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デッドゾーン
2012/03/03(Sat)
「デッドゾーン」
原題:The Dead Zone (1983年 加 103分)
監督:ディヴィッド・クローネンバーグ
出演:クリストファー・ウォーケン、ブルック・アダムズ、トム・スケリット
観賞日:2月11日(DVD)

デッドゾーン

ジョニー・スミス(クリストファー・ウォーケン)はニューイングランドの若き教師であり、同僚のサラ(ブルック・アダムズ)と恋愛関係にあった。 そんな時、ジョニーは大きな自動車事故に巻き込まれ、昏睡状態に陥った。 神経科医ウェイザク(ハーバート・ロム)の治療の下で、ジョニーは昏睡から目覚め、幸いなことに彼の身体にはギプスや包帯、また目立つ傷跡はまったくなかった。 しかしジョニーが意識を失ってから5年もの歳月が経っており、恋人のサラはすでに他の男性と結婚して子供がいることを知り、彼は愕然とする。
事故の影響により、他人の過去や現在、未来の秘密を、彼がその人や物に触ることによって知覚できるという超能力を持ったことで、ジョニーの人生はそれまでとは変ってしまった。 ジョニーはしぶしぶながらその力を地元保安官(トム・スケリット)に貸し、残忍な連続強姦殺人事件を解決した。 その後、ジョニーは再び働こうと家庭教師をはじめた。 しかし、ジョニーの超能力は彼を悩ませ続けた。 そして新進の地元政治家グレッグ・スティルソン(マーティン・シーン)が、いつの日かアメリカ合衆国大統領に選出され核戦争をはじめるビジョンを見てしまったジョニーの苦悩は高まる。(Wikipediaより)

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映画ファンの間では隠れた名作とされているスティーブン・キング原作の本作(第12回アボリアッツ・ファンタスティック映画祭(1984年)で批評家賞、黄金のアンテナ賞、ヒッチコック・サスペンス映画賞を受賞)。 TSUTAYAの発掘良品シリーズで借りて見ることが出来ました。 四半世紀以上も経ってしまえば、当時は斬新だったであろう主人公ジョニーに起こったサイキック現象は若干見飽きた感じがするけれど、望みもしない能力を持ってしまったジョニーの悩みや苦しみ、世間の人々が彼に浴びせる好奇の視線、無責任な言動はいつの世も変らないなと。
その事を強く感じさせてくれたのもジョニーを演じるクリストファー・ウォーケンの魅力あってこそですが、ウォーケンの哀愁を帯びた表情や元恋人に向ける淋しさを隠した笑顔など、またまたウォーケンファンにはたまらない一本でした。 自分の身に起きてしまった事から逃げ続けるのか、納得はできなくても、それを受け入れて社会の一員たろうとするべきなのか、悩み傷ついた末にジョニーは意を決する。  ヒロイズムという言葉はふさわしくないけれど、正義感とサラへの消えることのない愛情に静かに突き動かされた彼の行為が無駄にならなかった事で、少しは彼が救われたような気もします。

事故にあう前のウォーケンのおかっぱスタイルにはさすがにギョギョ・・・だったのだけれど、事故後は私の好きなウォーケンでした。 83年というと彼がちょうど40歳の映像だけれど、鮮烈だったディア・ハンターの彼を思い起こさせるような若さもまだ十分あって、黒いコートの襟を立てた彼はとっても素敵だったなぁ。
途中、心を通わし、結果的に彼の超能力でその子の命を救う事となった少年と過ごしている時の柔らかで優しい表情も印象的。
びっくりだったのは、教師ジョニーが生徒たちに「スリーピー・ホロウを読んでおいで。 悪魔に追われる教師の話だよ」ってちょっとニヤっとしながら言うシーン。(そんな物語を小学生に読ませちゃっていいのか。) ウォーケンはこの後1999年にティム・バートンが製作した「スリーピー・ホロウ」にその首なし騎士役で出演するのですが、まさか、この時はそんな事思いもしなかっただろうけど、デッドゾーンのこの台詞がキャスティングの決め手になっていたりして・・・。

マーティン・シーンも好きな役者です。 この人も善良な役から悪役まで役柄が幅広く、この映画でも悪徳政治家を熱演。 この映画は43歳頃ですが、昔TVでよく放映されたソフィア・ローレン主演の「カサンドラ・クロス」、ジョディ・フォスターと共演した「白い家の少女」で、彼の若い姿をそれと知らずに見ている人も多いのでは? 

ちょいと許せないジョニーの元恋人サラ。 ストーリーの構成上、最後までジョニーとかかわる必要があるのだけれど、昏睡状態の彼を見捨てて(それは許すけど)結婚した相手の子供を連れて父親と暮らすジョニーの家を訪ね、子供が寝た隙にジョニーを誘い、手料理をふるまって夕食まで共にした挙句の果てに、ジョニーにまた会いたいと言われれば、もう会わない方いいって・・・。 どうしても一度だけジョニーに抱かれたいという願いを叶えただけのヤナ女に見えてしまった。 でも、ジョニーにはかけがえのない存在なのね・・・。
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ディファイアンス
2009/10/02(Fri)
「ディファイアンス」
原題: DEFIANCE (2008年 米 136分)
監督: エドワード・ズウィック
出演: ダニエル・クレイグ、リーブ・シュライバー、ジェイミー・ベル、アレクサ・タヴァロス
鑑賞日: 9月5日 (DVD)

ディファイアンス

第二次世界大戦さ中の1941年。ナチス・ドイツの迫害はポーランドの小さな田舎町まで迫っていた。両親を殺されたユダヤ人の、トゥヴィア(ダニエル・クレイグ)、ズシュ(リーヴ・シュレイバー)、アザエル(ジェイミー・ベル)のビエルスキ兄弟は、復讐を胸にポーランドに隣接するベラルーシの森に身を隠す。やがて森には、ドイツ軍の迫害から逃げてきたユダヤ人が次々と助けを求めて集まってくる…。食料難、寒さの中、人間らしく生き抜くことを心に決め、肉体も精神も極限状態の日々を過ごしていた。(goo映画より)

