マールイ「ライモンダ」1月29日(ペレン&プハチョフ)の感想<2&3幕>
2009/02/22(Sun)
<2幕>
ドリス伯爵夫人の館での宴。
男性貴族の中にプロームを見つける。 キャスト表には名前がなかったので今日はお休みかと思ったら。 という事は3幕のカトルを踊ったりするのだろうかと期待が膨らむ。
目の覚めるような青のチュチュのペレンは眩しいくらい。 一幕のグレーベージュ?のチュチュは、周りの色彩には上手く溶け合う色だけれど、ヒロインとしては少々ぼやけた色だと思ったが、このチュチュはまさにヒロインのみが着るのを許されるような鮮やかな美しさ。

アブデラフマンたちが館にやってくる。
大勢を従え颯爽と現れた精悍な顔つきのツァル@アブデラフマンのかっこいい事といったら・・・ これはもう反則の域。
アブデラフマンを認めたライモンダはわずかに憤慨を含んだ嫌悪の表情。 この時のペレンの表情はとても印象的で、困惑というようなものは全く無く、夢の中でほんの少しでも彼に惹かれた自分への戒めと、そういう彼を疎ましく思う姫のプライドがさせた表情に思えた。
ま、本人がどういう気持ちでいたのかは全くわかりませんが(笑)、私には1幕の終わりからそんな感じに繋がってきたライモンダとアブデラフマンの妖しい関係のように見えてしまい、けっこう個人的にツボってしまいました。

ライモンダとアブデラフマンの踊り。 ライモンダは表情を強張らせて一貫して嫌悪の表情。 ベランジェとベルナールがリフトしているライモンダをアブデラフマンが奪い、頭上に高くリフトした後に捻り落とすようにしたライモンダを抱き止める大技もダイナミックにこなして見応え十分だった。 リフトされたペレンもずっと両手を上げて体を反り返すというポーズを保ったままでこちらもまた素晴らしかった。

ミリツェワのヴァリ、脚捌きが軽快で、斜めに両足を180度開脚するジャンプもとてもシャープでミリツェワ向けのファーストヴァリ。
それに対して第2ヴァリはしっとりと、長い手足で音をたっぷり使った優雅な動きを見せ付ける振でコシェレワにぴったり。

モロゾフとマスロボエフもそれぞれに脚捌きが綺麗で良かったです。

ライモンダのヴァリ、ふわぁっと上がるペレンの脚に溜息。 両足ポアントで進んでいくところもフィニッシュのスピードにのったシェネも綺麗だった。

コシェレワとミリツェワが2人で踊るところは、回転の速度やステップが若干合っていなかったのが惜しかったけれど(この日はコシェレワが意識して合わせていたようで、彼女のそういうところ、本当に好きですわ!)、翌日はぴったりと合わせてきていたのが流石プロです。
終盤でのライモンダの踊り、ペレンのジュテが高くて大きくて綺麗だった。

赤い衣装のサラセン人のコール・ドの踊り、以前矢羽さんがピーテルでリハをご覧になった時に耳を劈くばかりの音だったという鳴り物の音がどれほどのものなのか興味があったのですが、やはりホールで生演奏付となると、ちゃんとほど良い程度に聞こえるようになっているものなのですね。 かなり運動量の多い踊りなので後半疲れてくると若干乱れはするものの、なんつーか、こういうノリノリダンスを見るとマールイだなぁって思う。

サラセン人の踊り、男性は結局発表どおりのクズネツォフだったようですが、バヤデルカのインドの踊りですら遅く見えそうな躍動的で電光石火の身のこなし。 ブラボーでした。 クズメンコも上手かったですが、クズネツォフの踊りの勢いがあまりに人間離れしていたので。

