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2月16日 N響 第1880回定期公演Cプログラム
2018/02/19(Mon)
NHK交響楽団
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
会場:NHKホール

デュリュフレ:3つの舞曲
        第1曲 ディヴェルティスマン
        第2曲 ゆったりとした踊り
        第3曲 タンブーラン
サン・サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番ロ短調
       (ヴァイオリン:樫本大進)

    ――― 休憩 ―――

フォーレ:レクイエム
    (ソプラノ:市原愛、バリトン:甲斐栄次郎、東京混声合唱団)
 I 入祭唱とキリエ(合唱)
 II 奉献唱(バリトン・合唱)
 III 聖なるかな(合唱)
 Ⅳ慈悲深きイエスよ(ソプラノ)
 Ⅴ神の子羊(合唱)
 Ⅵわれを解き放ちたまえ(バリトン・合唱)
 Ⅶ天国に(合唱) 


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大進君がサン・サーンスのヴァイオリン協奏曲を弾くというのでチケットを取ったN響定期公演は、あまり聞くことのないフランス音楽プログラムという事でちょっと自分的には冒険のコンサート(相変わらずこんなレベルです♪)。 初物尽くしでもありますし・・・。 大進ファンが押し寄せたためなのか?、金・土と同プログラムの2公演とも完売という盛況ぶり。

作曲家&オルガン奏者であるモーリス・デュリュフレ(1902~1986)の曲は辛うじてレクイエムを知っているくらいです。 この「3つの舞曲」は舞台の付随音楽として依頼されて作曲した「タンブーラン」に、作曲の師デュカスの助言により「ディヴェルティスマン」と「ゆったりとした踊り」を書き加えて一つの作品としたものだそうです。
オケは、後半のレクイエムで合唱団が立つスペースをすでに設置した上での配置なので、かなり縦間隔が窮屈そうな上にほぼ皆平面に座っているので管楽器奏者があまり良く見えませんでした。
現代曲ながら第一曲と第二曲は洗練されて繊細な感じがする映画音楽にも使われそうな雰囲気の聴きやすい曲。 木管の美しいメロディーが印象的でした。 そしてあまり良く見えないながらも、オーボエに昨年10月のブラームス2&3番での活躍ぶりが素晴らしかったマーラー・チェンバー・オーケストラの吉井瑞穂さんが入っている事を発見! 第3曲はタンブーラン(太鼓)という名の通り、フランスの古い民族楽器タンブーランの刻むはっきりとしたリズムが独特な躍動感ある楽しい曲。 
ハープ2台、チェレスタ、シロフォン、サックスなど使用楽器も多彩なためか、3曲ともに色彩豊かで飽きない曲でもありました。 特にサックスは存在感がありましたね。


サン・サーンスの3曲のヴァイオリン協奏曲の中で最も演奏される機会が多いという3番はヴィルトゥオーゾのサラサーテに献呈された非常にドラマティックで美しい曲。 それを大進君が弾くのであれば絶対に聴きたい!!という事でとても楽しみにしていたこの日の演奏。 大進君のヴァイオリンは強弱高低にかかわらず芯がしっかりしている美音。 第1楽章は情熱的でドラマティックな旋律をオケとのバランスよく表情豊かに奏でていました。 どことなくほの暗い雰囲気が漂うメロディーにシベリウスのヴァイオリン協奏曲が連想されるのですよね。 抒情的で美しい2楽章は天使の囁きのような穏やかさもあって、この日の3曲ではすべてそのような心安らぐ美しいメロディーを堪能できるようになっているのね(って張り付けながら気がつきましたが、ちゃんとチラシのキャッチコピーになってます・・・)などと思いながら聴いていました。 途中の木管との絡みも素敵です。 吉井さんのオーボエは、やっぱり人を惹きつける魅力がありますね! そして消えゆくエンディングはため息がでるくらいの美しさ。 3楽章は力強く華やかなカデンツァが素晴らしく、オケと壮大に盛り上がりながらのラストも圧巻でした。 
パーヴォもそうですが、マロさんがとてもにこやかな顔で演奏後の大進君を称えていたのが印象的です。 ソリスト・指揮者・オケがお互いに敬意を払いながらの素晴らしい演奏だったと思います。


後半の演奏が始まる前に、事務局から出演予定だったバリトンのアンドレ・シュエンさんが急な体調不良で出演できず、甲斐栄次郎さんが急遽代役を務める事になったとのアナウンス。 
フォーレのレクイエムを生演奏で聴くのも初めてでしたが、この曲は弦楽器の編成が変則的なのですね。 8-8-12-10-8に見えました。 ただ自分の席がかなり上手寄りだったので下手側の第1ヴァイオリンとチェロは重なっていてはっきりとは見えず・・・。
ヴァイオリンの演奏がない第1,2曲は穏やかながら中低音が効いている故の厳かさのようなものが感じられました。 第3曲でヴァイオリンが入ってくると音の世界が変わるというか、より一層優しく清らかに感じられます。  オーケストラの演奏は終始柔らかく慈しみが感じられるような美しい音色で、終曲の「天国に」は透き通った合唱の声とオルガンとハープとのアンサンブルには安らぎが満ちていました。 この終曲は棺が運び出される時に歌われる歌なのですね。 ただ、オルガンの音が右側から全体の音に被さるように聞こえてくるので上手の席では非常にバランスが悪く、それだけが残念でした。
バリトンの甲斐さんはさすがに譜面を見ながらの歌唱でしたが、よく通る声でソフトに歌い上げていて急遽出演というようには全く見えませんでした。 一方ソプラノは・・・、声量と音程が安定していないような歌声にちょっとがっかり。 背中がぱっくり開いたドレスにもちょっとびっくり。 


それでも心が洗われるような素晴らしい曲に触れて幸せな気分でホールを後にすることができたコンサートでした♪ 海外オケの来日公演では難しいこのようなプログラムを組んで上質な演奏を聴かせてくれるのも国内オケならではですね。 ヴァイオリンコンチェルトもレクイエムも今度はサントリーホールで聴いてみたいなと・・・。
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1月19日 読売日本交響楽団 第608回名曲シリーズ
2018/01/23(Tue)
読売日本交響楽団
指揮:シルヴァン・カンブルラン

ブラームス: ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
      (ヴァイオリン:イザベル・ファウスト)

