マールイ「くるみ割り人形」 12月24日の感想
2010/12/31(Fri)
クリスマス・イヴの公演、観客が少なくてダンサーには気の毒でしたが、お客さんの反応はとても温かく、ホールのつくりのせいか拍手がとてもよく反響されて、実際の観客数より多く感じられたのは良かったです(笑)。

明るく楽しく勢いがあった昨日の公演とは何か違う・・・。 
音? 県民ホールは音響が良いはずなのに厚みと張りのない音に加え、スピードもスロー。 舞台上もなんとなく温い空気が漂っていた。 そこにおっとりマーシャのペレンだしね。

そのペレンの1幕の衣装は去年と同じちょっとピンクがかったパープル。 去年はなんで?と思いましたが、彼女は細い手足のわりには肩や胸板がしっかりしているので、こういうデザインだと淡いピンクやブルーよりはこの色の方がいいのかな? 
この日のペレンはちょっと覇気がないというか、踊りも表情もやや控えめであまりノリが良くなかったように感じました。 ここ数年の彼女にしては珍しいかな? 

くるみ割り人形のラプシャーノフは頑張っていたとは思うのだけれど、前日に職人芸のトルマチョフの人形を見ているだけに分が悪い。 ラプシャーノフにはこれから長~く愛着持って踊っていって彼のくるみを作っていってもらいたいと。

ドロッセルマイヤーのヴェンシコフもねずみの王様のユリバリソフも前日同様、キレのある踊りで良かった。 できればねずみキングはマラさんで見て3キャスト制覇したかったのだけれど・・・。 この日もホストに徹し、優雅な踊りと楽しい小芝居を見せてくれたマラーホフさんには大満足。 

で、誰が出てきたのか??と思ったのが王子のコリパエフでした。 ロミジュリで見た時はいい感じだった髪を短く切ってしまったうえにオールバックで銀色のスプレーをかけてある。 チラシでしか見た事ないけど、Kバレエのくるみの王子みたいな頭と言えばいいのか。 どーしてそこまで頑として主役の時はかつらを被らない??? なんだかとっても変だった・・・。 コリパエフは体にぴったりとした衣装で上下白となると、彼の線の細さばかりが強調されてしまって、踊りまで膨らみのないものに見えてしまうなぁ。 ラインは綺麗な方なんですけどね。 体質的に筋肉がつかないのだとしたら可哀想だけどペレンをリフトするのが大変そうだった。 前日のシヴァはここでシェスタコワを片手リフトなんかしてびっくりさせてくれたけど・・・。

この日、一番印象に残ったのはノヴォショーロワさんのアラビア。 この踊りがこんなにあっという間に終わってしまったように感じたのは初めて。 しっとりした踊りに切なさや秘めた情熱のようなものが感じられる踊りでした。 
チーカのコロンビーナは踊りは上手いけれどちょいと人形らしさが足りなかった。 ポドショーノフはやはり表情が豊かでピエロのツボをきっちり押さえているし、人形たちの中でのまとめ役みたいな感じもさり気なく出していてさすがだなと。

そして、ワルツには今期お初となるヤフニュークが!! 彼ってなんでこんなにかつらが似合うんだろう?(笑) 腕の動きが綺麗ですねぇ。 プーちゃんが跪きヤフニュークがアチチュードで立つツーショットがこれまた異様に美しかったです。 真ん中そっちの気で見入ってしまいましたわ。 
ここでのペレンはダンマガ4月号の表紙で着てたイエローベースのチュチュ。 ピンクや青のビーズが散りばめられた衣装で金平糖の精としては悪くはないけれど、前日のシェスタコワの白ベースに金刺繍のチュチュの方が自分としては好みだな。 踊りと表情も1幕よりは良くなってキラキラしてました。 コリパエフはまぁ1幕と同じような感じですが、存在感的には4人のカバリエの中に埋没してしまってましたね。 

そんなわけで自分的にはそれほど盛り上がらなかったイヴのくるみでした。 



マーシャ : イリーナ・ペレン
王子 : ニコライ・コリパエフ
ドロッセルマイヤー : ミハイル・ヴェンシコフ
くるみ割り人形 : アンドレイ・ラプシャーノフ
フリッツ : アレクセイ・クズネツォフ
父 : アレクセイ・マラーホフ
母 : オリガ・セミョーノワ 
ねずみの王様 : リシャート・ユリバリソフ
コロンビーナ : ユリア・チーカ
ピエロ : マクシム・ポドショーノフ
スペイン人形 : タチアナ・ミリツェワ、ニキータ・クリギン
中国の人形 : エカテリーナ・ホメンコ、アレクサンドル・ガヴリシ
アラビアの人形 : アンナ・ノヴォショーロワ、
        オリガ・ラブリネンコ、ズヴェズダナ・マルチナ、クセーニャ・ルシーナ、エレーナ・スヒーフ
パストラル : ナタリア・クズメンコ、エレーナ・シリャコワ、パーヴェル・ヴィノグラードフ
トレパック : ナタリア・パルフョーノワ、アンナ・スーホワ、
         ニコライ・アルジェエフ、ドミトリー・クドリャーフツェフ
ワルツ : オリガ・ステパノワ、ダリア・エリマコワ、マリア・グルホワ、ユリア・カミロワ
       アルテム・プハチョフ、アンドレイ・ヤフニューク、アンドレイ・マスロボエフ、デニス・モロゾフ

指揮 : パーヴェル・ブベルニコル
管弦楽 : 東京ニューシティ管弦楽団

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マールイ「くるみ割り人形」 12月23日の感想
2010/12/28(Tue)
主役から脇まですべてが良くて、舞台からあったかい空気が惜しみなく溢れ出ていたようなマールイらしい明るく楽しい舞台でした。 ちょっと日にちが経ってしまったので、特に印象に残っている事だけ思いつくまま。

シェスタコワのマーシャを見るのは2回目かな? 踊り自体は総じて去年・おととしよりも全然良いと思います。 結果論ではありますが、今回3人のマーシャを見て、シェスタコワのマーシャという役への愛着、入れ込み方のようなものを強く感じました。 マーシャを踊る事をすごく大事にしているのが感じられて、彼女らしい緻密な見せ方(今まで時にtoo much)も自然に受け止められたし。 
踊りは1幕のPDDが自分的には良かったです。 彼女の音楽性は誰もが認めるところだけれど、まるで音楽を奏でるように動かしていたアームスがとっても綺麗でした。 

王子のシヴァ、多摩ではかな~り心配しましたが、体力的なへたり感もなかったし、サポート含めてすべてに余裕がありました。 多摩のミリツェワの踊りはピルエットなどもやけに威勢がよくてそこでもうシヴァが慌てちゃってた感がありましたが、シェスタコワは丁寧な踊りの入りに軸がしっかりしていて余計な事をする必要もないし、慣れというかお互い分かっている感も違うのでしょうが。 
最初に人形とバトンタッチするところ、フォーラムは広いのでトルマチョフと合体するまでかなりあの人形くるくる回転を繰り返して出て来なくちゃいけないんですね。 その辺の出だしからラインに緩みがなくて綺麗でした。 人形の腕から王子の腕への感触の変化を感じると同時に人形の心から大人の男性の感情に変わっていく表情も好きなんですよね。 
2幕のGPDD。 えっと正直申しまして、26日のプハチョフのノーブルラインが上書き(というのも合ってないですが)されてしまい、きちんと思い出すことができないのですが、シヴァコフらしいゆったりさの中に温かさや愛情が感じられてとても幸せな気持ちになったのだけは覚えてる(笑) 最後のピルエットもぶれる事無く最後まで綺麗に回りきってフィニッシュでした。

トルマチョフの人形も最高でした! 技術的にはクズネツォフに軍配が上がり始めそうな気配もあるけれど、人形としての踊りはまだまだこの人の醸し出す雰囲気が一番だなぁ。 首の傾き、肘、膝、足首なんかの関節のシャープな動きと人形の動きの自然な余韻がとてもいい。 去年の兵庫でも感じたけれど、マーシャの事がとっても好きな健気な人形なんだよなぁ。
 
マラーホフさんのお父さんは子供たちともゲストたちとも小芝居を繰り広げながらホスト役を演じておりました。 ノヴォショーロワさんとの語らいがいつも長いんですよね、マラさんは(笑)。 セミョーノワとの踊りも手足の動きが優雅で美しい。 
望み叶ったユリバリソフのねずみの王様。 長い手足が作り出すラインがとても綺麗でシャープさとエレガントな感じが上手い具合に交じり合っている。 まだ、この人のねずみという感じはないけれど、丁寧な踊りに好感が持てます。
マチネでコロンビーナを踊ったミリツェワはこちらではスペインに。 ベテランソリストなのによく働くなぁ。 あ、でもそれを言ったらワルツは全公演ですものね・・・。
2幕のお人形さんたちも皆さん心のこもった踊りで良かったです♪
そして、オケもあいっかわらず鳴らしてます、吹かしてますって感じで炸裂してます。 もちろん甘美な旋律のパートはきちんと美しいですよ♪


マーシャ : オクサーナ・シェスタコワ
王子 : ミハイル・シヴァコフ
ドロッセルマイヤー : ミハイル・ヴェンシコフ
くるみ割り人形 : デニス・トルマチョフ
フリッツ : アンドレイ・ラプシャーノフ
父 : アレクセイ・マラーホフ
母 : オリガ・セミョーノワ 
ねずみの王様 : リシャート・ユリバリソフ
コロンビーナ : マリア・ドミトリエンコ
ピエロ : パーヴェル・ヴィノグラードフ
スペイン人形 : タチアナ・ミリツェワ、アレクサンドル・オマール
中国の人形 : エカテリーナ・ホメンコ、アレクセイ・クズネツォフ
アラビアの人形 : オリガ・セミョーノワ、
            オリガ・ラブリネンコ、ズヴェズダナ・マルチナ、クセーニャ・ルシーナ、エレーナ・スヒーフ
パストラル : ユリア・チーカ、ナタリア・クズメンコ、アンドレイ・ラプシャーノフ
トレパック : ナタリア・パルフョーノワ、アンナ・スーホワ、
         ニコライ・アルジェエフ、ドミトリー・クドリャーフツェフ
ワルツ : オリガ・ステパノワ、ダリア・エリマコワ、マリア・グルホワ、ユリア・カミロワ
       アルテム・プハチョフ、ニコライ・コリパエフ、アンドレイ・マスロボエフ、デニス・モロゾフ

指揮 : ヴァレンティン・ボグダーノフ

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マールイ「白鳥の湖」 12月26日の感想
2010/12/26(Sun)
鎌倉芸術館でマールイ「白鳥」初日を見て来ました。 最寄の駅は鎌倉駅と思い込んでいたら大船だったんですね・・・。 昨夜会館のHPのアクセスをチェックして気づきました。
公演はと~~っても素晴らしかったです。 オーリャとプーちゃん、ハラショー!!!

