2017/02 ≪  2017/03 12345678910111213141516171819202122232425262728293031  ≫ 2017/03
新国立劇場 「シンデレラ」12月27日の感想
2008/12/28(Sun)
アシュトン版シンデレラは2005年の都さん&ボネッリ、2006年のコジョカル&ボネッリに続き3度目。

西山さんの踊りは今まで何度も新国立劇場の公演で見ていて、その度に彼女の優しそうな雰囲気と綺麗な腕の動きと音楽性に思わず目が行ってしまうお気に入りのバレリーナ。 今まで彼女の主演の公演は見られずに来たので、日程がオーケーなのを確認するやアトレの会員郵送申し込みで速攻でとったチケットでした♪
 
西山さんのシンデレラ、暖炉の側の椅子に寄りかかっている姿や甲斐甲斐しく働く姿になんとなく都さんのシンデレラを思い出した。 姉たちに邪険にされても、自分は行けない舞踏会の準備に大騒ぎしている姉二人の様子を羨ましそうに見つめるしかなくても卑屈になる事なくまっすぐに生きている明るい少女という感じ。
姉たちがいない隙に亡くなった母親の写真を椅子の上に立って暖炉の上に掲げるシーンではポアントで立っていたのですが、身長が低いためなのかそうじゃないのかはわからないけどちょっとびくびくしましたね・・・。
箒のダンスは音楽に良く合っていて複雑な足捌きの一つ一つが余裕があってとても綺麗でした。 最後に箒に八つ当たりするとこなんかはとっても可愛かったな。
1幕最後に馬車ごと横転した西山さんが2幕で美しく着飾ったシンデレラとなって登場した時は客席から思わず拍手の嵐。 とりあえず舞台を続けられる状態であったことに安堵しました。 ただ、手を取られて階段を一段一段降りている時の彼女の表情がやや硬かったような気がしたので足でも痛めたのかと心配になりましたが、その後の踊りは万全でした。
王子に支えられてのピルエットでバランスを崩したところもありましたが、終始音楽的な踊りで上半身とアームスのすっきりとした美しさが印象的でした。 王子を優しい笑顔で覗き込む様子は恥じらいの中にも大人っぽい雰囲気があって何ともいえない温かくて幸せな空気が漂っていました。 

その王子の中村さんですが、改めて脚が長くてまっすぐなプロポーションの良いダンサーだと思いました。 サポートも安定していて良い王子様ぶりだったのですが、肝心の踊りは不調のようでした。 回転系は軸が全く取れていなくて、主役でこのレベルだとちょっと辛いのですが、必要以上に口で呼吸をしているようだったり、立ち姿に神経が行き届いていなかったところなどから、風邪でもひいていて体調が良くなかったのではないかと思います。
演技的にはもう少し王子の恋心を自然に出せるようになるとぐっと良くなるのではないでしょうか?

アグリーシスターズの保坂さんと堀さんには文句なしのブラボーです! 保坂さんの役は最初に見たのがダウエル氏だったので、どうしてもおとなしめに見えてしまいますが、でも十分笑わせてくれた! 堀さんも姉に振り回されながらもめげないユーモラスなキャラを熱演。

仙女の本島さんは、音に時々遅れるものの踊りは悪くはなかったと思いますが、他の妖精たちとは違う特別な存在という感じはなかった。 4人の妖精では秋の高橋有里さんの歯切れの良い踊りと、雪の中の美しさのようなものを感じさせてくれた冬の厚木さんの凛として硬質な感じが良かったです。 夏だけは踊り手には関係なくなんだか長くて飽きちゃうんだな・・。 
星の精のコール・ド、最前列で一人踊りが大きくて上手で目を惹くダンサーがいたんだけど誰だろう? ここの踊りはかなりテンポの速い踊りだけど、さすが新国、よく合わせてますね! 次に見るときは上の席からも見てみようっと。 

道化の八幡さんは、踊るのが精一杯だった2年前と比べると堂々としていて、アグリーシスターズを茶化すようなお芝居も自然にできていました。 体も少し大きくなったかなぁ。 速い音楽にバランスを崩しそうな難しい振付を見事に踊りきったと思います。 先日のアラジンの主役の経験が自信にもなったのでしょうね。 こうやって若いダンサーは成長していくんですね。

ウェリントンの小笠原さん、この役なら問題ないでしょうがもう少し絞ったら?というのは余計なお世話かな? ナポレオンともども、もう少し芝居っ気があるといいのにな。

3幕でシンデレラがガラスの靴に足をいれるシーンあたりから、西山さんはもう姫でしたね。 ゴージャスなマントをつけたチュチュ姿でお城に現れたシンデレラはもうキラキラしていて眩しいほど。 ゆっくりと幸せをかみしめるように階段を登り、寄り添うシンデレラと王子に降り注ぐゴールドの紙吹雪、何度見てもいいな~、夢があるな~と思うエンディングです。 



シンデレラ    西山裕子
王子       中村誠
義理の姉たち  保坂アントン慶、堀 登
仙女       本島美和 
父親       石井四郎
春の精      伊藤友季子
夏の精      湯川麻美子
秋の精      高橋有里
冬の精      厚木三杏
道化       八幡顕光
ナポレオン    伊藤隆仁
ウェリントン    小笠原一真
王子の友人   マイレン・トレウバエフ、陳 秀介、冨川祐樹、江本 拓
この記事のURL | バレエ鑑賞記 2008年 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
ボリショイ・バレエ 「白鳥の湖」12月6日の感想
2008/12/23(Tue)
前日ロットバルトとしては物足りずと思ったシュピレフスキーの王子に対し、マーシャがどんなオデットを見せてくれるのか、ザハロワとウヴァーロフを見た直後にこの2人の白鳥がどう映るのか・・・・といろいろ複雑な心境で臨んだ舞台でした。

<1幕>
シュピレフスキー、上下白の王子の衣装はとてもよく似合う。 ほんとにまぁ、いい男です!
とても穏やかで優しそうな王子だけれど、頼りない・・・とも言えるかも。 視線が少しばかり伏目がちなのだろうか? 屈託のない笑顔というのには無縁な人だな。
ただ、成年に達したばかりで騎士に任ぜられ、これからは何事にも勇気を示して生きていかなければならないという責任が重くのしかかって憂鬱になり晴れやかな気分にはなれないという陰鬱さや未完成さが漂っていてグリゴロ版ジークフリート像にはぴたりとはまっているような・・・。
踊りはというと、彼のテンポと実際の音楽のテンポが合っておらず、常に音に遅れ気味。 音感がないのだとしたら致命傷だよなぁぁぁ。 なんだか自信がなさそうに踊っているように見えるんですよね・・・。 せっかく体型に恵まれているのだから、腕や脚のラインにもっと神経を使えば、それだけでかなり綺麗に見えるようになるのではないかと思うのだけれど・・・。

トロワのニクーリナはどんどん調子を上げてきているような感じで、華やかさもあって良かった。 ゴリャチェーワは悪くはないけれど、なんとなく好みでない。

道化のヴァチェスラフ・ロパーティンは岩田さんに負けず劣らず、ピルエットの速さとジャンプの勢いも文句なし。

乾杯の踊りは、リードするダンサーのせいか?前日よりも全体的にまったりしていたような気がする。 でもシュピはウヴァーロフみたいにあの棘棘のカップを道化に投げないで優しく手渡してました。 おっとり温和な王子様なのかな。 

ロットバルト役のパーヴェル・ドミトリチェンコは、なんとコール・ドからの抜擢なんですね。 まだ23,4歳の若さで線の細いダンサー。 ジャンプが高くて切れがあって踊りは良かったと思うけれどメイクがなぁぁあ・・・。 書きすぎのあまり、わずかにひょうきん系に見えてしまったのは私だけかなぁ?  そうそう、前日のシュピレフスキーはロットバルト役を楽しんでいるという感じがなかったのだけれど、パーヴェル・ドミトリチェンコは悪魔としてジークフリートを翻弄しているのが実に楽しそうだった。 してやったりという感じで湖畔に導き幻影を見せたという流れがあったもの。 わけがわからず・・という感じの王子の方も良かったですが。

マーシャのオデットの第一印象は・・・、ザハロワとは違う・・・でした。 目の前で腕を羽ばたかせて踊っているマーシャのラインがザハロワの残像とあまりにも違うので正直に言うと出だしは辛かったです。 王子との出会いでの小刻みに震える脚とまっすぐに王子を見つめる表情がが印象的なマーシャのオデット。 口元をきりっと結び遠くを見るオデットはかたくなで意思が強そうな姫にも見えるのだけれど、彼女のちょっとした仕草に優しさや不安や悲しみが見え隠れしているようにも思えました。 シュピレフスキーのサポートは良かったと思うけれど、もっさりな雰囲気の王子ときりりな雰囲気のオデットとのグランアダージョは微妙といえば微妙。 でも、オデットのそういう自立して芯の強そうな感じが王子の求めるものだった?? まぁ、プログラムを読む限りそうではなさそうですが・・・。

<2幕>
舞踏会での道化の踊りもスピードのあるシェネが素晴らしかった。

各国の王女の踊りは、ハンガリーのコバヒーゼの踊りが前日よりも勢いがあって冴えていて情熱たっぷりでとても魅力的だった。 スペインの王女はオーシポワを見たかったのに前日と同じメシコーワ。 飛んだり跳ねたりな振りなのでオーシポワの弾けっぷりを見たかったなぁ、残念。 巷で大いに話題になっていたイケメンスペインボーイズ、誰が誰だかわからなくて、イマイチついていけずに終わってしまい、これまた残念。 ポーランドのシプーリナは前日同様、私が一番よ的なアピールの強いきっちりした踊りが良かったです。

オディールと王子のGPDD。 これはもうマーシャの独壇場でしたね~。 脚を上げすぎとザハロワに文句を言ってしまったアダージョのアラベスクもちょうど好みの高さで脚が止まり、とても綺麗なライン。 王子が自分に夢中になっているのを当たり前と思い満足しながらもクールを装う少しだけ高慢なオディールだったけれどオデットとそれほど違った雰囲気でもなかった。 ヴァリでは男前なかっこよさ全開で、あの音楽の怪しい雰囲気そのままにぞくぞくするような魅力を放っていた。 グランフェッテは前半は3回転目に腕をアン・オーにしていたと思うが、ダブルはいれずに速い音楽をシングルで回りきった。 最後にちょっとぐらついてしまったのがちょっとマーシャらしくなかったけれどコーダでは持ち直してスピードのあるフィニッシュだった。 で、日にちが経ってしまったせいもあるのだけれど、シュピレフスキーの踊りをほとんど覚えていない・・・。 頭の中にチャイパドのメロディーを流しても全然浮かんで来ないんだよね・・・。 

再び湖畔のシーン。  
自分の過ちの大きさに打ちひしがれながらもオデットに許しを請う王子。 こういうシーンのシュピはなかなか絵になりますね。 すぐにでも王子の手を取り許してしまいたいのに思わず背を向けるオデット、そして悲しみこらえながら凛とした表情のマーシャのオデットには思わずいじらしさを感じてしまいます。 オデットを失った王子は魂を一緒に持っていかれてしまったように呆然と立ちすくんでおりました。 夢を失ったこの王子に再生物語はあるのだろうか???


