2017 08 ≪  09月 123456789101112131415161718192021222324252627282930  ≫ 2017 10
ルグリ・ガラ ~運命のバレエダンサー~ Aプログラム  8月25日
2017/09/10(Sun)
もう2週間以上経ってしまいましたが、Bプロもアップした事ですし、8月25日に見たルグリガラのAプロの感想を備忘録的に。


『海賊』第3幕よりオダリスク
音楽:A.アダン
振付:M.ルグリ
ニキーシャ・フォゴ、ナターシャ・マイヤー、芝本梨花子

ルグリ版「海賊」でもこのオダリスクは第3幕のトルコ総督の宮殿で踊られるとの事で、それぞれに力強い足さばき、大きな跳躍、素早い回転を見せどころとしているそうです。 マイヤー、柴本さん、フォゴの順番でしたが、そういえばそんな感じ?くらいの怪しい記憶・・・。 華やかな中にも瑞々しさがあって良かったですが、用いられている音楽が聞きなれている音楽ではなかったのが妙な感じがしなくもなく(笑)


『ライモンダ』第1幕よりアダージョ
音楽:A.グラズノフ
振付:R.ヌレエフ
ニーナ・ポラコワ、ヤコブ・フェイフェルリック

ヌレエフ版の「ライモンダ」はおそらく初見だと思います。 リフトも多めな振付でしたが、フェイフェルリックにはちょっときついかな。 存在感や技術面でまだこの演目は彼には荷が重過ぎるように感じました。 ポラコワはきちっと踊っていましたが、やや地味というか・・・。 パートナーの心許なさもあってロマンティックな一場面というには今一歩。


『I have been kissed by you…』
音楽:M.リヒター
振付:H.マルティン、P.d.バナ
エレナ・マルティン、パトリック・ド・バナ

一回見ればいいかなぁぁぁという。


『…Inside the Labyrinth of solitude』
音楽:T.ヴィターリ
振付:P.d.バナ
ジェロー・ウィリック

ウィリックはこのとってもタフな作品を4日連続で踊ったのですね。 この日は23日と比べると少し疲れているように見える時もありましたが、終盤のマネージュでは勢いと切れの良さもあり、最後までしっかりと演じきったのは見事だったと思います。 作品の表現にも秀でたダンサーだと思います。


『ラ・フィユ・マルガルデ』
音楽:F.エロルド
振付:F.アシュトン
ナターシャ・マイヤー、デニス・チェリェヴィチコ

マイヤーがとってもキュート♪  アシュトンの脚裁きは難しいなと思ったりもしましたが、踊りそのものは軽快。 一方のチェリェヴィチコはサポートにやや不安なところがありますが、ソロの踊りではバネのきいた彼らしい踊りを披露していました。


『マニフィカト』より
音楽:J.S.バッハ(アニュス・デイ)
振付:J.ノイマイヤー(初演:シルヴィ・ギエム、マニュエル・ルグリ)
ニーナ・トノリ、ヤコブ・フェイフェルリック

若き日のルグリとギエムに振りつけられた作品。 トノリは小顔で幼さの残る顔立ちになんとなく華奢なボディラインをイメージしていたのですが、太ももや上半身は意外にボリュームがあるのですよね。  フェイフェルリックはルグリ直伝というわけですが、若い2人でこういう作品をしっかり見せるのも難しいですよね。

『じゃじゃ馬馴らし』
音楽:D.ショスタコーヴィチ
振付:J.C.マイヨー
オルガ・スミルノワ、セミョーン・チュージン

スカルラッティーを使っているクランコ版に対し、マイヨー版の音楽はショスタコーヴィチ。 ここで踊られたのは2幕のビアンカ(主人公カタリーナの妹)とその恋人のルーセンシオのPDDです。 ブルーのベアトップ風の上にロマンティックチュチュ風の巻きスカートみたいな衣装がシンプルながらとても綺麗でクールな雰囲気の彼女にとっても似合っていました。 ラインが本当に美しい踊りももちろんとても良かったですが、こんなに表情豊かで楽しそうな彼女を見たのは初めて。 チュージンが相手だからか、けっこう気の強そうなビアンカではありましたけどね(笑)
普通のシャツにズボンというあっさりした衣装のチュージンはもの静かな男の抑えた愛情というか? 相変わらずチュージン不感症の私ですが、踊りはとてもノーブルですね。 
この2人のシーンだけでもとても惹かれるものがあったのですべてを見てみたく、是非、ボリショイの次回の来日公演で「じゃじゃ馬馴らし」を持って来てもらいたいです!


『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』
音楽:P.I.チャイコフスキー
振付:G.バランシン
マリアネラ・ヌニェス、ワディム・ムンタギロフ

チャイパドは音楽とどれだけ一体化できるかというのが気になるところですが、ヌニェスは溜めるというか引っ張るというか独特のアクセントも感じましたが、彼女が通り過ぎたところに花が咲き出しそうな、なんともチャーミングな踊りでした。
ムンタギロフの清潔感ある踊りも軽やかでとてもエレガント。 2人の間に自然な語らいも感じられとても良かったと思います。


『フェアウェル・ワルツ』
音楽:F.ショパン/ V.マルティノフ
振付:P.d.バナ
イザベル・ゲラン、マニュエル・ルグリ

またしても一瞬にして観客を自分たちの世界に惹き込んでしまう2人が素晴らしい。 たった10分間くらいの物語に人生のドラマが凝縮されたような圧倒的なものがあって、ただただ魅せられてしまいます。



『ローレンシア』よりパ・ド・シス
音楽:A.クレイン
振付:V.チャブキアーニ
ニキーシャ・フォゴ、デニス・チェリェヴィチコ、
ナターシャ・マイヤー、芝本梨花子、ジェームズ・ステファン、ジェロー・ウ
ィリック

ローレンシアとフロンドーソの結婚式のパ・ド・シスですね。 ウィーン国立劇場バレエ団のレパートリーに「ローレンシア」はないと思うので、このパ・ド・シスを上演したのはとても不思議な感じ。 まぁ、舞台上の人数も多いので見た目華やかだし、ダンサーも踊るチャンスが増えるし、後半の最初の演目には良いチョイスだったかもしれませんね。
ただ、ごまかしのきかないクラシックという事で、ステファンとウィリックがまだまだ成長途中である事が分かってしまったし、クラシックの踊りをレベル高く美しいラインでみせるというのは大変な事なのだと改めて思わせられたり・・・。 もうちょっとスペイン情緒なども欲しかったところですが、そのへんもこれからですね。
チェリェヴィチコはやはりサポートに不安な面が残りますが、フロンドーソの見せ場では持ち前のテクニックを発揮して面目躍如であったかと。


『Medea』
音楽:M.リヒター
振付:P.d.バナ
エレナ・マルティン、パトリック・ド・バナ

王女メディアと夫イアソン悲劇を描いた古代ギリシアの劇作家エウリピデスの作品から受けたインスピレーションが創作の源になっているとの事です。


『アルルの女』より
音楽:G.ビゼー
振付:R.プティ
イザベル・ゲラン、マニュエル・ルグリ

初めてパリ・オペラ座の舞台を生で見たのは2003年なのでゲランの現役時代を見た事はないのですが、前回のバレエフェスの「フェアウェル・ワルツ」「こうもり」「ル・パルク」という全く性質の異なる作品で見せた円熟の極みのような舞台の感動は今でも心に強く残っています。 そしてこの日のヴィヴェットも素晴らしかった。  ヴィヴェットの切なく痛々しいほどに純粋な思いを現す繊細な表現。 そして信じられないようなあの愛らしいパ・ド・ブレでのいじらしさ。 現役時代に彼女を見ていたら、きっと大ファンになっていましたね、わたし。
ルグリの静かに自制心を失っていき同時に少しずつ狂気に取りつかれていくフレデリもまた圧巻。


『Movements of the Soul』
音楽:バルバトューキ、K.ディクソン、M.スタイン
振付:ニキーシャ・フォゴ
ニキーシャ・フォゴ

フォゴのリズム感と身体能力が生かされる前半がやはり楽しくて好きだなぁ。


『Murmuration』より
音楽:E.ボッソ
振付:E.リアン
ニーナ・ポラコワ、ヤコブ・フェイフェルリック、ジェームズ・ステファン

2013年にヒューストン・バレエ団のために制作され、ウィーン国立バレエ団でも2016年に上演された作品。 大群をなして渡る数百羽ムクドリが次々と空に描くパターンにインスピレーションを得て創造したそうです。 作品としてはデュオから群舞まで様々なダンスがあるそうですが、ここでは3人のダンスが上演されました。
といっても3人で踊っていたのは冒頭だけでステファンはすぐに上手にはけ、後はポラコワとフェイフェルリックのデュオでした。 ポラコワの柔らかいムーブメントと浮遊感が印象的。 個人的にはポラコワはこれが一番好みでした。  フェイフェルリックはAプロは3演目に出演と大活躍で、この作品はサポートも自身の踊りもしっかりしていて良かったと。


『海賊』第2幕よりアダージョ
音楽:L.ドリーブ
振付:M.ルグリ
マリアネラ・ヌニェス、ワディム・ムンタギロフ

Bプロでのポラコワとチェリェヴィチコの上演と同じシーン。 正直Bプロで見たときにはガラで抜くには少し物足りないと思っていたのですが、踊り手によってやはり違うのですね・・・。 ヌニェスの可憐さとムンタギロフの甘い包容力にエレガントな二人のダンスでとっても素敵なパ・ド・ドゥでした。
ウィーン国立バレエ団が来年の5月に来日し「海賊」を上演する事が発表されましたが、その際ゲストプリンシパルによる公演もあるとの事で、もしかしたらルグリお気に入りのムンタギロフが招かれるかもしれませんね。


『グラン・パ・クラシック』
音楽:F.オーベール
振付:V.グゾフスキー
オルガ・スミルノワ、セミョーン・チュージン

ルグリ&ゲランを除いて、この日私的白眉だったのがザ・クラシックなる世界を存分に堪能させてくれたグラン・パでのスミルノワ。 優雅で気品にあふれ、技術的にハイレベルな振りもアームスから足先までの美しいラインを壊すことなくさらっとやってのける。 久しぶりにこの演目で興奮してしまいました。 すご~~~い、スミルノワ!!  
チュージンもソロもサポートも良かったし、スミルノワとの息もよくあっていてペアとしても美しかったです。  
カーテンコールでは盛大な拍手。 特にスミルノワへの拍手は半端なかったですし、この日スミルノワに魅せられた人は多いでしょうねぇぇ。 次のボリショイ公演、その前に是非にも参加していただきたいバレエフェス、楽しみです!!