本日のキャストです。

オデット/オディール:オリガ・ステパノワ
ジークフリート:アルテム・プハチョフ
ロットバルト:ミハイル・ヴェンシコフ
王妃:ズヴェズダナ・マルチナ
家庭教師:アレクセイ・マラーホフ
パ・ド・トロワ:タチアナ・ミリツェワ、ワレーリア・ザパスニコワ、ニコライ・コリパエフ
小さい白鳥:ユリア・チーカ、エカテリーナ・ホメンコ、ナタリア・クズメンコ、マリーナ・ニコラエワ
大きい白鳥:ダリア・エリマコワ、マリア・グルホワ、ユリア・カミロワ、ワレーリア・ザパスニコワ
2羽の白鳥:ダリア・エリマコワ、エカテリーナ・クラシューク
スペイン:オリガ・セミョーノワ、ニーナ・オスマノワ、アレクサンドル・オマール、デニス・モロゾフ
ハンガリー:エレーナ・フィールソワ、ロマン・ペトゥホフ
ポーランド:ユリア・カミロワ、オリガ・ラヴリネンコ、アーラ・マトヴェーエワ、エレーナ・スヒーフ
       ウラジーミル・ツァル、イリヤ・アルヒプツォフ、アルチョム・マルコフ、フィリップ・パルハチョフ
イタリア:タチアナ・ゴルディエンコ、アントン・アパシキン

指揮者:パーヴェル・ブベルニコフ

いや、ほんと、今日が白鳥初日とは思えないほどの出来だったと思います。
オーリャの白鳥はほぼ3年ぶりですが、オデットは女性としてのしっとり感と白鳥の女王たる風格のようなものが増し、オディールでは妖艶とかそういうのじゃなくて目力があって強くて思わず惹きつけられる魅力というようなものを感じました。 踊りも磐石、途中で見せた、かなり高く脚をあげたまま、まるで軸足が床に突き刺さったように微動だにしないバランスは素晴らしかった。 プーちゃんがもうちょっと離れてあげたらオーリャが一人で立っているというのがもっとよくわかったのに。 全くいつでもくっつき過ぎだよ、プーちゃん!(笑)
そして、そのプハチョフが完璧と言っていいほどにさいこーに素晴らしかったです。 以前マリインカでコルスンツェフを見たときに、どんなシーンで切り取っても王子以外の何物でもないと思った事がありますが、今日のプーちゃんもまさにそういう感じでした。 ポール・ド・ブラも立ち姿も踊りもすべてが美しいマールイ1のダンスール・ノーブル。 眼福でありましたよ!!  特に2幕の黒鳥のPDDでのヴァリは絶好調!という感じで本当に美しくため息ものでした。 

ひょっとしてヴェンシコフのロットバルトを見たのは初めてかもしれません。 こちらもとても良かったです。 今シーズンのヴェンシコフは踊りに切れがあるし、以前より体が絞れているせいか動きも軽くラインが綺麗。 ヴェンシコフなんでそれなりのアピールはあるのですが、あくまでも役の範疇でのパフォーマンスなのでプラスにしか働かない。  

マラーホフさんの家庭教師も相変わらずいろいろ芸は細かく、老けメイクと裏腹にみなぎるパワーで大サービス。 トロワの二人の女性から誘われて踊った後に目を回してくるくる回るところはもの凄く回転が速くてびっくり。 ちゃんと椅子にランディングできるのか心配になったもの(笑) 夕闇迫って皆がはけていくところも凄い勢いでスキップしながら、王子に向かっての一緒に行きましょーよの手招きが凄い勢いでね・・・。 ノリノリでした♪ 

コール・ドも初日としては上出来だと思います。 ただ揃ってるんじゃなくて気持ちが合ってきている一体感のようなものがあったように感じられた。 肝心のラストがちょいとバラバラだったのは悔やまれますが、東京公演できっと修正できるだろうと。 
小さい4羽は登場の横一線の踊りは若干バラバラでしたが、4羽の白鳥の曲の部分はよく合わせてました。 2羽の白鳥も踊ったエリマコワがどこにいてもラインの綺麗な踊りで目立つようになったのが嬉しいです。 同じく2羽を踊ったクラシュークも技術はしっかりしているしポーズが綺麗で良かったと思います。
男性たちの方も破綻なく。 いつもは赤貴族にいるマスロボエフがワルツの4カップルの方に変わっていましたね。 赤貴族はかなりの長身グループになったので、ぎりぎりのところでおん出されちゃった感じ。 同じような身長のモロゾフはまだ?赤にいたのでじゃんけんで負けたとか?(笑) で、その4カップルの男性も8人組みの方もアントルシャはお見事でした! 
2幕のディベルティスマンも皆さん良かった。

今日惜しかったのは大きな4羽とパ・ド・トロワかな。
その両方でキャストされていたワガノワ新卒のザパスニコワはトロワでは相当緊張していたようで、途中から足が動かなくなっちゃったかな? すでにピーテルでは重要な役も踊っていますが、日本公演の白鳥初日のトロワじゃ緊張しますよね。 くるみのスペインでは落ち着いて踊っていたので、慣れてくれば立ち直ってくるものと思います。 4羽の方も同様かと。
トロワの芯のコリパエフもなんだかなぁぁぁでした。 調子悪かったのかもしれませんが、相変わらずボーっとしていて・・・。 王子に気をつかわせて歩み寄られる前に自分から王子に話かけに行ってよね! 

また、何か思い出したら後日。
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マールイ「ロミオとジュリエット」 12月8日の感想<2幕&3幕>
2010/12/25(Sat)
<2幕>
ロレンス神父の立会いで結婚式を挙げたロミオとジュリエット。 結婚の喜びのPDD。 ここのユニゾンとリフトはけっこう息が合っていた。 再び神父が現れて3人で片膝をついたようなポーズで踊るのだけれどこれは何を意味するのだろう? 神父の不安と迷い?

広場ではカーニバルが催され、マキューシオとタランテラが陽気に踊る。 アルジャエフがどうのという事ではなく、見せ場の多いマキューシオも、2回あるのだったらもう一日はポドショーノフとかでも見たかった役だ。 コール・ドも勢いよく弾けていて良かった。 ロミオとジュリエットも群集の中を楽しそうに走り回る。
そこに現れるティボルト、死、生の3人。 死というキャラクターの設定は理解できるにしても生ってのがわけ分からず。 だいたい生は死といる時は分かるけど一人でいると(いたのかな?)どこにいるかも何しているんだかも分からないし。 
一人で戻って来たロミオにティボルトが剣を差し出し挑発するが、ロミオは誘いに乗らない。 はっきりしない態度のロミオにいらだったマキューシオが剣を取りティボルトと闘う。 ここの剣舞もなかなか見応えあり。 ロミオというかコリパエフ、ぼく知らない・・・というわけではなかったが、もうちょっと真に迫った演技が欲しかった。 ロミオの傍らに仮面をつけに戻ったふざけ半分なマキューシオの隙だらけの背中を一突きにするティボルト。 いくらなんでもそれってないだろう・・・卑怯だぞ。 死にゆくマキューシオの踊りは周りのリアクションも含めてちょっと中途半端だったように思う。 時間も短かった? 変な言い方だけれど花道飾りきれずに死んじゃったみたいで、 成り行きがわかっていてもここはハラハラし、次第に気持ちが悲しく重くなっていくものなのに、そういう気持ちにもならなかった。 
マキューシオの死に驚くロミオの前に死が現れ逆さにした剣をブラブラさせてロミオの怒りと憎しみを煽り立てる。 必要ないというか邪魔な演出だ。 死から奪い取るようにして剣を持ったロミオはティボルトに襲い掛かり、激情にまかせてティボルトを刺し殺す。 ま、実際ティボルトの方が強そうでそんな風には見えなかったけれど、この辺以降はコリパエフの演技向上を期待します。 ごめんね、やっぱり演技の上手いマスロボエフで見たかったよ! 断末魔のティボルトはアブデラフマンさながらの熱演で、痙攣するわのた打ち回るわ這いずるわで執拗にロミオに挑もうとする。 でもそこにホワンとしたロミオが・・・。 温度差ありすぎのような。 あと、ロミオとティボルトの真剣勝負の間、全く他人事でマキューシオの亡骸を囲んで故人を偲んじゃっていた友達4人もなんとかならなかったのか・・・。  

