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サンクト・ペテルブルグへのバレエ鑑賞の旅 (16) ロミオとジュリエット うみーしゃさん編
2008/12/04(Thu)
冒頭:アーチ型の柱や壁が何重にも連なる舞台に大勢の人影。ジュリエット(イリーナ・ペレン)とロミオ(アンドレイ・マスロボエフ)にスポットがあたっているが、街の人が全員正面でポーズをとって絵になっている。プロコフィエフの不協和音がにぶく響き、悲劇の幕開けを暗示する、映画のようなオープニング。エンディングもこういう感じで終わる。好き嫌いはあるかもしれないが、演出の随所に工夫が見られると思う。舞台装置はアーチ柱を3重くらいにずらして重ねているだけだけど、ジュリエットの家とほかの場面の切替をこの柱の上下だけで表していて、家財道具は一切なし。ベッドとろうそく台程度。シンプルだが、小さな舞台を効果的に使っていると思った。上の席からだと柱に隠れてダンサーが見えないときもあるけど。

第1幕:最初からモンタギュー家とキャピレット家の闘争シーン。それを諌めるヴェローナ侯爵。(アレクセイ・マラーホフ)
モンタギュー家とキャピレット家を中心に、男性陣のちゃんばら踊り。
マラーホフは、普段おひげやら鬘(かつら)やらで素顔が見えない役が多いのに、なぜかこの役では帽子とマントだけなので、着飾った周囲に比べてとても若く見える。でも威厳があってカッコいい。動かない役で表現するって難しいのよね。キャピレット家当主(ウラジーミル・ツァル)とモンタギュー家当主(イリヤ・アルヒプツォフ)の剣による戦いを止めるヴェローナ侯。一応落着して去っていく。日本公演と違いコールドの数が半端なく多い。この真ん中に立ってソロをやるなんて緊張するだろうなぁぁぁ。踊りは皆スイッチが入るけど、演技しながら歩くのって難しそう・・・
 というわけで(?)ヴェローナの街では2大勢力がいて両家とも仲が悪いということが描かれる。キャピレット家の群舞のリーダーはティボルトだったかな?(覚えてない)モンタギュー家の群舞のリーダーはフィリモーノフ。モンタギュー家は全体に白系の衣装で全員金髪ソバージュのウィッグだった。ロミオ、マキューシオと4人の友人たちもみんな白ベース。ベンヴォーリオはいなかった。(何でだろう)。
 ロミオたちは仮面舞踏会に忍び込む為マスクとマントで仮装してキャピレット家に。このシーンでマキューシオのソロと4人の友人のダンスがあるのだが、マキューシオはヴァチェスラフ・チュチューキン。(小柄で金髪、若い!)ロミオよりもだいぶ幼く弟分のように見えるが、動きは機敏で回転も得意そう。やんちゃないたずら坊主に見える(笑)。4人の友人は長身組でコリパエフ、ヤフニューク、アルチョム・マルコフとデニス・サプロン。最後の人は今年の新卒らしい。

第1幕第2場:暗転してキャピレット家。再びアーチ状の柱が天井から降りてくる。縄跳びをしながらジュリエット登場(笑)。これにはびっくり。でも13歳の女の子のイメージが出ていてよかった。こちらでは4人の女友達が一緒に踊るのでばあやはいない。(ちょっと寂しい)。うち3人は新卒と、オペラ隊からの出演らしいがリーダーにカミロワがいた。(かっわいいなぁぁ♪)一応名前を書いておくと、ダリヤ・エリマコワ、アナスタシア・ミハイキナ、オリガ・グラモワ。
 ペレンは可憐でおてんばな美少女ぶりを発揮。まだ何も知らないジュリエット。両親からいきなり婚約者のパリス(マラト・シェミウノフ)を紹介されうろたえる。長身マラトは金髪カールの鬘に青い上品な衣装で貴族の雰囲気。眠りの王様とは違いまたシリアスでかっこよかった。パリスってこんなに踊るんだ。役柄上アダージョが多いけど、さすがにマラトは演技力あってはまる。優雅だし。
 続いてキャピレット家のパーティからロミオとの出会いのシーン。コールドが贅沢にわらわらわらと。(笑)