『Moment』
マニュエル・ルグリ ソロ(世界初演)
音楽:J.S.バッハ/F.ブゾーニ
振付:N. ホレツナ
マニュエル・ルグリ
ピアノ:滝澤志野


6月の終わりに完成したばかりというこの新作は、振付師のホレツナがルグリの一瞬一瞬を表現したいとして作ったストーリー性のない作品。 それを聞いたルグリが作品の題名をその場で「Moment」と名付けたそうです。
両手を広げたルグリがグランドピアノに突っ伏しているような姿で始まり終わるこの作品は、ピアニストにも音楽を奏でる伴奏者ではなくダンサーと心を通じ合わせてともに表現者である事を要求しているそうです。 
ルグリのムーブメントとラインは美しく、この公演のサブタイトルである”ダンスこそ我が運命”という彼の人生へと繋がるその一瞬一瞬を愛おしむようにも見える踊りでした。



Aプロも3時間20分という長丁場で、カーテンコールが終わった時には22時をまわっていたのではなかったかと思いますが、プログラムの構成も良く、やはりルグリとゲラン、ロイヤルとボリショイのペアの素晴らしいパフォーマンスもあり、あっという間に時間が過ぎてしまいました。 
上述のダンサーたちとはまだかなりの差がありますが、ウィーン国立バレエの若手ダンサーを見られたのも良かったと思いますし、彼らが来年の海賊公演でどんな役を踊るのかも楽しみです。
この記事のURL | バレエ鑑賞記 2017年 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
ルグリ・ガラ ~運命のバレエダンサー~ Bプログラム  8月23日
2017/08/29(Tue)
ルグリ・ガラ、23日のBプロと25日のAプロを見て来ました。 両プログラムとも休憩を入れて約3時間半という長丁場。 にさん、ちょっと辛いものもありましたが、長さを感じさせず中弛み感のないバラエティーに富んだ見ごたえのあるガラでした。 
Bプロの感想をさらっと♪


『エスメラルダ』
音楽:C.プーニ
振付:M.プティパより
ナターシャ・マイヤー、ヤコブ・フェイフェルリック

ナターシャ・マイヤーはウィーン出身で2012年に入団し2016年にソリストに昇進した若手。 比較的小柄ですが手足が長く頭が小さいのでとても見た目のバランスが良いダンサーです。 で、美人。 技術もなかなかで、体も柔らかそうで6時のポーズも得意ですって感じに(笑)すぅっと綺麗に上がるしなる脚が印象的でした。 
ヤコブ・フェイフェルリックもウィーン出身で2013年に入団し2016年にソリストに昇進したダンサー。 マイヤーと比べるとサポートにも踊りももうちょっと頑張りましょうねという感じでしたが、綺麗なラインも持っているので今後に期待したいです♪


『I have been kissed by you…』
音楽:M.リヒター
振付:H.マルティン、P.d.バナ
エレナ・マルティン、パトリック・ド・バナ

マルティンの白いフラメンコドレスは裾が3段のフリルになっていてフリルの長いトレインがついている。 そのドレスの裾から手が・・・そしてバナが姿を現す。 その後はいつものバナさんの作品ですが、マルティンのかっこいいドレス裁きに見惚れてしまいました。


『…Inside the Labyrinth of solitude』
音楽:T.ヴィターリ
振付:P.d.バナ
ジェロー・ウィリック

当初予定されていたダヴィデ・ダトの怪我による降板を受けての代役参加となったジェロー・ウィリックはベルギー出身、2012年に入団後2016年にデミ・ソリストとなったダンサー。
この作品はイワン・ワシーリエフに振りつけられ2011年に初演され「時間と空間の迷宮、時間と空間の概念を失う迷宮。 過去、現在、未来との出会い。 壊れた夢の瞬間、無と沈黙の瞬間」がコンセプトだそうですが、10分ほどでしょうか? ずっと踊りっぱなしのかなり体力を要する作品だと思います。 ウィリックはスピード感もしなやかさもあり全身全霊の渾身のパフォーマンスでした。
音楽は18世紀のイタリア人トマソ・アントニオ・ヴィターリというヴァイオリン奏者・作曲家の作品だそうですが、この曲がとても切なく美しい管弦楽で、特にヴァイオリンソロの感情を揺さぶるような美しい旋律には魅了されたのでCDを探してみたいです。 この音源自体素晴らしかったです。  


『海賊』第2幕よりアダージョ
音楽:L.ドリーブ
振付:M.ルグリ
ニーナ・ポラコワ、デニス・チェリェヴィチコ

ルグリがウィーンの芸術監督になったばかりの時に初めて見たポラコワもチェリェヴィチコもすっかりベテランになりましたね。 満点の星の背景と何気に高級素材感漂うお布団付きベッドがきちんと用意されていて雰囲気があります♪
きちんと踊れているしリフトもこなし、悪くはないのですが、いまいち高揚感がなかったかなぁ? 先ほどの作品同様、こちらも演奏がとても良く、弦の音色が美しかったです。


『Whirling』
音楽:P.グラス
振付:A.ルカーチ
ニーナ・トノリ、ジェームズ・ステファン

振付のルカーチはハンガリー出身の現役のウィーン国立バレエ団のダンサーだそうですが、ルグリが登用している新世代振付家の一人でもあるとの事。
動きのモチーフは旋回(whirling)なのだそうですが、回転よりも水中を漂う海藻のようなダンサーの動きが自分的には印象的。 
ニーナ・トノリはベルギー出身で2013年入団の現在ソリスト、ジェームズ・ステファンはイギリス出身、ロイヤル・バレエ学校卒業後2013年に入団した現在デミ・ソリスト。


『Movements of the Soul』
音楽:バルバトューキ、K.ディクソン、M.スタイン
振付:ニキーシャ・フォゴ
ニキーシャ・フォゴ

スウェーデン出身の二キーシャ・フォゴは2011年のローザンヌでゲイリーン・ストックの目に留まり英国ロイヤルバレエ学校に編入し、ウィーン国立バレエ団に2013年入団した肌の色が若干褐色のダンサーで現在はソリスト。
自身が5月に発表したばかりの作品で、赤の照明の背景に彼女のラインが黒いシルエットとして浮かび上がる(エチュードの始めみたいな・・)のが印象的で、日常の雑踏やポヨッという擬音のような音が使われているのも面白い。 身体能力は間違いなく高いダンサーですね。


『ジゼル』
音楽:A.アダン
振付:J.ペロー/J.コラリ
マリアネラ・ヌニェス、ワディム・ムンタギロフ

しっかりと「ジゼル」の世界に違和感なく惹きこんでくれた二人。 ヌニュスの慈愛に満ちたしっとりとした踊りとムンタギロフのノーブルな踊りは流石。 


『ファラオの娘』
音楽:C.プーニ
振付:P.ラコット
オルガ・スミルノワ、セミョーン・チュージン

ファラオの娘は2006年のボリショイ公演で見て以来、生のパフォーマンスはガラでも見ていないような・・・。 という事で全く覚えていないといってもいいくらいの2幕のアスピシアとタオールのPDDですが、タオールのアントルシャの連続はさすがに記憶に残っていました。 考えてみればチュージンは6月のボリショイ公演中に怪我で降板があったのですが、見事なアントルシャで会場からも大きな拍手。 衣装も似合って男らしくて良かったです。
スミルノワも風格漂う盤石の出来で、やはりロイヤルとボリショイのペアは別格としみじみ感じさせられました。 


『ランデヴー』
音楽:J.コスマ
振付:R.プティ
イザベル・ゲラン、マニェル・ルグリ

この演目を見るのは初めてでした。 黒いショートボブの鬘にダーク色な膝丈ドレスのゲラン。 その彼女の妖艶さと10センチはあろうかというヒールを履いた美脚に目が釘付け!! 相変わらずなんて美しい脚なのでしょうね。  冷ややかに危険な香りを放つゲランの大人の魅力と、そんな手の届かないような美女との夢のようなの時間に心浮かれるルグリの純情青年ぶりが秀逸。 

 

『タランテラ』
音楽:L.M.ゴットシャルク
振付:G.バランシン
ニキーシャ・フォゴ、ジェロー・ウィリック

ウィリックにとってBプロは体力勝負なプログラムですが、最後までエネルギッシュによく動いていたと思います。 フォゴも良かったですが、意外におとなしく纏めたように感じました。 前半の作品を見てもっと切れよく炸裂するんじゃないかと期待が膨らみすぎたかもしれません。


『Morzart à 2』より

音楽:W.A.モーツァルト
振付:T.マランダン
ナターシャ・マイヤー、ヤコブ・フェイフェルリック

フレッシュでヴィジュアル的にも満足度が高い良いペアですね。  肢体を十分に使って様々なポーズを取るのが面白かったといえば面白かったですが、それだけのような気も。


『フェアウェル・ワルツ』
音楽:F.ショパン、V.マルティノフ
振付:P.d.バナ
イザベル・ゲラン、マニュエル・ルグリ

お互いに別れの時が迫っているのはわかっていても、それを認めたくはなく、少しでもそれを忘れたく・・・、もしかしたらこのまま別れなくてもいいかもしれない・・・でも・・・。 というような別れを前にした男女の切なくやりきれない心情がストレートに伝わってくる。
これもバナの作品なのだけれど、この2人が踊るとバナ言語が全く変わった形に見えるしとても自然にドラマティック。


『白鳥の湖』より黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ
音楽:P.I.チャイコフスキー
振付:R.ヌレエフ(1964年ウィーン版)
ニーナ・ポラコワ、デニス・チェリェヴィチコ

う~~~ん。 チャイパドの曲とパ・ド・シスからの何曲かがメインに使われているのですが、音楽のイメージと振付が合わないような感じで盛り上がりにも欠ける。 ここをガラで上演するとしたら相当なスターオーラがあって技術もラインも完璧なダンサーじゃないと無理なんじゃ・・・。 
 

『Factum』
音楽:K.コルホー
振付:H.マルティン、P.d.バナ
エレナ・マルティン、パトリック・ド・バナ

椅子に座っているマルティンを見てまた小道具に椅子か・・・と思っていたのですが(前半のI have been kissed by youのセットは10脚の椅子が様々な高さに上からつられていたのです)、作品の後半にI have been kissed by youのセットの椅子が上から降りてきて同じ状態に。 2作品は繋がっているのですね・・・。 しかし、バナが踊るバナの作品は分からなすぎ・・・。


『ジュエルズ』より “ダイヤモンド”
音楽:P.I.チャイコフスキー
振付:G.バランシン
オルガ・スミルノワ、セミョーン・チュージン

硬質な感じの中にも少し柔らかさがあるような2人のダイヤモンド。 エレガントで気品もあり、ひとつひとつの動きも丁寧で美しくとても素晴らしかったです。
だからこそなのですが、自分にとっての最高のダイヤモンドはあまりにも特別なものなのだと痛感して、今、一つ願いを叶えてもらえるならば2006年のロパートキナとダニーラのあの公演の客席に戻りたいとしみじみ思ってしまったりして・・・。 この病気だけはどうにもならないわ・・・。



残念ながらこの日はどうしても21時半くらいには会場を出なくてはならなかったので、残り2演目はあきらめ、スミルノワとチュージンのカーテンコールを見届けてホールを後にしました。


