バレエ・スプリーム Aプロ 7月26日
2017/07/30(Sun)
― 第1部 ―

「ラプソディ」
振付:フレデリック・アシュトン
音楽:セルゲイ・ラフマニノフ
ヤーナ・サレンコ、スティーヴン・マックレー


Aプロは2公演ということで祭典の会員ながら中央通路より後ろの席。 文京シビックの前方は文化会館よりも前列との傾斜が緩いので見易さから言えば良かったとは思いますが、やはりちょっと遠い。
マックレーは身長こそ高くないですが、手足長く均整のとれた体つきでラインが綺麗ですね。 出だしから跳躍しての開脚などもスパッと切れ味良く、アシュトンの難しいステップも流麗にこなしてさすがのパフォーマンス。 サレンコも貫禄すら感じさせる余裕のダンスで、マックレーともとても自然に息が合っていて伸び伸びと踊っていました。


「アスフォデルの花畑」
振付:リアム・スカーレット
音楽:フランシス・プーランク
フランチェスカ・ヘイワード、マルセリーノ・サンベ


2010年に初演となったこの作品はプーランクの「2台のピアノのための協奏曲」にのせた3組のカップルによるパ・ド・ドゥ集との事ですが、上演されたのは2楽章のPDD。 アスフォデルとは古代ギリシア神話の「黄泉の国」に咲く花の名前だそうです。
物語性のないというアブストラクト・バレエながら、女性が主導権を握った恋愛模様のようにも見えました。 アクロバティックなリフトなど見せ場はありますが、全体的には凡庸な振付ですかね?
リスボン生まれのマルセリーノ・サンベは2012/13シーズンに入団以来順調に伸びてきているダンサーで来シーズンからはファースト・ソリストに昇進との事。


「ジゼル」 第2幕よりパ・ド・ドゥ
振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー
音楽:アドルフ・アダン
高田 茜、ベンジャミン・エラ
  

流れ的に、ここでいきなり「ジゼル」?で、こちらの気持ちの切り替えも出来てなくてみたいなところはあったのですが、あまり良い印象は持てませんでした。 
初見の高田さん、跳躍がとても高く、技術レベルも高いダンサーなのだとは思ったのですが、動きに流れるような滑らかさが足らず、ちょっと勢いがよすぎるところが目に付いてしまい精霊には見えませんでした。 パートナーのエラはまだファースト・アーティストで、高田さんと組むこと自体に緊張があるのかもしれませんが、いまひとつの出来。 二人の間に愛情が見えなくて1幕が想像できない組み合わせだったのも残念。


「アイ・ガット・リズム」
振付:スティーヴン・マックレー
音楽:ジョージ・ガーシュウィン
スティーヴン・マックレー

爽快!! タップダンスって自分がリズムそのものにならないと踊れないですよね。 彼の素晴らしい音楽性の原点はこのタップダンスなんでしょうね。


「ロミオとジュリエット」 第1幕よりパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
フランチェスカ・ヘイワード、フェデリコ・ボネッリ


当初予定のサラ・ラムとの「アポロ」が見られないのは残念だけれど、ボネッリのロミオがまた見られたのは嬉しかったです。 でも、こんなに髪、真っ黒でしたっけ?(笑) 彼自身は今でも十分ロミオが似合うのだけれど、パートナーがヘイワードだとさすがに見た目の年の差がありすぎましたかね? でも甘く情熱的なソロはとっても魅力的だったし、演技もサポートも上手いです。 
ヘイワードはサンベと踊っていた時は大きく見えたくらいなのにボネッリと並ぶとちっちゃくて華奢。 ジュリエットを自然に演じられる年齢ではあるけれど、彼女のジュリエット、それほどピュアで初々しく見えなかったというか、なんかちょっと恋愛慣れしているように見えたのは自分だけ?


― 第2部 ―


「白鳥の湖」 第2幕よりパ・ド・ドゥ
振付:ルドルフ・ヌレエフ(マリウス・プティパ、レフ・イワーノフに基づく)
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ミリアム・ウルド=ブラーム、マチアス・エイマン  


このPDDだと、マチアスがほぼサポートだけなのがね・・・、もったいない。 ミリアムのオデットは王子に心を許しかけては否定するというようなオデットでしたね。 まぁそれよりも、白鳥はどうしてもロシアダンサー的ラインがないと駄目なので、このペアには別の演目を踊って欲しかったというのが本音です。 


「白鳥の湖」 第3幕よりパ・ド・ドゥ
振付:ルドルフ・ヌレエフ(マリウス・プティパ、レフ・イワーノフに基づく)
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
レオノール・ボラック、ジェルマン・ルーヴェ


パリオペのメンバーがNY公演が終わったばかりの強行スケジュールだったのは知っていますが、それにしてもこの二人の出来はエトワールとしてひど過ぎ。
ボラックがグランフェッテで32回回らず、残り3分の2くらいからはルーヴェのグラン・ピルエットに変わったのは演出なのかもしれないので構わないのですが、そういう事以前に二人ともいっぱいいっぱいの踊りにあちこちほころびだらけで、あまりに精彩を欠いた出来に不満しか残りませんでした。


「エスメラルダ」 パ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ
音楽:チェーザレ・プーニ
オニール八菜、ユーゴ・マルシャン 


この二人もボロボロなのかしら?と思わず身構えて見てしまいましたが、こちらはしっかりとみせてくれました。
八菜さんは長身で華やかな顔立ちなので舞台栄えしますね。 とっても落ち着いていて舞台度胸もよさそうで技術的にも不安定なところはなくて良かったのですが、まだラインがあまいというか、特に上半身の動きで綺麗に見えないところもあったので今後に期待です。
マルシャンはパリオペ来日公演では見られなかったので初見。 こちらも容姿に恵まれた大柄なダンサーです。 エレガントな立ち振る舞に丁寧な踊りが好感度高し♪


「マンフレッド」
振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
マチアス・エイマン
 

フランソワ・アリュの降板により急遽追加になった演目ですが、第2部でようやく心から満足できる踊りが見られて本当に良かったです。 マチアスの踊りはどこを切り取っても美しいですね。 