ここの曲大好き!黒ずくめのティボルト(アンドレイ・カシャーネンコ)と母親(アンナ・ノヴォショーロワ)中心に、当主(ウラジーミル・ツァル)ほかパーティに呼ばれた人たちが全員正面を向いてグラン・バットマンだよ!は、迫力〜。格好いいなぁ!衣装は仮面舞踏会のようで、なんとなくグループで4色くらいにわかれているのだが、マニッシュで大振りで気持ちいい。それぞれのグループに子役も入っていて、ペトホワちゃんらしき女の子がのりのりでかわいかった♪多分女性もポワントではなく、つまさきもほとんどフレックスだった気がする。アームスもクラシックの動きではなかった。ゆっくりしたテンポだけど、頭を前後に振るような激しい動きをごてごてした衣装でやるのは大変。よく頭飾りがぶつかってひっかからないもんだと感心する。
 ここでのお気に入りは断然ティボルト。頭にかぶった兜(かぶと)のようなキャップから植物の弦状の房がたれさがっていて、踊って頭をゆすると獅子舞のよう。(重いだろうなぁ) 初見のティボルト(カシャーネンコ)は今年になって移籍してきた人らしいけれど、長身で濃い顔立ちで目立つ。眼光鋭く、踊ると脚さばきがすごい。長身でこれだけアレグロができるなんて!ツァルはガンダムのようなセイント・セイヤのような鎧兜。合戦の準備だろうか?(笑)なぜかツァルは全幕通じてこの衣装。家の中でも鎧ですかぁ?(笑)しかしラストサムライのトム・クルーズのようでとても素敵。
 群舞のカッコよさに圧倒され、ロミオとジュリエットの出会いのシーンがなんだかあっさり見えてしまった。ただ、正面向きのジュリエットのバックにロミオが立ち、左右対称にアラスゴンドに脚を上げるシーンはステキだった。(パッセが入ってたかも。記憶があやしい)この2人はあまり組んでいなかったと思うのだけど、こんなにシンクロするとは意外・・・。ロミオの4人の男友達は、ジュリエットの4人の女友達と仲良く踊り、彼らが去るとき、女の子たちは名残惜しそうに(笑)。(合コンかい!)こんなところが芸が細かくて楽しい。
 ティボルトが目ざとく気づき、ジュリエットにロミオの名前を告げる。(ばあやはいないのね・・・)愕然とするジュリエット。暗転。(場面転換早っっ。)パーティが終わって客人たちが次々ほろ酔い気分で帰る。からかうマキューシオと4人の男友達を追い払って、柱の影に隠れるロミオ。
 兄のティボルトは用心を怠らない。(よくできた長男だ。)家臣に命じて庭を見回りさせている。この辺の細かい演出が、気が効いていて好きだなぁ。ヴィノグラドフ氏の作品をよく知らないのだけど、時間を短くしてもこういう繊細な部分にこだわる感じは好きだ。ここでのつっこみどころは屋上のようなバルコニー(笑)と、またたく星空と鈴虫の効果音かしら。ヴェローナには鈴虫が鳴くのね・・・。(笑)
 バルコニーのシーンは記述が難しい。とにかくジュリエットの振りが細かくて忙しくて難しそうだと思ったことだ。繰り返しではなく、1回だけのパやポーズが多かったと思う。テンポが速い。アチチュードのターンがダブルで入っていたような気もするのだが、とにかく音についていくのが大変そう。マスロボエフはのびやかでポーズも美しく、演技派ですばらしい!ロミオの若い情熱や純粋さが伝わってきた。難しいリフトもこなして片脚でペレンを逆さにキープ。2人の世界の流れるようなパ・ドゥ・ドゥを一旦止めてリフトでポーズっていうのは歌舞伎の見栄きりのようだ。これはこれで新鮮だし、工夫と言えるかも。従来のロミジュリが好きな方には違和感かもしれないけどねっ。
 愛を誓ったところで確か一幕が終了(だったと思う)。濃い内容だった。音響が格段に良くなっていて、プロコフィエフの素晴らしい音楽を金管・木管・打楽器・弦楽器、思う存分打ち鳴らしてくれていた。ロミジュリはあまり得意な演目ではなかったが、ここの版ならまた見たい(注:いろんな配役で)と思えた。
 

休憩時間:以前あった出演者のポートレイトはなく、お土産やさんもない。(商売してくれ!)絵葉書やTシャツやDVD売れば絶対売れるのに!買うのに!マリィンスキーほど豪華ではないものの落ち着いた雰囲気のカフェと休憩スペースがある。