『ドン・キホーテ』
音楽:L.ミンクス
振付:M.プティパ
出演:マリアネラ・ヌニェス、ワディム・ムンタギロフ

『Moment』(世界初演)
マニュエル・ルグリ ソロ
音楽:J.S.バッハ/F.ブゾーニ
振付:N.ホレツナ
出演:マニュエル・ルグリ
ピアノ:滝澤志野
この記事のURL | バレエ鑑賞記 2017年 | CM(3) | TB(0) | ▲ top
スターダンサーズ・バレエ団 SUMMER MIXED PROGRAM 8月5日
2017/08/10(Thu)
8月5日土曜日に新国立劇場で行われたスターダンサーズ・バレエ団のSUMMER MIXED PROGRAMを見てきました。 
お目当ては都さんとボネッリだったのですが、バレエ団のダンサーたちのパフォーマンスも充実した素晴らしいものでした。


N.N.N.N.
振付:ウィリアム・フォーサイス
音楽:トム・ウィレムス
愛澤祐樹、石川聖人、川島治、友杉洋之


Tシャツ、ランニングにズボン、半ズボンといったラフな格好の4人の男性ダンサーによるこの作品、全くの予備知識なしでは理解するのが難しく・・・。
幕が開くと一人のダンサーが自分の手をもう一方の手で持ち上げてはその手を外し、重力に任せてブランとなる腕の動きを楽しむというか不思議そうに見ているというか。 その後は4人のダンサーが入れ替わり同じことをしてみたり、舞踏のように踊ってみたり、お互いの体のパーツで遊んでみたり・・・という具合。
音楽:トム・ウィレムスとあるけれど、ほとんど音楽らしいものは聞こえなかったです。 席はけっこう前のほうだったのですけれど、時折ブーとかゴォーというような音が聞こえてきただけ。 それでも舞台上のダンサーには音楽として常に聞こえていたのでしょうか? 音楽に頼らずダンサーたちだけの呼吸で組み立てているようだったのが凄いななんて思ったりもしたのですけれど。 


ワルプルギスの夜
振付:ジョージ・バランシン
音楽:シャルル・グノー”ファウスト“
喜入依里、池田武志、渡辺恭子
久保田小百合、西原友衣菜


オペラ「ファウスト」のために振りつけられたバレエシーン「ワルプルギスの夜」。
自分にとって馴染みのある「ワルプルギスの夜」といえば、ミハイロフスキー劇場がまだレニングラード国立バレエとして公演していた頃にガラ公演で上演していたコフトン版。 バランシン版は一度だけ(おそらく)、都さん&テューズリーゲストでのスタダンの上演を2012年に見ています。
そしてスターダンサーズバレエ団の公演を見るのは2013年8月に「20世紀のマスターワークス」以来なのですが、コール・ドも長身でスタイルの良いダンサーが増えましたね。
新国立劇場から移籍したばかりの池田さんが早速活躍の場を得、実力を発揮していて良かったです。 ジャンプも高く踊りも綺麗で、パートナーを包み込むような優しい笑顔は喜入さんも頼もしく感じたと思うのですが、二人での合わせ方が足りなかったのか、サポートに少しぎこちなさが目立ったのは残念でした。 喜入さんは音をしっかりとらえた気持ちの良い踊りでしたが、自分が好みだったのは渡辺さんの流れるような綺麗なラインでの踊り。 久保田さんと西原さんもとても手堅く、特に久保田さんの長い手足がスピーディーに切れ良く動くダンスは魅力的!
そして女性たちがほどいた長い髪をなびかせながらの饗宴のクライマックスは疾風が吹きまくるようなスピード感があり、統制の取れたコール・ドのダンスも見事でした。
 
 
「眠れる森の美女」よりグラン・パ・ド・ドゥ
振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
オニール八菜、ユーゴ・マルシャン


パリオペラ座のNY公演、8月2日に福岡で終わったばかりのバレエ・スプリームと、かなりお疲れだろうとは思いますが元気に東京に戻って来てくれた二人。
パリオペの衣装はやはり手が込んでいて美しいですねぇぇ。 次の来日では是非全幕で「眠りの森の美女」を上演していただきたいです。 
そんな素晴らしい衣装に衣装負けしない華やかな二人のエレガントなPDDは本当に眼福でした。 マルシャンは手も大きい? 八菜さんをすっと引き寄せフィッシュダイブに持っていくときのあの抜群の吸い込み感(笑)。 踊りはとても柔らかくノーブルでした。 ザンレールの着地がやや乱れたりシェネが粗かったりもしましたが、いずれエイマンのように流麗な美しさを身につけてくれると期待しています。 
八菜さんもとても伸びやかで丁寧な踊りが良かったです。 途中二人のタイミングが合わなかったところもありましたが、最後、アラベスクで二人して後退していくところなどは上げた足も十分な高さをキープしたままぶれる事もなく息もぴったり。 これからますます注目の二人ですね。


Flowers of the Forest
振付:デヴィッド・ビントレー
音楽:マルコム・アーノルド、ベンジャミン・ブリテン
★4つのスコットランド舞曲
  渡辺恭子、池田武志
  加藤大和、高谷遼、西原友依菜、林ゆりえ
★スコットランドのバラード、  吉田都、フェデリコ・ボネッリ

  
小山さんによるプレトークの事をすっかり忘れていて席についたのは最後数分というところ。 大失敗~~(特にN.N.N.N. 聞いておくべきだった!)。 聞けたのはスコットランドのバラードの男性の衣装がこの季節には暑過ぎるのでダンサーたちから泣きが入ったというお話でした。 確かに軍服に近いキルトの衣装なので上半身部分もあり、素足にソックスではなくタイツの上にソックスをはき、さらに皮のベルトをしっかり締めるという事でかなりの暑さと重さのようです。 
日本初演の演目でもあるのにトークを聞きそびれたので、作品についての解説がないか?とバーミンガム・ロイヤル・バレエ団のサイトをチェックしたのですが、レパートリーというカテゴリーは見つからず・・・。 その代わり?この作品についてのビントレー監督のインタビュー記事がありました。
前半のスコットランド舞曲はスコットランドの絵葉書のような光景(丸太投げcaber tossingや咲き誇るヘザーの花畑の散歩とありましたが、のどかで明るく平和的なという事なのだと思います)を表現しているそうです。 後半のバラードは歴史的に影響のあった事に結び付けたかったために戦争がテーマとなったと。 使用しているブリテンの曲は第二次世界大戦中に書かれ、15分の曲の最初10分が葬送行進曲という一風変わった曲。 また、作品のタイトルであるFlowers of the Forestはイングランドに侵入しようとして大敗した1513年のフロッデンの戦いでの死者を悼むために歌われたスコットランド民謡との事です。 

4つのスコットランド舞曲はリーディングカップルの渡辺さんと池田さんがとても良かったです。 池田さん、渡辺さんへのサポートはさっきの不安定さは何?というほどしっかりしていて、さり気ない表情もいいし、また作品の表現力もとてもあるダンサーだと思いました。 移籍して良かったですね。 願わくば、もう少し白いタイツが似合う体型になってくれれば・・・。 この作品を作ったのはビントレーが21歳だった1979年との事ですが、新国立劇場で見てきた彼の作品を思わせる細かいステップやタフな動きも多く、それを軽快に踊りこなしていた3組のダンサーたちの実力に感心しきりでした。 そうそう、スコッチウィスキーでも飲みすぎたのか、一人の男性ダンサーの酔っ払いダンスなんかもあって面白かったです。 加藤さんなのかな?終盤の独楽のような高速シェネには目を見張りました。 こちらの男性衣装は白いシャツにキルトスカート、素足にソックスでした。 まだマシかな?(笑)

照明が一段と暗くなり全体的に深緑のトーン。 ボネッリの登場で和やかさの余韻が残っていた舞台上の空気もいっぺんに引き締まります。 キルトの軍服姿が麗しく立っているだけで絵になるボネッリ! 踊りも衣装の鬱陶しさなどこれっぽっちも感じさせない彼らしいノーブルな踊り。 やっぱりフェデリコ好きだなぁ~~。 次回のロイヤルの公演でも是非来日して欲しいです!! そして久しぶりに見る都さんは衰えなど微塵も感じさせない。 軽やかで優雅で身体伸びやかな踊りは驚異的ですね。 パートナーシップも変わらずに素晴らしく、2人で踊る姿をまた見る事ができたのも本当に嬉しかったです。

作品の最後では前半と後半のダンサー皆が一緒に踊りますが、ビントレーによればスコットランド人のロマンティシズム、悲しみ、ストイックなまでの高潔さを伝えたかったとの事です。 都さんと池田さん、渡辺さんとボネッリとペアを変える事(群舞もそうっだったと思うのですが、二組ばかり見ていたので・・・)で明暗両面の融合が感じられます。 暗いテーマを取り上げてはいるものの、前半と後半の対比は効果的でダンサーたちの多彩な舞踊表現に惹き込まれた作品でした。  是非また見たいです。 今度は冬にね!


何度も繰り返されたカーテンコールの最後にビントレーさんが登場しました。 いらしていたのですねー、感激!!
ビントレーさんもこの日の上演内容には満足されていたのではないかと思いますが、意欲的なスタダンのダンサーたちによる素晴らしいパフォーマンスと新国立劇場のステージに戻ってきたビントレーさんを見ていてこちらはやや複雑な気持ちになりました。 
新国立劇場では今シーズンも来シーズンもビントレー作品が上演されません。 劇場オリジナルも含め、過去に新国立劇場バレエ団が上演したビントレー作品には再演を望む作品も多いのに劇場側がその声に応えないのは本当に残念です。  古典でなければ云々という理由の他に前芸術監督時代の作品はもう上演しないというようなポリシーがないといいですけれど。 新国立劇場のレパートリーにはビントレー作品を含め様々な振付家の数多くの作品があります。 観客の声に耳を傾け、もっと偏りのないプログラミングを真摯に考えて欲しいと、スタダンの公演に満足しながらもそんな事を思いながら劇場を後にしました。
この記事のURL | バレエ鑑賞記 2017年 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
バレエ・スプリーム Bプロ 7月29日マチネ
2017/08/04(Fri)
3公演あるBプロは29日のマチネを選びました。 座席は中央通路より前ブロックのちょうど真ん中あたりながら前に座った方が座高の低い方だったので視界良好での観賞でした♪
 
― 第1部 ―
 
「グラン・パ・クラシック」   
振付:ヴィクトル・グゾフスキー
音楽:フランソワ・オーベール     
オニール八菜、ユーゴ・マルシャン
 
 
鮮やかなロイヤルブルーの衣装かと思いきや、白地にビーズがキラキラ光り輝く衣装に身を包んだゴージャスで舞台映えのする2人。 ジュエルズのダイヤモンドの衣装でしょうか? 
八菜さんの堂々として常に観客に気持ちが向いているパフォーマンスは見ていてとても好ましく応援したくなります。 上半身やアームスのラインがもっと綺麗になればさらに踊りが美しく見えるはず。 恵まれた容姿を生かすべく、これからも頑張って欲しいです。 
マルシャンの踊りはダイナミックだけれどもゆったりとした柔らかさもあって目に優しいですね。 空中で空気に包まれて浮いているようなふわっとしたジャンプにも目を見張りました。 サポートも安定していましたし、八菜さんとの息も合っていて、2人して同じポーズをとるところなどはタイミングもピシャリで気持ちよかったです。 
次回のパリオペ来日公演ではきっと主演カップルとなると思いますが、何を見せてくれるのでしょうね?
 