騒ぎを聞きつけたキャピュレット夫人が現れ、動揺と驚愕露わにティボルトのもとへ駆け寄る。 壊れていく心を全身で表すノヴォショーロワさんの演技は圧倒的。 2年前のプレミアのキャスト表ではJuliet`s brotherとなっていたティボルトだが、今回のプログラムの物語解説では普通にジュリエットの従兄弟となっている。 ティボルトの死に嘆き叫ぶキャピュレット夫人の姿は、息子を失った母親とも愛人を失った女とも見えるけれど、確か1幕の舞踏会の場面で後者説を疑うようなそれっぽいシーンがあったように思う。
そのままマクミランばりの慟哭のシーンになって夫人の踊りかと思ったが、 駆けつけたジュリエットの激しい悲憤の踊り。  両手を上げて天を仰ぎ脚を高く上げ、がくっと体を崩す繰り返しにジュリエットの感情がよく表され、肢体の大きさもものを言っていた。 ジュリエットの悲嘆を目の当たりにし罪悪感と絶望で崩れ落ちるロミオ。 

<3幕>
ジュリエットの寝室。 忍び込んで来たロミオの姿に驚き、体を震わせ両こぶしを彼の胸に打ちつけて詰るものの、必死に詫びるロミオを突き放せるわけもなく、愛しさに負けて許すジュリエット。
別れのPDD。 中央奥に置かれた大きなベッドの上でのパフォーマンス、特にリフトはマットの弾力などで安定していないので何気に大変かと。 夜明けが近づきロミオはジュリエットに別れを告げ寝室を後にする。 この別れのシーンも寝室を二人で走り回った末にロミオが上手に捌けるという感じで、もう少し二人の心の切なさが溢れてくるような振付にできなかったのかと思ってしまいます。

ベッドに座り込み悲しみに沈むジュリエット。 焦点の定まらないうつろな瞳、それでも何とかしなければどうにかしなければと思いつめているようなペレンの表情がとても印象的だった。 友人たちが現れ、ジュリエットに婚礼衣装を着せる。 仕度が整ったところにキャピュレット夫妻がパリスを伴いジュリエットの部屋を訪れ、パリスとの婚礼を告げる。 そんな事はできないと、ジュリエットはヴェールを外し婚礼衣装を脱ぎ捨て、父親に結婚を取り下げてくれるよう泣きながら必死に訴える。 ジュリエットに拒絶されたパリスの悲しみの踊り。 ユリバリソフのパリスは動きは美しいけれどあまり感情は出さない。 一方、自分の足に縋り付く娘を振り払い、突き飛ばし、それでも泣き続けながら頑なに拒否しようとするジュリエットに激昂したキャピュレット候は、怒りを露に鞭で床をたたき、親に逆らう事など許されないのだと脅しながら凄まじい形相で寝室を出て行った。 ツァル、迫真の演技とかいう表現では片付けられないほどの激しさでした。 もう、何か乗り移っちゃっている感じ・・・。  

追い詰められたジュリエット。 絶望の中でロミオへの募る思いだけを支えに、父親にどうされようと自分はロミオと生きるという決意をこめたように両拳を振り上げては回転を繰り返すという、この場では珍しいようなジュリエットの力強い踊り。 ジュリエットは一幕から踊りまくりだけれど、ここへきてもペレンの踊りは本当に磐石だった。 しかもマイム代わりに踊りで感情をしっかり訴えられているところが素晴らしい。 
一縷の望みを抱いてロレンス神父の教会に向かうジュリエット。 神父は迷いながらもジュリエットに仮死状態になる薬を与える。 驚いて断ろうとするジュリエットに少しだけ飲ませて一瞬気を失わせ覚醒させるという人体実験的薬の説明がなんとも・・・。 説得力ありますかね? これならばと納得して急いで戻って来た自室に両親とパリスの姿が。 薬を飲む決心をしているジュリエットは神妙な顔で両親に結婚を承諾する意を告げる。 満足そうな顔の両親に相変わらず無表情のパリス。 けれどもパリスと手を取らされると一瞬にして不安になるのか、ジュリエットは躊躇し再びこの結婚から逃れようと父親にすがり出す。 父は取り合わず、母親も厳しい表情のままパリスを連れて部屋を出て行く。 この場のペレン、ツァル、ノヴォショーロワさん(どうしても「さん」がついてしまう)の演技は素晴らしかったです。 それぞれの立場というより家族としての切なさが悲しく伝わって来ました。  
ジュリエットには時間がない。 躊躇することなく思いがかなえられる事だけを念じて一気に薬を飲み干す。 薬が回り遠のく意識の中ベッドに倒れこむジュリエット。

ジュリエットの葬儀。 キャピュレット家の墓所では黒いマントに身を包み蝋燭を手にした人々がジュリエットの死を悼んでいる。 その人々のなかに紛れ込んだロミオは棺台に横たわっているジュリエットに近づき愕然とする。 
ロミオの嘆きのソロ。 肩倒立などの?というような振付もあったけれど、足を高く突き上げ、床を転げ回り、激しく踊る様にロミオのやり場のない悲しみや無念さなど様々な感情が感じられて、ここでのコリパエフは良かったです。 そして死を決意してジュリエットに口づけし、傍らで毒を呷り絶命する。
ほどなく目を覚ますジュリエット。 目覚めと新しい人生を与えられた事を実感するように深く呼吸をし、ロミオを捜し霊廟の中を走り回る。 棺台の下の階段に頭を下に仰向けに倒れているロミオを発見し、こぼれるような笑みで(逆さに倒れていれば、変だと気づくに違いないとは思うものの、これも演出なので仕方がないのでしょうかね? ま、暗がりの中、少し離れた所で見つければ分からないか?!)夢中で駆け寄りロミオを抱きしめるジュリエットの表情が凍りつく。 ロミオの亡骸を揺さぶり泣き崩れるジュリエット。 そしてロミオの短刀を手に取り迷う事無く胸を一突きにしロミオに重なるようにゆっくりと崩れ落ちていく。 
事の顛末と二人の本当の死を知らされた両家の人々は折り重なった二人の遺体を前に悲しみに打ちひしがれる。


                         - 幕 -


上演時間が休憩20分を含めて2時間ちょっと(ピーテルでの上演よりダンサーの人数が少ないので若干変更して短くしていると聞きましたが)という今回のヴィノグラードフ版は、物語や感情の機微を繊細に描写したつくりではないので、シェイクスピアの原作を脳内補足し、プロコフィエフの素晴らしい音楽、美しく悲しい旋律の助けを得ても、感動に浸りきれない部分がありました。 踊りまくり路線はこのままに、せめて二人の出会いの場、別れのPDDや最後のジュリエットの自害の場面はもう少し丁寧に描いたらどうだろう? キャピュレット候のあの激しさも、家長の強さ、名家に生まれた者の宿命を代弁するためなのかもしれませんが、あの鞭はどうなんだろうな(苦笑)。 なにせ、初めて見たときはあまりにびっくりしたもんで・・・。
ただ、この新作を手がけた2008年頃というのは、劇場が上演作品の短縮化(2時間くらいが好ましい)を推進しようとしていたように記憶していますが、オリジナル(と言ってもヴィノグラードフは1965年、76年、98年と3度も手がけているようなので比べる事に意味はないですね・・・)もこんな感じでけっこう独創的で短かったんでしょうかねぇ?
主役二人については、役作り的にも技術的にもお互い違うパートナーの方がいいだろうなと。 コリパエフはかなり華奢なので、今の体型だとリフト満載の振付作品でペレンレベルの身長のダンサーと組むのはきついだろうと思います。 ヤパーロワちゃんあたりだと、もっとリフトも楽々できるはずだし。
ま、そんなこんな、突っ込みどころは多すぎる作品でしたが、プレミア後もレパートリーとして定着しているこの作品を日本に持って来て披露してくれたのは良かったと思います。



ジュリエット: イリーナ・ペレン
ロミオ: ニコライ・コリパエフ
パリス: リシャート・ユルバリソフ
ティボルト: アレクサンドル・オマール
マキューシオ: ニコライ・アルジャエフ
生: ユリア・バラグロワ
死: エレーナ・イヴォルギナ
キャピュレット: ウラジミール・ツァル
キャピュレット夫人: アンナ・ノヴォショーロワ
モンタギュー: イリヤ・アルヒプツォフ
ヴェローナの領主: アレクセイ・マラーホフ
ロレンス神父: キリル・ミャスニコフ
ジュリエットの友人: ダリア・エリマコワ、マリア・グルホワ、ユリア・カミロワ、ヴィクトリア・ザリポワ
ロミオの友人: アンドレイ・マスロボエフ、マクシム・ポドショーノフ、ニキータ・クリギン、パーヴェル・ヴィノグラードフ
隊長: アレクセイ・クズネツォフ、デニス・トルマチョフ
タランテラ: オリガ・セミョーノワ
指揮:パーヴェル・ブベルニコフ
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マールイ「ロミオとジュリエット」 12月8日の感想<1幕>
2010/12/22(Wed)
マールイのヴィノグラードフ版「ロミオとジュリエット」は2年前にペテルブルグでのプレミアをペレン&マスロボエフ、ヤパーロワ&チュージン(当時ゲストプリンシパル、現ダンチェンコ)で見ているのだけれど、初回はペテルブルグのミハイロフスキー劇場で観劇するという事に舞い上がっていたり、ペレンのジュリエットが心配だったり(笑)、2回目は1幕立ち見で半分くらい舞台が見えなかったり・・・と余裕を持った鑑賞ができなかったので、今回初めてじっくり見ることができたように思います。 


<1幕>
なんで前奏曲が「アルハンブラ宮殿の思い出」なのかは依然としてさっぱり分からず。
幕が上がると主人公をはじめ登場人物たちが思い思いのポーズで静止している。 さながら1枚の絵画のようだ。 人々がキャピュレット対モンテギューと両脇に分かれると、キャピュレット候とモンテギュー候が剣を構えて睨み合う。 一触即発な広場にヴェローナの領主が現れ剣を収めさせる。 いや、マラーホフさん、威厳があってかっこいいです。 初演の時にはヴェローナ候の登場は他の版と同じようにもう少し後だったので、びっくりしました。