   ―― 休憩 ――

バッハ(マーラー編):管弦楽組曲から
ベートーヴェン: 交響曲第5番 ハ短調 

<アンコール>
ファウスト:クルターグ 「サイン、ゲームとメッセージ」からドロローソ


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バレエ一辺倒からクラシックコンサートの回数も増えたのはここ4~5年で、在京オケに至っては聴き始めたのがここ数年くらいなので、常任指揮者ながらシルヴァン・カンブルランの振る公演は今回が初めてでした。 彼は2010年に読響の常任指揮者に就任し、現在は2019年3月までの3期目の任期中というオケと長い関係を築いている指揮者なのですね。 1948年生まれとの事で今年70歳を迎えるわけですが、そうとはとても思えないほどに若々しい方です! 私はコンサート後にパンフレットを読んで知ってびっくりでした。
このコンサートはファウストが聴きたくてチケットを取ったのですが、チケットは完売。 ファウストの人気もあるでしょうし、さり気なく3大Bですものね~。 彼女のブラームスのヴァイオリン協奏曲は2014年に新日本フィルハーモニーとの共演で聴いて以来です。
ファウストのヴァイオリンの音色は瑞々しく張りがあって美しい。 音程は高音まで見事にコントロールされているし、重音も濁りがなくクリア。 そしていつも通りクールに情感が込められた彼女の演奏はとても繊細な表情の変化を持っています。 カンブルランともよくコンタクトを取り、時折見せる笑顔にこちらも一層満ち足りた気分になります。 
カデンツァは新日本フィルとの演奏、リリースされているハーディング&マーラー・チェンバー・オーケストラとの録音と同じフェルッチョ・ブゾーニのもの。 ティンパニーの強打で始まった後、終始ティンパニーの弱音での演奏を伴うこのカデンツァはどこか緊張感があってドラマティックで、1楽章の旋律が使われているのもいいし、その後、低弦から弦楽器も加わって回帰していくスタイルがとても気に入っています。 ティンパニー奏者も見事でした。
14型のオケの弦楽セクションは思ったよりも柔らかでふくよかな音で、ファウストの音質が綺麗に浮き上がるように思えました。 アンサンブルの精度も素晴らしい。 演奏者で特に印象に残ったのは2楽章のもの淋しく美しい響きのオーボエ。 癒しの音色でした。 またそのオーボエを受け継いだファウストのヴァイオリンも天上の歌のように美しかったです。

アンコールのクルターグ 「サイン、ゲームとメッセージ」からドロローソ は曲も知らなければ作曲家も知りませんでした。 調べたところクルターグは1926年生まれで現在91歳のハンガリー人作曲家との事。 この曲の詳しい解説は見つけられませんでしたが、現代音楽でシンプルな音を聞かせるとても短い曲でした。 会場は静まり返っていましたが、何が演奏されているのかと耳をこらしているようにも感じられ・・・。

小ぶりな8?-8?-6-4-3の編成でのバッハ、管弦楽組曲はマーラーが全4曲の中からポピュラーな2番3番から楽曲を選んで再編成したダイジェスト編曲版との事で、作成は1909年。 実際に演奏されたのは第2番の第2曲と第7曲、第3番の第2曲(G線上のアリア)と第3曲(ガヴォット)です。 第2番は1月1日付で主席として入団したというフリスト・ドブリノヴのフルートが美しく響き渡り、続くG線上のアリアでは澄み切った弦の音が美しかったです。 かすかに聞こえてくるチェンバロの音色もまた良かった。 ただ、軽音楽というかBGM的な演奏のようにも聞こえました。

運命は出だしの運命動機すら誇張される事もなく、全楽章を通して過度なものはすべてそぎ落とした軽快でスマートな演奏でした。 クラシック音楽の現代的演奏というのでしょうか?  好みとしてはもう少し重厚なものなのですが、それでもコンマスの長原さんやヴィオラの首席?の方などは椅子から飛び上がりながらの熱の入った演奏でしたし、ベートーヴェンの曲自体の力で十分魅力的な音楽です。 指揮者とオケの息もぴったりでアンサンブルもブラームス同様素晴らしかったですしね! 2楽章の低弦と木管ののびやかで穏やかな音、緊張感をもって繋げ、新たな世界がぱあっと広がるというイメージを鮮やかに描き出した3楽章から4楽章への移行が特に印象に残っています。
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12月16日 東京都交響楽団 第845回定期演奏会Bシリーズ
2017/12/29(Fri)
東京都交響楽団
指揮:ヤクブ・フルシャ
会場:サントリーホール

マルティヌー:交響曲第1番
         
 --- 休憩 ---

ブラームス:交響曲第1番ハ短調


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ヤクブ・フルシャが初めて都響に登場したのは彼がまだ26歳だった2008年5月。 その初めての公演で指揮者とオケは恋に落ち、オケからの熱望叶って2010年より主席客演指揮者に就任します。 7年の任期中に25回の公演を行い、この16日が彼の主席客演指揮者としての最後の公演でした。 
私が初めて彼を聴いたのは2012年3月11日のプラハ・フィルハーモニア管弦楽団のコンサート、16歳でハノーファ国際コンクールで優勝した三浦文彰くんのチャイコンを聴きたくて行った公演でした。 その日は東日本大震災から丸1年と言う事で、フルシャは追悼の意を込めドヴォルザーク9番から「ラルゴ」を特別に演奏してくれたのでした。 開演前まで都響にポストを持っている指揮者と知らなかった私は、なんて思いやり深い人なんだろうとただ感心していたのですが、日本との繋がりが自然にそうさせたのですね。 真摯で温かい人柄は演奏にも現われ、私はいっぺんでファンになってしまったのですが、都響での演奏はプログラムをえり好みしたり都合が悪かったり7回しか聴いていない。 今だったらもっと貪欲に聴きにいったのになと後悔先に立たずです。 


1890年生まれのボフスラフ・マルティヌーは1923年に作曲を勉強するためにパリに渡り次々と作品を発表していたものの、1940年6月にナチス・ドイツの侵攻を逃れパリを離れ1941年3月からはアメリカで亡命生活を送り、米国の市民権を得た後1953年にヨーロッパに戻り1959年にスイスで亡くなった作曲家です。 多作家として名高い彼が交響曲第1番を書いたのは本格的に作曲を始めてからはほぼ20年という年月が過ぎた51歳。 ブラームスと似ていますね。 都響の冊子によれば、「交響曲第1番という問題に直面すると、非常に敏感に、そして真剣に構えてしまい、考え方がベートーヴェンではなくブラームスの第1番に結びついてしまう」と彼自身のプログラムノートに記述があるそうです。 交響曲というのは、作曲家にとってそれほどに特別で重いものなのですね。