 
「ロミオとジュリエット」 第1幕よりパ・ド・ドゥ          
振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ    
レオノール・ボラック、ジェルマン・ルーヴェ
  
 
ヌレエフ版のロミジュリはDVDは持っているのですが、恥ずかしながら持っているだけで見た事がなく・・・。  情感を深く表すマクミランの振付とは違ってヌレエフの振付は恋心の自然な表現というには細かく忙しない動きと繰り返しが多すぎるようにも感じアブストラクトバレエに近いような印象も。 だからなのか、Aプロではあっという間に終わってしまったこのPDDが少し長く感じましたしね・・・(あ、でも、Aプロはボネッリなので思い入れも全く違いますから・・・)。 全幕で最初から見ていればそんな事も思わなかったかもしれませんけれど。 
ダンサーは2人ともAプロの黒鳥よりは良かったです。 特にボラックは体もよく動いていてこの人は古典以外向きのダンサーなのかなと思いました。 ルーヴェも彼なりの精一杯のロミオなのでしょうけれど、もう少し若者らしい情熱なり疾走感なりを感じさせて欲しかったです。 踊っていない時の演じ方というのも難しいですね。  加えて終盤のリフトでボラックのスカートがまくれ上がったまま、下半身丸出し状態でリフトを続けていたのは、チュチュではないので気づきにくいにしても、クライマックスの盛り上がりをヴィジュアル的に損ねるのでもうちょっと早く気づいて欲しかった気も・・・。
  
 
「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」    
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ミリアム・ウルド=ブラーム、マチアス・エイマン

 
ミリアムもマチアスも音楽性豊かで、パリオペテイスト溢れるエレガントなチャイパドでした。 
流れるように滑らかな踊りのミリアムは小鳥のようにキュート。 舞台下手に捌けて行きながらぴょんと跳ね上げた後ろ足が妙に可愛くて(笑)、最後まで気を抜かないのもさすがです。 そしてマチアスのしなやかで美しい動きはため息もの。
 
 
― 第2部 ―
 
 
「真夏の夜の夢」
振付:フレデリック・アシュトン 
音楽:フェリックス・メンデルスゾーン
高田 茜、ベンジャミン・エラ

 
高田さん、雰囲気に似合わずけっこう怖そうなタイターニアだわ!(笑)。 体のコントロールが抜群で上手いダンサーだなと再認識。  
オベロンのエラ、Aプロのアルブレヒトよりは数段良いけれど、タイターニアに押されまくりであまり威厳がなく、タイプ的にパックなんだろうなと思いながら見ていました。 
 
 
「タランテラ」     
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ルイ・モロー・ゴットシャルク
フランチェスカ・ヘイワード、マルセリーノ・サンベ

 
小柄で小回りが利いて身体能力の高いダンサーにはうってつけの作品ですね。 
ヘイワードはただキュートなだけではなく、可憐さの中にコケットリーが見え隠れするタイプのダンサーなんですねぇ。 そして何気に強気。 ロミジュリでなんとなくあれ?と思ったのはこれなんだと勝手に納得。 速くて細かいステップも綺麗に刻み音楽に合わせて爽快なダンス。 コミカルに楽しさ溢れる感じもとても良かったです。
サンベもショーマンシップ旺盛で、この演目でここまで明るく楽しそうに踊っていたダンサーを見たのは初めてでしたが、最後少し疲れちゃったのかタンバリンを叩くタイミングやダンスが音楽にちょっと遅れていたのが残念といえば残念。 でもとっても楽しめました!!   
  
 
「白鳥の湖」 第2幕よりパ・ド・ドゥ
振付:レフ・イワーノフ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
金子扶生、フェデリコ・ボネッリ

 
サラが来ていれば「コンチェルト」が見られたのに、白鳥2幕のPDDでは王子は踊らないのでつまらない・・・とテンション下がっていたところに飛び込んできた軍服姿のボネッリ。 ふいをつかれたのも手伝って端整で甘いマスクな彼の凛々しい姿にときめいたりして(笑) 誠実なサポートでバレリーナを美しく見せながら彼自身のポーズも美しく、しっかりとドラマも紡ぐベテランの妙を見られたのも幸せといえば幸せです。 
金子さんはわりと大柄なのですね。 王子との出会いを否定するミリアムとは対照的に、時に笑みを浮かべ王子の温もりを感じながら巡り会った幸せをかみしめるオデットでした。 
 
 
「ドン・キホーテ」よりパ・ド・ドゥ     
振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス
ヤーナ・サレンコ、スティーヴン・マックレー

 
やはり一番盛り上がるPDDといったらドンキなのでしょうねぇ。 それをガラ仕様にやりすぎないギリギリのところまで仕立て直して最高のバレエ芸術として見せてくれたこの日の2人のドンキはあきれるほどに素晴らしくエキサイティングでした。 
サレンコが強靭な脚と驚異的なバランス能力を持ったテクニック的に秀でたダンサーだというのは今更言うまでもないことですが、昔はテクニックありきでそこだけが強調されすぎているように感じる事もありました。 でも今は一つの作品を演じる上での表現として自然にさらっとやってしまうのが凄いです。 対するマックレーも回転の速さや安定性、キレのある動きやジャンプが尋常でないほどの素晴らしさでした。 それを2人ともケレン味たっぷりに、お互いを挑発するのを楽しんでいるかのようにやってみせるのだから盛り上がり方も半端ないです。
実は昨年のロミジュリ(結果的にはキャスト変更でしたが)や今回、劇場のGuest Artistとは言えロイヤルというカンパニーの名前がついている公演でマックレーがサレンコとペアを組む事についてはあまりwelcomeではなかったのですが、この日のドンキを見ていて少し思いは変わりました。 マックレーが何に遠慮する事無く彼らしく踊って演じられ、彼の技量に過不足なく応えられる一番のパートナーがサレンコなのでしょうね。  もちろん演目によるでしょうし、他のダンサーと踊るのも見たいですけれど。
 
 
 ― 第3部 ―
 
 
「眠れる森の美女」 ディヴェルティスマン 
振付:マリウス・プティパ 
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
 
序曲: 全員
リラの精: オニール八菜
ローズ・アダージオ: 高田 茜、スティーヴン・マックレー、ベンジャミン・エラ、 
                              ジェルマン・ルーヴェ、ユーゴ・マルシャン
オーロラ姫: ミリアム・ウルド=ブラーム
王子: フェデリコ・ボネッリ
オーロラ姫と王子のパ・ド・ドゥ: ミリアム・ウルド=ブラーム、ジェルマン・ルーヴェ
青い鳥(パ・ド・ドゥ): フランチェスカ・ヘイワード、マルセリーノ・サンベ
青い鳥(コーダ): フランチェスカ・ヘイワード、マルセリーノ・サンベ、ユーゴ・マルシャン
オーロラ姫と王子のパ・ド・ドゥ: ヤーナ・サレンコ、スティーヴン・マックレー
王子: マチアス・エイマン
オーロラ姫: レオノール・ボラック
コーダ: 全員
 
 
 
序曲に乗って下手からこの公演での各ペアが並んで一斉に登場。  眠りの豪華で美しい衣装の麗しのダンサーたちは会場から思わずうぁ~~っという歓声がもれるほどの眩しさです。 
ドンキ同様、大胆はしょりダイジェスト版という事でリラの精のプロローグのソロから♪ 八菜さんの衣装がライラックではなくブルー系だったのがあれ?でしたが、おおらかで包容力のありそうなリラで踊りも大きくくっきりと。 
続くローズ・アダージオはなんとも豪華な求婚者たちで・・・。 2&2とカンパニーのバランスを取ったのかどうかは知りませんが、もしエラじゃなくてエイマンだったらこの先絶対にありえない超ゴージャス王子たちになりましたよね♪  と、思ったのですけどね、最初は・・・。 ちょっと一人困った王子がおりまして・・・。  エラがこの中でどうしても身のこなしやプレゼンスで(衣装もねぇぇ)見劣りするのは仕方ないとしても、 見た目は立派ながらオーロラに捧げる大事な薔薇をいきなりぽとりと落として慌てて拾っていたルーヴェにはまわりも苦笑。 エラ王子やマルシャン王子に語りかけるのもなんとなくタイミングが悪かったりぎこちなかったり。 あげく、ローズアダージョのラ スト、離れて見守っていた4人の王子がオーロラの後ろに進み出てポーズを決める時に段取りを忘れていたのか?一人遅れに遅れて急走するも間に合わず。 痛すぎるルーヴェ・・・。 この人天然??? 
高田さんはアチチュードもプロムナードもバランスは安定のキープ力で4人目の王子の手は取らずに一気にフィニッシュのポーズへ。 ただ、ともかくルーヴェが気になっちゃって・・・。
ミリアムの軽やかなオーロラのヴァリは清らかさと愛らしさが漂っていて、彼女にはまだまだ十分オーロラが似合う。
2幕の音楽が流れ、愁いを湛えたフェデリコ@デジレ登場。 白鳥でのフラストレーションが解消されるほどの時間ではなかったですが、佇むだけでも絵になる彼の端整な踊りを見られて嬉しかったです。 
森に迷い込んだ王子の幻影のシーンはオーロラは変わらずミリアムなのにデジレはルーヴェ・・・・。 ここでは儚げなミリアムが可愛いわぁと思いつつ、またルーヴェが何かやらかすのではないかとヒヤヒヤしながら(笑)の観賞でしたが、なかなか雰囲気があって良かったです。 ですが、突然ブツっと音楽が切れて容赦なく終了・・・。 
そして物語はいきなりブルーバードとフロリナ王女のPDDへと飛んでかなりの違和感(笑)。  ヘイワードは鮮やかなブルーのチュチュがとてもよく似合う。 サンベはバネの効いた踊りで本領発揮。 そしてヴァリの後半で突如現れた大鷲ならぬ大孔雀? キャスト表をしっかり確認していなかったので、ともかくなんだかデカイもんが出て来てびっくりだったのですよ・・・。 衣装が似合うか似合わないかはおいておいて、けっこうガタイのいい長身ダンサーなのに跳躍が軽くしなやかで美しかったマルシャンに感心。 コーダのラストでヘイワードの両脇にサンベとマルシャンってのはバランス悪くて妙~~~な絵だったですけどねー。 
そしていよいよGPDD。 アダージョのサレンコとマックレーは切れと気品と風格のあるさすがの踊り。 エイマンのヴァリも美しくエレガントで眼福のGPDDでした。 
最後はそれぞれのペアが少しずつさわりを披露して華やかにフィナーレ。 リラの八菜さんのブルーの衣装はマルシャンのブルーバードに合わせたフロリナのチュチュだったのね!!  
 