― 第3部 ―


「ドン・キホーテ」 ディヴェルティスマン 
振付:マリウス・プティパ 
音楽:レオン・ミンクス

キトリ、バジル: 高田 茜、フェデリコ・ボネッリ ほか
キトリのヴァリエーション: ミリアム・ウルド=ブラーム
キトリ、バジル: ヤーナ・サレンコ、スティーヴン・マックレー
パ・ド・トロワ: ミリアム・ウルド=ブラーム、レオノール・ボラック、ユーゴ・マルシャン
バジルのヴァリエーション: マルセリーノ・サンベ、ベンジャミン・エラ
キューピッド: フランチェスカ・ヘイワード
ドリアードの女王: オニール八菜
キトリ、バジル: レオノール・ボラック、ジェルマン・ルーヴェ
バジルのヴァリエーション: マチアス・エイマン
キトリのヴァリエーション: レオノール・ボラック
コーダ: 全員


キトリ、バジル、それぞれ何人いるんだか~~!!な出演者全員による「ドン・キホーテ」ディベルティスマン。
高田さんは断然キトリの方が良かった。 本当に脚が強くてビシッと決めて踊れる人なんだなーと思いました。 ボネッリにはもっと踊って欲しかったけれど高さのあるアントルシャが綺麗でした。 続くサレンコとマックレーもノリノリで楽しそう。 キトリのバージョンを踊ったミリアムのフェアテも軽快。 さらにマルシャンのミリアムとボラックを従えて?のダンスはなかなかエレガントでナイス。 何気に良くてびっくりだったのがサンベとエラのヴァリエーションで、二人とも思い切りのいい溌剌とした動きで持てる力を十分発揮。 エラも来シーズンはソリストに昇進が決まっているとの事でした。 伸び盛りの若いダンサーの勢いのある踊りは見ていて気持ちがいいですね!
そしてちょっと唐突な感はありましたが、チュチュ姿のキューピッドのヘイワードもとってもキュート。 ドリアードの女王の八菜さんもゆったりと大きな踊りが良かったです。 
結婚式のPDDのアントレはボラックとルーヴェで、二人とも黒鳥よりは破綻なく。 ヴァリ担当のマチアスはやはり動きが流麗で美しく上手いですねぇ。 コーダは全員でフェッテ&ピルエット合戦かと期待したのですが、それはなかったです。 盛り上がっていたのでちょっと残念だったなぁ。

この記事のURL | バレエ鑑賞記 2017年 | CM(6) | TB(0) | ▲ top
東京都交響楽団 第837回定期演奏会Cシリーズ 7月22日
2017/07/27(Thu)
東京都交響楽団
指揮:ヤクブ・フルシャ
女性合唱:新国立劇場合奏団
会場:東京芸術劇場コンサートホール

ブラームス:交響曲第3番ヘ長調

   ――― 休憩 ―――

スーク:交響詩「人生の実り」


HURSA0725.png


都響主席客演指揮者のフルシャも2012年に初めて聴いて以来、可能な限り聴いてみたい指揮者の一人です。 ただ運悪く、なぜかバレエ公演や他の用事と重なる事がけっこう多く、聴きたかったのに聴けなかったコンサートがけっこうありました。 今回もまた26日の「わが祖国」はバレエ・スプリームと重なってしまい断念。 プラハフィルとの演奏は聴いていますが、曲自体とても好きな「わが祖国」の都響との演奏は本当に聴きたかったのでつくづく残念。

この日は演奏前にプレトークとしてフルシャがスークとの出会いと演奏曲「人生の実り」について20分にわたり熱く語ってくれました。
「17歳の時にプラハの街を歩いていて通りかかった古い楽譜屋で見つけた大きなスコア。 とうてい買えないだろうと思ったそのスコアはたったの3ユーロだったので買って帰り、読み始めると1ページ目から意識を失ってしまうような世界。 それまで趣味で音楽をやってきた自分が本格的に人生を音楽に捧げようと思ったきっかけがこの『人生の実り』との出会いだった」と。
「実り」は英語では「Ripening」というINGのつく進行形の単語で表されるように、終わりではなく過去からずっと続いている過程との事であり6部に分かれているこの曲の流れを感じて欲しいと。 まだ語り足りなかったようですが、あと5分で開演というところで終了となりました。 最後に突然思い出したようにPlease also enjoy Brahmsと笑顔で付け加えていたのを聞いて思わず笑ってしまいましたが、プログラムには「スークはチェコの音楽史の中で非常に重要な作曲家で、ドイツ音楽におけるマーラーと同じように巨大な存在です」と記載されている事からもフルシャのスークへの深い敬愛の念が伝わって来ます。


演奏会では久しぶりのブラームス3番は全体にゆったりと穏やかな演奏でした。 16型のオケは十分迫力があるけれども渋すぎず重すぎずに美しい音色。 2楽章の冒頭のクラリネットから弦楽器に続くところから中盤まで、どんな荒れた心も安らぐだろうと思うような長閑で平和的な旋律の美しさは感動的。 2楽章は本当に美しい演奏でした。 続く3楽章もチェロやホルンの歌い上げが素晴らしく心に染み入る演奏。 4楽章は次第に熱を帯びフルシャらしい端正ながらエネルギッシュな指揮。 それに真摯に全力で応えた都響も見事でした。

フルシャ&都響は、12月にブラームスの2番と1番をそれぞれマルティヌーの2番、1番とのコンビで演奏します。 彼はブラームスの交響曲を4番から逆順で演奏する事になるのですね。 チクルス制覇で12月の公演ももちろん行く予定です。 とても残念な事ながら、フルシャはその公演をもって主席客演指揮者としての役割を終えますが、今後も1年に1度は戻って来て都響の舞台に立って欲しいと切望します。 昨年の秋からずっとアンケートにはそれを書き続けているのだけれど・・・。 願いが叶いますように!!