ディファイアンス1


第2次世界大戦中に多くのユダヤ人の命を救ったオスカー・シンドラーと杉原千畝についてはドキュメンタリーなどで取り上げられる事も少なくはないので何度か見ているけれど、レジスタンスを続けながら自分たちの命を守ろうとしたユダヤ人の苦難にフォーカスを当てた作品は今まで見たことがなかった。

最初は両親を殺された4人兄弟が自分たちが生き残るために深いベラルーシの森に逃れたのに、同じ境遇の見ず知らずのユダヤ人たちが次々に集まってかなり大きなコミュニティーとなってしまう。 膨れ上がったコミュニティーには食事や労働など数々の問題がつきまとい、必然的にリーダーとなったトゥヴィアにかかる重圧も生半可ではない。

ある日、トゥヴィアは両親を殺害した警察署長ベルニッチの家に押し入り、手持ちの銃弾が少ない事も忘れ復讐の鬼となって一家4人を惨殺する。 それまで冷静に人々を束ね、寛容に見えたトゥヴィアの別の一面を見た気がしたけれど、人と人が殺し合いをする戦争というのは憎しみと復讐の連鎖なのだと改めて感じさせられた。

次第に次男のズシュはトゥヴィアの示す逃れているだけの生き方に反感を覚え、ついに袂を分かちロシアのパルチザンに合流して戦う決心をする。 
ズシュの去ったコミュニティーではリーダーとしての資質を問われたトゥヴィアが苦境に陥る。 わずかな綻びも仲間すべての命を危険に晒す事にもなりかねないのだから、共同生活にはかなり厳しい規律が必要になる。 けれどもそれに不満を持つ者が人々を扇動する。 
ドイツ軍の空爆に彼らの棲家が壊滅的な被害を受け、再び流浪の旅をしなくてはならない状況に陥った時、諦めかけたトゥヴィアを強く励ましたのが3男のアザエルだった。 2人の兄の生き様を見ながら共に苦境を乗り越えてきた彼は、このコミュニティーで出会ったハイアと結婚し男としても人間としても成長を遂げていた。 逞しくなった弟を眩しそうに見るトゥヴィアの表情がとても印象的だったし、実際、アザエルのあの不屈の闘志がトゥビィアに勇気を与え仲間たちを救ったのだから。 

危険と知りながらも生き抜くためには通り抜けなければならない湿地帯をやっとの思いで渡り、一息ついている彼らに向けてドイツ軍の砲撃が始まる。 万事休すとトゥヴィアが覚悟を決めた瞬間にズシュと共にソ連軍が姿を現す。
互いに反発し合い分かれた二人だったけれど、それぞれの境遇で命を危険に晒しながら苦悩した事でお互いに相手の考え方を理解できたのかもしれないですね。

ユダヤ人側からみれば、1200人もの同胞を救ったビエルスキ兄弟は英雄だけれど、彼らが生き残るためにポーランド住民に対して行った略奪行為は犯罪でしかない。 トゥヴィアとズシュがこの事をめぐって激しく対立する様子をきちんと描いた事で、見ている者もこの物語がただの美談だけではないことに気づかされるのだと思う。
概ね実話に基づいているとは言っても、ラストのドイツ軍戦車との戦闘シーンは映画作品としての脚色だったそうなので、時間があればネハマ・テクの原作を読んでみたいと思います。

ジェイミー・ベルがいい役者になったなぁと思いました。 今までは彼を見ながらなんとなくリトル・ダンサーのビリー・エリオットが思い出されたのだけれど、今回はそんな事もなく。 物語の中で成長を遂げるキャラという設定ではあったけれど、それだけで見る者の心を捉える事はできないだろうし、実に生き生きして輝いていたと思います。 
ダニエル・クレイグとリーヴ・シュライバーがいぶし銀の魅力を放っていたので、よけいにそのフレッシュさのようなものが目を惹いたのかもしれませんが。 
そのダニエル・クレイグですが、ジェームズ・ボンド(彼になって封印した)のような華麗なヒーローよりも、より人間臭いこういう役の方が似合っていると思います。
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チェンジリング
2009/08/05(Wed)
「チェンジリング」
原題: CHANGELING  (2008年 米 142分)
監督: クリント・イーストウッド
出演: アンジェリーナ・ジョリー、ジョン・マルコビッチ、ジェフリー・ドノバン、マイケル・ケリー
鑑賞日: 7月18日 (DVD)

チェンジ

1928年。ロサンゼルスの郊外で息子・ウォルターと幸せな毎日を送る、シングル・マザーのクリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)。だがある日突然、家で留守番をしていたウォルターが失踪。誘拐か家出か分からないまま、行方不明の状態が続き、クリスティンは眠れない夜を過ごす。そして5ヶ月後、息子が発見されたとの報せを聞き、クリスティンは念願の再会を果たす。だが、彼女の前に現れたのは、最愛のウォルターではなく、彼によく似た見知らぬ少年だった。(goo映画より)

オープニングクレジットの音楽からもうイーストウッドワールドだと感じる。 この作品では監督だけでなく音楽もクリントが手がけているのだけれど、全篇を通して心にすーっと染み入ってくるような静かでどこかもの悲しいメロディーが印象的だった。
イーストウッドの映画を見終わると、いつも決まったように浮かんでくるフレーズが、「何も足さない、何も引かない」、というもう10年以上も前のサントリーのウィスキー「山崎」のキャッチコピー(笑)。 アンジー演じるクリスティンを中心にさまざまなドラマ、事件が絡み合って展開していったこの作品はまさしくそのアプローチが物を言ったのではないかと思う。

