風には見えなかったけれど、この辺以降はコリパエフの演技向上を期待します。 ごめんね、やっぱり演技の上手いマスロボエフで見たかったよ! 断末魔のティボルトはアブデラフマンさながらの熱演で、痙攣するわのた打ち回るわ這いずるわで執拗にロミオに挑もうとする。 でもそこにホワンとしたロミオが・・・。 温度差ありすぎのような。 あと、ロミオとティボルトの真剣勝負の間、全く他人事でマキューシオの亡骸を囲んで故人を偲んじゃっていた友達4人もなんとかならなかったのか・・・。  

騒ぎを聞きつけたキャピュレット夫人が現れ、動揺と驚愕露わにティボルトのもとへ駆け寄る。 壊れていく心を全身で表すノヴォショーロワさんの演技は圧倒的。 2年前のプレミアのキャスト表ではJuliet`s brotherとなっていたティボルトだが、今回のプログラムの物語解説では普通にジュリエットの従兄弟となっている。 ティボルトの死に嘆き叫ぶキャピュレット夫人の姿は、息子を失った母親とも愛人を失った女とも見えるけれど、確か1幕の舞踏会の場面で後者説を疑うようなそれっぽいシーンがあったように思う。
そのままマクミランばりの慟哭のシーンになって夫人の踊りかと思ったが、 駆けつけたジュリエットの激しい悲憤の踊り。  両手を上げて天を仰ぎ脚を高く上げ、がくっと体を崩す繰り返しにジュリエットの感情がよく表され、肢体の大きさもものを言っていた。 ジュリエットの悲嘆を目の当たりにし罪悪感と絶望で崩れ落ちるロミオ。 

<3幕>
ジュリエットの寝室。 忍び込んで来たロミオの姿に驚き、体を震わせ両こぶしを彼の胸に打ちつけて詰るものの、必死に詫びるロミオを突き放せるわけもなく、愛しさに負けて許すジュリエット。
別れのPDD。 中央奥に置かれた大きなベッドの上でのパフォーマンス、特にリフトはマットの弾力などで安定していないので何気に大変かと。 夜明けが近づきロミオはジュリエットに別れを告げ寝室を後にする。 この別れのシーンも寝室を二人で走り回った末にロミオが上手に捌けるという感じで、もう少し二人の心の切なさが溢れてくるような振付にできなかったのかと思ってしまいます。

ベッドに座り込み悲しみに沈むジュリエット。 焦点の定まらないうつろな瞳、それでも何とかしなければどうにかしなければと思いつめているようなペレンの表情がとても印象的だった。 友人たちが現れ、ジュリエットに婚礼衣装を着せる。 仕度が整ったところにキャピュレット夫妻がパリスを伴いジュリエットの部屋を訪れ、パリスとの婚礼を告げる。 そんな事はできないと、ジュリエットはヴェールを外し婚礼衣装を脱ぎ捨て、父親に結婚を取り下げてくれるよう泣きながら必死に訴える。 ジュリエットに拒絶されたパリスの悲しみの踊り。 ユリバリソフのパリスは動きは美しいけれどあまり感情は出さない。 一方、自分の足に縋り付く娘を振り払い、突き飛ばし、それでも泣き続けながら頑なに拒否しようとするジュリエットに激昂したキャピュレット候は、怒りを露に鞭で床をたたき、親に逆らう事など許されないのだと脅しながら凄まじい形相で寝室を出て行った。 ツァル、迫真の演技とかいう表現では片付けられないほどの激しさでした。 もう、何か乗り移っちゃっている感じ・・・。  

追い詰められたジュリエット。 絶望の中でロミオへの募る思いだけを支えに、父親にどうされようと自分はロミオと生きるという決意をこめたように両拳を振り上げては回転を繰り返すという、この場では珍しいようなジュリエットの力強い踊り。 ジュリエットは一幕から踊りまくりだけれど、ここへきてもペレンの踊りは本当に磐石だった。 しかもマイム代わりに踊りで感情をしっかり訴えられているところが素晴らしい。 
一縷の望みを抱いてロレンス神父の教会に向かうジュリエット。 神父は迷いながらもジュリエットに仮死状態になる薬を与える。 驚いて断ろうとするジュリエットに少しだけ飲ませて一瞬気を失わせ覚醒させるという人体実験的薬の説明がなんとも・・・。 説得力ありますかね? これならばと納得して急いで戻って来た自室に両親とパリスの姿が。 薬を飲む決心をしているジュリエットは神妙な顔で両親に結婚を承諾する意を告げる。 満足そうな顔の両親に相変わらず無表情のパリス。 けれどもパリスと手を取らされると一瞬にして不安になるのか、ジュリエットは躊躇し再びこの結婚から逃れようと父親にすがり出す。 父は取り合わず、母親も厳しい表情のままパリスを連れて部屋を出て行く。 この場のペレン、ツァル、ノヴォショーロワさん(どうしても「さん」がついてしまう)の演技は素晴らしかったです。 それぞれの立場というより家族としての切なさが悲しく伝わって来ました。  
ジュリエットには時間がない。 躊躇することなく思いがかなえられる事だけを念じて一気に薬を飲み干す。 薬が回り遠のく意識の中ベッドに倒れこむジュリエット。