ヨセフ・スークは1874年生まれのチェコの作曲家で、プラハ音楽院でドヴォルザークに音楽を学んでいます。 音楽院を出たばかりの頃にドヴォルザークの娘のオティーリエと出会い結婚。 しかしながら師てもある義父のドヴォルザークが亡くなった翌年、結婚わずか6年後にオティーリエも27歳の若さで亡くなるという辛い出来事を経験する事になります。 スークの作品には交響曲第2番「アスラエル」、交響詩「夏の物語」、交響詩「人生の実り」、交響詩「エピローグ」という標題的4部作と呼ばれる作品郡がありますが、それはその深い悲しみを乗り越え20年以上もの歳月をかけて1作品、1作品書かれたものとの事です。 

「人生の実り」はRecognition / Youth / Love / Fate / Resolve / Self-Moderationの6部構成ですが、各部切れ目なく続く演奏時間40分ほどの大曲でした。 そしてオケはブラームスと同じ16型ですが、管楽器、打楽器の人数が増え、ステージ奥には合唱団の女性がずらっと並び、ステージ上方パイプオルガンのスペースにバンダのトランペットが6人配置されるという大編成。 
冒頭のヴァイオリンの繊細で柔らかな音色がとても美しく、思わず目を向けると第1プルトの2人と第2プルトの外側の3人だけがメロディーを奏でていたように見えました。 他の弦も最初はトップだけだったような・・・。 初めて聞く曲だったので、プログラムの解説を頼りに6部それぞれを認識しようと思いながら聞いてはみたもののなかなかに難しい。 全体的に美しく聞きやすいメロディーが多く、その曲調が穏やかだったり幻想的であったり激しかったり雄大だったりと色彩も豊か。 また、それぞれの楽器での分奏も多く、旋律が複雑に絡み合ってさらに豊かな表情と厚みを出しているようでした。 各部につけられたタイトルをイメージして捉えるのは凡庸な感覚では難しかったのですが、前衛的なバレエや映画の壮大なシーンに合うような旋律を多く感じました。 ハープ、チェレスタ、グロッケンシュピールも独特な音の世界を作りますしね。 曲の終盤に置かれたヴォカリーズでの女声合唱は、どこか神秘的でいよいよクライマックスを迎えるという雰囲気を醸し出していてドラマティック。 ですが、その後は盛大なフィナーレではなく、実りというよりは終焉を思わせるように静かに締めくくられていきました。

好きな指揮者、演奏家、オケ、作曲家がいるってやっぱりいいですよね! 自分に新しいものを与えてくれる!!  指揮者がフルシャでなければ、絶対に縁がなかったと思われるこの曲、切れ目なしの40分はあっという間でした。 
彼にとっても初演との事で、敬愛する作曲家の大曲を振る事のできる幸せとクラシック音楽を好む客席の人々にこの曲を聴いてもらう事ができるという喜びに満ちていたような気がします。 終演後にオケの主要メンバーに一人一人握手を求め、演奏の成功を共に喜んでいた姿も良い光景でした。  
この記事のURL | 音楽 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
壊れたPCその後・・・
2017/07/25(Tue)
壊れたPCは主に私が使っていたデスクトップで、うちのPCスタッフ(夫・笑)がハードディスクを取り出していろいろチェックしてくれましたが、一部修復はできたものの大方ダメで業者に復旧を依頼するか考え中。 いずれにしても新しいPCを買わないと駄目みたいです。 Jcom mailは夫のラップトップからアクセスできるようになり19日からのメールは見られますが、それ以前のものは見られず・・・ しかもえらくフォームが変わっていて見づらい。 というか、あんな見づらいメールフォーム初めて見たというほど変!! Web mailは設定どおりにやっているのにinboxが空状態で機能せず・・・。
会社のITスタッフからもBack upの必要性って痛い目に合わないとわかんないんですよねーと軽く流されてしまいましたが、ほんと、痛いほど実感しましたです・・・。
この記事のURL | 雑記 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
PCが壊れた!
2017/07/21(Fri)
家のPCが立ち上がらなくなってしまいました。
火曜日の使用中に急にプッツンして以降動かない・・・。 それまで特に調子が悪くなったりという事もなかったのでまさかのおしゃか。
この週末にいろいろ試して駄目だったら業者に相談に行こうかなと思っていますが、さっきPCの販売証明書を引っ張り出してきたら買ったのは2008年でした。 びっくり!!  こりゃーとっくに寿命がきていてもおかしくない年数ですね。 てっきり4,5年前かと思っていたけど、ほんと、時間のたつのが早く過ぎる。 Back Upほとんど取ってないし・・・(泣)。
困っちゃっているのがメールです。 WEB MAILを見られるようにしてなかったから火曜日からメールがチェックできてない。 JCOMに事情を話してなるべく早く設定しなければ・・・。 
ということで、何かご連絡の際は携帯にお願い致します。 またはブログコメントのsecretでも大丈夫です。 
まいったなぁぁぁ。
この記事のURL | 雑記 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
ENB「海賊」 7月16日
2017/07/20(Thu)
ともかく海賊は楽しくなくちゃ!というのを改めて感じさせてくれた舞台でした。 大満足♪♪
ENB版は冒頭の海賊船の難破シーンとそれに続くメドーラとコンラッドの出会いのシーンはなく、奴隷商人ランケデムにさらわれてしまったコンラッドの恋人のメドーラをコンラッドたち海賊が船で救出に向かうというシーンで幕を開けます。 親しんだマールイボヤルチコフ版にあるものがけっこうないのは淋しいながら、まーそれはそれでいいのですけど、2度も恋人をさらわれるってどうよ!と、思わなくもなく・・・(笑)
また音楽も曲からはシーンが浮かんで来ない聞いた事のないものが多く、振付も見慣れた版とはかなり違うので少し違和感はありましたが、それもそれ。 

ロホのメドーラは、芯は強いけれど守ってあげたくなる姫キャラではなく、パシャたちを蠱惑的な視線で惑わす囚われの身感皆無な姐さんタイプ。 作品の中の人物像というものをしっかりとイメージした彼女の役作りと演技力については今更言うまでもない事ですが、今回のメドーラに関してはこう来たか!と初めて見るタイプのメドーラでした。 踊りの方も彼女比では全盛期ほどではないのでしょうが、足の強さは相変わらずで、軸が全くぶれない回転、バランスなどは圧巻です。 それらがすべて自然にさらっとなのもロホらしいし舞台上でのオーラもやはり格別なものがありますね。  

もともと海賊はロホでと決めていましたが、この日に決めたのは久しぶりのハニュコワを見たかったから。 同じ理由でこの日を選んだ友人も何気に多かったんですよ! しっかりしたテクニックに柔らかい品のある踊りはキエフの頃と変らずで調子も良さそうだったのに、奴隷のPDDのコーダでアクシデント。 コーダに入ってすぐの連続ジュテが途中で途切れ、辛そうな表情を見せていて。 ただ物語的に嫌々で暗い顔をしていてもおかしくなかったし、足を引きずっていたりはしていなかったので何事もなければいいなと思っていたのですが、やはり怪我をしたそうで3幕は降板。 大事無ければいいですが、怪我をする危険性というのは常に舞台に潜んでいるものなのですね・・・。
ハニュコワの代役で3幕のギュリナーラを踊った金原さんは前日にこの役を踊っているので急な事とはいえ、自然に役をこなしていて良かったです。 音取りにちょっと癖があるような気もしますが、床に触れていないようなソフトタッチの柔らかなステップが印象的です。