チェンジ1


警察が息子のウォルターだと言って連れてきた少年は全くの別人だといくらクリスティンが主張しても全く聞く耳を持たないジョーンズ警部。 またしてもロス市警の腐敗ぶりと傲慢さを目にすることになるのだけれど、警察のイメージ回復のためにクリスティンを利用したあまりにも理不尽な対応の連続、挙句の果てには精神障害と決め付けて管轄下にあるも同然の精神病棟に隔離してしまうという暴挙には驚きと憤りしか感じないし、これが事実だというのにはぞっとさせられる。

このまま精神病院でズタズタにされるのか、それとも屈服せざるを得ないのかという彼女の窮地を救ったのは、かねてからロス市警の腐敗ぶりを社会問題として取り上げ、新聞で知ったクリスティンの事件にも関心を寄せていたブリーグレブ牧師だった。
これが転機となり、牧師の知り合いの辣腕弁護士が無報酬で彼女の弁護を引き受け、警察を相手にした裁判が始まり、世間の注目を集める。 精神病院での不当な患者の扱いも問題視され、自由を失っていた人たちも解放される。 クリスティンが圧力に屈しない強い気持ちを持てるようになるきっかけを作ったキャロルという女性と無言で見詰め合う2人の再会シーンはいいシーンだったな。

時を同じくして開かれていた裁判はクリスティンが病院に隔離されている間に発覚した凶悪な連続誘拐犯の審議だった。 その事件の被害者に息子のウォルターが含まれている事も明らかになる。 クリスティンの勝利、凶悪殺人犯ゴードンの死刑へと物語りが進んでいく間には、ウォルター同様行方不明になっていた少年が両親の元に戻ってくるという出来事や、その少年からウォルターも一緒に逃げたと聞かされたクリスティンが、ウォルターの消息を求めてゴードンと接触を持つ様子なども描かれ、緊張感が緩む事は全くない。
醜態を晒しまくったロス市警ではあったが、この凶悪事件の全貌を明らかにし、犯人逮捕にまでこぎつけたのはレスターという一人の刑事の熱意とプライドだった。 実話であるだけになんとなく救われたような気もする。 

役者たちの演技もとても素晴らしかった。
良心がこれっぽっちも痛まないのかと言い寄りたくなるようなジョーンズ警部を演じたジェフリー・ドノバン。 人を見下してそうでどことなく冷淡な表情を浮かべるジョーンズを心底憎たらしいと思わせたのだから、彼の演技は抜群だったのでしょうね。
珍しく?全くの善意の人を演じたジョン・マルコビッチが、滲み出てくるような深い愛情と強い信念のようなものを穏やかさの中に隠しながら演じていたのが印象的だった。
アンジーも時には絶望的になりながらも自分を奮い立たせながら、自分の前に立ちはだかるものに対して凛とした姿勢で臨む芯の強い女性を好演。 ただ、この役での彼女の肉感的な唇に真っ赤なルージュというのが好みではなかったせいもあり、個人的には「マイティ・ハート」のアンジーの演技の方が好きだった。 

大きな苦しみと悲しみを乗り越えたクリスティンが刑事に別れを告げ、力強く歩き去っていく後姿にほっとするような、どこか切ないような、そんなラストシーンが非常に秀逸。 

チェンジ3


DVDデータに載っていた撮影秘話ですが、撮影を始めたばかりの頃のアンジーは、イーストウッドの1シーン1テイクという早撮りに戸惑ったそうですが、次第にエモーショナルなシーンなどでは何度もやるより一度の方が生の感情が吐き出せるとイーストウッド方式の良さを実感したそうです。 そしてそのイーストウッドは役者が硬くならないように、「アクション!」の代わりに「それでは動いて」という掛け声を使ったのだそうです。
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天使と悪魔
2009/06/24(Wed)
「天使と悪魔」
原題: ANGELES&DEMONS(2009年 米 138分)
監督: ロン・ハワード
出演: トム・ハンクス、ユアン・マクレガー、アイェレット・ゾラー、ステラン・スカラルスガルド
鑑賞日: 6月12日 (新宿アカデミー)

天使

教皇が病死し、次の教皇を選出するコンクラーベが行われようとしているヴァチカンに、400年前に弾圧された秘密結社「イルミナティ」が復讐を開始する。彼らは4人の教皇候補を誘拐。科学の四大元素“土”“空気”“火”“水”を表わす焼き印を胸に押しつけ、一時間ごとに惨殺すると予告する。さらに街を吹き飛ばすほどの破壊力を持つ反物質を、ローマのどこかに隠したのだった…。この恐ろしい計画を阻止するため、ヴァチカンは宗教象徴学者のラングドン教授(トム・ハンクス)に助けを求める。(goo映画より)

前作の「ダヴィンチ・コード」は映画を見てから小説を読んだのだけれど、今回は先に原作を読んでからの映画鑑賞だった。 先に原作を読んでしまうと物語の細部まで承知済みという他に、自分の中で主要登場人物のイメージが出来あがってしまうので、映画化されると決まったものは読まないのだけれど、原作の「ダヴィンチ・コード」が面白かったので「天使と悪魔」を読みたいという欲求に勝てなかったのだった。 ただ、原作を読んでいる時も頭の中のラングドン教授はトム・ハンクスだったし、 幸いな事にヴィットリア役のアイェレット・ゾラーがイメージそのものだったので、全体的に大きな違和感はなくすんだ。 当初はナオミ・ワッツがヴィットリアの有力候補だったとか・・・。 ワッツは好きだけれど、ちょっと違う。