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


というわけで、やはり見終わって重たくなる作品ですね。
マーシャには、主人公の王子が夢見た幻影の女性ではなく、悪魔の呪いで白鳥に姿を変えられてしまった女性が自分を助けてくれるかもしれない王子と巡り合い、彼との愛に運命をかけるという自分の意思を持ったごく普通のオデットの方が似合うと思います。 ただ、グリゴロ版でもジークフリートがフィーリンだったら、どのような物語として私たちに伝わってきたのでしょうね。 やはりそれを知りたかったな。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


オデット/オディール : マリーヤ・アレクサンドロワ
王妃 (王子の母) : マリーヤ・イスプラトフスカヤ
ジークフリート王子 : アルテム・シュピレフスキー
ロットバルト : パーヴェル・ドミトリチェンコ
王子の家庭教師 : アレクセイ・ロパレーヴィチ
道化 : ヴァチェスラフ・ロパーティン
王子の友人たち : アンナ・ニクーリナ,アナスタシア・ゴリャチェーワ
儀典長 : アレクサンドル・ファジェーチェフ
ハンガリーの王女 : ネッリ・コバヒーゼ
ロシアの王女 : オリガ・ステブレツォーワ
スペインの王女 : アナスタシア・メシコーワ
ナポリの王女 : アナスタシア・ゴリャチェーワ
ポーランドの王女 : エカテリーナ・シプーリナ
3羽の白鳥 : ネッリ・コバヒーゼ,ユーリヤ・グレベンシチコワ
         ヴィクトリア・オーシポワ
4羽の白鳥 : チナラ・アリザデ,スヴェトラーナ・グネードワ
         スヴェトラーナ・パヴロワ,アナスタシア・スタシケーヴィチ
ワルツ : オリガ・ステブレツォーワ,ヴィクトリア・オーシポワ
      アレーシヤ・ボイコ,アンナ・オークネワ
      カリム・アブドゥーリン,デニス・サーヴィン
      ウラジスラフ・ラントラートフ,エゴール・フロムーシン
この記事のURL | バレエ鑑賞記 2008年 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
ボリショイ・バレエ 「白鳥の湖」12月5日の感想
2008/12/20(Sat)
グリゴローヴィチ版の白鳥は王子の宿命がテーマという王子の物語なんですね。 王子は踊るシーンも多くて肉体的にもハードな上、自分を通して観客に物語を伝えなければいけないという重責も担っていて本当に大変な役。

<1幕>
幕が開く。 渋いゴールドと黒を基調とした宮殿の美しい舞台美術に目を見張る。 
舞台の奥行き3分の2くらいのところにあるセットのためにより一層狭くなっている舞台に下手からジュテで登場してきたウヴァーロフはジャンプの勢いをセーブしているようで気の毒。

成年式を迎える王子に長剣を渡す男性貴族たちの衣装のゴージャスな事! 袖つけのふくらみの部分がカラフルな市松模様のようになっていて、それぞれに色合いが違う。
女王からは重そうで立派なゴールドのペンダントが渡される。 その女王のお付の女官たちの衣装は男性貴族の衣装と色調を合わせていて一層重厚でゴージャスな雰囲気。

パ・ド・トロワは王子と友人の女性2人で踊られる。
序盤は、ふんわりと周りの空気を抱き込むような柔らかなボール・ド・ブラのクリサノワに目が行き、後半になると音にぴったり合わせた歯切れの良い踊りが気持ちのいいニクーリナに惹き付けられた。
ワルツを踊っていたコール・ドの衣装もゴールドが上品にきいて落ち着いた色調だったのに、この二人の友人の衣装だけ黄色というのが全体的な色合いから違和感を感じた。 ともかく衣装が綺麗で色調が好みだったのでそんな事までいつも以上に気になってしまった。
ウヴァーロフはゆったりと優雅に余力を持って踊っているように見えた。 ジャンプも高いし調子は良さそう。

岩田さんの道化は、場を盛り上げる存在であると同時に、彼の落ち着いた雰囲気から王子をいつも気遣う忠実な家臣という雰囲気。 ジャンプなどの動きはしなやかだし、安定していたピルエットのフィニッシュは驚くほどのスピードで素晴らしかった。

王子が三角形の頂点に立ち男性コール・ドを従えての乾杯の踊りは、力強さと優麗さが眼福。 皆、長身で足長のスタイルの良いダンサーばかりなのにやはりウヴァーロフの端正な踊りが際立っていて、さすがはボリショイの王子様と納得。 ダンサーたちが持っている乾杯のグラスは中央が丸く膨らんでそこから針のようなものが何本も出ているのだけれど、ウヴァーロフがいきなりそのグラスを道化に向かって投げたものだからびっくり。 岩田さんはなんなくキャッチしてました~。 これも阿吽の呼吸?(笑)

人々が去り一人残った王子が物憂げな表情で踊っている間に舞台中央に舞台の幅3分の1ほどの幕が降りてくる。 その幕の背後から現れ、王子の後ろに隠れるように寄り添う悪の天才ロットバルト。 話題の人?シュピレフスキーのロットバルトは端整な素顔を活かしたメイクで狡猾な悪魔というより冷ややかで感情が見えない魔物という感じ。 190センチを越える美しい2人が操り(あんまりそうは見えなかったが)操られながら並んで踊る様はまさに壮観。 ただ、ここでロットバルトが王子を悪夢の幻影の世界に引きずり込むという感じが弱かったのが残念。

王子を幕の側に引き付けたところで幕越しに白鳥たちの群れを見せる。 10人くらいのダンサーが一塊になって羽を羽ばたかせていただろうか? 幕が上がり白鳥たちが散り散りに去った後に一人オデットが残っている。 あの群れの中にザハロワがいたのは気がつかなかったけれど、オデットと王子の出会いとしては非常に斬新。

オデットのザハロワ。 これ以外に言葉が見つからないほどただただ美しい。
その神々しいまでの美しさの中に儚さと艶かしさをも漂わせた完璧な美を持つオデットに心を奪われない男性はいないだろうというほど。 彼女が作り出すフォルムも何から何まで本当に美しい。
ウヴァーロフの気品ある落ち着いたジークフリート王子とオデットの紡ぎ出す世界は静かで物悲しい大人の悲恋の世界だった。

コール・ドはみなほっそりとした美しい体型で、足音も静か。
4羽の白鳥はそれほど小さくはなかったけれど、踊りは足の細かい動きも良く揃っていて綺麗だった。 それでもどデカイ3羽の白鳥が出てくると4羽もしっかり小さく見えました・・・。


<2幕>
舞踏会。
ラッパ隊などの目の覚めるような青い色が1幕の色彩に加わり一層華やかな雰囲気になる。
一幕で剣を渡す儀式のお供と女王のお供たちが確かペアになって出てきたような・・・。 舞台上が本当にゴージャスだわ!(笑) ディベルティスマンの面々が登場したところで道化の披露した高速で滑るようなシェネが素晴らしかったです。
グリゴローヴィチ版は各国の花嫁候補がそれぞれの国のディベルティスマンの踊りのソリストとなっているんですね。 それぞれに違う衣装と踊りで王女としての人となり?をアピールさせた上で王子が自分に相応しい妃を選ぶようにするのか、ふんふん・・と思っていたら、なんと王子がこの場に居ない・・・。
5人の王女の中では私が選ばれて当然!という気の強そうなポーランドのエカテリーナ・シプーリナのメリハリの効いた踊りが抜きん出ていた。 スペインのアナスタシア・メシコーワもジャンプが高くて踊りは上手いのだけれど、民族舞踊の花形という感じなんだよな・・・。 で、個人的にはロシアの踊りの振付が好きではなかったなぁぁ。 みんなして人差し指を口元にあてるところなどブリブリすぎて・・・。 ココシュニックの大きさがふくらはぎの真ん中あたりまでのドレスの丈とはアンバランスなような気もしたな・・・。 ついでに言ってしまうと、ディヴェルティスマンには王女がいないパターンで濃厚~~にぶっちぎってくれる方が好きです。
各国の踊りが終わったところで王子が登場。 あんた、見てもいないで選ぶ気か!と思った矢先にいつもの花嫁候補の踊りの音楽になって5人と共に踊り始めた。 スペイン、ナポリ、ポーランドの王女は短いながらも王子と二人で踊るのに、ハンガリーとロシアの王女は王子とトロワってちょっと差別?(笑) 当然王子は誰も選ばないのだけれど、選ばれる気満々だったシプーリナの憤慨ぶりがツボ。