メタリックゴールド基調の衣装のキャピュレット家とシルバー基調のモンテギュー家の若者たちの挑発の踊り。 それぞれ10人プラス隊長かな? え~、あまりにバラバラじゃないですかね・・・。 きちんと隊列組んでるんだからそれなりに揃えてもらわないと・・・。 エスカレートした彼らはついに剣を取り争いだす。 あっと言う間に刺されて息絶えたモンテギュー側隊長のトルマチョフが床にころがったままなので、他のダンサーたちに踏まれるんじゃないかとちょいと心配だった(笑)。
ティボルトとモンテギューの一人との差し勝負は激しく動き飛び跳ねながら剣を合わせていてなかなかハードな振り。 オマールのティボルトの血の気が多くて不敵っぷりがなかなかで、動きにも切れがあって良かったです。 
で、びっくりだったのがその後に現れた両家の父・・・。 刃渡り1メートルもあろうかというぶっとい剣での闘いはまるでスローモーションを見るようでした。 重いよね・・・。 
騒ぎを聞きつけ腹立たしそうな顔で現れたヴェローナ候が二人の間にわって入り両家を諌め、広場から追い出す。

そんな街の人々の様子に心を痛めるロレンス神父の踊り。 立ち姿や差し出す腕の動きが綺麗です。 往年のプリンス、ミャスニコフも普通の神父さんが普通に似合うようになりまして、今後はこういうポジションで舞台に立ち続けるのでしょうね。

ロミオ、マキューシオ、ロミオの友人4人がやってくる。 でもやっぱり、そこだけ空気がほわ~~んとしちゃうのがロミオというよりコリパエフなんだよな・・・。 友人のなかにマスロボエフがいますが、正直、この日のロミオ役は演技がしっかりできてペレン@ジュリエットを正面から受け止められるマスロボエフに演じて欲しかった。 友人4人の踊りはそれぞれ安定していてアントルシャも美しく決まって良かったです。 
キャピュレット家で行われる舞踏会に忍び込むべく各々仮面を選んで、いざ!

登場のペレン、2年前にペテルブルグのプレミアを見たときには幼さというか少女っぽさを表現しようと意識していたように思うけれど、今回はあえて工夫はせずに10代もそろそろ終わりのちょっと分別のある娘を自然体でいっている感じ。 縄跳び、2回くらいで止めちゃったな(笑)。
キャピュレット夫妻の登場。 分かっていてもすご・・・と思ってしまうこの衣装。 ジュリエットに婚約者のパリスを紹介する。 婚約者の意味も分からずというよりは、とりあえず、両家の子女としてのたしなみ的な笑顔を向けるジュリエット。 両親に両腕を取られ挟まれるようにして踊るジュリエットの表情が次第に困惑気味に。 何か自由が奪われていくと言うような意味なのか? パリスがジュリエットのデコルテに手のひらをつけるのも何なのだろう? あなたはもうただの少女ではないのです・・・って感じ?

キャピュレット家の人々の踊り。 クランコのクッションダンスは美しく素晴らしいけど、こちらはキャピュレット夫妻の間にティボルトが入り、大勢を従えた力強い踊り。 ここはノヴォショーロワさんが圧巻でした。 権勢を誇る家の女主人らしい貫禄と女も盛りの色気のようなものがあって素晴らしい。 スリットから覗く脚もセクシーです。 男性も女性も被り物が立派で重そうで、ここの踊りは何気に大変なんでしょうね。 オマールはここではちょっと体格負けしている感じ。 彼は細いですよね。 あ~~、やっぱりカシャネンコでも見たかった~~(悲)。 めっちゃくちゃかっこよかったんですよ。 彼のここの踊りは!! 
続いてお披露目となるジュリエットとパリスの踊り。 二人にむかってキンキラキンの紙ふぶきがかけられる。 綺麗だけど、足元がすべりそうで危ないよ・・・。 ジュリエットはまだそれほどパリスを嫌がる様子もない。 イタリアンフェッテのような振りからそのままピルエットというジュリエットのソロはとても難しそうなのにあんなに紙ふぶきが撒き散らされていて、見ているこちらが恐くなる。 ペレンの脚は強靭だ・・・。

仮面をつけたロミオたちが紛れ込んでくる。 が、ロミオがジュリエットに目を奪われた瞬間を見逃してしまった。 というかイマイチよく分からなかったんだよな。 立て込んでいる舞踏会場で人に揉まれているうちに出会い、その瞬間にお互いに心奪われ、本能の導くままに手を取り合い踊りだす。 左右対称な二人の動きがやがて一つに重なって行く出会いの喜びの踊りだけれど、二人のラインが微妙にずれていた。 その後は語り合う事に夢中で床に座り込んでお絵かき状態??? その様子に困惑しながらのパリスのソロ。 ユリバリソフの長い手足の動きは優雅ですが、ここの振りがヴィノグラードフからボヤルチコフへの自然な流れを感じさせるような微妙な振付。 ドロッセルマイヤーの難解な動きに通じるものがあったんだよな。 

温くなった空気を一変させるかのようなティボルトとマキューシオの剣舞。 冒頭の踊りよりさらに白熱した飛んで跳ねて剣を合わせてで、一つタイミングを外すと怪我をしそうな踊りです。 殺気だったティボルトとおちゃらけたマキューシオの対比が印象的。 ジュリエットの友人たちとロミオの友人たちとの踊りを経て、ロミオ、ティボルト、パリス、マキューシオという悲運を辿る4人が手を繋いだシニカルなダンス。   

正体がばれそうになりキャピュレット家を後にするロミオたち。 コリパエフのロミオはすでにポォ~っとして一人夢の世界に入り込んでしまったような。 いいんだか悪いんだか・・・。 こちらも夢見心地なジュリエットはティボルトにあの男はにっくきモンテギューのロミオだと告げられショックを隠せない。 ペレン、演技はとても上手くなっているけれど、驚きの表現は要研究。 

バルコニーの場。 
回廊の一階部分だけを残してその上をバルコニーに見立てている。 この作品はこのアーチ型の回廊をうまく組み合わせて効果的に背景を演出し、場面転換もスピーディーなのが見事。 その一階の回廊ではティボルト率いる家臣たちが、まだモンテギューたちが忍び込んでいるのではないかとランプを手に巡回警戒中。 ロミオは急いで柱の影に隠れる。 この演出、とっても気に入ってます! 満点の星空のもと、虫の鳴き声まで聞かせてくれるのもこの版くらいだろうなぁ(笑)。    
隠し切れない恋の喜びを伸びやかな手足の優雅な動きに乗せて表すジュリエット。 ただ、なぜここでジュリエットがロミオに気づく演出がないのかは素朴な疑問。 ペレンが忘れたのかとも思ったけれど、翌日のヤパーロワちゃんも同じだったのでそういう演出なのだと。
ロミオのソロ。 コリパエフの脚のラインは綺麗だけれど、自分の好みとしては華奢に思えるのでもうちょっと筋肉がつくといいな。 ジャンプは高くて柔らかくマネージュもスピードがあって良かったです。 それでもなんつーかこの人から疾走感というようなものが感じられないのは困ったものだけれど、瑞々しさは十分に感じられました。 回廊を走ってくるジュリエット。 高ぶる感情そのままの勢いで踊るペレンについていくのが精一杯な感じのコリパエフだったなぁ。 リフトもアクロバティックで複雑な動きが多くて大変だと思うけれど、この振りを旋律に乗せて流麗な動きで見せないと逆効果になるので、二人に同等の力量が要求されるところですね。 振付の問題なのか二人の問題なのか、ドラマティックな感情の盛り上がりにはやや欠けるPDDでした。 ジュリエットがバルコニーに戻るのも踊りの延長で走り去ってしまうだけだし。 一人柱に手をやるコリパエフからは、「僕恋に落ちちゃった。ルン♪」というようなふきだしが見えるようだったし。 ま、最後は二人手を伸ばし合いお互いを求め、愛を誓い合っての幕でしたが。 ペレンのロミオにはもう少し男臭いか包容力があるダンサーが合うだろうな。 
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マールイ「くるみ割り人形」 12月12日の感想
2010/12/13(Mon)
<1幕>
ミリツェワのマーシャを見るのは初めてですが、元気いっぱいキラキラな女の子という感じで良かったです。 マールイで彼女ほど目の表情が豊かなバレリーナもいないだろうな。 クリスマスプレゼントにもらったドレスを気に入って、他の女の子たちに、このドレス新しいのよ、素敵でしょ! でもあなたのもいいわね!とやっているミリツェワがとても可愛かった。

フリッツのトルマチョフ、やんちゃないたずら坊主をひたすら楽しそうに演じてました。 いつまでも若いなぁ。 男の子たちの中にいたニキータ、最近ようやくどこに出ていても顔が分かるようになった。 こちらも楽しそうでしたね!

お父さんはマラト。 マラトが真ん中にいるといつもそこを頂点に見えない鋭角な三角形という空間が出来上がるのだけれど、今回は来客の男性役でかなり長身のダンサーが数名いたためマラトが傑出したでかさに見えなかった。 けっこうな驚き(笑)。 マラト父は置時計と自分の時計の時間を確認してみたり、来客と談笑してみたり(ツァルと楽しそうだったな)と小芝居も念入りに。 今日くらいの演技だととってもいいです!