この日のキャストは踊る主要キャストすべて(パシャも重要なキャラですけどねー)がカンパニーのダンサーというのも決め手の一つでした。 
コンラッドのエルナンデスはエレガントさも持ち合わせた溌溂とした踊りが良かったです。 別に顔が似ているわけじゃないんだけど、髪の感じとかなんとなくシヴァに通じる雰囲気があってにわかファンモード♪  一番美味しいところはアリに持っていかれる役ですが、ロホをきちんと支え、難しいリフトも決めながら見せるところはしっかり見せていましたし、洞窟でのメドーラとのPDDもとても微笑ましくラブリーなコンラッドでした♪ 

そのアリのコラレス。 フランツを見た時には荒削りながら身体能力が高い飛んだり跳ねたり回ったりが得意なタイプのダンサー程度の印象だったのですが、その得意分野がここまで圧倒的に凄いとは思いもしませんでした。 ハーレムパンツに隠されてしまった大腿筋の成せる業? この版でもアリが踊るのは洞窟でのパ・ド・トロワだけだったので、一点集中で大爆発ですね。 そのもの自体が驚嘆の超々高速の回転とそれを減速していく回転まで、軸はまっすぐに体のコントロールもパーフェクト。 コーダで見せた下手からのグランジュテ3連発の高さも異常なほどに高く、そこらじゅうからどよめきが聞こえました。 しかもフォームも綺麗で決して勢い任せではありません。 演技では寡黙で忠実なコンラッドの下僕になりきっていましたし言う事なしでしたね!

ビルバンドのヨナ・アコスタはカルロス・アコスタの甥っ子なんですねー。 引き締まった肉体でキレのあるダンスでした。 彼だったら絶対迫力あったにちがいないと思う鉄砲ダンスがなかったのはとても残念。 ビルバンドっていったらあれでしょう!! 
鉄砲ダンスの替わりではないけれど一幕の海賊とパシャの手下たちによる剣を持った争いのダンスは面白かったなと。 また1幕では同士としての熱いダンスをみせたコンラッドとビルバンドが2幕では対立のダンスをするという対比もなかなかの演出。 かなりコンラッド劣勢でしたけどね(笑)。

マールイ旧版と比べてこれがないあれがないながら、ランケデムを使った眠り薬のシーンがあったのは「ムフフ」。 見張りが立っていたのでやるかなーと期待していた、薬の効果を試してみるシーンもちゃんとあったしね♪ (マールイルジ版であそこがなくなったのはねぇ!) 薬をたっぷりふりかけた一厘の花をメドーラに渡すのがランケデムに頼まれた女の子だった事に「そーだよねー」と深く納得。 

ランケデムのジンハオ・チャンはコッペリアの3幕で日本人の猿橋xxさんとどっちがどっち?と判別がつかなかったダンサーだったのですが、この日ですっきり。 東洋人らしいすらっとした長身のダンサー(猿橋さんも)で踊りがしなやか。 奴隷のPDDも良かったですが、一幕最初のソロが足先まで神経を使っていて綺麗でした。

パシャのマイケル・コールマンは英国ロイヤルバレエ団で活躍し、ENBには1995年に初めてゲスト出演して以来、定期的に出演しているというベテランダンサー。 ふとっちょお腹ボォ~~ンで憎めない感じのパシャを好演。 権力者ですからね~、一番キンキラキンで贅を尽くしたゴージャスな衣装に身を包んでおりました。 とっても似合っていたし(笑)。

花園のシーンは水煙草を吸って眠ってしまったパシャの夢というようにわかりやすいのもいいですね。 花園といえばピンクのチュチュという思い込みがありましたが、こちらはホワイト系。 それまでの舞台が華やかな衣装で彩られていたので、一転清涼感が漂っていました。 期待したピチカートがなかったのはちょっと残念。

衣装・舞台装置ですが、「コッペリア」同様、細部まで凝った作りで美しく見事でした。 特に19世紀中ごろの舞台衣装を現代人の感覚を通して再解釈したという衣装は東洋を意識してインド・パキスタン・などで作られた生地や装飾品を用いて作ったとの事です。 かなりカラフルでしたが、どぎつく毒々しいわけではなく、調和が取られていて品がありました。  

物語のエンディング。
裏切り者の(ちょっとかわいそうだけど・・・)ビルバンドをコンラッドが銃で撃ち殺し、メドーラも無事救い出し、アリとギュリナーラの4人で船で逃げるも幸せはつかの間。 大嵐に遭遇しアリは海に投げ出され船は大破。 ギュリナーラも行方知れずで船の残骸とともに流されたコンラッドとメドーラの2人だけが生き延びる・・・。
ちょっと最後にしんみりしちゃうよりは、荒唐無稽の明るいノリで来たのだから、4人の船出でハッピーエンド♪でいいんですけどねー。


「コッペリア」「海賊」の2作品を見て、良いダンサーも大勢所属しているエネルギッシュで勢いのあるカンパニーである事は十分わかったので、時間をおかずに次の来日公演が決まるといいなと思います。 ENBでなければ見られないような作品と数ある作品の中のENB版のようなものを持って来て欲しいです!