2度目のファンファーレでオディールとロットバルトが現れる。 驚いたことに黒鳥が6人くらいお供で登場した。 ドンキの3幕にキューピッドが登場する版を初めて見たときと同じくらい?!だったが・・・。 オデットとロットバルトが間に王子を挟んでの3人の異様な雰囲気の踊りの後に(順番はよく覚えていないのだけれど、)ABTと同じ音楽で(これも怪しいかも?)ロットバルトのソロがあったのだが、これがまたあまり迫力がないんだよな・・・。 
オディールと王子のGPDD。
ザハロワのオディールは先ほどロットバルトと登場した時はかなり冷ややかな印象だったけれど、ここでは艶やかな美しさを武器に笑顔で王子を翻弄していく。 王子に手を取られてシャープにアラベスクを繰り返すところ、ここはちょっと脚がそっくり返るくらい乱暴に上がりすぎで若干ムムムでした(笑)
チャイパドでの王子のヴァリ。 ウヴァーロフはつま先まで伸びた脚が美しく、ジャンプも高く着地も柔らかくて綺麗だった。
ザハロワのグリゴロ版のヴァリを見るのは、彼女がゼレンスキーとマールイの白鳥に客演した2005年以来2度目。あの時はパートナーはゼレだしマールイだった事による違和感だと思ったのだけれど、今回もザハロワには合わないなぁと思ってしまった。 ラインがしなやかで綺麗過ぎて迫力がないのかな? それでも完成度の高い素晴らしいGPDDだった。
王子は迷うことなくオディールに愛を誓い、それを満足気に見届けたオディールとロットバルトが宮殿から姿を消す。唖然として一人うろたえる王子を残し、舞台が暗くなり人々が去っていくのと同時に白鳥たちが入ってきて垂れ幕の効果もあって、いつの間にか舞台上は湖畔の場面へと切り替わっている。(王妃様が気を失って倒れるというお決まりのシーンがなかった。笑)

コール・ドは1幕2場よりも腕の動きなどが揃っていてとても美しく、オデットを優しく迎える白鳥たちは悲しみに満ち溢れている。 王子が湖畔に戻ってきてようやく見つけたオデットに許しを請う。 オデットは王子を許し再び彼に寄り添うが、そこへ現れたロットバルトと黒鳥たちによってオデットと王子は上手と下手に引き裂かれながら踊る。 マールイの3幕を少し思い出しました。 必死にオデットを守ろうとする王子の前にロットバルトが走りこみ、いつの間にか降りていた幕の裏側にオデットを連れ去ってしまう。 紗幕越しに見えるロットバルトがオデットを高くリフトした次の瞬間、オデットの体が崩れ落ち、ロットバルトに力なく抱きかかえられたまま動かなくなってしまう。 すぐにはこれがオデットの死だとは気づかなかったのだけれど、ロットバルトにはオデットに対する愛情や執着心のようなものが全くなく、迷いもなく彼女を殺してしまったような感じだ。 すべては王子の心を弄び絶望を与えるためだけに仕組んだ事。 
オデットを取り戻そうと王子が近づこうとしても、立ちはだかる壁と化した幕の向こうに進んでいくことはできず、オデットを失った深い悲しみと絶望を声にならない声で叫ぶように天に向かって手を差し伸べる王子。 幕。   


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


悲劇版とは知っていたけれど、こういうやるせなさがずしんとくるエンディングだとは思いもしませんでした。 エンディングの音楽が最初の音楽に変えられていたのも、なんだかすっきりしない気持ちに輪をかけてくれたなぁぁぁ。
ザハロワとウヴァーロフは今まで新国立劇場で見た時とは別人のようなパートナーシップを見せてくれて本当に素晴らしかったのだけれど、物語としていまひとつピリッとした締り具合と厚みが感じられなかったのは、ロットバルトとしてのシュピレフスキーの力不足にあると思う(シュピ、ごめんね・・・)。 このバージョンはオデット、王子、ロットバルトを実力の拮抗した3人の踊り手が演じて初めて魅力ある作品になるのだろうと思いました。 ニコライさんで見たかったなぁ!!
この記事のURL | バレエ鑑賞記 2008年 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
ボリショイ・バレエ 「ドン・キホーテ」12月3日の感想
2008/12/14(Sun)
<プロローグ>
机に向かい読み物をしていたドン・キホーテが立ち上がるなりびっくり。 背の高いキホーテは珍しくないけれど、このスリムさは・・・。 ひゅーんって感じの長身。
そしてこの音楽の速さはいったい何? てっきりプロローグを簡潔に済ますために演奏を速くしているのかと思ったら、行きましたね~、最後まで! 演奏家の方たちのエネルギー消耗量も半端ではないのだろうな(笑)
サンチョ・パンサはその名の通りのすんごい太鼓腹。 サンチョ・パンサって自分の中ではけっこうな鬼門で、頭が弱そうだったりわざとらしかったりするタイプは苦手なのだけれど、アレクサンドル・ペトゥホーフのサンチョはちょっと男気があるようでいい感じ。 

<1幕>
アレクサンドロワのキトリが出てきた瞬間、舞台がぱぁ~~っと華いで広場に一層活気が出てきた感じ。 マーシャのキトリは可愛らしさと男前なかっこ良さと大らかな明るさが溢れていてと~~っても魅力的。 演技しているのか素のままなのか、ともかく今日は楽しんでいってね!という心意気が伝わってくる。 最初のグラン・ジュテの後ろ足の上がり方が凄かった。 マーシャのジュテはふわっと柔らかく上がる。 着地音もほとんど聞こえないし。
ベロゴロフツェフを舞台で見たのはもしかしたら初めてかも。 ロットバルトやスパルタクスの写真などでごっつい顔と体つきの人を想像していたのだけれど、それほど嫌味のない顔で腰から下のスタイルが良くて黒いタイツ姿がさまになっている。
しかし音楽が本当に速い・・・。
片手リフトの場面でも音楽は容赦なく流れていくので、ずわっと上げて、キトリも瞬間的にポーズを決めなきゃならないから綺麗に180度開脚して止めてる猶予なんて全くない。
べロゴロフツェフにはかなりの反動が来てると思うのだけれど、ちょっと歩いたくらいで万全のリフト。
踊っている本人が気分爽快そうなキトリのカスタネットのソロはあの速い音楽にもきっちり合っていて素晴らしかった。

メルクーリエフのエスパーダを全幕できちんと見るのは初めて。 
身体の動きにも切れがあってマント捌きも鮮やかだし背中が綺麗によくしなる。 闘牛士たちと一緒にジュテで円を描くときは、一緒に動いているのに彼の動きだけとてもシャープで速さを感じる。 他の子たちがもっさりというわけではないのだけどね。 ただメルクーリエフはどうしても爽やかでソフトな感じが強いのでキメキメに頑張っているのだけれどワイルドなセクシーさは少なめ・・・。
待ちの踊り子のメシコーワも押し出しが強く雰囲気があって良かったです。

ガマーシュは関西公演が始まって直ぐにイケ面と話題になっていたデニス・サービン。
ドンと同じようにスリムな体型で膝から下が真っ直ぐで長いこと! 悪目立ちしない人の良さそうなお上品なガマーシュでした。 腰に鏡ケースをぶら下げていて、なにかというと鏡を取り出しては美貌?チェックを怠らない彼がとっても可愛くてチャーミングでした。
セギディーリャのコール・ドたちもあの速いテンポによくついていって踊りきったのは見事です。

キトリの友人にはファニータとピッキリアという名前がついているんですね。 黄色のピッキリアとかさり気なく衣装の色まで名前にしてくれると初見の者にはありがたいんだけどな。
2人ともまだコール・ド・ダンサーのようですが、どちらも笑顔で余裕を持った踊りに好印象だし初日に抜擢されるという事は今後期待のダンサーって事ですね。 ただ、二人ともアームスの動きが自分の中で勝手に描いている軌跡とは違う動きをするので最初はずいぶん戸惑いました。 マーシャはそれなりに見慣れているせいか、なぜか気にならなかったのだけれど、この二人とベロゴロフツェフには、あ~、やっぱり違うのねぇと思ってしまいました。

<第2幕>
酒場。 
マーシャは上が黒(濃紺?)でスカートが白のティアードにお召替。 この衣装もとっても似合って可愛い!! 
いたずらっ子のように目を輝かせたマーシャの思いきりのいいロングダイブを平然と受け止めたベロゴロフツェフは立派! ただ、ベロちゃん、この辺から踊りに疲れが見えてきたような。
エスパーダの踊り。 
牛なんだよね、あれって・・・というのと、間が持たない感じのストップモーション多発な振付が東バのエスパーダに輪を掛けて微妙・・・。
スペインの踊り(新国立だとギターの踊り)のクリスチーナ・カラショーワのしっとりと大人の色香漂う踊りが良かったです。 新国のギターの踊りはうらぶれて暗い感じで好きではないのだけれど、こちらは芯の通った強さがあって魅せられた。 この踊り、カスタネットを上手く鳴らさないと間が抜けた感じになるのだけれど、そこもぴったり決まっててナイス!でした。 エスパーダのメルクリが悩殺光線を送るんだけれど、力及ばず(笑)・・・。 ここはさすがにシュピの方が絵になるだろうな。
そんな別の女性に色目を使っているエスパーダにむかついた様子のメルセデスのマリーヤ・イスプラトフスカヤは情熱系美人(笑)。 全身をしならせての踊りも見応えがあった。 こういうダンスを得意とするダンサー達はみなドレスのすそ裁きが上手くて綺麗だし、背中や関節の柔らかさは半端じゃないですね。

狂言自殺。
一度袖に下がったバジルがマントを翻しながら再度ステージに出てくるときに、ガッッシャーンと皿が割れるような音がしました。 効果音なんだろうけど、知らないと心臓に悪い。 ベロちゃんは短剣で刺した後、爽やかな感じで倒れてましたね。
キトリは予めバジルから策を聞かされているので大嘘泣き。 幼稚園の学芸会並みにちょこんと曲げた手首を両目にあててエーンエンエンと泣いているマーシャが可愛くて可愛くて!

