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マールイ「眠りの森の美女」 12月26日の感想
2006/12/28(Thu)
毎度の事ではありますが、マールイの眠りの感想、他のバレエ団だったら気にも留めない様なシーンに、やたら行数を費やしておりますが、あしからず・・・。

キャストはこちらです。

<プロローグ>
王様はシェミウノフが復帰(笑) いつもながら王妃様と仲睦まじい。
5人の妖精は・・・・と、主役級を惜しみなく投入した豪華なメンバー。 さすがに皆、踊りなれた自分の役だけあって上手いです。 でも、妖精たちが並んで踊るシーン、東京文化の舞台ですら狭くて、腕や脚がぶつかりそうで気の毒でした。 
リラの精のペレン、ヴァイオレットの鮮やかなチュチュがとてもよく似合って美しい。 温かみのあるリラではないけれど、5人の妖精を従える威厳と気品を兼ね備えた精。 笑みを浮かべながらの踊りも柔らかく丁寧、マリインスキーのダンサーにも見劣りしない美しいラインはまさに彼女のgiftです。 さらなる精進を願います。
ブレクバーゼのカラボスは、少しヒステリックでしょっちゅう、「へッ!」とか「フン!」とか憎まれ口を叩いていそうな捻くれた老婆。マイムがわかりやすくて好演だったと思う。 この人も芸域が果てしなく広い人ですね。

<1幕>
禁止されていた編み物をしていた4人の娘の処分を王様が下そうとしている場面、臣下の者たちに、オーロラよりも先に登場した4人の王子たちも加わり、みんなでおろおろ、うろうろ・・・。 舞台を所狭しと動き回るクリギン王子とシヴァコフ王子の距離が離れるたびに、私の動体視力は極限状態を何度も超えそうになり、早くも極度の疲労感・・・。 ローズアダージョもこれからだというのに持つのだろうか・・・。
オーロラ姫@エフセーエワ登場。 彼女らしい溌剌とした歯切れの良い踊り。 以前のような、はちきれんばかりの元気娘は姿を消し、深窓の姫らしい慎ましさが垣間見られたところに彼女の成長を感じました。 ローズアダージョも、90度にキープした脚も綺麗で危なげなく、王子たちの小芝居に動じる事もなく(笑)、余裕を持ってこなしていました。
でも、なんで、あんな栗色の変な鬘をつけなくてはいけないんだろうか? 去年のペレンはここは鬘なしだったのに、まさか気に入っているわけではあるまいが・・・。
コール・ドの中にヴィジェ二ナ発見♪ 情熱系ラテンな美しさ! カミロワとミリツェワと、もう一人は誰だろう? かなり緊張気味でした。
その後のエフセーエワのヴァリも安定していて表情も豊かでとても良かったのだけれど、クリギン王子が負けじとクリギンワールドを展開していたもので・・・(笑)
編み針で手を刺したオーロラ姫とすべての人々がリラの精の魔法によって100年の眠りにつく。

<2幕>
貴族たちが森で狩を楽しんでいる。 シヴァとクリギンも衣装を変えて貴族で登場。 ここでも目が休まらない・・・。
舞台中央で軽快な踊りを見せてくれた小柄で目がパッチリしたキュートなダンサーは、ひょっとして23日にコロンビーナを踊ったアレクサンドラ・ラツスカヤかなぁ? シシコワ、リィコワなど、小柄だけれど快活で踊りの上手いバレリーナが揃いましたね。
と、そこへ一人の若者が現れる・・・。 ルダコ@デジレ王子の登場。 貴族たちは的に矢を投げる遊びに興じている(みんな下手だが・・・)。 さぁ、王子も、と勧められて投げたルダコの矢の外れっぷりが半端じゃなくて思わず失笑。 頑張れ、ルダコ!と俄然応援モードに変わる。 デジレ王子のソロ、表情はけっこう柔らかで笑みも見られて、おととしよりもいいじゃんという感じで、踊りもそれなりに(それなりにというのが、そもそも問題ではあるが)きちんと踊れていた。 彼は昔から柔らかく高い跳躍をもっているのだけれど、着地に不安がある。 ソロを終わった後の息切れが酷いのが少し気にかかる。
貴族たちが去って行き、一人佇む王子の前にリラの精が現れる。
ペレンとルダチェンコの2ショット。 思えば、私の初・生・「白鳥の湖」全幕は、2000年1月のこの2人だったのだと、なんだかノスタルジックな気分になってしまった。 
リラの精がオーロラ姫の幻影を見せる。 エフセーエワは表情をつけず、しなやかにしっとりと踊っていた。 そして、ここで非常に素晴らしかったのが、ホワイトとグリーンを綺麗に使っているチュチュ姿のコール・ドの踊り。 フィロソワ、モストバヤなど、もはやベテランとなったダンサー達が上手くリードしているのかもしれないけれど、ポアントの音も静かでダンサーたちの顔や腕の向きも綺麗に揃っていて感動的な美しさでした。 
間奏曲。 見え隠れするアニハーノフの両手のアクションに見惚れ、綺麗な旋律を奏でるオケと、心の奥にまで響いてくるようなバイオリンの音色にひたすら酔いしれた幸せなひとときでした。 
リラの精に導かれ、オーロラ姫を100年の眠りから目覚めさせ、求婚するために城に着いたデジレ王子。 カラボスの手下たちはさっさと逃げ出し、カラボスはリラの精の善の力に屈する。 少しくらい王子が勇敢に戦う姿を見せてくれてもよさそうなものだが・・・。 王子のキスで姫はめでたく目覚める。

<3幕>
結婚式。
やはり、エフセーエワもルダチェンコもホワイトシルバーの鬘付き・・・。 ルダコはわりと違和感がなく、エフセーエワも1,2幕の栗色のよりはまともだわ! でも、鬘はない方がいいなぁ。
リラの精のペレン、脚が高く上がっても体がぶれることなく、彼女らしい滑らかで柔らかい踊りでした。
ダイヤモンドのミリツェワも溌剌とした軽快な踊り。 金の精のロバノワは、体調不良により降りたエレーナ・カシチューワの代役でしたが、彼女のはっきりとした輪郭の踊りは結構好きなので、見られて嬉しかった。 サファイヤのユリア・カミロワは私の癒し系バレリーナ。 いつも笑顔で一生懸命に踊っている姿が好きです。 白い猫、私のデフォは気の強そうなシシコワキャットなので、外して残念。 赤頭巾ちゃんのリィコワ、とても愛らしいです。 驚いた顔をしながらパ・ド・ブレで後ろに下がっていく姿が本当に可愛かった。
この日、とても良かったと思ったのが、青い鳥のプローム。 夏に、期待していたバラの精があれれだったのがウソみたいに滞空時間の長い、綺麗な跳躍でした。 やはり彼の課題はジュテ系なのかな? フロリナ王女のロマチェンコワも、相変わらず男前な踊りだけれど、きっちりしていて品も感じられて上手くなったなーと思いました。 
オーロラとデジレのGPDD。 エフセーエワは愛らしさは残しているものの、愛する男性と巡りあい、女性としても成長した凛とした美しさがありました。 若芽が萌え始めるような清々しい生命力を、音楽性豊かな踊りで見事に表現していて素晴らしいグラン・パでした。 惜しむらくはパートナーの力不足でしょうか? ルダチェンコはサポートは一生懸命にしていて好感が持てましたが、踊りには不安定さが目立っていたように思います。 ヴァリは途中からテンポ、跳躍、全てが失速してしまい、やっとの事で踊りきったという感じ。 技術がどうこうではなくて、体力的にかなり問題があるのではないかと心配です。
結婚式の出席者皆にに囲まれ、幸せそうなオーロラ姫とデジレ王子。 エフセーエワ姫、ちょっと頼りないルダコ王子でも愛情たっぷりな輝く笑顔で見つめている。 偉いわ~、健気だわ~。 リラの精が再び姿を現し(しかし、ここの王様、やけにリラの精に恭しく敬意を払いまくる事!・笑)2人を祝福してハッピーエンド♪
 
私の今年のバレエ鑑賞を締めくくるに相応しい、ダンサーたちの成長を感じ、美しいコール・ドの踊りに感激し、アニハーノフさん指揮によるマールイ管のチャイコの旋律に包まれた素晴らしい舞台でした。
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マールイ「くるみ割り人形」 12月23日の感想
2006/12/27(Wed)
昨シーズンは観なかったので、マールイのくるみは2年ぶりでした。 今回の私的目的はシヴァのくるみ王子を初めて見る事と、クリギンのねずみの王様にぶち当たる事だったのですが、そもそもクリギンは今年、ねずみの王様にキャストされていませんでした。
そこで、思ったことですが・・・。
光藍社さん! 来年チケットを売り出すときに、1日だけでいいですから、マーシャ役のバレリーナではなくて、ねずみの王様・クリギンという日を設定して売り出していただけないでしょうか? その日はマーシャも王子も誰でもいいですから(どのペアでも楽しいし!)・・・、でも、できたらくるみ割り人形はマミンにしていただけるとありがたく・・・。 限定1日だったら、ルジマトフ並みにチケットも売れるのは確実では!