 
日本にファンは多いながら3年に一度くらいしか来日しないパリオペラ座と英国ロイヤル・バレエ団。 そのダンサーたちによる夢の競演ということで非常に楽しみにしていたこのバレエ・スプリームですが、すべての演目が発表になったあたりからなんとなく期待値が下がり始め、出演予定ダンサーの降板交代によるプログラムの変更が残念だったり・・・。 そして迎えたAプロでは、やはり選んだ演目が公演の質と満足度を下げてしまったようにも感じるところがありました。 それでも概ねロイヤルは良かったと思うのですが、パリオペと合同プログラムは別の方向性のもとにもう少し違った形でも良かったかと。 
まーでも、そうこう言いつつけっこう楽しんだ事も事実です。 若いダンサーたちには可能性を感じる事ができたし、フレッシュさは魅力ですしね。 またベテランのダンサーたちの充実ぶりと芸術性は心に強く残りました。 一人面白いダンサーも見つけましたしね~~~(笑)。
この記事のURL | バレエ鑑賞記 2017年 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
バレエ・スプリーム Aプロ 7月26日
2017/07/30(Sun)
― 第1部 ―

「ラプソディ」
振付:フレデリック・アシュトン
音楽:セルゲイ・ラフマニノフ
ヤーナ・サレンコ、スティーヴン・マックレー


Aプロは2公演ということで祭典の会員ながら中央通路より後ろの席。 文京シビックの前方は文化会館よりも前列との傾斜が緩いので見易さから言えば良かったとは思いますが、やはりちょっと遠い。
マックレーは身長こそ高くないですが、手足長く均整のとれた体つきでラインが綺麗ですね。 出だしから跳躍しての開脚などもスパッと切れ味良く、アシュトンの難しいステップも流麗にこなしてさすがのパフォーマンス。 サレンコも貫禄すら感じさせる余裕のダンスで、マックレーともとても自然に息が合っていて伸び伸びと踊っていました。


「アスフォデルの花畑」
振付:リアム・スカーレット
音楽:フランシス・プーランク
フランチェスカ・ヘイワード、マルセリーノ・サンベ


2010年に初演となったこの作品はプーランクの「2台のピアノのための協奏曲」にのせた3組のカップルによるパ・ド・ドゥ集との事ですが、上演されたのは2楽章のPDD。 アスフォデルとは古代ギリシア神話の「黄泉の国」に咲く花の名前だそうです。
物語性のないというアブストラクト・バレエながら、女性が主導権を握った恋愛模様のようにも見えました。 アクロバティックなリフトなど見せ場はありますが、全体的には凡庸な振付ですかね?
リスボン生まれのマルセリーノ・サンベは2012/13シーズンに入団以来順調に伸びてきているダンサーで来シーズンからはファースト・ソリストに昇進との事。


「ジゼル」 第2幕よりパ・ド・ドゥ
振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー
音楽:アドルフ・アダン
高田 茜、ベンジャミン・エラ
  

流れ的に、ここでいきなり「ジゼル」?で、こちらの気持ちの切り替えも出来てなくてみたいなところはあったのですが、あまり良い印象は持てませんでした。 
初見の高田さん、跳躍がとても高く、技術レベルも高いダンサーなのだとは思ったのですが、動きに流れるような滑らかさが足らず、ちょっと勢いがよすぎるところが目に付いてしまい精霊には見えませんでした。 パートナーのエラはまだファースト・アーティストで、高田さんと組むこと自体に緊張があるのかもしれませんが、いまひとつの出来。 二人の間に愛情が見えなくて1幕が想像できない組み合わせだったのも残念。


「アイ・ガット・リズム」
振付:スティーヴン・マックレー
音楽:ジョージ・ガーシュウィン
スティーヴン・マックレー

爽快!! タップダンスって自分がリズムそのものにならないと踊れないですよね。 彼の素晴らしい音楽性の原点はこのタップダンスなんでしょうね。


「ロミオとジュリエット」 第1幕よりパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
フランチェスカ・ヘイワード、フェデリコ・ボネッリ


当初予定のサラ・ラムとの「アポロ」が見られないのは残念だけれど、ボネッリのロミオがまた見られたのは嬉しかったです。 でも、こんなに髪、真っ黒でしたっけ?(笑) 彼自身は今でも十分ロミオが似合うのだけれど、パートナーがヘイワードだとさすがに見た目の年の差がありすぎましたかね? でも甘く情熱的なソロはとっても魅力的だったし、演技もサポートも上手いです。 
ヘイワードはサンベと踊っていた時は大きく見えたくらいなのにボネッリと並ぶとちっちゃくて華奢。 ジュリエットを自然に演じられる年齢ではあるけれど、彼女のジュリエット、それほどピュアで初々しく見えなかったというか、なんかちょっと恋愛慣れしているように見えたのは自分だけ?


― 第2部 ―


「白鳥の湖」 第2幕よりパ・ド・ドゥ
振付:ルドルフ・ヌレエフ(マリウス・プティパ、レフ・イワーノフに基づく)
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ミリアム・ウルド=ブラーム、マチアス・エイマン  


このPDDだと、マチアスがほぼサポートだけなのがね・・・、もったいない。 ミリアムのオデットは王子に心を許しかけては否定するというようなオデットでしたね。 まぁそれよりも、白鳥はどうしてもロシアダンサー的ラインがないと駄目なので、このペアには別の演目を踊って欲しかったというのが本音です。 


「白鳥の湖」 第3幕よりパ・ド・ドゥ
振付:ルドルフ・ヌレエフ(マリウス・プティパ、レフ・イワーノフに基づく)
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
レオノール・ボラック、ジェルマン・ルーヴェ


パリオペのメンバーがNY公演が終わったばかりの強行スケジュールだったのは知っていますが、それにしてもこの二人の出来はエトワールとしてひど過ぎ。
ボラックがグランフェッテで32回回らず、残り3分の2くらいからはルーヴェのグラン・ピルエットに変わったのは演出なのかもしれないので構わないのですが、そういう事以前に二人ともいっぱいいっぱいの踊りにあちこちほころびだらけで、あまりに精彩を欠いた出来に不満しか残りませんでした。


「エスメラルダ」 パ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ
音楽:チェーザレ・プーニ
オニール八菜、ユーゴ・マルシャン 


この二人もボロボロなのかしら?と思わず身構えて見てしまいましたが、こちらはしっかりとみせてくれました。
八菜さんは長身で華やかな顔立ちなので舞台栄えしますね。 とっても落ち着いていて舞台度胸もよさそうで技術的にも不安定なところはなくて良かったのですが、まだラインがあまいというか、特に上半身の動きで綺麗に見えないところもあったので今後に期待です。
マルシャンはパリオペ来日公演では見られなかったので初見。 こちらも容姿に恵まれた大柄なダンサーです。 エレガントな立ち振る舞に丁寧な踊りが好感度高し♪


「マンフレッド」
振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
マチアス・エイマン
 

フランソワ・アリュの降板により急遽追加になった演目ですが、第2部でようやく心から満足できる踊りが見られて本当に良かったです。 マチアスの踊りはどこを切り取っても美しいですね。 


― 第3部 ―


「ドン・キホーテ」 ディヴェルティスマン 
振付:マリウス・プティパ 
音楽:レオン・ミンクス

キトリ、バジル: 高田 茜、フェデリコ・ボネッリ ほか
キトリのヴァリエーション: ミリアム・ウルド=ブラーム
キトリ、バジル: ヤーナ・サレンコ、スティーヴン・マックレー
パ・ド・トロワ: ミリアム・ウルド=ブラーム、レオノール・ボラック、ユーゴ・マルシャン
バジルのヴァリエーション: マルセリーノ・サンベ、ベンジャミン・エラ
キューピッド: フランチェスカ・ヘイワード
ドリアードの女王: オニール八菜
キトリ、バジル: レオノール・ボラック、ジェルマン・ルーヴェ
バジルのヴァリエーション: マチアス・エイマン
キトリのヴァリエーション: レオノール・ボラック
コーダ: 全員


キトリ、バジル、それぞれ何人いるんだか~~!!な出演者全員による「ドン・キホーテ」ディベルティスマン。
高田さんは断然キトリの方が良かった。 本当に脚が強くてビシッと決めて踊れる人なんだなーと思いました。 ボネッリにはもっと踊って欲しかったけれど高さのあるアントルシャが綺麗でした。 続くサレンコとマックレーもノリノリで楽しそう。 キトリのバージョンを踊ったミリアムのフェアテも軽快。 さらにマルシャンのミリアムとボラックを従えて?のダンスはなかなかエレガントでナイス。 何気に良くてびっくりだったのがサンベとエラのヴァリエーションで、二人とも思い切りのいい溌剌とした動きで持てる力を十分発揮。 エラも来シーズンはソリストに昇進が決まっているとの事でした。 伸び盛りの若いダンサーの勢いのある踊りは見ていて気持ちがいいですね!
そしてちょっと唐突な感はありましたが、チュチュ姿のキューピッドのヘイワードもとってもキュート。 ドリアードの女王の八菜さんもゆったりと大きな踊りが良かったです。 
結婚式のPDDのアントレはボラックとルーヴェで、二人とも黒鳥よりは破綻なく。 ヴァリ担当のマチアスはやはり動きが流麗で美しく上手いですねぇ。 コーダは全員でフェッテ&ピルエット合戦かと期待したのですが、それはなかったです。 盛り上がっていたのでちょっと残念だったなぁ。

この記事のURL | バレエ鑑賞記 2017年 | CM(6) | TB(0) | ▲ top
ENB「海賊」 7月16日
2017/07/20(Thu)
ともかく海賊は楽しくなくちゃ!というのを改めて感じさせてくれた舞台でした。 大満足♪♪
ENB版は冒頭の海賊船の難破シーンとそれに続くメドーラとコンラッドの出会いのシーンはなく、奴隷商人ランケデムにさらわれてしまったコンラッドの恋人のメドーラをコンラッドたち海賊が船で救出に向かうというシーンで幕を開けます。 親しんだマールイボヤルチコフ版にあるものがけっこうないのは淋しいながら、まーそれはそれでいいのですけど、2度も恋人をさらわれるってどうよ!と、思わなくもなく・・・(笑)
また音楽も曲からはシーンが浮かんで来ない聞いた事のないものが多く、振付も見慣れた版とはかなり違うので少し違和感はありましたが、それもそれ。 

