オーストラリア・バレエ団「白鳥の湖」 10月10日の感想①
2010/10/13(Wed)
前回のカースティ・マーテイン、ダミアン・ウェルチ、ルシンダ・ダンの舞台と違った印象を受けたのは、舞台は一期一会、キャストが違えば生み出される物語は違うという至極当然な事以上に、それぞれのダンサーの役の解釈といろいろな意味での技量、それを受け取った自分が誰に惹かれるなり感情移入してしまうかという事によるものなのでしょうね。
結論から言ってしまうと、今回は王子のアダム・ブルにちょっと持っていかれてた自分がいました。

なんつーか、プロローグのロットバルト男爵夫人との情事の場面から、毒気が無くて不敵な感じがないんですよね・・・。 そこではちょっと困った意味でありゃ~~だったのですが、1幕の結婚式ではオデットに儀礼的な視線しか向けなかった前回のダミアン・ウェルチの王子とは違って、オデットを見る優しい目、さり気なくエスコートする姿に、この結婚は皇太子としての立場上受けざるを得なかった結婚ではないのだと思わせるものがあったのです。 
193センチのアダム・ブルと並ぶとかな~り小さく華奢に見える168センチのアンバー・スコットですが、可憐さとクールさの両方を持ち合わせたタイプの美人ダンサー。 招待客の前でウェディング衣装で軍服姿の王子と踊るオデットは恥じらいを感じながらも幸せに包まれた初々しい花嫁に見えました。 

ロットバルト男爵夫人のダニエル・ロウはスコットとは対照的にパッと華やぐ明るさで目鼻立ちのはっきりした美人。 真っ赤な口紅にちょっと開き気味の口元が最初は気になってしまったのですが・・・。 ルシンダのような強烈な印象はなく、話を知らないで見ていれば、王子と並んでいる姿を見ても、昔ちょっと何かあったくらいの二人にしか最初は見えず、今も続行中の関係が見えてきても、彼女の野望のようなものは感じなかった。 
オデットが王子とロットバルト夫人の関係に気づき、トロワを踊りながら感じ取ったのは、ロットバルト夫人の王子への女としてのただならぬ愛と自信だったのかもしれない。 それが繊細で気位の高いオデットのプライドを深く傷つけ、一気に狂気へと導いたような・・・。
いきなり側にいた若い男性の一人にキスをし、王子へのあてつけのように自棄になって次々に青年たちと絡んでいく姿は哀れみを誘うけれど、やっかいものを自分の手から振り払うように困惑している青年たちも気の毒で。 舞台上を所狭しと走り回り、フェッテで周囲の人々を蹴散らし、最後には王子にまで文字通り蹴りを入れてしまうオデット。 スコットの動きはとてもシャープでスピーディーでダンスとしては素晴らしいのだけれど、いささか勢いが良すぎるような・・・。 さらに、困り果てながらもなんとかオデットを落ち着かせようとする王子を見てしまうと、オデットの絶望に対する同情心も若干緩む。 この時点で完璧に王子に肩入れという意外な展開のじぶんでした。 

さて、脇ですが、
女王は上品な立ち振る舞いながらかなり威圧的で、オデットの事を気に入ってはいない様子の思い切り上から目線。 オデットの淫らな振る舞いには腹立たしさと呆れを露にし、サナトリウムの医者と看護婦が現れた時には、もう二度と私の前に顔を出すなと言わんばかりの態度でした。 ま、とーぜんと言えばとーぜんです。

チャルダッシュの黒基調に金のアクセントの効いた衣装は本当に綺麗です。 前回はあまり思わなかったのだけれど、曲の途中で四方から低姿勢でわらわらと現れるコール・ドは、他の出演者の淡い色調の衣装の中で異様に目立ち、かなりおどろおどろしく、この後のオデットの崩壊の暗示とも思えそう。

前回伯爵の侍従で切れのある踊りを見せていたすっきり系イケ面のマシュー・ドネリーは、今回は第一王女の夫役であまり踊らず残念。 前髪あたりに白いものが混じっていたのは演出?
第1王女と公爵の若い婚約者には日本人の方がキャストされていましたが、日本公演を意識しての事なんでしょうか? まだ皇室の一員ではない婚約者の躍動的で元気いっぱいの踊りと周りをあまり気にしない奔放ぶりが異色といえば異色。 ただ、それほど壊れたオデットには優しくなかったな(前回は彼女だけが最後までオデットを心から心配していたような記憶があり・・)。

オデットがサナトリウムに連れていかれ、すべての人が去った後に二人きりになる王子とロットバルト男爵夫人。 夫人が上手手前の少し高いところに置かれた椅子に座り恭しい王子のキスを受けるシーンは前回もありましたっけ? 椅子としては普通の椅子だったけれど、玉座というか地位を表すものなのでしょうが、そこに座ってさえ、ダニエル・ロウからは野心とか驕りのようなものは見えなかったですねぇ。
この記事のURL | バレエ鑑賞記 2010年 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
<<光藍社さんのサイトにもナチョ・ドゥアト | メイン | ローランド・サラビア 怪我でキャンセル>>
コメント
コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top

トラックバック
トラックバックURL
→http://amlmlmym.blog15.fc2.com/tb.php/2034-7b183207

| メイン |