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というわけで、後は文庫本で3冊約950ページの原作をどう凝縮して映画化するのか、バチカンがどの程度撮影に協力してくれるのかというのが個人的な興味点だった。
原作では宗教と科学の対立というテーマが根底にあり、それぞれに主張があるのだけれど、映画では科学側となったセルン研究所に纏わる話がほとんど削られており、次期教皇選出のためのコンクラーヴェを軸に宗教側が大きくフィーチャーされている。 
故に原作の最後に明らかにされる運命の皮肉も描かれない。 ヴィットリアの父の存在もなく、主要人物を削ったり、原作には登場しない人物を登場させ重要な役を担わせるなど映画用に思い切って手を加えている。
その結果、緊迫感の途切れないテンポの良いエンターテイメント性の高いサスペンスアクション映画として成功していると思う。
もし自分が原作を読んでいなかったら、誰が黒幕だと推理しただろう?
本を読んだ時には最後まで分からなかったけれど、映画の場合、キャスティングやカメラワークである程度見当がついてしまうので案外早くに見抜けたかもしれない。
いかにも胡散臭そうに描かれている人物はたいていはカモフラージュだし・・・。
犯人探しと共に見応えがあったのが、捕らわれた教皇候補たちを探し求めて走り回るラングドンが導いてくれるローマ市内の名所の数々。 オリヴェッティ警部役のピエルフランチェスコ・ファヴィーノがまさしくイタリアンな風貌なのもいい。
さらにコンクラーヴェの儀式については、カトリックでもなく知識もない自分のイマジネーションでは及ばない、神聖で厳粛な面を垣間見せてもらいいろいろと映画化&映像化の恩恵をこうむった感じ。 ただ、カメルレンゴのパラシュート帰還はいただけないが・・・。 
ラストシーン、尊い命の犠牲を経てようやく上がった白い煙、サン・ピエトロ大聖堂の広場で歓喜する人々を見下ろすバルコニーに新しく選出された新教皇が姿を現すシーンは圧巻で非常に感動的だった。 

コンクラーベ(Conclave)という言葉はラテン語で「鍵がかかった」という意味なのですね。 そういえばカメルレンゴが掛けたシスティーナ礼拝堂の扉の鍵はとても立派で厳重なものだった。

トム・ハンクス、アイェレット・ゾラーのコンビはとても良かったと思うけれど、彼ら以上にインパクトが強かったのが暗殺者のミスター・グレイ。 彼のバックグラウンドがもう少し欲しかったような気もするけれど、原作よりは凶悪度が低め。 グレイ役を演じているのはデンマーク出身のニコライ・リー・コスという実力派。 現在30代半ばながら、デンマークのアカデミー賞にあたるロバート賞で主演男優賞1回、助演男優賞を3回、デンマーク映画批評家協会賞で助演男優賞を3回獲得という素晴らしい経歴の持ち主のようです。

不遜でいかにも腹に一物ありそうなスイス衛兵隊隊長リヒターは映画オリジナルのキャスト。 演じているのがステラン・スカラルスガルドだというのは最後の方でようやく分かった次第・・・。

本を読んでいた時にいったい誰が演じたら納得できるのだろうと思ったカメルレンゴ。 なんとなく頭に浮かんだのはキリアン・マーフィー、ライアン・フィリップだった。 ユアンと知った時には「え?」と思ったのだけれど、原作を読んで3年経って記憶が薄れたせいか?わりとすんなり見られました。
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トロピック・サンダー 史上最低の作戦
2009/04/12(Sun)
「トロピック・サンダー 史上最低の作戦」
原題: TROPIC THUNDER (2008年 米 107分)
監督: ベン・スティラー
出演: ベン・スティラー、ロバート・ダウニー・Jr、ジャック・ブラック
鑑賞日: 4月4日 (DVD)

トロピック

ベトナム戦争の映画のために、三人のスターがベトナムのロケ地にやってきた。 落ち目のアクションスターのスピードマン(ベン・スティラー)は返り咲きのチャンスを賭け、下品なコメディで人気のポートノイ(ジャック・ブラック)は芸域を広げるのが目的。 そして演技派のラザラス(ロバート・ダウニー・Jr)は、黒人軍曹の役のために肌を黒くする手術まで受けるほどの役者バカ。 しかし撮影は進まず、困った監督はリアリティを出すために彼らをジャングルに放り込む。
しかしそこは本当の無法地帯だった…。 (goo映画より)

<例によって、キャスト、ストーリー等ネタバレ大有り>
全米では3319館で公開され、それまで独走状態だった「ダークナイト」を抑えて初登場1位となり、その後も3週連続1位をキープし5週目で1億ドルを突破したという大ヒットコメディだそうですが、私はダメでした。 笑えなかった・・・。
トロピック1


ハリウッドの内情を皮肉っていたり、ただ単純に可笑しいシーンは笑えたけれど、監督が地雷を踏んで爆死してしまったところで、ぷつんと切れたものがあって、ちょっと引きながら見てしまった感じ・・。 戦争映画をパロっている事がダメなわけじゃないのだけれど、ジャングルで遭遇した少年をリーダーとするミャンマーの武装麻薬組織というのがあまりにリアルでからっとしたおバカ映画路線として楽しめなかった事が痛いかなぁ。 
そんな中、一番面白かったのは、冒頭、スピードマン、ポートノイ、ラザラスそれぞれの主演映画の予告編。 特にラザラス役のロバート・ダウニー・Jrとトビー・マグワイヤ共演の「悪魔の小路」は最高! 
ほんの数分のシーンで禁断の愛の妖しい世界を絶妙に描いてましたね~。 躊躇いがちに動かされる2人の瞳にゾクゾクです。 あと、蝋燭の火ね!(笑)
製作、監督、脚本とスティラーの思いのままの映画だから、彼が大ファンというトム・クルーズが大変装姿で美味しい役どころでしたね。 最後のノリノリダンスには唖然としたところもありますが・・・。
DVDデータネタですが、ポートノイを乗せていた水牛バーサ、妊娠中だったのをスタッフが全く気がつかずに使ったんだそうですが、本番前に出産してしまったそうで・・・。 ジャック・ブラックとは相性が良くなかったバーサもロバートには甘えるほどなついていたのですって(笑)。
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チャーリー・ウィルソンズ・ウォー
2008/06/16(Mon)
「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」
原題 : CHARLIE WILSON`S WAR (2007年 米 101分)
監督 : マイク・ニコルズ
出演 : トム・ハンクス、ジュリア・ロバーツ、フィリップ・シーモア・ホフマン、エイミー・アダムス
鑑賞日 : 6月7日 (新宿プラザ)

