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ロイヤルバレエ「マノン」 バッセル&ボッレ
2005/07/21(Thu)
ロイヤルバレエの皆さんはもう帰国されたのでしょうね。
本国ロンドンでテロが起きた時にはすでに来日していたでしょうから、皆さんどんな思いで帰国されたのでしょう・・・
(何やら、またロンドン市内の地下鉄で煙が上がっている事故があったそうです)

15日に観て来たダーシーのマノンの感想を忘れないうちにメモ。

   マノン   :ダーシー・バッセル
   デ・グリュー:ロベルト・ボッレ
   レスコー  :リカルド・セルヴェラ
   ムッシューGM :クリストファー・サンダース
   看守    :ウィリアム・タケット  

バッセル&ボッレのマノンは感動的で素晴らしい舞台だった。
1幕1場、パリの郊外の宿屋の中庭。金持ちの紳士淑女、娼婦、物乞いなどが所狭しと犇いている退廃的な喧騒の中、一台の馬車が停まり、マノンが飛び出して来て兄との再会を喜んでいる。バッセルのマノンは屈託のない明るさと無邪気さが魅力の美しい女性。一方、神学書を手にすでに登場しているボッレのデ・グリューはほわんとした世俗慣れしていない青年という感じ。マノンに一目ぼれしたデ・グリューがようやく機会を捉えてマノンへの愛の告白のソロ。2年ぶりに見るマクミランのこの高度なテクニックを要する振り付け。ちょっとでもバランスを崩したらアウトだよな・・・と思いながらもとってもワクワクしてくるこのデ・グリューのソロ。ボッレはそれなりに無難に・・・ ふと、何故か?マトヴィエンコだったらどれだけ綺麗に決めるだろうかなどという思いが頭を過ぎった。(深い意味無し、新国で観られなかったからかな?)
1幕2場、二人の寝室のPDDはとても甘美で、バッセルはマクミランの振りを難しいと感じさせる事もなく、体を完璧にコントロールしながら長い手脚を活かして流麗な踊りを見せてくれた。サポートに安心感のあるボッレとのパートナーシップも良く、大柄な二人によるスピーディーなリフトは見応えがあり素晴らしかった。
彼女は毛皮のコートを身に着けたあたりから魔性の女の本性を現し始め、ムッシューGMと踊っている時は、感情を殺して視線は宙を漂いながらデ・グリューとの決別と新たな人生を受け入れる覚悟をしているように見えた。

2幕の娼家でのパーティーではすでに女王然とした輝きで奔放振りを発揮していたけれど、デ・グリューと視線を合わせた時、一瞬見せた凍りついたような顔が良かった。

この日、不満に思ったのはレスコーのリカルド・セルヴェラ。1幕の出だしのソロはかなり不安定で、乞食の頭のブライアン・マロニーの方が切れのある踊りで良かった。リカルドのレスコーは役作りもちょっとあくどさが足りず、愛人との芝居もつまらなかったし、どんな人物なのか掴みにくかった。(こちらの解釈力がなかっただけかもしれないが、ついでに言うと愛人のラルラ・モレラも踊りに精彩が無なかった。)いずれにせよ、マノンがあれだけ慕う兄という存在には見えなかったのよ。レスコーが死んだ時のマノンの嘆きようが凄く真に迫っていただけに、観ているこちらも、もっとレスコーに情を持っていたかったなと残念だった。2年前の新国のドミニク・ウォルシュの演技と存在感は凄かったんだ・・・。

バッセルの3幕は圧巻。それまでの華やかさとの落差が激しく、身も心もボロボロで、デ・グリューなくしては今にも消え入ってしまいそうという感じで、思っていた以上に細くて華奢なバッセルの体がその痛々しさを増長させていた。沼地のPDDでのボッレのリフトは凄かった。バッセルを凄い速さで空中で回転させていた。そしてバッセルのマノンは、もう狂気すれすれというように見え、救いを求めるかのように手を差し伸ばし絶望に打ち震える姿は本当に哀れで、そして、そんなマノンをただただ抱きしめるしかないデ・グリューも見ていて辛いものがあった。

幕後のカーテンコールは、スタンディングオベーションだったけれど、都さんと同様、バッセルをロイヤルの来日公演で観られるのも、もしかしたら最後なのかもしれなという思いで見届けた人が多かったのでしょうね。

<余談ですが・・・>
ムッシューGMを演じたのはクリストファー・サンダース氏。都ちゃんシンデレラのあの優しいお父さんと同じ方とは思えない。もう上着を脱いだだけで十分好色な感じ。
そして、看守はウィリアム・タケット氏。こちらも人格を疑われそうなほどの厭らしさと傲慢さたっぷりだった。



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