ジプシーの野営地。
キトリとバジルはすでに結婚を許されているのでここには登場しない。
サクサクサクっと話が進む中、とても印象に残ったのはジプシーを踊ったアンナ・アントロポーワ。 エネルギッシュなダンスと悲哀に包まれながらも湿り気のない強さのある表情が魅力的。

夢の場
夢の場はどのバレエ団のものでも、それまでの喧騒と活気に満ち溢れた世界からほっと一息、うっとりとした幻影の世界に浸れる衣装もセットも美しいシーンで大好きです。 ここまでのおっそろしいほどに速い音楽も、優雅さを損ねない程度に落ち着いてくれて良かった(笑)
1幕ではわからなかったけれど、コール・ド・ダンサーはほっそ~くてスタイルの良い人が多い。 3人の森の精の中に楚々とした表情のネッリちゃんを発見。 ただ、なぜか顔が怖かった(美人なんだけど)真ん中のダンサーが気になってしまい、ついつい彼女を見てしまう。 あ、今笑った!とか・・・。 
マーシャのドゥルシネアは堂々と女王然としていて且つ温かみがあって、あえて悪く言えば夢の中の人とは思えない存在感なのだけど、柔らかくしっとりと踊っていました。 ここでのジュテもふわぁっと高くてお見事。 そんなマーシャの存在感の影に隠れちゃったのが森の精の女王のニクーリナちゃん。 でも、アラベスクのポーズは伸びやかで綺麗でした。 とっても良かったのがキューピッドのアナスタシア・スタシケーヴィチ。 細くて小柄なダンサーですが、テクニックがしっかりしていて動きがシャープで見ていて気持ちがいいし、演技もとてもチャーミング。

<第3幕>
ボレロの男性がメルクーリエフではなくて、一瞬えっと思ったけれど、ボリショイ版はエスパーダではない別のダンサーが踊るんですね。
ファンダンゴの女性の白いドレスや貴族たちの衣装がとっても美しくてゴージャスで、これだけでも溜息もの。
キトリとバジルのGPDD。
(友人や他の女の子が出てくる最初の音楽からしてやっぱり速い・・・。)
マーシャもベロゴロフツェフもさすがの貫禄。 ベロちゃんはヴァリが終わり最後のグラン・ピルエットに入るときの呼吸の荒さからして相当疲れていたと思うのだけれど、それでも一幕登場時と同じ頼もしくて優しそうな笑顔でマーシャをしっかりサポートしていました。 もうサポートは万全!
マーシャは扇子使いも完璧でヴァリの足裁きは爽快。 グランフェッテは右足を90度近くまでスカッと綺麗に上げながら超高速シングルでほとんど位置もずれずにあっという間に回りきってしまった。 圧巻!
ヴァリエーションの二人はそれぞれに良かったけれど、軽快に踊っていたクリサノワがこの日は好みでした。
 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


とても楽しかった舞台だけれど、今ひとつ、自分が勝手に予測していたよりは満足感が足りなかったかな? (あ、でも、これはもう、ないものねだりの領域です・笑) あまりにも音楽が速くて、なんだかあっという間に物語が進んでしまった気がするし・・・。
最近はほとんど踊っていないであろうバジルを代役の代役で踊ってくれたベロゴロフツェフには感謝だけれど、バジルがフィーリンだったら、キトリとバジルが繰り広げるドラマにもっともっと観客を惹き込み酔わせるマジックがあったような気がしてしまって。 チケットを取った時には、ただの風船をアドバルーンくらいまで膨らませて期待をしちゃってたからねぇ。
あとは3幕の演出かな? 舞台上はまわりが貴族ばかりで、1幕、2幕と繋がりの薄い世界だったし、
エンディングがドンとサンチョを見送ってお終いだったのが物足りない。 やはりその後に街のみんなが出て来てやいのやいのと主役2人を祝福して大団円という演出の方が好きだな。 
結局、自分の中でボヤルチコフ版(ゲスト無し版)が最高に好きだな!と再確認・・・。 最後は街中の人々が幸せに満ち足りた感じで踊りまくって盛り上がるし、なんといってもエスパーダはどんなバージョンよりも見せ場が多くてかっこいいのさ!


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

キトリ/ドゥルシネア : マリーヤ・アレクサンドロワ
バジル (床屋) : ドミートリー・ベロゴロフツェフ
ドン・キホーテ (さすらいの騎士) : アレクセイ・ロパレーヴィチ
サンチョ・パンサ (ドン・キホーテの剣持ち) : アレクサンドル・ペトゥホーフ
ガマーシュ (金持ちの貴族) : デニス・サーヴィン
フアニータ (キトリの友人) : ヴィクトリア・オーシポワ
ピッキリア (キトリの友人) : オリガ・ステブレツォーワ
エスパーダ (闘牛士) : アンドレイ・メルクーリエフ
ルチア (街の踊り子) : アナスタシア・メシコーワ
メルセデス (踊り子) : マリーヤ・イスプラトフスカヤ
ロレンソ (キトリの父) : イーゴリ・シマチェフ
ロレンソの妻 (キトリの母) : アナスタシア・ヴィノクール
公爵 : アレクサンドル・ファジェーチェフ
公爵夫人 : エカテリーナ・バルィキナ
居酒屋の主人 : イワン・プラーズニコフ
森の精の女王 : アンナ・ニクーリナ
3人の森の精 : ユーリヤ・グレベンシチコワ,ネッリ・コバヒーゼ
          オリガ・マルチェンコワ
4人の森の精 : アレーシャ・ボイコ,スヴェトラーナ・パヴロワ
          チナラ・アリザデ,スヴェトラーナ・グネードワ
キューピッド : アナスタシア・スタシケーヴィチ
スペインの踊り : クリスチーナ・カラショーワ
           アンナ・バルコワ,エカテリーナ・バルィキナ
ジプシーの踊り : アンナ・アントロポーワ
ボレロ : アンナ・バルコワ,エフゲーニー・ゴロヴィン
グラン・パの第1ヴァリエーション : エカテリーナ・クリサノワ
グラン・パの第2ヴァリエーション : チナラ・アリザデ
この記事のURL | バレエ鑑賞記 2008年 | CM(0) | TB(1) | ▲ top
東京バレエ団「くるみ割り人形」 11月7日の感想
2008/11/08(Sat)
昨日の舞台の感想というか、いろいろと事情がありまして(笑)、はしょりまくりですが思ったままに書き連ねてみました。

<1幕>
ビム:高橋竜太
母:吉岡美佳
猫のフェリックス:松下祐次
M(マリウス・プティパ、メフィスト、M):首藤康之
妹のクロード、プチ・ファウスト:高村順子
光の天使:高橋直樹、野辺誠治
妖精:井脇幸江、西村真由美
マジック・キューピー:飯田宗孝
<2幕>
スペイン:氷室友、小笠原亮、宮本祐宣
中国 バトン:佐伯知香
アラブ:西村真由美、首藤康之
ソ連:田中結子、長瀬直義
パリ:高木綾、平野玲
グラン・パ・ド・ドゥ:小出領子、木村和夫

ベジャールの「くるみ割り人形」は初めて見ました。 この作品を紹介する写真に必ずと言って良いほど見られるあの大きなマリア像と普通の服のダンサーたち。 果たしてこの作品を違和感なく受け止める事ができるのか、作品の良さが分かるのか心配しての鑑賞でしたが杞憂でした。
もちろんたった一回の鑑賞で隅々にまで込められたベジャールの母やバレエへの思いやダンサーたちの思い入れなどがすべて感じ取れるわけはないのだけれど、また見たいと思えたのは自分にとって幸せなこと。
音楽は1幕はほとんど手を入れないままのチャイコフスキーの「くるみ割り人形」だったと思うけれど、2幕になるとアコーディオンの音を効かせたアレンジやシャンソンが入ってちょっとフランス風。
天井から降りてくる薄型液晶画面に映るベジャールの映像と彼本人のナレーションが随所で効果的に使われていました。

<1幕>
少年ビムがマーシャやクララにあたる主人公。 高橋さんは屈託のない元気なビムでした。 でも、意外と踊りが少ないんですね。 どっちかというと飼い猫のフェリックスの方が踊る場面はたくさんあるし、なんだか偉そうなんだよな。 ビムは友達でご主人様はあくまでもMという感じ(笑) フェリックスを演じた松下さんも軽快な動きとシャープな回転が良かったです。
Mの首藤さん、考えてみれば生首藤さんは初めてなんだ(スワンレイクも外したし・・・)。 均整の取れたスタイルのダンサーでちょうどいい程度にダークな香りがして彼の存在が舞台を締めてましたね! 
母役の吉岡さんはさまざまな顔を持ち次から次へと衣装も印象も変わる役を自家薬籠中の物にしているというのが初見でも確信できるほどにはまっている。 でも、肌色のレオタードで上半身裸のビムと絡む美佳さんは母というにはかなり妖しい香りが漂う(笑)
反転したマリア像の背中はパクッと開いていて、中にはマリア様が赤子を抱いている絵や綺麗な装飾が施されていたのにもびっくり。 非常にシンプルな舞台装置のなかでこのマリア像だけが強烈なインパクトを持っています。
一幕でとってもうけたのが、ボーイスカウトの場面で、上手から一人ずつ出てくるボーイスカウトがあのバヤデルカの影の王国の出だしと同じポーズをとっているところ。 M・プティパですからね、バヤデルカは!

<2幕>
スペインの3人は闘牛士というにはちょっとかわいすぎる気もするが、それぞれに頑張っていたと思います。 そこに牛の頭がついたカートのようなものを押して現れたMが闘牛士を蹴散らす(確か・・・)。
中国 バトンって何だろうと思ったら濃紺の人民服っぽい衣装の佐伯さんがバトンを回しながら踊っておりました。 そして同じく濃紺の人民服を着た3人の男性が自転車に乗って登場。 やっぱり一昔前の中国の印象っていうと自転車なんだよね。 ベジャールにとってもあの道幅の広い大通りを大勢の人が自転車に乗ってわぁ~っと走っているイメージなんでしょうね。 
アラブは濃いオレンジのレオタードの西村さんが色っぽくて素敵でした。 ここではマジシャン役のMの首藤さんのアシスタントを務めるタキシード姿の奈良さんがかっこいいのよ! ただ、後のほうでの踊りで彼女の動きが微妙に音に遅れがちなのが残念だったなぁ。 
ソ連はあの国旗を久しぶりに見たなぁなどと思いつつ見ていたのだけどけっこう印象が薄い。 
葦笛を踊った猫のフェリックスの松下さんはここでも回転がとってもシャープ。 
パリはこの版のオリジナルですが、平野さんの流れるような身のこなしが良かった。
グラン・パ・ド・ドゥは小出ちゃんと木村さん。 木村さんはにこやかな笑顔を作れば作るほど不自然な感じに見えるんだな(ファンの方、すみませぬ)。 踊りは絶好調のようで体がとても軽そうに見える。 小出ちゃんもそつのない落ち着いた踊りで二人の呼吸もこの日はとても合っていたように思います。 そうそう、それぞれの踊りをタキシードを着た8人の男性が見ているんだけど、木村さんのときはしら~っとした感じ、小出ちゃんのときは眠りの4人の王子の雰囲気でした。 ここにもクリギンの役の人がちゃんといるのね(笑)
ジゼルばりのロマンティックチュチュに身を包んだ光の天使の高岸さんと野辺さんはでかくごついうえに、女装にもかかわらず髭つきといういでたちで・・・。 でも、意外と動きが優雅でしたね(笑)