チャーリー1

下院議員チャーリー(トム・ハンクス)は、酒と女が好きなお気楽政治家。しかし、その内面では、平和を愛するゆるぎない心を持ち、ソ連の攻撃に苦しむアフガニスタンを常に気にしていた。 国防歳出小委員会がアフガニスタン支援に500万ドルしか用意していない事を知ると、委員会のメンバーである彼は、予算を倍にするよう指示する。そこに、テキサスで6番目の富豪で、反共産主義者のジョアン(ジュリア・ロバーツ)が目をつけ、アフガニスタンを救うよう彼に訴える。 (goo映画より)

映画はラストシーンから始まる。 この演出が良かったとは思っていないけれど、功績を称えられているらしいチャーリーの気乗りしない顔とセレモニーへの出席者の晴れやかな顔の対比が妙に気になるプロローグだった。
まぁ、その理由は最後にはきちんとわかるのだけれど・・・。

一人のお気楽議員が500万ドルから始めたアフガニスタン支援を、武器調達やゲリラ訓練など10億ドルに膨れ上がるまで東奔西走し、ついにソ連軍をアフガニスタンから完全撤退させたという話を9.11の後に見せられてもなんとも思うところがない。
ブラックユーモアが散りばめられているとはいえ、それほど自嘲的なわけでもないし・・・。
米ソ2大国がそれぞれの思惑、国益、威信のためにある一つの国を舞台に立ち回った結果の、皮肉な連鎖を改めて思い知らされただけのような気がする。
ただ、一つ印象に残っているのはCIAの武器担当のマイク・ヴィカースという若いエージェントが、ソビエトの人間を殺すと局内でいきり立っている事。 こんな台詞を言わせちゃってとも思ったけれど、あの冷戦当時はこんな事、双方で日常茶飯事だったんですよね・・・。 

チャーリー


映画を見る前に見てしまったチャーリー・ウィルソンご本人の写真は、何をするにもその度合いが半端ではない豪傑で破天荒なキャラクターを想像させるのだけれど、トム・ハンクスはその辺が大分ソフトな感じ。 でもそれはそれで魅力的なキャラだったとは思うし、CIAのはみ出し者、フィリップ・シーモア・ホフマン演じるガスト・アブラコトスとのコンビが絶妙なバランスに思えた。
ガストという人物は、非常に頭が切れて洞察力もあり冷静沈着そうに見えるのに気性は激しかったり、卑屈なのかと思えばけっこうな自信家だったりととても興味深い人物。 こんなに強烈な印象を残しているのに、フィリップ・シーモア・ホフマンの出演作をそこそこ見ていたわりには覚えが無くて・・・、「カポーティ」も見なくてはと思った次第です。

久々にスクリーンで見たジュリア・ロバーツ。 あー、やはり年を重ねたのね~と思ったけれど、ジョアン本人が整形手術をしたと言って憚らない人物だそうで、苦心のメイクを施し50代の女性を演じたのだとか・・・。 バスルームで鏡に向かってマスカラを塗って固まってしまったまつ毛を安全ピンの先で一本一本ばらしている姿はちょっと恐かった(笑)
今後も頑張っていただきたい好きな女優の一人です♪

チャーリーの秘書の一人、健気なボニー役のエイミー・アダムスもキュートでしたね!
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ドレスデン 運命の日
2007/11/28(Wed)
「ドレスデン 運命の日」
原題 : DRESDEN (2006年 独 144分)
監督 : ローランド・ズゾ・リヒター
出演 : フェリシタス・ボール、ジョン・ライト、ベンヤミン・サドラー
鑑賞日 : 11月17日 (DVD)


第2次世界大戦末期の1945年1月、敗色濃厚なドイツで唯一空爆を免れていた東部の都市・ドレスデン。 恋人の医師・アレクサンダー(ベンヤミン・サドラー)を助け気丈に働く看護師のアンナ(フェリシタス・ボール)は、病院の地下に潜んでいた英国空軍の負傷兵ロバート(ジョン・ライト)の手当てをして匿う。憎むべき敵と知りつつ密かに惹かれ合うようになるアンナとロバート。ついにアレクサンダーがロバートの存在に気づいた2月13日未明、英国軍の爆撃機が彼らの上空に迫る…。 (goo映画より)

<思いっきりネタばれです♪>

1945年2月のドレスデンの大空襲で破壊された聖母教会の再建がなった2005年に、戦後60年という年月を経て作成されたこの映画、ようやく時を得て製作された映画だっただけに、ドイツ人看護婦とイギリス人パイロットの悲恋が核になるというようなキャッチに違和感を覚えたけれど、いい意味で予想を裏切られた映画だった。

敵地に不時着した英兵を見つけ、罵りながら復讐の怒りにまかせ銃殺するドイツ人の村民、街中でユダヤ人にまとわりついてユダヤ人を揶揄する歌を歌うドイツ人の子供たち、爆撃機の中で爆撃を正当化する英国空軍兵、逃亡者を匿ったドイツ人の婦人を見せしめに銃殺してしまうドイツの軍人。 空襲の夜、逃げ込んだ地下壕の中で恐怖におののく人々や、その苦しみから逃れるために拳銃を持ったドイツ兵に自らを撃ってくれとすがる老人。 空襲の翌日、残った家財道具をまとめて、生き延びるためにドレスデンから離れていく人たちの列。

主役2人の恋愛にあまり振り回される事がなかったので、かえって彼らの周囲の人々の描写にリアリティーを感じ、共感や同情を覚えた。 監督からのメッセージである戦争の無意味さ、戦争や紛争で犠牲になるのは決まって罪のない市井の人々だという酷さを受け取り心が痛んだ。 
そして爆撃のシーン、高温で激しく燃え立つ炎と灼熱の爆風の中を人々が逃げ惑うシーンはとても恐ろしかった。

ヒロインのアンナ。 裕福な医者の家に生まれ、何不自由なく育った快活奔放な娘が戦時下においても自由奔放さに酔っているようであまり心惹かれなかった。 過酷な状況で明るく健気に生きるという感じには取れないんだよな。

