東京バレエ団「ジゼル」 9月11日の感想 |
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2008/09/23(Tue)
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<1幕>
なぜかこの日のヒラリオンを木村さんと勘違いしていた私は、出てきたヒラリオンを見て、いつもよりオーバーアクション気味な彼に陽気じゃんと思い、ちょっと顔がふっくらした?なんて超間抜けな事を思ってしまったのです。 ごとやんだったんだと気づくまで1分くらいはかかったかも。 マラーホフ、また少し華奢になったように感じたけれど、この人の脚の美しさは何度みてもため息が出るほどです。 短めの髪のせいか2年前の舞台よりも若々しい気がする。 もう出てきた瞬間から彼の頭と心の中にはジゼルしかないし、目線はすべてジゼルに繋がるものに注がれている感じ。 小出@ジゼルの登場。 飾り気のない普通の村娘でたんぽぽみたいに暖かい感じの可愛らしいジゼルで病弱というイメージはほとんどなし。 けれどもアルブレヒトに寄り添う姿は控えめで恥らいながら慎ましやか。(ただ黒のアイラインで強調しすぎたアイメイクのせいか、照明のあたり具合のせいか時々すごくやつれて見えたのが惜しかった。) ベンチでアルブレヒトに隣に座られると自分の今の気持ちをどうアルブレヒトに返したらよいのか分からないという感じで居心地が悪そうで、恋しい人を目の前に不器用そうにも見えるジゼルの仕草が、何気ない仕草一つとっても優しく洗練されているアルブレヒトとは対照的。 ヒラリオンが戻ってきてひと悶着あり、ジゼルがヒラリオンを拒み、ぶどう狩りの娘たちに混じって大好きな踊りに興じだしたあたりから、ジゼルがアルブレヒトへの思いを素直に心のままに表すようになったように感じた。 小出さんのヴァリは可憐で軽やかで、いつもながら音楽性があってとても良かった。 マラーホフのアルブレヒトはそんなジゼルが愛しくて仕方がないという感じでもう夢中。 ジゼルの母親が家から出てくる。 母親に対してはとびきり甘えん坊のジゼルだわ。 ジゼルが紹介したアルブレヒトを母親の直感で娘から遠ざけようとするベルタ。 狩の一行がやってきてジゼルの母親に飲み物を所望する。 コップをテーブルに置きながらも横目でずっと華やかなバチルダを追っているジゼルの表情が印象的だった。 得意の踊りを披露しようとした時に母親から心臓に悪いから踊ってはいけないと諌められたときの落胆した表情、バチルダから踊りを見たいと言われた時の輝くように嬉しそうな顔。 本当に踊りが好きでたまらない小出ジゼル。 ぺザントの踊り。 女性は良いのだけれど男性陣は中島&平野の茶色組と松下&長瀬の緑組の差が技術、雰囲気ともにありすぎだった。 古川さんと大島さんの穴は大きいですね。 上半身と腕は中島さん、ジャンプした時の脚は平野さんと二人を交互に見ていたらけっこう目が疲れてしまった(笑) 女性では平野さんと踊っていた吉川さんに目が留まりました。 ジゼルの友人の踊りを見ていて急に大島由賀子さんを思い出し、寂しくなってしまいました。 彼女のあの癒しの踊り、大好きだったんだよな。 この日は西村さんの優雅な踊りが良かったです。 村人たちに囲まれ幸せそうに寄り添っているジゼルとアルブレヒトの間にヒラリオンが割って入り、ジゼルに向かってアルブレヒトは貴族でおまえは騙されているんだと言い放つ。 ヒラリオンがアルブレヒトから奪い取った剣の紋章を見て、どこか違う人だと思ったけれどまさか貴族とは・・・というような驚いた顔をしていたベルタの表情もなかなか。 周辺を散策していた貴族たちやジゼルの家から出てくるバチルダを認めたアルブレヒトのうろたえは気の毒なほどだった。 ただアルブレヒトにとってバチルダは家同士が決めた許婚であり結婚は当然の事として受け止めていても、自分が心底愛しているのはジゼルなので、バチルダになんと繕おうというよりもジゼルをどう守ろうといううろたえに見えた。 バチルダの手をとってもジゼルの見ているところでは儀礼的な口づけさえできず、ジゼルが駆け寄るのを待っているようだった。 すべてを知ったジゼルはあまりの事に首飾りをすてて倒れこんでしまう。 悲しみで気を失いそうになりながらもアルブレヒトとの幸せな時間を思い出し、それをかみ締めるように花占いを始めたジゼルの大きく見開いた目が見る見るうちに潤んでいった。 最後はアルブレヒトに向かって駆け寄ったというより、何かもっと遠いところにあるものに追いつこう、掴もうという感じで高く跳ね上がったところをアルブレヒトに抱きとめられ事切れて倒れた。 