さて、聴いた事のない曲は、せめてどんな感じの曲なのかを知っておきたくて、なるべく公演前に一度くらいは聴いてからコンサートに出かけたいと思っているのですが、11日の公演でのマルティヌー交響曲第2番は予習なしで聴いてしまいました。 なので1番はなんとか!とYoutubeでみつけて細切れながら1度だけ聴く事ができ、その1度の試聴で「これは好みの曲!音!!」だったので生演奏を聴けるのを楽しみにしていました。 
曲を通してアクセント的であったり、その短いフレーズで曲調を変えたりとピアノの存在感が強い曲です。 またどの楽章も多くの楽器がそれぞれの多彩なメロディーを持ち、非常に密度が濃く立体的に絡み合う響きでもあるのに重ねられた音は美しく聴きやすい。 都響のアンサンブルは初めての演奏でよくここまで精緻に揃うなと感心するほどに見事でした。 
1楽章はボヘミアを感じさせるメロディーと半音階の流れるような旋律が印象的。 この半音階の旋律には不安定さと幻想性も感じ、妙にに引き込まれるような魅力があります。 2楽章の始まりの弾むように力強いリズムも独特ですね。 この楽章は途中弦楽器の演奏のない部分があるのが特徴的でその間のオーボエ、クラリネット、フルートがここぞとばかりの素晴らしい演奏。 冒頭でピアノの低い音が沈痛に響く3楽章は続くヴァイオリンのメロディーも厳かで葬送の歌のようで心に染みます。 一転4楽章は切れよく快活。 フィナーレは明るい希望を感じさせるような雰囲気の中、音と音が煌めくように響き合って鮮やかに終わりました。 
本当に素晴らしい演奏で、自分の引き出しにまた一つ好きな曲を増やしてくれたフルシャと都響には心から感謝です。 いつかまたこのコンビで聴きたい!


主席客演指揮者としてのファイナルを飾るのはブラームスの1番。 好きな指揮者が自分の大好きな曲を選んでくれたのは本当に嬉しくこれ以上の事はないのですが、先日の2番が自分が期待していた演奏とは微妙に違ったので、わずか5日後に1番を聞くのはちょっぴり不安でもあったのです。 同じサントリーホールで演奏され、これまでで一番感動して素晴らしいと思った10月のN響の1番も記憶に新しいところだし、過度な期待はしないでおこうと・・・。
そんなわけで、少し気持ちを落ち着けて曲の始まりを待った1番でしたが、自分の思いは全くの杞憂で、キュッヒルさんが引っ張ったN響に対し、冒頭から指揮者とオケの絶対的な信頼関係とお互いへの敬愛から生まれた、今の最高の音楽をという思いがひしひしと伝わってくる素晴らしい演奏となりました。 

1楽章の冒頭のティンパニーの響きはそれほど重々しくはなかったですが、ゆったりと聞かせ弦は力強くどんどん厚みを増し、音の立体的な広がりがとてもいい。 オケは最初から熱く、弦の音は重厚なのだけれど繊細な響きを持っていてともかくアンサンブルが見事。 2楽章は美しい管楽器の演奏を堪能。 張りはあるけれど澄んだ音のホルンと情緒豊かなオーボエがとりわけ素晴らしい。 そしてコンマス矢部さんの詩情のある美音にはもううっとりです。 最後の音が綺麗にオケの音に包まれて一緒に消えていくのは神業的にも思えました。 3楽章はクラリネットが美しく。 しばし平常心(笑)に戻れた楽章なのですが、なぜか涙が出てきました。 そして4楽章。 弦のピチカートは弱音でも歯切れが良く次第に盛り上がってくる時の表情づけもいい。 ホルンとフルートの掛け合いも美しく、主題の前のホルンの音に自分の高揚感もかなり高まった感じです。 ここまでフルシャは熱いながらも細部まで丁寧に曲を構築していたように感じましたが、、主題が始まると次第に何かから解き放たれたようにテンションもテンポも上がります。 指揮者が求めればオケはそれ以上に応え、誰もかれもどのフレーズもさらに熱く圧巻のサウンドが生み出され、自分はその音の塊にじわじわと包み込まれる感じでした。 コーダの堂々たる響、フルシャとオケのメンバーの凄まじいまでの集中力と渾身の演奏姿に大感動でした。 


終演後、オケは拍手でフルシャを讃え、フルシャも5弦のトップ二人と握手を交わし(その前に矢部さんとはハグしてましたね)、管と打楽器奏者は全員を立たせていました。お互いに満面の笑顔です。 オケから贈られた花束にフルシャも感慨深げで、両者の強い結び付きが伝わって来た良き光景でした。 オケのメンバーが引き上げてもかなりの人が残っている客席からの拍手は鳴りやまず、フルシャが再びステージに。 また必ず都響に戻って来て欲しいという私たちの強い思いはきっと伝わったと!
フルシャは来年6月にバンベルク交響楽団と来日します。 25日東京文化会館、26日&29日サントリーホール、28日みなとみらいと東京&近郊の6月最後の週はフルシャウィークですね!
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12月9日 マリインスキー歌劇場管弦楽団コンサート
2017/12/14(Thu)
マリインスキー歌劇場管弦楽団
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
会場:所沢市民文化センター ミューズ アークホール

デュティユー:メタボール
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
           (ヴァイオリン:庄司紗矢香)

 --- 休憩 ---

ワーグナー:舞台神聖祝典劇『パルジファル』から「第1幕への前奏曲」
ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」

<アンコール>
ヴァイオリン
  パガニーニ:パイジェッロによる「うつろな心」による序奏と変奏曲
オーケストラ
  チャイコフスキー :『くるみ割り人形』から「花のワルツ」


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6日のサントリーホールでの公演は苦手なショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲。 紗矢香ちゃんだから聞いてみようかと思ったりもしたのだけれど、所沢が土曜日でチャイコだったのでこちらにしてしまいました。


デュティユーの「メタボール」はクリーブランド管弦楽団結成40周年を記念してジョージ・セルの委嘱により作曲された曲との事。メタボールとは修辞学用語の一つでものごとの様相や性質が変化していく様子を表すのだそうです。
初めて聴きましたが、5曲からなる作品でそれぞれにメインとなる楽器群が異なり、曲調も変わり、オーケストラ演奏の醍醐味を味わえるような曲。 近未来やSF映画の音楽としても使えそうな現代的な響きの多い曲ですね。