キャストはこちらです。

<1幕>
マラトのドロッセルマイヤーは初めて見ました。 いや、まず、かなり体が絞られていた事にびっくりしました。 195センチの長身を、以前よりも自由自在にコントロールできている感じがしました。 腕も脚も長いから、自分の作りだすフォルムにもっと神経を配ったら、もっともっと綺麗に見えると思うよ! 
エフセーエワも、このほっそりしたスタイルをキープできるようになったようですね。 雰囲気も大人っぽくなったし、でもくるみ割り人形に心を奪われる少女らしい可愛らしさも残していて、とても魅力的でした。 多分、彼女も自分が演じるキャラクターに関して細かく分析していると思うのだけれど、どんな役を踊っても自然な感じで役に入っているのがいいですね。
くるみ割り人形のトルマチョフってこんなに小柄なダンサーだったっけ? ドロッセルマイヤーのマラトにいとも簡単にリフトされている様子は本当に人形のようでした。 ピルエットなど、安定していたと思いますが、もう少しシャープさと速さが欲しかったようにも思います。
ラツスカヤのコロンビーナは初見。 踊りにはもうちょっと人形っぽさがあると良かったけれど、愛らしいお顔と仕草でした。 ピエロのポドショーノフはさすがの動き! キャラクテールとしていつも100%の踊りを見せてくれる彼には本当に好感が持てます。
マラーホフのねずみの王様は、王様というより端正なねずみの王子様って感じで、あまりダークに見えないのが欠点といえば欠点なのかしら?(笑) 踊りがいつもより切れがなかったですが、ちょっとお疲れだったのかな? 
ねずみ軍団とおもちゃの兵隊達の戦いが終わったところで、ようやくシヴァコフ王子の登場! しっかし、くるみ割り人形と入れ替わる、あの体を左右に揺らせる変身動作が似合わない! 誰がやってもあれは変だけど、シヴァはとっても変! と、思ったら、鬘の髪がちょっとはねていてオー・マイ・ゴッド・・・。 出だしは表情が少し固い気もしたけれど、すぐにあの少年笑顔が見られて、まぁまぁの滑り出し。 でも、1幕の踊りはあまり切れがなくてラインもちょっとぼやけてたかな?
雪の国のコール・ドはまずまずの出来だったと思います。 ここの音楽は何度聞いてもいいしねー。

<2幕>
マールイの2幕はドロッセルマイヤー家の屋根裏が舞台なんですよね・・・。 まー、だからねずみ軍団が再び出てきたりするのも納得なんだけど・・・。 でも、もうちょっと御伽噺っぽく設定を変えて、ついでにセットと衣装も全とっかえしませんか?
マスロボエフは1幕で招待客の子供と兵隊の役をやっていて、なんだか音についていってないようなお疲れモードだったのでどうしたのかと思っていたけど、スペインは普通に踊っていました。 
中国の人形のナタリア・リコワ、アレクセイ・クズネツォフは夏祭のアレルキナーダのペアです。息も合ってて可愛らしかった。 でも、シシコワだと、もっとあの棒の振り回し方が派手で楽しいのよね!
パストラルはなんであんなにつまらない踊りなのだろうといつも思う。 せっかくプハチョフもミリツェワもいるのだから(キーロフの映像、レジェニナ&バラノフのくるみ割り人形のあし笛はこの2人+もう一人の女の子)、マリインスキー版に変えればいーのにと、つい思ってしまう(笑)。
花のワルツはペレン、ステパノワ&ルダチェンコ、コシェレワ&プハチョフと主役級がそろって豪華絢爛(笑)。 でも、プハチョフの美脚を堪能しつつ、ルダコの顔色、脚の筋肉、リフトばかりを不安気に見ていた花ワルでもあった・・・。
エフセーエワとシヴァコフのGPDD。 主役としての貫禄も身についたエフセーエワの隙のない踊りは素晴らしかった。 ヴァリの時のちょっとした首の動かし方にちらっとシェスタコワを見たような気がしたけれど・・・、幸せ一杯な乙女マーシャの喜びがこちらにも伝わってくるような、陽性で気持ちのいい彼女らしい踊りでした。 シヴァコフも尻上がりに調子は上向いたようで、笑顔も炸裂して良かったと思います。
タイトルロールのくるみ割り人形とドロッセルマイヤーだけが、舞台に残って幕が降りるエンディングはボヤルチコフ版のくるみ割り人形でけっこう気にいっている演出です。

最後になりましたが、特筆すべきは、ホリコフさん指揮、マールイ管の演奏の素晴らしさ。 美しいチャイコフスキーの旋律に聴き惚れました。 指揮者がバレエをわかって大事に思ってくれているって本当にありがたい事ですよね。 いつもながらマールイ管には心から感謝です♪
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マリインスキー「白鳥の湖」 12月10日の感想
2006/12/12(Tue)
念願のゼレとロパートキナの「白鳥の湖」が現実のものとなったドキドキ感伴う興奮と、この公演が終われば、また数年はマリインスキーの公演が見られないのだという感傷的な気持ちに交互に襲われるなか幕が開く。

<1幕1場>
コール・ドの踊りが終わり、ゼレンスキー@ジークフリートの登場。 黒い上着に白いタイツのゼレ、ゼレの脚、こんなに細かった? 腿周りに均等に付いていた筋肉がかなり落ちてしまったような気がする。 それでも、この人が舞台に出てきただけで、空気は変わるし舞台も華やぐ、という事でゼレンスキー健在なり!
村人たちとの踊り、ゼレは花の冠がお気に召さなかったようで、すぐに外して手に持って踊り、王妃がお出ましになる前に舞台袖の方に投げてました(笑)。 (そういえば、イワンチェンコは王妃に挨拶する時まで被りっぱなしで女王から指摘されて外してたっけな。) しかし、すでにこの国の統治者のような風格漂うゼレンスキーと王妃は親子には見えない。 見えないだけならまだいいけれど、何となく危ない大人の雰囲気が・・・。
道化のイワーノフ、相変わらず物凄いスピードのピルエット。軸足の膝を少し曲げているのになんであんな凄い回転が軸もぶれずにできるんだろう?  ゼレが投げ捨てた花の冠を従者の頭に載せたり、トロワのオスモールキナのお相手をしたいんだけど、とゼレに言ってみたり、この方の芝居を見ているのも楽しかったです。
トロワは金曜日と同じメンバー。 こちらの精神状態の違いのせいもあるかもしれませんが、今日の方が断然出来が良かったと思いました。 特にスホルーコワはシクリャローフのサポートの失敗も無かったし(笑)、今日は伸びやかに可憐に踊っていたと思います。 シクリャローフの跳躍も相変わらず高いです。 アントルシャなど余裕ですものね。
皆が去っていった後、どこか満たされない自分の心の内と向き合っているような表情のゼレ。 ふと思い出したように弓矢を手に取り、夕闇の中に消えて行った。

<1幕2場>
湖を泳いでいく一羽の白鳥を、天井から下がる幕の陰に身を隠すようにして狙っているジークフリート。 何かの気配を感じて下手袖にさがる。
ロパートキナ@オデットの登場。 思わず息をのむ神々しさと気高さ。 ロパートキナのオデットは出のところでジュテをしない。 綺麗なアラベスクでしばらく静止する。 
ジークフリートはオデットの目の前に現れるなり、オデットに触れようと手を伸ばす。 驚き身をかわすオデットと追いかけるジークフリート。 ロパートキナがゼレンスキーの手に触れてはさっと腕をふりほどいてしまう様子が印象的だった。 気高く典雅なロパートキナの踊りは本当に素晴らしかったけれど、ヴァリは指揮者がわざと音をずらしているように感じてしまうほど踊りにくそうな音楽だった。 アニハーノフとレニ管がすぐ近くにいると思うと、どうにももどかしい。
コール・ドも、今日は良かったと思います。 上手奥から登場して来てそれぞれのポジションにつくまでのポアントの音が静かなのが嬉しい驚きでした。 (マールイとはトゥ・シューズが違うのかしら?) グランアダージョの終わり、オデットとジークフリートの後ろにわずかな弧を描いて横一列に並んだ白鳥たちは本当に美しかった。
夜が白み始め、オデットとジークフリートに別れが迫る。 ラストのポーズは立ち膝のジークフリートの上にオデットが乗るポーズではなく、手を取り合って2人が寄り添うポーズ。 グラン・アダージョでも大きなリフトはしなかったのでゼレの状態に合わせたバージョンなのでしょう。 コール・ドが去り、いよいよ別れとなった時に、一瞬だけれども、かなり激しく身を震わせていたロパートキナは、まさしく鳥が身もだえして苦しみ、悲しんでいるように見えました。

<2幕>
花嫁候補は、誰が選ばれても不思議ではない美女ぞろい。 ゼレ王子はにこやかに一通りダンスを踊るけれど、心を動かされるわけも無く、王妃から花束を渡されて一人を選びなさいと言われても、最後の方は顔を見もせず小走りに素通りする有様。
そこへ、ロットバルトとオディールたちが現れる。
スペインでは、改めてシクリャローフ共々話題になっているセルゲーエフを確認。 ちょっぴりオーリー入ってるかなー? そして赤い衣装のバイムラードフはニコラス・ケイジ入っているといったら怒らるかな? 2人とも踊りはバッチリでした。 マズルカは下手側になる2組の男性2人の脚が細くて長くて綺麗でした。 それにしても美しい衣装だなぁ・・・。
オディールと王子のGPDD。 ロパートキナは長い手と脚がさらに長く見えるような大きく輪郭のはっきりした踊り。 金曜日と比べると(席もかなりちがうので、見え方の違いもあるかもしれないけれど)感情の起伏と踊りの緩急の差がいくらか大きいのではないかと思った。 ゼレンスキーはかなり慎重にヴァリを踊っているようで、トゥール・ザン・レール?の連続では、一回ずつかなり神経を使っているようでしたが、マネージュはゼレらしいシャープなラインで綺麗でした。 ロパートキナはフェッテの最後で疲れが見えたけれども、コーダでのシェネはとても美しかったです。
ジークフリートがプロポーズの白いバラの花束をオディールに渡し、ロットバルトに促されるままに愛を誓ったとたん正体を現し、勝ち誇ったように去ってゆくオディールとロットバルト。 オディールは最後に振り返り、花束をジークフリートめがけて投げつける。 花束を受けとめたジークフリートはその花束を抱きしめ顔をうずめる。 次の瞬間、ゼレは去っていったオディールの後を追うように、舞台下手奥にしつらえてある階段を一挙に駆け上がり、上りきった後、呆然とした表情を見せ、ようやく我に返り、王妃のもとに戻ってくる。 意表をついたゼレの演技に思いっきり心を揺さぶられて思わず泣けてしまった。 ジークフリートはオディールがオデットでないという事を直ぐには信じられなかったのだろう。 役作りそのものが濃い目の王子なら、例えばマラーホフなら、その行動にこちらが衝撃を受ける事はなかったと思う。 一見世慣れてクールに見えていた王子だからこそ、彼が見せた純真さのようなものに心打たれたような気がします。 まさか、二幕のラストで泣くとは思いもしませんでした。