ロホのメドーラは、芯は強いけれど守ってあげたくなる姫キャラではなく、パシャたちを蠱惑的な視線で惑わす囚われの身感皆無な姐さんタイプ。 作品の中の人物像というものをしっかりとイメージした彼女の役作りと演技力については今更言うまでもない事ですが、今回のメドーラに関してはこう来たか!と初めて見るタイプのメドーラでした。 踊りの方も彼女比では全盛期ほどではないのでしょうが、足の強さは相変わらずで、軸が全くぶれない回転、バランスなどは圧巻です。 それらがすべて自然にさらっとなのもロホらしいし舞台上でのオーラもやはり格別なものがありますね。  

もともと海賊はロホでと決めていましたが、この日に決めたのは久しぶりのハニュコワを見たかったから。 同じ理由でこの日を選んだ友人も何気に多かったんですよ! しっかりしたテクニックに柔らかい品のある踊りはキエフの頃と変らずで調子も良さそうだったのに、奴隷のPDDのコーダでアクシデント。 コーダに入ってすぐの連続ジュテが途中で途切れ、辛そうな表情を見せていて。 ただ物語的に嫌々で暗い顔をしていてもおかしくなかったし、足を引きずっていたりはしていなかったので何事もなければいいなと思っていたのですが、やはり怪我をしたそうで3幕は降板。 大事無ければいいですが、怪我をする危険性というのは常に舞台に潜んでいるものなのですね・・・。
ハニュコワの代役で3幕のギュリナーラを踊った金原さんは前日にこの役を踊っているので急な事とはいえ、自然に役をこなしていて良かったです。 音取りにちょっと癖があるような気もしますが、床に触れていないようなソフトタッチの柔らかなステップが印象的です。

この日のキャストは踊る主要キャストすべて(パシャも重要なキャラですけどねー)がカンパニーのダンサーというのも決め手の一つでした。 
コンラッドのエルナンデスはエレガントさも持ち合わせた溌溂とした踊りが良かったです。 別に顔が似ているわけじゃないんだけど、髪の感じとかなんとなくシヴァに通じる雰囲気があってにわかファンモード♪  一番美味しいところはアリに持っていかれる役ですが、ロホをきちんと支え、難しいリフトも決めながら見せるところはしっかり見せていましたし、洞窟でのメドーラとのPDDもとても微笑ましくラブリーなコンラッドでした♪ 

そのアリのコラレス。 フランツを見た時には荒削りながら身体能力が高い飛んだり跳ねたり回ったりが得意なタイプのダンサー程度の印象だったのですが、その得意分野がここまで圧倒的に凄いとは思いもしませんでした。 ハーレムパンツに隠されてしまった大腿筋の成せる業? この版でもアリが踊るのは洞窟でのパ・ド・トロワだけだったので、一点集中で大爆発ですね。 そのもの自体が驚嘆の超々高速の回転とそれを減速していく回転まで、軸はまっすぐに体のコントロールもパーフェクト。 コーダで見せた下手からのグランジュテ3連発の高さも異常なほどに高く、そこらじゅうからどよめきが聞こえました。 しかもフォームも綺麗で決して勢い任せではありません。 演技では寡黙で忠実なコンラッドの下僕になりきっていましたし言う事なしでしたね!

ビルバンドのヨナ・アコスタはカルロス・アコスタの甥っ子なんですねー。 引き締まった肉体でキレのあるダンスでした。 彼だったら絶対迫力あったにちがいないと思う鉄砲ダンスがなかったのはとても残念。 ビルバンドっていったらあれでしょう!! 
鉄砲ダンスの替わりではないけれど一幕の海賊とパシャの手下たちによる剣を持った争いのダンスは面白かったなと。 また1幕では同士としての熱いダンスをみせたコンラッドとビルバンドが2幕では対立のダンスをするという対比もなかなかの演出。 かなりコンラッド劣勢でしたけどね(笑)。

マールイ旧版と比べてこれがないあれがないながら、ランケデムを使った眠り薬のシーンがあったのは「ムフフ」。 見張りが立っていたのでやるかなーと期待していた、薬の効果を試してみるシーンもちゃんとあったしね♪ (マールイルジ版であそこがなくなったのはねぇ!) 薬をたっぷりふりかけた一厘の花をメドーラに渡すのがランケデムに頼まれた女の子だった事に「そーだよねー」と深く納得。 

ランケデムのジンハオ・チャンはコッペリアの3幕で日本人の猿橋xxさんとどっちがどっち?と判別がつかなかったダンサーだったのですが、この日ですっきり。 東洋人らしいすらっとした長身のダンサー(猿橋さんも)で踊りがしなやか。 奴隷のPDDも良かったですが、一幕最初のソロが足先まで神経を使っていて綺麗でした。

パシャのマイケル・コールマンは英国ロイヤルバレエ団で活躍し、ENBには1995年に初めてゲスト出演して以来、定期的に出演しているというベテランダンサー。 ふとっちょお腹ボォ~~ンで憎めない感じのパシャを好演。 権力者ですからね~、一番キンキラキンで贅を尽くしたゴージャスな衣装に身を包んでおりました。 とっても似合っていたし(笑)。

花園のシーンは水煙草を吸って眠ってしまったパシャの夢というようにわかりやすいのもいいですね。 花園といえばピンクのチュチュという思い込みがありましたが、こちらはホワイト系。 それまでの舞台が華やかな衣装で彩られていたので、一転清涼感が漂っていました。 期待したピチカートがなかったのはちょっと残念。

衣装・舞台装置ですが、「コッペリア」同様、細部まで凝った作りで美しく見事でした。 特に19世紀中ごろの舞台衣装を現代人の感覚を通して再解釈したという衣装は東洋を意識してインド・パキスタン・などで作られた生地や装飾品を用いて作ったとの事です。 かなりカラフルでしたが、どぎつく毒々しいわけではなく、調和が取られていて品がありました。  

物語のエンディング。
裏切り者の(ちょっとかわいそうだけど・・・)ビルバンドをコンラッドが銃で撃ち殺し、メドーラも無事救い出し、アリとギュリナーラの4人で船で逃げるも幸せはつかの間。 大嵐に遭遇しアリは海に投げ出され船は大破。 ギュリナーラも行方知れずで船の残骸とともに流されたコンラッドとメドーラの2人だけが生き延びる・・・。
ちょっと最後にしんみりしちゃうよりは、荒唐無稽の明るいノリで来たのだから、4人の船出でハッピーエンド♪でいいんですけどねー。


「コッペリア」「海賊」の2作品を見て、良いダンサーも大勢所属しているエネルギッシュで勢いのあるカンパニーである事は十分わかったので、時間をおかずに次の来日公演が決まるといいなと思います。 ENBでなければ見られないような作品と数ある作品の中のENB版のようなものを持って来て欲しいです!

 



振付:アンナ=マリー・ホームズ
装置・衣装:ボブ・リングウッド

メドーラ : タマラ・ロホ
コンラッド : イサック・エルナンデス
ギュルナーラ : カーチャ・ハニュコワ(3幕:金原里奈)
ランケデム : ジンハオ・チャン
アリ : セザール・コラレス
ビルバント : ヨナ・アコスタ
パシャ : マイケル・コールマン


第1幕 市場
 オダリスク : 金原里奈、アリソン・マクウィニー、フランチェスカ・ヴェリク
第3幕 踊る花園
 薔薇:クリスタル・コスタ、アンジュリー・ハドソン
     アリソン・マクウィニー、康千里
 花のソリストたち:ジア・チャン、ジャネット・カカレカ
           ユナ・チェ、ティファニー・ヘドマン

指揮:ギャヴィン・サザーランド
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
この記事のURL | バレエ鑑賞記 2017年 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
ENB 「コッペリア」 7月8日マチネ
2017/07/11(Tue)
コジョカルの代役となったユルギータ・ドロニナは2014年のコジョカル・ドリームプロジェクトに出演したダンサーで、その時のパートナーが当時オランダ国立バレエのプリンシパルだった現ENBプリンシパルのイサック・エルナンデス。 コンテ、古典ともにきっちりと踊れるダンサーという良い印象だったので、今回コジョカルが見られなくなったのは残念でしたが、ドロニナならスワルニダは似合うはずと楽しみにしていました。 初役とは意外でしたが、期待通りに彼女の踊りはとても安定していて見せ方にも余裕があり、2幕のコッペリウスの工房でのスペインやスコットランドの民族舞踊の踊りも達者にこなすあたりはさすがです。 目の表情が豊かでちょっと気の強いスワルニダのころころ変わる感情をマイムと合わせてしっかり伝えていました。 ふくれっつらも可愛かったし♪ 

フランツを踊ったセザール・コラレスも役デビューとの事ですが、こちらもそんな事はこれっぽっちも思わせないくらい、ノー天気なちゃら男が板についている(笑)。  ともかく若さの勢いでというように見えましたが嫌味のないダイナミックな踊りは良かったです。 

コッペリウスを演じたジェームズ・ストリーターはキャラクテールでもなさそうな中堅クラスのダンサーに見えますが(リードプリンシパルの高橋絵里奈さんのご主人なんですね)、偏屈で気難しやのコッペリウス博士を好演。  けっこう手荒な扱いを受けていたり運動量もさり気なく多かったので体力も必要な役ですね。  発明家&錬金術師でもあるというホフマンの原作を意識したこちらのコッペリウスはフランツの魂を抜き取ってコッペリアに移すのに妙なマシーンで電流を流すような演出なのがユニークで、昔のアニメやドラマに出てきたようなデザインに懐かしさも(笑)。 またライト版の奇跡ともプティ版の哀れとも違った、周囲との和解というコッペリウスの行く末も明るく楽しいこの版に合ってましたね。 

他のダンサーたちですが、まだ19歳でアーティストの金原里奈さんが出番も多く大活躍でした。 日本公演にあたってのロホの配慮なのかもしれませんが、小柄な体を十二分に使った柔らかな踊りが良かったです。 彼女は「海賊」でギュリナーラにも抜擢されているのですね。 金原さんと組んでいたジャネット・カカレカは対照的に長身で手足の長いラインが目を惹くダンサーです。 笑顔での丁寧な踊りには好感が持てました。 ただコール・ドの全体的なレベルとしてはこれからの底上げが必要だなという印象です。 6月にロシアのボリショイ、日本の新国立とそれぞれにレベルの高い整然とした踊りを見た後なので余計に感じたところもあるとは思いますが。 ダンサーたちも多国籍ということで、それが良い方にも悪い方にも出るのでしょうが、特に3幕はもう少し揃ったクラシックラインが綺麗に出せるようになると良いなと。 

NBSのサイトの写真通りにかなり立派で凝った舞台装置とカラフルで美しい衣装には「おおっ!」だったのですが、スワルニダの家がせり出しすぎていたり、宿屋?のウッドデッキが広かったりで踊れるスペースがちょっと狭く、ダンサーも思いっきり踊りたいように踊れなかったのではと感じるシーンもありました。 踊っているダンサーと周囲の人たちの距離が近くてちょっと雑然とした印象。 本国ではどうなのでしょう? 女性の衣装もわりとボリューミーなのでもう少しスペースが取れると全体的な見た目がすっきりしましたよね。 
でも、衣装は本当にデザインと色が素敵で衣装展を開いて欲しいくらい! 細かい刺繍もたくさん施されているので実際に触ってそばで見てみたい! 特にカカレカが祈りの踊りで着ていたドレスの上半身の刺繍!!