紗矢香ちゃんのチャイコンは2014年1月にサンクトペテルブルグ・フィルハーモニーとの共演で聴いて以来です。 あの日のチャイコンはそれまで自分が聴いた中で一番感動し素晴らしいと思った演奏でしたが、この日もそれを凌駕するかのような素晴らしい演奏でした。 彼女の演奏は繊細な響きとダイナミズムが絶妙のバランスで混在していて、精神性の深さを感じさせる表現力は恐ろしいほどに雄弁で圧倒的で、時に崇高さすら感じるような気がしました。 紡がれる旋律が命と意思を持っているように情感豊か。 すべてが素晴らしかったですが、特に1楽章の高音の音色も美しいカデンツァとしっとりとした2楽章、3楽章でのフィナーレに向けての高い集中力と情熱的な歌いまわしなど本当に圧巻でした。 
ゲルギエフは紗矢香ちゃんとのバランスを第一にオケを精妙にコントロールしていたように思いましたが、オケが曲をリードするパートはメリハリのある演奏でした。 ゲルギエフとマリインカのコンサートを聴くのは2009年以来なのですが、 こんなに綺麗な音色でしたかね? 先日のTSOとは違うとても艶かに滑らかで陰りのない明るい音。 バレエではベストメンバーで臨む事はあまりないためかなかなか良い演奏に当たらないので少しばかりびっくり。 アンサンブルも綺麗に揃っていてソロを任されている各楽器奏者も上手い奏者が多いです。 3楽章でフルート・オーボエ・クラリネットのヴァイオリンとの音の響き合いがとても美しかったのが特に印象的。 終始、紗矢香ちゃんとオケの音楽の方向性がきちんと一致していたのも素晴らしい。

紗矢香ちゃんのアンコールはサンクトペテルブルグ・フィルの時にも聴きましたが、まるで二人の奏者が奏でているような弓とピチカートの高技巧の曲。 精神を極度に集中させたチャイコンを終えて、少しリラックスしながら弾いているように見えました。 舞台の下手で聞いていたゲルギエフにちょっと照れたような笑みを見せながらステージを去っていった彼女。 いつまでも初々しさが残っていてとても可愛らしかったです♪ 
この日の衣装は真っ赤なベアトップの上半身にスカート部分は大小様々な赤いドット模様で少しトレインがついているドレス。 品のある華やかさが彼女にとても合っていた。

舞台神聖祝典劇『パルジファル』から「第1幕への前奏曲」も初めて聴きました。 厳かで神秘的な曲。 

ゲルギエフ、串揚げの竹串くらいの長さのタクトをさらに短く持って細かく指示を出しながら指揮をしていましたが、「展覧会の絵」もオケの音は艶やかで美しく色彩がとても豊か、で、とても洗練された音です。 自分の席は一階のL列でステージ上すべての奏者を数えられる位置ではなかったのですが、見える限りファーストヴァイオリンは13人のようで、第2とヴィオラ・チェロはわかりませんでしたが、コントラバスは7人。 チェロはファーストの隣、コントラバスが下手に配置されていたせいもあり、低弦の音がよく響いて聞こえました。 あと、ファーストの後方プルトの音もよく聞こえてきましたが、シルキーで綺麗でしたねぇぇ。
ベテランと若手のバランスも取れているように見えるオケのメンバー、ソロ奏者は上手い人が多いですね。 一曲目のプロムナードの出だしのトランペットは澄みきったクリアな音が美しく音程も見事。 こびとの後のプロムナードではホルンのふくよかで優しい音色がまた素晴らしい。 自分が一番好きな「古城」は、チェロの低音の伴奏に乗って奏でられるファゴットの音が美しく、続くサクソフォン奏者による哀愁を帯びた旋律を目を瞑って聞いていると川面が霞む古城が目に浮かぶ感じ。 「ビドロ」の重低音のどっしりとした響きは迫力がありましたが、オケの音からは暗さとか苦悩のようなものはあまり感じられなかったなぁ。 「シュムイレ」の耳障りなトランペット(笑)、速いテンポでの小刻みな音も綺麗に吹いていて上手かったです。 その他の曲もすべて描写が細かく、しっかりした低弦の屋台骨に乗った美しい高弦、淀みなく柔らかな木管と安定感と迫力の金管で奏でられる演奏は聴き応え十分。 終曲の「キエフの大門」でのクラリネットも見事、そして鐘が鳴り響くなか、華やかに壮大に盛り上がりながらオケのパワーと情熱を出し切ったような素晴らしいコーダで締めくくられました。  

15時に始まったコンサートは展覧会の絵が終わった時点で17時半を過ぎていました。 前回紗矢香ちゃんのチャイコンを聴いたサンクトペテルブルグ・フィルの時はチャイコンと展覧会の絵の2曲だったのですが、この日は加えて15分ほどの作品を二つも演奏してくれたのですから、大サービスですね! そんなわけでアンコールは無しかなと思ったのですが、「花のワルツ」を演奏してくれました♪  冒頭のハープからしてとってもうっとりな素敵な花ワル。 マリインカの「くるみ割り人形」を見たのはもう20年も前の事なので、このオケで花ワルを聴いたのも20年ぶりだったのかな? これだけ素晴らしい演奏を今日聴いちゃいましたからね! 今後のバレエ公演でも力を抜かない演奏をお願いしますね~~。  


コンサート終了後、CD購入者対象にゲルギエフと紗矢香ちゃんのサイン会がありました。 私は彼女のJ.S.バッハ&レーガー:無伴奏ヴァイオリン作品集を購入し、ジャケットにサインをゲット。 黒いセーターに着替えた彼女は知的な雰囲気が漂いながらも可愛らしい♪  何人くらいがサインをもらったのでしょう? 300人くらい?? お疲れのところ、お2人に感謝です。
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11月30日 東京都交響楽団 第843回定期演奏会Cシリーズ 
2017/12/07(Thu)
東京都交響楽団
指揮:小泉和裕
会場:東京芸術劇場

モーツァルト:交響曲第35番 ニ長調(ハフナー)
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調
           (ヴァイオリン:堀米ゆず子)

 --- 休憩 ---

R・シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」
R・シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」 