ジュリエットの葬儀。 キャピュレット家の墓所では黒いマントに身を包み蝋燭を手にした人々がジュリエットの死を悼んでいる。 その人々のなかに紛れ込んだロミオは棺台に横たわっているジュリエットに近づき愕然とする。 
ロミオの嘆きのソロ。 肩倒立などの?というような振付もあったけれど、足を高く突き上げ、床を転げ回り、激しく踊る様にロミオのやり場のない悲しみや無念さなど様々な感情が感じられて、ここでのコリパエフは良かったです。 そして死を決意してジュリエットに口づけし、傍らで毒を呷り絶命する。
ほどなく目を覚ますジュリエット。 目覚めと新しい人生を与えられた事を実感するように深く呼吸をし、ロミオを捜し霊廟の中を走り回る。 棺台の下の階段に頭を下に仰向けに倒れているロミオを発見し、こぼれるような笑みで(逆さに倒れていれば、変だと気づくに違いないとは思うものの、これも演出なので仕方がないのでしょうかね? ま、暗がりの中、少し離れた所で見つければ分からないか?!)夢中で駆け寄りロミオを抱きしめるジュリエットの表情が凍りつく。 ロミオの亡骸を揺さぶり泣き崩れるジュリエット。 そしてロミオの短刀を手に取り迷う事無く胸を一突きにしロミオに重なるようにゆっくりと崩れ落ちていく。 
事の顛末と二人の本当の死を知らされた両家の人々は折り重なった二人の遺体を前に悲しみに打ちひしがれる。


                         - 幕 -


上演時間が休憩20分を含めて2時間ちょっと(ピーテルでの上演よりダンサーの人数が少ないので若干変更して短くしていると聞きましたが)という今回のヴィノグラードフ版は、物語や感情の機微を繊細に描写したつくりではないので、シェイクスピアの原作を脳内補足し、プロコフィエフの素晴らしい音楽、美しく悲しい旋律の助けを得ても、感動に浸りきれない部分がありました。 踊りまくり路線はこのままに、せめて二人の出会いの場、別れのPDDや最後のジュリエットの自害の場面はもう少し丁寧に描いたらどうだろう? キャピュレット候のあの激しさも、家長の強さ、名家に生まれた者の宿命を代弁するためなのかもしれませんが、あの鞭はどうなんだろうな(苦笑)。 なにせ、初めて見たときはあまりにびっくりしたもんで・・・。
ただ、この新作を手がけた2008年頃というのは、劇場が上演作品の短縮化(2時間くらいが好ましい)を推進しようとしていたように記憶していますが、オリジナル(と言ってもヴィノグラードフは1965年、76年、98年と3度も手がけているようなので比べる事に意味はないですね・・・)もこんな感じでけっこう独創的で短かったんでしょうかねぇ?
主役二人については、役作り的にも技術的にもお互い違うパートナーの方がいいだろうなと。 コリパエフはかなり華奢なので、今の体型だとリフト満載の振付作品でペレンレベルの身長のダンサーと組むのはきついだろうと思います。 ヤパーロワちゃんあたりだと、もっとリフトも楽々できるはずだし。
ま、そんなこんな、突っ込みどころは多すぎる作品でしたが、プレミア後もレパートリーとして定着しているこの作品を日本に持って来て披露してくれたのは良かったと思います。



ジュリエット: イリーナ・ペレン
ロミオ: ニコライ・コリパエフ
パリス: リシャート・ユルバリソフ
ティボルト: アレクサンドル・オマール
マキューシオ: ニコライ・アルジャエフ
生: ユリア・バラグロワ
死: エレーナ・イヴォルギナ
キャピュレット: ウラジミール・ツァル
キャピュレット夫人: アンナ・ノヴォショーロワ
モンタギュー: イリヤ・アルヒプツォフ
ヴェローナの領主: アレクセイ・マラーホフ
ロレンス神父: キリル・ミャスニコフ
ジュリエットの友人: ダリア・エリマコワ、マリア・グルホワ、ユリア・カミロワ、ヴィクトリア・ザリポワ
ロミオの友人: アンドレイ・マスロボエフ、マクシム・ポドショーノフ、ニキータ・クリギン、パーヴェル・ヴィノグラードフ
隊長: アレクセイ・クズネツォフ、デニス・トルマチョフ
タランテラ: オリガ・セミョーノワ
指揮:パーヴェル・ブベルニコフ
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2010/12/26 19:56  | | #[ 編集] ▲ top
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鍵コメを下さった方へ、

ありがとうございます。 悔しいような嬉しいような・・・(笑)
2010/12/26 23:51  | URL | M #il9tusdg[ 編集] ▲ top
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