ジゼルを亡くしたアルブレヒトの嘆きは凄まじく、第2の狂乱の場が始まるのではないかと思うほどの動揺だった。 <2幕> ミルタの井脇さんのパ・ド・ブーレは相変わらず床を滑るような細かさと速さ。彼女の登場とともに薄気味悪い森の空気がいっぺんに冷気を帯びるような気がする。 ウィリたちの踊りは以前と比べると足音も小さくなったけれど、初日のせいかばたついている感は否めなかった。 ウィリになった小出さん、復活の旋回も無事にこなし空気を優しく切りながらの柔らかな踊り。 百合の花束を抱きかかえ、ジゼルの墓を探すアルブレヒトは憔悴しきっていて彼女のお墓にたどりつく前に倒れてしまうのではないかと思うほどで悲愴感が漂っていた。 ジゼルとアルブレヒトの踊りは1幕とは打って変わって幻想的で静かな情熱が感じられる。 それぞれの伸びやかでラインの綺麗な踊りは素晴らしく、またマラーホフの磐石のサポートを受けて小出さんがたゆたう様は全く体重を感じさせずまさしく精霊だった。 ジゼルとアルブレヒトが姿を消すと、ウィリたちが捕らえたヒラリオンをミルタの前に連れて来る。 彼は俺は何にも悪いことはしていない。 悪いのは全部あいつじゃないかと必死にミルタに訴えながらも自暴自棄なヒラリオン。 なんというか後藤さんの踊りはわりと重い感じなのですが、その重めな感じが苦しいのに無理やり踊らされてる感じをよりリアルにしていたような・・・。 命乞いも空しくヒラリオンは二人のウィリに両脇を抱えられ沼へ突き落とされる。 ミルタがジュテを繰り返し袖に消え、ドゥ・ウィリも冷ややかな表情で消えて行き、その他のウィリたちが次々に後に続いて下手に消えていく。 ここもウィリたちが本当に冷淡でなかなか怖いなと思うのだけれど、全員が消えたと思いきや踵を返すごとく次の獲物であるアルブレヒトを取り囲んで舞台に戻ってくるところが異様に恐ろしい。 ジゼルとアルブレヒトのパ・ド・ドゥ。 小出さんの踊りはまるで彼女の体が旋律を生み出しているようで、その音楽性が一層際立っていたと思う。 一方のマラーホフは跳躍も高く、彼らしい背中の柔らかな反りも健在で優雅で美しい。 それでも踊り終わって倒れ込む時はもうこれ以上踊る力は残っていないというほど激しく倒れこむので頭を打つのではないかと冷や冷やするほど。 ミルタに吸い寄せられるように速度を上げていくブリゼは見事で、自身の命乞いではなく、どうかこのままジゼルと自分を2人だけにして放っておいて欲しいと懇願しているようだった。 夜明けを告げる鐘がなってもジゼルはこれでアルブレヒトの命が助かったのだという事に思い至らないのかにわかには表情が変わらないけれど、ようやくアルブレヒトを守り抜いた、自分のするべき役割は終わったというような安堵の表情を見せる。 その微妙な表情の変化が素晴らしかった。 倒れているアルブレヒトの肩を優しく抱きかかえるジゼルは、彼の温もりを感じ、アルブレヒトへの想いを残しながら永遠の別れを告げているように見えた。 ジゼルの気配を感じる事のできなくなったアルブレヒトの表情がどんどん悲痛さを増し、まるでジゼルを求めてすがるように墓に手を滑らせながら立ち上がり、腕にかき集めた百合の花を、ほとんど生気もないままに一厘ずつ落としながら後ずさりし力なく倒れこむ。 これほどまでにジゼルを失った悲しみと苦しみに打ちのめされ、心を壊してしまったアルブレヒトを見たのは初めてで、しばらくはこちらも放心してしまいました。 2年前にヴィシニョーワと見た時には繊細で激情的なマラーホフのアルブレヒトは好みではないとまで書いていた自分が信じられません・・・。 しかもその舞台の後、ジゼルを全く見ていなかったので、2年の月日を挟んでいるとは言えマラーホフのアルブレヒトを連続で見ていることになります・・・。 彼の描きあげるアルブレヒトは変わっていないはずなのに、今回なぜこんなに感動したのか・・・。 パートナーに酔い自分に酔う陶酔度が若干低くなり、毒気と感じられていたようなものが小出さんに上手く吸収されたのか、自分に微妙な変化があるのか理由はわかりませんが、また是非彼のアルブレヒトが見たいと思った舞台でした。 舞台って本当に不思議で素晴らしいものだなと・・、これだから止められないんですよね。 |
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鍵コメを下さった方へ、 どうもありがとうございました。 私もこの後追いかけてみたいと思います♪ |
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