<3幕>
コール・ドの踊り、よく揃っていて美しい。 2羽の白鳥のクセーニャ・オストレイコーフスカヤの踊りがたおやかでラインが美しくとても良かったです。 上手奥から高速のグラン・ジュテで舞台を斜めに突っ切っていったロットバルト。 空中で綺麗に180度に開かれた脚が見事。 エチュードの終盤を思い出しました。
オデットと白鳥たちが悲しみに沈んでいるところへジークフリートが戻ってくる。 オデットを囲むようにして伏せているバレリーナ一人一人の手に触れて起き上がるのを促し、オデットには傷つけてしまった事を詫びるように手を差し伸べていたゼレの思いつめたような表情が印象的でした。 ジークフリートがオデットを高々とリフトし、2人の愛の強さをロットバルトに示すシーンはなく、オデットの心の強さにロットバルトは怯み、王子は止めの一撃としてロットバルトの羽をもぎ取ったような感じでした。 王子に抱き起こされ、地面に倒れ果てているロットバルトに気づいたオデットは、驚き、信じられないような表情を見せるけれども、呪いが解かれた喜びを静かにじっと噛みしめる。 そのロパートキナの崇高な表情に胸が熱くなりました。 しっとりと寄り添うオデットとジークフリート、感動のラストシーンでした。
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マリインスキー「白鳥の湖」 12月8日の感想
2006/12/10(Sun)
舞台装置が2003年公演時のイーゴリ・イワノフからシモン・ヴィルサラーゼに変わったという張り紙があったけれど、衣装もガリーナ・ソロヴィヨーワから変わっているのでしょうか? 3年前はゴールド、シルバー、赤、黒が基調のどっしりゴージャスな感じで初キーロフ「白鳥」の私はかなり圧倒された覚えがあるのですが・・・。 今回はいくらか落ち着いた趣で色のトーンも少し落ちているようで、これはこれで綺麗でした。

<1幕1場>
王子役のイワンチェンコは均整の取れた長身で白いタイツの良く似合う長く綺麗な脚を持っているダンサー。 王子役にふさわしい、ダンスール・ノーブルなのだけれど、髪をビシッとオールバックに決めた悪人系の顔立ち(すみません)がどうしても誠実な青年王子にはみえないのが玉に瑕かな? しかし、今日はほんとにごめんなさいって感じで、コルスンツェフを観に来た私としてはまともに見るのも辛いイワンチェンコであった・・・。
道化のアンドレイ・イワーノフは3年前にも同役で見ていたダンサーでした。 ちょっぴりコロコロした体つきですが、バネのように弾む跳躍と軸が全くぶれない超高速ピルエットが圧巻でした。 トロワの一人の女性に執心な様子もラブリー(笑)
そのトロワですが、女性二人の出来は特に良いとは思いませんでした。 ゴールプの代役で踊ったスホルーコワも緊張していたようだったし。 一方シクリャローフは若さ溢れる踊りが気持ち良かったです。 彼の陽だまりみたいな笑顔は良いですねー。 見ている方も思わず笑顔を返したくなります。 ジャンプなどで伸ばした脚が美しく保たれて踊りも綺麗だったし、将来ダンスール・ノーブルに育つかしら?という期待感も持たせてくれましたが、身長がちょっと低いかなぁ?
皆がランプを手に踊りながら去ってゆく。 照明が落ちて、夕闇が迫っている事をつげ、夜の湖畔へと導かれているようで、このシーンとても好きなんです。(現実に引き戻されるので、このあとのカーテン・コール、できればやめて欲しかった)
一人残った王子が踊る。 ここで不覚にも涙腺が緩む。 どうしてあなたが踊っているの?とともかく急に悲しくなった。 綺麗に踊っていたんだけどね・・・

<1幕2場>
オデット@ロパートキナの登場。 綺麗なパ・ド・ブレと優雅な腕の動き。 物静かに悲しみを秘めた白鳥の女王という感じでした。 ガラを含めて、今の彼女は、なにか悟りの境地に達して踊っているような、毅然とした佇まいの中にも菩薩が宿っているような、変な表現ですが、そう感じます。 遠くをしっかり見つめる彼女の表情からは、自分の運命を受け止めながらも、自らの力でこの呪いから逃れるのだという意志の強さも感じられた。 王子と出会った時の、救われたいという思いと躊躇う気持ちに揺れ動く彼女の微妙な表情が素晴らしく、オデットがジークフリートに心を開いていく様子を見守っていたのだけれど、残念ながらイワンチェンコのジークフリートからは、オデットを優しく包み込むような包容力が全く感じられず、2人の間に愛の高まりは感じられなかった。 
コール・ドは揃っていたのかいなかったのかは良くわからなかった。 舞台を斜めからみるような席だったので、フォーメーションによっては、斜めだから不揃いに見えるのか、本当にバラバラなのかがいまいちわからず。 ただ、細くて身長も比較的高いスタイルの良いダンサーたちの白いチュチュ姿はそれだけで眼福ではありました。

<2幕>
マリインスキーの舞踏会のセットはシンプルゴージャスでとても好きです。 ディヴェルティスマンの衣装もみな豪華で美しく溜息がでます。 スペインの踊り、男性二人がとてもシャープでかっこ良かった。 女性二人の背中のそりっぷりも見事。 続くナポリ、ハンガリー、マズルカもマリインスキーらしくおとなしめで手堅い踊りで良かったのですが、もう少しハイテンションの方が好みだなぁ・・・。 特にマズルカ、ね。
オディールとジークフリートのPDD。 ロパートキナのオディールは、ロットバルトと怪しく視線を交わし、口元に薄笑いを浮かべている気位の高い姫。 オデットと違うのは、自由奔放で解き放たれた心の持ち主であるという事でしょうか。 オディールを楽しんで踊っているようでした。 長い手と長い脚のラインがとても美しいです。 アダージョでのあの連続アラベスクのポーズも完璧なポーズ。 32回転はすべてシングルでしたが、安定していて真っ直ぐに前に進んでくるフェッテでした。 イワンチェンコも綺麗にまとめていて良かったと思いますが、マネージュにはもう少し高さが欲しかった。 ここは王子がなんだか頼りなく振り回されてしまっても問題ないですものねー。

<3幕>
2羽の白鳥のエカテリーナ・オスモールキナとクセーニャ・オストレイコーフスカヤのアラベスクがとても綺麗だったのが印象的でした。 ジークフリートの裏切りに深く傷ついたオデットのもとにジークフリートが現れ、オディールに騙されて愛を誓ってしまった事を詫びる。 許すとも許さないとも語らないロパートキナのオデットは、ただ優しくジークフリートを迎え入れたように見えました。 2幕から通じてロパートキナの目力に圧倒されました。 目力といっても大きな変化ではないのです。 ほんのちょっとした微妙な変化が、その感情の機微を表していて素晴らしいと思いました。
オデットと王子の愛の力でロットバルトに立ち向かい、最後は王子がロットバルトの羽を毟り取って打ち負かし、オデットの呪いが解け、ハッピーエンド。 ロパートキナの気品溢れる笑みが非常に美しかったです。


というわけで、ロパートキナの素晴らしさに心から感動した舞台でした。 あー、しかし、それでも尚、いえ、それだけに、パートナーがコルスンツェフだったら、もっともっとこの世のものとは思えない幻想的な世界が生まれたに違いないと、諦めるに諦めきれない自分でした。 
今日は最終公演のロパートキナとゼレンスキーの白鳥を観て来ます。 どういう舞台になるのか、非常に楽しみです。
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マリインスキー「海賊」 12月5日の感想
2006/12/07(Thu)
<1幕>
紗幕越し。 難破しかかっている一隻の船。 うっ、船が立派だ・・・

娘たちが海岸で楽しそうに踊っている。 ブラと腰巻のようなスカートのセパレーツの衣装のロパートキナ@メドーラが登場。 クラシック・チュチュではないロパートキナを初めて見るけれど細いです。  やはりチュチュって実際よりも太く見えるのですね。 長い手脚が一層細く、長く感じます。 ここでの彼女の踊りは、とても輪郭がはっきりしているビシッとした踊り。 ギュリナーラや他の娘たちより身長がダントツに高く、表情も凛々しく、皆から慕われ頼りにされているような男勝りなメドーラだった。
娘たちが海岸に打ち上げられている男達を見つけて助け出す。 ギュリナーラの肩を借りているのがゼレンスキーのアリ!! あー、見たかったゼレのアリだわ~、本物だ~とひたすら感激! ルジと同じ臙脂色のパンツだ! 助けられたコンラッドがメドーラにあれこれ事情を話しているうちに奴隷商人ランケデム率いる一団が現れてメドーラたちはさらわれてしまう。