舞台は1幕の出だしのシーンに戻りビムが夢から目覚めてエンドとなるのですが、冒頭と違い父Mが息子のビムの事をとても温かい目で見ているような感じがしました。
この記事のURL | バレエ鑑賞記 2008年 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
東京バレエ団「ジゼル」 9月11日の感想
2008/09/23(Tue)
<1幕>
なぜかこの日のヒラリオンを木村さんと勘違いしていた私は、出てきたヒラリオンを見て、いつもよりオーバーアクション気味な彼に陽気じゃんと思い、ちょっと顔がふっくらした?なんて超間抜けな事を思ってしまったのです。 ごとやんだったんだと気づくまで1分くらいはかかったかも。 

マラーホフ、また少し華奢になったように感じたけれど、この人の脚の美しさは何度みてもため息が出るほどです。 短めの髪のせいか2年前の舞台よりも若々しい気がする。 もう出てきた瞬間から彼の頭と心の中にはジゼルしかないし、目線はすべてジゼルに繋がるものに注がれている感じ。

小出@ジゼルの登場。 飾り気のない普通の村娘でたんぽぽみたいに暖かい感じの可愛らしいジゼルで病弱というイメージはほとんどなし。 けれどもアルブレヒトに寄り添う姿は控えめで恥らいながら慎ましやか。(ただ黒のアイラインで強調しすぎたアイメイクのせいか、照明のあたり具合のせいか時々すごくやつれて見えたのが惜しかった。) ベンチでアルブレヒトに隣に座られると自分の今の気持ちをどうアルブレヒトに返したらよいのか分からないという感じで居心地が悪そうで、恋しい人を目の前に不器用そうにも見えるジゼルの仕草が、何気ない仕草一つとっても優しく洗練されているアルブレヒトとは対照的。 ヒラリオンが戻ってきてひと悶着あり、ジゼルがヒラリオンを拒み、ぶどう狩りの娘たちに混じって大好きな踊りに興じだしたあたりから、ジゼルがアルブレヒトへの思いを素直に心のままに表すようになったように感じた。
小出さんのヴァリは可憐で軽やかで、いつもながら音楽性があってとても良かった。 マラーホフのアルブレヒトはそんなジゼルが愛しくて仕方がないという感じでもう夢中。

ジゼルの母親が家から出てくる。 母親に対してはとびきり甘えん坊のジゼルだわ。 ジゼルが紹介したアルブレヒトを母親の直感で娘から遠ざけようとするベルタ。

狩の一行がやってきてジゼルの母親に飲み物を所望する。 コップをテーブルに置きながらも横目でずっと華やかなバチルダを追っているジゼルの表情が印象的だった。
得意の踊りを披露しようとした時に母親から心臓に悪いから踊ってはいけないと諌められたときの落胆した表情、バチルダから踊りを見たいと言われた時の輝くように嬉しそうな顔。 本当に踊りが好きでたまらない小出ジゼル。 

ぺザントの踊り。 女性は良いのだけれど男性陣は中島&平野の茶色組と松下&長瀬の緑組の差が技術、雰囲気ともにありすぎだった。 古川さんと大島さんの穴は大きいですね。 上半身と腕は中島さん、ジャンプした時の脚は平野さんと二人を交互に見ていたらけっこう目が疲れてしまった(笑) 女性では平野さんと踊っていた吉川さんに目が留まりました。
ジゼルの友人の踊りを見ていて急に大島由賀子さんを思い出し、寂しくなってしまいました。 彼女のあの癒しの踊り、大好きだったんだよな。 この日は西村さんの優雅な踊りが良かったです。 

村人たちに囲まれ幸せそうに寄り添っているジゼルとアルブレヒトの間にヒラリオンが割って入り、ジゼルに向かってアルブレヒトは貴族でおまえは騙されているんだと言い放つ。 ヒラリオンがアルブレヒトから奪い取った剣の紋章を見て、どこか違う人だと思ったけれどまさか貴族とは・・・というような驚いた顔をしていたベルタの表情もなかなか。 
周辺を散策していた貴族たちやジゼルの家から出てくるバチルダを認めたアルブレヒトのうろたえは気の毒なほどだった。 ただアルブレヒトにとってバチルダは家同士が決めた許婚であり結婚は当然の事として受け止めていても、自分が心底愛しているのはジゼルなので、バチルダになんと繕おうというよりもジゼルをどう守ろうといううろたえに見えた。 バチルダの手をとってもジゼルの見ているところでは儀礼的な口づけさえできず、ジゼルが駆け寄るのを待っているようだった。
すべてを知ったジゼルはあまりの事に首飾りをすてて倒れこんでしまう。 悲しみで気を失いそうになりながらもアルブレヒトとの幸せな時間を思い出し、それをかみ締めるように花占いを始めたジゼルの大きく見開いた目が見る見るうちに潤んでいった。  
最後はアルブレヒトに向かって駆け寄ったというより、何かもっと遠いところにあるものに追いつこう、掴もうという感じで高く跳ね上がったところをアルブレヒトに抱きとめられ事切れて倒れた。
ジゼルを亡くしたアルブレヒトの嘆きは凄まじく、第2の狂乱の場が始まるのではないかと思うほどの動揺だった。

<2幕>
ミルタの井脇さんのパ・ド・ブーレは相変わらず床を滑るような細かさと速さ。彼女の登場とともに薄気味悪い森の空気がいっぺんに冷気を帯びるような気がする。
ウィリたちの踊りは以前と比べると足音も小さくなったけれど、初日のせいかばたついている感は否めなかった。
ウィリになった小出さん、復活の旋回も無事にこなし空気を優しく切りながらの柔らかな踊り。

百合の花束を抱きかかえ、ジゼルの墓を探すアルブレヒトは憔悴しきっていて彼女のお墓にたどりつく前に倒れてしまうのではないかと思うほどで悲愴感が漂っていた。 

ジゼルとアルブレヒトの踊りは1幕とは打って変わって幻想的で静かな情熱が感じられる。 それぞれの伸びやかでラインの綺麗な踊りは素晴らしく、またマラーホフの磐石のサポートを受けて小出さんがたゆたう様は全く体重を感じさせずまさしく精霊だった。

ジゼルとアルブレヒトが姿を消すと、ウィリたちが捕らえたヒラリオンをミルタの前に連れて来る。 彼は俺は何にも悪いことはしていない。 悪いのは全部あいつじゃないかと必死にミルタに訴えながらも自暴自棄なヒラリオン。 なんというか後藤さんの踊りはわりと重い感じなのですが、その重めな感じが苦しいのに無理やり踊らされてる感じをよりリアルにしていたような・・・。 命乞いも空しくヒラリオンは二人のウィリに両脇を抱えられ沼へ突き落とされる。 
ミルタがジュテを繰り返し袖に消え、ドゥ・ウィリも冷ややかな表情で消えて行き、その他のウィリたちが次々に後に続いて下手に消えていく。 ここもウィリたちが本当に冷淡でなかなか怖いなと思うのだけれど、全員が消えたと思いきや踵を返すごとく次の獲物であるアルブレヒトを取り囲んで舞台に戻ってくるところが異様に恐ろしい。

ジゼルとアルブレヒトのパ・ド・ドゥ。
小出さんの踊りはまるで彼女の体が旋律を生み出しているようで、その音楽性が一層際立っていたと思う。 一方のマラーホフは跳躍も高く、彼らしい背中の柔らかな反りも健在で優雅で美しい。 それでも踊り終わって倒れ込む時はもうこれ以上踊る力は残っていないというほど激しく倒れこむので頭を打つのではないかと冷や冷やするほど。 ミルタに吸い寄せられるように速度を上げていくブリゼは見事で、自身の命乞いではなく、どうかこのままジゼルと自分を2人だけにして放っておいて欲しいと懇願しているようだった。

夜明けを告げる鐘がなってもジゼルはこれでアルブレヒトの命が助かったのだという事に思い至らないのかにわかには表情が変わらないけれど、ようやくアルブレヒトを守り抜いた、自分のするべき役割は終わったというような安堵の表情を見せる。 その微妙な表情の変化が素晴らしかった。
倒れているアルブレヒトの肩を優しく抱きかかえるジゼルは、彼の温もりを感じ、アルブレヒトへの想いを残しながら永遠の別れを告げているように見えた。
ジゼルの気配を感じる事のできなくなったアルブレヒトの表情がどんどん悲痛さを増し、まるでジゼルを求めてすがるように墓に手を滑らせながら立ち上がり、腕にかき集めた百合の花を、ほとんど生気もないままに一厘ずつ落としながら後ずさりし力なく倒れこむ。
これほどまでにジゼルを失った悲しみと苦しみに打ちのめされ、心を壊してしまったアルブレヒトを見たのは初めてで、しばらくはこちらも放心してしまいました。


2年前にヴィシニョーワと見た時には繊細で激情的なマラーホフのアルブレヒトは好みではないとまで書いていた自分が信じられません・・・。 しかもその舞台の後、ジゼルを全く見ていなかったので、2年の月日を挟んでいるとは言えマラーホフのアルブレヒトを連続で見ていることになります・・・。
彼の描きあげるアルブレヒトは変わっていないはずなのに、今回なぜこんなに感動したのか・・・。 パートナーに酔い自分に酔う陶酔度が若干低くなり、毒気と感じられていたようなものが小出さんに上手く吸収されたのか、自分に微妙な変化があるのか理由はわかりませんが、また是非彼のアルブレヒトが見たいと思った舞台でした。 舞台って本当に不思議で素晴らしいものだなと・・、これだから止められないんですよね。
この記事のURL | バレエ鑑賞記 2008年 | CM(2) | TB(0) | ▲ top
マールイ「華麗なるクラシックバレエ・ハイライト」9月3日の感想
2008/09/10(Wed)
<第1部>
「レ・シルフィード」 音楽:F・ショパン/A・グラズノフ編曲 振付:M・フォーキン
草刈民代、イーゴリ・コルプ、
オリガ・ステパノワ、タチアナ・ミリツェワ、レニングラード国立バレエ