ドロッセルマイヤーはマラーホフさん。 フリッツに壊されたくるみ割り人形を治す時の念の入った点検、これで良し!となった時の優しい顔が印象的でした。 エレガントで手足の動きが美しくというのはいつも通りでしたが、今回踊り自体がとても大きく見えました。 全身でのムーブメントも大きいし、ちょっとしたジャンプの飛距離も長いような・・・。 それがとても自然に見えるというのは気持ちも体も乗っているという事なんでしょうね。 幕が上がる前の幕前の踊りが終わり、上手にはけて行くときの足の運びが最後まで凄く綺麗だった(笑)。 恐いですよね~。 日本のマールイファン、こんなところまで見てるんだから!(爆)

くるみ割り人形のクズネツォフ。 見るたびに上手くなってます。 ピルエットも綺麗だったし、あの人形の足のままのアントルシャも軽々こなしてましたものね。 

ねずみのヴェンちゃん、ノリノリ。 気合が入りすぎてる事もなく、いい感じでノリノリ。 ねずみの王様の踊りもけっこうきついと思いますが、終始ラインが綺麗でした。 

コロンビーナのドミトリエンコも回転など軸がしっかりしていて上手いダンサーですね。 去年も見てたのにな・・・。 今後ちょっと注目。 ピエロのヴィノグラードフもジャンプも高く安定していて、この人も去年より上手くなっているんじゃないかな?

そして、よ~やく登場の王子シヴァコフ! 去年は眠りの4人の王子と白鳥トロワでしか見られなかったので、マールイでの主演は2年ぶり。 なんだかなぁぁぁ。 体はそこそこ絞れていたように思いますが、出だしはラインが温かったかも。 普段あまり組まない相手だからか回転系のサポートが辛そうで若干必死な目。 そのせいかどうかは分かりませんが、息切れ気味な表情が気になりました。 熱でもあるのかと思った。 一方ミリツェワは歯切れの良い踊りでしたが、左足に故障でもあるのか、左が軸になった回転は不安定。 

雪の場のコール・ドはそこそこ揃っていて、全員並んだところは綺麗だったな。
 

<2幕>
スペインのユリバリソフはマラトくらいの長身ダンサーですが、長身ダンサー特有のもったり感もなく、綺麗な踊りの爽やかなスペインでした。 こちらも今後注目だな。 新卒のザパスニコワはチーカやエリマコワのいかにも新卒というようなピチピチ感はなくて大人びた顔立ちで落ち着いている。 

中国の踊りのアレクサンドル・ガヴリシは初見(多分)。 幕間でキャスト表をチェックした時、アレクサンドルまで見てオマールだと勝手に決め込んでいたのですが、アレレ同じように濃いけどちょっと違うぞと思って慌ててその場でキャスト表を見直しました。 いや、なかなかシャープな踊りで良かったです。 さらにこちらも今後要チェック。

アラビアはしっとりとしたセミョーノワが良かった。 彼女のこの役も見るのは初めてじゃないけど、ドミトリエンコ同様、確実に上手くなっているのでしょうね。 

パストラルのラプシャーノフも弾力のあるジャンプが目を引き、今年のくるみ割り人形は期待できるかなという感じでした。

花ワル、まぁしかし、男女共にコール・ドのスタイルが本当に良くなりましたね。 4人のワルツではほとんどオーリャとプーちゃんカップルしか見ていませんでした。 眼福。  
続くGPDD。 ワルツの男性4人では、やはりプハチョフの佇まいの美しさに目がいきます。 立ち姿だけでなんでこんなに差が出るのかと思いますが、後はマスロボエフ、モロゾフ、コリパエフの順になってしまうのですよね。 頭のてっぺんから爪先まで神経が行き届いているかいないか・・・、そんな風に単純に言い表せる事ではないと思うけれど、それがこのGPDDでの踊りに現れていたように思います。 (ここに来てアンドレイ禁断症状が・・・。 ヤフニュークの美しいライン、早く見たいよぉ・・・)
ミリツェワは1幕よりは左足の危なげない感じはなかったと。 主役らしい輝きがあって良かったです。 シヴァも1幕よりは動きが良くなって、熱でもあるんじゃ?という思いはなくなりましたが、やはり息があがってる。 怪我からの主演復帰に約半年かかったようですが、まだ体力的に戻り方が不十分なのかな? それじゃぁラウレンシアは無理だよなぁ・・・。 踊りの切れという点ではいま一つ二つでしたが、高さとスピードがあるマネージュは綺麗でした。 

まだロミジュリ2回とこのくるみの3回だけですが、オケはいいようです。 ブベルニコフさんもボグダーノフさんもそういうスタイルの指揮者には見えませんが、相変わらず炸裂・爆演ぎみで、アニちゃんの血が騒いでいるような・・・。 いい演奏を聴きながらバレエを見られると言うのは本当に幸せですね♪ 





マーシャ : タチアナ・ミリツェワ
王子 : ミハイル・シヴァコフ
ドロッセルマイヤー : アレクセイ・マラーホフ
くるみ割り人形 : アレクセイ・クズネツォフ
フリッツ : デニス・トルマチョフ
父 : マラト・シェミウノフ
母 : オリガ・セミョーノワ 
ねずみの王様 : ミハイル・ヴェンシコフ
コロンビーナ : マリア・ドミトリエンコ
ピエロ : パーヴェル・ヴィノグラードフ
スペイン人形 : ワレーニア・ザパスニコワ、リシャート・ユリバリソフ
中国の人形 : ユリア・チーカ、アレクサンドル・ガヴリシ
アラビアの人形 : オリガ・セミョーノワ、
            オリガ・ラブリネンコ、ズヴェズダナ・マルチナ、クセーニャ・ルシーナ、エレーナ・スヒーフ
パストラル : ナタリア・クズメンコ、エレーナ・シリャコワ、アンドレイ・ラプシャーノフ
トレパック : ナタリア・パルフョーノワ、アンナ・スーホワ、ニコライ・アルジェエフ、ドミトリー・クドリャーフツェフ
ワルツ : オリガ・ステパノワ、ダリア・エリマコワ、マリア・グルホワ、ユリア・カミロワ
       アルテム・プハチョフ、ニコライ・コリパエフ、アンドレイ・マスロボエフ、デニス・モロゾフ

指揮 : ヴァレンティン・ボグダーノフ

 
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新国立劇場「シンデレラ」 12月1日の感想
2010/12/02(Thu)
昨日は新国立劇場に「シンデレラ」を見に行って来ました。 ちょっと早めに行って一階のシアターショップを覗こうと6時前に新宿に着いたら京王線が人身事故でストップ。 動き出すのをあの人混みの中で待って、さらにギュウギュウ詰めの電車に乗るのはやだなぁと思い、甲州街道をひたすら真っ直ぐ歩いて劇場まで行きました。 都庁から新宿駅へ押し寄せるように向かってくる人の流れに逆行するのは何気に大変で・・・。 楽器を持ったオケの方もいて気の毒だなぁと。

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劇場の入り口でサンタクロース姿の方たちに出迎えられましたが、「いらっしゃいませ、こんばんは。」という言葉にファーストフード店を連想してしまう自分が情けなく・・・。 
ツリーやライトでさらにクリスマス気分がアップ。 大きなクリスマスツリーの前にはシンデレラの衣装をつけた人形が置かれ、その隣に立って記念撮影ができるという趣向が凝らされていました。 子供たちは大喜びですね!

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さいとう美帆さんの主演を見るのは初めてです。 彼女のシンデレラというと、前回2008年の公演で代役の代役で超ハードスケジュールな公演を見事に務めたというのが記憶に新しいですが、その時の大変な経験がしっかり実を結んでいる感じで、とても素敵なシンデレラでした。
彼女のシンデレラは、姉たちのように好き勝手に過ごせなくても少々こき使われても、めげる事なく明るくまっすぐ前を向いて生きている女の子。 可憐で健気というより、カラッと生き生きしているシンデレラと言い表したくなるのはちょっと変だけれど、音楽に乗ったテンポの良い軽快な踊りがそういう快活な印象を与えたのかもしれない。 膝から下の足の動きの表現力がとても豊かで、ちょっとフレックスにしたりする足先の細かい動きも流れるようで見事だった。 身体ばかりでなく顔の表情もとても豊かで、自分のシンデレラがきちんと出来上がっている感じだった。

本日のお目当てはマイレン王子だけれど、第2のお目当ては仙女の川村さん。 たおやかな身のこなしに温かみ溢れる彼女の雰囲気にこの役はぴったり。 四季の精を呼び出して踊らせ、シンデレラに魔法をかける事のできる特別な妖精というのも納得のキラキラ感もいい。 ニキヤが見られないのがひっじょ~~に悔しい・・・。

四季の精はそれぞれに良く踊っていたと思うけれど、夏は振りがつまらないのかちょっと退屈。 秋を踊った米沢さんは初見。 メリハリがあってポーズが綺麗に決まっていて良かった。 パ・ド・シャみたいな空中両足プリエが速い動きの中に入れられていたりして、毎回見るたびに大変だよな・・・と思う星の精たちの踊り。 大柄なダンサーがいないのも当然だと思える。

前回西山さんを乗せて暴走&曲がりきれずに転倒した馬車、今回はゆっくり目に走っていて安心しました。

身のこなしが優雅でプリンス然としているマイレンの王子。 ふわっとしたジャンプに指先足先まで神経の行き届いた美しさはいつもどおりで、もっともっと踊っていてよと思ってしまう。 シンデレラ登場で、シンデレラがじっと前を見たまま階段を下りてくるシーンでは、優しくさいとうさんの腕を取りながら視線はさり気なく彼女の足元に注がれる。 このシーン、ポアントで自分の足元が見られない状態で階段を下りる女性ダンサーは本当に怖いと思うのですよね・・・。 二人して大緊張のシーンではないだろうか?
二人の踊りもとても良かった。 さいとうさんのソロではピケやシェネ(だったと・・・)を繰り返してステージを2周くらいするのだけれど、速度が落ちる事なく綺麗に回っていたと思います。 さいとうさんも姫の輝きがあったけれど、シンデレラの初々しい輝きとは違う、生まれながらに備わっているような気品と落ち着きで彼女を優しくエスコートしながら次第に高まるシンデレラへの気持ちを確信していくようなマイレン王子の表情が印象的だった。 一方さいとうさんは1幕と比べるとお人形チックな目パッチリでの表現がやや平坦だったようにも思う。

