ディファイアンス
2009/10/02(Fri)
「ディファイアンス」
原題: DEFIANCE (2008年 米 136分)
監督: エドワード・ズウィック
出演: ダニエル・クレイグ、リーブ・シュライバー、ジェイミー・ベル、アレクサ・タヴァロス
鑑賞日: 9月5日 (DVD)

ディファイアンス

第二次世界大戦さ中の1941年。ナチス・ドイツの迫害はポーランドの小さな田舎町まで迫っていた。両親を殺されたユダヤ人の、トゥヴィア(ダニエル・クレイグ)、ズシュ(リーヴ・シュレイバー)、アザエル(ジェイミー・ベル)のビエルスキ兄弟は、復讐を胸にポーランドに隣接するベラルーシの森に身を隠す。やがて森には、ドイツ軍の迫害から逃げてきたユダヤ人が次々と助けを求めて集まってくる…。食料難、寒さの中、人間らしく生き抜くことを心に決め、肉体も精神も極限状態の日々を過ごしていた。(goo映画より)

ディファイアンス1


第2次世界大戦中に多くのユダヤ人の命を救ったオスカー・シンドラーと杉原千畝についてはドキュメンタリーなどで取り上げられる事も少なくはないので何度か見ているけれど、レジスタンスを続けながら自分たちの命を守ろうとしたユダヤ人の苦難にフォーカスを当てた作品は今まで見たことがなかった。

最初は両親を殺された4人兄弟が自分たちが生き残るために深いベラルーシの森に逃れたのに、同じ境遇の見ず知らずのユダヤ人たちが次々に集まってかなり大きなコミュニティーとなってしまう。 膨れ上がったコミュニティーには食事や労働など数々の問題がつきまとい、必然的にリーダーとなったトゥヴィアにかかる重圧も生半可ではない。

ある日、トゥヴィアは両親を殺害した警察署長ベルニッチの家に押し入り、手持ちの銃弾が少ない事も忘れ復讐の鬼となって一家4人を惨殺する。 それまで冷静に人々を束ね、寛容に見えたトゥヴィアの別の一面を見た気がしたけれど、人と人が殺し合いをする戦争というのは憎しみと復讐の連鎖なのだと改めて感じさせられた。

次第に次男のズシュはトゥヴィアの示す逃れているだけの生き方に反感を覚え、ついに袂を分かちロシアのパルチザンに合流して戦う決心をする。 
ズシュの去ったコミュニティーではリーダーとしての資質を問われたトゥヴィアが苦境に陥る。 わずかな綻びも仲間すべての命を危険に晒す事にもなりかねないのだから、共同生活にはかなり厳しい規律が必要になる。 けれどもそれに不満を持つ者が人々を扇動する。 
ドイツ軍の空爆に彼らの棲家が壊滅的な被害を受け、再び流浪の旅をしなくてはならない状況に陥った時、諦めかけたトゥヴィアを強く励ましたのが3男のアザエルだった。 2人の兄の生き様を見ながら共に苦境を乗り越えてきた彼は、このコミュニティーで出会ったハイアと結婚し男としても人間としても成長を遂げていた。 逞しくなった弟を眩しそうに見るトゥヴィアの表情がとても印象的だったし、実際、アザエルのあの不屈の闘志がトゥビィアに勇気を与え仲間たちを救ったのだから。 

危険と知りながらも生き抜くためには通り抜けなければならない湿地帯をやっとの思いで渡り、一息ついている彼らに向けてドイツ軍の砲撃が始まる。 万事休すとトゥヴィアが覚悟を決めた瞬間にズシュと共にソ連軍が姿を現す。
互いに反発し合い分かれた二人だったけれど、それぞれの境遇で命を危険に晒しながら苦悩した事でお互いに相手の考え方を理解できたのかもしれないですね。

ユダヤ人側からみれば、1200人もの同胞を救ったビエルスキ兄弟は英雄だけれど、彼らが生き残るためにポーランド住民に対して行った略奪行為は犯罪でしかない。 トゥヴィアとズシュがこの事をめぐって激しく対立する様子をきちんと描いた事で、見ている者もこの物語がただの美談だけではないことに気づかされるのだと思う。
概ね実話に基づいているとは言っても、ラストのドイツ軍戦車との戦闘シーンは映画作品としての脚色だったそうなので、時間があればネハマ・テクの原作を読んでみたいと思います。