紗幕が上がるとそこは煌びやかな奴隷市場。 うーん、なんて豪華なセットなのだろう。 思わず端から端まで食い入るように見てしまった。
ランケデムのロブーヒンは、お調子者の小悪党という感じで奴隷商人家業も板についている。 パレスチナとアルジェリアの踊りはエキゾティシズムと色香が漂っていて良かったです。
つづくランケデムとギュリナーラのPDD。 ギュリナーラのノーヴィコワは、伸びやかで溌剌とした踊りが魅力的。  ロブーヒンもダイナミックで弾力のある踊りと弾けっぷりが良かったです。 サラファーノフほどではないにしろ、テクニックを見せる踊りが好きそうなダンサーだけど、嫌味がなくてとてもいい。
メインイベントであるメドーラの競の始まり。 狭くて丸い台座の上でもロパートキナはなんて伸びやかに美しく踊るのだろう。 でも、顔は完璧に怒ってる! なかなか気の強いメドーラです。 ギュリナーラと共に、パシャがメドーラもものにしようとしていたところに現れた一行。 パシャよりも大金をだしてメドーラを手に入れたいと言う。 その男がコンラッドだと気付いたメドーラの笑顔がこれまた高貴で(笑)。 ロパートキナはこういうちょっとした表情の変化がとても上手い。 正体を現したコンラッドたちは力づくで娘たちを取り返し、あっという間に船で逃げ去ってしまう。 

<2幕>
海賊たちの洞窟。
海賊たちの群舞はどこの版を見ても楽しい! マリインスキーはややおとなしめかな? ビルバンドのドーミトリー・プィハチョフ、顔は付け髭とお化粧で凄みを出していますが、踊りは端正です。 彼と2人の男性ダンサーによる剣を交えての舞いは、勢いがあるだけに誰の顔にも当てないでねとちょっとハラハラ。 この迫力ある海賊ダンスの間、縄をかけられ捕らわれの身となっていたランケデムのロブーヒンがやけっぱちで体や足でリズムを取っていたのが可笑しかった。 舞台に上がっている間は、どんな時でも役になりきっているというのは好ましいですね。
メドーラ、コンラッド、アリのトロワ。 コンラッドのイワンチェンコはライモンダのジャンとは別人のような踊りで、舞台映えする長身を活かした大きくて綺麗なジャンプが良かったです。 ただ、この方はアームスの動きがあまり綺麗ではないのですね・・・。 ゼレはなんとなく踊りに切れがない。 空気を切り裂くような鋭さが今回は無かったです。 年のせいではなく時差ぼけのせいでありますように・・・! 最後のピルエットは綺麗に決めていましたが、リフトも省略していたので、やはり体調が万全ではないのでしょうか? 白鳥は大丈夫なのかと気になります。 メドーラは濃いライラック色のチュチュ。 ロパートキナも時々微妙にバランスを崩すなど、さすがに疲れが溜まっているようでした。 でも、笑顔をみせながら、彼女ならではの音楽性のある典雅な踊りのヴァリがとても素敵でした。
メドーラの願いを聞き入れて他の娘たちを解放してしまったコンラッドに不満をぶつけるビルバンド。 コンラッドにもっと凄みがあればビルバンドなんて一蹴できそうなものだが、ちと弱気。 ゼレ@アリもなんだか中途半端な雰囲気で、ほんとにいいんですか?みたいな進言をしているかに見えた・・・。 ゼレ、ぼーっとしてる?
不満分子と化したビルバンドに娘たち奪回を持ちかけるランケデム。 ここでのランケデムのおーげさな芝居もけっこう受けた。 
メドーラとコンラッドの寝室。 イワンチェンコがいきなりカウチ代わりの台にけつまづく。 全く、もう! ロパートキナは薄いピンクのセミロングのドレスにお着替え。 さすがにマールイのような地上3メートル半の豪快リフトはなし(笑) ちょっと慎ましやかなじゃれあい?、しっとりした大人の恋人同士な2人でした。 ランケデムから渡された花束をちょっとじらしながらコンラッドに差し出すメドーラ、コンラッドが幸せいっぱいで花の香りをかぐと一気に眠気に襲われる。 コンラッドが倒れこんでいるところに現れたビルバンドたちがメドーラを追い詰める。 メドーラは最初は必死に逃げようとしていたものの、最後には逃げられないと覚悟を決める。 その時の毅然とした表情がとても印象的でした。 こんなに男前でかっこいーメドーラって初めて見たわ!

<3幕>
パシャのハーレム。 ギュリナーラはなんだかここでの暮らしに馴染んでいて楽しそう・・・。  マリインスキーのパシャはコミカルに徹している。 ゆばーばみたいな大きなターバンに付け鼻におかしなメークで、マールイ・マラーホフの精悍なパシャとは大違い! 絶対にお世話にはなりたくないなー。 そこへランケデムが捕えた娘たちを連れて再び現れる。 
オダリスクの踊り。 艶やかなゴールプ、端正なオスモールキナ、淑やかなスホルーコワと3人3様で、3人で踊るラストの息も合っていて良かったです。 
花園でのコール・ドのピンクの衣装が上品な可愛らしさでとても素敵。 踊りもここに来てようやく本領発揮で今シリーズの中では一番良かったです。 メドーラのヴァリでは、再びロパートキナの気高く優雅で素晴らしい踊りを堪能しました。 花園の踊りが終わると同時に参拝者の振りをしたコンラッドとアリたちがメドーラたちを救いにやって来る。 パシャを騙して祈りを捧げさせている隙にメドーラたちと船で旅立つ。 
衣服を脱ぎ捨てた時のゼレの顔が、とーってもいたずら小僧みたいな笑顔で胸キュンでした! その後は適当に体を動かして適当に闘っているようでしたが・・・(笑)

降りた紗幕の向こうに、船出していく彼らが見える。 メドーラとコンラッドとギュリナーラと・・・、あれっ、ゼレがいない! と思ったら、嬉しそうな顔をしてマストによじ登っておりました。 落ちないでよ~と思いながら幕となったこの日の「海賊」でありました。

エンジン全開でないながらも、存在感を発揮しながら舞台に良い緊張感を与えてくれたゼレンスキー。 彼のコンディションが心配ではありますが、この日、念願のゼレのアリを見られて幸せでした。 一ヵ月後には心臓バクバクの「海賊」が控えております・・・。 
 

<キャスト>
コンラッド (海賊の首領):エフゲニー・イワンチェンコ
メドーラ (ギリシアの娘):ウリヤーナ・ロパートキナ
ギュリナーラ (ギリシアの娘) :オレシア・ノーヴィコワ
ランケデム (奴隷商人):ミハイル・ロブーヒン
ビルバント (海賊):ドミートリー・プィハチョーフ
アリ (海賊):イーゴリ・ゼレーンスキー
セイード・パシャ (トルコ総督):ウラジーミル・ポノマリョーフ
フォルバン:エレーナ・バジェーノワ
       ポリーナ・ラッサーディナ
       リーラ・フスラーモワ
       イスロム・バイムラードフ
       アンドレイ・ヤーコヴレフ
オダリスク:イリーナ・ゴールプ
       ダリア・スホルーコワ
       エカテリーナ・オスモールキナ
アルジェリアの踊り :エレーナ・バジェーノワ
パレスチナの踊り:ガリーナ・ラフマーノワ

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マリインスキー「オールスター・ガラ」 12月4日の感想 
2006/12/06(Wed)
<第1部>
レベランス
音楽:ギャヴィン・ブライアーズ/振付:デイヴィッド・ドウソン
ダリア・パヴレンコ  ソフィヤ・グーメロワ
ヤナ・セーリナ  アレクサンドル・セルゲーエフ
ミハイル・ロブーヒン  マキシム・チャシチェゴーロフ
プログラムによれば、振付家のディヴィッド・ドーソンという方がマリインスキー劇場のために作った作品で、初演は2005年3月だそうですが、マリインスキーの「オールスター・ガラ」と銘打った公演の幕開きにこのコンテのプログラムってどうなんだろう? ダンサーのパフォーマンスを見てもらいたいのだったら、せめてもう少し照明を明るくしてくれないと顔どころか動きもよくわからない。 舞台奥の背景の黒さにダンサーのレオタードが吸い込まれてしまって体のラインが分からず、脚と手の動きしか分からない事もしばしば。 それも狙いのうち? 音楽も単調で途中で飽きたし・・・。
似たような振りを踊っていても、立ち姿というのか、基本姿勢というのか、やはりパブレンコは綺麗でした。 グーメロワの目に優しい動きも悪くなかったです。 ヤナ・セーリナは、動きは良かったと思いますが、彼女の作り出すラインはあまり綺麗に見えずちょっと残念。

<第2部>
ばらの精
音楽:カール・マリア・フォン・ウェーバー/振付:ミハイル・フォーキン
ダリア・スホルーコワ  イーゴリ・コールプ
スホルーコワは手も脚も首も細くて長いバレリーナ。 物静かで落ち着いて見える顔立ちで、舞踏会帰りの夢見る文学少女というような雰囲気です。
ルジすべ以来1年と1ヶ月ぶりのコルプのばらの精。 均整のとれた身体にサーモンピンクの衣装が相変わらず良く似合う! 椅子でまどろんでいる少女の後ろに立ち、なにやら妖しげな表情で腕を波打たせているコルプは、少女に何か悪い魔法でもかけているように見える(笑)。 来た来た来た~と思ったのですが、それ以降はなぜか期待したほど妖しく(怪しく?)なく自己陶酔度も低め。 ハビちゃん(マールイ)相手の時のほうがエロティックでもあったような・・・。 踊りはシンデレラの時と同様、しなやかで柔らかくて美しかったです。 
しかし、正しいばらの精っていったいどういう人?