コルプを中央に草刈さんとステパノワが彼に寄り添い、ミリツェワが足元に寝そべっている。 コルプの表情が・・・。 すでに幻想の森を一人で彷徨い出しているかのようにいってしまっている目と口元。 大丈夫だろうか?
さいたま公演に続き、ステパノワは磐石。 旋律に乗って少しひんやりとした空気を纏いながら凛とした踊り。 ミリツェワちゃんは優しげに軽やかな踊り。
お互いに手探り状態のような感じの草刈さんとコルプはなんとなくしっくりこない。 リフトなどのタイミングを計るのも難しいのか、コルプのブラウスのリボンはほどけちゃうし、持ち上げる姿も辛そうだし。 彼の踊りのしなやかさは流石と思うけれど、好調とは言いがたいかな? 来日直後に襲われたら誰でも具合悪くなりそうな超不快な蒸し暑さでしたからね。
コール・ドは・・・、ちょっとショックでした。 さいたま公演は20列目のセンターで見ていて、舞台から遠いせいもあってそれなりにまとまっているように見えたのだけれど、この日はオペラグラスがなくても表情までわかる7列目、アームスの動かし方や足の運びが乱れているのがけっこう気になりました。 まとまりがないのは踊りではなくて気持ちなのかもしれない・・・・。 
今年の1月の公演で初来日だったメンバーがちゃんと定着してくれると良いのだけれど。
来年の東京公演は1月7日のジゼルから12日の白鳥まで6日で8公演という厳しいスケジュールも組まれているので、大変でしょうけれど、マールイのコール・ドとしての真価を発揮してくれますように。
この日はシシコワは真っ先に見つけました♪ で、ご贔屓の癒し系カミロワがバッチリきりリメイクでちょっと別人みたいだったよぉぉぉ。

「ルースカヤ」 音楽:P・チャイコフスキー 振付:A・ゴルスキー
イリーナ・コシェレワ
ロシアの民族衣装のロング丈のスカートにココシュニックをつけたコシェレワがと~っても可愛い。
いかにもコシェレワらしい端正な腕の動きや足捌きからも、今までには感じた事のない内から静かに燃え上がるような感情が見えたように思う。 それでいながら大地のような大らかさも感じられて本当に魅力的だった。 この作品、4分強?を一人で踊るとかなりタフな踊りですよね。
バレエ団からの期待に応えて結果を残しながら地道に歩んできた彼女が、花開いてキラキラしていますね。
是非、1月のミハイロフスキー劇場ガラでも踊って欲しい。 

「ライモンダ」よりパ・ド・ドゥ  音楽:A・グラズノフ 振付:M・プティパ/K・セルゲーエフ/F・ロプホフ
オクサーナ・シェスタコワ、ドミトリー・シャドルーヒン
シャドルーヒンの髪がさいたまからはかなり伸びて刈り上げ君を無事卒業!(笑) ボリショイ組を見た後だとやっぱりシャドにマントが欲しいかな! 
シェスタコワは良かったと思うけれど、シャドルーヒンが少しお疲れなのか、サポートは万全なもののヴァリに精彩がなく、彼には珍しくアームスの動きがぞんざいだったけれど、2人寄り添う雰囲気は本当に幸福感に溢れていますね。


<第2部>
「海賊」よりパ・ド・ドゥ  音楽:R・ドリゴ 振付:M・プティパ/V・チャブキアーニ
イリーナ・コシェレワ、 ミハイル・シヴァコフ
この日のシヴァはいつものブルーのパンツに羽つき(さいたまは臙脂がかった深紅のパンツで羽無し)。 コシェレワも今日はブルーかと思いきや、変わらずピンクのチュチュでした。
コシェレワのメドーラは清楚な中にも匂やかな色香があってキラキラしてました。 踊りの方はルースカヤからあまり時間が経っていないせいか、少し足元が定まらなかったかな? グランフェッテはかなり動いてしまったけれど、そんな事より途中から起こった手拍子が嫌でした。 東京公演で手拍子とは思わなかったな・・・。
シヴァコフは優しさ溢れるアリ。 ちょっとソフトすぎて昔の少し不敵なアリが懐かしくもあったけど、マネージュとジャンプのコンビネーションはとても良かったと思います。 ただ、コーダが若干ぬるかったかな? 上手奥から斜めに進みながらジャンプを入れてくるところ、あそこはもう少し俺様顔でシャープに決めないと・・・、ね!

「瀕死の白鳥」 音楽:C・サン=サーンス 振付:M・フォーキン
草刈民代
草刈さんは観客に背を向けて腕を波打たせながらのご登場。 
仕方がないのでしょうが、膝がかなり割れてしまいますね・・・。 途中、苦痛の表現がオーロラやジゼルのような感じであまり瀕死の白鳥の世界に入り込めませんでした。

「ワルプルギスの夜」  音楽:C・グノー 振付:G・コフトゥン
タチアナ・ミリツェワ、ドミトリー・シャドルーヒン、アンドレイ・マスロボエフ
ツアー途中では短縮バージョンで上演される日もあったとの事で東京公演はどうなるのだろうかとちょっと気をもんでいましたが、通常バージョンでの上演で嬉しかったです。
初日と比べるとリフトに安定感が出て、ハラハラする部分はなくなりました。 その分、それぞれのキャラクターを楽しみながら演じている感が強くなって作品としてもとても良くなった。 ミリツェワは妖艶な悪魔だわね。
ただ3人3様しっかりとキャラが立っていたエフセーエワ、シャド、フィリモーノフという絶妙トリオと比べるとパンチが弱いのが残念。
レヴェランスではミリツェワとマスロボエフが去った後にシャドルーヒンが一人で出てきて愛嬌をふりまいていました。 この役のシャドルーヒンって大好きだわ!

「サタネラ」よりパ・ド・ドゥ 音楽:C・ブーニ 振付: M・プティパ
サビーナ・ヤパーロワ、アンドレイ・ヤフニューク
ヤパーロワちゃん、さらにキュート度アップでキラキラしてます。 彼女は瞳と口元をゆっくりめに動かすのかなぁ? 自分でも嬉しさをかみ締めながら微笑んでいるように見える! 音を上手にとりながらきびきびとした思い切りの良い踊りがとてもいい。
ヤフニュークはさいたまよりもこの日の方が踊りが柔らかで安定していたと思います。 相変わらずチークは位置と色が変だけど(笑)。 あとは演技とサポートをこれからみっちり特訓かな? ヤパーロワちゃんに抱きつくラストがスローな動きとまじめなお顔で少々がっかり・・・。 あまり身長が高くないので、基本的にはロマチェンコワやミリツェワが限界だろうと思うけれど(本当にペレンと組ませるんですか??)ノーブル路線の良いダンサーが一人増えてヴァラエティー豊かになりますね。

「パキータ」より  音楽:L・ミンクス 振付: M・プティパ
草刈民代、イーゴリ・コルプ、
ステパノワ、コシェレワ、ミリツェワ、ジュラヴリョーワ、レニングラード国立バレエ

コール・ドはこちらもあまり踊りなれていないような・・・、といってもツアー中ずっとあったわけだし・・・。
コシェレワとステパノワの並びに心から幸福感を感じます。 今回のツアーは私的にはこの2人。
リュシアン@コルプの登場。 鮮やかな赤い上着が目に眩しい!! で、草刈さんに近づき妖しく官能的ムードたっぷりにいきなり肩にキス・・・。 おいおい、お貴族さま・・・。
そういえば、先日の朝日新聞に載っていましたが、草刈さんはさいたま公演のパキータのコーダの前は本当にいっぱいいっぱいだったらしいのです。 それでなんとか立て直そうと思ってスタッフにアンモニアを持って来てもらって、その匂いを気付け薬に最後のピケターンを周り切ったのだそうですが、この日のコルプのキスは気付け薬どころではなかろうよ・・・。
あれってアドリブだと思うのですが(前日もやったのだろうか?)、それを平然と受け止めて微笑みを返した草刈さんは凄い!
コルプのヴァリは素晴らしかったです。 しなやかで伸びやかで、かつダイナミックで美しいライン。 今回はコルプらしい美しさを見られないのかと思いましたが、ここでようやく!
女性のヴァリエーションはコシェレワ、ジュラヴリョーワ、ステパノワ、ミリツェワ。 さいたまでは踊らなかったミリツェワの彼女らしいきっちりした踊りを見られて良かった。 コシェレワとステパノワも本当に堂々としていて素晴らしい踊りでした。 ジュラヴリョーワは、まだ一人で一生懸命踊っているという段階で、キューピッドのヴァリだけに、やはりシシコワに踊ってもらいたかったです。


カーテンコールはコルプが加わった東京仕様なのかな? あっさりしていたさいたまよりもエキサイティングでした。
順番は忘れましたがシェスタコワ&シャドルーヒン、ヤパーロワ&ヤフニューク、ミリツェワ&マスロボエフ、コシェレワ&シヴァコフがそれぞれの演目の衣装でペアで登場。 地方ではずっと一人だったかもしれないコシェレワをにこにこしながらエスコートするシヴァが可愛い♪  が、今回はオーリャが一人だったのが淋しかった・・・。 諸事情があるにせよ、2日間の東京公演にプハチョフが出られないというプログラムはやはり納得いかないな! 
ひととおりレヴェランスが終わったところで、一度はけて今度はジュテ、ピルエット、フェッテ合戦。 和やかなフィナーレでのパフォーマンスとは思えないオーリャの鉄壁なフェッテと挑むような目つき(ちょうどオーリャの正面だった)がとても印象的だった。 さいたま、東京の2公演で、ステパノワの持っている卓越したテクニック、的確な表現力、どんな状況でもバレエに対してまじめにひたむきに向かい合う彼女の人となりに改めて感心させられた気がします。
そして!、またみんなに再会できる日を楽しみに待ってま~す♪
この記事のURL | バレエ鑑賞記 2008年 | CM(2) | TB(0) | ▲ top
中越沖地震チャリティーバレエガラ 9月1日(新宿公演)第2部の感想
2008/09/06(Sat)
<第二部>

「アダージョ」
アンドレイ・メルクーリエフ
公式ブログによれば、振付:アレックス・ミロシュンチェンコ ,音楽:J.S.バッハで、TOSHIの歌にインスパイアされたメルクーリエフ が桶川公演から急遽プログラムに追加した作品だそうです。 TOSHIの歌を聞いていないので果たしてどんな部分に感銘を受けたのか気になるところ・・・。
透け感のある白っぽいTシャツみたいな上衣にサッラサラの金髪をなびかせて、それだけでも反則ですね!(笑) 音楽を纏いながら伸びやかに踊っていて素敵でした。

「マタハリ」 
ユリヤ・マハリナ、イリヤ・クズネツォフ
このガラを共催しているJIC旅行センター関係のPerforming Artsさんのブログによれば、「この作品は第一次世界大戦時にパリで活躍した伝説的な女スパイ、マタ=ハリを主役に、彼女に魅せられた二人の将校との三角関係を描いた作品」だそうで、そこからの1シーンですね。
こちらもその美貌で男たちを惑わせた女性の役ですが、ゾベイダより冷ややかでしたたかな感じ。 クズネツォフは切ない愛に満ちておりました・・・。 濃いときは特濃厚、でも役によっては純白になれるこの人は本当に役者さんですね。 来年のマリインカの来日では何を踊ってくれるんだろう?