ジェイミー・ベルがいい役者になったなぁと思いました。 今までは彼を見ながらなんとなくリトル・ダンサーのビリー・エリオットが思い出されたのだけれど、今回はそんな事もなく。 物語の中で成長を遂げるキャラという設定ではあったけれど、それだけで見る者の心を捉える事はできないだろうし、実に生き生きして輝いていたと思います。 
ダニエル・クレイグとリーヴ・シュライバーがいぶし銀の魅力を放っていたので、よけいにそのフレッシュさのようなものが目を惹いたのかもしれませんが。 
そのダニエル・クレイグですが、ジェームズ・ボンド(彼になって封印した)のような華麗なヒーローよりも、より人間臭いこういう役の方が似合っていると思います。
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コメント
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Mさん、こんばんは♪^^

ほんと、私もこういう風にレジスタンスを続けながら
自らを守ったユダヤ人たちがいるなんて、知らなかったですし、この映画を観て知ることが出来て嬉しかったです。
やはり映画にならないと知らないって事も、この世には
たくさんあるんですよね~。

ラストのドイツ軍との戦い、戦車まで出てきて、それを
やっつけるなんて、凄すぎる・・と思っていたら、あのあたりはやはり脚色だったんですね。
あの兄弟のその後がテロップで流れましたが、4男のことがなにも出てこなかったし、私もできれば原作を読んでみたいです。

そうそう、私もダニエル・グレイグはこういった役の方が似合うなぁって思いました。
007も良いことは良いんですが、やっぱり人間くさい役の方が似合いますよね。
今回、本当に素敵だったですし、白馬に乗った苦悩の
リーダーの彼に、またしてもくらぁ~~~っとしました^^
2009/10/03 21:50  | URL | メル #mQop/nM.[ 編集]
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Mさん、こんにちは。

>ユダヤ人の苦難にフォーカスを当てた作品は今まで見たことがなかった。

私も、第2次世界大戦もので、ユダヤ人が苦難に襲われた状況下で、互いに露骨に憎しみ合ったり、愛し合ったりする描写は、あまり見たことがなかったです。
原作があるのですね。読んでみたいです。
2009/10/04 08:57  | URL | b_flat7 #-[ 編集]
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メルさん、こんばんは☆

ビエルスキ兄弟以外にもこのように強く生き抜いていた人々がきっといるのではないかと思います。
歴史の中に埋もれてしまっている出来事はありすぎるくらいあるのでしょうね。

映画のラストの戦車戦が脚色だとするとトゥヴィアとズシュがどんなシチュエーションで和解したのかというのも気になるところです。
>4男のことがなにも出てこなかったし
4男のアーロンは見落とされがちですが、両親が殺されたショックがまだ大きいうちに森の中で多数の無残な死体を目にしてしまったために口がきけなくなってしまったのですよね。 その彼も途中でそのショックから立ち直り、コミュニティーの中での役割を果たそうと一生懸命になってましたから、アーロンもしっかり成長していたのですよね。

メルさん、ダニエル・クレイグ、お好きなんですね!
私はダニエルのダイモンがゆき豹のライラの冒険の続編をけっこう楽しみにしているのです。
ぽしゃらないといいですが・・・。
2009/10/04 21:50  | URL | M #il9tusdg[ 編集]
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b_flat7 さん、こんばんは♪

映画の原作ネハマ・テクの「ディファイアンス ヒトラーと闘った3兄弟」という本と、ピーター・ダフィ著「ビエルスキ・ブラザーズ」という本があるようです。 どちらも文庫本になってくれると持ち歩けるのでありがたいのですが、映画とも比べてみたいですし、いつか読みたいと思います。
本もそうですが、こういうノンフィクションな映画はできるだけ見たいものですね。  
2009/10/04 21:52  | URL | M #il9tusdg[ 編集]
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こんな兄弟がベラルーシにいたなんて・・ …
2009/10/03 21:38  心の栄養♪映画と英語のジョーク
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