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この日のお目当てはブルッフのヴァイオリン協奏曲。 とても好きな曲なのになぜか巡り合わせが悪く、演奏会で聴いたのはPMFオーケストラにレーピンが客演した4年前の一回きり。 今回もマチネか・・・だったのですが、堀米さんのヴァイオリンも聴いてみたかったし、この日なら午後半くらいOKだろう!!と取ってしまったコンサートでした♪  結果ちょっと仕事の調整は大変な事になってしまいましたが、聴きに行って良かったです♪♪  それぞれの楽団の努力で定着しつつある平日マチネ公演、プログラムも魅力的で観客の入りも上々でした。 
堀米さんというと乗り換えのフランクフルト空港で所有するヴァイオリンを税関に押収され、無償返還されるまで1か月以上に渡って大変な思いをされたという事件を思い出しますが、多くの演奏家が多忙なスケジュールで世界中を飛び回っている今、個人の所有物や貸与されている楽器の通関手続きは少しでも簡素化されていれば良いのですが。 
堀米さんのヴァイオリンは芯がしっかりして力強い響きです。 音に推進力があるような感じ。 小泉さんのテンポは自分がイメージしていたより若干遅かったのですが、その分、ヴァイオリンがたっぷりと歌っていたように思います。 そして重音もとても綺麗でした。 ご自分が弾いていない時にオケの音楽を体で感じ取りながら曲に合わせて左指を動かしていたのも印象的。 オケは12型(だったかと)で音量は少し抑え目なようにも感じましたが、ソロ・ヴァイオリンの入らない1楽章中間で盛り上がっていくあの大好きな旋律、柔らかい弦の音のアンサンブルがとても美しかったです。 やっぱりいいなぁ、この曲!

交響曲第35番は、モーツァルトが富豪のハフナー家から依頼されて作曲した2作目のセレナーデを基に手を入れて書いた曲。  優美な雰囲気と明るく華やかに堂々とした演奏のコントラストも楽しめました。 

後半はシュトラウスの交響詩が2曲。 オケも16型に拡大し木管・金管・打楽器奏者も増員で全体の音量もかなりアップしスケールの大きさを感じさせる演奏。 全体的には重厚な響きながら各楽器はドラマティックに歌い、叙情性にも溢れ物語り性もよく感じ取れます。 特に「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」は当初はオペラ作品という構想だったというためか、まるで台詞を充てられているようなフレーズも多く場面描写が秀逸。 様々な楽器のソロの演奏も素晴らしく、15分強の曲はあっという間に終わってしまいました。 コンミスの四方さんの隣は矢部さん、向いに配置されたヴィオラは店村さんと鈴木さんが揃うという強力な布陣での本当に見事な演奏でした。
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11月15日 チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラ コンサート
2017/11/25(Sat)
チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラ
指揮:ウラディーミル・フェドセーエフ
会場:サントリーホール
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調
           (ヴァイオリン:三浦文彰)

 --- 休憩 ---

ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調

<アンコール>
ヴァイオリン
 ヴュータン : ヤンキー・ドゥードゥル
オーケストラ
 スヴィリードフ : 『吹雪』より「ワルツの反復」
 チャイコフスキー : バレエ組曲『白鳥の湖』より「スペインの踊り」 


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4日の静岡から始まったチャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラのツアーもこのサントリーホールが最終日となります。 
今回は7回のコンサートが行われましたが、一つとして同じプログラムの公演がありませんでした。 そんな数多くの曲を演奏するプログラムを組んでくれたオーケストラの心意気が本当に嬉しく、また幸せに思います。 43年もコンビを組んでいて、オケは家族という関係を築いているフェドセーエフさんとTSOならではなのでしょうね。 しかもオールロシアプログラムで、まさしくロシア音楽の伝道師たちでしたね♪  全公演聴きたかったなぁぁぁ。 まるで昔のマールイみたいだ・・・。 いろんな意味で(笑)♪ 


前半のチャイコのヴァイオリン協奏曲、テンポは前日と同じかなりのスローテンポでしたが、文彰君とオケのコンビネーションはこの日の方が良く、お互いに生き生きしていたように思います。 1楽章の高音の音程も安定して、カデンツァは思い入れたっぷりに聴かせてくれました。 そのカデンツァよりも印象に残ったのは2楽章。 誰かの悲しみにそっと寄り添いその悲しみを共にするような、そんななんとも言えない情を感じるような演奏でした。 3楽章の出だしも良かったし、躍動感に溢れた演奏でエネルギッシュに締めくくったと思います。 フェドセーエフさんとのおじいちゃん&孫ぶりも変わらずで微笑ましかったです。 終演後、文彰君はフェドセーエフさんとオケに何度も敬意を表し、フェドセーエフさんと離れようとせずに隣にぴったりとくっついていました。 彼らから多くを吸収する事ができたのだったらそれはとても嬉しい事!
アンコールでヤンキー・ドゥードゥルを聴けるとは思いませんでしたが、超絶技巧てんこ盛りのこの曲を攻撃的に攻めた渾身の演奏に大満足!

と、終わりは良かったのですが、3楽章の始めに驚く事が。
1階で靴音を高らかに響かせ悠然と会場を出て行った一人の人。 3楽章にはアタッカで入ったし、急に具合が悪くなったりすれば演奏最中での退席も仕方のない事ですが、演奏者にまで分かるような靴音、誰かの視界を遮る事も全く気にもかけないあの振る舞いは本当に腹立たしく感じました。 サントリーホールでこんな事に遭遇したのも残念です。 


ツアーを締めくくるのはラフマニノフ交響曲第2番。 コンサートで聴くのももの凄く久しぶりだし、CDでも最近は全く聞いていなかったなぁ。 サモイロフさんの出番の多いショスタコをもう一回でも良かったのにぃなんて思ったりもしていたのですが、何にも分かってなかったですね~、自分。 
音楽を奏でる事の素晴らしさとその音楽に触れる事のできる幸せをしみじみと感じさせてくれた素晴らしいラフマニノフ。 フェドセーエフさんが楽団との関係が43年も続いている秘訣として述べていた「音楽への愛、メンバーへの愛、国への愛、他国への愛」がすべて込められていたようなそんな演奏でした。
  