「海賊」 より奴隷のパ・ド・ドゥ
寺島 まゆみ、芳賀望
まゆみさんの踊りは思い切りが良くて見ていて気持がいい。 ギュリナーラのこの振付が彼女の踊りの質にとても合っているのではないでしょうか? 売られちゃうのに笑みだったのはちょっと気になったけど、ガラの時は仏頂面よりはいいのかもしれませんね(笑)。
芳賀さんは思ったより身長があったなぁ。 まゆみさんを売り飛ばす気満々の演技がとても良かったです。 踊りも熊川仕込といいますか・・・、しっかりしていますよね。 
アリがマイレンで、ランケデムが芳賀さんで、メドーラもギュリナーラもたくさんいそうだから、問題はコンラッドだな! 新国で是非「海賊」を!! 
 
「IL PREUT」
松崎 えり、大嶋 正樹
どうも、こういうダンスは得意ではないのですが、眠気には襲われませんでした。 もちっと短いとありがたいかも・・・。
5月の松本バレエ団の白鳥でも降板せざるを得なかった大嶋さんが見事にカムバックして調子も良さそうで良かったです。

「カルメン」
アンナ・パシコワ、イリヤ・クズネツォフ
パシコワはこういう情熱的な踊りが得意なんですかね? 2年前にロシア・インペリアル・バレエがルジマトフと一緒に公演したときに「ダッタン人の踊り」のチャガと「ワルプル」のニンフで見ているのですが、エネルギッシュでとても良かった記憶があります。
ただ、カルメンは何と言っても悩殺する足がすべて!だと思うので、極上の足(私にとってはパリオペのシオラヴォラ)に巡り合うのはなかなか簡単な事ではないですね。 イリヤッチはお疲れ様!という感じです。

「ロミオとジュリエット」 よりバルコニーのパ・ド・ドゥ
オクサーナ・クチェルク、イーゴリ・イェブラ
2年半ぶりに見るクチュルクは相変わらず可憐な美人。 お化粧や雰囲気もフランスに行っていっそう洗練された気がします。 前方へ、後方へと細かく速いステップを刻みながらはにかむ様子は、少女が初めて経験する自分でも驚くほどの鼓動の高まりに戸惑いながらもロミオと至福の時を過ごしている喜びを十分に表現していて素晴らしかったです。 そのジュリエットの思いを受け止めるイェブラのロミオも若々しく爽やかで、なんといってもジュリエットを見つめる瞳が愛に溢れていて優しい。 パフスリープのブラウス姿もとても似合って魅力的なロミオでした。
今日一番のキラキラな二人! 二人を主役にボルドーバレエ団がロミジュリを持って来日してくれないかなあ! 
あと、ミハリョフは元気かしら?
番外編ですが、クチェルクが登場した瞬間から前方に座っていたマールイ軍団の落ち着きが急になくなってきまして、ブラボーの声もかなり大きめ!(笑) みんなも久々の再会で嬉しかったんだろうな!

「瀕死の白鳥」
ユリヤ・マハリナ
近年よくみた瀕死は、観客に背中を見せて流れるような腕の動きを見せて登場してくるものが多かったので、今回のマハリナのように横を向いて腕を体の前でクロスさせて出てくる白鳥はすごく久しぶりに見た気がして新鮮だった。
死を目前にしても匂やかなマハリナの白鳥は、必死になって生きようとしているようには見えないけれど、死を受け入れないというような毅然さを貫きながら事切れていったように感じた。 とても素晴らしかったです。

「ドン・キホーテ(組曲)」
ガリーナ・ステパネンコ、アントン・コルサコフ、アンドレイ・メルクリエフ、イリヤ・クズネツォフ、イーゴリ・イェブラ、エレーナ・コレスニチェンコ、アンナ・パシコワ、&ゲジミナス・タランダ、長澤美絵、小川恵瑚
もう、めちゃくちゃ楽しかったです。
居酒屋のシーンから始まって結婚式のGPDDへと繋がっていくのですが、ここまでダンサーたちが自由に楽しそうに踊って演技をしていると、4公演のフィナーレ兼アトラクションみたいで、もう好きなように気の済むまで楽しんでください!という感じでした(笑)
一番の収穫はマールイにいた時に見ることはできなかったメルクーリエフのあの伝説のエスパーダを見られた事かな? 凄いジャンプの高さでしたね! 
で、彼のエスパーダを一番夢中になって見ていたのは多分シヴァコフではないかと! 後ろのお客さんには迷惑にならない席でしたが、思いっきり前に身を乗り出してかぶりつき状態でしたから(笑) 
コルサコフの不調による脚本変更か? ステパネンコ演じるキトリを男性陣が取り合うようにしてサポートしていたのも面白かったです。 コレスニチェンコとパシコワの女の闘いもブラボーでした。 あれは大道の踊り子とメルセデスか?(笑) そして大ラスには芸術監督のタランダがガウチョを披露して舞台をさらに盛り上げてくれました。 かなり恰幅がよくなっていましたが、どうしてどうして見事な足捌きでした。 タランダの足技を見ながらブレクバーゼとっつぁんの騎兵隊を思い出したのは私だけだろうか? いつかとっつぁんのガウチョも見たいなぁ!
そうそう、Tシャツに着替えたクズネツォフは最後に芋虫ダンスを見せてくれましたっけ! あれも大笑いだった。

芸術監督のタランダさん、ダンサーの皆さん、ダンサーを束ねてくれたイリヤッチ、楽しい舞台をありがとう!
公式ブログは公演後もデビルだの天使だのと更新が続いていますが、ダンサーたちにもこの企画は本当に貴重な経験となったようですね。
この記事のURL | バレエ鑑賞記 2008年 | CM(2) | TB(0) | ▲ top
中越沖地震チャリティーバレエガラ 9月1日(新宿公演)第1部の感想
2008/09/05(Fri)
<第一部>

「眠れる森の美女」 よりグラン・パ・ド・ドゥ 
寺島 ひろみ、アンドレイ・メルクーリエフ
寺島ひろみさんは新国で何度も見ているので彼女が優秀なバレリーナだという事は十分承知していますが、今回のオーロラ姫は手首の動きと手(指)の形が美しくなく、 ステップにも妙なアクセントが多くて好みではありませんでした。 
メルクーリエフがパの繋ぎが流れるように美しく伸びやかな踊りのキラキラなデジレ王子だっただけに寺島さんにはもう少し成熟したオーロラ姫を普通に踊って欲しかったなぁ。

「薔薇の精」 
さいとう 美帆、アントン・コルサコフ
コルサコフの衣装は臙脂がかった赤。 コルプの鮮やかなローズとも違うしルジマトフの衣装とも違う。 同じマリインスキーでもいろいろなんですね・・・。
最初っから目を開けてにこにこ微笑んでいるさいとうさんからは夢の中でという感じがあまり伝わってこなかったし、 二人とももう少し幻想的でロマンティックな雰囲気が出せると良かったと思う。
キューピッドなバラの精という感じの色白で童顔のコルサコフは背中のテーピングが痛々しいけれど、スポーツ選手ならなんとも思わないテーピングもクラシックバレエのダンサーだと現実に引き戻されるので微妙です。 でもあの衣装じゃなければ分からないんだから彼にはお気の毒でしたね。

「NE ME quittes pas~行かないで」
アンナ・パシコワ 
振り付けとアンナ・パシコワの雰囲気がよく合っていたように思う。
あなたがいなくても大丈夫という強がりの中に隠しながら、行かないでという張り裂けそうな気持ちをぶつけているように見えた。

「白鳥の湖」 よりグラン・アダージョ
ダリヤ・スホルコワ、 シリル・ピエール
スホルコワは2006年のマリインスキーの来日で初めて見たバレリーナで、当時からちょっと儚げで独特の雰囲気を持っていた彼女には白鳥のコール・ドの中でもなんとなく目が行ってしまったのだけれど、まさかオデットを見られるとは思っていませんでした。 このオデットの行く末には絶対幸せはないなという薄幸な空気に包まれていましたが、丁寧に情感たっぷりと踊っていて好ましかったです。
ピエールの衣装はくるみ割り人形なら・・・と思うような軍服系でしたが、優しくて万全なサポートは見ていて気持ちがいいですね。 ラカッラ以外と踊るのは初めて見ましたが、この二人、とても合うような気がする。

「ドン・キホーテ」 よりジプシーの踊り 
高橋晃子
桶川公演のリハーサルで怪我をしたと聞いていたので、なんとなく恐る恐る見ていましたが、大丈夫なようでした。 踊りも演技も上手いと思うのだけれど、東バの全幕公演で美佳さんのジプシーを見たばかりなせいもあり、笑顔の多い高橋さんのジプシーにちと違和感。

「ライモンダ」 第1幕のパ・ド・ドゥよりアダージョ
ガリーナ・ステパネンコ、アンドレイ・メルクーリエフ
やはりアダージョだけでしたね・・・、残念。 
2006年のバレエフェスで二人でライモンダを踊ったときは、メルクーリエフがボリショイに正式移籍する前でステパネンコに対して気後れしているようにも見えたけど、2年経った今では立派なもんです!
ステパネンコはさすがの貫禄だけれど、かわいらしくも見えて素敵なダンサーだなぁぁぁ。