タリスマン パ・ド・ドゥ
音楽:リッカルド・ドリゴ/振付:マリウス・プティパ
エカテリーナ・オスモールキナ  ミハイル・ロブーヒン
この演目は初見です。 インドが舞台の天女とマハラジャの恋物語だそうですが、衣装の感じが「ディアナとアクティオン」を思い起こさせます。
オスモールキナは細くてラインの綺麗なバレリーナ。 彼女は手が長いのかな?  踊りが大きく見える。 メリハリのあるシャープな踊りが良かったのですが、途中、足を滑らすアクシデント。 あの辺、床の状態が良くないのかな? その時に脚を痛めたのかどうかは、わかりませんが、その後も2度ほど失敗があってちょっと残念でした。 フェッテはきちんと回っていたのでたいした事ないと良いのですが。 (5日の海賊にオダリスクで出ていたので大丈夫そうですね。)
ロブーヒンは胸板厚めのプチマッチョ系のダンサー。 跳躍の高いダイナミックな踊りが良かったと思うし、パートナーをよく支えていたと思います。

ロミオとジュリエット バルコニーの場 
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ/振付:レオニード・ラヴロフスキー
イリーナ・ゴールプ  ウラジーミル・シクリャローフ
とっても期待していたんですが、なんとも雰囲気の合わない2人でしたねー(笑)
シクリャローフは見た目はまんまロミオですが、ゴールプはちょっと妖艶すぎるんじゃないでしょうかね。 もとが美人なんだから、あんなにくどいお化粧しなくてもいいのにな。 シクリャローフのロミオには可憐なオブラツォーワが似合いそうですが、リフトはもうちょっと上手くならないと・・・。 ゴールプがきつ~い表情に見えたのは気のせいか?  というわけで、全然のれませんでした。

グラン・パ・クラシック (オーベールのパ・ド・ドゥ)
音楽:ダニエル・オーベール/振付:ヴィクトール・グゾフスキー
ヴィクトリア・テリョーシキナ  レオニード・サラファーノフ
ともかく、テリョーシキナが素晴らしい! サラファーノフも高い跳躍など、十分満足できる踊りだったのですが、それでもただの添え物にすぎなかった気がするくらいテリョーシキナに惹きつけられました。 始めの方に3回繰り返されたバランスが少し不安定でしたが、あとは完璧ではないのかしら?  あの男前なヴァリは、思わず唸りたくなるほどの(笑)素晴らしさでした。 スーっと90度に投げ出される脚の綺麗な事! スカッとする踊りとともに好きなのが彼女の目線の使い方。 パートナーや観客に対してのアピールの仕方がとても上手い。 
テリョーシキナの日本デビュー公演は、昨年のマールイの夏ガラなのですが、その初日の中野公演でのあのガチガチぶりが今思うと信じられないほどです。  

眠れる森の美女 第1幕のアダージョ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー/振付:マリウス・プティパ/改訂振付:コンスタンチン・セルゲーエフ
ディアナ・ヴィシニョーワ
バックに何もセットがないローズアダージョって初めて見たような気がします。 オーロラの踊りのサポートに徹するだけの4人の王子もかなり久々かと・・・。 ヴィシは前日、自身のガラ公演があったので、かなり疲れていたんじゃないのかな? ポアントが脱げてしまうというアクシデントもあったみたいですが、無事に踊りきってくれて良かったです。 16才の初々しいオーロラというよりは、ヴィシらしい艶っぽいオーロラ姫でしたが・・・。 時間の関係などで難しかったかもしれないですが、欲をいえば3幕のGPDDをファジェーエフ王子とのペアで見たかったです!

パヴロワとチェケッティ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー/振付:ジョン・ノイマイヤー
ウリヤーナ・ロパートキナ  イーゴリ・コールプ
とても楽しみにしていた演目で、期待通りとても素晴らしかったです。 ロパートキナが見せてくれるバレエのポーズが本当に美しく、思わずうっとりしてしまいました。 と、言いながら、実はチェケッティを演じたコルプの一挙手一投足から目が離せないという変な期待?があり、2人をかなり速い速度で交互に見ていて目が疲れました(笑) コルプ老紳士のパブロワ@ロパートキナを見つめる表情や仕草は優しいし、師としての彼を見つめ返すロパートキナの表情も柔らかく可愛らしくて、とても絵になる2人でした。 音楽は「眠りの森の美女」の間奏曲ですが、やはりチャイコの音色がロパートキナには似合いますね。

チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー/振付:ジョージ・バランシン
オレシア・ノーヴィコワ  アンドリアン・ファジェーエフ
ノーヴィコワは若手の中でも、今マリインスキーが売り出そうとしているバレリーナと聞いていたので、どんなチャイパドを踊るのだろうと楽しみにしていたのですが、うーーーむな出来でした。 ここまでも酷かったオケがここへ来て大爆発的に酷かったのも災いしたとは思うけれど、踊り手自身が音楽そのもので、流れるようなダンスというものが出来ていなかった。 ファジェーエフは少し踊りに重力を感じましたが(笑・疲れてた?)、ラインの綺麗な美しい踊りで、あの音楽で踊らなくてはならなかったという事を考えれば良かったと思います。 麗しい笑顔でしたが、やっぱりヴィシと踊る時のむやみにハッピーという笑顔とは違うのね(笑) 


<第3部>
エチュード
音楽:カール・チェルニー/編曲:クヌドーゲ・リーサゲル/振付:ハラルド・ランダー
アリーナ・ソーモワ  レオニード・サラファーノフ  ウラジーミル・シクリャローフ
この演目、一番好きなところは、始まってわりとすぐに照明がくすんだブルーに落ちたところにバレリーナのシルエットが影絵みたいに黒く浮かびあがるシーン。 東バで初めて見たときからここが好き! 
さて、ダンサーで一番楽しみにしていたのは、ソーモア。 容姿に恵まれながらも長い手足を持て余しがちだった2年前の新国立のくるみ出演から、どのくらい変わったのだろうと興味津々でした。 で、こう来たか!という感じ(笑)。 テクニックを磨く事に時間を費やしたのでしょうか? 高速シェネ?などけっこうびっくりしました。 おっそろしく速い音楽でのフェッテは凄かったですが、雑でしたね~。 しょうがないのかな? でも、若々しい勢いが感じられて良かったです。 2日に大阪で白鳥全幕を踊っているのに体力的にも問題なさそうで感心しました。 シクリャローフも持てる力と体力をすべて出し切って頑張ってました。 ただ巷で美形・美青年と話題になっているほど興味はそそられないのだけれど・・・(笑)。 体力勝負のこの演目、最後まで安定した高度なテクニックで客席にアピールしながら楽しそうに踊っていたサラファーノフ、見事というしかありません。 あの細い体でこの体力というのも凄いですね。 
「エチュード」を見るのは東バの公演に続き2回目なのですが、こんなに超アレグロなパートが多い作品なのでしょうか? 


***********************
「ロパートキナのすべて」で心から感動した後に、正直言ってこのプログラムは辛かったです。 29日と30日は、問題なく思えたオーケストラの調子がここまで酷くなるというのもどうした事なんでしょうね? 一つの楽器が音を外すというレベルのものでなく、音楽の作り方自体がおかしいのだから・・・
個人的な好みでいえば、第1部はいらなかったように思います。 パブレンコとグーメロワをそれぞれ違う演目で躍らせてあげて、もうちょっと演目も変えたうえで、エチュードとの2部構成にしてもらいたかったです。 それにコルスンツェフにも踊ってもらいたかったわ!!!
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「ロパートキナのすべて」 11月30日の感想
2006/12/03(Sun)
キャストはこちらです。

<パキータ> グラン・パ
衣装がとても綺麗。 4月に観たパリオペのグラン・パの衣装も綺麗だったけれど、こちらの衣装も全く異なる趣で美しい。
ソリストの衣装はコール・ドとは違い、上半身がそれぞれ色違い。 1番目のオスモールキナは溌剌としていて身長のわりに大きく感じられる踊り。 2番目のパブレンコはグリーン。 彼女は今まで見る機会がなかったのだけれど、振付のゆったりした感じも手伝ってか、少し古風で典雅な感じ。 最後にちょっと滑ったみたいだったのは残念でしたが、目を引く踊りでした。 3番目のイワノーワは華奢なバレリーナでドン・キのキューピッドでも使われる音楽で快活にキュートに踊ってました。 4番目のグーメロワ、確かピンクだったと思います。 イワノーワの後で一層大きく感じるけど、優しい笑顔でそつなく踊っていて好感が持てました。 でも、なんと言ってもソリストで抜群の存在感と輝きを見せていたのは、5番目のテリョーシキナ! 彼女の衣装は濃紺? それだけでもビシッとしまって他とは違う感じ。 高くて柔らかなジュテが素晴らしく、彼女の踊りのすべてに感嘆する有様でした・・・。 彼女は顔はちょっと強面ですが、体のラインは綺麗ですね。 特に脚がとっても綺麗!
そのテリョーシキナの後で女王然(ザハロワの女王然とは、全く違います。 もっとおおらかで全てを包み込むような動じなさ)と、ロパートキナがソロを踊る。 マリインスキーの蒼々たるメンバーを従えても尚、その存在は別格のものであって、言葉でたとえようがありません。 彼女の作りだす一つ一つのラインがとても美しく、特に、腕の動きと上半身の美しさには溜息が出るほど。 音楽をきちんと捉えた踊りも見ていて本当に気持ちが良いです。 フェッテはシングルで通したけれど、一回転、一回転、音楽ときちんとあって、表情も柔らかで余裕がありました。
ルシアンはコルスンツェフ。 大柄で脚が長く、白いタイツがとてもよく似合う。 ロパートキナにしても彼にしても、スパニッシュな雰囲気は微塵も感じられないのだけれど(笑)、優雅さを漂わせて舞台全体を包んでいた。 コルスンツェフはものすごーく腕の動きが綺麗です。 長い腕が優雅に優しく動いて、バレリーナを包み込む様は本当に甘やかな世界なのだ! ヴァリも調子が良かったようで、マネージュは両足が爪先まで美しく伸びて綺麗だし、跳躍は高く滞空時間もあって豪快。 ともかく早くも、パキータでコルスンツェフに陥落したのであった。
マリインスキーのパキータはマールイと同じではないのですね。 マールイで1番目のソロの子が踊る曲でロパートキナが踊っていたし、最後にコルスンツェフが踊っていたソロもマールイではバレリーナのパートだし。 全く同じだと思っていたので、えっという感じでした。 