パナデロスの踊り。 コール・ドは背の高い男の子を揃えて顔、ダンスともに見応えがありました(笑)
ソリストのカシャネンコ。 一人で踊るこういうタイプの踊りはシャープで生きのいい踊りが身上の彼にはピッタリ。 ただ、パートナーのサポートになるとたんに彼の体の周りの空気がたるむんだよな・・・。 すごく相手に遠慮しちゃう人なのかもしれませんが、今後の彼の課題ですね。
セミョーノワも雰囲気があって良かったです。

ツァルのソロはギラギラいっちゃってる目力があまりにも強すぎて・・・。
もともとジュテなどが得意で迫力のある踊りをする人だったけれど、そこにキレと今まではあまり感じられなかったパッションが加わって素晴らしいです。 気持ち的にものめり込むタイプみたいだし、王子はイメージが違うかもしれないけれどいろいろな役で見たいダンサーの一人なのは間違いないです。

逃げ惑うライモンダを再び頭上にかかえたアブデラフマンが彼女を奪って館を出ようとしたその時、間一髪のタイミングで帰還したジャンがライモンダを奪い返す。 プーちゃんとツァルのにらみ合いもいろいろ拮抗していていい緊張感。 (翌日はすでにここでマラトの勝ち!っていう絵だったからね・・・)

2人に正式な決闘を命じたアンドリュー2世のブレクバーゼが(さすがにここはとっつぁんという雰囲気ではなかったわ・笑)、一国の王らしく尊厳と風格があって素敵でした。

望むところ、と手袋を外し投げつけるプハチョフがナイトな凛々しさでかっこよかった♪
交わる剣の音の響きも大きくて、二人とも真剣そのもの。
アブデラフマンの剣に打たれてジャンの兜が落ち(これはアクシデント?)劣勢に陥るも直ぐに巻き返すジャン。 ここ、音楽でわかりますが、本来白い貴婦人がジャンに魔法で加勢する場面ですね。
ついにジャンが打ち負かす。 それでも力を振り絞り、ライモンダににじり寄りながら最後まで心をぶつけ息絶えたアブデラフマン。 壮絶な散り際でした。 
ただ顔をそむけるばかりのライモンダを必死で求めるアブデラフマンを、まるでニキヤのように憐れに思ったのはこれが初めてだった。

サラセン人たちが去り、アンドリュー2世が2人の結婚を認める。
すっかりホッとした様子で王から渡された月桂冠のような冠をジャンに被せるライモンダ。

 
この時にペレンったらかな~り力づくで冠をプーちゃんの頭にはめ込もうとしていまして・・・。 さっき兜が落ちたせい?と思いながらもそれじゃ頭に跡がついちゃうよ!と笑ってしまいましたが。 あ、でもこの冠を被せるなら羽根付き兜は無い方がいいのか、じゃ、あれは筋書きとおり?? けっこうプーちゃんが痛そうにしてたように見えたからさ・・・あの時。 (翌日のマラトは兜なしで帰還しました・・・)
アブデラフマンがジャンの剣に討たれた後、被り物を脱いで(なかなか脱げなくて焦ってた)スキンヘッドな脳天を見せるのはどういう意味なのだろう? 多分頭を割られて血が滴り出ている状態なのだろうから・・・。 そんな気持ちの悪いものをライモンダにみせるんだから何か意味はあるような気がするので機会があったら誰かに聞いてみたいですね。


<3幕>
ライモンダとジャンの結婚式。

ハンガリー隊の入場。 先頭はマスロボエフだったように記憶しているけれど、12組くらいのカップルだったかな? これだけの人数のダンサーが赤基調の綺麗な衣装に身を包み舞台斜め一列にポジションを取るととても華々しく、壮観です。
白い衣装のソリストはマリーナ・フィラートワ、マクシム・ポドショーノフ。 軽快な動きの中にも情熱と誇りが感じられ、ポドショーノフのなつっこい笑顔にこちらも幸せな気分。