 



振付:アンナ=マリー・ホームズ
装置・衣装:ボブ・リングウッド

メドーラ : タマラ・ロホ
コンラッド : イサック・エルナンデス
ギュルナーラ : カーチャ・ハニュコワ(3幕:金原里奈)
ランケデム : ジンハオ・チャン
アリ : セザール・コラレス
ビルバント : ヨナ・アコスタ
パシャ : マイケル・コールマン


第1幕 市場
 オダリスク : 金原里奈、アリソン・マクウィニー、フランチェスカ・ヴェリク
第3幕 踊る花園
 薔薇:クリスタル・コスタ、アンジュリー・ハドソン
     アリソン・マクウィニー、康千里
 花のソリストたち:ジア・チャン、ジャネット・カカレカ
           ユナ・チェ、ティファニー・ヘドマン

指揮:ギャヴィン・サザーランド
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
この記事のURL | バレエ鑑賞記 2017年 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
癒しの動物たち♪
2017/07/17(Mon)
今夜のNHKの動物園と水族館の楽しみ方を紹介した「ぱぴぷぺZoo!」という番組で取り上げられた大分県にあるアフリカンサファリ。 数多くの動物たちを自然に近い状態で見ることのできる非常に大規模な体験型サファリパークです。 いつか行ってみたい!! 番組ではこの施設の名物獣医さんの一日を密着取材。 獣医さんは動物たちの健康状態をチェックするために本格的な望遠レンズのついたもっの凄い立派なカメラで細部までくまなく観察していましたが、同時に動物たちがみせる様々な表情もばっちり撮影していて(毎日300枚くらい撮るのですって!)、それが本当に岩合さんも真っ青なナイスショットだらけ! 写真集出して欲しいぃぃ~~と思ったら「もふもふ日誌ー仔トラと仔ライオンーときどきウサギ」という単行本が出ているんですね。 「マツコの知らない世界」でも紹介されて話題沸騰だったとか。 
さらにサファリパークの公式ツィッターに獣医さんのツィート付きで写真がたくさんアップされています。 こちら。 もう動物好きにはたまらない写真ばかり!! スマホの壁紙に使える写真もあります。 昨日見たENBの「海賊」の感想を書き始めたのですが、いやもう当然中断(笑)。 もうしばらく動物たちに癒されてみます♪  
この記事のURL | 雑記 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
7月4日 ハンブルク交響楽団コンサート
2017/07/16(Sun)
ハンブルク交響楽団
指揮:シュテファン・ザンデルリンク
会場:武蔵野市民文化会館

ブラームス:交響曲第4番ホ短調

 ――― 休憩 ―――

ブラームス:交響曲第1番ハ短調

<アンコール>
モーツァルト:フィガロの結婚


2017071601.jpg


6月に初来日を果たしたブリュッセル・フィルハーモニー交響楽団に続き、ハンブルク交響楽団も初来日との事です。 
全国9箇所での日本ツアー、ハンブルグが生誕の地であるブラームスの交響曲第1番と第4番というプログラムは武蔵野だけの特別プログラム!  「彼らのDNAにみっちりと叩き込まれたブラームスを」と特別に依頼したのだそうです。 本当に武蔵野の担当者は意欲的ですよね。 以前マールイの「眠りの森の美女」でも当時芸術監督だったルジマトフに直接交渉してボルチェンコのオーロラを実現させたりもしています。 私はともかくブラームスの交響曲が好きなので、ブラームス生誕の地のオケが演奏となればやはりどうしても聴いてみたくなります。 
今回のツアーの指揮者であるシュテファン・ザンデルリンクは巨匠クルト・ザンデルリンクの次男ですが、時期を同じくして弟のミヒャエル・ザンデルリンクもドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団を率いて来日中で、武蔵野でも6月26日にコンサートがありました。 武蔵野は違いましたが、日本国内で兄弟そろってブラームスの1番と4番を振っていたのですね(笑)。

演奏会で「1番&3番」と「3番&4番」という組み合わせのプログラムは聴いた事がありましたが、どちらもほぼプログラム後半にあてられる「1番&4番」は初めてです。 武蔵野の案内にはただ1番4番と書かれていただけだったのでさて順番は?と気になっていました。 やはり4番→1番なんですね! ミヒャエルの方も同プログラムの順番は4番→1番だったようです。
さて、この日は台風3号が九州や四国に上陸、武蔵野市も開演のちょうど30分くらい前から雨が降り始め、休憩時間の20時頃には猛烈な豪雨。 あの湿気では空調システムが効いているとはいえ、楽器の調整はとても大変だったのではないでしょうか? あちらの方は低気圧状態もかなり辛いと聞きますし、コンディション的には最悪だったかもしれませんね。

4番のテンポは若干遅め。 1楽章はなんとなく纏まりが悪くお互いの音が絡み合って上手く抜けて来ないようにも聞こえましたがメロディーラインは好みのトーン。 2楽章の出だしのホルンのふくよかで朗々とした響きは綺麗で、全体的にも楽章を追うごとにどんどん音も開放されて来たような感じでした。 ただ、何だろう? 手探り感が拭えないというか、いま一つ会心という出来ではないように思いました。 やはり最初うーん・・・ながら後半は素晴らしかった4月のルイージ&N響と無意識のうちに比べたのかもしれませんが、今回のツアーで4番を演奏するのは武蔵野だけだったのが要因でしょうか?

1番もどちらかといえば少し遅めのテンポでした。
女性のティンパニー奏者というのは珍しいですよね? 日本人女性でNomuraさんという方でした。 1番では男性奏者に変わるのかなと思ってましたが引き続き担当。 ですが、4番の時とは違って出だしから強く引き締まった堂々とした音。 14型の編成が変わったわけでもないのに弦の音も厚くなりオーケストラ全体の音が生き生きと躍動感あるものに変わったように思いました。 弦も管もそのバランスもとてもいい。 2楽章は美しいメロディーが続きますねぇ。 後半のホルンとヴァイオリンの響きあいに詩情があり、その後のコンマスの艶やかで伸びのある音がとても美しかった。 その余韻に浸りたかったのに、指揮者が手を下ろさないうちからの咳の連発が何とも腹立たしい。 団員もちょっとむかついていたような。 3楽章はクラリネットが目立ちますが、曲を通してオーボエ、クラリネット、フルート、ファゴット、ホルンのソロの聴かせどころが多いですね。 どの奏者も良かったですがなかでもオーボエ奏者の情感豊かな演奏が素晴らしかったと思います。 この曲の中で一番好きな4楽章は、第1主題が流れてくると無性に高揚するのですが、渋いながら温かみのあるオケの音もじわじわと熱くドラマティックになってゆき、最高潮でのフィニッシュでした。本当に感動的!!  