振付:ロナルド・ハインド(マリウス・プティパに基づく)
装置・衣裳:デズモンド・ヒーリー

スワニルダ:ユルギータ・ドロニナ
フランツ:セザール・コラレス
コッペリウス博士:ジェームズ・ストリーター


<第1幕>
スワニルダの友人:金原里奈、ジャネット・カカレカ、アンジュリー・ハドソン、
            康 千里、ティファニー・へドマン、ジア・チャン
宿屋の主人:ダニエル・クラウス
宿屋の夫人:タマリン・ストット
市長:ファビアン・ライマー
コッペリア人形:フランチェスカ・ヴェリク

<第2幕>
兵士の人形:ジョージオ・ガレット
長靴をはいた猫の人形:ネイサン・ハント
中国の人形:クレア・バレット

<第3幕>
暁の踊り:金原里奈
祈りの踊り:ジャネット・カカレカ
仕事の踊り:ユナ・チェ、フランチェスカ・ヴェリク、アンバー・ハント、エミリア・カドリン
花嫁の介添え人たち:アンジュリー・ハドソン、康 千里、
             ティファニー・へドマン、ジア・チャン、
             アイトール・アリエタ、ギレーム・メネゼス、
             猿橋 賢、ジンハオ・チャン

指揮:ギャヴィン・サザーランド
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
この記事のURL | バレエ鑑賞記 2017年 | CM(2) | TB(0) | ▲ top
新国立劇場バレエ「ジゼル」 6月24日ソワレ(小野&福岡)
2017/07/02(Sun)
大好きな絢子ちゃんと雄大君のペアはもう絶対に外せないペアだというのは何度も書いておりますが、今回初日マチネのレビューを書きながらちょっと笑っちゃう事を発見!
2013年の前のジゼルはいったいいつだったのだろうと過去のレビューをいろいろチェックしていたところ、その回答はさておき、どうやら私がこのペアを初めて見たのは2011年1月の「バヤデルカ」だったのですが、その後10月のガラの「眠り」の感想で、なんと「この2人って合うのかなぁぁ?」と暴言を吐いておりまして・・。 さらにその絢子ちゃんのオーロラを自分の好みに合わずちょっとダメとまで言ってる自分・・・(雄大君はもともと好きだった)。 なのに、その3年後の新版「眠り」をこの2人で見た時に絢子姫に陥落しているんですよ、あたくし(笑)。 それまでも何回も見ていたのにこういう事もあるんですねぇぇぇ。 へたな文章ですらなかなか書けない(だいたいこんな風に横道それてるから余計に時間がかかる)この数年ですが、後からこんな思わぬ発見があるなんて、やっぱり何か残しておくって無駄な事ではないのですねー(笑) 

さて、「ジゼル」。
絢子ちゃんも今回ジゼルは初役だったのですね。 彼女のジゼルは可憐で明るく無邪気な一面も持つジゼル。 アルベルトに対して恥じらいはあるけれど、好きという思いは全身から溢れている。 お互いに投げキスを交わすところなど、もう周りのことなど目には入らず幸せの絶頂のような満ち足りた笑顔。 これじゃぁ、アルベルトもぞっこんになりますよねぇ。 踊りは柔らかく軽やか。 
普通ジゼルは一列に並んだ村娘たちと踊りだす前に一度胸の痛みを表すけれど、綾子ちゃんのジゼルはアルベルトとハンスが言い争いをした後にもつらそうな仕草をしていました。  確かに2人のやりとりに不安と恐さを覚えて緊張しただけでもジゼルの心臓には負担になるのでしょうね。 それが1幕最後の愛する人に裏切れたショックになどとうてい耐えられないという狂乱のシーンへも上手くつながります。
その狂乱シーンは悲しさとやるせなさに心と頭がどんどん壊れていき、笑いすら出るほどに感情が入り混じって分けが分からなくなった果てにとてつもない絶望に襲われて事切れたように見えました。  
2幕のウィリ。 ミルタに呼び出されてのところも良かったですが、アルベルト登場後にすぅーっと下手から出てきてアルベルトのリフトでふわぁっと浮かび上がったあの一瞬が物凄く鮮やかに目に焼きついて残っています。 本当に空気の精のようでした。 絢子ちゃんのウィリは身は精霊と化しているけれど心はまだこの世に残っているウィリだったように感じました。 で、アルベルトをかばってお墓の十字架の前から動かないようにとアルベルトに囁く様子が何気にものすごく艶かしい・・・。 思わずドキッとしてしまいましたが、墓の前を離れて自分の後を追ってくるアルベルトにお墓に戻ってと諭すような表情は慎ましやかで・・・。 アルベルトに向ける慈愛と深い愛情に溢れる視線は最後まで変りませんでした。 夜明けの鐘が聞こえた時に見せたアルベルトの命を守りきれた安堵と別れの覚悟の表情も心に残ります。  

雄大君も前回13年のジゼル公演に出ていないという事は初役なのでしょうか? 彼のアルベルトはジゼルに心惹かれてはいるけれど貴族と村娘という住む世界の違いはしっかり意識しているアルベルトだったと思います。 この人は私の婚約者なのですよとジゼルに話すバチルドに向かってわりと悪びれずに人差し指を立てて「シーッ」っと合図してましたしね。  ただ、ジゼルが狂い始めてからは彼の中でも何かが変わっていった感じ。 自分の両腕をすり抜けるように崩れ落ち命を落としてしまったジゼルを抱き起こし激しく揺さぶり、ベルタに突き飛ばされそうになってもけっして彼女から離れようとはせず、アルベルトもまた狂ったようでした。 見かねたウィルフリードに引きずられるようにして去って行くまで迫真の演技。
踊りは全体的に余裕があって切れもありジャンプなどは滞空時間も長くフォルムも綺麗。 体もすっきり絞れていたようですし(一応毎回気にはなるのです・・・)。 2幕でのアントルシャは力みのない綺麗なもので、その後のブリゼもスピードがあって良かったです。 もうこれ以上は踊れないというフォームの乱れた渾身のラストダンスもなかなか。 サポート、リフトも全く不安なく、もうこの2人の場合はいろいろな事が自然に合うのでしょうね。 それは2幕で最大限に発揮され、この2人ならではの世界に惹き込まれました。 
ジゼルに命を救われたアルベルト、そういえば井澤さんは夢落ちとも思えるようなハッとした仕草をしていたけれど、雄大君は現実の出来事だったように思います。 ジゼルとの強く深い愛を失ったアルベルトは大きな絶望と悲しみ、苦しみの中に取り残されどう乗り越えていくのだろうと思わせられるラストでした。


その他のキャストでは
バチルドの美和ちゃんがまたと~っても美しく・・・。 アルベルトを見る目は少し怖かったですが、ジゼルには大人の振る舞いでしたね。 個人的には好きな3人の三角関係にちょっとドキドキ(笑)。

前回は長田さんジゼルのアルベルトで見ている菅野さんのハンスは無骨でちょっと理屈っぽさそうな(ファンの方すみません)、あまり同情せずにすみそうなキャラクターでした。 2幕で命乞い適わず踊らされている時の無念そうな表情とそれでも端正な踊りが印象的でした。
そういえば、マチネの宝満ウィルフリードもアルベルトの言いつけ通りに後ろ髪引かれる?事無く帰って行きました。 ここは演技が決まっているのですね。

優しいイメージのある寺田さんのミルタも常に無表情でハンスもアルベルトも見つけたからには許さないという情けのなさ。 登場時のパ・ド・ブレは滑らかで綺麗でしたが、体の動きはわりとシャープで、特に交互に動かす腕、百合の花を投げる腕の動きは空気を切り裂くような鋭さで何気に気性の荒いミルタ。 
コール・ド・はマチネ同様静かに強く美しく。
 

比較的静かに物語が紡がれたマチネと勢いがあって濃厚だったソワレ。 それぞれに味わいがありましたが、主演2人の熱演が光ったソワレは本当に素晴らしかったです。 一日でこれほどのマチソワ2公演を見られたのは嬉しい限りなのですが、たった一日で自分の新国ジゼルが終わってしまったのはとっても淋しかったです。 今度「ジゼル」を見られるのはいつになるでしょうか? できれば2018/19シーズンに、是非!  絢子ちゃんと雄大くん主演の「ジゼル」は今年の清里フィールドバレエで7月31日(月)と8月2日(水)に予定されています。

      



6月24日(土)18:00
ジゼル : 小野絢子
アルベルト:福岡雄大
ミルタ:寺田亜沙子
ハンス : 菅野英男
村人のパ・ド・ドゥ:池田理沙子、福田圭吾
クールランド公爵:貝川鐵夫
バチルド:本島美和
ウィルフリード:宝満直也
ベルタ:丸尾孝子
モンナ:寺井七海
ジュリマ:玉井るい

2017062801.jpg

この記事のURL | バレエ鑑賞記 2017年 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
新国立劇場バレエ「ジゼル」 6月24日マチネ(米沢&井澤)
2017/06/29(Thu)
唯ちゃんのジゼルは村娘らしい素朴さと純真さのある心持ち控えめなジゼル。 踊りは柔らかく丁寧で、もちろんとても上手い! アルベルトに向ける眼差しと仕草には初恋の喜びのような初々しさも感じられてとても可愛かったです。 狂乱のシーンは恋人を失った悲しみと絶望ですでに心が壊れて正気を失ってしまった静かな狂気でした。 
ウィリとなった2幕前半では、虚ろな表情でアルベルトの前に現れては消えていく姿に、肉体から離れあちらに行ききれないジゼルの心が俯瞰しながら感情を失ったジゼルを動かしているような感じを受けました。 PDD以降は魂と肉体が一体化しアルベルトへの想いを胸にひたすら彼を守ろうとしている健気でピュアなウィリ。  テクニック的には本当に磐石で、ミルタの前でのアチチュード回転は綺麗なポーズのまま軸が全くずれずスピードもあり流石の身体コントロール。 スーブルソーもふわっと軽くて見事でした。