壮大なグラン・パの始まり。
長身の4組のコール・ドにはモロゾフとコリパエフの姿も。 つづいて入場の小柄な4組にヤフニュークを見つけてなんだか嬉しい♪ 

ライモンダとジャンの登場。 二人のステップに幸福感が漂っている。
グランド・バレエの終幕の醍醐味ともいえる、キラキラの主役にチュチュとタイツ姿の美しいダンサーたちが繰り広げるダンスの煌びやかな世界に心底うっとり。
8組のコール・ドもこの来日メンバーだったら良いそろい具合だったと思います。 もちろん男性が女性をリフトするタイミング、リフトされた女性の腕や顔の向きなどもっと揃ったら綺麗だと思いますが・・・。 あ、8組が主役の後ろに一列に横並びしてバレリーナが片足を前に上げて止め、次に後ろに上げというところはブレブレのダンサーもいたのでいま一つというところでしょうか?
8組のコール・ドを従えるペレンとプハチョフは、さすがの貫禄で一つ一つのポーズの美しさを目に焼きけてくれました。 特に脚。 ライモンダのペレンのリフトされた状態での脚の美しさはもちろんだけれど、ライモンダをリフトして腰から下しか見えない事が多いジャンのまっすぐな脚のラインもプハチョフならではのため息のでるような美しさで、まさに無敵の美脚ペア。

ヴァリエーションを踊ったクリギナ。 彼女も素晴らしかった! 今回のツアーでも大活躍の彼女ですが、この日のヴァリは一番良かったんじゃないのかな? メリハリがあって安定感があってしっかりと観客へのコンタクトも出来ていて見惚れてしまいました。

グラン・パの見せ場の一つである男性カトル。
ここですべてを推し量ってはいけないのだけれど、この4人の男性の出来にそのバレエ団の男性の実力のほどが垣間見れると思われがちなので、きっとここは準主役級のソリストをつぎ込んでくるのだろうと思っていたのに、コール・ドのダンサーの顔ぶれを見たとたんに不安になっていた・・・。
えー、で、その不安が大的中してしまったカトルでした。 
ヤフニューク以外の3人は、顔は見た覚えがなんとなくある・・程度で誰なのかは全くわからず。 ただ皆長身でスタイルの良い若手ダンサーでした。 ザンレールの連続が始まるまでは4人ともそれぞれ伸びやかな踊りで良かったんだけど、ザンレールで乱れる事なく5番に降りたのはヤフニュークだけ。 彼の踊りはその前後もそれはそれは素晴らしかったです。 彼はラインも綺麗だし、なんたってさわやか~な微笑みつきでしたし♪  あとの3人は着地以前に空中ですでに分解してましたから・・・。 ヤフニュークがここに入るのならプロームも使って欲しかったし、モロゾフ、マスロボエフもこちらに回して欲しかったです。 いないのなら諦めるしかないけどさ・・・。

ライモンダのピアノのヴァリ。 肘を張った片手を頭の後ろにつけ、もう一方の手はチュチュにあてポアントで立つ凛とした表情のライモンダ。 このヴァリが好きな者としてはこの決めのポーズを見るだけで気分が高揚してくる。 ペレンの踊りは音楽によく合っていて腕や上体での表現も豊かだったし爪先の動きが綺麗だった。 ただもうちょっとパ・ド・ブレに繊細さがあると尚良かったけれど(以前見たロパートキナの素晴らしいパ・ド・ブレが今でも目に焼きついて離れない。)。  少しアップテンポになる後半は笑みを絶やさず艶やかさの中に控えめな情熱も伺える磐石な踊り。 ところどころに見せるハンガリアンティックなアクセントも良かったと思う。
最後の腕組みでパッセを繰り返しながら後退していく踊りでは結婚の喜びに満ち溢れているようだった。
プハチョフは絶好調ではなかったと思うけれども、高い跳躍での余裕のある脚の打ちつけは見事。 ラストのガブリオール?もダイナミックで素晴らしかった。

アンドリュー2世とドリス伯爵夫人からも祝福され、二人の喜びがすべての人の喜びとなり舞台が幸福感に包まれて迎える大団円。 


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

という事で、ペレンがプリマとしての実力と魅力をいかんなく発揮し、出ずっぱり、踊りっぱなしの難役を見事にこなした素晴らしい舞台に大満足だったのですが、ラストシーン、ライモンダとジャンが舞台奥の階段を上がりきらないうちに幕が降りてしまい、降り注ぐゴールドの紙ふぶきの中、正面を向き直った二人の姿を見る事ができなかったのが痛恨の極み!!