アンコールのモーツァルトは典雅に軽快な響きが美しかった。 

購入したプログラムのツアーメンバーリストにおそらく日本人と思われる5人の名前がありました。いずれも女性です。 またブリュッセル・フィルハーモニー同様第2ヴァイオリンの主席奏者が日本人の方なのですが、本当に今多くの日本人演奏家が海外のオーケストラで活躍されているのですね。 5月に聴きに行ったコンチェルト・ケルンはコンサート・ミストレスが平崎真弓さんという日本人の方でメンバーをリードしながらとても素晴らしい演奏をされていました。
この記事のURL | 音楽 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
ENB 「コッペリア」 7月8日マチネ
2017/07/11(Tue)
コジョカルの代役となったユルギータ・ドロニナは2014年のコジョカル・ドリームプロジェクトに出演したダンサーで、その時のパートナーが当時オランダ国立バレエのプリンシパルだった現ENBプリンシパルのイサック・エルナンデス。 コンテ、古典ともにきっちりと踊れるダンサーという良い印象だったので、今回コジョカルが見られなくなったのは残念でしたが、ドロニナならスワルニダは似合うはずと楽しみにしていました。 初役とは意外でしたが、期待通りに彼女の踊りはとても安定していて見せ方にも余裕があり、2幕のコッペリウスの工房でのスペインやスコットランドの民族舞踊の踊りも達者にこなすあたりはさすがです。 目の表情が豊かでちょっと気の強いスワルニダのころころ変わる感情をマイムと合わせてしっかり伝えていました。 ふくれっつらも可愛かったし♪ 

フランツを踊ったセザール・コラレスも役デビューとの事ですが、こちらもそんな事はこれっぽっちも思わせないくらい、ノー天気なちゃら男が板についている(笑)。  ともかく若さの勢いでというように見えましたが嫌味のないダイナミックな踊りは良かったです。 

コッペリウスを演じたジェームズ・ストリーターはキャラクテールでもなさそうな中堅クラスのダンサーに見えますが(リードプリンシパルの高橋絵里奈さんのご主人なんですね)、偏屈で気難しやのコッペリウス博士を好演。  けっこう手荒な扱いを受けていたり運動量もさり気なく多かったので体力も必要な役ですね。  発明家&錬金術師でもあるというホフマンの原作を意識したこちらのコッペリウスはフランツの魂を抜き取ってコッペリアに移すのに妙なマシーンで電流を流すような演出なのがユニークで、昔のアニメやドラマに出てきたようなデザインに懐かしさも(笑)。 またライト版の奇跡ともプティ版の哀れとも違った、周囲との和解というコッペリウスの行く末も明るく楽しいこの版に合ってましたね。 

他のダンサーたちですが、まだ19歳でアーティストの金原里奈さんが出番も多く大活躍でした。 日本公演にあたってのロホの配慮なのかもしれませんが、小柄な体を十二分に使った柔らかな踊りが良かったです。 彼女は「海賊」でギュリナーラにも抜擢されているのですね。 金原さんと組んでいたジャネット・カカレカは対照的に長身で手足の長いラインが目を惹くダンサーです。 笑顔での丁寧な踊りには好感が持てました。 ただコール・ドの全体的なレベルとしてはこれからの底上げが必要だなという印象です。 6月にロシアのボリショイ、日本の新国立とそれぞれにレベルの高い整然とした踊りを見た後なので余計に感じたところもあるとは思いますが。 ダンサーたちも多国籍ということで、それが良い方にも悪い方にも出るのでしょうが、特に3幕はもう少し揃ったクラシックラインが綺麗に出せるようになると良いなと。 

NBSのサイトの写真通りにかなり立派で凝った舞台装置とカラフルで美しい衣装には「おおっ!」だったのですが、スワルニダの家がせり出しすぎていたり、宿屋?のウッドデッキが広かったりで踊れるスペースがちょっと狭く、ダンサーも思いっきり踊りたいように踊れなかったのではと感じるシーンもありました。 踊っているダンサーと周囲の人たちの距離が近くてちょっと雑然とした印象。 本国ではどうなのでしょう? 女性の衣装もわりとボリューミーなのでもう少しスペースが取れると全体的な見た目がすっきりしましたよね。 
でも、衣装は本当にデザインと色が素敵で衣装展を開いて欲しいくらい! 細かい刺繍もたくさん施されているので実際に触ってそばで見てみたい! 特にカカレカが祈りの踊りで着ていたドレスの上半身の刺繍!!





振付:ロナルド・ハインド(マリウス・プティパに基づく)
装置・衣裳:デズモンド・ヒーリー

スワニルダ:ユルギータ・ドロニナ
フランツ:セザール・コラレス
コッペリウス博士:ジェームズ・ストリーター


<第1幕>
スワニルダの友人:金原里奈、ジャネット・カカレカ、アンジュリー・ハドソン、
            康 千里、ティファニー・へドマン、ジア・チャン
宿屋の主人:ダニエル・クラウス
宿屋の夫人:タマリン・ストット
市長:ファビアン・ライマー
コッペリア人形:フランチェスカ・ヴェリク

<第2幕>
兵士の人形:ジョージオ・ガレット
長靴をはいた猫の人形:ネイサン・ハント
中国の人形:クレア・バレット

<第3幕>
暁の踊り:金原里奈
祈りの踊り:ジャネット・カカレカ
仕事の踊り:ユナ・チェ、フランチェスカ・ヴェリク、アンバー・ハント、エミリア・カドリン
花嫁の介添え人たち:アンジュリー・ハドソン、康 千里、
             ティファニー・へドマン、ジア・チャン、
             アイトール・アリエタ、ギレーム・メネゼス、
             猿橋 賢、ジンハオ・チャン

指揮:ギャヴィン・サザーランド
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
この記事のURL | バレエ鑑賞記 2017年 | CM(2) | TB(0) | ▲ top
6月21日 金子三勇士 ピアノリサイタル
2017/07/06(Thu)
ショパン:革命のエチュード
      前奏曲「雨だれ」
      幻想即興曲
      ピアノソナタ「葬送」

     ---休憩---

リスト :ハンガリー狂詩曲第6番
     巡礼の年
       物思いに沈む人
       泉のほとりで
     愛の夢第3番
シューマン=リスト:献呈
リスト :ラ・カンパネラ

<アンコール>
リスト:ハンガリー狂詩曲第2番 


kaneko0621.png


金子さんのピアノ演奏はバレエガラコンサートの「椿姫」などの伴奏で何度か聴いた事があり、毎回作品をしっかりと支える堅実な演奏だったので機会があれば一度リサイタルを聴いてみたいと思っていました。 近場の杉並公会堂でのショパンとリストの名曲を集めたリサイタルはまさに願ったり叶ったりの機会だったので行って来ました。 例によって2週間も経っていますが、バレエファンには馴染みのピアニストなのでコンサートの感想というよりも金子さんについて残しておきたいなと思いまして。