 以前は体育館のようだった床には赤地に金糸の模様のじゅうたんが敷かれ、イスも豪華。背中のクッションが気持ちいい。
 上野に比べればまだまだ数は少ないがキレイなトイレ。そしてここでは紙を流せるのだ!(笑)洗面の蛇口もおしゃれ。ちゃんとソープが置いてある。こんなことにも感動しちゃったりして。街全体を通して言えるのが、とても清潔だったということ。特にイベントのある期間ではないのに、大都市の割に、目に見える場所に放置ゴミがほとんどなかった。タバコのぽい捨てくらいかしら。


第2幕:教会でロレンツォ神父のもと、2人は結婚する。神父役は初見のリシャト・ユルバリソフ。ちょっと変わった感じ。この人も最近移籍してきた人らしい。かなりの長身だとか。ここの演技は・・・及第点かな。ペレンの頭の角度が、神父様の言葉に耳を傾ける様子がはまってて、そちらに目を奪われてしまった。やはり神父役はマラーホフかブレグバーゼさんにやってほしかった。
 街ではカーニバルが。アレキナーダ(ニコライ・アルジャエフ)とコロンビーヌ(エレーナ・ニキフォロワ)が余興をやり、先生方(?)2人がちゃちゃを入れる。街の人たちがオレンジ基調のドハデな衣装で踊りまわる。タランテラのソロにナタリア・クズィメンコとニコライ・アルジャエフ。男性の方は日本公演のドンキでジプシーのソロをやった人ですね。オペラにも出ていたと思う。衣装がマスク付だったのでお顔が全然わからないんだけど。この場面の振付は、上から見ないとわかりづらい。隊形変化があまりなく、全員同じ振りで、床にあおむけに寝転がったりするので、1階席だと後方のダンサーが全く見えない。
 新婚ラブラブのロミオとジュリエットは街中を喜びいさんで駆け回るが、そこに不穏な空気が。またしても両家のいがみあい勃発。死神が剣を持ち出し、血気さかんな若者を争いの渦へ誘惑。ちょっとした挑発から、マキューシオとティボルトの一騎打ちに。流血事件発生。マキューシオは息を引き取り、逆上したロミオはティボルトを殺してしまう。暗転。効果的なピアノの音に合わせて、ロミオは幸せから一転、絶望の淵へ落とされる。兄を殺されたジュリエットはショックを受け、母親は泣き崩れる。
 マキューシオの倒れ方、原作に忠実に、絶命の瞬間までおどけながらの踊りがすばらしい。しかも道化のマスクをかけていた。表情が見えないから余計難しいと思う。ティボルトのアレグロもさすが。音楽が速い。ジュッテ、ターン、トンべ、クッペしてシャッセ(多分ね)などなど脚がほんとにキレイ。難しそう。スローモーションで見せてくれって言いたくなった。(笑)
 マスロボエフのロミオも、踊りは少ないながら存在感ばっちりで、主役のオーラを客席の後ろまで届けていた。そう、これなのよ!たとえ演技のみのシーンでも、光が後ろまで届くの。マラさんしかり、マラトにしても、ツァルにしても・・・。今回マスロボエフを見直したのだった。いや、ホント、ステキだったよーー!!!

ジュリエットの寝室:後悔に苛まれるロミオを責めるも、最後には許すジュリエット。しかしロミオは夜明けとともに追放の身。別れのシーン、どこからともなくドクロ姿の不気味な死神が出てきて2人の不幸を暗示させる。打ちひしがれるジュリエットに、結婚式がせまる。4人の女友達がやってきて、ジュリエットに花嫁のヴェールをかぶせる。このときのペレンの表情がすばらしかった。死んでしまった兄のこと、追放されたロミオのことで混乱してショックを受けているのに、自分は間もなく結婚させられてしまう。両親に懇願し、パリスを拒絶するジュリエット。パリスはショックの踊り。アダージョで、左足の前後のシャッセで悲しみを表現。さすがマラト。
 追い詰められたジュリエットは神父を訪ねる。仮死状態になるという薬をもらい、喜んで一縷の望みを託すジュリエット。神父様もこれでよかったのかと迷いが走る。ここは2人しかいないし、マイムのシーンなのでとても難しいと思う。やはりマラーホフさんで見たかったかな・・・。彼なら、神父の声が聞こえそうなくらい、全身で伝えてくれるものね!