一楽章からラフマニノフらしいロマンティックで甘美な旋律が多く、大きなうねりの中でフェドセーエフさんがつける微妙な緩急の変化や渋く少しくすんだ感じの温かい音に心揺さぶられます。 コンマスのヴァイオリンもこの日は調子が良さそう。 淡々としてはいるけれど美しい音色です。 
2楽章、金管・木管の調子も上がって来て全体的にメリハリのある活気のある演奏でした。 スネアが入るのは2楽章だけなのに、わりと控えめなのがちょっと寂しい。
長大なアダージョの3楽章。 最初から何か魔法にかかったみたいというか…降参だわ、本当に。 すごくぼんやりと入ってきたクラリネットが、弱音で暗い響きながら次第に艶をましてきて、弦も入って甘美な旋律の洪水に涙が止まらない。 いったん落ち着いた直後にホルン、コンマス、オーボエ、フルート、そしてまたクラリネットと受け継がれる主題。 すべての音を慈しむようなオケの滋味溢れる音が美しすぎて美しすぎて幸せなんだか悲しいんだかわからなくなるような感覚でした。
一転祝祭ムードで始まる4楽章。 詰まりっぱなしだった胸がようやく落ち着いた感じで、ほっと一息。 調子の上がったオケの演奏は4楽章も素晴らしく、テンポも上がって盛り上がって行くのですが、3楽章のメロディーが再び聞こえたところで今度は曲が終わりに近づいているのを意識してしまってなんとなく感傷的に・・・。 参ったなぁ、ほんとに・・・。 それでも最後はそんな感傷的な気分も吹っ飛ばされるような重量感溢れるロシアンサウンドに圧倒されて曲が閉じられました。 本当に感動的な演奏でした。 今まで触れなかったティンパニー奏者。 ツアー中ほぼ出ずっぱりだったのではないかと思いますが、思いっきりロシア人という風貌のワシリー・ポリャコフさん(楽団公式サイトにちゃんと出ているんですね~♪)、フェドセーエフさんとの阿吽の呼吸で常にオケをしっかり支えていてとても素晴らしかったです。 

アンコールは前日と同じ2曲。 スヴィリードフのワルツ・エコーはよりノスタルジックな雰囲気に溢れ、スペインはもう~~~~、サモイロフさんの激烈タンバリンとクラペンコフさんのこぶしまで効いちゃって乗りまくりのカスタネットが最高過ぎて!!! ハラショーなんてもんじゃなく客席は大いに盛り上がりました。 そして多分、皆、できればもう一曲、あの曲!!と「レズギンカ」を期待していたに違いないのです。 が、今回は「スペイン」が最後の曲となり、団員たちもツアーの成功をお互いに称え合い袖に消えて行きました。 聴きたかったよぉ~~(涙) 
それでも、ともかく鳴りやまない(笑)熱心なファンからの拍手にフェドセーエフさんが出て来てくれ、場内再び大熱狂! 楽器の片づけをしていたパーカッションのメンバーたちもフェドセーエフさんに温かい拍手を送っていました。 この光景、たまりません。
どうか、これが最後にならないで!!!!!

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11月14日 チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラ コンサート
2017/11/22(Wed)
チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラ
指揮:ウラディーミル・フェドセーエフ
会場:東京文化会館


ボロディン:歌劇「イーゴリ公」よりダッタン人の踊り
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調
          (ヴァイオリン:三浦文彰)
 --- 休憩 ---

ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調

<アンコール>
スヴィリードフ:「吹雪」よりワルツ・エコー
チャイコフスキー:「白鳥の湖」よりスペイン



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オペラ「イーゴリ公」2幕、捕らえたイーゴリ公のために敵将が宴席を設け、ダッタン人たちに様々な踊りを踊らせる場面。 大好きな曲です。 エキゾティックで勇壮なこの曲をフェドセーエフさんはゆったりと大らかに歌い込みます。 女性オーボエ奏者の哀愁の中にも艶かしさを感じさせる演奏が魅力的だった。 パーカス隊も相変わらず存在感が大きく、サモイロフさんのスネアも絶好調(笑)♪

ヴァイオリン協奏曲は今まで聴いたこの曲のなかでも最も遅いテンポで始まりました。 文彰君のヴァイオリンの出だしの艶やかで温かみのある美音に期待は高まったものの、オケと微妙にずれるような感じがあり演奏がいまいちしっくりこない。 すでに岩手、宮崎と2度共演しているので、フェドセーエフさんのテンポには慣れたとは思うのですが、やはりちょっと弾き難いのかな? それでも一音一音、1フレーズ1フレーズ丁寧に歌わせていたと思います。 時々文彰君に語り掛けるように近寄るフェドセーエフさんに真剣だけれどなつっこいまなざしを返す文彰君、仲の良いおじいちゃんと孫みたいだわ(笑)  オケは、特に弦楽器がソリストをたてるためか終始ボリュームを抑えすぎたような感じで、輪郭も少しぼやけ気味。 なんとなく、この日はどちらも調子があまり上がりきらずに終わったように感じました。 
  
ショスタコーヴィチは一番最初に聞いたヴァイオリンコンチェルトがダメで、敬遠していた時期もありましたが、バレエ「明るい小川」を見たあたりから交響曲を少しずつ聞き始めました。 5番は惹かれる旋律の多い好きな曲です。
オペラ『カルメン』の「ハバネラ」から引用したといわれているテーマが随所に散りばめられ、曲調も次々に変わる1楽章は旋律の多彩さや多くの楽器の音のコンビネーションを楽しめるのが魅力です。 中盤の行進曲風のメロディーではパーカッションの魅力炸裂。 サモイロフさんが立ち上がったところでもう心沸き立ってしまいましたし~♪ まばたきも惜しむようにじぃ~っとフェドセーエフさんを見るサモイロフさんの表情がたまりません!
おどけた調子の2楽章は、金管や打楽器のメロディーや楽器の組み合わせがプロコフィエフのロミジュリの音使いを連想させます。 主席?の男性奏者に変わったオーボエ、フルートの落ち着いた音色が心地良く、重みのある低弦、パンチのある打楽器も良かった・・・のに、聴かせどころの終盤のコンマスのソロが精彩を欠いていたのはちょっと残念。 
3楽章は美しいメロディーが多く弦も木管も響きがとても美しかったです。 ヴァイオリンの弱音での刻みに乗せるオーボエとクラリネットの調べはどこか暗くもの悲しく、フルートの音色には寂寥感が漂う。 シロフォンの後のチェロがリードするメロディーはなんとなくカルメンの曲に似ている気もする。 その後終盤にかけてのじっくり抑制が効いたしみじみと叙情的な演奏も良かったです。 最後のもの悲しいハープのメロディーは心憎いばかりですね。
打って変わって勇壮な4楽章。 出だしの迫力あるティンパニーの音がいい。 中盤の静けさを抜け、スネアドラムがリズムを刻み始めてからフィナーレまでの盛り上がりが華やかに大仰なものではなく、何か訴えかけてくるような重みがあるものだったのが心に残りました。