ロバートの母親がドイツ人でドイツ語がわかるというのも都合が良すぎるけれど、敵地で一人負傷しながらも生き残ってしまった彼の大胆な行動には軍人として、人間としての強さとしたたかさを感じた。 あの状況下ならアンナに惹かれるのは分からなくもないけれど、病院の大部屋のベッドで人目(一応皆眠っていたようだが)も気にせずmake loveとは、ひたすら呆れる・・・。

アンナの婚約者のアレクサンダーは苦学の末に医者になった努力家であり誠実な人物。 堅物な感じで、激しい恋に落ちるような情熱的な恋人ではないけれども、空襲から逃れるために批難した地下壕で、不安に怯えて泣き出した少女に指で影絵を作ってなだめるなど子供好きで優しい面も見せている。

ユダヤ人の夫ジーモンと暮らすアンナの友人マリアは、戦争が自分たち夫婦を引き離してしまうのではないかという恐怖と不安にさいなまれながらも夫を気遣い気丈に生き、またアンナの信じられないような言動にも理解を示す心優しく健気な女性。
空襲の夜、戦火の中を逃げ惑いながらお互いを見失ってしまったマリアとジーモンが、瓦礫の山と化した彼らのアパートで再会できたシーンは本当に泣かされるシーンだった。 
戦時下の愛というテーマなら文句無くこの夫妻こそだろう。

マイセン、マイセンとドイツの高級陶磁器を愛するアンナの母親と、ナチの将校の恋人になり権力の庇護の下に自分を置こうとするアンナの妹。 空襲の夜を無事生き残ったこの親子はどこか憎めない。

アンナが働く病院の医院長であるアンナの父は、モルヒネを不正に流す事によって資金を得、家族のために国外脱出を画策する。 結局は思いも掛けなかった空襲によりドレスデンを出る事が出来なかったばかりか、資金は炎の中に消え、砲弾に倒れる。 偶然居合わせたアンナとアレキサンダーに看取られながら命を落とした彼も憐れだし、父の遺体を残したままの父娘の永遠の別れも悲しい。
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地下壕での様々な出来事を経てアンナはアレクサンダーとは別れ、死を覚悟してロバートと共に地下壕に残る。 翌朝、奇跡的に脱出したアンナとロバートが目の当たりにしたドレスデンの街の変わり果てた姿も衝撃的だった。
「戦場のピアニスト」でも似たような瓦礫の廃墟が映し出されていたのをふと思い出した。
石造りの建物がすべて壊れ、瓦礫の山となったドレスデンの街でいったい何人の人が命を落としたのだろうか。

焼け残っていた聖母教会を登りつめたロバートが見下ろした焼け跡の街は、まるで死滅した珊瑚の塊のように見えた。 アンナの言葉を借りれば、石でできた建物を焼き尽くした炎の温度は1000度を超え、石はスポンジ状態になってたという。 聖母教会もなんとか1日持ちこたえただけで、無残にも崩れ落ちたという事だった。

無事帰国したロバートは、アンナとの間に生まれた娘に会いにドレスデンに向かい飛行機を操縦中に北海に墜落したという。 敵地で戦火を生き延びたロバートがそのように命を落としたのは残念だったけれど、アンナとの繋がりが消えていなかった事になんとなくほっとし、初めてアンナとロバートの悲恋物語を意識した。 
アンナと別れたアレクサンダーには、空襲がおさまり、ドレスデンから逃れていく道すがら手をかした母子づれとの間に、新しい人生が開けたのだろうと勝手に信じている。

エンディングシーン、2005年、聖母教会の再建を祝う人々の中にアンナの姿がある。 アンナの孫娘といったところなのだろうか? 美しく甦ったドレスデンの街並みを見下ろすその女性は祖母から聞かされた恋物語を思いつつ平和のありがたさを噛みしめていたのだろうか?

 
ドレスデン爆撃に関してのウィキペディアの記事はこちら

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トリスタンとイゾルデ
2007/07/21(Sat)
「トリスタンとイゾルデ」
原題 :TRISTAN+ISOLDE  (2006年 米・独・チェコ・英 126分)
監督 :ケビン・レイノルズ
出演 :ジェイムズ・フランコ、ソフィア・マイルズ、ルーファス・シーウェル
鑑賞日 :7月7日 (DVD)


ローマ帝国の崩壊後、イギリスは事実上、アイルランド王の権力下にあった。各地に割拠する部族長の1人・マーク候(ルーファス・シーウェル)は、幼いトリスタン(トーマス・サングスター)の命を救い、孤児となった彼を大切に育てる。9年後、立派に成長したトリスタン(ジェイムズ・フランコ)は戦いで負った傷から瀕死に陥り、葬船に乗せられ海に流される。やがてアイルランドの海岸に流れ着いたトリスタンは、薬の知識を持つ王の娘イゾルデ(ソフィア・マイルズ)に救われる。若い2人は間もなく深い仲になるが、葬船がアイルランド軍に発見されたトリスタンは、この地を去らねばならなくなる。こうして引き離された2人は、思わぬ形で再会することに。イゾルデがトリスタンの恩人であるマーク候と、政略結婚することになったのだ。トリスタンは忠義心と愛情の間で苦しみながらも、イゾルデと密会を重ねるが……。(goo映画より)
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ケルトの伝説として誕生したこの物語が「ロミオとジュリエット」のベースになったという事で、そういう関係の主人公を思い描いていたのだけれど、私の中ではロミジュリには結びつかない。
どちらかといえば、少しずつ事情は違えど光源氏と藤壷の宮と桐壺帝を思い起こさせる。

「麦の穂をゆらす風」「マイケル・コリンズ」と20世紀初頭に英国がアイルランドを支配下においていた頃のアイルランド視線の映画を2本見たあとで、今度は中世にアイルランドが、諸国に分裂していた英国を支配していた時代の英国側を舞台にした物語を見る事になると、長い歴史の中における栄枯盛衰を改めて感じる。

出だしの大地の映像が綺麗だったな・・・。
おまけに嬉しいサプライズだったのが、主人公トリスタンの子供時代を演じた子役のトーマス・サングスター。 「ラブ・アクチュアリー」のリーアム・ニーソンの義理の息子のあの子だったのだ! くるくる巻き毛に意志の強そうな目は健在! やっぱりシヴァコフ(バレエファンしかわかりませんが)に似ているわ!!