 家に戻ったジュリエットは胸元に薬瓶を隠し、両親に懇願するが・・・・。ここで驚いたことに、当主(ウラジーミル・ツァル)の怒りのソロがある。び、びっくりしたぁ〜。すがるジュリエットを振り落とし、脚で蹴り、ムチでたたいて首をつかまえひきずっていく。その踊りがまたキレまくってて迫力あって、ホントに恐かった。「この結婚は家にとって必要なのだ」と無理やり結びつけようとするマイムも凄みがあった。ツァルってこんなに演技派だったっけ?ロットバルトのときは、マラトと比べると控えめかなとか思ってたけど・・・。これはヒラリオンも楽しみなり。次回の日本公演ではもっともっとソロを踊ってほしいわ!!親の態度に、薬を飲む決意をするジュリエット。ツァルの怒りのダンスがあるから、この流れがとてもスムーズで納得行く感じ。
 (実を言うと、両親との確執と教会のシーンの順序が曖昧なのだが・・・記憶をたどって2人ですり合わせた結果、こう思う、という流れです。苦笑)
 葬式のシーン。ツァルさんの打ちひしがれた様子がしみる。その時代の家長は絶対だったとして、娘に結婚を強要するのは当然のことだったのかもしれないけれど、結果的に死んでしまったことには心を痛めずにいられないだろう。親の気持ちはいつも一緒。本当に、ツァルさんがこんなに演技派だったとは!!嬉しい驚きであった。仮死状態とは知らないロミオの絶望したモノローグのソロが続く。これが結構長くてハードな踊り。マスロボエフはすばらしかった!観客がシーンと見入っていたように思う。またプロコフィエフの音楽がこのシーンにぴったりなほど悲しげで思わず涙を誘う。
 ジュリエットの葬られている祭壇(というのか?)の下の階段へさかさまに倒れ絶命するロミオ。(痛そう。)
 目が覚めたジュリエット。開放感に浸るも一瞬で、ロミオの骸を見つけて泣き崩れる。「まだ暖かい」って映画では言ってたっけ。ロミオの頭を持ち上げて顔をのぞきこむジュリエット。音楽の効果もあいまって、本当に泣けるくらい切ないシーンだった・・・。ペレン、あなたはいつのまにこんな女優になったの?
そして・・・ラスト。ロミオの上に重なるように倒れこむ。(ロミオ痛そう。)
オープニングと同様、町の人たちが今度はみな黒い服のまま前面に並び、ポーズをとって鈍い和音でフィニッシュ。
 すばらしく感動的で余韻の残る幕切れだった。


カーテン・コール。マスクを外したコールドたちが出てくる。(全員ではないが)ラヴリネンコ、フィルソワ、モストヴァヤらがいた。
ヴェローナ侯のマラさんはいない。(2日目は出てきた(笑)コールドに参加してたのかな?)ひときわ喝采が多いのはやはりマキューシオとティボルト、そしてキャピレット家当主のツァルさんだろうか。主役2人も惜しみない拍手。素晴らしいプレミアだった。どうもありがとう!
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コメント
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ツァル大活躍なんですね!嬉しいわ。
しかし、縄跳びジュリエット…これは実際に観ないとなんとも言い様がないですね、きっと優雅な縄跳びだと思いますが。
2008/12/04 23:23  | URL | おロシア人 #-[ 編集] ▲ top
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そうなんですん!ツァル兄さんのオーラが2倍前に出てくる感じでですね。これは日本公演でもかなり役に集中して魅せてくれると思うのですよ。あの父親役だけ見てたら怖い人だと思ってしまうかもしれない!!
(実際、オフィシャルサイトのバックステージでおどけている写真の兄さんを見て意外な感じがしてしまったもの。)
配役にヴァロージャが入ってたら当日買いもありだな!ってくらい。(光藍社さん、今年もお願いします♪)
2008/12/04 23:54  | URL | うみーしゃ #-[ 編集] ▲ top
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うみーしゃさん、いろいろとお疲れさまでした&ありがとうございます!
 ツァルのジュリエットパパ、すごくよさそうですね! パパのソロもあるとは……。来シーズンあたりは持ってきてくれるといいのですが(←気が早い)。
 フィルやコリパエフも元気そうでなによりです。チュチューキンが要チェックでしょうか(来日メンバーにいれば、ですが)。
 神父は父っつあんを期待していたのですが、生ぐさすぎたのかな……。ほかにどんな組み合わせがあるのかも知りたいところですよね。
2008/12/05 02:16  | URL | 綾瀬川 #SJep4kns[ 編集] ▲ top
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綾瀬川さん、
チュチューキンもそうですが、カシャーネンコの素顔が気になるところです。(結構いい男だと思うのよ〜)
あと、後日出てくるオマールもね!もうすぐもうすぐ彼らがやってきますから、また忙しくなりますね(笑)今度こそとっつぁんが来てくれますように♪(祈)
2008/12/07 15:42  | URL | うみーしゃ #-[ 編集] ▲ top
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