<ライモンダ> 第3幕
ライモンダの最終幕をすべて見せてくれました。
幕が開き、ディヴェルティスマンのダンサー達が現れる。 うわぁ~~~、なんなの! その衣装の豪華絢爛さ!!!といった感じでした。 特にハンガリーのダンスの衣装はゴールド系を惜しみなくふんだんに、でも限りなく上品に、コール・ドとソリストの衣装のデザインのバランスもきちんと考え、という感じで、生地にまで触れてみたくなるほどのゴージャス感でした。
マズルカ、チャルダッシュともに弾けるような感じではなかったけれど、なんというのかマリインスキーらしい上品なキャラダン。 衣装にばかり気をとられて実はあまりソリストの踊りを見ていなかった事に、今気づく・・・。
 8組の踊りはきれいに揃っていましたが、リフトで失敗しているペアもいました。 男性のパ・ド・カトル、皆さん上手かったですが、アントルシャで一人ジャンプが高いダンサーがいて目立ちましたが、彼がシクリャーロフでした。 今日は顔がわかって良かった! ちょっぴりパリオペのパケットに似てる?? でも、やっぱり少年っぽい顔とがっちりした体つきに違和感覚えちゃうなー。
ヴァリを踊ったイリーナ・ゴールプ、3年前の白鳥のパ・ド・トロワの快活な踊りを見て気に入っているのですが、この日もきっちりした踊りでした。 お顔は少しふっくらしたのかな? それとも化粧のせいかしら? ちょっと肉感的な感じがした。
ロパートキナは純白のチュチュに一枚の羽のついた白い薄い帽子。 やはりこの人が舞台に現れると空気が変わりますね。 気品があって高潔な雰囲気です。 手を打ち鳴らすパートはしっかりと叩くような動きなのだけれど、音は出さない。 顔の向き、姿勢から醸しだす雰囲気がとても高貴な感じで素晴らしかった。 全くタイプは違うけれども都さんのライモンダ同様の完成度の高さを感じました。 
この演目で、唯一残念に思ったのがジャン役のイワンチェンコ。 ファーストソリストで年齢は多分コルスンツェフと同じくらいだと思います。 身長はロパートキナのパートナーとして申し分ないと思うのだけれど、踊りはあまり安定していなくて良くなかった。 コルスンツェフのあの優雅な腕の動きを見た後では一層分が悪い。 表情もイマイチで、あまり調子が良くなかったのかな? ジャンもコルスンツェフで見たかったです。

<ダイヤモンド>
上演前は、なんで盛り上がるパキータを最後に持ってこないのかな?とちょっと不思議に思っていたのですが、そういう自分がいかにあさはかだったか思い知らされたパフォーマンスでした。
こんなにこんなに素晴らしい作品だったのですね。
ここでのロパートキナはまさに彼女自身が踊りであり音楽であるという感じです。 チャイコフスキーの音色と彼女の踊りの表現がピッタリ一致していて、ロパートキナはチャイコフスキーの旋律が一番似合うバレリーナではないのかと思わせられました。 そしてパートナーのコルスンツェフは、サポートに、自身の踊りにと冴え渡っている。 オペラグラスごしに覘いていたのはコルスンツェフの表情だったのだけれど、常に優しい笑みを浮かべ、ロパートキナとの距離を計りながら、彼女を大切にエスコートしていました。 最初のPDDの終わりに彼が跪いてロパートキナの手をとり、さり気なく口付けしたときには、もー心臓が飛び出そうなくらいドキドキしました(笑) 
バランシンとしては、少しエレガントかもしれませんが、コール・ドも、主役の2人の素晴らしさに引っ張られるように、この2日間のガラで一番の出来だったと思います。
ここでは、マールイのアルテムのお兄さんを見つけなければ!という思いで必死に男性の顔を眉間にしわを寄せて凝視(何やってんだか・・・)。 で、見つけてニンマリ! アルテムの方が少し脚が細いかな?くらいで、ノーブル系な踊りもよく似ている兄さんでした。 
主役2人の踊る場面は多く、体力的にもかなりきつい演目なのではないかと思いますが、ロパートキナは最後まで凛としたオーラを放ちつつ高雅に踊り、コルスンツェフも大きさを活かしながらも、荒さなど少しも感じさせない完璧な踊りで本当に素晴らしかったです。
ロパートキナとコルスンツェフのパートナーシップというのも、稀有なものだと言う事を心から思った舞台でした。 

3演目とも、白いクラシックチュチュで踊り、観ている者が幸せな気分になれる演目・幕を選んでくれたロパートキナに感謝です。 そして、もちろんプログラムの順番も(笑)! こんな素晴らしい舞台を観られたという事に感謝したいし、心が満たされて本当に幸せな気持ちになりました。
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「ヴィシニョーワのすべて」 11月29日の感想
2006/12/02(Sat)
<シンデレラ> 第2幕より
赤やオレンジ基調のロングドレスを着た女性ダンサーと黒の燕尾服の男性ダンサー。 女性は皆背が高いのでヒールを履いているのかと思ったら、トウシューズ。 ほんとに長身なんですねー。 ポアントで立って両肘を張り、少し飛び跳ねるように動いているのが、変わっていて印象的でした。 男性ダンサーは燕尾服が似合って素敵だけれど、もうちょっと身長が高ければもっと素敵なのに。
継母と意地悪な2人の姉はただ周りから浮いている変な人たちにしか見えない。 1幕からのストーリーがないから気の毒だよな・・・ 継母のエカテリーナ・コンダウーロワの踊りも振付がかなり変わっていたけれど、アピール力抜群で上手だったと思います。 
そして黒、赤、橙というきつい色彩の中を裂くように上手奥からジュテで颯爽と表れた白いタキシードのコルプ王子。 柔らかくしなやかな跳躍がとてもいい。 口ひげを蓄えてちょっとギラギラした瞳のコルプは白いレッドバトラー風(笑)。 継母と姉2人の滑稽な色仕掛けには、「全くヤンなっちゃうぜ」と一歩引きながら大迷惑という感じに見えました(笑)
舞台上から、ダンサー達が一斉に消えて行ったところに白いセミロングドレスのシンデレラ@ヴィシニョーワの登場。 このシンデレラはかぼちゃの馬車でやって来るのではなく、妖精の魔法でいきなりワープして来ちゃうのかしら? どこに紛れ込んだのかわからないような感じのシンデレラが、今までのみすぼらしい服を着た自分から、美しいドレスを纏った美しい娘になって、違った世界に入り込んだのだという喜びを確信していくような表情の変化が素晴らしかったです。
ヴィシとコルプのPDDは軽やかで楽しそうで良かったです。 一目で恋に落ちたように思えた2人が互いの心を探りながら、それぞれの胸の高まりを表現しているようでした。 周りの紳士淑女たちから踊りを褒められたシンデレラは褒められるたびに踊りが大胆に自信に満ちたものになってくる。 ヴィシがとても可愛らしかったです。 もちろん踊りも上手いし。 ヴィシの身体能力の高さ同様、コルプも自分の体をきちっと制御して踊る事の出来る人ですね。腕や体の動きも柔らかくて綺麗だし、ジャンプでの着地音も静か。 ただ、後半のPDDはプロコフィエフのあの美しい旋律と振付が全く合っていなかったように感じました。
で、見ているときには奴ら何なんだ!という感じだった四季の精、妖精というよりは不幸のお告げって感じでした。
オレンジをぶら下げた妖精?もなんだか不気味・・・。 12時の時を刻む音、魔法は解けてシンデレラの周りには誰もいなくなってしまう。 現実の世界に戻され、ガラスの靴の片方を見つめて悲しく泣き崩れるシンデレラ。 ラストのヴィシニョーワの演技も良かったです。

