デンマーク・ロイヤル・バレエ団「ロミオとジュリエット」 5月24日の感想②
2009/05/28(Thu)
<2幕>
幕が上がっても音楽が流れず、舞台下手手前にしつらえた祭壇?のようなものに信者の子供たちが花(だっけ?)を捧げていたのが印象的。
乳母からジュリエットからの手紙をロミオに渡すように言いつけられた少年がピーターなんだろうか? よくもまぁ、違う人ばかり選んで手紙を渡す事! いたずらか?(笑) 
ロレンスのもとで2人だけの結婚式を挙げるロミオとジュリエット。 ロレンス神父はこの若い恋人たちの結婚に驚き、不安を覚えながらも、長年心を痛めてきた両家の諍いが収まる事を願って瞬時の判断で二人を祝福するという含みがあるのだけれど、ロレンスがロミオの親友の若者となるとその辺が・・・。 

広場では酔っ払っているティボルトとマキューシオが再び諍いを起こす。 相手が酔っ払いなので、マキューシオはちょっとからかうくらいのノリで軽やかな身のこなし。  周りの騒ぎも心底お互いを憎みあっているというよりは、なんとなく軽いんだよなぁぁ、つくづく。 隙あらば相手を血祭りにあげてやろうという冷酷さを持ったワルと不穏なムードがここにはないんだよね。 一人真顔で喧嘩を止めようとする、今やティボルトと親戚になってしまったロミオだけが浮いている。 
その気がなくなり女にちょっかいを出し始めたティボルトをさらに挑発しようとするマキューシオの体に殺意のないティボルトの剣が刺さる(というよりも、ティボルトはこの時全くマキューシオが眼中になかったのでマキューシオが自らティボルトの剣に刺さりにいったようにしか見えなかった)。 一瞬緊張が走るものの、おどけてみせ、旅芸人の一員のように舞台にあがり芝居を始めるマキューシオ。  痛みをごまかすための大袈裟な立ち振る舞いに沸き、本当に事切れて倒れこんだ彼に拍手をする群衆。 ここはとても切なく哀れでした(ただ、ちょっと長い)。 その様子を心配そうに見ていたロミオはついさっきマキューシオに触れた自分の手が血だらけな事に気づき、血相を変えてマキューシオの体を揺さぶる。
激情したロミオはベンヴォリオの制止も振り切ってティボルトに剣をつきつける。 争いながらジュリエットのいるバルコニーまで駆け上がってしまった2人。  ロミオの剣がティボルトの胸を一突きに。 バルコニーから階下に落ちるティボルト。 
騒ぎに気づいたキャピュレット夫人が現れ、ティボルトの死に気が狂いそうなほどに激高し悲憤する。 手足が抜けてバラバラに飛び散ってしまうんじゃないかと思うほどの激しい踊り。 一幕の舞踏会でティボルトとのただならぬ関係を匂わせていた妖しい魅力といい存在感といい、主役のジュリエットを食ってしまいそうなリンストロムだ。
ロミオの身を案じた芸人たちが彼に仮面を被せ広場から連れ去っていく。


<3幕>
ティボルトのお葬式。 黒い喪服に身を包んだキャピュレット家の人々がティボルトの遺体を地下墓所に安置するために祈りを捧げている。
全くノイマイヤー版は各幕の始まり方が実に巧妙かつ印象的で、幕が上がったとたんに一瞬にして観客を舞台に引き込んでしまう。

ジュリエットの寝室。 夫婦となり初めて一夜を供にした2人に待っているのは身を引き裂かれるような別れ。
このシーンも複雑なリフトが多い。 絶望と悲しみで張り裂けそうな気持ちを押さえながら、ときおり微笑みを交わす2人の姿があまりに痛々しい。 必死に引きとめようとするジュリエットに思いを残しながらも彼女を突き放し、その思いを断ち切るように背中を向け走り去るロミオ。

ジュリエットの身支度を整えに来た乳母に続いて両親がパリスを伴いやって来る。 ロミオを想い、パリスを拒み続けるジュリエット。 ジュリエットの聞き分けのない態度に腹を立てて3人が退出し、一人になったジュリエットはロレンス神父に助けを求める。
驚いた事に、数々の場面転換が速やかで鮮やかだったこの作品で、ジュリエットはロレンス神父の住まいまで舞台を数度横切りながら走り続ける。 追い立てられるような思い、何かにすがりたい、救われたい、ロミオに会いたいというようなジュリエットの心情がこの間に痛いほど伝わってきたような気がする。 

ロレンスは驚き躊躇したものの、ジュリエットに仮死状態になる薬を手渡す。
ロレンスがジュリエットに伝えたこの薬の意味は、舞台後方で旅芸人の一座が劇中劇として伝えていた。 仮死状態から目覚めたところにロミオが迎えに来て二人は再び結ばれるという未来を信じて家路につくジュリエット。

パリスとの結婚の承諾を促しに来た両親にその意を伝えたジュリエットは、もう何も恐れも迷いもしないというように一気に薬を飲み干す。
薬が効いてきて朦朧としているジュリエットの背後にティボルトが現れる。 彼の白いシャツの左胸は赤い血で染まっている。 さらに2人の間に割って入るように今度はロミオが現れ、ジュリエットとシンクロするように踊る。 ティボルトとロミオの姿が消え、麻痺して動かなくなった足を引きずるようにしてベッドに倒れこんだジュリエット。

婚礼のお祝いにジュリエットを訪ねたロザラインたちがジュリエットの異変に気づき、キャピュレット公が彼女の死を確認する。

ロレンスは自分がジュリエットに授けた計画をロミオに告げるために、旅の一座のもとへ向かうが、そこにロミオはいない。 何も知らない乳母からジュリエットの死を伝えられたロミオはすでにヴェローナへと向かってしまった。

ジュリエットはティボルトの眠る墓所に安置される。 キャピュレット家の人たちが立ち去ると、潜んでいたロミオが現れる。 ジュリエットが死んでしまった事が信じられず、彼女の体を何度も揺さぶる。 持ち上げたジュリエットの片腕はロミオが手を放すと力なくだらりと落ちる。 嘆き悲しむクロボーの表情には少年のような幼さがあり、恋人の死に対しての無力さを感じた。 ジュリエットの死を受け入れたロミオは持っていた短剣で自ら命を絶つ。
ほどなくして仮死状態から目覚めたジュリエットが、倒れているロミオを見つけて駆寄る。 ロレンスから聞いたとおりの幸福を思い浮かべるのもほんの一瞬で、揺さぶっても叩いても起きないロミオに愕然とする。 ロミオがしたのと同じように、彼の腕を持ち上げて手を放し、二度と動くことのないロミオの姿に彼の死を見て取ったジュリエットはロミオの短剣で胸をつき、ロミオに微笑みかけながら息絶えていく。
それぞれの死に際に、ロミオには純粋さ、ジュリエットには潔さのようなものを感じた結末だった。


最後は辛口です・・・。
ノイマイヤーの「ロミオとジュリエット」、非常に良く出来た作品だと思うのだけれど、心深くしみ入るほど感動を味わったというわけでもなかった。 あまりに巧妙で効果的で計算しつくされているから理屈っぽいのか余白がないのか、あるいは一回だけでは良さがわからないのか? 踊りは楽しんだけれどバレエというよりは演劇を見たような感じが強い。 歌のないミュージカル?? 
あと、ティボルトの設定に毒気が足りない。 マキューシオの死もロミオの激情も説得力に欠けるような気がするし、何より、あんたたち、ちょっと話し合えば心の通じるいい仲間になれるじゃないと思ってしまいそうな両陣営ってのも・・・。 
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