アクリさんと堀さんの意地悪姉コンビは久しぶり。 とても息が合っていて細かい芝居もタイミングを外さない。 オレンジを持って二人で腕を組んでバッタバッタと走り回るところはいつ見ても楽しいし、なんだかんだ悪ふざけしながらもお互い想いの良い姉妹。  それに、以前よりシンデレラに対する陰険さも少なくなったような気がする。 だから1幕のさいとうさんが明るく生き生きしていてもその辺のバランスは取れているんだよね。  3幕でのシンデレラとの別れのシーンなんてちょっとほろっときてしまったくらいだし。   

4人の王子もレベルが高く、安定していました。 Kバレエで主役をはっていた芳賀さんと輪島さんがこういうポジションで一緒に新国で踊っているのを見るのもちょっと不思議な感じですが、今後もどんどん活躍して欲しいです。

お久しぶりなバリノフ君の道化、最初の開脚ジャンプの柔らかさと高さは流石でした。 たまにピルエットの軸が傾いたりはしたけれど、テクニック的に難しそうで体力的にもきつそうな役を茶目っけたっぷりにこなしていたと思います。

ナポレオンとウェリントンの芝居がもうちょっとこなれて自然になれば言う事ないのですが、こればかりはねぇぇぇ。 でもウェリントンのくしゃみのタイミングだけは外してくれるなよ!

ラストシーン、キラキラでまばゆいほどの仙女に見守られながら、幸せの高みへと一歩一歩階段を登って行くシンデレラと王子の姿には、見ているこちらも心安らいで優しい気持ちになりますねぇ。 
先日のペンギン・カフェや火の鳥のような新しい作品に貪欲にチャレンジする姿も立派ですが、この作品のように回数を重ねバレエ団として自信を持って臨んでいる姿を見られるのも嬉しい事だと感じました。



シンデレラ    さいとう美帆
王子       マイレン・トレウバエフ
義理の姉たち  マシモ・アクリ、堀 登
仙女       川村真樹 
父親       石井四郎
ダンス教師   吉本泰久
春の精      丸尾孝子
夏の精      本島美和
秋の精      米沢唯
冬の精      寺田亜沙子
道化       グリゴリー・バリノフ
ナポレオン    八幡顕光
ウェリントン    小笠原一真
王子の友人   芳賀望、江本 拓、菅野英男、輪島拓也
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モーリス・ベジャール・バレエ団 「80分間世界一周」
2010/11/11(Thu)
久々のベジャールバレエでした。
映画のタイトルにかけたにせよ、80分間というからには休憩無しの80分なんだろうと思いきや、初日のキャスト表を見て実際は95分のプロダクションと分かりちとびびる。 映画なら予告を入れれば3時間近く平気で座りっぱなしでも、バレエで休憩無しの95分と言われると、なんとなく緊張するものがありますよね(映画ならよんどころない事情で席をたっても戻って来れるしね・・・)。 

エリザベット・ロスとジュリアン・ファブローの二人はやはり群を抜いてというか別格のものがありますね。 身体で語る際の雄弁さと言うのか、ベジャールの身体言語が浸み込んでいるという事なのでしょうか。 男性ダンサー全体の印象として強く残ったのは、鋼のような強さを見せたかと思うと鞭のようにしなやかで美しい腕の動き。  腕の稼動範囲は360度っぽいので肩周りも強靭な感じです。
気に入った作品はパルジファルで、クラシック的な要素もありながら身体能力を必要とするアクロバティックな振りも多く、シャルキナとシャコンの息もぴったりで素晴らしかったと思います。 シャルキナはキエフバレエ出身なんですね~。 納得。 モスクワ出身で脚の動きが綺麗なイワノワもとても上手いダンサーですが、なかなかにでかい! 
で、個人的に目がいったコール・ドの女の子、長身で細身な彼女はポリーヌ・ヴォワザールかなぁ? 1988年スイス生まれで2008年に入団したばかりのまだまだ若い女の子です。
お、そうだ! インドの音楽が口タブラっぽかったなー。 ウィルコムのCMを思い出しました(笑)。


I. イントロダクション :男性全員
旅人 :マルコ・メレンダ

II. セネガル
ソロ :リズ・ロペス
パ・ド・ドゥ :ダリア・イワノワ、ダヴィッド・クピンスキー

III. サハラ
パ・ド・シス :ジュアン・プリド、ヴァランタン・ルヴラン、ホアン・サンチェス、
        ダニエル・サラビア・オケンド、ガブリエル・アレナス・ルイーズ、エクトール・ナヴァロ

IV. エジプト :ジュリアン・ファヴロー

V. ギリシャ :女性全員
マヌーラ・ムウ :リザ・カノ

VI. ヴェネツィア
七つの色 :大貫真幹、ガブリエル・アレナス・ルイーズ、エクトール・ナヴァロ、ウィンテン・ギリアムス、
      ローレンス・ダグラス・リグ、ダニエル・サラビア・オケンド、ヴァランタン・ルヴラン
ライト :エリザベット・ロス
恋する兵士 :那須野圭右

VII. ウィーン
美しく青きドナウ :フロランス・ルルー=コルノ、ポール・クノブロック、カンパニー全員
エジプト王タモス :ジル・ロマン

VIII. パルジファル :カテリーナ・シャルキナ、オスカー・シャコン

IX. インド :那須野圭右、ガブリエル・アレナス・ルイーズ、ヴァランタン・ルヴラン
       男性全員

X. アレポ :ルイザ・ディアス=ゴンザレス、ポール・クノブロック、
       マーシャ・アントワネット・ロドリゲス、フェリペ・ロシャ

XI. 中国 
ソロ :オアナ・コジョカル
パ・ド・ドゥ :エリザベット・ロス、ジュリアン・ファヴロー

XII. 北極 :男性全員

XIII. サンフランシスコ
タップ・ダンス :ダリア・イワノワ、カテリーナ・シャルキナ、リザ・カノ、女性全員
ハムレット(デューク・エリントン) :ジュリオ・アロザレーナ

XIV. パ・ド・シス :エリザベット・ロス、カテリーナ・シャルキナ、ダリア・イワノワ
          ジュリアン・ファヴロー、ドメニコ・ルヴレ、ポール・クノブロック

XV. アンデス
ソロ :ダヴィッド・クピンスキー

XVI. ブラジル
バトゥカーダ :那須野圭右、ガブリエル・アレナス・ルイーズ、ダヴィッド・クピンスキー、
         ポール・クノブロック、オスカー・シャコン、カテリーナ・シャルキナ、ダリア・イワノワ、
         エリザベット・ロス、ジュリアン・ファヴロー、カンパニー全員



【演奏】
パーカッション:チェリ・オシュタテール&ジャン=ブリュノ・メイエ(シティ・パーカッション)
キーボード&トランペット:イリア・シュコルニク

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新国立劇場 ビントレーのペンギン・カフェ 11月2日の感想
2010/11/07(Sun)
<火の鳥>
振付: ミハイル・フォーキン 音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
火の鳥: 川村真樹
イワン王子: 福岡雄大
王女ツァレヴナ: 湯川麻美子
魔王カスチェイ: 古川和則


「火の鳥」はキーロフのDVD(ヴィシニョーワ主演)を見た事があるだけですが、舞台装置のテイストが違うだけでなく、一夜の出来事的にステージが暗かったキーロフとは違い、新国立の舞台は明るいです。 衣装やセットの美しさが引き立ちますが、闇に覆われた世界での神秘性やおどろおどろしさみたいなものはあまりなかったですね。

タイトルロールの川村さん、持ち前のたおやかさとエレガンスは若干抑え目に、鳥独特な動きを意識した?シャープな動きを強調していたような。 ラインは美しいし、不調という感じは受けなかったけれど、特に際立つものがなかったかな。 ボリショイ&マリインスキーの余韻のせいかもしれませんが・・・。 
福岡さんは初見。 衣装と帽子(キーロフの衣装とはずい分違う)のせいか、庶民的王子というか、普通の好奇心旺盛な若者に見える。 火の鳥を捕まえてからの二人のPDDは悪くはなかったけれど、川村さんの身長には福岡さんはちょっと低くてバランスが良くない感じ。 囚われの火の鳥の表情が嫌そうにも辛そうにも見えて、ここはもうちょっと芯が強そうで全然怯んでいないのが好みだな・・・って今度はヴィシの刷り込みか? 