<バヤデルカ>第2幕
テリョーシキナのガムザッティが素晴らしかった。 彼女は登場してソロルと挨拶をかわすまでのためだけに白地にシルバーの模様の入ったセパレーツの衣装をつけていた。 そういうところをいい加減にしないのがとても嬉しいです。 テリョーシキナの踊りは、美しく、一つ一つのパがきっちりしていて目にスカッと気持ちが良かったです。 ピタッと止って微動だにしないイタリアン・フェッテは本当にお見事でした。 そして、変に媚びたりするところもなく、見る者に真っ直ぐに伝わってくる彼女の表現力は素晴らしいなと思いました。 
ソロルのサラファーノフの踊りは、爽やかな疾風のよう。 ヴァリでのピルエットは崩れない軸とビックリするほどの高速さに思わず感動! ただ、彼のサポートがあまり良くなかったのと、テリョーシキナとのユニゾンは高さとかタイミングとかあまりにもバラバラで、この辺は彼の課題でしょうか?
出迎えるガムザッティへのにこやかな挨拶は、領主の娘に対する儀礼的なというより愛情が感じられてしまって、えっ、いいの?という感じだったのに、 婚約式に現れたニキヤに気付くなり、いきなり立ち上がってしまい凄まじい動揺。 気を静めて座りなおすものの、ニキヤから顔を背け、大きくうなだれてしまう。 差し出されたガムザッティの手を握り返しながらも気はそぞろ。 ニキヤが花かごを持って踊り始めると、もう大変!で、立ち上がって自分の腹心にすがりつく。 う~~ん・・・武勇を誇る戦士ソロルがこんなお坊ちゃま度炸裂状態で良いのだろうか?と思いつつサラファーノフから目が離せずにヴィシの事はチラチラ見る羽目に・・・。
そのヴィシニョーワ、情の濃い熟女のニキヤ。 表情からは絶望感や悲嘆が感じられるけれども、粘りと弾力のあるような踊りの表現と同調していなかったように感じる。 それでも、彼女の体の柔らかさと身体能力の高さを十分感じられる踊りではありました。 花かごを貰ってからは元気よく、色香溢れるニキヤでヴィシの魅力全開でしたね。
金の仏像にウラジーミル・シクリャローフの名前を見た時には、彼ってそういうキャラなの?とちょっと意外な気がしました。 雑誌で顔写真を見る限り、あどけない少年の面影が残っている人だったので・・・。 跳躍力もあって踊りは良かったと思いますが、あどけない顔(この役は顔わからないけど)とがっちりした体つきがなんともアンバランスなダンサーなのね!
コール・ドはかなりいまいちでした。 どの踊りも1人2人すごく音に遅れる人がいて、顔の付け方とか体の向きとかバラバラだったのが残念。 全幕ほどの思い入れがないのかもしれないけれど、どんな時にもカンパニーの名前をしょって踊っているのだから、常にベストなものを見せるという気持ちを感じたいです。 3年に一度しか見られないバレエ団だと、あそこのコール・ドはちょっとという認識が3年続いちゃうのよー。
インドの踊りもイマイチだったかな? 女性も男性も細かいステップは音楽に追いつかない感じで、エネルギー爆発というよりやっとこさで雑。 
しかし、マリインスキー、動物系は弱いのでしょうか?(笑) ふかふかのトラのぬいぐるみ(触りたかった気はするが)も、うむむでしたが、ソロルが乗っていたサイコロ象さんは素敵過ぎ・・・。 サイコロの胴体から垂れ下がっている尻尾だけがやたらリアルだったわ!

<ルビー>
シンプルながらゴージャス感溢れる舞台美術。舞台手前に縁取りされた大きなルビーの宝石が上から下がっている。 「ジュエルズ」はガラでほんの一部分しか観た事がなく、きちんと見るのは初めてでした。
コール・ドを率いるソフィア・グーメロワは初見。 大きいとは聞いていましたが、ほんとに長身で肉付きもちょっとよいのかな? なんとなく動きがゆったりと見えましたが、楽しげに踊っていて良かったと思います。 コール・ドもこの演目が一番揃っていて綺麗でした。
ヴィシニョーワは音楽をよく捕らえて、次から次えとパを繋いでいって、体力的にも問題なさそうに流れるように踊っていて素晴らしかった。 パートナーのファジェーエフも、自分の足が絡まりそうに速くて難しそうな動きを、あの甘い王子様スマイルのまま爽やかに踊っていました。 「ヴィシと2人で踊っている僕は、今、世界で一番幸せなダンサーなんだよ!」とでも言いたげなほどにとろけそうな表情がホントに素敵!


とても見応えのあった「ヴィシニョーワのすべて」ですが、個人的には、第2部の「バヤデルカ」は、影の王国でヴィシのバレエ・ブランを観たかったです。 クラシック・チュチュ姿が一つもなかったのは淋しいし、個人のガラで、ガムザッティのような準主役の見せ場が多い作品を踊らなくても良かったんじゃないかなとも思ってしまう。 ついでに影の王国だったら、コール・ドも気合が入ったかしら? なんて。
演目が違うので、比べられるものではありませんが、ヴィシニョーワのパートナーとして合ってるなと思ったのはコルプでした。 スケジュール的な理由から彼らの「白鳥の湖」が観られないのが残念です
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東京バレエ団 「ドナウの娘」 11月17日の感想 
2006/11/20(Mon)
フルール・デ・シャン : 吉岡美佳
ルドルフ       : 後藤晴雄
ドナウの女王     : 田中結子
男爵         : 中島周
母親         : 橘静子
伝令官        : 平野玲
パ・ド・サンク : 高村順子、長谷川智佳子、西村真由美、小出領子
フルールの友人 : 乾友子、高木綾、奈良春夏、吉川留衣

<1幕>
幕が開く。 遠くにお城を望む川のほとり、舞台上手にジゼルの家のようなフルールの家。 舞台奥に倒れているフルール、あれはまちがいなく美佳さんだけれど、「ドナウの岸辺で発見され(多分幼少のとき)村人の養女として育つ」というところから始めるのだろうか・・・・? と、思いきや、居眠りしてたようですね・・・。 のどかな村だ! NBSのストーリーにわざわざそんな事がかいてあったので、そんなところが気になったわけですが、さらに気になっていたのは養女という事でパキータのように実は・・・なんて身の上だったりもするのかなんて。 
美佳さん、細くて綺麗です。 可愛いというよりも大人びている少女という感じ。 そしてルドルフの後藤さん。 この人も、どこかなつっこい犬を思わせる優しそうな青年ですね~。 2人の並びの感じもなかなか良いですが、やはりフルールがお姉さん的という感じかな? 
フルールとルドルフのパ・ド・ドゥは、いきなりラコットという感じの細かいパの連続で、なんだか少しせわしない感じ。 後藤さん、時々アームスや脚への気配りがなくなったようなラインになってましたが、それ以外は良かったと思います。 
踊り疲れたのか、またその場で転寝をしてしまう2人。 そこへドナウの女王がやって来て、眠っている二人の指に指輪をはめる。 これが女王も2人の仲を祝福しているという事なのですね。
互いの指輪に気づき、結婚を約束して幸福の絶頂!というほどラブラブな2人ですが、フルールのお母さんはルドルフを認めようとはしない。 母役の橘静子さんは8月のジゼル2公演でもジゼルのお母さん役で、衣装も似たような感じなので、どうもジゼルを見ているような感覚にも襲われ、まるでアルブレヒトをジゼルに寄せ付けないようにしているように見えます(苦笑)

村人たちの衣装、女性のスカートがブルー、ピンク、うすいオレンジ?と綺麗で可愛らしい感じ。 上衣も色が微妙に違うみたいでした。 男性の衣装は色合いがなんだかなーという感じでしたが、それより6人、6人と両サイドに別れて踊っていた踊りがバラバラで残念でした。

そこに、お城からの伝令官が従者を伴いやって来る。 伝令官の平野さん、口ひげも似合ってなかなかダンディー。 2人の従者がいきなり幕を広げると、そこには男爵からのお触書が・・・。 早い話が「男爵がお嫁さんを探すために身分を問わず皆さんをお城に招待します」との字幕スーパー・・・。 台詞のないバレエの辛いところですが、特に初演という事でわかり易くするためのアイディアなのか、ずっとやるつもりなのか・・・? 男爵の目に留まって欲しくないルドルフに、城には来ないように言われても、なぜか行くつもりのフルール。 別に逆らえない命令ではないのにね。

そして花嫁選びの当日の男爵のお城。
城内のセットはすっきりとしていて品があってなかなか素敵です。 男爵の中島さん、こちらは人の良さ気な好男子で非常に魅力的。 ルドルフは逆にフルールの心変わりを心配していたのかも(笑)
村人や貴族がワラワラと現れて、舞台上には4,50人(大雑把・・)のダンサーが。 これだけ多いとそれだけで見事ですが、東バってこんなにダンサーいたっけか?
皆がダンスで盛大に盛り上がっているところにフルールが友達4人と共に登城する。 グレーのストールをマッチ売りの少女風に巻いて(でもどう見てもほっかむりという雰囲気)、脚を不自然に引きずりながら・・・。
ともかく、ここでどっちらけました。 そんな目立つ姿で何をしにきたのやら??? さらに、男爵から見えそうな時には脚を引きずり、男爵から見えない時にはルドルフと楽しそうに踊る。 しかもこの繰り返しが長くて飽きた。 ここは要らないのではないでしょうか? 見ている方の気分も悪くなるだけだし。

フルールの友達の4人は、踊り始めると、やはりコール・ドとは違って見えるのが流石です。 
そしてパ・ド・サンク。 長谷川さんはキュートな魅力を適度にアピールする踊りが魅力的。 西村さんは明るく溌剌とした踊りが目に心地良いです。 小出さんは、会場の空気を変えられるようなプリマの風格が感じられるようになったと思います。 踊りはいつもながら音楽に良くのってきっちりした踊り。 中島さんも跳躍や脚捌きともに素晴らしかったと思います。

集まった人々の踊りが一通り終わって、いよいよ男爵のお嫁さん選び。 男爵の心はとうに決まっていたようで、フルールを真っ直ぐみつめ彼女を選ぶ。 フルールとルドルフは大慌てで自分たちが恋仲であることを訴えて男爵にフルールを諦めてくれるよう懇願する。 後藤さんはもう頼り無さ全開で同情も批難もできない微妙な雰囲気。 事態に絶望したというには、やや唐突気味にドナウ川に身を投げるフルール。 ルドルフはその場から逃げるように走り去ってゆく。 この辺の混乱振りは、ただの混乱で全くドラマに見えなかったのが痛かったなぁ・・・。 そこまでのあの2人じゃ、仕方ないなぁという感じです。 