アンコールのワルツはロシア民謡調で哀愁がじんわり染みてくるような素敵な曲。 コンマスも調子を取り戻したようで良かったです♪ そしてスペインは、いろいろな楽器を担当して大活躍だった方のカスタネットとサモイロフさんのタンバリンの妙技の競演!! 最高~~♪♪
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11月4日 チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラ コンサート
2017/11/05(Sun)
チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラ
指揮:ウラジーミル・フェドセーエフ
会場:グランシップ 中ホール・大地

チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調「悲愴」

 --- 休憩 ---

チャイコフスキー:三大バレエ音楽 ~フェドセーエフ セレクション~
組曲「くるみ割り人形」より
        花のワルツ
        葦笛の踊り
        ロシアの踊り
        終幕の踊り
        アラビアの踊り
        祖父の踊りは
        子守唄 ~情景・深夜~ クリスマスツリー
組曲「眠れる森の美女」より
        パノラマ
        ワルツ
  組曲「白鳥の湖」より
        ポーランドの踊り
        ナポリの踊り
        スペインの踊り
 

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東海道新幹線に昼間乗るときは可能な限りE席を取って富士山を眺める事を楽しみにしているのですが、昨日は快晴にもかかわらず、まるで意地悪しているように富士山にだけ雲がかかっていて全形を見る事はできず・・・(涙)。
新幹線からの写真って電柱や電線との戦いですが、とりあえず意地で撮ってみました(笑)。 
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さて、フェドセーエフ&チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラの今回の日本ツアーは、4日の静岡を皮切りに15日のサントリーホールの楽日までに静岡・兵庫・岩手・東京・宮崎・東京で7回の公演が予定されています。 移動距離もかなりあるのでフェドセーエフさんがお疲れにならないといいのですが。
メンバーが全員ステージ上に揃ってフェドセーエフさん登場。 お元気そうで良かったです。 いつものように指揮台にソフトジャンプ♪

悲愴のテンポは曲を通してゆっくりめ。
1楽章の出だしはアンサンブルがやや揃わずファゴットの音もあまりよく聞こえなかったのが残念でしたが、ツアー初日でアップもなくいきなり悲愴ですものねぇぇぇ。 それでも第2主題後に盛り上がってくるあたりからは纏まりが出てきて曲調が目まぐるしく変わるこの楽章をドラマティックに演奏。 終盤の金管、特にトロンボーンの良く通る音が印象的。 そして滋味溢れ、温もりのある弦の音がなんとも耳に優しかったです。
2楽章のワルツは流麗で心地よかった♪
勇壮な3楽章の前半はコントラバスとティンパニーの低音がしっかりと音楽を支えていたように思います。 後半、厚みを増していくオケの音はまるでブレーキが効かなくなったごとくの怒涛の勢い。
その勇ましい盛り上がりが嘘だったかのような切なく胸を締め付けられるようなメロディーで始まる4楽章。 左右両側から嘆き合うように重なるヴァイオリンの旋律に心持っていかれました。 (あのメロディー、私はどうしても宇宙戦艦ヤマトの映画版のあるメロディーに繋がってしまう・・・) 中盤のホルンも良かった。 そしてトロンボーンとチューバの重くずっしりとした響きには絶望感が漂い、最後はヴァイオリン、ビオラ、チェロと順に弓を置きコントラバスが重く静かに曲を締めくくりました。
曲が終わってフェドセーエフさんが早々と腕を降ろしてしまってもしばらく続く静寂。 その静寂までがこの曲だったのかなと感じます。

後半の3大バレエからのセレクションも全般的にテンポは遅め。
フェドセーエフさんが「チャイコフスキーは私自身だと思っています」というように、オケのメンバーにとってもチャイコフスキーの曲は肌に染みこんでいる音楽なのだろうと思いますが、その人たちの奏でる「くるみ割り人形」を、バレエを堪能した翌日に奏者を見ながらじっくりと聴くことができるなんてほんとうに幸せな気分です。
くるみで特に印象深かったのは威厳があって堂々とした響きが圧巻だった「祖父の踊り」。 花ワルのハープの美しさも際立っていたなぁ。 「ロシアの踊り」でこの日ようやくの出番となったサモイロフさんのタンバリンににんまり♪ ご健在で何より!!
眠りの「パノラマ」は通常バレエで聞くよりも倍くらい遅い演奏で、最初は面食らいましたが、ゆったりした演奏に旋律をじっくり味わいました。
白鳥の「ナポリ」ではトランペットが遅いテンポでも弾みのある音で頑張っていましたが、ちょっと大変そうだったかな?
そしてラストの「スペイン」はサモイロフさんの爆音での名人芸を心底楽しみました。 カスタネット担当の方もサモイロフさんに負けない熱演で、フィナーレにふさわしい華やぎと躍動感あふれる演奏でした。

客席からの盛大な拍手は鳴りやむ様子がなかったのですが、この日はアンコールはなし。 白鳥の「スペイン」はよくアンコールで聴かせてくれる曲なので、そこまで考えてのプログラムだったのかなと。 静岡、兵庫、岩手と3日続く日程なのでともかくフェドセーエフさんにはお疲れにならないでいただきたいです。
私はこの後14日と15日の東京公演を聴きに行きます。 14日はショスタコでスネアです~~♪♪
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10月26日 N響 第1869回定期公演Bプログラム
2017/10/31(Tue)
NHK交響楽団
指揮:クリストフ・エッシェンバッハ
会場:サントリーホール

ブラームス:交響曲第4番ホ短調

 --- 休憩 ---

ブラームス:交響曲第1番ハ短調


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前半の演目がエッシェンバッハの左手故障のためモーツァルトのピアノ協奏曲第12番からブラームスの交響曲第4番に変更となり、前週のCプロと合わせてブラームス交響曲チクルスとなった。 ブラームス大好きな私としてはとてもhappy。 そして前週手にした10月公演小冊子でBプロのコンサートマスターがキュッヒルさんと言う事を知り楽しみも倍増♪ キュッヒルさんは毎年のようにお正月に日本でニューイヤーコンサートがあるのだけれど、どうしてもそこはマールイやキエフのバレエ公演とぶつかりなかなか聴く事ができず残念な思いをしていたのでともかく嬉しかったです。