ストーリーとしてはトリスタンとイゾルデのラブストーリーというよりも、史劇的な要素も強く、国の存亡をかけた騎士たちの生き様を描いているように感じました。
ラブストーリー的に楽しめたのは、前半、解毒の知識のあるイゾルデの必死の看病でトリスタンが治癒し海辺の小屋をささやかな愛の巣としている間くらいだった。

成人したトリスタンを演じたジェイムズ・フランコが良かった。
政略結婚で他人のものとなってしまった恋人イゾルデへの狂おしいほどの想いとそのイゾルデを娶った、自分の育ての親であり心底敬愛していたマーク王への忠義心と罪悪感の狭間で苦しみ傷つく青年のあの悩ましい目が切なく美しかったですね~。
マーク王もまた、非の打ち所のないような高潔で慈悲深い王でトリスタン以上に魅力的な人物。 ルーファス・シーウェルのキャスティングも良かったと思う。
そんな2人に比べると、私的にはイゾルデがイマイチでした。
アイルランドでの彼女は初々しく可愛らしいのだけれど、魅力的な2人の男性から愛され、一国を破滅寸前まで追い込んだヒロインとしてはちと物足りない。 マークや家臣の目を盗んで逢引しながら、トリスタンに「私の前に愛した人はどれくらい? 私の後に愛した人は・・」というような台詞が似合うヒロインには思えなかった。 あくまでも好みの問題だけれど、パイレーツ・オブ・カリビアンの一作目でキーラが見せたような絶対的な煌きが欲しかったなぁ・・・。

マーク王は、トリスタンとイゾルデの関係を知った時には、自分がそれぞれ宝物のように思っている2人に裏切られた事で激怒したものの、2人の出逢いが自分がイゾルデを娶る前だったという事実を知ると身を引こうとする。 イゾルデのためというよりも息子同然に愛情を注いできたトリスタンを苦しめてしまった事への深い後悔と懺悔のようにも感じた。 そのトリスタンへの溺愛が災いして、マーク王の甥でトリスタンとも兄弟同然のメロートの悲劇が起こってしまったのだと思う。
マーク王に認められたい、ただそれだけの願いが叶わない無念さを心に抱きながら死んでいったメロートが哀れだった。 物語の前半でメロートにトリスタンの戦死を告げられたマーク王の嘆きの様を見つめていた彼の訝しげな困惑の表情が伏線でもあるのね。
という事で、ラブストーリーというよりは、時代の大きな流れの中で翻弄される暗黒時代のイングランドにおける一つの領国の悲劇という歴史ドラマに思えました。

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ディパーテッド
2007/06/24(Sun)
「ディパーテッド」
原題 : THE DEPARTED (2006年 米・香 151分)
監督 : マーティン・スコセッシ
出演 : レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソン
鑑賞日 : 6月16日 (DVD)
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貧困と犯罪が渦巻く、ボストン南部で生まれ育った2人の男。犯罪者一族に生まれ、自らの生い立ちと訣別するために警察官を志すビリー(レオナルド・ディカプリオ)。マフィアのボス・コステロ(ジャック・ニコルソン)に育てられ、忠実な“内通者”となるために警察官を目指すコリン(マット・デイモン)。2人は互いの存在を知らぬまま同じ警察学校で学び、それぞれ優秀な成績で卒業。コリンはマフィア撲滅の最前線に立つ。一方、ビリーに命じられたのは、マフィアへの極秘潜入捜査だった…。(goo映画より)

スコセッシの大望がようやくかなって第79回アカデミー賞で監督賞、作品賞とともに脚色賞と編集賞に輝いた作品。
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ほとんど予備知識なしに見た映画で香港映画のインファナル・アフェアのリメイク作品だったという事すら全く知らなかったけど、そもそもインファナル・アフェアを見ていません。
勝手な思い込みで、警察側に潜入するマフィアに育てられた青年がディカプリオだと思っていました。 ただ、何となくですが・・・。
さほど納得して任務についたようには思えないビリーが、万が一にも身元がばれれば即命がないという状況で、常にピリピリ、恐怖と背中合わせに神経をすり減らしながら、時には精神科医の手助けも借りて(とりあえずメンタルな部分で・笑)、文字通り命がけの毎日を送っているのをみれば、どうしたってビリーに感情移入して見てしまう。
ディカプリオも、優秀でありタフではあるけれど、しょせん生身の人間という繊細さ、弱さのようなものを上手く演じていたと思います。 先日観た「ブラッド・ダイヤモンド」に続き、レオ君点数高いわ!
ついに開眼してしまったようです(笑)
それに対し、フランクとの繋がりさえなければ、本当に警察組織の中でエリート志向の権化と化してしまいそうなコリンは心底いや~な奴に思えました。
ビリーの上司であるクイーナン警部(マーティン・シーン)は、ビリーへの要求は厳しいものの、彼の身の安全を気遣う父親のような優しさもみせていて魅力的。 それが彼にとっては命取りとなったのだろうけれど・・・。 往年の、野性味がほどよく混ざった2枚目の印象は今はほとんどなくなっていますが、スクリーンで見られればそれだけで嬉しい役者の一人です。
クィーナンと対を成す、任務の成果しか関心のない鬼のようなディグナム巡査部長のマーク・ウォルバーグの言葉の汚さと発言の冷酷さの徹底度には参りました・・・。 しかし、「ミニミニ大作戦」から、わずか3年なのにずいぶん丸っこくなったな・・・。
その他、アレック・ボールドウィンなどかなり豪華メンバーが揃っていたけれど、なんといっても一番存在感があったのはジャック・ニコルソン。 眼光鋭く、にやりと笑えば笑うほど不気味で、情け容赦は一切なしというマフィアのドンを地でいっているようなド迫力の怪演・・・。
これはDVDデータねたですが、ジャック・ニコルソンは撮影中予測不可能なアドリブを連発させて現場を常に緊張の嵐にしていたとか・・・。 コリンとの密会シーンでは台本にない男性器の模型を取り出してデイモンを慌てさせたり、ビリーがネズミかどうか詰問するシーンでは突然ディカプリオの顔に銃をつきつけたそうな・・・。 きっと心臓が止りそうだったんじゃ???
コリンの婚約者でありながらビリーとも関係をもってしまう紅一点である精神科医マドリン役のビーラ・ファミーガは初見ですが、なんとなくTVドラマのヒロイン向きな女優さんですね。 男性俳優が大物・豪華メンバーだっただけにちょっと淋しく感じました。 コリンの一見優しく誠実そうで完璧な雰囲気とエリートという肩書きを選んだ一方で、ビリーの自分の弱さもさらけ出してくるストレートな純粋さに惹かれてしまったのだろうか? 頭で惹かれた男と本能で惹かれてしまった男と言ったら言い過ぎか? 多分、彼女のお腹の子供がビリーの子供であろう事はやはりアメリカ的だな・・・