湯川さんが王女(女王ならすんなり納得なんだけど)というのは、ちょっと意外な気がしたのだけれど、他の王女たち(プログラムの解説を読む前まで、12人の侍女たちだと思ってました・・・)とは違う存在という感じはよく出ていて、純心可憐な役作りもけっこう自然に見えましたが、今度は福岡さんがやたら子供っぽく見えちゃうんだよな。

夜明けが近づき城に戻らなければならない王女から城に入ってきては駄目と警告されたのにも関わらず、城門を開け王女を追う決心をした王子(というより、いけない!と言われた事をしてみたい!!という顔にも見えました・笑)。 門を開けたとたんに下手から発せられた強烈な白い照明の光が凄かったです。 まさに開けてはいけないものを開けてしまった感じ。 
魔王カスチェイは古川さん。 すんごいメイクに付け鼻なので識別不可ですが、マイムがきちんと音楽と合っていたし(キーロフのカスチェイは出だしの手の動きが音楽とずれてしまっていて間が抜けた感じなんです)、嫌~な感じも出せていてなかなかの好演だったと思います。 
カスチェイの魔法で石に変えられそうになった王子が取り出した羽根の合図で再び姿を現した火の鳥。 魔物たちを疲れ果てるまで踊らせるのだけれど、火の鳥が彼らを操っているという魔力があまり感じられなく舞台を仕切るインパクトが弱かった。
踊りに興じるカスチェイの手下の魔物たちは、衣装がターキッシュだったり、コサックだったり、妖怪っぽかったりとヴァラエティーに富んでましたね。 メインだったようなコサックの踊りでは吉本さんや八幡さんのキレのある踊りが良かった。 

魔物たちが寝てしまった隙に王子が見つけ出したカスチェイの卵(でか過ぎ!)を割り、カスチェイは死に、魔法がとけて囚われの者は元の人間の姿に戻り、王子と王女はめでたく結婚式をあげ、The End.

フィナーレの盛り上がりがイマイチ欠ける作品だし、火の鳥と王子にもクラシックバレエ的な見せ場がさほどないので、もう一度見たいかと言われればそうでもないのですが、どんな作品でもきちんとしたパフォーマンスに仕上げてくる新国立劇場のダンサーたちにはいつもながら感心しました。



<シンフォニー・イン・C>
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ジョルジュ・ビゼー
第1楽章 長田佳世 福岡雄大
       西山裕子、大和雅美、福田圭吾、小柴富久修
第2楽章 小野絢子 冨川祐樹
       細田千晶、川口藍、澤田展生、田中俊太郎
第3楽章 酒井はな 芳賀 望
     寺島まゆみ、寺田亜沙子、グリゴリー・バリノフ、野崎哲也
第4楽章 本島美和 マイレン・トレウバエフ
       さいとう美帆、高橋有里、アンダーシュ・ハンマル、原健太

シンフォニー・イン・Cは初めてなので、Ballet.co Gallerriesで見た2009年のマリインカのロンドン公演の写真がどのように展開されるのか、わくわくしながら幕が上がるのを待ちました。 マリインスキーは男性ソリストもコリフェも白いタイツで楽章によって衣装の色が違うのに、新国立の男性は全員が上下黒、女性は白のチュチュで予想とは違いましたが、シンプルで清清しい美しさ。 

第1楽章の福岡さん、イワン王子より全然いい(踊りじゃなくて、雰囲気ね)。 すっきりと伸びた上半身が美しく、踊りのラインもとても綺麗でしなやか。 伸びやかな跳躍で開いた足もとっても綺麗だし、イワン王子でなんだぁ・・・と思ってしまいましたが、いやー、とっても良いダンサーですねー。  川村さん相手だと身長が足りないけれど、長田さんとならバランス的にも合ってるし、今度は踊るノーブルプリンスで見たいです! 長田さんも、長い手で描く軌跡が綺麗でニュアンスのつけ方が上手く、ほとんど会場に足を運ばないKバレエから新国に移籍してくれて良かったなと。 西山さんと大和さんも手堅くきっちり見せてくれて、とっても充実のパートでした。 

第2楽章の小野さんは音楽性に優れていますね。 アダージョのゆったりしたリズムながらポーズからポーズへの切り替えが小気味好く、見ていて気持ち良い。 ここのコール・ドはかなり長身のバレリーナを集めているので、小野さんが多分一番小さいのではないかと思うけれど、堂々としていて大きく見えるし最後には風格のようなものまで感じさせてくれました。  富川さんはサポートは良かったけれど、自分の踊りに関しては少し余裕がなかったかも。

第3楽章のはなさん、最後に見たのが何時だったか思い出せないほど久しぶりだったのだけれど、最近のバレリーナたちを見慣れてしまうと、踊り、スタイルともにやはり一昔前の・・・という感じに思えてしまう。 吸引力はあると思うし時々ハッとするような瞬間もあるのだけれど、圧倒的なオーラはなかったなぁ。 どうしても自分の目は、ご贔屓のまゆみさんのキレのある溌剌とした踊りに奪われがちだったのだけれど、この楽章、まゆみさんがプリンシパルの日があっても良かったのに。 芳賀さんも良く踊っていたと思うけれど、腕や足がいまひとつ伸びきらず、あまりクラシックのポーズが綺麗でないと言うか・・・。 第3楽章って1,2と比べると短めですね。

第4楽章でようやくマイレン登場。 いつもと変わらぬ美しいラインだけれど、見せ場が少なくて物足りない! 本島さん、なんだろうな? 両脇のさいとうさんと高橋さんの方が踊りにメリハリがあって上手く見えてしまいます。 

4楽章もグループでの踊りは短めで、いったん袖に下がり(だったと思います)、1楽章からユニット単位で再び現れて、最後は全員での大団円に。 4ユニットのプリンシパル、コリフェカップルにコール・ドが勢ぞろいするとなかなか壮観な眺めです。 最前列でプリンシパルカップルが横並びになっての踊りでは小野さんの旋律に乗った踊りが見事でした。 フィナーレで4組がもっと綺麗に揃っていればもっと見応えがあったように思いますが、本島さんがかなり遅れていたのがやや残念です。 それでも、この作品、新国立劇場には合った作品だと思うので、もっと頻繁に上演して欲しいと思います。 できれば寺島ひろみさんにも踊ってもらって。 オール・バランシン・プログラムを組むのもいいかもしれないし、シーズン始めではなく、コール・ドがさらに揃うようになる(期待してます)シーズン半ば以降がいいですね! 



<ペンギン・カフェ>
振付:デヴィッド・ビントレー 音楽:サイモン・ジェフス
ペンギン: さいとう美帆
ユタのオオツノヒツジ: 湯川麻美子、マイレン・トレウバエフ
テキサスのカンガルーネズミ: 八幡顕光
豚鼻スカンクにつくのみ: 高橋有里
ケープヤマシマウマ: 芳賀望
ブラジルのウーリーモンキー: 福岡雄大
熱帯雨林の家族: 本島美和、貝川鐵夫、田中雛羽


幕が上がるとさいとう美帆さんのウェイターペンギンが。 すぐに西山ペンギンと大和ペンギンも加わり、軽妙なペンギンダンス! 足を細かくパタパタと動かしたり、180度近くに開いて軽く飛んで動く様子が本当にペンギンのあの愛らしい仕草そっくりでと~~っても可愛い。 
カフェにイヴニングドレスとタキシード姿のカップルが続々と入ってくるのですが、男性ダンサーのタキシード姿でのダンスが洗練された感じでとてもさまになっているのにちょっとびっくり。  こうもりの時はお世辞にも似合うとは言えない感じだったのですよね。 特に輪島さんが色気があって表情豊かでとても良かった。 

オオツノヒツジの湯川さん、被り物は重いだろうし舞台も見づらくて難役なんでしょうね・・・。 タキシード姿の凛々しいマイレンとリズミカルに軽快にステップを刻んでいましたが、足元はけっこう高いヒールだし、本当に大変だ! スポットライトに照らされてのデススパイラル系のフィニッシュも見せますねぇ。
テキサスカンガルーは、足首の動きが印象的でしたが、飛んで回って走って体操して・・・みたいな体力勝負な踊りでした。  
ノミと男性たちのスキップ多用の踊りは、男性が剣や木の棒を持って踊る英国の伝統舞踊モリス・ダンスというのだそうですが、こちらも仮面ライダーチックな衣装の高橋さんのノミがと~っても可愛かったです。
彼ら動物たちの踊りが無邪気であるほど、その生命の営みを軽視した人間の身勝手な浅はかさを強く感じます。
ビントレーのメッセージがダイレクトに伝えられるケープヤマシマウマパート。 体躯の良い芳賀さんが体をくねらせると波打つ黒い縞模様。 ゆったりと前に進み出てくる姿からは力強さと雄雄しさを感じさせる堂々とした迫力のシマウマでした。 そんなシマウマも銃弾の前にはあっけなく倒れてしまう。
続く熱帯雨林の家族。 心を寄せ合い幸せに暮らしている家族にも住みかを追われると言う災難が襲う。 イン・Cでは文句をつけてしまった本島さんですが、ここでは切なさや悲しみがその身体から伝わってきて良かったと思います。 

シマウマ、熱帯雨林の家族と続いた悲しい場面から一転、ウーリーモンキーの軽妙でファンキーなノリノリのダンス。 様々なステップ、回転、ジャンプと、キレのよい動きで舞台狭しと踊りまくる福岡さん。 こういう面もあるんですねー。 いやいや本当にこの先楽しみなダンサーで、バヤデールとアラジンも見に行こうと決意。 サンバのリズムで盛り上がってきたところにここまでのキャラクターがすべて登場。 楽しげな踊りが終わると嵐の気配。 雨の中を逃げ惑う(ここもダンスで表現される)人と動物たちはやがてペンギン・カフェにたどり着きある場所へと消えていく。 ペンギンが寂しく踊る後方の幕が上がり、姿を見せた箱舟に彼らの姿が・・・。 
「間に合わないわけではない。 これからの私たちの取り組み方次第である。」という希望を与えてくれるエンディングだったけれど、この箱舟には乗れず船出を見送っていた絶滅種のペンギンの姿が物悲しさを誘いました。

絶滅危惧種の保護や自然環境問題が声高に叫ばれる今となってはその教訓性やメッセージ性は強いものではないけれど、一つのテーマの表現方法としての面白さは十分感じる事ができるし、ダンス作品としても楽しめました。
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ボリショイ&マリインスキー合同ガラBプロ 10月27日の感想(2)
2010/11/01(Mon)
≪第2部≫

「ゼンツァーノの花祭り」よりパ・ド・ドゥ 
振付:ブルノンヴィル、音楽:ヘルステッド
エフゲーニヤ・オブラスツォーワ / レオニード・サラファーノフ

ここのところ、サラファーノフは見るたびに落ち着いて来て、舞台上でのプレゼンスも大きく頼もしく感じられる。 パートナーがオブラスツォーワだと恋人同士というよりは優しく見守る兄のようにも見えちゃうけど。 踊りのほうも万全で、高いジャンプに美しい足捌きが印象的だった。
ふわふわ綿菓子のようにキュートで可憐なオブラスツォーワにはもうこのキャラがぴったりで! サラファーノフの手をさらっとかわすところや、じっと見つめた視線の外し方も絶妙なタイミングでわずかの時間の中にドラマがありましたね!
    