4番の出だしはテンポも比較的早くわりとあっさりと。 そして出だしからキュッヒルさんのヴァイオリンの艶やかな音がよく聞える。 私の席は一階の中央通路よりちょっと前でしたが、あんなにコンマスの音がはっきりと聞えるとは・・・。 なんだかとっても気分が高揚してしまい(笑)、私の中ではこの日はキュッヒル劇場になってしまいました。 4番で特に印象に残っているのは2楽章のホルンのよく通るふくよかな音。 続く木管群の音もどれもこれもすこぶる美しかった。 そして4楽章のフルートのもの悲しい調べは涙が出そうなくらい美しく、一転、コーダに向う弦の怒涛の盛り上がりは聴いているこちらの体も揺さぶられそうなほどの音量と迫力。 凄かったです!! まさに正統派の堂々たるブラームス。 

ブラームスの交響曲で何番が一番好きかと言われれば、どの曲も好きだけれどやはり1番。 今回、3,2,4と聴いてきて再認識した感もあります。 
この日の1番はもう何と言ったら良いのか・・・。 素晴らしかった演奏は何度もありますが、こんなに幸せな気持ちになったのは初めてだったように思います。 4楽章が終わりに近づいている時は曲が終わってしまうのが悲しいほどでしたが、終演後の純粋な感動と充足感は半端なかったです。 本当に何から何まで素晴らしかったのですが、キュッヒルさんの存在とその牽引力も大きかったのではないかと思います。  キュッヒルさん、エッシェンバッハ氏と視線を合わせ、ちゃんと合わせてますよとでも言っているかのようににこっとしながら、次の瞬間にはもうぐいぐいオケを引っ張っているのがなんともお茶目というか仕事人というか・・・。 ホールの違いもあるでしょうが、弦楽器の音が力強いながらも柔らかくまろやかだったのは驚きでした。
4番同様曲を通して演奏はオーソドックスではあったけれど、より精緻、そして情感豊かに雄大な音楽でした。 1番の中でも最高に好きな4楽章は、もうかなり舞い上がった状態で聴いていましたが、平和的な弦の音色、オーボエ、クラリネット、ホルンの美しい響き、力強く美音のキュッヒルさんのソロも素晴らしかった2楽章も忘れがたい楽章です。 N響ってやはり凄い! そして日本のオーケストラでこれほどの名演が聴けたのも本当に嬉しい事だと!!

カーテンコールが繰り返されている時の団員たちは皆笑顔。 とりわけ第1ヴァイオリンの1,2プルトの楽しそうな様子はキュッヒル教授と門下生たちの談笑という光景でした♪ 

今回のチクルス、3番&2番のCプロは10月20日の演奏が11月12日(日)のEテレクラシック音楽館で、4番&1番のBプロは25日の演奏が12月3日(日)の同番組で放映される予定です。 どちらも楽しみ。 録画もしっかりして永久保存版にしなくては!!!
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10月24日 都響 第841回 定期演奏会Bシリーズ
2017/10/29(Sun)
東京都交響楽団
指揮:小泉和裕
会場:サントリーホール

バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番
     (ヴァイオリン:アリーナ・イブラギモヴァ)

  ――― 休憩 ―――

フランク:交響曲ニ短調


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近代音楽は苦手という事もありバルトークの音楽は自分で好んで聞く音楽ではなく、ヴァイオリン協奏曲第2番もファウストのCDは持っているものの最初に聞いてやっぱりどうも・・・という感じだったのですが、今回はフランクの交響曲が聴きたくてチケットを取りました。 
ロシア出身、1985年生まれ32歳のアリーナ・イブラギモヴァのヴァイオリンを聴くのは初めてです。 お顔立ちがやや童顔で可愛らしいのでもっと若く見えますね。 出だしはオケとテンポが合わなかったのかちょっとまごついた感じで、おや?だったのですがすぐに修正。 その後は身体を揺さぶりながら気持ちの入ったダイナミックな演奏で常にしっかりとした音が響きます。 彼女の推進力のある演奏に、苦手なタイプの旋律や音階がそれほど気にならなかったのが我ながら不思議。 技巧的・表現的にも相当高難度の曲なのでしょうが、彼女の演奏からはそれが誇示される事もなくひたすら曲に没入しながら自分のイメージを持って一心不乱に弾き続けたという印象を受けました。  
オケは彼女のダイナミックさ、奔放さとは対照的に端整さが勝っていたように思います。 
そんなわけで入門編ではありましたが、熱演の奏者たちを目にしながらこの曲を聴くと、様々なパートが繰り出す旋律の多彩さに、近代音楽特有の音階の苦手意識も少し和らいだ気分で、CDよりも断然楽しく聴く事ができました。 ハープとチェレスタのファンタジー色ある音が耳馴染み良かったのも要因です。

さて、以前にも書きましたが、クラシック音楽が好きとは言え、ピアノを習っていた以外は高校までの音楽の授業といくらか読んだ文献からの知識しかなく、いつまで経っても入門編にどっぷりつかったままの自分ですが、フランクの交響曲との出会いは、けっこう長い年月遠のいていたコンサート通いを再開した5,6年くらい前のタワレコ新宿店。 店内でかかっていた曲の魔力にとりつかれ、思わず視聴用のCDを聴き入ってしまいました。 「祈りの動機」のあの異様な暗さ、しつこいくらいの循環動機の繰り返し(笑) 因みにそのCDは1996年4月ライブ録音のジュリーニとスウェーデン放送交響楽団のもの。 都響プログラムの解説にある、『ドビュッシーが「転調する機械のようだ」と評したというほどの頻繁で複雑な転調と特異な楽曲構成』がその魔力だったわけですね。 それ以来、生で聞いてみたいとずっと思っていたのですが、それほど頻繁に取り上げられる曲ではなく、今回ようやく日程があいました。 
1楽章出だしは重厚で暗い響き。 実はもっと禍々しいほどの気味の悪さをイメージしていたのですが、そういう感じではなく。 小泉さんは最初からかなりオケを鳴らしていましたが、音量は大きいものの基本的にはやはり端正な趣。 もう少しニュアンスづけがあっても良かったかな? ハープと弦のピチカートのなんとなくモダンで印象的なメロディーで始まる2楽章は美しい旋律が多く聴かれますが、特に物憂げなイングリッシュホルンの音が耳に残りました。 奏者の方、とても上手かった! 中間部の弦の高音の美しさも際立っていましたね。 そして暗さと明るさが入り混じる壮大な3楽章は1楽章以上の迫力ある大音量で終盤に向けての盛り上がりは圧巻でした。
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