「くるみ割り人形」 より金平糖の精の踊り
アリヤ・タニクパエワ
最後まで日本人だと思って見ていた私・・・。 国籍はわかりませんがウィーン国立歌劇場のダンサーなのですね。 メリハリのある踊りで悪くなかったと思いますが、なんだか場つなぎみたいで・・・。 

「シェヘラザード」
ユリヤ・マハリナ、イリヤ・クズネツォフ
会場でキャスト表をもらったのは第1部の後の休憩時間だったので、マノンではなくシェヘラザードの音楽が流れ出したのにも驚いたし、マハリナが出てきたのにもびっくり! 何度もオペグラで確認してしまった。
マハリナのゾベイダは妖艶で蠱惑的だけれど、自身を解き放つ喜びにも満ちているような彼女からは無邪気で純粋な少女のような可愛いらしさも感じられて、ともかく全身からいろいろな芳香が放たれているようでした。 
一方イリヤッチの奴隷は初めて見ましたが、思っていたより怪しいフェロモンが濃くはなかったです(笑)。 それどころかゾベイダへの忠誠心にも似た愛をとてもまっすぐ真剣に表現していたように感じました。 踊りの切れはそこそこだったかな?
この記事のURL | バレエ鑑賞記 2008年 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
東京バレエ団「ドン・キホーテ」 8月20日の感想
2008/08/29(Fri)
<プロローグ>
すっかり忘れていたけれど、東バの「ドンキ」はプロローグでキトリとバジルが登場してしまうんでしたっけね。 念入りにドンの髭をそっているバジルにイライラのキトリ。 ウヴァの落ち着き払って慣れた感じの手つきがなかなか(笑)

<1幕1場>
ポリーナちゃんは慣れのなさから来るぎこちなさや音楽にのれないところが少しあったけれど、彼女の持つキトリのイメージをしっかりとお芝居で表現し、終盤のスピードにのった見事なフェアテなど、テクニック的な面も全く問題がなかったと思います。

ウヴァーロフは出だしから調子が良さそうです。 彼のバジルはザハロワと組んだ新国で2度見ていますが、この日は調子云々よりも本人がとても楽しそうに生き生きしていて、この人って本来こういう輝きを見せるダンサーなのだとようやく気づいたように思います。 特に序盤は一生懸命キトリを演じようとして奮闘しているポリーナをさりげなく後押ししているようで好感度もかな~りアップ。 片手リフト二回とも危なげなくこなしていたし、踊っている時のフォルムがとっても流麗。 タンバリンもライナー性の飛びっぷり(笑)

木村さんのエスパーダ、軸のぶれない回転もスピードのある跳躍も体のラインがとても綺麗です。 バットマンの時に振り上げられる足の上がり方と爪先まで一直線に伸びた形がとても美しい。 木村ウォッチャーではないけれど、彼は髪型が鬼門のようで、この日もどう攻めてくるかけっこう期待していたのですが、7-3でちょっと前髪上げてみました程度のオーソドックスバージョン。 つまらん!(笑)

メルセデスの井脇さんは美しいだけでなく、ごく自然な役作りの中にも目力の強さや姐さん的な大らかさも兼ね備えていて非常に魅力的。 木村さんとも大人な2人でいい感じ。

キトリの友人の小出ちゃんと高村さん。 高村さんは小柄だけれど体のバランスがとても良くて見栄えの良いバレリーナ、踊りも良かったです。 一方小出ちゃんはいつものように音楽をよく捉えて彼女らしい端整な踊りなのだけれど、なんとなくいつもより控えめな感じだったかな?

その二人の踊りの後にジュテで再登場したウヴァーロフ、怪物のようにデカイ人に感じてしまったよ・・・。

そして・・・・、細長いつけ鼻の平野@ガマーシュがのっけから可笑しいったらありゃしない。 キトリとバジルが中央で踊っている時に宿屋の前のテーブルでドン・キホーテと並んで座りながらキホーテにジェスチャーたっぷりにいろいろ話しかける様子や、メヌエットを相手の迷惑も考えずにもの凄い内股で踊って小出ちゃんを怒らせたりと自分の体のありとあらゆるパーツを使って常にガマーシュである事を忘れない平野さんから目が放せなくて困りました。
 
<1幕2場>
バルセロナの広場を抜け出したキトリとバジルはエスパーダとメルセデスと共にジプシーの野営地にやってくる。 ジプシーの踊りのメンバー、1場の闘牛士でも感じたけれど前回のドンキよりも平均身長伸びたかな?
力強くタンバリンを叩きながらも木村さんの体のラインは常にシャープで綺麗で良かったです。 踊りも雰囲気も彼は一本気で律儀なエスパーダなんですよね。 もうちょっと遊び心があっても・・・と思わないでもないけれどこれが木村エスパーダなんだろうな。 オレ様光線がどこまでも突き抜けていきそうなロシアンエスパーダを懐かしく想う(笑)。 
美佳さんのジプシーの女は、なんて言ったらいいんだろう? 井脇さんのジプシー女がどんな時にも
自分を強く持つようなタイプだとしたら、美佳さんのは薄幸な運命をそのまま受け止めて流れに任せて
生きているという感じかな? 
ポリーナ@キトリはエスパーダが踊っている時にジプシー女の身の上話?を真剣に聞いてあげてましたね! ここの芝居、なんだか好きなんですよね・・・(笑) その次に好きなのがドン・キホーテが乱心してからのリアルな雷の轟。

<1幕3場>
ドリアードの西村さんは温かみのある華やかさを持った人。 回転系が少しだけ弱いのが残念だったけれど、上半身や腕の動きは優雅だし、ピケアラベスクなどのラインはきっぱりしていてとても綺麗でした。
キューピッドの佐伯さんは滑らかながら小気味のいい動きで音楽にぴたっと合っていて気持ちの良い踊りだった。
ポリーナのドルシネアは堂々たるもので、客席へのアプローチも完璧。
コール・ドもだいぶ揃ってきたように思うし、この場面でたおやかに踊れる人が増えたような気がする。

<2幕1場>
キトリもバジルもお召しかえなしで登場。
ここでもエスパーダとメルセデスは踊りが多くて見せ場が多い。 初めて見たときは「ぷっ」と噴出さずにはいられなかった(すみません)木村さんの(木村さんだからなんだけど)牛の振りも今回はすんなり
見られたなぁ・・。 井脇さんの背中の柔らかさと美しさと艶っぽさに感動しつつこの2人に見入ってしまって、下手でのキトリとバジルの飲んだくれぶりを見るのをすっかり忘れてしまいました。 ウヴァがノリノリだっただけにもったいなかった・・・。
ポリーナもどんどん物語りに入り込んで来ている感じで、ウヴァへのダイブも思い切りがよく弾けてました。
芝居巧者のウヴァーロフの狂言自殺のシーンは悠然と愛嬌たっぷりに!
ガマーシュが持ち上げて90度の角度で止まっているウヴァの足を、二人の結婚の力になってもらおうとドン・キホーテに歩み寄るポリーナがついでにさり気なく降ろして行ったのにけっこううけてしまった。

<2幕2場>
結婚式。 仲良く出てきたガマーシュとロレンツォが踊りを披露。 ロレンツォが踊るバージョンって珍しいですよね。 
ガラなどで踊った事があるせいか、ポリーナはこの結婚式のGPDDが一番良かったと思います。 プリマとしての貫禄すら漂っていた。 アダージョで見せた長~いバランス。 特に2度目は微動だにせず、こちらがあっけに取られるほどの長いバランスを見せた後、余裕の笑顔をウヴァに向けながら優雅に次のパに移っていったのは圧巻でした。 32回転は扇を持ってシングル・シングル・ダブルの繰り返し。 ダブルの時に手を腰にあてて最後まで軸もぶれずにゆったり回っていた。
対するウヴァーロフも長身を持て余すことなく、音楽にぴたりと合わせてシャープな動きで魅せてくれ、
コーダのピルエットもスピードがありラインもとても美しかった。
GPDDの間もガマーシュはあれこれ子芝居をずっと続けていたようですが、さすがにここは主役2人に集中しました(笑)。 
ドン・キホーテとサンチョをみんなで見送った後、一旦降りた幕が再び上がりフィナーレへ。
確かここではサンチョも踊ったような。 で、晴れ晴れとした顔で気持ちよさそうに踊り続けているガマーシュをちょっとどいて頂戴!とポリーナがどかし、ウヴァとポリーナのピルエット合戦だったように記憶しています・・。

また、近いうちに絶対ドンキ、やって下さいね。 で、その際はどうぞ早めにガマーシュ情報を!(笑)


というようにとっても楽しい舞台だったのだけれど、ポリーナちゃんに対してはなんとなく気持ちの晴れないものが残りました。(最終日にもう一回見たらまた違ったのかもしれないのですが・・・。) 彼女がオールラウンドな才能の持ち主なのは明らかですが、逆に弾けキャラなのか姫キャラなのかどっちなのかなー? どっちつかずなのかなーと思ったりして・・・。 今回も初役の初日の舞台をあれだけ見事に務めたのですから、そんな事はどうでもいいことなのですが、なんか、このまま大化けもしないまま完結していってしまうのかなぁ・・・、もったいないよなぁという思いがどうしても拭えないのです。 彼女を見るたびにボリショイでいろんな喜びや辛さを経験しながら磨かれていって欲しかったなという思いに襲われるんですよね。 大きな大きなお世話なんだけど。


キトリ/ドゥルシネア姫:ポリーナ・セミオノワ
バジル:アンドレイ・ウヴァーロフ
ドン・キホーテ:野辺誠治
サンチョ・パンサ: 高橋竜太
ガマーシュ:平野玲
メルセデス:井脇幸江
エスパーダ:木村和夫
ロレンツォ:横内国弘

【第1幕】
2人のキトリの友人:小出領子、高村順子
闘牛士:中島周、松下裕次、長瀬直義、宮本祐宣、梅澤紘貴、安田峻介、木下堅司、柄本武尊 
若いジプシーの娘:吉岡美佳
ドリアードの女王:西村真由美
3人のドリアード:吉川留衣、渡辺理恵、川島麻実子
4人のドリアード:森志織、福田ゆかり、村上美香、阪井麻美
キューピッド:佐伯知香

【第2幕】
ヴァリエーション1:高村順子
ヴァリエーション2:小出領子
この記事のURL | バレエ鑑賞記 2008年 | CM(2) | TB(0) | ▲ top
| メイン | 次ページ