物語のラスト、ビリーに関する結末は想像外だった。 
もの凄くドロドロと、重く暗い映画になってしまう可能性もあったのに、ハリウッドらしくないラストに殺伐とした空しさを漂わせながらも、後味が悪いというのではなくて意表を突かれたエンディングとなったのが、さすがはスコセッシという事なのでしょうか?
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トラブル・マリッジ カレと私とデュプリーの場合
2007/04/06(Fri)
「トラブル・マリッジ カレと私とデュプリーの場合」
原題 : YOU, ME and DUPREE (2006年 米 109分)
監督 : アンソニー・ルッソ
出演 : オーウェン・ウィルソン、ケイト・ハドソン、マット・ディロン、マイケル・ダグラス
鑑賞日 : 3月31日 (DVD)


ハワイで完璧な式を挙げ、2人だけの甘い新婚生活に胸躍らせるモリー(ケイト・ハドソン)とカール(マット・ディロン)。そんな矢先、カールの親友ランディ・デュプリー(オーウェン・ウィルソン)が仕事も家も失ってしまい、同情したカールは少しの間だけ新居に居候させてあげることに。ところが自由奔放なデュプリーの迷惑三昧に、2人の新婚生活はメチャクチャにされてしまい…。 (yahoo映画より)

HMVのこちらから予告編を見る事ができます。

話の展開も読めるし、キャラクターの設定もありがちではあったけれど、 とても面白かったです。  多分、役者が皆自分の好みだったのと、上手くキャラにはまっていたからだと思います。


<ネタばれあり>
オーウェン・ウィルソン演じるデュプリーは、他人の迷惑あまり顧みず系の自由奔放な生きる才能に溢れた人。 居候の身分でもお構い無しにすっぽんぽんで寝たり、 デートの相手を連れ込んで体中にバターを塗りたくってHした挙句の果てに火事まで起す始末・・・。 でも、彼的お約束キャラとでもいいましょうか、実はナイーブで心優しい友達思いの憎めない奴。 オーウェンの魅力を十分に引き出しているキャラでした。
カールの妻のモリーは、新婚生活を邪魔する招かれざる客だったデュプリーを一度は追い出したものの、行く当てもなく雨に打たれながらベンチで途方にくれている彼をほってはおけない優しい性格。 ケイト・ハドソンの持ち前のキュートさと相まってとっても可愛かった! 
モリーの父親役のマイケル・ダグラスもあの不遜でいや~みな感じがはまってましたね!  義理の息子にパイプカットを迫るってどういう奴だ!  この方も、最近は役を選ばないというか芸域が広がったというか・・・(笑) 
しかしながら! 私的ポイントが高かったのは、久々に見たマット・ディロン!  映画の中でも自分の事を「どうせ、おれはデブで・・・」なんて言っていたように確かにちょっと肉がついたけど、どうしてどうしてまだ十分いけると思った(笑)  オールバックになでつけた髪型はちょっと勘弁して欲しいけど、ちょっぴり斜視っぽいような、ぽくないような目線がセクシーでした(笑) 私が見ていなかっただけで、80年代後半にデビューして以来、映画には順調に出演していたんですね。

絵に描いたようなSweet Homeになるはずだったモリーとカールの新婚生活が、デュプリーの出現によって波乱続きになるなかでも、それぞれが自分の置かれた状況と格闘し、ギクシャクしながらも互いへの想いを大切にし、まっすぐ前を向いていたというのが見ていて気持ちが良かったです。
余談ですが、話の展開にはさほど意味のない「デュプリーはほんとはランドルフって呼んで欲しかったのよ!」というモリーの台詞がやけに耳に残っています。 モリーとデュプリーは男女関係とは無縁だったけど、そんな打ち明け話もしちゃった凹凸はまっちゃった2人だったのね。 そういわれてみれば、男友達たちはなんでファミリーネームで呼んでいたんだろ?(笑)

主要キャスト4人のお薦めの一本

「エネミー・ライン」 オーウェン・ウィルソンを初めて見た戦争アクション映画。 これを見たとき、コメディー路線に走るとは思わなかったけど・・・。

「10日間で男を上手にフル方法」 ケイト・ハドソンのキュートな魅力がこちらも全開。 お相手はマシュー・マコノヒー。 

「アウトサイダー」 マット・ディロンを初めて見たのは確かこの映画。 ダイアン・レーン、トム・クルーズ、パトリック・スウェイジなどが出演。

「セイブ・ザ・ワールド」 こちらでは花婿の父のマイケル・ダグラスとアルバート・ブルックスのおやじコンビが最高です。 ともかく笑える映画! 
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