余談ですが、
光藍社さんの演目紹介ではライモンダは休憩を入れて2時間45分となっているのだけれど、白い貴婦人というキャストがなくなり、他にも手を入れられている(削られている)ため2時間半あまりで終わってしまいました。 思ったよりも早かった。 
聞いたところによると、2幕のアブデラフマンの長めのヴァリ、3幕のチャルダッシュの後にあったマズルカがなくなっているようです。 マズルカは来日ダンサーの人数の関係で今回なかったのかもしれませんが。 クリギナが踊ったヴァリエーションは当初クレメンスとヘンリエットの二人で踊られていたようです。
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コメント
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どうもです~。ピーテルでも大人気だったという演目だけあって、音楽も踊りも盛りだくさんの素敵な公演でしたね。1日目はツァルの迫力に押され、民族舞踊の詳細をほとんど覚えてないくらいだったけど、2日見たらよくわかりました(笑)ちょっと怖すぎるくらいのアブデラで、ある意味ジャンより印象に残ってしまったかも!?ハンガリーがすごい大人数でそろっていただけに、グランパの空中分解が本当に残念でした。これでヤフニュークの株が上がったんだけどねっ。
ラーメンマン頭を見せる演出は他のライモンダにもありましたっけ?スキンヘッドの鬘?ってあーいう柔らかい布でできてるのね、と初めて知りましたわ。(笑)
2009/02/22 23:07  | URL | うみーしゃ #-[ 編集]
- 3幕の男性4人のカトル -
3幕の男性4人のカトル、あそこは4人ともザンレールを決めてほしかった。決めたのは、最初のヤフニュークだけ。まだ、左から2番目の明るい茶色の髪の方はさほど悪くなかったけど、一番右のダンサーはボロボロでしたね。ヤフニュークから順番に段々悪くなっていき、全く情けない限りでした。ザンレールをきちんとできるダンサーを4人揃えられない・・・。これがマールイの実力なのか・・・だとしたら、実に悲しいことです。
2009/02/22 23:42  | URL | こうすけ #-[ 編集]
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うみーしゃさん、

全幕を上演される事が比較的少ない作品ですが、やはり素晴らしいグランド・バレエですよね。
眠りと同様にプティパの難しい振りを表情豊かに踊るバレリーナと素敵な音楽にうっとりできる上に、眠りの3幕とは違う異国情緒豊かなディベルティスマンも楽しめるし、私は大好きな作品です。
あの頭を見せるバージョンを私は知りませんが(笑)、あの時ツァルが手間取ったのは、えい!と被り物を力任せに取ってスキンヘッドの鬘まで取れてしまい地毛になってしまったらそれこそ台無しだったからじゃないかと思ったりもしています(笑)
2009/02/23 22:40  | URL | M #il9tusdg[ 編集]
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こうすけさん、

あそこまでがとても良かっただけに、そのままの勢いで決めて欲しかったですね、やはり・・・。
モロゾフもマスロボエフも友人の踊りでの脚捌きが綺麗だっただけに、あそこで見たかったなぁ。 私は極力ヤフニュークだけを見て、残像を楽しみましたが・・・。 
ロパートキナガラでのマリインカのダンサーですら、4人ともがバッチリだったわけではないので、簡単な事ではない事は重々承知しているけど、やっぱりうちのバレエ団ですから期待しちゃいますよね!
あの時、決められなかったダンサーが奮起してくれて、今後めきめき腕をあげてくれるきっかけになる事を願ってます。
2009/02/23 22:41  | URL | M #il9tusdg[ 編集]
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