一曲目の「革命のエチュード」はペダルを踏みすぎなのか、自分の席がかなり前方だったせいなのか、音と音が重なりすぎて轟音と化して聞こえて、この先ずっとこうだったらどうしよう・・・・といきなり暗~い気持ちになったのですが、「雨だれ」以降は実に素晴らしい演奏でした♪
一曲目が終わってマイクを持ち、「今日は足元の悪い中お越しいただいて・・・」というご挨拶。 日中はものすごい荒天だったのですが自分はオフィスから一歩も出なかったし、夕方には雨も止み荻窪の駅から雨に降られる事もなかったのでそんな事すっかり忘れていたのですが、心遣いの行き届いた方ですね。 と、好感度アップ(笑) 2曲目の「雨だれ」は、ショパンが結核治療のために良い気候を求めてスペインのマヨルカ島に来たものの、雨季のために雨にたたられた中で書かれた曲との説明の後に演奏されましたが、そんな曲の背景を思いながら、しっとりとした演奏に聞き惚れました。 
作品間での金子さんのTalkの度にその話の上手さに感心しきりだったのですが、彼はクラシック界の新星たちの演奏を紹介するNHKFM番組「リサイタル・ノヴァ」で進行役を務めているのだそうです。 なるほど!と納得なのですが、こちらは進行役に徹するラジオ番組ではなくご自身のピアノリサイタルなわけで、ありがたくその話に聞き入りながらも演奏とお話の繰り返しは集中力を切らすものではないのかと余計な心配をしてみたり・・・。 
前半で特に素晴らしかったのはピアノソナタ「葬送」。 4楽章からなる曲の第3楽章が有名な葬送行進曲です。 葬送行進曲しか聴いた事はなかったのですが、他の楽章は重厚だったり忙しなかったり美しかったりと旋律がとても豊かです。 それにしても金子さんの強い打鍵でドラマティックな演奏は圧巻でした。

金子さんは日本人とハンガリー人のハーフで、子供の頃に単身ハンガリーに渡り、祖父母の元からバルトーク音楽小学校に通い、国立リスト音楽院大学(特別才能育成コース←って凄い人たちの集まりなのでしょうね!)を卒業するまでハンガリーで暮らしていたそうで、授業で多くの事を学び日常でも触れる事の多かったリストは彼にとって特別な作曲家だそうです。 また今、ハンガリーでリストの楽譜起こしのような作業のサポートもしているとの事でした。
そんなわけで?、作曲者への敬意と愛情に溢れた後半のリストプログラムは本当にすっばらしかったです♪
「巡礼の年」は初めて聴きましたが、キラキラした水の輝きを思い浮かべる綺麗なメロディーの「泉のほとりで」と対照的な重々しく暗い「物思いに沈む人」。 タイトルも重なりますが、その重苦しさに昔レーピン展で見た「巡礼者たち」という、疲れた表情でもくもくと歩く2人の巡礼者を描いた絵を思い出しました。 レーピンの絵もまた見たい!! 2曲とも自然と情景が浮かんでくるような演奏でしたが、「巡礼の年」は全部で26曲からなるそうなので、いつか全曲をコンサートで弾いてくれたらと激望です!! 
続く 「愛の夢」「献呈」「ラ・カンパネラ」も超絶技巧をさらっとこなす素晴らしい演奏でしたが、自分が圧倒されたのは後半の最初に演奏された「ハンガリー狂詩曲第6番」。 2番はあまりにも有名ですが、この6番も思わず肘を曲げてポーズをとりたくなるような民族音楽的な旋律とリズムが随所に現れます。 前半は落ち着いて格調高く聞かせますが、後半は目にも止まらぬ速さのオクターブ連打の鍵盤の魔術師といった驚嘆の演奏。  自分の席は金子さんの指の動きがはっきり見える席だったのですが、手の動きが残像として残りまくりで凄かったです。  

プログラムは客席からの盛大な拍手が鳴り止まなかった「ラ・カンパネラ」で終了でしたが、「愛の夢」「ラ・カンパネラ」を弾いたら、やはりこれがないとなんか納まりが悪くて・・・・と、なんとアンコールに「ハンガリー狂詩曲第2番」です!!  これがまた、本日の超絶技巧の集大成のような素晴らしい演奏で!! でも、ただエネルギッシュにひたすら技巧をひけらかすというのではなくて、作品をとっても大切に思っているというのが思いっきり伝わってくる演奏なんですよね。 すご~~!!と圧倒されながらもなんだか温かな気持ちにさせてもらいました。 

コンサートの後にはCD購入者へのサイン会。 私はどうしても6番が入っているものを見つけたかったので(でもまだないみたい・悲)、買わなかったのですが、友人がお買い求めだったのでお付き合い。 とって~も和やかな雰囲気でした♪
2017070601.jpg
この記事のURL | 音楽 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
新国立劇場バレエ「ジゼル」 6月24日ソワレ(小野&福岡)
2017/07/02(Sun)
大好きな絢子ちゃんと雄大君のペアはもう絶対に外せないペアだというのは何度も書いておりますが、今回初日マチネのレビューを書きながらちょっと笑っちゃう事を発見!
2013年の前のジゼルはいったいいつだったのだろうと過去のレビューをいろいろチェックしていたところ、その回答はさておき、どうやら私がこのペアを初めて見たのは2011年1月の「バヤデルカ」だったのですが、その後10月のガラの「眠り」の感想で、なんと「この2人って合うのかなぁぁ?」と暴言を吐いておりまして・・。 さらにその絢子ちゃんのオーロラを自分の好みに合わずちょっとダメとまで言ってる自分・・・(雄大君はもともと好きだった)。 なのに、その3年後の新版「眠り」をこの2人で見た時に絢子姫に陥落しているんですよ、あたくし(笑)。 それまでも何回も見ていたのにこういう事もあるんですねぇぇぇ。 へたな文章ですらなかなか書けない(だいたいこんな風に横道それてるから余計に時間がかかる)この数年ですが、後からこんな思わぬ発見があるなんて、やっぱり何か残しておくって無駄な事ではないのですねー(笑) 