<2幕>
ドナウ川のほとりに倒れているルドルフの元にフルールの霊が現れてパ・ド・ドゥ。 白いふわっとしたロマンティック・チュチュ姿の美佳さんは、感情を失った水の精そのもの。 フルールが去ると、城からルドルフを追いかけてきた男爵一行がルドルフを目覚めさせる。 ルドルフは目は覚ましたものの、取り乱したまま伝令官の短剣を抜き取り、男爵に向かって剣を振りかざす。 倒れているルドルフを見た男爵は彼を許そうと思ったようさえに見えたのに・・・。 我に返ったルドルフは迷うことなくドナウ川に入水。 そして幕。

幕が上がって目に入ってきたのは、ちょっと異様な光景。 大きな網のようなものが天井から下がっていて、その網目を使いながらルドルフが川底へと落ちてくる(自分で降りてくる)。 後藤さん、あっちこっちで網につっかかって止まっていたけれど、一つ間違えばダンサーが怪我をしかねないこのシーンはどうなんでしょうね。
ドナウの女王が与える試練とは、川底で大勢のオンディーヌの中からフルールを見つけ出す事だったのですね。 あれは試練だったのか? フルールが自ら現れたような感じ・・・。 白いロマンティック・チュチュのオンディーヌたちの踊りも幻想的で綺麗でしたし、フルールとルドルフの踊りもしっとりとしていて良かったです。 それでも、ラコット、最後の最後までキツイ振りを与えているんですよね。 縄くだり?で緊張し、さんざん踊った後の後藤さんにアントルシャや細かいパの連続はいじめか!というほどです。 顔が引きつって見えてルドルフの感情がわからなかった。 美佳さんもわりとあっさりでしたが・・・。そして、オンディーヌたちから始まったここの踊りも振付がそれほど美しいわけでも無く、長くて飽きました。 
ドナウの女王から地上に帰る事を許された二人が、後ろ向きに舞台奥の装置に乗って3分の2ほど上昇したところで幕。 

というわけで、それなりに楽しめた舞台でしたが、ストーリー自体が不自然の寄せ集めみたいな感じなので、感動するというような舞台ではありませんでした。 今後も上演していくのならば、見直しが求められる部分も多いと感じます。 フルールのお城での脚を引きずったりの振る舞いは、健常者なら男爵も美人の私に目を止めるだろうけど、そうじゃないから大丈夫よと言っている様なものなので変更した方が良いのではないでしょうか? あとは、男爵が中島さんのように男前の善人では、ただでさえ感情移入するのが難しい脳天気な主人公2人に、なおさら同情し難くなってしまうので問題だ(笑) ジゼルのようにドラマティックにもならないし、底抜けに明るい楽しい物語というようにもならないでしょうし、なかなか難しい作品ですね。
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ルジマトフ&インペリアル・ロシア・バレエ 10月15日の感想
2006/10/18(Wed)
「プレリュード」
ユリア・マハリナ
音楽:J.S.バッハ
振付:A.ミロシニチェンコ
薄い水色のハイネック、長袖レオタードの上半身に同色のふわっとした(オーガンジーかな?)スカートのマハリナが舞台中央でスポットライトに浮かび上がる。 踊っている時に、そのスカートがふわっとなったり、揺れてみたり、幻想的な雰囲気でとても綺麗でした。
主題があまりよくわからないのだけれど、内から出てくる感情に任せ、時に切なそうに、時に微笑みながらしっとりと踊っていました。 ただ、ジュテの幅が狭くてジャンプが低くて硬いのが気になりました。意図的なのかはわからないけど、もう少し柔らかい方が良かったような?

「ダッタン人の踊り」
クマン:ジャニペク・カイール、チャガ:アンナ・パシコワ
騎兵:キリル・テデフ、ペルシア人:エレーナ・コレスニチェンコ
音楽:A.ボロディン
振付:K.ゴレイゾフスキー/G.タランダ
このボロディンの「ダッタン人の踊り」は昔からとても好きな曲。 曲を聴けただけでも嬉しいのだけど、願わくば生演奏だったら・・・。 オペラでは、捕らわれの身になったイーゴリ公を慰めようとした宴席で踊られる踊りだそうです。 
群舞は少しばかり曲の勇壮さに負けていたような感じだったけれど次から次へと繰り出される踊りを観ているのは楽しかったです。 ペルシア人のコレスニチェンコは長身でスレンダーで体がとても柔らかい。 チャガのパシコワはダイナミックで迫力のある踊りが良かった。 長身でスレンダーな2人の女性ダンサーに対して、男性二人はちょっと小柄なのが残念。 クマン役のカイールは少し太めだよなー。

「アダージェット~ソネット~」
ファルフ・ルジマトフ 
音楽:G.マーラー
振付:N.ドルグーシン
舞台に仰向けになって横たわっているルジマトフの腕が音楽にあわせて左右対称に動き出す。 いつ見てもルジマトフの腕の動きは美しい。 肩から指先に至るまでが、まるでいくつもの小さい関節の連りであるかのように、自由な曲線と軌跡を描き出していた。 ただ私には、彼が頭の中、心の中にある、どんなイメージを表現しているのかはわからない。 私の目には、己の業に立ち向かおうとしながらもそれに押しつぶされて無になっていくような、そんな感じに見えました。  

「瀕死の白鳥」
ユリア・マハリナ
音楽:C.サン=サーンス
振付:M.フォーキン
夏にマールイのコシェレワの瀕死を見たときは、始まって数フレーズでコシェレワはふっとび(ごめんね、コシェレワ、あなたのせいじゃないんだけど)、あとは脳内をコルプに占領されてしまったけれど、この日はコルプの影は微塵もなかった! さすがマハリナ(いーのか、こんな感想で・・・)。
細い体型に戻った体に白いチュチュがとてもよく似合っている。 前後に動く大き目のパ・ド・ブレ(この表現は正しい表現なのだろうか?)は死期が迫っていて足元がおぼつかないけれど、それでも前へ前へ進もう、生きようとする白鳥の意思を思わせる。 羽の髪飾りのせいもあって、白鳥の女王が、最後まで品と威厳を保ちながら艶やかに死んでいったような気がした。
カーテンコールで最後に出てきたときに、ファンの方から花束をもらったのですが、その花束を手に、パッと両手を広げて微笑んだ時のマハリナの輝かしかった事! まだまだ踊り続けて欲しいです。
 
「ワルプルギスの夜」
バッカス:キリル・ラデフ、 巫女:リュボーフィ・セルギエンコ
パーン(牧神):アレクサンドル・ロドチキン
サテュロス:ネムコフ、メルガリエフ、タナカ、ベクジャノフ
ニンフ:コレスニチェンコ、パシコワ、コフナツカヤ
音楽:C.グノー
振付:L.ラブロフスキー/M.ラブロフスキー
グノーのオペラ「ファウスト」のバレエシーン。 魔封じの聖人ワルプルギスの記念日5月1日の前日4月30日の夜を、ワルプルギスの夜と言い、魔女や悪魔たちがブロッケン山に集まってワルプルギスに叛く魔の祝祭なのだそうです。 「ファウスト」を観に行かないかぎり、なかなかこれだけきちんとしたバージョンは観られないかも知れない演目なんでしょうね。
バッカスのキリル・ラデフはとても上手です。 ただ巫女のセルギエンコが長身なのでペアとしてのバランスが悪くリフトなどはちょっと大変そうでした。 その主役たちよりも、目が行ってしまったのが3人のニンフ。 3人とも手脚が長くて衣装が似合っていて踊りはしなやか。 3人のうち2人はダッタン人のチャガとペルシア人にキャストされていたダンサーなので、この演目で名前の挙がっている4人の女性ダンサーがこのカンパニーを代表する女性ダンサーなのでしょうか? クラシックだったらそれぞれどんな役を得意にしているのでしょうね? ちょっと興味があります。

「シェヘラザード」
ゾベイダ:スヴェトラーナ・ザハロワ
金の奴隷:ファルフ・ルジマトフ
シャリアール王:ゲジミナス・タランダ
宦官長:ヴィタウタス・タランダ
シャザーマン:ジャニベク・カイール
オダリスク:コレスニチェンコ、パシコワ、セルギエンコ 
音楽:N.リムスキー=コルサコフ
振付:M.フォーキン
ザハロワは、やっぱり黒髪の方が断然美しい! 「クレオパトラ」なんていうバレエがあれば、彼女のその匂い立つような美しさと誇り高さがぴったりだろうな。 シャリアール王のタランダも端正な顔立ちに王らしい威厳を兼ね備えていて、2人、とても絵になっている・・・のにね! ザハロワはかなり好調だったのではないでしょうか? 体も脚もよくしなるし、動きもとても良かった。 ルジマトフも相変わらずあの黒のハーレムパンツがお似合い。 ジャンプは低くなったような気がしたけれど、回転や動きの美しさは衰えていない雄々しい金の奴隷だった。 2人の踊りは息もぴったりなのだけれど、それぞれの激しい思いは感じるものの、身分の差をも越えた狂おしいばかりの愛情の交換はあまり感じられなかった。 ラストシーン、愛するゾベイダの裏切りを知ったシャリアール王の苦悩の表情がなんとも痛ましく、弟のシャザーマンさえいなければ、ゾベイダの命だけは助けたのではないだろうか?と思わずにはいられなかった。 ゾベイダが自害した後、彼女の死を嘆く心を見透かされてはならないとでも言うように、視点の定まらない悲しい眼差しを真っ直ぐに向けているタランダに思わずじわっと来てしまいました。
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