対する井澤さんのアルベルト。 彼は身長も高く爽やかな雰囲気で見栄えのするダンサーなのですが、真摯に演じてはいるのだけれど表現が弱いというか、まだ彼の中でアルベルト像がきちんとできていなかったのかな? なんとなくいつも周りに流されているように見えるアルベルト。 自分のしている事がわかっていない無自覚なアルベルトというのもちょっと違うような。 狂乱のシーンの後、死んでしまったジゼルに取りすがろうとしてベルタにひどく突き飛ばされどうしたらよいか分からずうろたえる様子が井澤さん自身の戸惑いのようにも見えたりして・・・。 ただ2幕は悪くなかったと思います。 表現はやはりソフトでしたがアルベルトの深い後悔や悲しみ、失ったジゼルへの愛情もきちんと感じられましたしね。
踊りは主役をこなすのに不足ない出来ではあると思いますが、もっと役に入り込んでの踊りならばさらに冴えて見えるような気がします。 それでも大柄なラインは目を惹きますし、2幕の見せ場のアントルシャは力みもなくジャンプも高く良かったです。 
アルベルトは初役との事なので、2度目の舞台となる土曜日の最終公演ではきっともっと良い舞台になるのではないかと思います。 

それにしてもアルベルトを突き飛ばした丸尾さん@ベルタの勢いは凄かった。 愛する娘を失った悲しみ怒り憎しみそのままの強さでした。

精悍で強気なハンスの中家さんはブーツ姿がさまになる下半身のラインが綺麗なダンサーですね。  ジゼルの心をなんとか自分に向けさせようと、アルベルトの小屋から持ち出してきた剣を見せてこいつは貴族なんだ、お前は騙されているんだよとアルベルトの正体をばらした時の憎悪丸出しの姿はすごい迫力でした。  優しい心の持ち主かどうかはわかりませんが(笑)ハンスでいいじゃん!な魅力的なハンスでもありましたね。  2幕の踊りや演技も良かったし、12月に予定されているシンデレラで王子が見たくなったのですが、日程が無理だなぁぁぁ。  

ウィルフリードの清水さん、マントを翻一番最初に一人で舞台に登場してくるので、この日は主役と勘違いされた方がいて会場からちらほら拍手が沸き起こりましたがなかなか素敵なダンサーですね。 この版のウィルフリードはニ幕でジゼルの墓を訪れるアルベルトを追ってはくるものの、アルベルトに先に帰るようにと言われると、わりと素直に立ち去ってしまう。 後ろを振り向くなり、躊躇するなり、もう少しご主人様を思う心が欲しかった(笑)  もう、言ってもしょうがないほど昔の話だけれど、マールイのマラさんやペトゥホフのウィルフリードが懐かしいわ!

一幕では柴山さんと奥村君のパ・ド・ドゥも良かったです。 奥村君の端正で軽やかな踊りは期待した通りの素晴らしさなのだけれど、柴山さんの踊りにも感じ入ったというか・・・。 彼女はやや地味な感じがして損をしているような気がするのだけれど、楷書的なきっちりぴったりしっかりな踊りのラインが常に実に気持ち良く、音も綺麗に捉えていて上手いなと。 スタイルも良くてペザントの衣装もとても良く似合っていましたし。 ただ、もう少し2人に親密さがあれば尚良かったとは思います。

ミルタは本島さん。 美和ちゃんのミルタが見たくてこの公演を追加で取ったのですが、冷気漂う夜の森を支配する女王然とした圧倒的な存在感と何者にも心を動かされる事無く容赦ない感じの役作りはさすがです。 上手から登場した時の細かく滑るようなパ・ド・ブレも美しかったし、最近の彼女は何を踊っても演じても円熟の境地なるものを見せてくれますね。 で、ジゼルを呼び出す前だったかな? ウィリが揃って中央で踊っている時(すでに記憶が怪しいけれど、多分ここ)に微笑を見せていたのが意外でした。 何だったのだろう?
ドゥ・ウィリの堀口さんと寺田さんも静寂の中、無となった者の意思を感じさせるような踊りが良かったです。 振付はジュリマの方が好きなのですが、寺田さんの綺麗なムーブメントが振付を一層際立たせていたような気がしました。
コール・ドの踊りも整然としていて、特にアラベスクで交差する見せ場では、あげた足の高さが揃っていてぶれもなく、新国バレエの真骨頂発揮の美しい幽玄の世界を作り出していました。 本当に素晴らしかったです。




ジゼル : 米沢 唯
アルベルト:井澤 駿
ミルタ:本島美和
ハンス : 中家正博
村人のパ・ド・ドゥ:柴山紗帆、奥村康祐
クールランド公爵:貝川鐵夫
バチルド:堀口純
ウィルフリード:清水裕三郎
ベルタ:丸尾孝子
モンナ:堀口純
ジュリマ:寺田亜沙子


2017062802.jpg


この記事のURL | バレエ鑑賞記 2017年 | CM(2) | TB(0) | ▲ top
ボリショイ・バレエ「白鳥の湖」 6月7日
2017/06/16(Fri)
ボリショイ・バレエ団の3年ぶりの公演、あっという間に東京公演は終わってしまいましたね~~。

ボリショイの白鳥、今回は1回のみの鑑賞でした。 しかもザハロワの日ではなく、選んだのはスミルノワ&チュージンの初日の白鳥。 スクヴォルツォフは来ていないしラントラートフは東京ではキャストされていないし、東京のジークフリートで特に見たいダンサーがいなかったのと前回の来日公演には怪我で参加できなかったスミルノワの白鳥は見てみたかったのでこのペア。 
スミルノワは思っていた以上に身長のあるダンサーでした。 ガラ公演で見た時にはそれほど大きいとは思わなかったのだけれど・・・。 ワガノワ時代、レベデフともペアを組んでいたように思いますが、レベデフにはちょっと大きかったんじゃ(ボルチェンコと組んだような感じなのかな)?  ほどよい細さで腕も足も長く白鳥むきのダンサーですね。 フォルムは大きく、踊りはとても丁寧。 技術がしっかりとしていて身体のコントロールも思いのままなので回転やさまざまな動きのなかで軸が乱れる事がなくラインが綺麗でした。 そしてなんというか、すべてにおいて押し付けがましさがなく、すんなりと美しい。 
オデットは孤独感を漂わせながらも凜とした佇まい。 スミルノワは顔立ちのせいで年齢よりも上に見えてすごく落ちついた雰囲気。 そのせいか?王子と出会い惹かれていきながらもどこか冷めた様子で、王子に身を委ねその温もりに包まれながらもロットバルトの呪いから開放される幸せを夢見るというよりは一時的な安らぎを見出しているような・・・。 それでもなかなかしっとりと見せてくれたので満足です。 最後上手に消えて行く時ぱっと目を見開き何か我に帰ったような表情が印象的でした。
オディールは大きな瞳が妖しく輝くクールな悪女。  セルゲーエフ版では使っていないあの妖しい旋律のヴァリだけはもっと不敵さと強いアピールがあっても良かったと思いますが、王子がオデットと間違えるというのがとても納得できるオディールでした。 32回転もテンポの速い演奏に遅れる事なくスピードを保ちながらほとんど一点で綺麗に回っていましたし、ほころびは一つもなかったですねー。 ロットバルトとのアイコンタクトやつるみ加減も良かったかと。 終幕の王子とのドラマはいま一つ迫り来るものがありませんでしたが、これは自分がチュージンから感じるものが少ないせいも多いにあるのだろうと。 スミルノワとしては終始一貫したオデットの役作りだったと思います。 

チュージンのジークフリートは前々回(確か)のルンキナとの舞台以来。 抑制の効いた端正な踊りはあの時よりもさらに磨かれていて主役としての存在感も増しています。 浮遊感があり柔らかく速い開脚ジャンプがとても印象的でアントルラッセ、マネージュなどのジャンプも軽いです。 スミルノワ同様とても素晴らしいパフォーマンスだったと思うのですが、演技含めて個人的にあまり惹かれるタイプのダンサーではないのです。 なので、ラストシーンで絶望と悲しみで深く傷ついた王子の姿に気持ちが寄り添わず、なんだか物語から取り残されたような感覚になりました。

ロットバルトは悪魔メイク顔がなぜかとてもハンサムなツヴィルコ。 ダイナミックなジャンプや回転、凄みのある演技が良かったです。 王子を落としいれようとしているのがよく分かり、チュージンとのシンクロ具合もなかなか!  

王子の友人のクレトワとシュライネル。 2人とも可愛らしく踊りもしっかりとしていて破綻なく。 
そして開演前にきちんとキャスト表に目を通していなかったので一幕の宮廷でのワルツにネッリちゃんを見つけた時は小さく「ワォ!」。 できれば花嫁候補も見たかったですが、気品があって美しくエレガントな踊りは変わっていませんね。

その花嫁候補たち、一人だけちょっと小柄で艶っぽい表情美人のナポリのシガンシナとホワンと柔らかで可愛らしいロシアのデニソワが印象に残っています。 スペインはいつもほとんどボーイズしか見てないのですが、左端と右端が良かったわーくらいで誰が誰なのかわからず残念(笑)。 

白鳥のコール・ドは見る度に平均身長が上がっているようでスラッとスタイルの良いダンサーが多く、これぞロシアの白鳥湖!!ですね。 初日にもかかわらずよく揃っていたと思います。 でもって今更ですが、4羽の白鳥も決して小さい4羽ではありません。 あの音楽で出てきた時に一瞬コンフューズ(笑)。 そこそこの身長があってあの振付だとかなり大変だと思いますが、さすがにここの音楽はボリショイ特急ではなかったような。 そして納得のオオハクチョウ3羽。 決して優雅には踊れないテンポの音楽でワガノワ出身のコワリョーワが一人遅れるのがなんだか気の毒で・・・。 他の2人は忙しない動きでしたが、気がつくと自分の目は最初の音にぴったり合わせるマルチェンコワに釘付けでした。 前回の来日公演でも見ているのに今更ですが、ちょっと気になるダンサーになりました。



オデット/オディール:オルガ・スミルノワ
ジークフリート王子:セミョーン・チュージン
王妃(王子の母):ヴェラ・ボリセンコワ
悪魔ロットバルト:イーゴリ・ツヴィルコ
王子の家庭教師:アレクセイ・ロパレーヴィチ
道化:アレクサンドル・スモリャニノフ
王子の友人たち:クリスティーナ・クレトワ
        マルガリータ・シュライネル
儀典長:アレクサンドル・ファジェーチェフ
花嫁候補たち
  ハンガリー:アナ・トゥラザシヴィリ
  ロシア:アナスタシア・デニソワ
  スペイン:エルヴィナ・イブライモワ
  ナポリ:クセーニア・ジガンシナ
  ポーランド:ヤニーナ・パリエンコ
3羽の白鳥:オルガ・マルチェンコワ
      マルファ・フョードロワ
      アリョーナ・コワリョーワ
4羽の白鳥:ダリーヤ・ロフツォーワ
      オルガ・カリーニナ
      マルガリータ・シュライネル
      ダリーヤ・ボチコーワ
ワルツ:エルヴィナ・イブライモワ
      ネッリ・コバヒーゼ
      ヴィクトリア・ヤクシェワ
      クセーニア・ジガンシナ
      ウラディスラフ・コズロフ
      ドミトリー・エフレーモフ
      イワン・アレクセーエフ
      ダヴィッド・モッタ・ソアレス
この記事のURL | バレエ鑑賞記 2017年 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
| メイン | 次ページ