宮廷画家ゴヤは見た
2009/05/11(Mon)
「宮廷画家ゴヤは見た」
原題:GOYA`S GHOSTS (2006年 米・西 114分)
監督:ミロス・フォアマン
出演:ハビエル・バルデム、ナタリー・ポートマン、ステラン・スカルスガル、ランディ・クエイド
鑑賞日:4月25日(DVD)

ゴヤ

18世紀末のスペイン。 宮廷画家に任命されながら、権力批判と社会風刺に富んだ作品も精力的に制作し続けるゴヤ(ステラン・スカルスガル)。 彼が手がけた2枚の肖像画の人物―裕福な商人の娘で天使のように美しいイネス(ナタリー・ポートマン)と、異端審問を強硬するカトリック教会の神父ロレンソ―(ハビエル・バルデム)が運命的に出会う。 異教徒の疑いで捕えられたイネスを救ってほしいとゴヤに頼まれたロレンソは、拷問を受け牢に繋がれたイネスに面会し、思わず抱きしめるのだった。 (goo映画より)

裕福な家庭に育った美しい娘イネスとカトリック教会の権威を取りもどそすために手段は選ばないロレンソ神父。 居酒屋で豚肉を食べなかったという事だけでユダヤ教徒の嫌疑をかけられ投獄されたイネスの釈放を、ゴヤを通してイネスの父から頼まれたロレンソが牢獄を訪れ彼女に接した事から二人の人生が重なっていく。 彼らの周囲の人々のみならず王族や教会関係者など激動の時代に翻弄された人々をゴヤの目を通してありのままに描いた佳作。 
「エリザベス」でも感じさせられたように、権力者の交代や正統とされている宗教の衰退などであっという間に立場が逆転し、追う者が追われる者になったり迫害されていた者が迫害する立場に変わったりという世の中の移り変わりの速さと恐ろしさをまざまざと感じた映画でもある。

ゴヤ1


「カッコーの巣の上で」と「アマデウス」で2度のアカデミー賞監督賞を受賞しているフォアマン監督のこの作品に命を与え深く考えさせる作品とさせたのは、やはり主演の3人の力ではないかと思う。
ロレンソ神父役のハビエル・バルデムは、ともかくその容貌と醸し出す雰囲気が、権力欲にとりつかれた不遜な人物そのものだったし、ステラン・スカルスガルは善的な存在でイネスを支え続けるゴヤを存在感たっぷりに演じていた。 (そのステラン・スカルスガル、映画を見ている間中、どこかで見た、何かで見たと思いながら結局分からなかったのだけれど、「マンマ・ミーア」のあの3人の父親候補の最年長の男性を演じていた役者さんだったんですねー。 あー、すっきりした!)
それでもなんといっても素晴らしかったのはナタリー。 幸福な頃の天使のようなイネス、運命を狂わされ半分廃人のようになったイネス、彼女の娘の反抗的で奔放な娼婦アリシアを見事に演じわけていた。 特にナポレオン率いるフランスの介入により10年以上に渡る投獄生活から開放され、精神を病みながらも娘のアリシアを求め続けるイネスには凄まじさが感じられた。
終盤、英国軍と手を結んだスペインの民衆がナポレオン軍を撃退すると、ロレンソは捕えられ裁判を受け死刑判決を受ける。 それまでの罪を悔い改めれば死刑は取り下げるという申し出を受け入れなかったロレンソは何を自分の命と引き換えに主張したのだろうか?
処刑後、ロレンソの死体を乗せた荷車の周りを走り回りながら追いかけていく子供たちと共にロレンソの手を握りながらゴヤに向かって振り返り、混乱の中で拾い上げた赤ん坊を抱きながら屈託のない天使の微笑を見せるイネスの姿に言い知れぬ悲しさを感じた。
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コメント
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Mさんこんばんは★

そういえば、この作品ミロシュフォアマン監督でしたね
この監督の映画、どれも好きです。
ハビエルも良かったですが今回はナタリーポートマンがもっていきましたね~
素晴らしかった!
役の幅が広くて、今後も楽しみな女優さんです。
2009/05/12 23:50  | URL | mig #-[ 編集] ▲ top
- こんにちは~♪ -
美術好きとしてはいろんな絵画が出てくるのも嬉しかったですし、こういうコスプレは目も楽しませてくれますよね。
宗教の異端審問って、一度目をつけられたら絶対に逃れられないから怖い。
理不尽だなと思ってしまいます。
ナタリーの演じ分けもよかったし、ゴヤ役のステランさんも良かったわ~。
2009/05/13 09:04  | URL | ミチ #0eCMEFRs[ 編集] ▲ top
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migさん、こんばんは

ミロシュ・フォアマン監督といえば公開から10年くらいたって見た「カッコーの巣の上で」でズシーンときながら言葉を失った遠い記憶がありますが・・・。 あの映画は痛烈でした。

ここ数年でナタリーのいろんな顔を見ましたが、さらにこれからどんな役を演じ、どんな魅力を見せてくれるのかとても楽しみな女優さんです。
2009/05/13 22:22  | URL | M #il9tusdg[ 編集] ▲ top
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ミチさん、こんばんは

エンディングクレジットまでたくさんの絵画を楽しむ事ができましたよね。
エンディングクレジットのセンスも良かったし。 あと版画作成のシーンもとても興味深かったです♪
ハビエルさんはちょっとアクが強すぎてどちらかといえば苦手タイプなので(笑)、ステランさんの
懐深そうな暖かさが心地よかったです。
2009/05/13 22:23  | URL | M #il9tusdg[ 編集] ▲ top
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こんばんは!
拷問に耐えて過ごした日々の救いは、子供とロレンソへの尊敬と愛だったのでしょうね。ラストは何とも言えない感情が沸きあがってきました。
人々を救うはずの信仰が、政治や様々なものに利用されてしまったために起きた悲劇ですが、これはずっと終わらない問題の一つだなと感じました。
2009/05/18 00:59  | URL | yuki@レンタルだけど映画好き #Z7OCgC5.[ 編集] ▲ top
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yukiさん、こんばんは。

あんな状況に置かれれば、ただ一人自分を訪ねてくれるロレンソが心の拠り所であり牢獄の外の家族との唯一の接点となるのですから、イネスにとっては神様のような存在だったかもしれないですね。
どんなものでも悪用される可能性はあるわけで、道徳心との闘いは人間が存在し続ける限り持ち続ける問題なのでしょうね。
2009/05/18 21:11  | URL | M #il9tusdg[ 編集] ▲ top
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