「パ・ド・ドゥ」
振付:ヤコブソン、音楽:ロッシーニ
ナターリヤ・オーシポワ / イワン・ワシーリエフ

一番びっくりしたのは、オーシポワが180度に開脚し、高く上げた片方の足に手をやった状態のまま、ワシーリエフが抱えるようにリフトして移動していた振付。 これもバレエですか!(笑) いったいどこまで彼ら仕様に変えているのか、他にも超絶技巧はてんこ盛りでしたが、ちょっとすねたりして相手の気を惹こうとしているようなオーシポワの仕草も可愛くて、素直に楽しめました。


「パピヨン」よりパ・ド・ドゥ
振付:M・タリオーニ / ラコット、音楽:オッフェンバック
アリーナ・ソーモワ / ウラジーミル・シクリャローフ

振付がつまらなかった。
ソーモワは以前と比べると作り出すライン、踊りともに良くなっていると思うけれど、音楽性だけはそう簡単には向上しうるものではなく、音楽が速くなると自分の中のカウントで踊ってしまうようで・・・。 
シクリャローフは飛ばしすぎたヴァリのラストでよろけてしまったのが惜しかった。 リフトを上げ切れなかったのはこの演目だったか、ロミジュリだったか・・・? いずれにしてもサポート、引き続き精進して下さい。


「グラン・パ・クラシック」
振付:グゾフスキー、音楽:オーベール
スヴェトラーナ・ルンキナ / アレクサンドル・ヴォルチコフ

自分の中の彼女に対するイメージからは想像がつかなかった演目だったのでとても興味があったのですが、残念ながらやはり違うよな・・・でした。
この演目に関してはテリョーシキナの美しいラインでの風格ある舞姿が目に焼きついているために、誰が踊っても分が悪いのですが、ルンキナはバランスはグラグラしているし、踊り全体にアピールするだけの余裕がないというか、あまりにあっさり踊ってしまうため、この作品の醍醐味を味わえなかった気がします。  しか~し、演奏はここまでも酷かったけど、これは本当に酷かった・・・。 特に旋律とは呼べないホルンは、こちらがルンキナに謝りたくなるほどだったもの。
ヴォルチコフはサポートは良かったですが、ヴァリでは息切れしていて、やはりこの演目をこういう舞台で踊りきるには無理があるんじゃないのかという印象でした。 


「ロシアの踊り」
振付:ゴールスキー / ゴレイゾフスキー、音楽:チャイコフスキー
ウリヤーナ・ロパートキナ

美しいロシアの民族衣装に身を包んだロパートキナがステージに現れるなり、会場の空気が変わった。 これから始まる彼女の舞のすべての動き、細やかな表情の変化までも見逃さないというような緊張感とも感じられる。
さきほどのグラン・パのあまりの酷さに、バイオリン!せめてここのバイオリンはきちんとした音楽を奏でてくれ!!と念を送らずにはいられなかった私・・・。 
前半は空気と戯れるような優雅なポール・ド・ブラ、後半は細かく美しい足裁きに感動しながら、その踊りで踊りの神様と語らっているようなロパートキナの姿にうっとりと見入ってしまいました。


「海賊」よりパ・ド・ドゥ 
振付:チェクルィギン / チャブキアーニ、音楽:ドリゴ
アンナ・ニクーリナ / ミハイル・ロブーヒン

貧相な音楽に再び萎えたけど、ダンサーの二人はとても良かったです。
ニクーリナのラインは本当に美しい。 もうちょっと押し出しが強ければいいと思うけれど、踊りはそつなくフェッテは綺麗にダブルを入れながら安定して回っていた。 
ダイナミックな踊りとメドーラへの忠誠心が溢れたロブーヒンのアリがなかなかいい! 王子以外なら意外と芸域は広いのかも。 540を2回入れたヴァリは特に良かったです。


≪第3部≫

「パリの炎」よりパ・ド・ドゥ
振付:ワイノーネン / ラトマンスキー、音楽:アサーフィエフ
ナターリヤ・オーシポワ / イワン・ワシーリエフ

Bプロでの自分たちの役目はこれ!とばかりに、オーシポワのジャンプの切れと高さ、ワシーリエフのジャンプ&回転と、これ以上のものはどこからも出ないぜ!というほど、まー、凄かったです。 バレエ会場での客席からヒューヒューというあり得ない反応もこれなら仕方ないか・・・という感じ。
フィギュアスケートでは、ジャンプの着地時に体重の5倍の力がかかるというけれど、一度、着地の体の角度が30度くらいだったりしたワシーリエフの場合はどんなもんなんでしょうねぇ?  あの太ももはフィギュアじゃなくてスピードスケート選手ばりですが・・・。


「ジゼル」よりパ・ド・ドゥ
振付:プティパ、音楽:アダン
エフゲーニヤ・オブラスツォーワ / アレクサンドル・セルゲーエフ

オブラスツォーワは生身の少女を感じさせるジゼルで、一幕での可憐なジゼルが容易に想像できるけど、自分の好みではないかな。 彼女の場合、ここだけを見るより全幕で物語を紡いできた上でのこのシーンを見た方が自然に受け止められるように思いました。 それでも、セルゲーエフにリフトされ柳の枝がしなやかに風に揺れるようにたゆたう姿には目が釘付けになりました。
タイツ姿のセルゲーエフはラインが綺麗。 もうちょっと二人の間の想いが感じられると良かったけれど。 
ジゼルと言えば、ダンスマガジンの12月号の記事で、コジョカルが2幕のジゼルについて語っていた内容がとても興味深かったです。 ちょっとそれを頭に入れて見ちゃったりもしたんだけど。 


「プルースト~失われた時を求めて」より 囚われの女
振付:プティ、音楽:サン=サーンス
スヴェトラーナ・ルンキナ / アレクサンドル・ヴォルチコフ

ルンキナはこの作品が一番良かったです。 眠りから覚めたのか覚めていないのか、魂の抜け殻のような表情のルンキナ。 アルベルチーヌをほんのひと時自分のものに出来たような幸福感もつかの間、また眠りにつく彼女を見てやはりそれは叶わぬ事と絶望しているように見えたヴォルチコフが良かった。 


「ファニー・パ・ド・ドゥ(ザ・グラン・パ・ド・ドゥ)」
振付:シュプック、音楽:ロッシーニ
ウリヤーナ・ロパートキナ / イーゴリ・コールプ

正直、演目が発表になった時には、またこれを見せられるのか・・・とちょっとがっかりしたのですが・・・、意外に楽しめました。 ロパートキナの崩れ方が前回よりも自然になった分、分かっていても思わずクスッと笑ってしまえるコミカルな部分が増えたというか。 あと、2年、全く問題ないと思います。 絶対に2012年の11~12月の来日公演にも劇場の顔として参加し、白鳥だけでない別の顔をどんどん見せて下さいませ(ダニーラと♪)!! 
コルプは今回化粧が、特に目、薄かったのかな(自分の席は11列目)。 とても爽やかに見え、ころころ変わる表情も分かりやすくて良かったです。 


「ドン・キホーテ」よりパ・ド・ドゥ
振付:プティパ / ゴールスキー、音楽:ミンクス
ガリーナ・ステパネンコ / アンドレイ・メルクーリエフ

王道のキトリ! 腕の使い方など、自分の好みとは離れるのですが、小気味好くて貫禄もあって、それでいてエレガントでもあり。 踊っている本人自身が幸せというような笑顔が、見ている者まで幸せな気持ちにしてくれますね。 メルクーリエフとの息も合っていて見応えがありました。 そのメルクリ、長くなった髪を黒く染めて後ろで結んでいる。 なんでかなー? 一瞬ルジのバジルがだぶりました。 髪のせいだと思うけど・・・。 チャリティーガラで見た時よりもバジルが板に付いていて踊りも美しかったです。


「白鳥の湖」より黒鳥のパ・ド・ドゥ 
振付:プティパ、音楽:チャイコフスキー
ヴィクトリア・テリョーシキナ / レオニード・サラファーノフ

意外とガラのトリにこの演目を持ってくるってそう多くはないんじゃないのかな? しかもトリと言えばドンキなドンキの後で立派にこの日のトリ、4日間の祭りの大トリが務まってしまうこの二人が本当に素晴らしかった。 実のところ、フェッテで一度落ちたように見えたヴィーカは少し疲れていたかもしれないですが、正統派クラシックバレエっていいなぁ、やっぱり大好きだわ~と思わせてくれた二人に感謝です。 
テリョーシキナ、タンゴの脚はセクシーだったけれど、チュチュから伸びた長く形のよい脚は本当に美しい。 そして目力が強く、ほどよく悪で魔性なオディールだった。 昨年末のマリインカの来日公演で彼女の白鳥だけ見逃してしまったので、次回は絶対見なくては!
サラファーノフは惑わされ悩める王子を好演し、軽くさらっと決めてしまったトゥール・ザンレール2連続2回は見事でした。
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