さて、「ジゼル」。
絢子ちゃんも今回ジゼルは初役だったのですね。 彼女のジゼルは可憐で明るく無邪気な一面も持つジゼル。 アルベルトに対して恥じらいはあるけれど、好きという思いは全身から溢れている。 お互いに投げキスを交わすところなど、もう周りのことなど目には入らず幸せの絶頂のような満ち足りた笑顔。 これじゃぁ、アルベルトもぞっこんになりますよねぇ。 踊りは柔らかく軽やか。 
普通ジゼルは一列に並んだ村娘たちと踊りだす前に一度胸の痛みを表すけれど、綾子ちゃんのジゼルはアルベルトとハンスが言い争いをした後にもつらそうな仕草をしていました。  確かに2人のやりとりに不安と恐さを覚えて緊張しただけでもジゼルの心臓には負担になるのでしょうね。 それが1幕最後の愛する人に裏切れたショックになどとうてい耐えられないという狂乱のシーンへも上手くつながります。
その狂乱シーンは悲しさとやるせなさに心と頭がどんどん壊れていき、笑いすら出るほどに感情が入り混じって分けが分からなくなった果てにとてつもない絶望に襲われて事切れたように見えました。  
2幕のウィリ。 ミルタに呼び出されてのところも良かったですが、アルベルト登場後にすぅーっと下手から出てきてアルベルトのリフトでふわぁっと浮かび上がったあの一瞬が物凄く鮮やかに目に焼きついて残っています。 本当に空気の精のようでした。 絢子ちゃんのウィリは身は精霊と化しているけれど心はまだこの世に残っているウィリだったように感じました。 で、アルベルトをかばってお墓の十字架の前から動かないようにとアルベルトに囁く様子が何気にものすごく艶かしい・・・。 思わずドキッとしてしまいましたが、墓の前を離れて自分の後を追ってくるアルベルトにお墓に戻ってと諭すような表情は慎ましやかで・・・。 アルベルトに向ける慈愛と深い愛情に溢れる視線は最後まで変りませんでした。 夜明けの鐘が聞こえた時に見せたアルベルトの命を守りきれた安堵と別れの覚悟の表情も心に残ります。  

雄大君も前回13年のジゼル公演に出ていないという事は初役なのでしょうか? 彼のアルベルトはジゼルに心惹かれてはいるけれど貴族と村娘という住む世界の違いはしっかり意識しているアルベルトだったと思います。 この人は私の婚約者なのですよとジゼルに話すバチルドに向かってわりと悪びれずに人差し指を立てて「シーッ」っと合図してましたしね。  ただ、ジゼルが狂い始めてからは彼の中でも何かが変わっていった感じ。 自分の両腕をすり抜けるように崩れ落ち命を落としてしまったジゼルを抱き起こし激しく揺さぶり、ベルタに突き飛ばされそうになってもけっして彼女から離れようとはせず、アルベルトもまた狂ったようでした。 見かねたウィルフリードに引きずられるようにして去って行くまで迫真の演技。
踊りは全体的に余裕があって切れもありジャンプなどは滞空時間も長くフォルムも綺麗。 体もすっきり絞れていたようですし(一応毎回気にはなるのです・・・)。 2幕でのアントルシャは力みのない綺麗なもので、その後のブリゼもスピードがあって良かったです。 もうこれ以上は踊れないというフォームの乱れた渾身のラストダンスもなかなか。 サポート、リフトも全く不安なく、もうこの2人の場合はいろいろな事が自然に合うのでしょうね。 それは2幕で最大限に発揮され、この2人ならではの世界に惹き込まれました。 
ジゼルに命を救われたアルベルト、そういえば井澤さんは夢落ちとも思えるようなハッとした仕草をしていたけれど、雄大君は現実の出来事だったように思います。 ジゼルとの強く深い愛を失ったアルベルトは大きな絶望と悲しみ、苦しみの中に取り残されどう乗り越えていくのだろうと思わせられるラストでした。


その他のキャストでは
バチルドの美和ちゃんがまたと~っても美しく・・・。 アルベルトを見る目は少し怖かったですが、ジゼルには大人の振る舞いでしたね。 個人的には好きな3人の三角関係にちょっとドキドキ(笑)。

前回は長田さんジゼルのアルベルトで見ている菅野さんのハンスは無骨でちょっと理屈っぽさそうな(ファンの方すみません)、あまり同情せずにすみそうなキャラクターでした。 2幕で命乞い適わず踊らされている時の無念そうな表情とそれでも端正な踊りが印象的でした。
そういえば、マチネの宝満ウィルフリードもアルベルトの言いつけ通りに後ろ髪引かれる?事無く帰って行きました。 ここは演技が決まっているのですね。

優しいイメージのある寺田さんのミルタも常に無表情でハンスもアルベルトも見つけたからには許さないという情けのなさ。 登場時のパ・ド・ブレは滑らかで綺麗でしたが、体の動きはわりとシャープで、特に交互に動かす腕、百合の花を投げる腕の動きは空気を切り裂くような鋭さで何気に気性の荒いミルタ。 
コール・ド・はマチネ同様静かに強く美しく。
 

比較的静かに物語が紡がれたマチネと勢いがあって濃厚だったソワレ。 それぞれに味わいがありましたが、主演2人の熱演が光ったソワレは本当に素晴らしかったです。 一日でこれほどのマチソワ2公演を見られたのは嬉しい限りなのですが、たった一日で自分の新国ジゼルが終わってしまったのはとっても淋しかったです。 今度「ジゼル」を見られるのはいつになるでしょうか? できれば2018/19シーズンに、是非!  絢子ちゃんと雄大くん主演の「ジゼル」は今年の清里フィールドバレエで7月31日(月)と8月2日(水)に予定されています。

      



6月24日(土)18:00
ジゼル : 小野絢子
アルベルト:福岡雄大
ミルタ:寺田亜沙子
ハンス : 菅野英男
村人のパ・ド・ドゥ:池田理沙子、福田圭吾
クールランド公爵:貝川鐵夫
バチルド:本島美和
ウィルフリード:宝満直也
ベルタ:丸尾孝子
モンナ:寺井七海
ジュリマ:玉井るい

2017062801.jpg

この記事のURL | バレエ鑑賞記 2017年 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
| メイン |